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2012年3月21日 (水)

スウェーデン原発事故報告書その1 事故後のリスクコミュニケーションの失敗

002
チェルノブイリ事故以後、北欧は深刻な放射能汚染にさらされました。 

18日の欄外福島のセシウム分布図と比較していただけるとわかると思います。福島の分布図の緑色の60万bq/㎡が、スウエーデンの赤色70万bq地域に相当します。 

これを見るともっとも汚染が深刻だったスウェーデンの一部は、福島における40㎞地帯に相当しています。 

実は、スウェーデンも事故発生直後の1年間は、日本と変わらない社会混乱が起きていました。これについてスウエーデンは、一冊の報告書を政府が発行しています。 

これは、スウエーデンの防衛研究所、農業庁、スウェーデン農業大学、食品庁、放射線安全庁が1997年から2000年までに行った合同プロジェクトの「どのように放射能汚染から食料を守るか」という報告書にまとめ上げられています。 

邦訳もあり、「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」(合同出版)という本で読むことができます。 

この報告書の完成は、事故後10年から始まっていますが、このような放射能規制、食品規制、農業研究、そして防衛研究までウイングを伸ばしたプロジェクトに驚かされます。

これを手にしてみると、スウェーデンでも多くの問題が発生していたことがわかります。 

スウエーデンの教訓1 バニックは事故直後の情報発信の失敗により起きる 

報告書冒頭でスウエーデン当局は、このようにみずからを省みています。 

チェルノブイリ原発事故によって被災した直後のスウェーデンにおける行政当局の対応は、『情報をめぐる大混乱』として後々まで揶揄されるものでした。」 

行政当局は、ときに、国民に不安をあたえることを危惧して、情報発信を躊躇する場合があります。
しかし、各種の研究報告によれば、通常、情報発信によってパニックの発生を恐れる根拠は無く、むしろ、多くの場合、十分に情報が得られないことが大きな不安を呼び起こすのです。とりわけ、情報の意図的な隠蔽は、行政当局に対する信頼を致命的に低下させかねません
。」
 

行政当局が十分な理由を説明することなく新しい通達を出したり、基準値を変更したりすれば、人々は混乱してしまいます 

このようにスウェーデン政府は、情報の隠蔽と二転三転する説明こそが国民に混乱を与える最大の原因としています。 

リスク・コミュニケーションの失敗です。わが国も取り返しのつかない失敗をしていることは記憶に新しいことです。 

わが国の去年を振り返れば、思いつくままに挙げただけで
①メルトダウンを否定するなどの事故状況の隠蔽
②放射性物質拡散状況(SPEEDI)情報、「最悪シナリオ」の隠蔽
③避難地域の二転三転。当該自治体への連絡の不備
④食品規制の朝令暮改
⑤「今直ちに健康被害はない」という政府発表が食品による晩発障害を示唆
⑥汚染マップ作成の遅滞
⑦工程表と冷温停止宣言の欺瞞
 

まだまだありますが、スウエーデンでも同種のことが起きたことを深刻に総括しています。

原子力事故対策において、最初のボタンである汚染の拡大状況、事故状況、食品規制の三つをかけ間違えれば、それは「政府情報を一切信じない」、「まだなにか隠しているに違いない」という国民の不信に直結します。 

以後、政府がなにを言おうと信じない層が生まれてしまいました。これが日本の現状です。 

スウェーデンの教訓2 農業対策をしっかり立てて農家と消費者に伝える 

国土の放射能汚染は、農業生産の危機に繋がります。スウェーデンにおいても農産物生産-流通で深刻な混乱があったことを認めています。 

第3章 「放射性降下物の影響」では、農作物への影響が記述されています。放射性物質にある地域の土壌や水が汚染された場合、地域の農作物に影響がでます。 

これが食品を通しての二次汚染に連鎖していくことをスウェーデンの例を通して説明しています。 

これは、政府が明確な食品規制の考え方を農家と消費者双方に説明しないと、かえって混乱を増幅する可能性があることを示しています。 

たった3回で農業側の意見を聞き取りせずに決めた食品新基準値づくりなどは、まさにこの轍を踏んでいることになります。 

また、スウェーデンでは移行係数を消費者にも明示して、わかりやすく農産物への放射能移行を説明しています。 

これも、ただやみくもにゼロベクレルを要求する消費者の流れに対して考えさせられるものがあります。 

スウエーデンの教訓3 食品検査は過剰でも過少でもいけない 

第2章「 放射線と放射性下降物」では健康への説明と、スウェーデンの2000年時点での検査体制が説明されています。 

ある意味、意外な感がしたのは、スウェーデンでは、牧草、野菜、肉などの農作物は、サンプリング検査しか行われていません。

かなりはっきりした調子で、全量検査体制をすることは無駄だと言い切っています。 

それは、検査費用が膨大になって農産物価格にしわ寄せされてしまうこと、農家の負担が大きすぎ続かないこと、そしてなによりそれに見合った効果がないということのようです。 

福島はいままさにこの米の全量検査をしているわけですが、このようなことがこの1年で終わるのか、それともゼロベクレルを目指して永遠に継続されるべきことなのか、政府ははっきりとした判断を示す必要があります。 

また、このスウェーデン報告書には、2000年時点で同国での放射能による健康被害は書かれていません。 

もし、マーチン・トンデル氏の言うような数万人単位でガンが多発したのならば、当然大きく記載されるでしょう。スウェーデン政府は公式にトンデル氏説を否定していることがわかります。

これでこの報告書の半分の紹介となります。後半は明日にすることにしましょう。

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

図表1)スウェーデンにおけるチェルノブイリ原発事故由来のセシウム137の土壌汚染の推計値

Photo

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コメント

これは、ゼロベクレル信者さん向けのコメントですが、
管理人さんの提示された図表は、セシウム137だけでのスウェーデンの図表です。

日本の図表は、セシウム134と137の合計で、表した図表もありますので、比較するときに、きちんと、見てほしいと思います。

また、単位も平米あたりかKGあたりかで、違いますが、言えることは、同じレベル7でも、かなりチェルノブイリの方が、汚染が、強く広範囲であったと言うことです。

総合的に考えれば、米の全数検査は、もう、不要でしょうね。コストを米の検査だけに、掛け続けるのは、無意味です。

それより、今回の全数検査した結果を、わかりやすく国民に開示して、生産者も、消費者も、その情報を有効利用できること、つまり、ソースデーターが、開示されれば、信用しやすいということです。

行政が、見やすく図表化してくれるのは、ありがたいですが、やはり同時に、ソースデーターが、開示されることが、信頼に結びつきます。

スウェーデンは、国民が誰でも、個人の収入が、解るシステムですので、特に、政治家の不明な収入や高級官僚公務員の天下りなど、とても、しにくいシステムになってます。まあ、個人的には、あまり好まないシステムですけど。。

初めまして。
科学的で感情的にならず、久しぶりに有意義なページにたどり着きました。


色々な図や数値、放射性物質拡散(予測)地図等々・・・
本当に何が何だか分からなくなってしまう、正直、単位を合わせて読んで見てください。と、お願いするばかりです。

先日、ヤフー知恵袋にて・・・・
チェルノブイリの放射性物質拡散図に日本地図を当て嵌め?福島県がいかに県全体が汚染されているかを強調している、そんな投稿を見ました。

言葉もありませんでした。

福島県(会津在住)民としては、岩手や宮城の震災瓦礫まで問題視されている現状をとても申し訳なく感じたりしていて・・・

そんな中で、画像を故意に加工した物をUPし、こんなに福島県は汚染されているんだから、宮城や岩手も一緒だ・・・そんなふうに語られていることにショックでした。

また、その画像を見て誰も過ちを指摘しない・・・それにもショックでした。

福島の子供達は放射性物質について知らな過ぎる、とかの指摘もありましたが、それにもチェルノブイリではベラルーシでは授業に多くの時間を割いている、福島ではやっていない・・・と

二十数年たった原発事故のあった地域と、一年の福島県を比べて認識が甘い等々非難されても・・・

比べるならどちらも事故後一年の状態を比較検討されなければ、正しい情報にはなりません。

また、500ベクレル/kgは国際基準からみて高すぎる等々の書き込みもあり(知恵袋)ましたが、アメリカの原発事故等緊急事態の時は1200ベクレル/kgだったと思います。

もしかしたら・・・そんな事はご存知で、単に福島県が福島の農産物が嫌なんだ。そこなのかもしれませんね。

そんな事が多くて、正直なところ放射性物質による健康被害があるとしたら、それよりも早く精神的に病になりそうです。^^;

放射性物質による健康被害があるとしたら、それよりも早く精神的に病になりそうです>>>ヨーロッパでは、実際、うつ病やストレス性の病気、自殺など、増えてましたね。(チェルノブイリで、精神的ストレスが、病気を悪くされた方は、非常に多かった)

アメリカの原発事故等緊急事態の時は1200ベクレル/kgだったと思います。

>>>これも、事実です。EU連合の1000から1100と言うコーデックから見ても、4月から100ベクレルにする(乳幼児は、もっと厳しい)からして、当面、今の基準でも、問題なく、社会生活可能な状況です。避難民を除けばの話ですけどね。

セシウム137の規制値(日本の規制値はセシウム134とセシウム137の合計) 日本の暫定基準値
(2011) 日本の新基準値
(予定) TAL-86
旧ソ連(ウクライナ、ベラルーシ)
1986年 TAL-88
旧ソ連(ウクライナ、ベラルーシ)
1988年 TAL-91
旧ソ連(ウクライナ)
1991年 RCL-90
ベラルーシ
1990年 AL-97
ウクライナ
1997年
飲料水 200 10 370 18.5 18.5 18.5 2
ミルク 200 50 370 370 370 185 100
酪農製品・生クリーム・凝乳 200 100? 3700 370 370 185 100(乳製品)
粉ミルク 200 50 18500 1850 1850 740 500
バター・コンデンスミルク 200 100? 7400 1100 1100 370 300(コンデンスミルク)
豚肉・羊肉・鶏肉・魚・卵・これらの製品 500 100 3700 1850 740 592 200(肉・肉製品)
150(魚・魚製品)
6(卵1個)
牛肉・牛肉製品 500 100 3700 2960 740 592 200(肉・肉製品)
植物油・動物脂肪・マーガリン 500 100 7400 370 185 185
じゃがいも 500 100 3700 740 600 592 60
野菜・果物・イチゴ 500 100 3700 740 600 185 40(根菜・葉菜)
70(果物)
パン・パン製品・穀類・カラス麦・小麦粉・砂糖 500 100 370 370 370 20(パン・パン製品)
(果物・野菜・ジュース・蜂蜜)缶詰 500 100 740 600 185
幼児食品 - 50 1850 185 37 40
生のイチゴ 500 100 1480 185 500
生のキノコ 500 100 1480 370 500
乾燥した果物・キノコ・イチゴ 500 100 11100 7400 3700 2500
薬草・お茶 500 100 7400 1850 600(薬草)
他の食品・添加物 500 100 592 600

単位 ベクレル/kg
日本の規制値はセシウム134とセシウム137の合計値。旧ソ連、ウクライナ、ベラルーシはいずれもセシウム137のみの規制値
TAL-**
旧ソ連保健省が定めた食品と飲料水の暫定許容レベル(TAL)
1986年(TAL-86)、1988年(TAL-88)、1991年(TAL-91)に定めている
1993年にウクライナ放射線防護委員会がTAL-93を発表したがウクライナ政府は同意せず1997年までTAL-91が有効
RCL-90
ベラルーシ政府が施行した許容濃度に関する共和国管理レベル
1990年にベラルーシ政府が施行(RCL-90)
AL-97
ウクライナ保健省が承認した許容濃度
1993年にウクライナ放射線防護委員会がTAL-93を発表したがウクライナ政府は同意せず1997年までTAL-91が有効
1997年にウクライナ保健省が承認した新しい許容濃度(AL-97)


上記のデーターからすれば、4月からの日本基準は、厳しいと言えると私は、思います。

セシウム134+セシウム137の規制値 飲料水 牛乳・乳製品 野菜類 穀類 肉・卵・魚・その他
日本 200 200 500 500 500
日本新基準(予定) 10 50 100 100 100
コーデックス 1000 1000 1000 1000 1000
シンガポール 1000 1000 1000 1000 1000
タイ 500 500 500 500 500
韓国 370 370 370 370 370
中国 * 330 210 260 800
90(芋類)
香港 1000 1000 1000 1000 1000
台湾 370 370 370 370 370
フィリピン 1000 1000 1000 1000 1000
ベトナム 1000 1000 1000 1000 1000
マレーシア 1000 1000 1000 1000 1000
アメリカ 1200 1200 1200 1200 1200
EU 200 200 500 500 500

単位 ベクレル/kg
コーデックスの指標値は、S35、Co60、Sr89、Ru103、Cs134、Cs137、Ce144、Ir192の合計
EUについては、日本の食品にのみ適用する規制値
*は不明

出展
http://www47.atwiki.jp/matowiki/pages/50.html

記事中に「18日の欄外福島のセシウム分布図と比較していただけるとわかると思います。福島の分布図の緑色の60万bq/㎡が、スウエーデンの赤色70万bq地域に相当します。 」とありますが、間違えていませんか? スウェーデンの赤色は「7万ベクレル/平方メートル」ではないでしょうか。つまり、スウェーデンの赤色に対応するのは、福島の群青色ではないでしょうか。

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