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2012年2月 8日 (水)

疫学的思考で内部被曝を考える。まずは1万人の疫学データから始めるべきだ

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私は、茨城トリインフル事件と、宮崎口蹄疫事件の時に学んだ重要なことがひとつありました。それは疫学的な思考ということです。 

疫学はこのように定義されています。
「疫学(えきがく、Epidemiology)は、個人ではなく、集団を対象とした、疾病の秩序ある研究である。」 (Wikipediaによる)
 

たとえば、宮崎口蹄疫事件の発端と疑われたある農場について、韓国からの人の出入りが噂されました。私自身もそれを信じた時期もあります。 

しかし、後の疫学調査チームによってほぼ完全に否定されました。私は初発の疑惑を持たれた方に対してお詫びせねばなりません。 

「韓国からの人の出入り」という「説」は、疫学仮説でしかないからです。単なる仮説の域を出ない「意見」でしかないわけです。しかしまことしやかに流布します。 

非常の時必ず情報は錯綜し、諸説が飛び交います。見てきたような情報もたくさん寄せられ、マスメディアも混乱するか、沈黙してしまいます。 

残念ながら、人々はこのケイオスの中でもっとも自分が「好む」疫学仮説で自分を納得させようとします。利害関係や好悪の念で選択してしまうのです。 

この仮説の「意見」が、証明されるためには因果関係が立証されねばなりません。そのためには足で歩いたデータの集積が不可欠とされます。 

口蹄疫の場合、発生例と発生例を結ぶ感染の細い線を洗い出し、ウイルス分析にかけていくという気の長い作業が必要でした。 

この疫学調査でシロならばシロなのです。気に食わなくてもシロなのです。 

ではひるがえって、今の放射能について考えてみます。今まさに「仮説」の全盛期です。 

特に福島の事故の後障害について、クリストファー・ラズビー、武田邦彦両氏などは、「福島では今後40万人がガンになる」と言い切っています。 

これが疫学でいう「記述疫学」というものです。つまり一定の考えから導き出されたその人の「意見」、ないしは「哲学」です。 

この段階では、いわば言論であって学説ですらありません。「〇〇となるであろう」というご託宣とでもいいましょうか。 

これを言う人が博士号をもっていようと、あるいはも医者であろうとも、その肩書はとりあえず関係ありません。そのような説を自ら立証するために測定データを集積し、因果関係を立証しなければ信頼性は低いと判定されます。 

バズビー氏の活動仲間であるパンダシェフスキー教授のこのような「言論」はどうでしょうか。
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/09/non-cancer-illnesses-and-conditions-in.html

パンダシェフスキー教授によれば、低線量のセシウム137が臓器の筋肉に蓄積された結果、「心臓血管系、神経系、内分泌系、免疫系、生殖系、消化器系、尿排泄系、肝臓系における組織的・機能的変異によって規定される代謝障害が起こる」としています。 

このバンダシェフスキー説は、わが国の内部被曝脅威論の学的論拠となっているようです。 

私はこの学説が正しいとも間違っているとも判断がつきません。なぜなら、疫学データの測定も不十分な段階では判断材料が不足しているからです。 

このバンダシェフスキー教授の説は、ラットの未確認実験によっています。教授の説が正しいと立証されるには、量と反応が必ず一定の関係であることが証明されなければなりません。 

この教授が行ったラット実験が、他の研究者がいかなる国で行おうとも、何度やっても同一の再現性がなければならないわけです。 

残念ですが、バンダシェフスキー教授のこの低線量と内蔵諸器官への障害の因果関係説は、それを欠いています。

もちろんあくまでも現時点では、ですので後にそれが何度やっても再現されればまた評価は違ってきます。 

もし、ゼロリスク派の論者の言うように、「内部被曝のほうが外部被曝よりもっと怖い。後障害で大量のガンが発生する」というならば、最低でも避難地域の人たちの内部被曝線量の疫学データを検証するところから始めるべきでしょう。 

今、そのデータが出つつあります。欄外の12月30日までのデータをご覧ください。http://www.pref.fukushima.jp/imu/wbc/20120125WBC_joukyou.pdf

12月末までの時点で、福島県避難地域15市町村の11,816人がホールボディカウンダで測定を受けています。この結果は以下です。(欄外参照)
引用開始
 

福島県預託実効線量測定結果(2010年6月27日~12月31日)  

・1mSv以下   ・・・11.792人 (99.8%)
・1mSv以下        ・・・ 12人
・2mSv以下        ・・・ 10人
・3mSv             ・・・・・2人(0.00025%)
 

合計                  11,816人 

(注)
・対象者の抽出は、子ども及び妊婦を優先にそれぞれ市町村に依頼して行った。
・「預託実効線量(mSV)」とは、体内から受けると思われる内部被ばく線量について、   成人で50年間、子どもで70歳までの累積線量を表したもの。
引用終了

この疫学測定データ以外に私たちは内部被曝のデータがありません。もし内部被曝を議論するのならばこのデータを基に議論すべきです。いや、自分の支持する説では違う、という前にまずデータから始めるべきではないでしょうか。

確かに遅れているとはいえ、既に2万人弱の預託線量が測定されており、しかもそれが妊婦や子供を優先して測定している以上、有意なデータであると私は思います。゛

この疫学データには、預託実効線量が50年後に1ミリシーベルト未満が99.8%になると出ています。 

ならば、ゼロリスク論者は内部被曝が50年後に1ミリシーベルトになることが、人体に対していかなる脅威を与えるのかを、数値を上げて定量的に語らねば説得力がありません。

耳目をひきやすい説にのみにとらわれるのではなく、地道に積み上げられていく疫学データに立ち返ってからでも遅くありません。

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■写真 少し温みましたが、まだ春は遠いですね。豪雪地帯の皆様、庇からの雪の崩落にご注意下さい。

 

 

 

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