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現在のチェルノブイリの子供たちの被曝原因は自生キノコだ。低線量セシウムが原因ではない

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先日の「ダッシュ村」の3.11特番のチェルノブイリ・レポートには大事な証言が入っていたのに気がつきましたか。 

上の写真で「除染されていない森のキノコには、食品安全基準値の100倍から200倍のものがあります」と語っているのが、ベラルーシで長年児童被曝を測定・指導していきたベルラド放射能安全研究所のウラジミール・バベンコ氏です。 

このインタビューの中で、彼は児童の現在の被曝原因ははっきりと「高濃度汚染された自生キノコが原因だ」と言っています。

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上がベルラド研究所の作成した6歳から17歳までの子供の内部被曝の時系列グラフです。縦軸が放射線量、横が日時です。 

このグラフで飛び抜けて高い内部被曝の数値を示す時期があるのがわかりますね。03年11月、04年11月、05年11月、08年10月、09年12月です。 

これらすべての時期は自生キノコを収穫して食卓に乗せる時期と符合しています。ここには非汚染地区とのオッズ比が乗っていませんが、統計上有意であるとみていいと思われます。 

このインタビューの中で、バベンコ氏は「安全基準値の100倍~200倍」と言っていますが、それは生きのこのベラルーシ食品基準値300bqからみて、3万から6万bqだと推測されます。 

乾燥したものだと、25万から50万bqとなります。 

これをして低線量被曝だと言う人はいないでしょう。ある短期間に大量の高線量被曝食品を食べたことが原因です。 

そしてこの知見は、下図のベラルーシにおける小児甲状腺ガンの発生数とも符合します。
(J Radiol Prot 26: 127, 2006)

f:id:buvery:20110702105649j:image

これはベルラド研究所の資料にはなかったベラルーシ全体の小児甲状腺ガンの発生数グラフです。 

これによると、ベラルーシの小児甲状腺ガン(14歳以下)は、チェルノブイリ事故4年後の1990年頃から有意に急増しているのがわかります。(*中央山型の青線) 

そして1995年にピークを迎えて、16年後の2002年に事故以前の平常数値に戻っています。 

これからわかるのは、持続的、継続的な低線量被曝による被曝が原因ではなく、1986年の事故直後に大量の放射性ヨウ素131を被曝したことが原因であることを示しています。 

もしこれが、セシウム低線量被曝説をとるユーリー・バンダジェフスキー氏説のようだと考えると、このようなピークが1990年頃に出ることはありえません。
*ユーリー・バンダジェフスキー「放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響」邦訳あり 

継続的に低線量セシウムを摂ることで内臓諸器官、特に甲状腺に蓄積されるという彼の説が正ければ、発生数は上図のようなピークをもった放物線ではなく、なだらかに今に至るも続く横ばいのラインを描かねばなりません。 

もちろん、セシウムの甲状腺蓄積はあったでしょうが、それによって小児甲状腺ガンが増加することはありえないと思われます。 

したがって、福島で今から生まれてくる子供たちが、仮に低線量のセシウム被曝をしたとしても甲状腺ガンになることはありえません。 

また、15歳以上の青年、成人に甲状腺ガンの有意な増加はみられていません。 

まとめてみます。 

ベラルーシのゾーン2避難義務区域、ゾーン3避難権利区域 の子供の被曝量増加の原因は、森林地域の食伝統である自生キノコの摂取による。これは10月から12月に被爆量が急増していることからわかる。 

❷ベラルーシにおける小児甲状腺ガンは事故後4年目の1990年から始まり、1995年にピークを迎え、16年後の2002年に平常に戻っている。これは事故直後の半減期8日の放射性ヨウ素131の被曝が原因である。 

❸バンダジェフスキー説の、セシウムの長期低線量被曝が小児甲状腺ガンの原因だとするならば、避難区域以外の児童もまた、甲状腺ガンを長期に渡って発症しつづけねばならないが、そのような統計上の事実はない。 

➍したがって、福島において児童が小児甲状腺ガンになることは考えにくい。

 

■お断り 「鉄腕ダッシュ村」の3.11特番より、計画的避難地域の現状、そしてチェルノブイリの現状を理解するために有意義だと考えて、参考のために引用させていただきました。改めまして、この番組を作られました日本テレビに感謝いたします。

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コメント

やはり自生キノコですねえ。これは指標です。
当時キノコ大好きなドイツでも大騒ぎになりましたから。
こんな分かりやすいデータがあったとは知りませんでした。

日本では昨年から野生キノコはダメとの通知がありましたが、これはチェルノブイリの経験がすでに活かされて実測した上でのことでしょうね。
実際にかなりの高線量が出ましたし。

それにしても、福島はチェルノブイリ以上だ!などと言っていた方々は、先日の汚染地図をどう見て反論なさるのでしょう?
縮尺や色分けなどを補正すれば、どう見ても福島のほうが遥かに狭くて低いことになるんですがねえ。

投稿: 山形 | 2012年3月20日 (火) 07時51分

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