台湾で口蹄疫が発生 ウイルスが全島を飛び火する不思議
また口蹄疫か・・・、とため息がでるような気分ですが、台湾で10月に2回連続し、今回12月7日にも発生しました。
●雲林縣二崙鄉 :10月19日(O型、豚)
●澎湖縣馬公市 :10月30日(O型、豚)
●桃園県12月7日(O型、豚)
すべて豚。PCR、ウイルス分離検査でいずれも0型の陽性でした。
台湾では、11年に入ってから既に9例が発生しており、春から夏の間にも北部の新竹県、中部の彰化県、南部の台南市とまんべんなく発生し続けています。
宣蘭県、花蓮県などの東部諸県は未感染です。島中央の脊梁山脈が自然障壁となっているようです。
台湾はほぼ九州と同じ大きさですが、その半分以上が汚染されたことになります。これはかつての宮崎口蹄疫事件が宮崎県東部地域のみで食い止められたことと比較すると、その感染拡大の大きさにとまどいを感じるほどです。
台湾はワクチン接種国ですが、殺処分も並行して行われています。ワクチン接種していてもコントロールができていない不安定な状況が常態化しているようです。
ワクチンの種類や摂取方法は分かりませんが、ワクチネーションや初動もさることながら、疫学ルートの解明がされていないのではないような気がしてなりません。
といのは、やや古い09年のことですが、6月25日の最南部の屏東県からいきなり北部の7月13日新竹県、8月25日の桃園県へと感染移動しています。
今年2011年でもまた、北部の新北市から南部台南市へのウイルス移動がありました。
09年初発の雲林県で再び10月19日に発生した後に、澎湖島に飛び、そして再び北部の桃園県に移動しています。
九州でいえば、鹿児島県からいきなり佐賀県や長崎県に移動したようなものです。これは患畜の移動をしたか、ウイルスをもった畜産器材、車両を移動した以外に考えられません。
特に♯20雲南県から♯21澎湖島への移動は、島である以上、ウイルスの侵入ルート特定は容易なはずです。
このような本土から島という侵入ルートをあぶり出し易い事例がありながら、なぜまた北部に感染を許してしまうのか、不思議でなりません。
宮崎県の事例が東部のみで止まったのは、宮崎県畜産農家の献身と、徹底した殺処分、感染ルート解明の努力にありました。
台湾防疫当局は、どうしてかくも安直なウイルスの移動を許してしまうのか、深刻な総括をしたほうがいいと思います。
また、おそらく台湾は、野生の偶蹄類のイノシシ、シカなどにまで感染が拡大しており、ウイルスが土着化してしまっていると想像するほうが自然です。
この状況は韓国でもまったく同様で、おそらくは韓国のほうがより深刻でしょう。韓国は殺処分方法の埋却方法の杜撰さが指摘され続けており、社会問題にまで発展しました。
あれから1年たち、埋却地の劣化も激しいと思われます。この情報もありませんが、願わくば、しっかりと保全されていることを望みます。
台湾に近い沖縄,九州は警戒体制に入ったほうがいいようです。台湾へ旅行される皆さん。できるならば東海岸方面で遊んで下さい。下記の汚染地帯へ旅行する場合は、出国に際しては靴をビニール袋に入れて帰ってきて下さい。できたら着衣も着替えて帰って着てくればベストです。
日本の防疫当局は、台湾からの観光客に事前申告をしてもらい、万が一に備えるべきです。空港や港の防疫体制も万全を期さねばなりません。
東北に口蹄疫が侵入されたら、畜産業のみならず、復興そのものも数年遅れます。もう二度とあの宮崎の地獄を見たくありません。
■写真 朝焼けに染まる竹林。
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【12月24日 AFP】台湾の動植物防疫検疫局(Bureau of Animal and Plant Health Inspection and Quarantine、BAPHIQ)は22日、台南市の養豚場で口蹄疫の症状を示したブタが見つかったことを受け、今週に入ってこの養豚場のブタ1000頭近くを殺処分したと発表した。
この養豚場で飼われていた2667頭のうち983頭が殺処分され、残りはワクチン接種を受けた。半径3キロ以内にある別の11か所の飼育場では、口蹄疫の症状を示した動物は見つかっていない。
口蹄疫はウシ、ブタ、ヒツジなど偶蹄類の家畜がかかる感染力の強い伝染病で、台湾では1997年、口蹄疫で300万頭以上のブタが殺処分された。(c)AFP
■沖縄県北部家保情報 (昔お世話になりました)
http://www.pref.okinawa.jp/hokushin_kachiku/kouteieki.html
2009年
①雲林縣麥寮鄉 :2月 4日(O型、豚)
②彰化縣埤頭鄉 :2月 9日(O型、豚)
③嘉義縣新港鄉 :3月27日(O型、豚)
④屏東縣Yanou鄉:5月18日(O型、豚)
⑤屏東縣萬丹鄉 :6月25日(O型、豚)
⑥桃園縣大園鄉 :6月 9日(O型、豚)
⑦新竹縣竹北市 :7月13日(O型、豚)
⑧桃園縣新屋鄉 :8月25日(O型、豚)
2010年
⑨澎湖縣馬公市 :2月12日(O型、豚)
⑩雲林縣褒忠鄉 :6月22日(O型、豚)
⑪桃園縣新屋鄉 :8月10日(O型、豚)
⑫台南直轄市 :12月17日(O型、豚)
2011年
⑬澎湖縣馬公市 :3月22日(O型、豚)
⑭台南市下營鄉 :3月21日(O型、豚)
⑮新竹縣新埔鄉 :5月6日(O型、豚)
⑯彰化縣永靖鄉 :5月16日(O型、豚)
⑰彰化縣田尾鄉 :5月23日(O型、豚)
⑱新北市鶯歌区 :7月11日(O型、豚)
⑲台南市Shigang区:7月26日(O型、豚)
⑳雲林縣二崙鄉 :10月19日(O型、豚)
●澎湖縣馬公市 :10月30日(O型、豚)
●桃園県12月7日(O型、豚)
出典:OIE WAHID 他
※日付は発生日(各々の事例が初
■台湾の口蹄疫感染発生状況 (クリックすると大きくなります。)
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コメント
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我が県では外国からの観光客は台湾からが最大です。
震災以来激減していましたが、現在県を上げて観光ツアー誘致に躍起になっております。
昨年は何度も県や農水相に「せめて空港への消毒マットだけでも設置を」とメール等で要請しましたが、未だ全くの無防備。
セシウム汚染稲藁騒動ではいち早く対策が取られましたが、8月のセリ再開時には高値が付いたものの、その後はじり貧です。
ここで口蹄疫が来たら…考えるのも恐ろしい!
投稿: 山形 | 2011年12月27日 (火) 08時38分
おはようございます。
10月30日(豚)に引き続き、12月7日台湾 桃園県(豚)で発生しています。(農水省HP)
年末年始の人・物が動く時期ですから、国内侵入には厳戒態勢をとる必要があると思います。
投稿: 北海道 | 2011年12月27日 (火) 08時38分
台湾と日本との違いは、豚の売り買いと移動に、安い人材を雇ったり、すぐ売買してしまい、責任がはっきりせず、疫学調査というか、感染ルート解明が困難なことが、あるのではと、想像します。(個別の事実関係は、知りません)日本と違い、発病無申告、移動制限違反など、罰金制度があるにも係わらず、実態は、無視というか、離島の船による運搬時に発見されたときも、移動していたおばあさんは、病気は、知らなかったと言って、罰金で、殺処分ど終わりだったように、思います。早々とワクチン接種、殺処分を続けているのに、何年経っても、終息の傾向が、全く見られないことと、韓国と違い、O型メインで、なぜか、豚だけと言うのが、理由が、わかりません。新桃園国際空港付近は、桃園豚と言う小型豚の産地みたいですが、どこまで、ウイルスが、蔓延しているのか、日本では、ぜんぜん、わからない状況のようです。
私も、日本の空港での、靴の消毒マットの継続について、随分、要望しましたが、日本の空港は、消毒マットを設置する空港ビルの経営者が、株式会社、自治体運営、第3セクターなど、また、農水省空港とか、多様であり、航空会社も多様で、検疫作業も、多様というか、国際線、国内線で、責任範囲が、違うようで、結局、マットを置く許可、マットの消毒薬の費用負担者、マットの管理者、そこで、ころばないような誘導をするガードマン会社など、あらゆる会社が、横に連絡が取れない限り、実行が、難しいようで、結局、どこの誰が、責任者なのかということさえ、すべての空港で、責任者不在のようなイメージでした。
国土交通省、農林水産省、厚生労働省は、実施に、消極的です。宮崎ですら、東国原知事が、一時、指示したわずかな期間のみの消毒マットで終わり、ゴルフシューズの持込制限なり、消毒要請すら、行われていない状況に思えます。
台湾の飛び飛びの地点での、発病報告は、流通に係わる人が絶えず変わることと、罰金を逃れるために、弱ってきたら、早々に移動させてしまうという行動が原因ではないかと思えます。台湾東部は、西部より、南北交通が不便なので、奇跡的に助かっているのでは、と、想像してます。
以上は、すべて、日本に居ての、情報収集なので、詳しい現地実態は、不明ですが、管理人さん、なぜ、豚で、O型だけに集中しているのでしょうかねえ?
また、罰金制度で、地下に実態が潜ってしまっている気は、しますけど。。一般人も、路上で、子豚が売っていれば、買えるような国なので、その辺から規制しないとまだ、5年、10年と、散発し続けると思ってますけど。。
投稿: りぼん。 | 2011年12月27日 (火) 09時40分
消費・安全局動物衛生課
ダイヤルイン:03-3502-5994
FAX:03-3502-3385
山形さまへ
山形空港については、国際チャーター便については、消毒マットを置いているとの回答を得ました。
国内線は、無防備みたいですが。。
投稿: りぼん。 | 2011年12月27日 (火) 09時56分
おっ、りぼん。さん
情報ありがとうございます。
いやあ、去年空港までチャーター機の出迎え風景を何度か見に行って、全くノーガードだったもんで。
1歩前進ですかね。
先程も県にメール出したばかりなんですが(汗)
投稿: 山形 | 2011年12月27日 (火) 10時17分
りぼんさま。そうですね。なぜ牛に出ないのか、不思議です。というか、出ていて見逃しているのか、疫学調査が入っていないか、杜撰なのか。
とまれ、これだけ豚の発生件数があって、ないというのは解せません。
感染ハブは、おそらく海岸沿いに南北を通る国道でしょうが、どのような消毒措置をしているのでしょうか。
投稿: 管理人 | 2011年12月27日 (火) 10時56分
今のところ、台湾西部の南北線である1号線と3号線で、宮崎のような道路途中の消毒検問所が、あるというような、情報を、得ていませんので、多分、国道途中の車両消毒は、ないのかもしれませんね。
感染事実を見れば、1号線、3号線で、感染拡大防止ラインを引くというか、車両消毒を徹底するのも、1案とは思いますが、果たして、日本で行ったことが、有効なのかどうかは、わかりません。
また、豚における発生規模が、宮崎のように、豚舎、牛舎が接近していないのか、思ったより、こじんまりした発生のような気もします。飼育密度が、低いのでしょうか?
韓国ほど、と殺頭数の急激な変化を感じませんが、、
ワクチンが影響しているのでしょうか?
投稿: りぼん。 | 2011年12月27日 (火) 11時10分
空港や駅などの防疫に関して、行政の動きは全く鈍いです。
十勝帯広空港で消毒マットは継続していますが、時々東京からの帰りに、そのマットを踏みますが、乾燥していて薬液がほとんど感じられなく、効果のほどは分かりません。
千歳空港の国内線はマット設置はしていませんが、国際線の到着は実施している事を聞いています。
形だけなのか、実効性があるかまでは分かりませんが・・・
家伝法も改正になり、家畜飼養者の義務は強化されましたが、水際(入口)での防疫は、農業者が出来る訳ではありません。
緊張感と危機感を持って欲しいものです。
投稿: 北海道 | 2011年12月27日 (火) 11時45分
不思議な拡がり方です。私たちが知る韓国や宮崎だと面でやられます。
台湾はスポットがポツポツ拡がL、大きく見れば桃園県と台南市付近が中心です。
発生件数が少ないのは、やはりワクチンの効果でしょうか。これが日本ならばパンデミックです。
しかし、それにしては出すぎで、よもや変異によるワクチン・ブレイクではないとは思いますが・・・。気持ちが悪いですね。
投稿: 管理人 | 2011年12月27日 (火) 11時46分
北海道 さま
マットに薬剤が、ない場合は、空港動物検疫局に、お伝えくださいませ。
マットの消毒薬は、1時間程度で、継ぎ足して、補給しないと効果がないそうですが、検疫担当者の人数が、少なく、1機到着すれば、かなりの数の人間が通るので、検疫官だけでは、対応しきれていないとのことです。
各空港事務所ごとで協議して、いただいて、ガードマンや空港事務所職員に応援を求めて、消毒薬の点検と追加をしてもらう以外には、ないと思います。
地上員の全体会議みたいなものが、各空港ごとであるようで、そこで、検疫官が、足りないので、空港地上職員に、手伝ってほしいと言ってみる以外に、解決法はないようです。
ちなみに、中部国際空港は、株式会社として、あらゆる参加各社に、お願いできることは、お願いし合い、協力するような感じには、なってきているようですが。。他空港も、助け合いをしないと、一気に到着と出発をするので、検疫官だけでは、無理のようですね。
投稿: りぼん。 | 2011年12月27日 (火) 12時55分
お久しぶり(?)です。
本日、宮崎県から台湾の台南市で豚に口蹄疫(O型)が発生したとのメールが届きました。台湾での本年、11例目だそうです。
これだけ、ぽつんぽつんとした発生は、明らかに、人が介在しているのではないかと思います。しかも道中、安全(?)に運搬している。
以前、現役養豚家さんが韓国の口蹄疫のハブに関して、仰っていましたが、私も、同じ考え(納得した次第)です。
AI(人工授精)による広がりです。
つまり、ストロー(精液そのものか、容器かは分かりませんが)に混入したウィルスが抗体値の低い豚に発生しているということです。
これなら、あまり牛に発生がみられないことの説明にもなるのではないでしょうか。
あくまで、推測です、台湾での豚のストローの流れ(人工授精の仕組み・制度・法律)が、よく分かりませんので。
投稿: Cowboy@ebino | 2011年12月27日 (火) 14時48分
宮崎県の情報、農水省のHPでも先ほど発表されました。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/taipei_hassei_04.html
これは、今日の記事の中の【12月24日 AFP】台湾の動植物防疫検疫局・・・と同じものみたいですね。飼育頭数が2667で、同一です。
投稿: 南の島 | 2011年12月27日 (火) 15時19分
りぼん様情報ありがとうございました。
十勝帯広APは国内線空港ですので、保健所に確認します。
台湾では、12月7日に続き12月19日に「台南市」での発生ですね。
真剣に侵入防止が必要です。
投稿: 北海道 | 2011年12月27日 (火) 16時13分
Cowboyさん、お帰りなさい!
人工授精のストローか!ありえそうですね。
なるほど、これだと仮に幹線道路で消毒してもひっかからないかもしれないし、牛にはいかない。
投稿: 管理人 | 2011年12月27日 (火) 17時55分