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2012年2月 9日 (木)

被災地瓦礫搬入反対運動の矛盾とは

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被災地から神奈川県への瓦礫搬入について黒岩知事が住民に理解を求めたところ、怒号を浴びて説明会すら満足に開く事ができませんでした。 

テレビ映像を見ると、何人かの反対派市民が聞く耳をもたぬとばかりに一方的に行政をつるし上げている様が見られました。 

正直に言って、あのような人たちが「脱原発」を唱えているのだとしたら、私は一緒になにかをすることはできないですね。 

私には、これは科学性を欠いた「脱原発運動」に名を借りた地域エゴにであると思います。一体なにに怯えているのでしょうか。 

宮古市の瓦礫が放射能を拡散させるというのはナンセンスな言いがかりです。彼らの反対運動の主張は、「放射能を全国に拡散させるな」というものです。http://akitacity.web.fc2.com/link.html 

被災地で今もっとも深刻なことは、瓦礫処分がいっかな進まないことだということを百も承知でこんな「反対運動」をやっているのでしょうか。 

瓦礫が津波で壊滅した町を新たに復興する上で最大の障害になっており、1年たった今なお未だ着工すらできていない地域が多いことの原因だと知ってやっているのでしょうか。

この人たちは被災地の復興を、真正面から妨害しているのです。 

同じ時期に国は、双葉町に恒久的な放射能中間処理施設を作ることを発表しました。双葉町町長は、「これが法の下の平等か」と嘆きました。 

被災地の瓦礫はいっさい搬出させない、しかし、放射能汚染された廃棄物はどんどん搬入する施設を作る・・・。

人間を馬鹿にしてはいませんか。被災地を踏みにじるのはいいかげんにしなさい。 

さて、宮古市は神奈川の茅ヶ崎市とほぼ同等の距離にあります。 

福島第一原発からの距離比較
宮古市    ・・・260km
横浜市    ・・・253km
川崎市    ・・・242km
相模原市   ・・・254km
横須賀市   ・・・267km
 

被曝線量は、外部被曝、つまり環境放射線量と、内部被曝が積算されたものです。この人たちは、自分の住む町の外部被曝線量を見たことがあるのでしょうか。 

2012年1月28日の空間放射線量率の最大値
宮古市     ・・・ 0.052マイクロシーベルト/時
茅ヶ崎市    ・・・ 0.047マイクロシーベルト/時

ほぼ一緒じゃないですか。宮古市が特に危険でもなんでもありません。
 

次に内部被曝を恐れて神奈川に搬入させないと叫んでいるわけですが、かくいう神奈川は生ゴミをの処理を他県に移動しようとしています。

やがては、今満タンになりつつある下水道の汚泥も自分の県の処理施設で処理しきれずに、他県に搬出しようとしています。 

下水道汚泥は都市部の放射性物質の最終蓄積場所です。東京や神奈川の処理施設で高い線量が検出されたことはご承知のとおりです。http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1105310059/

もしここで反対派の人たちがいかなる線量であろうとも搬入を許さないと主張するのならば、とうぜんのこととして神奈川の下水道汚泥の搬出も他県によって阻止されることでしょう。 

因果は巡る水車です。宮古の瓦礫をその放射線量もろくに計測しないうちから、まず拒否しようとする。

その理由に、「いかに低線量であろうとも危険だ」というゼロリスクの論理を持ってくれば、やがては自分に跳ね返って、自分の県の下水処理施設が稼働できなくなります。

ここに、相模川流域下水道右岸処理場の汚泥の焼却灰の放射線量のデータがあります。宮古市瓦礫とは比較にならない高線量です。 

神奈川下水道汚泥放射線量(相模川流域右岸処理場・2012年1月16日)                                      ・・・・・1024bq/kg 

千ベクレル超の下水道汚泥をやがて県外に搬出せねばならない地域の住民が、その10分の1以下の瓦礫の搬入を断固阻止するという笑えない構図です。 

問題は「いかなる低線量でも反対」と立ててしまう非現実性にあります。このような硬直したオール・オア・ナッシング論を言い出すから、議論が膠着してしまうのです。 

今回、神奈川県が受け入れを表明したのは100ベクレル以下の、分類上は通常ゴミです。100ベクレルというのは、瓦礫を食べる人はいないでしょうが、食品の規制値(4月発効)でもあります。 

食品規制値以下なのに搬入拒否するならば、一切の食品は他県から持ち込めないことになります。この人たちは、神奈川県を自給自足にして、瓦礫はおろか食料も持ち込ませないという運動でもするつもりなのでしょうか(半分冗談です)。

ところで、既に東京都は被災地からの瓦礫の搬入を始めており、現実に被災地瓦礫の放射線量のデータも出始めています。 

東京都の被災地瓦礫の放射線量測定値
❶都内のゴミと完全に分別された状態で、確実に被災地瓦礫だけの状態で処理された廃棄物の放射線量                    ・・・・検出限界以下(40bq以下)
❷一つの処理ラインで、時間帯を分けて都内のゴミと被災地瓦礫を流した場合(少量の都内のゴミが混ざった可能性がある)         ・・・・・60bq~90bq/㎏
❸都内のゴミと被災地瓦礫を同時に処理した場合・・・・111bq
 

これをみればわかるように、被災地瓦礫単独での処理の放射線量は、都内のゴミ処理単独の放射線量の2分の1以下です。 

被災地瓦礫に反対する人たちは頭を冷やしたほうがいい。どうせ反対するのならば、自分の地域の下水処理場の汚泥の放射線量を計ってからにしていただきたい。

そして遠からず満杯になる自分の処理場汚泥が、宮古の震災瓦礫の比ではない1000bq超という危険水域の放射線量であることを自覚したほうがいい。

その時、自分たちの高濃度放射性物質汚泥が他県から確実に搬出拒否される事態になる未来に対して思いをめぐらせたほうがいい。

被災地復興に手を取り合って進もうという1年前の誓いをもう忘れましたか。自分たちの身に降りかからなければ、この人たちは目が覚めないのでしょうか。哀しいことです。

■写真 ロウバイ(蝋梅)です。蝋のようにすきとおった質感。清涼感のあるかぐわしい香りが特徴です。

 

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コメント

因果応報ですね。いつかは自分に返ってきます。明日は我が身と思うのですが・・・
いつかは分かりませんが、同じような震災が関東の大都市で発生したら、その人達はなんと言うのでしょうか?この人たちの日常生活を見てみたい気がします。
「絆」も何も無いです。勿論全ての人では無いですが・・・

汚泥が満タンになり、下水処理が出来なくなっても行政に「何とかしろ!!」と噛みつくのもこの手の人々です。
個人的に好き嫌いはありますが、東京都知事が受け入れをいち早く決断し実行したことは敬服します。
口だけではなく実行する事に意味があると思います。

当然の事ながら、まずは計測です。
ゼロリスク?ふざけんなと、見事な論破です。

現実は岩手のお隣の秋田県ですら「市民団体」が受け入れ反対でゴタゴタしました。もう集団ヒステリー。

一方で、埼玉県の業者が山形県の最終処分場に持ち込んだ「焼却灰」が8000bq越えで、お持ち帰りいただきました。
以前から大きな問題になってる産廃不法投棄のような地域エゴはいい加減にして頂きたい。

神奈川の黒岩知事は、太陽光タウンを訴え当選し、パネルディスカッションであの中曽根康弘から「脱原発への梶切り」の言質を引き出しておきながら、突然「太陽光云々は、あくまで象徴的な表現をしただけで現実は無理」とか掌返し。

今更何を言っても嘘つき呼ばわれされるのは当然でしょうね。
報道2001時代はファンだっただけに残念です。

因果応報とは残念な物言いですね。神奈川県人です。
単純にほぼ同距離であることになんの意味がありますか?風や地形で汚染範囲が同心円ではない事は明白でしょう。福島の管理区域でご覧になっていると思います。また、たった1日の1ポイントの最高線量を比較するのもあまりに短絡的観点だと感じます。多くの放射性物質は3月に降り注いだものが未だに影響しています。その視線をお忘れではないでしょうか。また、瓦礫に含まれる有毒物質への言及がみられませんね。廃材は一般炉で本来焼却するものではありません。法を曲げた広域処理の問題点です。飛灰の管理は自前排出も含め受け入れ自治体が数十年のお付き合い。その間管理地に地震も津波も土石流も発生しなければいいですが、関東大震災の原因の断層の真上に設置された処分場に何かが起きれば、環境負荷は多大でしょうね。横浜の8000Bqが埋まっていますからね。これでもエゴなんでしょうか。国の政策と無闇な焼却には反対します。

あすみ様。

少々穿ち過ぎな読み方ではないでしょうか。
宮古と神奈川の距離や1日の空間線量はあくまで参考値でしょう。福島原発周辺の話とは関係ありません。
ネットでいくらでも連続したデータや飛散マップくらいすぐに探せると思いますが。
だから、東京都のようにちゃんと計測すればいいだけのことでしょう。
それでいて、都市の下水汚泥の場合、長年の付き合いなら他に出してもよろしいと仰るのですか?計りもせずに?
それこそ非科学的で地域のエゴ丸出しですよ。
例えば宮古と神奈川が長い付き合いの関係だったら、無条件に受け入れOKでしょうか?
非難されるのならどうぞ移住でもして下さい。
福島県の方はそれこそ「残るも地獄、去るも地獄」なのです。旦那を残して自主避難してこられた母子が万単位で来ています。生活費も圧迫され、なけなしの貯金を切り崩しながら慣れない土地で暮らしているのです。
東電はいまだに補償問題にはノラリクラリばかりで誠意が感じられません。
そして、福島原発の電気を長年使い続けてきたのはあなた方なのですよ。


私の住む山形など、東京や横浜より遥かに線量低いのですが、それでも大変な「風評被害」(この単語を使うとヒステリックな反応がよく来るので憚られるのですが)で、福島とは比べ物にならないものの、農業は大変。観光は壊滅的な打撃です。

福島県も広い。各地域や農場によってキメ細かいデータを提示しています。それこそ距離云々ではなく、是非とも実際のことをよく検証して下さい。

補則しておきますが、私の親戚も神奈川や千葉に沢山在住しておりますし、友人は東京が多いです。
率直な意見を聞きましたが、みんな普通に生活しております。

ちょっとキツい言い方ですいません。今の素直な気持ちです。

瓦礫が復興の妨げになってる事は、受け入れを反対してる人でも知ってます

放射線量だけが問題ではありません
税金を使い、わざわざ広域に瓦礫を広げる必要があるのかが理解できません

どうせ税金を使うなら、県に大型の処理施設を複数建てた方が良いとは思いませんか?

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