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2012年1月17日 (火)

放射能新規制値はできたが、検査体制の裏打ちなき、言っただけ基準値だ!

001
ご承知のように食品の規制値から「暫定」が取れました。現在ヒアリングの真っ最中です。 

各種あった規制値は飲料水の10bqを除いて、50bqに統一されました。 小児規制値も設けられました。

結論から言えば、おおよそは妥当であるとは思いますが、いくつか問題点を上げます。 

まず、最大の問題点は新基準だけがあってそれを担保する放射線量測定器がまったく不足していることです 

現在全国にあるゲルマニウム半導体測定器はわずか百数十台です。 

この中には民間検査機関や流通所有のものも多くありますから、国が検査の主体であると位置づけている地方自治体には半分以下の50数台しかないと思われます。 

わが茨城県では各市町村に1台あるか、ないかといった状況でしょう。わが市では1台こっきりです。 

純農業地帯の私たちの市でこの有り様です。たった1台でどうして膨大な量の農産物を計測できるのでしょうか。 

農業サイドとしては随時抜き取りサンプリングをするためには、農業団体で1台は必要です。地域JAだと各部会で1台欲しいところでしょう。 

それは現状では政府が農業団体のゲルマニウム測定器の購入に予算を計上していない以上まったく不可能です。 

事実、震災後に17都県でされた検査数は月にわずか10件ていどにすぎません。自治体によってはただのひとつもされていない所すらあります。(ソース NHKニュース) 

こんな現状に甘んじて、基準値だけ下げようなどとはちゃんちゃら可笑しい。わが政府はいつもそうです。 

゛国民に聞こえのいいことだけを言って内容はないのです。今までさんざん消費者からゆるゆるの規制値と言われ続けてきたものだから、「世界でもっとも厳しい規制値を作りますよ。子供にも配慮した素度らしいものです」と言いたかったのでしょう。 

だが、それを測る計測器がない。もう笑うしかありません。だからわが政府はこう正しく言い換えるべきです。 

素晴らしい規制値を作りますよ。しかし測る計測器を増やす財源がないので、もし出たら農家に文句を言って下さい。国は知りません」。 

とりあえず、国は簡易計測器の使用を認めるそうです。そりゃそうだ。でなければ農業現場で測りようがありません。 

計らないで出荷すれば、一挙に300~500bqから50bqへと一挙に10分1になった新規制値に対応することが難しくなります。 

検体の数をこなそうと思うならば、JA福島のようにベルトコンベアー式で出荷全量を検査機に通過させる方法しかありません。 

しかし、これではスピードがある分の正確が担保されません。スクリーニングの宿命です。 

測定機器の急速な進歩で(震災以降の測定機器の進化はすごいものがありますが)、50bq以上の弾き出しは可能でしょうが、たとえば作物が朝採りで露に濡れていたり,土がかかった根野菜など諸条件の変化に対応できるか、実際やってみないと分かりません。 

一挙に10分の1にする以上、それに見合った検査体制が構築されないとすべての責任は出荷団体と農家にきます 

政府は「財源がないから」とかうだうだ決まり文句を並べて逃げていないで、各団体に1台を目指して予算を組むべきです。

第2に、この検査体制もろくにないくせに、「抜き打ち検査を強化する」と厚労省は考えているようです。馬鹿も休み休み言っていただきたい。

そもそもこの原子力事故は国と東電がいわば「犯人」でしょう。それが懐手して、すべてを私たち民間に押しつけて、まるで未登録農薬のポジティブリストよろしく「お上が抜き打ちでチェックする」はないもんです。

ポジティブリストにおいて検出されれば、100%違法農薬を使った農業者の側に非があります。しかし、農薬と放射性物質を同列にすること自体がナンセンスです。放射能は私たちが降らせものではないのですから

農地の放射線量計測もまともにやっていない国が、よくもこういう最後の責任だけ私たち農家に持ってくるものです。厚顔無恥。恥知らず。 

第3に、新規制値が出来た以上、急速に現行の暫定規制値は無意味化していくことでしょう。

流通や農業団体の立場では、今になって「〇〇から290bqでましたが、規制値以下ですので問題ありません」などと口が裂けても言えないはずです。そんな度胸がある団体があったら逆にお目にかかりたい。

となると、事実上新規制値は始まったと考えるべきです。しかし、猶予期間は二重基準、ダブルスタンダード状態となります。

ほんとうに政府って馬鹿じゃないですか。どうしてこんな長い猶予期間をとるのですか。やるなら、来年度から、これで決まりです。せいぜい数か月です。

いや、私たちなどただ今、今日からでもかまいません。こんな長い移行期間は農業で現場と流通現場を混乱させ、かえって農産物の信用を下落させます

問題だらけで、ただ作ってみました、というだけのアリバイ作りのような新規制値。これからどんどん問題が吹き出すことでしょう。

本気で国民の健康不安を解消させたいのなら、ただ新規制値を作っただけではダメであり、それに見合った出荷前後の検査体制を作らないと意味がないのです。

そのためにはトータルな農地計測-除染-農産物出荷前測定-出荷後測定など一連の大きな放射能防衛体制が必要なのです。これは農家の手に余ります。国が指針を作り、金を出汁、指導すべき事柄です。

■写真 里子に行ったミルクちゃん。元気でいるそうです。 

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

ベラルーシにおける食品規制値の推移(抜粋)
単位ベクレル/㎏

 

      86年     88年   92年   96年  99年

 

・水    370     18.5   18.5  18.5   10
・野菜  3700    740    185   100     40
・果物          同上                  70
・牛肉  3700    2960   600   600    500 
・パン  -        370   370   100     60
・豚肉・鶏肉 7400  1850  185    185     40
・きのこ(生) -      -   370    370    370
・きのこ(乾燥) -  11100 3700   3700   2500
・牛乳   370     370   111    111    100
幼児食品  -      1850                37

 

農水省放射能食品関係サイトhttp://www.maff.go.jp/noutiku_eikyo/mhlw4.html

食品の放射能規制:新基準、海外より厳しく 現行の値「緩い」は誤解 改定後はより子供に配慮

 毎日新聞12月19日 

食品に含まれる放射性物質の規制値について、厚生労働省は年内に新たな基準を設ける。日本の規制値は海外とどう異なるのか。規制値をつくる際の条件や基本的な考え方を、解説した。【小島正美】 

 Q 日本の暫定規制値は緩いのですか。 

 A 決して緩いわけではありません。いま問題になっている放射性セシウムの暫定規制値は、野菜や穀類などの食品で1キロあたり500ベクレルなのに対し、欧州連合(EU)は1250ベクレル、米国は1200ベクレル、国際機関のコーデックス委員会は1000ベクレルです。 

 Q でも、日本は子供に配慮していないのでは? 

 A 誤解です。暫定規制値は乳幼児への影響も考慮されています。日本は年間被ばく限度を5ミリシーベルトとし、五つの食品群に1ミリシーベルトを割り当て、各食品群で乳幼児がセシウムで汚染された食品を食べ続けても、内部被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下になるよう設定されています。たとえば乳製品の場合、乳児は1キロあたり270ベクレルの規制値でも1ミリシーベルト以下になりますが、実際はより安全になるように、200ベクレルとされています。 

 Q 新しい規制値はどうなるのですか。 

 A 年間被ばく限度が5ミリシーベルトではなく、1ミリシーベルトに決められます。その根拠として、小宮山洋子厚労相はコーデックス委員会の1ミリシーベルトを挙げています。規制値は間違いなく、いま以上に厳しくなります。 

 Q でも、コーデックスの一般食品の規制値は日本より高い。なぜですか。 

 A そこは大事なポイントです。汚染食品の割合をどう見積もるかが、違うのです。チェルノブイリ事故後に基準を作ったコーデックスは、食品の10%が汚染されているという仮定です。EUも同じ考え方です。米国は被ばく限度を年5ミリシーベルトとしながら、食品の30%が汚染されているとして1200ベクレルとしました。日本の暫定規制値は、汚染食品の割合を50%と仮定しています。新規制値作りにあたっては、厚労省が汚染割合をどう仮定するかで大きく変わります。

 Q 新たな規制値の特徴は? 

 A 規制対象の食品区分が▽飲料水▽牛乳▽一般食品▽乳児用食品の四つになります。被ばく限度の評価にあたっては、年齢層を「1歳未満」「1~6歳」「7~12歳」「13~18歳」「19歳以上」の五つに分け、その最も厳しい数値を全年齢に適用して新規制値とする方針です。さらに、乳児用食品は大人とは別の規制値を設けます。食品安全委員会の「子供はより影響を受けやすい」という答申に従ったものです。新規制値が今の5分の1~10分の1ほどになれば、世界でも相当に厳しい規制値となります。 

 Q チェルノブイリ事故にあったベラルーシの規制値は厳しいと聞いていますが……。 

 A 確かにパンや野菜の基準値は1キロあたり40ベクレルです。しかし、ベラルーシは事故のあった1年目(86年)は被ばく限度を年間100ミリシーベルトとし、92年に1ミリシーベルトに引き下げたのです。最初から厳しかったのではありません。 

============== 

 ◇暫定規制値の決まり方 

被                     1ミリシーベルト以内に収まる上限値

 

ば5          食品群         成人   幼児   乳児     最小値   規制値

 

くミ→1ミリシーベルト 飲料水        201  421  228     201 → 200 

限リ→1ミリシーベルト 牛乳・乳製品    1660  843  270     270 → 200 

度シ→1ミリシーベルト 野菜類        554 1686 1540     554 → 500 

 ー→1ミリシーベルト 穀類        1110 3830 2940    1110 → 500 

 ベ→1ミリシーベルト 肉・魚・卵・その他  664 4010 3234     664 → 500 ル

  *数値は1キロ当たりのベクレル数

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コメント

教育テレビで、煉瓦などで囲ってシンチレーションメーターを使えば簡易測定は十分可能とかやってましたが、どの程度の精度なのか気になります。

朝採りの泥付きの野菜ならどうなんだ?といった考察は、現場の方ならではですね。ああー、全くその通りですわ。

国や東電は逃げ続けます。裁判では「放出された放射性物質は無主の所有物」ですから(ヒデエ!)

昨日トップニュースになった被曝コンクリの話題でも、国には危険性が昨年中に報告されていたにも関わらず黙殺。
やっと避難してきて落ち着いた棲み家を手にした矢先に…住民の気持ちを思うとやりきれません。

正直、計画的避難地域指定前の4月のあの時点で砕石を出荷した業者は、震災復興の資材供給のために全力を尽くした結果でしょう。
なんだかその業者がボロ叩きにあいそうな雰囲気ですが、フォールアウトによる石の被曝なんて、そんな高線量になるとは誰も分からなかったのが実状でしょう。ブルーシートでも被せておけば防げた話かもしれませんが…、
国が遅れに遅れて曖昧な自主避難指定をしたことこそが罪です。砕石業者の作業員こそそれまでに大変な被曝リスクに曝されたはずです。
ちなみに、あのDash村のすぐ側ですね…。

12月の毎日新聞記事は私も読んでましたが、Q&Aで細かいところまで分かりやすく説明されていて良かったですね。

用水路復旧のU字溝からも高い線量とかやってましたが、放射性物質はコンクリに閉じ込められており、用水が通っただけならγ線の影響はほとんど無いでしょう。
なんだか農産物汚染の原因になるみたいに報道されてましたがねえ…。

ちょっと話は飛びますが、NHKは昨年末の教育ETV特集と一昨日のNスペで「海の汚染」も纏めていました。
極めて深刻かつ長期に渡りそうです。すぐにでも帰りたいという漁師さんのインタビュー聞くと、やりきれません。
こちら山形県でも漁師も含め、沢山の方々が避難して再開・除線を待っていてピリピリモード。
昨年末には福島から山形へ、突然の「みなし避難住宅の借り上げ中止要請」もありました。
そして、特に雪の多い米沢市では、今年は積雪量が多くて雪降ろしや雪掻きに四苦八苦してます。大家さんやボランティア組織が頑張ってはいますが、避難してきた方々には驚きウンザリしたことでしょう…。
業者頼むと高いので、県が一部補助を決めましたが。慣れない雪道運転すら危険。
そんな中、山形~福島無料運行のバスなどもNPOの主催と山形交通などの協力でやっております。


国と自治体の連携や、官邸・農水省・文科省・厚生労働省などといった国自体の連携すらまともに取れていない現実は、もう失笑ものですね。

また、そんな中で理研やJAXAやJAMSTECといった予算も「統合・削減」だと。
なんか間違いばかりですね。

放射線の拡散予測スピーディ情報も、3月14日に米軍には提供されていましたが、国内向けは9日遅れでした。無用な被ばくをさせてしまった・・・(今朝のニュース)
TPPもそうですが、我が国はアメリカの属国となってしまった感があります。っていうかもうなってるか?
国会議員も官僚も含めて現体制を、一旦全てぶち壊して、再度創り上げないとだめかも知れません。

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