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2012年1月 9日 (月)

BSEの最後の砦が破られようとしている

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BSE(牛海綿状脳症)の対策基準が引き下げになるようです。これは、日本農業新聞(1月7日)によれば 

「昨年12月厚労省は、BSE対策の見直しを表明し、米国産などの輸入牛肉の月齢を20カ月齢から30カ月齢に引き上げ、更に月齢制限撤廃にまで踏み込んだ諮問をした。」 

それだけにとどまらず、厚労省はもう一歩踏み込んで 

「感染原因である異常プリオンが溜まりやすい特定部位の規制まで緩めた。」 

日本は、ご承知のように月齢を問わない全頭検査体制を続けてきました。これには根拠があります。 

2001年9月にわが国にもBSEに感染したの牛が発見されて衝撃を与えました。この第1例は5歳のホルスタインの雌牛でした。 

この原因は乳牛に与えられる強化タンパク飼料である肉骨粉であることがつきとめられるまでそう長い時間は要しませんでした。英国産肉骨粉が、産地を転々と偽装しながらわが国に流入しており、それによる発症でした。 

農水省は肉骨粉の全面輸入と使用禁止を決定しました。ここで農水省が決定した検査方法はがすべての牛を月齢を問わず感染検査する全頭検査体制でした。 

この日本のとった検査方法は、EUの全頭ではなく「24か月、ないしは30月齢以上」という検査方法より一段と厳しく評価されるべきものでした。 

一方同時に、危険部位とされる牛の脳、脊椎、遠位回腸、扁桃腺といった特定部位を取り除くことも決められました。 

このような世界的に見ても高い水準の対策が功を奏して、市場に安心感が出始めた2003年秋に発生したのが2頭の2歳以下の若い牛からの発生でした。第8、9例です。

2歳以下、つまり「24か月以上の月齢」という基準をすり抜けるBSEが存在していたことになります。その上に、この2頭は第8例が01年10月、第9例は02年1月の生まれで、いずれも肉骨粉の使用禁止がなされてからの牛でした。 

これは防疫当局に衝撃をもたらしました。そりゃそうでしょう。英国産肉骨粉が原因であると断定して、それをマークして対策を立ててきたのに、それが原因とは思われない牛が続々と出始めたのですから! 

そして、同年12月末に、必ずいつか必ず出るであろうと世界中の関係者が噂していた米国のBSE発症がとうとう発見されました。米国の肉牛の飼育管理方法が世界有数のいいかげな存在であることは畜産業界では有名だったからです。 

しかも、この米国産の感染牛がややっこしいことにカナダ産であって、その同時期に移動された牛の行方の記録や検査記録がわからなかったのですから、言いわけがききません。

これもNAFTA(北米自由貿易協定) の産物でした。カナダ生まれでも、米国企業が飼育し、しかも飼育期間中に米国に移動して、そこで仕上げられて米国産牛として輸出されるなどと、内実はわけのわからないジャングル風呂状態だったのがバレました。

これにより、米国産牛肉は輸入停止がとられました。あたりまえです。

吉野屋に得意そうに掲げてあった米国牛肉輸出業組合(だったっけな)のエライさんの「米国産牛肉は世界一安全です」というポスターは剥がされ、吉野屋牛丼ファン冬の時代が始まったのです。 マスコミは最後の牛丼を食べる客の姿を報道していましたが、馬鹿か。

これと同時に、米国からのすさまじいまでの政治的圧力がかかり始めます。 

まず2004年7月、内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会は「感染を検出できない若年牛を検査対象からはずしても、ヒトへの健康リスクには影響しない」という諮問を発表しました。これが、全頭検査体制の検査対象を「月齢20カ月以上」とした線引きの始まりでした。 

これが単なる科学的な諮問ではなく、米国産牛肉の全面禁輸荷対して「せめても20月齢以上の牛を輸出させろ」という米国の圧力があったことは明白です。 

政府は、第8例、9例のような20月齢以下の若牛から発症している事実に目を閉ざして、外圧に屈したのです。科学が政治の恣意に膝を屈するという悪例でした。

これが米国のお家芸である、「下方への協調」(Downward Harmonization)です。米国の低い水準に輸出相手国のほうが合わせろ、という無理無体です。それを美しく表現するとダウンワード・ハーモニゼーショとなります。 

「協調」とは強制の言い換えであり、強制は米国の勝手のことです。高きが低きと「協調」する、これこそがグローバリズムです。 

こうして、日米両政府の専門家・実務者会議は「全頭検査体制には限界がある」として若牛の検査場外を決定しました。 

しかし、検査には手間こそかかりますがエライザテストの1件あたりのコストは2500円程度にすぎず、牛肉100グラムで1円ていどの上昇にすぎないのです。しかも税金でまかなわれており消費者に転化されてはいません。 

現在日本ではこの検査費用に30億円を投じていますが、これは単に感染牛を見つけ出すためのものではなく、生育中の牛まで含めた国産牛の安全性の担保となっています。 

そして今年。TPP前夜。この最後の砦とでもいうべき20月月齢以上の検査体制が突破されようとしています。 

日本の消費者もなめられたものです。日本の科学者もなめられたものです。日本の畜産家もなめられたものです。

「食の安全」が、その時の為政者の勝手な都合に左右されることほど危険なことはないのに、それを易々と認めてしまうとは。 

もうTPPは始まっています。TPP参加交渉を名目にして、国民の目に触れない密室で、討議内容も国民に知らせずに密約が積み重ねられていきます。そして国民がそれを知った時には、国家間協定として国内法を超越するのです。 

これがTPPというバケモノです。

■写真  雪の朝。去年のものです。どこの雪国といった風景ですが、わが家の近くです(笑)。

■体調最悪の正月も終わり、おかげさまで少し元気がでてきました。酒を飲まないから元気がないのだという説もあり(私が流しています)、今夜あたり飲んでみようかな。

 

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コメント

エライザテストのコストの話は全く知りませんでした(汗)
安いもんですね。

30ヶ月齢未満だったのを、明確な根拠もなく最近のアメリカでのBSE発生率の低さだけで、30ヶ月以上も許可なんてまるで韓国FTA追随みたいなバカをやるのか?程度に考えてました。
散々ザルだと言ってきた成田の税関でも、過去に何度もいわゆる「危険部位」混入が見つかってます。目視発見した職員さん見事でした。

問題は『これで食の安心が担保されるのか?』の一点につきます。
異常プリオンとクロイツフェルト・ヤコブ病の関係、これは極めて重大であり、だからこそかつての日本政府は「全頭検査」に踏み切りました。
今回の決定は、これまでの対策と努力を無為にしかねません。

これでいいのか?

吉野屋の場合、味の追求で譲れないから使用する牛肉部位の都合上、大量安定供給が可能なのはアメリカ産だけだからとしておりましたが…正直言い訳臭い。
競合大手は豪州産などで対応しましたから。


昨年は震災からの原発事故由来の稲藁飼料による、国産牛肉のセシウム汚染パニックが発生してしまいましたが、身近な人に食べさせる物としてはBSEのほうが遥かに怖いです。
発症した場合の恐ろしさを考えたら…一時セシウム牛肉を食べる癌リスクより遥かに恐怖です。
しかも、輸入牛肉に対しては政治的に遥かにブロックが簡単なはずなのに。
こんなことでいいのか?

安い農産物が手に入ること自体には否定しませんが、私は無秩序なグローバリゼーションとも言えるTPPには断固反対です!

BSEの基準緩和は、財源確保の側面もあります。
輸入関税をALIC(農畜産業振興機構)にて管理し、その財源を農水省の酪農畜産事業に使用する仕組みになっています。
アメリカでBSEが発生し輸入禁止となった時は、財源確保の為に輸入したいが、国民感情やリスクを考慮して止む無く輸入禁止にした・・と言うのが現状です。
国にとっては「痛し痒し」の措置だったと思います。
それまでALICに保留していた財源のほとんどを、BSE発生時の対応に支出してしまいましたから、その後何か対策をしたくても先立つものが無い・・・と言う状況がしばらく続いたと記憶しています。
アメリカの輸入攻勢はTPP含めて当然ありますが、陰では財源確保がしたい・・と言う本音もあるのかも知れません。
あくまでも推測ですが・・・

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001y7bk-att/2r9852000001y7fl.pdf

日本が、OIEステータスの無視できるリスクの国(2013年認証予定)から管理されたリスクの国へのランクダウンですよね。
そりゃ、米国は、何でも世界一のはずの世界覇権統治主義国ですから、オーストラリアやヨーロッパより実質管理されている日本方式が、もっと厳しくなれば、米国は、優良可で評価すれば、可ですから、TPPに加入する=日本の安全レベルを可まで、落とすってことですね。

多分、これでは、BSE問題だけでなく、OIE基準も無視して、牛、豚、鶏も全部、米国基準にするってことですよね。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001y0vz.html

厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会伝達性海綿状脳症対策部会の12月諮問における参考資料について

管理人様は、ご存知だと思いますが、こちらのブログを読まれている方で、パブリックコメントを出されるときの、ご参考にしてくださいませ。

実に面白いね。農家のホコリ君よ。

現在の放射性物質の検査体制がユルユルの中、
毒入り食品を撒くような行為を「農家の誇り」とやらで
正当化した人間がBSEの検査基準の緩和にはイチャモンを付けるのかね?

まったくもって
農家のホコリ君はどこまででも都合の良いダブスタ君であることよ。

毒撒きの正当化も中島正先生(笑)から教わったの?


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