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2012年1月13日 (金)

日本経済の業病・デフレ第2回  凍死寸前の患者に10キロマラソンを強制する愚

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あまり経済問題を書いてこなかった私がデフレについて書こうと思いたったのは、どう考えても「今やるべきことじゃないだろう」ということが続いたからです。 

ひとつは、大震災の復興がまったく進まない中で、被災地や放射禍にあった地域まで等しくかける消費税増税がまずひとつ。 

次に、世界で最悪のデフレ不況のドツボにあえいでいるわが国が間違いなく安い輸入品攻勢を受けることになるであろうTPPを「今」やればどういうことになるのか、が二点目。 

そして、デフレ不況の真っ只中の「今」が、「税と福祉の一体改革」などという増税路線をやる時期として適切なのかどうなのか、が3点目にありました。 

このテーマは門外漢な私には荷に余るのは見え見えなのですが、こうも私たちの暮らしや、生産に関わることの障害物としてデフレが登場してくれば考えないわけにはいかなくなりました。 

さて私は、今の日本はデフレ恐慌のガケ淵に立っていると思っています。政府がTPPや増税といった「今とるべきではない政策」を強行すれば、このデフレ不況は本格的な恐慌へと変わり、あと数十年の長きに渡ってわが国は立ち直る機会を逸すると考えています。 

というのは現在のデフレ不況は国際経済と連動しており、世界恐慌の前触れの様相を呈してきているからです。 

世界はかつて1929年に世界史に刻まれる巨大な恐慌を経験しています。 

その時の経済もまた、大きな需要の不足によりました。そうです、あの大恐慌もまたデフレ恐慌だったのです。Photo

上の図をご覧ください。この100年の米国の実質成長率とインフレ率の相関図ですが、大きな景気の底が3カ所あります。これが恐慌期です。 

まず初めの第1次世界大戦直後の小恐慌は、戦時経済の過剰生産による膨大なモノのダブつきに対して、消費需要が圧倒的に不足したことにより起きました。第2次大戦直後の小恐慌も同じです。 

そして1929年から始まり大戦前夜まで続くことになる大恐慌もまたモノ余り恐慌だったことは、インフレ率がマイナス14%まで大きく落ち込んでいることを見ればお分かりになるでしょう。 

この大恐慌はルーズベルトのダム、道路の建設などのインフラに対する大規模公共投資により息をつきましたが、本当の恐慌からの回復は大戦による巨大軍需の出現まで待たねばならなかったほど深刻なものでした。  

別な言い方をすれば、世界規模のデフレ恐慌は、戦争といった大消費がないと解消されなかったとも言えます。 現代は過去の大戦前夜とよく比較されるのはこのような時代背景があるからです。

一方、インフレ恐慌もあります。図の0%から上のプラスのインフレ率をご覧ください。第2次世界大戦以降はこのインフレ恐慌タイプです。 

1973年のOAPECによる禁輸によるオイルショックは、原油の供給不足によるモノ不足による恐慌でした。

よりにもよって私が学校を出た年なのであの時代はよく覚えています。就職口なんぞまるでなかったですね。トイレットペーパーが日本から消えました。 

それはともかく、インフレ恐慌は立ち直りも早いのが特徴です。オイルショックの場合は中東戦争がらみの原油不足が原因だと特定できましたから、第4次中東戦争の終了と共に一時はマイナス12%をつけた日本の経済成長率も回復していきます。 

もう一回1979年のイラン革命でも同じパターンのインフレ恐慌が起きました。 

そして現在のリーマンショックとEU経済危機以降やって来るかもしれない恐慌は、モノ過剰-需要不足によるデフレ恐慌です。 

それは昨日掲載したこの10年の消費者物価指数が一貫してマイナスであることを見ればお分かりになると思います。

経済成長がプラスになるには、需要と供給が同時に成長しなければなりません。

インフレ時はどんどん物価が上昇していきますから、「今買っておかないと大変だ」という心理が消費者に生まれるのですが、デフレ期は真逆で、「もうちょっと待てばもっと安くなるんだから、今買わないでおこう」という心理が支配します。 

このようなデフレ期にいくら子供手当てだ、農家戸別補償だなどと税金をバラ撒いても消費者は「今買う必要がない」と思っているのですから、貯蓄に回してしまって景気はまったくよくなりません。

私たちは民主党のバラ撒き型景気対策がまったくダメだったのを目撃しました。

デフレはモノを作っても売れない、あるいは安くなければ売れないという「低体温症」の時期ですから需要が増大しない限りぜったいに解決しません。

需要が回復すればそれに連れて経済の供給能力がフルに利用されていきます。昨日のブフレ・スパイラルと逆な景気回復のスパイラルが生まれます。

消費者が財布のヒモを緩める⇒
      モノが売れるようになる⇒
           企業の売り上げが伸びる⇒
               国民全体の所得が増える⇒
                    物価が緩やかに上昇する⇒
                          更に企業の売り上げが伸びる⇒
                                  更に所得と就業が伸びる⇒
初めに戻る・・・

野田政権は、今までの役にたたないバラ撒き政策は止めて今度は正反対の方向に走りました。凍死寸前の低体温症の患者をベッドから叩き出してこう叫んでいます。

「10%増税マラソンで身体を鍛えてこい!外国から安い輸入品を入れて国際競争力をつげてやるゾ。これがオレの改革だ!」

野田首相を洗脳したのは財務省だとわかっているのですが、経理が一番威張っている会社にロクな会社はありません。ましてこの大不況の時に締めるだけしか知らない経理がいる会社なんて・・・。

プリーズ・プリーズ・プリーズ・ギブアップ、プライムミニスター・ノダ。

■写真 暗いデフレ期には花などもいいかと。 

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TPP」カテゴリの記事

コメント

昨日の北海道さんのお話のように、景気や福祉の先行きが不安になれば消費者は財布の紐を閉めます。
当然デフレが進みます。
私も低所得者ですので、以前も書きましたがそりゃあ安い牛丼は嬉しい。
たが、いつも「これではいかんだろ?自分どうこうでなく、経済として」と思います。
1つのヒントは、大手の牛丼チェーンのメインの値段を下げたり、キャンペーン張ったりしても、オプションの玉子は変わらんですね。また、各店手法は違いながら新メニューでの付加価値創出に躍起になってます。

20~30代前半の若いのに話を聞くと「年金?払うだけ馬鹿馬鹿しい」と言うのが圧倒的に多い。

デフレ脱却の手段として、一宮崎人さんがおっしゃるように「ジャンジャン円を刷ればいい」ってのも有りです。「インフレ目標」ってやつで、もしやるなら常時細心の注意を払う必要があります。


まあ、全くの参考外ながらあれだけのハイパーインフレに経済混乱と国家荒廃に陥ったジンバブエでさえ、一昨年の最後のデノミ後には、ややデフレまで持っていったくらいですから、国が舵取りを巧みにやれればなんとかなるんじゃね?とも思います。
wikiのジンバブエドルレートのジェットコースターは劇的過ぎて笑っちゃうほどです。

まあ、問題は日本の経済規模は大変大きいので、まかり間違うと世界的影響が大変なことになりそうですが。

ルーズベルトのケインズ政策は正しかったのですが、そのあとに景気回復の途中で増税をして景気熱を冷ましてしまったことが失敗です。これと同じことを橋元政権でやってものの見事にデフレ突入。

TPPも不味いですが増税も不味い。まぁ、現状の野田政権を見てると与党、野党の賛成も得られないのでなにもできそうにないですが。選挙が近そうです。

継続するデフレと対ドル対ユーロの超円高で、益々デフレ加速です。その上に増税??高齢化時代突入ですから、年金や医療を考えたら増税も止む無し・・とは思いますが、打ち出す時期の問題だと思います。
お年寄りはお金を持っている・・・と言っても全ての老人が裕福で悠々自適な生活をしている訳ではありません。今回の被災者や避難者を含めて、全ての国民に等しく負担をさせる消費税に関しては、反対と言うより進め方に疑問を感じています。
与野党とも考え方を示した上で、総選挙で決着を図る事が必要では無いでしょうか?
投票の結果で、その民意を反映した形での増税なり負担増を行うのが筋だと思っています。
内閣改造を一部行ったようですが、ドジョウは少なくてもウナギにはなりませんね!!形は似ていますが・・・

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