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2011年12月12日 (月)

日本に放射能除去の専門家などいなかった。そして照一隅の研究者たち

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ある人が私にしたり顔で言うには、「××先生は農学で、放射能の専門家じゃないから・・・」。

さてさて、日本に原子炉や放射線防護の専門家は大勢います。しかし、農地に降り注いだ放射性物質の専門家などは果たしていたのでしょうか?

はっきり言いますが、3.11まではただの一人もいなかったはずです。いや、今だって、農地の除染と真っ正面から取り組んでいる研究者は一握りです。

なぜでしょうか?金にならないからです。

放射能除去剤やサプリを売りたいのならともかく、大学よって多少の違いはあるものの、多くの場合は農地の放射能除去研究にはわずかの研究費も出ない場合が多々あります。

ですから福島や茨城現地に来て、農民と共に汗をかく研究者の大部分は自腹です。乏しい研究費の中で、旧式の計測器に苦しみながら、被曝農家を支援したい一心で関わっています。

栄誉もありません。報道されることすら稀です。報酬は私たち農家の感謝の言葉と、野菜や米だけでした。しかし、それでも休日を返上してこの一握りの研究者たちは被曝現地を訪れました。

なんの参考文献もありませんでした。セシウムの挙動や放射能の移行率などの既存の知見はしょせんは実験室内部でのものでしかなく、農地の実態を調べれば調べるほど、そんな簡単なものではないと分かってきました。 

というのは、土壌内部の要因があまりに多かったからです。土質、土壌生物、微生物、腐植物質などの多くの変数が土中には存在したのです。

実験室においてそれらすべてのファクターを再現することは不可能であり、単純化された環境を仮定して研究しているだけものでした。 

そして天候や地形までもがその変数に加わるに至っては、無限の組み合わせが存在し、とうてい簡単な解決方法など絵空事だと分かりました 

そして驚くべきことには、「土」というミクロコスモス(小宇宙)の住民たちは、人間の思惑とはまったく無縁に自らの生活圏を清浄化していたのでした。

あるものは電気的にセシウムを吸着し、あるものは物理的に補足し、「土中の監獄」に捕獲していきました。

電気的にとか、物理的にというような科学的解釈は後でいいのです。まずは「土」の驚異的な浄化力に私たち人間は耳を澄ませる必要があるのです。

それが故に、福島のあるいは茨城の農地は驚くべき速度でセシウム測定値を下げていきました。定点観測データは測るたびに数値を下げ続けています。

このようなことを誰が予測し得たのでしょうか。放射線防護学者や原子炉工学の専門家が教えてくれましたか? 

専門家と目された放射線防護学のエリアは、人体に対する影響測定と防護であって農地という宇宙とは別次元でした。原子炉工学に至っては人体、自然環境に対する放射能の影響など眼中にすらありませんでした。

つまり、放射能除去の「専門家」などは日本にいなかったのです。いたとすれば、個々の専門分野の常識をいったん頭から追い出して、謙虚に福島の現実と向かい合った研究者のみでした。

私の好きな言葉に「照一隅」というものがありますが、まさにこの研究者たちに捧げられるべき言葉だと思います。 私はこのような研究者と協同できることを誇りに思います。

 

■写真 モカ太郎くんが小犬だった時。あああの頃は可愛かった。今はマッスル・モカと化して筋肉モリモリの元気なオンタンに成長。毎日死ぬ思いで散歩に連れていっています。

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