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住友化学会長・経団連会長・米倉氏のグローバルな企みとは

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先日の自民党大会で、経団連の米倉昌弘会長が「TPP推進」とぶち上げたところ、手厳しい罵倒のヤジを受けました。 

ヤジを最初に発したのは山田たかお氏だったことが、当人のカミングアウトによってわかっています。 (欄外参照)

さて、その米倉会長ですが、ご承知のように財閥系としては初めて「財界総理」となった男です。出身は住友化学です。 

氏が率いる経団連は、TPP、増税推進、東電擁護路線で民主党政権と二人三脚を演じています。この方針については、財界内部でも異論が相当にあるようです。 

それはさておき、この「財界総理」率いる住友化学が2年前からめだった動きをふたつしています。

ひとつは、10年10月に、米国モンサント社と遺伝子組み替え製品において強い提携関係に入ったことです。 

そしてもうひとつは同じく10年11月に、米国GEと東電と共同で、「日本メジフィジックス株式会社」というセシウム除去剤の合弁会社を立ち上げました 

この日本メジフィジックス社は、会長に住友化成の米倉氏、副会長に当時東電社長だった清水氏という大変に分かりやすい布陣です 

まず、モンサント社との大型提携ですが、この提携は大きな柱があります。 

まず、住友化学が保有していた除草剤製品「セレクト」を、モンサントUSAの「ランドアップレディ・システム」の中に組み込んだ新体系の「ランドアップレディ・プラス」を作るとしています。 

「雑草防除体系である ‘Roundup Ready system’ を農業分野に対して従来から推奨しておりましたが、 2011年以降は米国内において、住友化学・ベーラントUSAの除草剤ラインナップを 雑草防除体系に組み込み’Roundup Ready Plus’として推奨することとなります。」(提携公表文 欄外参照) 

除草剤ランドアップは、この製品にだけに除草剤耐性を持つ遺伝子組み替え種子(GMO) 「ランドアップ・レディ」をセットで販売しています。 

セットでということは、モンサント社のGMO種子を使わなければ、ランドアップ除草剤耐性や害虫耐性が効かないということです。 

このセット販売により、GMO種子は短期間で米国穀物生産を制圧してしまいました。いまやGMOフリーは極小派にすぎません。 

そして遺伝子組み替え技術により、モンサント社の2005年の売上高62億ドルがわずか3年後の2008年には倍の110億ドルに達しました。

また、モンサント社のGMO種子は巨大アグリビジネスのカーギルと組むことで国際シェアの実に90%を締めるモンスター企業となりました。

まさにモンサント社にとって、ベトナム戦争での人類史上に刻まれる悪行のひとつである枯葉剤4800万リットルにも負けないえぐい商売だったことでしょう。(欄外参照) 

しかしこのモンスター企業にも悩みがありました。それは主力商品のであるランドアップの主成分であるグリホサートの特許有効期限が切れてしまっていることでした。 

つまり、モンサント社はGMO種子は独占できても、もう片手のランドアップは別の会社の製品でもいいことになってしまうのです。

特許期限切れで安い追随商品がゴマンと出てきます。それに押されて、「ランドアップは高くて使えない。安い別なやつでもランドアップレディには有効だそうだ」という声が強くなってきてしまったわけです。 

これに困ったモンサント社が打った手のひとつが、米国市場でそれなりの規模をもつ「住友化学・ベンラートUSA」の除草剤製品である「セレクト」に対応する遺伝子組み替え種子の「ランドアップレディ・プラス」を作ることでした。

そして同時に、住友化学とは米国市場のみならず世界市場でも提携関係を作るとしています。

住友化学とモンサント社は、さらに、ブラジル、アルゼンチンなど南米各国での 協力関係構築に向けても協議を進めることに合意しています」(同上 )

近年世界有数の綿花生産国のインドにも進出し、今や世界でこのモンサント世界制覇に待ったをかけているのはEUと日本などの孤塁を残すのみとなっています。

このGMO種子の世界支配が完了すれば(事実そうなりかかっているわけですが)、種子と農薬という農業の必須資材はモンサント社とカーギルによって事実上握られることになってしまいます。

これが日本農業のみならず、世界農業にどのような結果をもたらすのか、い考えるまでもないことです。わずか一社、ないしはそれと強い提携関係にある数社が世界農業を裏で支配するのです。

このモンサント社と手を握った数社のうちのひとつが住友化学です。住友化学が描いている戦略は、モンサント社やカーギルと手を握って世界の農業市場支配の一翼を担うことによる膨大なシェアの独占です。

そのためにGMO種子を「頑迷に」拒んでいるわが国を、「TPPは平成の開国」などいう虚ろな掛け声でこじ開ける必要があります。

まさに国を売る所業と言えます。わが国の農業を国際競争力がないと不当に貶め、TPPでGMO導入の道を拓き、そして合わせて財界型農業改革を断行する、これが米倉経団連会長・住友化学会長の戦略です。

TPPで利益を上げることができる経済分野はわが国のごく一部にすぎません。

よくTPPがらみで引き合いに出される自動車産業は今や7割弱が現地生産ですし、家電製品などの対米輸出は対GDP比率で微々たるものです。

アパレルなどはとっくに外国生産が完了しています。流通も再度ウォールマートに上がってこられて安値競争が激化することを望んでいません。

このように、むしろ経団連傘下の企業の多くはTPPには消極的だと思われます。

しかし、唯一例外的にTPPを絶対にやらねばならない一握りの企業がありました。それが米倉会長の住友化学です。

モンサント社やカーギルのグローバルパートナーとなった住友化学に「母国」はありません。その母国がない社の会長が経済界総理とは一体どうしたことでしょうか。

■写真 雪の朝の連作です。雪などもう見たくないやという地方の皆様にはもうしわけないのですが、関東の人間にとっては新鮮です。

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経団連会長ヤジ事件

山田議員によればこう言ったそうです。
「私は、「米倉会長、何をおっしゃっているのですか、TPO(時と場所と場合)をわきまえて下さいよ」と申し上げました。」
(山田としおメールマガジン)
 

いや、まったく結構です。パチパチ。私でしたら、「お前のそのガンモドキ面を、豆腐の角にぶつけてしまえ!」くらい言いますからね。 

TPP護衛艦隊と化した大手媒体は、「来賓に失礼な」的な報道をしていましたが、唯一わが日本農業新聞だけは、「ざぶとん一枚」というトーンで報道していましたっけね。 

山田議員以外にもかなりの数の議員が山田議員に続いたようで、これで自民党も「財界の狗」から、やっと「闘う野党」らしくなってきました(笑)。 

結構なことです。今の野田民主党と谷垣自民党には政策上の違いはゼロですから。これでは有権者はどちらに入れるか鉛筆を倒して決めるしかなくなります。  

<農作物保護(雑草防除)分野におけるモンサント社との長期的協力関係について
2010年10月20日
住友化学株式会社>

住友化学、および同社の米国での農薬開発・販売子会社であるベーラントUSA社は、 このほど、米国の大手種子・バイオ・化学メーカーであるモンサント社との間で、 農作物保護(雑草防除)分野における長期的な協力関係の構築について合意し、 契約を締結いたしました。

本件は、モンサント社の本社があるミズーリ州セントルイスにおいて、 現地時間の10月19日(火)9時(日本時間:19日23時)に、3社の連名による添付文書の内容を発表しております。
モンサント社は世界的な除草剤ブランドである ’Roundup®’ と、 同剤への耐性を付与したさまざまな遺伝子組み換え作物である ‘Roundup Ready’ の種子を組み合わせた効果的、 経済的かつ簡便な雑草防除体系である ‘Roundup Ready system’ を農業分野に対して従来から推奨しておりましたが、 2011年以降は米国内において、住友化学・ベーラントUSAの除草剤ラインナップを 雑草防除体系に組み込み’Roundup Ready Plus’として推奨することとなります。

具体的には、大豆、綿、テンサイを栽培する農家がこの雑草防除体系で推奨される種子と 除草剤(住友化学の製品を含む)の使用を選択した場合、 農家に対してモンサント社から様々な製品サポートが提供されます。

今回の協力関係構築によって、住友化学のフルミオキサジン(Flumioxazin)を 有効成分に含む除草剤であるValor®SX、Valor XLT、Gangster®、Fierce™、 およびクレトジムlethodim)を有効成分とするSelect®といった一連の製品群は、 モンサント社の雑草防除体系に長期的に組み込まれ、 ’Roundup®’ の有効成分であるグリホサートGlyphosate)に対する抵抗性を持った 雑草の防除を含む様々な雑草問題への農家の要請に応えることができるようになります

住友化学では、これまでグリホサートに対する抵抗性を有する雑草への対策に有効な除草剤の開発と販売を進め、 子会社のベーラントUSAを通じて米国で高い使用実績を獲得しておりますが、 今回の提携により当社の農薬ビジネスが米国内において更なる発展をとげることを大いに期待しております。

 また、住友化学とモンサント社は、さらに、ブラジル、アルゼンチンなど南米各国での 協力関係構築に向けても協議を進めることに合意しています。
以 上
*添付資料 3社連名リリース(英文)
‘ MONSANTO, SUMITOMO CHEMICAL AND VALENT ANNOUNCE LONG-TERM
ゴチック引用者
 

YouTube 遺伝子組み換えとモンサント
http://www.youtube.com/watch?v=groT_MLZFB8&feature=related 

ベトナム戦争枯葉剤
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%AF%E8%91%89%E5%89%A4 

枯葉剤製造メーカー
ダウ・ケミカル(Dow Chemical)
モンサント(Dow Chemical)
Valero Energy Corporation  

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コメント

農業新聞ナイス!

私は、学生時代に種子はすでに穀物メジャーのF1品種に席巻されつつある。当時はバイテクブームで、この流れで遺伝子組み換えと農薬のセット販売など許してはならない…といったことを教えられました。
あれから20年余、現実の出来事になってしまいました。残念に思うとともに空恐ろしさを感じます。
そして当時からアメリカの圧力で進められてきた経済の「構造改革」、その手先のような経団連会長…うわぁ、いやだなあ。気持ち悪い!
ってのが本音です。

投稿: 山形 | 2012年1月30日 (月) 13時19分

山形様。私がこの記事を調べていて驚いたのは、単に日本国内市場へのGMOの導入だけではなく、住友化学がモンサントと世界規模でのGMOグローバル・パートナーとなっていることです。

どうしても私たち農業者は国内に対する目に限定されがちですが、巨大企業は互いに提携を重ねながらグローバルに攻めてきていることにもっと注意を払うべきでしょう。
そして彼らには「国籍」がないことも。

投稿: 管理人 | 2012年1月30日 (月) 14時07分

あの顔の下に「したたか」な顔も併せ持ち、利益(株主の利益)を追求する「企業」という「化け物」の存在を改めて感じました。
TPP加入となっても、自動車を筆頭に家電なども、それほど利益が無いように思うのですが、経団連会長という立場は、世界のトヨタでも日産でも敵わないのでしょうか?
大企業ですから、格段に情報もあるでしょうし、情勢分析能力だって桁違いだと思うのですが、一般的に「農業界・医療界対経済団体」との構図を描きだしているのは、大手マスコミの絵なのでしょうか?それともTPPには我々の知らない、経済界にメリットをもたらす何かがあるのでしょうか?

仮にTPP参加となった場合、大手マスコミといえど、その渦に巻き込まれ(呑まれ)てしまうのではないかと危惧していますが、マスコミ業界には関係無い事と思っているのか?何か戦略を持っているのか?
等々考え出したらきりが無くなってしまいます。

投稿: 北海道 | 2012年1月30日 (月) 15時24分

管理人様。

ああ、そんなレベルでしたか…私も絶えず頭の中のデータのアップデートが必要ですね。思い知らされることです。

モンサント…枯葉剤メーカーだとは認識してましたが、悪の象徴と思っていたカーギルと結び付いて住友もグループ連携か…

現況と近い将来が心配であり、遠い将来はどうなってしまうんでしょう。

投稿: 山形 | 2012年1月30日 (月) 16時04分

久しぶりです。

子供の頃、近所に三菱モンサントの工場がありました。当時その工場からの廃液が近くの川に流され、それが原因で背骨が曲がったフナ、雑魚が獲れ新聞記事にもなりました。そんな中、その川で近所の子供達とザリガニ獲りをし、それを塩茹でにしてさんざん食べました。それから40数年現在にいたるも元気です。

今回の記事の内容については
 超知ライブラリー(徳間書店)
  ウィリアム・イングドール著
   ロックフェラーの完全支配 アグリスーティカル(食糧・医薬)編
 に詳しく書かれています。

同著者の本が同書店より他に3冊出されていますので、ナオミ・クライン著ショックドクトリンと併せて読まれることをお勧めいたします。

この10年で世界の種苗(種子)業界は、かつての化学(農薬)メーカーに買収され寡占化が進みました。そんな状況の中、遺伝子組み換え種子(除草剤耐性)が世界中にばら撒かれました。自分の子供、孫の代にはどんな世界になっているのか・・・・

投稿: 下請です | 2012年1月30日 (月) 21時25分

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