• As20241225001545_comm
  • 20250115-143858
  • 20250113-081014
  • 20250114-011659
  • 20250113-133232
  • 20250113-134354
  • 20250113-134844
  • 20250113-135719
  • 20250114-062849
  • 20250112-044948

« 東北被災地にTPP「復興特区」の罠 | トップページ | セシウム除去のポイント アンモニウムやカリウムはゼオライトの働きを阻害する »

2011年12月 8日 (木)

福島県の農地除染方針 モニタリングはホットスポットを探し出すためのものです。安全宣言するためのものではありません

Img_0023
12月6日、福島県が農地の除染の説明会を行いました。
(日本農業新聞12月6日 欄外切り取り抜き参照)
 

福島県は農業林業者に対して、「福島県の米、野菜、果樹、牛肉などすべての農産品の放射能検出ゼロ」と、「農業者と近隣住民の年間追加被爆量を1ミリシーベルト以下にする」ことを約束しました。 

「追加被爆量」という表現が気にかかりますが、たぶん自然放射線量を除いた原発事故由来の放射能ということでしょう。

これは全国で初めて農林業者に対しての除染目標の設定であり評価できます。 

福島県は事故現地県として、今までももっとも多数の土壌モニタリングを行ってきており、また消費者に対しても検出限界値を5ベクレルにまで引き下げることで低線量被曝に答えようとする誠実な姿勢を持ってきました。 

除染方法としては
農地の除染(ただし玄米モニタリングで検出された農地)・・・放射性物質吸着剤を散布して反転耕、ないしは深耕
 

●果樹・・・県が開発した粗皮削りと高圧戦場で樹皮を洗浄する。 

●牧草地・・・牧草のはぎ取りや吸着剤を散布しての反転耕、ないしは深耕 

この方法は妥当だと思います。おそらくは、ゼオライトを撒いた後、ロータリーかプラウ耕耘をするものと思われます。 

一部の農業現場を知らない人は、削土しての表土はぎ取りを要求していますがまったくナンセンスです。今まで何度も書いて来たように、削土は大規模なコストと手間がかかり農業者への負担が大きすぎます。 

また表土を剥がれてしまえば、農地としての生産性はゼロとなり、新たな沃土に戻すまでに相当な年数が必要となるので「被曝地」の農民に更なる重荷となってしまいます。 

「被曝地」農民は現状ですら風評被害による経営打撃に加えて、農地の汚染におののいており、その背中に更に大きな重石を乗せるべきではありません。その意味からも、福島県のこの除染方針は農民の苦悩を理解した賢明なものだと思います。 

ただ一点懸念があります。安全宣言をした後の玄米からの相次ぐ放射能検出といった事態以降のモニタリングをどのようにしていくのかが今ひとつ見えません。 

安全宣言した後の検出事例続発は、福島県農産物の回復しかかっていた評価を再び地に落としました。 

これは明らかな事前モニタリングの失敗が原因です。あえてきつい言い方をさせてもらえば、福島県は事前モニタリングで危険と思われる地点を意識的か否かは分かりませんが、排除したのではないでしょうか。 

言うまでもなくこれは邪推ですが、被災地には「出てほしくない」という心理が強力に働くものです。この心理がもっと消極性に傾くと、「測定するから出るのだ」という後ろ向きの姿勢になってしまいます。 

モニタリングはホットスポットを探し出すためのものです。安全宣言するためのものではありません 

そこをはき違えていた部分があるから、玄米の事前検査で問題なく、事後でボロボロ出るという最悪の事態になったのです。

次に測定方法ですが、いちいち精度は高いが、時間とコストがかかるゲルマニウム測定器を使う必要はないと思います。むしろシンチエーション・サーベイメータなどを使って検体数を大幅に増やしてスクリーニングするほうが先決です。
(下の写真がシンチエーション・サーベイメータ。精度のレベルを切り換えられる。)

003
ホットスポットを見つけ出さねば、また必ず規制値を超える農産物が出る可能性があります。

農地におけるホットスポットは限定されます。要注意地点はこのようなポイントです。
・舗装された道路や森林からの水が流れ込む水口
・ハウスの周辺部。特に雨樋の出口付近
・森林との境。斜面の下部分。
・谷津田の最上段の沢水が流入する部分
・森林の風雨が当たる前の側の立ち木の根付近
・樹木の皮
・耕耘していない農地
・草地あるいは牧草地
・沢水が流れ込む水路。特に汚泥

この測定は素人でも可能です。出来れば、行政かJAがシンチエーションサーベイメータを農家にレンタルする形で、農家の地域単位の測定をしたらどうでしょうか。

その際よくやってしまうのは、自分の農地の一カ所だけ計って安全だと錯覚することです。これは往々にして見られます。仮に自分の農地が2ヘクタールあって、その一カ所で計っても気休めにしかなりません。

均等に測るよりも、初めからホットスポット要注意地点のみを見当をつけて測る方がスクリーニング方法としては正しいと思います。そこでホットスポットが見つけられれば、そこの段階で精度が高いゲルマニウム測定器で再検査すればいいのです。

ぜひ雪が降り積もる前に徹底したホットスポット炙り出し作戦をやって下さい。
福島農民の健闘をお祈りします。頑張れ、福島!
 

 

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

Photo
               日本農業新聞12月8日

« 東北被災地にTPP「復興特区」の罠 | トップページ | セシウム除去のポイント アンモニウムやカリウムはゼオライトの働きを阻害する »

原子力事故」カテゴリの記事

コメント

安全宣言ありきで調査(検査)してしまうと、余計な心理が働いてしまう可能性は、放射線以外の事象でも起こりえます。
先ずは、農業者自身の安全を確保しながら、ホットスポットの特定を優先しなければ、次の対応がとれません。
中々難しいでしょうが、前へ進むには地道に実施して行くしかない様に思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 東北被災地にTPP「復興特区」の罠 | トップページ | セシウム除去のポイント アンモニウムやカリウムはゼオライトの働きを阻害する »