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2012年2月19日 (日)

大手牛丼チェーンが豪州米導入開始。コメ輸出国ダークホースとしてのオセアニア諸国

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牛丼チェーンの大手松屋が、この4月から使用する米を国産から豪州産に変えると発表しました。 

松屋によれば、「食味には問題がない」とのことです。「身体がよろこぶ自然の味」(松屋プレスリリース)とはよく言ったものです。

100円台の牛丼がいよいよ真実味を帯びてきました。 

現在の時点では、最大手のゼンショー系列すき屋は追随していませんが、あそこのことですから、一挙に輸入米を使った195円牛丼をぶつけてくるかもしれません。 

この米はあの悪名高きMA(ミニマム・アクセス)米です。700%超という高関税を維持するためにという逆説的な理由でWTOにより年間80万トンも輸入されています。というか、押しつけられています。 

これを年間500億円の保管費用と、数千人の農政事務所の職員をかけて日々管理しています。 

農水省がもっとも国民に見せたくない負の縮図でしょう。このMA米大量保管作業がなくなると、農政事務所の仕事の半分はなくなってしまいますから。 

ちなみにあと半分は、減反監視です。TPPになれば、同時にすべての仕事がなくなるわけですので、農水省のTPP反対のリキが入るはずです。TPP以降になれば、農水省は今の2万人体制から、その半分以下で済むのではないでしょうか。 

それはさておき、MA米は各国の一等米という最上級の米です。そのわりに価格が安いので国内の米加工業者から重宝がられていました。 

昨年産の北海道産、青森産玄米が250円前後で昨年同期より2割値上げし、MA米の政府入札価格と200円前後の格差がつきました。 

私の感想は、来るものがとうとう来た、というところでしょうか。既にTPPは批准前から始まっているという実態が明らかになってきました 

TPP諸国で米を輸出している大国は、米国とベトナムです。ベトナムは年間700万トンというタイにつぐ世界第2位のコメ輸出国です。 

米国はベトナムの半分の350万トンで第3位。このタイ、ベトナム、米国の上位3カ国で、世界のコメ市場3千万トンの半分に達します。 

さて、これらの米輸出国は米に特化しているというわけでは必ずしもなく、米国に典型ですが、そのときの市場相場をにらみながら作物をシフトし続けています。

コメに競合的な作物としては、デントコーン(飼料用トウモロコシ)、大豆、サトウキビ、綿花などです。 

ですから、コメの国際市場相場が上がれば、従来デントコーンを作ってたのがコメに切り替わるというわけです。 

今回MA米として輸入された豪州米は、2000年に18hを作っていたのですが、干ばつが深刻になった2007年からコメをを止めて縮小傾向にありましたが、近年になって2010年は10万hにまで回復してきています。 

一方米国はといえば、2010年だけで市場2位の作付け面積の146万hに達し、玄米換算で800万トンを超え、わが国のコメ生産高とほぼ一緒です 

しかも、米国のコメ生産は、さまざまな穀物との混在した地域で作られているために、コメの国際市場が上昇に転じれば、すぐにでもコメにシフトすることが可能だと言われています。 

この米国における特殊事情とでもいえるのは、デントコーンとの関係です。下図をご覧いただくと、コーンの生産(緑線)に波があるのがわかります。 

これはコーンが生産過剰となると政府が減反政策をするために急激な落ち込みを見せます。特に1983年の減反時には激減しています。

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                      表は九州大学大学院農学研究院 教授 伊東正一市氏よりました。

このようにコーンが生産過剰で減反がかかると、コメにシフトしていく農家が増えるという仕組みになっているようです。 

現在はコーンは有力なバイオエネルギー源で増産が活発ですが、この上昇が停滞に転じた時にはコメへの転換がみられることでしょう。

また、ダークホースなのはオセアニア諸国です。豪州、NZは潜在的に大きなコメ生産高を持っています

豪州米の可能性は今回実証されたといっていいでしょう。そしてNZは干ばつに苦しむ豪州と違って豊富な水量を有しています。

そして東南アジアと違って寒冷な温帯地域に入ります。農業技術的にも高い水準を持っています。

つまり生産環境、生産技術、共にわが国のコメ市場を狙うことのできる位置にあるということです。

私はコメ市場開放に関してやや楽観にすぎたかもしれません。今回は堤防のひと穴ですが、TPP以降はこの堤防全体がなくなるわけです。

このまま手をこまねいていれば、TPPと共に日本の稲作は一挙に押し流される可能性が出てきました。

天皇陛下の手術の成功をお喜び申し上げます。3月11日までには治すと仰せられた陛下のお言葉にどれだけ多くの国民が感動したことでしょうか。

■写真 昨日の綿帽子をかぶった草原。雪が綿花のようですね。

                     ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。 

日経新聞 2月12日
牛丼大手の松屋フーズはオーストラリア産のコメを使用する
方針を固めた。商社経由で豪州産玄米を調達、今春にも試験的に導入する見通し。
すかいらーくも輸入米を使用する検討に入った。大手外食チェーンが店舗で
提供する白米はいずれも国産だが、国産米の価格は東日本大震災後に高止まりしており、
外食企業には収益圧迫要因。外食大手が使用に踏み切れば、割安な輸入米を求める動きが加速しそうだ。

政府は輸入米に高い関税率を課す代わりに、ミニマムアクセス(最低輸入量、MA)を
設けて海外からコメを77万トン輸入している。MA米を希望する企業は入札で購入する。
2011年度分の主食用(10万トン)については需要が旺盛で完売した。松屋は使用する
年間約2万トンのコメに対し、4千トン以上の豪州産玄米(主食用)を確保するとみられる。
これを自社工場で精米し、店舗で「牛めし」などに使う。
 

松屋、豪州産米を試験導入へ…原料費を圧縮 

読売新聞 2月13日(月)19時26分配信 

 牛丼チェーン「松屋」の松屋フーズは、今春にも豪州産米を試験導入する。

 国産米よりも2割程度安い豪州産米で原料費を圧縮する。牛丼大手が輸入米を使うのは異例だ。背景には低価格競争の激化がある。

 また、「牛焼肉定食」(630円)と「カルビ焼肉定食」(680円)の定価を16日午後3時から50円値下げすることも決めた。主力の「牛めし」も値下げしており、対象を広げる。
 

最終更新:2月13日 

松屋プレスリリース 

このたび松屋フーズ(本社:東京都武蔵野市、代表取締役社長:緑川源治)では、牛めし・カレー・定食店「松屋」におきまして「牛焼肉定食」・「カルビ焼肉定食」の価格を値下げすることといたしましたのでご案内申し上げます。
 新価格でのご提供は、2月16日(木)15時より開始いたします。
 「牛焼肉定食」・「カルビ焼肉定食」は長年多くのお客様からご愛顧いただいている商品で、ジューシーで柔らかな牛肉が味わえるこだわりの逸品です。
 また、化学調味料、人工甘味料、合成着色料、合成保存料を使用しない、身体がよろこぶ自然の味もお楽しみいただけます。
 更にお求めやすくなった「牛焼肉定食」・「カルビ焼肉定食」を是非お召し上がりください。

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コメント

これを年間500億円の保管費用と、数千人の農政事務所の職員をかけて日々管理しています>>>>
私は、農家ではありませんから、消費者の立場で、何回か、農水省のMA担当者と、電話のやりとりをしましたが、MA担当=何もしないで給料を取る役人の吹き溜まり のような印象を受けてます。(他の部署とは、反応が違うのを何人かで、感じてます)MA米を倉庫に入れて、事故米になれば、タダ同然で、市場に流す。という単純作業しかしない。MA米をどうしていきたいと言う展望が全く感じられなかったのです。

まず、農家の皆さんが、消費者からのMA米の質問に農水がきちんと回答しないことに、怒りを示さない限り、米問題は、進展しないと思います。名古屋、三重は、事故米を食用に流通させ、逮捕者を出した地域なので、農水のいい加減さと、消費者への適正な行政PRを、あえてしないことが、結局、米農家の首を絞めているように感じます。

過去は、北朝鮮に配ったり、地方農水局で、販売したりして、努力していたのです。かなり以前に、名古屋で、一般向け限定販売したときは、すぐ売り切れ状態でした。今は、保管しながら、あられ工場に安値で、売ることくらいしか、考えていない感じを受けてます。

ベトナム米は、現地へいくと、20種類くらい常時、米の種類があって、日本の米のような、わずかな違いとかブランドの差でなく、長粒米、中粒米から、色が、黄色、紫色など、とても、見た目は、魅力的でした。食味だけにこだわる日本米と違い、色、食感など、バラエティにとんでいたのは、面白かったです。ライスペーパー、フォー、お好み焼きの生地(お好み焼きと言う名前ではありませんが、そっくりな食べ物があります)米粉など、米の種類から、調理法まで、多彩です。ホテルの朝食のおかゆだけでも、種類がとても多いですね。ファストフードというか、外食産業向けの流通の種類が多く、農家自身が、ライスペーパーまで、作って、売っているのが、面白かったです。
高級フランス料理から、B級グルメまで、幅が広く、調理法と米が、セットで、自国民に知られているのが、米の消費拡大に役立っているように思えました。

政府からの何の補助も無く、自由化という波で痛めつけられている零細工場の視点から見ると、正直、農業であっても、ある程度の自由化は避けられない事ではないかと思います。

ただ、農業はその土地に根差したものであり、急激な生産性の向上も望めず、消費地に近いか遠いか等、作物の選択範囲も限られてしまう。
そういった、自前の努力だけではどうしようもない弱点を持っている産業であることは分かります。

中小企業(町工場)としては、この問題には、可とも不可とも言いづらい部分があります。
町工場を引き込むような論点があれば、それも多少なりとも役にたつのではないかと思います。

「日本の古くからの里を守ろう」とか、「地方の経済を守ろう」という点だけでは、インパクトにかける様に思います。
又、いくつか前のエントリーで、遺伝子資源の重要性からの提言がございました。
「では、日本の農業試験所他の研究機関、種苗会社、薬品会社は、アメリカに比べて無力なんだろうか?」という疑問も浮かんできました。

とりとめの無い感想ですが、同じように迷っている方も多いと思います。

http://www.maff.go.jp/j/seisan/kikaku/pdf/110330_meguji_part4.pdf

http://www.maff.go.jp/j/study/kome_sys/05/pdf/data4.pdf

MA米についての概略です。ガット、ウルグアイラウンド時点の発想から、ほとんど、進歩していない様子。

WTOドーハラウンドからTPPに以降しようとしているこの時期に、消費者を含めた、正しい理解、広報が遅れていることが、気になります。

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