経団連会長の異常な愛情。またはなぜ原発を心配するのを止めて東電を愛するようになったか
昨日、「経済界総理」・経団連会長にして、住友化学会長である米倉弘昌氏の言動を調べていたところ芋づる式にいろいろなことが出てきました。
2010年10月、ちょうど福島第1原発事故の5か月前に、住友化学と東京電力、そして福島第1原発原子炉の設計会社であるGEの子会社GEヘルスケアの3社が合弁で、「日本メジフィジックス」社という非上場の会社を立ち上げています。
この合弁企業の設立目的は、体内セシウウム除去剤「ラディオガルダーゼ」の製造販売です。薬品自体は10年11月に認可を受けています。
この「ラジオガルダーゼ」はドイツの「ハイル」社で開発されたもので、全米に配布・備蓄されている、とされています。
「国際的には、米国において Strategic National Stockpile の制度に基づき国家備蓄が開始されているほか、世界保健機関(WHO) においても Essential Medicine の一つとして備蓄推奨のリストに上げられるなど、標準的な放射性セシウム体内除去剤として位置付けられています。」(同社プレスリリース 欄外参照)
三者合弁で、いかにもいかにもというメンツで構成されている合弁企業です。(欄外参照)
日本に政治的な圧力をかけてまで欠陥原発Mark.1を導入させたGE、、そしてそのボロ原発を耐用年数を超えて酷使し大事故を引き起こした東京電力の社長にして経団連副会長(当時)の清水正孝氏。
そして、経済界の不評を尻目に、企業向け電気料金値上げ容認を叫び、その上家庭用電気料金値上げまでを自ら求める経団連会長・米倉弘昌氏。
米倉経団連会長はこう言い放ちます。
「原発を再稼働をしないとコスト高は防げない」と強調。「企業だけにしわ寄せをするのではなく、民生についても幾分上げてもらいたい」と語り、家庭用の電気料金の値上げも必要との考えを示した。」(ブルームバーグ 12月22日))
この米倉氏の東京電力擁護、いや護持とまで言える過剰な東電支援の発言は際立っていました。
事故当初より、事実関係が明らかになる前から東電擁護発言を繰り返し、事故補償に対しては国の全額負担を要求してきました。(欄外参照)
これらの言動は、単なる財界のトップとしての社会的立場をわきまえた発言を超えた余りに非常識な東電擁護論として、各方面から顰蹙を買ったものでした。
米倉氏の発言で一貫しているのは、被曝した被災地に対してのひとこともなく、原因究明を求める客観性もなく、ただひたすらに東京電力擁護を繰り返し、その限りにおいて政府方針を批判し続けたことでした。
東電にすべての責任があるとしたい菅前首相と、政府に責任があるとする米倉会長の場外乱闘まで起きたのですから、なんともかともです。
片や自らの事故処理の指揮は正しい、原因は東電にのみあるとする前首相と、一方東電に一切の罪はない、すべてを国が補償せよ、という経団連会長が事故処理を難しくさせたことだけは確かでしょう。
私はこのような米倉氏の言動を見るにつけ、「財界トップというのは、国民感情を逆撫でしてまでかくも傘下企業を擁護するものなのか」、とやや呆れた気がしたことを覚えています。
東電清水社長が女房役の経団連副会長であるとしても、あまりに偏ったスタンスには、なにか妄執すら感じたものです。
これには裏がありました。事故の数年前から住友化学は大きなプロジェクトを開始していました。
ひとつが、前回に取り上げたモンサント社とグローバルパートナーシップを結んで、GMO(遺伝子組み替え)種子と除草剤を売りまくるというのが一点めです。
モンサント社は、今までの主力製品体系だった「ランドアップレディ」の主成分グリホサートの特許期限切れに伴い、その差別化戦略を住友化学の除草剤「セレクト」とのタイアップである「ランドアップレディ・プラス」にシフトしようと考えました。
住友化学にとってこのモンサント社-カーギル連合との大型提携により、既存の北米、インド、中南米を商圏に食い込める絶好のチャンスを得たわけです。
北米市場という最大市場のモンサント社のシェァは実に9割近くにも達します。しかも労せずしてモンサント社の種子とセットで販売できるのですから、こんなうまみのある話はないでしょう。
そしてこのモンサント社-住友化学の提携には、間違いなく裏協定が付属していました。
それが、かねてからモンサント社が鵜の目鷹の目で狙っていて果たせなかった日本市場への遺伝子組み替え種子の参入です。
その手段としての最終兵器・TPPです。
モンサント社があまたある除草剤メーカーから住友化成を選んだのは、米倉会長が「経済界総理」だったからもあったでしょう。ないと考える方が不自然です。
そしてモンサント社はTPPの旗を米倉会長に手渡して、「経済界の意思」としてTPP推進」をぶち上げさせたわけです。
まったく悪い時期に、悪い人物が経済界と政界の最高責任者として座っていたものです。
そしてもう一点は、GEの子会社GEヘルスケアが持ち込んだ放射能除去薬品「ラディオガルダーゼ」剤の製造販売です。
ここで住友化学が東電を引き込んだ理由は、東電を介して原発立地自治体にこの薬品を常備・備蓄させることを狙ったものだと思われます。
電気事業界最大手の東京電力艱難の原発立地地域での導入が進めば、次は中部、そして関西、九州などへと商圏を拡大していくことでしょう。
とうぜんのこととして東電はまったく懐が痛まない、全額国の税金を使ったボロイ商売です。
最大の不安要因たるな原発を作っておきながら、それに毎年巨額な国費を原発立地交付金として投入させ、あまつさえ事故時のための緊急備蓄薬品として自分の会社の薬剤を国に買わせる・・まぁなんともすごい商魂です。
まさにマッチポンプです。右手で火をつけ、火事だ!」と叫びながら左手で消す、というわけです。
原発が事故を起こさなくとも備蓄で儲け、いったん事故ともなればその後始末でまた儲ける、たいしたものです。
これで経団連米倉会長の東京電力と原発への「異常な愛情」がお分かりになったと思います。
■写真 雪のレンコン田んぼの早朝。雪を払いながら掘り出しています。壮絶です。
■本日のタイトルは私が好きなスタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情。またはなぜ心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」をパロっています。つまらんパロりですいません(笑)。
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■日本メジフィジックス株式会社の事業内容
http://www.jikurepo.com/company/r624210031
「放射性医薬品」の研究・開発・製造・販売を行い、国内シェアNo1を誇る製薬会社
会社概要・役員紹介
http://www.nmp.co.jp/company/about/index3.html
日本メジフィジックス
非上場
出資比率
住友化学株式会社 50%
GEヘルスケア 50%
取引銀行
株式会社三井住友銀行
住友信託銀行株式会社
■ 日本経済団体連合会
会長 米倉弘昌 住友化学会長
副会長 清水正孝 東京電力社長
■東電の電気料金値上げ、家庭用も求める 米倉経団連会長
米倉弘昌経団連会長は22日、経団連会館で記者会見し、東京電力が来年4月から事業者向けの電気料金の値上げを表明したことについて「燃料コストの高い火力発電に電力の安定供給を頼っている今の段階ではやむを得ない」と述べ、値上げを容認する姿勢を示した。
そのうえで「原発を再稼働をしないとコスト高は防げない」と強調。「企業だけにしわ寄せをするのではなく、民生についても幾分上げてもらいたい」と語り、家庭用の電気料金の値上げも必要との考えを示した。
電気料金値上げで空洞化が加速するとの見方については、今回の約20%の値上げで平均3円の値上げになるとの試算を示し「そのくらいならまだ我慢できる」と表明。「国内の生産拠点を守りながら海外進出をするためにも電力の安定供給は大事だ」とした。
(産経1月22日)
■日本初の放射性セシウム体内除去剤が認可(10年11月4日)
2010年11月4日
日本メジフィジックス株式会社
放射性セシウム体内除去剤「ラディオガルダーゼ®カプセル500mg」承認取得のお知らせ
〜体内汚染の軽減を効能・効果とする国際的標準薬剤の国内初導入〜
本剤は、開発者であり、また諸外国において製造供給実績のあるドイツのハイル(Heyl)社との提携により、弊社がわが国において本剤を輸入販売するもので、販売体制が整い次第発売する予定です。
放射性セシウムは、原子力関連施設における廃棄物などに含まれているために、災害時において被ばく原因となるリスクがあります。また、医療用(癌治療の放射性線源)や工業用(滅菌や測定)などに広範に使用されている放射性同位元素のひとつです。
放射性セシウムによる被ばくが発生した場合の体内汚染軽減のためには、出来るだけ短時間の内に本剤を経口投与することが望ましいことから、今後、国内各地域の緊急被ばく医療対応機関、災害拠点病院等での備蓄の推進が期待されます。
本剤は、国際的には、米国において Strategic National Stockpile の制度に基づき国家備蓄が開始されているほか、世界保健機関(WHO) においても Essential Medicine の一つとして備蓄推奨のリストに上げられるなど、標準的な放射性セシウム体内除去剤として位置付けられています。(太字引用者)
■体内セシウム除去剤「ラディオガルターゼ」製造承認認可(10年10月27日)
{日本メジフィジックス株式会社(本社:東京都江東区 代表取締役社長:三上信可)は、放射性セシウム(137Csなど)による体内汚染の軽減を効能・効果とする医薬品「ラディオガルダーゼ®カプセル500mg」(以下、「本剤」)について、10月27日付で製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。
■米倉経団連会長:東電の企業向け電力料金値上げは「やむを得ない」
12月22日(ブルームバーグ)
日本経団連の米倉弘昌会長は22日、東京電力が企業向け電力料金を来年4月から引き上げると発表したことについて、記者団に対し「今の段階ではやむを得ない」と述べた。
米倉会長は「民生料金も上げてもらって国民全体で支えていくことが必要だ」とし、電力供給システムを全体で支えていく必要性を指摘した。
■経団連会長、政府の対応を痛烈批判 東電の賠償問題で
日本経団連の米倉弘昌会長は2011年4月26日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の損害賠償問題をめぐる政府の対応について「責任をもって賠償しますと言うべきだ。腰が引けている」などと、痛烈に批判した。
原子力損害賠償法(原賠法)が定めた「異常に巨大な天災地変」の場合の免責規定を適用すべきとの考えを示したうえで、補償に関しては「原賠法を行政が曲げて解釈することは言語道断だ。法治国家にもとる行為で許されない」と指摘。国が責任を負うべきだと強調した。
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