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« スウェーデン原発事故報告書その1 事故後のリスクコミュニケーションの失敗 | トップページ | 茨城県瓦礫受け入れに!土浦市、鹿嶋市もつづく! 瓦礫反対運動との問答 »

2012年3月22日 (木)

スウェーデン原発事故報告書その2 政府と自治体は、リスクコミュニケーションの総括と対策の場を作れ

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昨日に続けて、スウエーデンの防衛研究所、農業庁、スウェーデン農業大学、食品庁、放射線安全庁の合同プロジェクト、「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」を読んでいます。 

教訓4 事故直後は緊急の防護基準を作り、徐々に強化していく 

チェルノブイリ事故によって、スウェーデンにおいても食品をめぐる動揺が社会的に拡がりました。 

第4章「食品からの内部被ばくを防ぐ有効な対策」では、スウェーデン政府の放射能食品安全基準と、家庭の安全対策を紹介しています。

スウェーデンでは、事故前まで1mSv(ミリシーベルト)の射線量の防護基準を採用していましたが、事故直後からの1年間は5mSvの被曝も許容しました

これは事故直後において、いきなり平時の放射線防護基準を適用することが不可能であり、無理にそうすることによる社会的な摩擦のほうが大きいと考えるからです。いわば緊急時基準です。

これは空間線量や食品基準値に適用されますが、このとき政府の説明がいいかげんだとかえって混乱を深めてしまいます。

教訓5 緊急時基準の引き上げの説明に失敗すると社会的混乱を招く

わが国においては、暫定規制値がこのスウェーデンの1986年基準値に相当するわけですが、満足な説明もなくそれを出したために、「輸入食品基準値よりなぜ高いのか、こんなものを食べて大丈夫なのか」、などの憤激の声が多く国民から上がりました。

そしてさらに「レントゲン1回分より低い」などという次元の違う比喩を使ったために、多くの消費者が東日本の農産物の買い控えに走りました。

これがいまなお、多くの福島、茨城の農業者を苦しめ続けている低線量内部被曝脅威論の発端です。

また、日本では福島原発事故直後に年間被曝基準を1mSvから20mSvに引き上げました。

このことにより国民の不安が広がり、多くの避難区域以外からの県外避難者が生じました。福島県内だけで自主避難が11万人にも登っており、大きな社会問題になっています。

さて、スウェーデン政府は、この緊急基準に合わせて、セシウム137の食品基準値を300bq(ベクレル)/㎏とし、一部あまり食べないトナカイ肉などを1500bq/㎏と定めました。

ちなみに、日本は134と137の合計ですので、スウェーデンは600bq/㎏ていどになります。日本の暫定規制値から較べても決して低くはありません。

しかし、この基準の緩和に対してはわが国同様に消費者の抗議が拡がり、政府は情報提供に追われることとなりました。まったくわが国と同じ光景です。

この追加検査の結果、事故直後の86年の食品による内部被曝は年間換算で0.1〜0.2mSvでしかありませんでした。

また、スウェーデン特有の事例としては、地衣類や野いちご摘みをする人、トナカイ肉を多く食べる北方狩猟民族のサーメ人には、政府の危険勧告があったものの、一般市民より多くの内部被曝が出たようです。

この報告書ではこの内部被曝数値は明らかにされていませんが、サーメ人の調査はECRRの関係者であるマーチン・トンデル氏が行っています。ただし、氏の統計手法には専門家の批判が多くでています。(*トンデル氏はECRRとの関係を否定しています。)

日本では食品における内部被曝は福島産の市販の食品を食べ続けても、0.1mSv程度と推定されています。(内閣府の昨年8月調査)

しかし、日本の消費者の中にはヨーロッパ発の低線量の極小化をめざすゼロベクレル層が既に誕生しており、解決はいっそう困難になっています。 

教訓6 スウェーデン政府の放射能対策一般原則 

そしてスウェーデン政府は、根放射能対策として、以下のポイントを一般原則としてまとめています。

現行法や国際的な取り決めに反した対策は行わない。
❷急性の深刻な健康被害を防ぐために、あらゆる努力を行う。
❸対策は正当性のあるものでなければならない。
➍講じる対策は、なるべく良い効果をもたらすように最適化する。
➎対策の柔軟性が制約されたり、今後の行動が制約されることはできるだけ避けるべきである。
❻経済的に費用が高くなりすぎない限り、農作物・畜産物は生産段階で汚染対策を行う。
❼一般的に大規模な投資の必要がない汚染対策を実行すべきである

そしてわが国は今後になにが必要か? 国と自治体はリスク・コミュニケーションの総括と構築の場をつくれ!

この報告書の中にも再三述べられていることですが、一般国民は放射能の知識をまったく持ち合わせていません。

この私もいまは平気でベクレル、シーベルトなどと書いていますが、去年3月まで聞いたこともありませんでした。

このような国民にはなんの放射能に対する準備もありません。そのために「解釈が多様で混乱した」(同書)事例がそこかしこで生まれました。

リスク・コミュニケーションはこのような重大事故においては決定的に重要です。しかしわが国では、原発事故は「起きないもの」として、当初から考えられていませんでした。

誰が、どのように、なんの媒体を使って事故情報を伝達するのかまったく考えられていなかったのです。

今後、このリスク・コミュニケーションの失敗を反省して、新たな体制を作らなければ、また同じことを繰り返すでしょう。

現に1年たった今に至るも、放射能をめぐるデマが一部の人々によって執拗に流されています。

あるいは、青果流通は付加価値生産を目指して自主基準作りに入っており、それが政府基準のよりいっそうの信用低下をもたらしています。

原発安全神話が崩壊した今だからこそ、スウェーデンのこの教訓に学んで、行政が専門家、農業者、漁業者、消費者、流通まで含んだテーブルを設けて、新たなリスク・コミュニケーションを構築していかねばならないのではないでしょうか。

■写真 青空。ひさしぶりのおだやかな青空です。実はこの写真は私のPCの壁紙です。

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コメント

ふむ、ゼロリスク信奉者もまるで来ませんね。
反論は無いのでしょうか?
無理なんでしょうね。
根拠が薄すぎたり、極めて胡散臭いECCRの劣化コピーをパクっただけですから。

もう失笑ものです。

行政が専門家、農業者、漁業者、消費者、流通まで含んだテーブルを設けて、新たなリスク・コミュニケーションを構築していかねばならないのではないでしょうか。

>>>>これは、そのとおりだと思います。消費税値上げすれば、こども園が出来て、待機児童が無くなると、胸を張って、大嘘をTVに向かって、言わされている総理って?何なんだ!?って、思ってます。
内閣府は、各省庁の出向者の集まる省庁。つまり、官僚の出世の登竜門。バブル時代にレールが出来た政策と各省庁の省益争いばかり。デフレの今、出来る可能性は、限りなく少ない政策。現状、すでに保育者は、不足状態。コンビニより安い給料で、自分の子の育児だって大変!って仕事に、一人っ子の学生が、ついていけることは、少ない。昔の田舎みたいに、弟をおんぶして、薪で、風呂を焚くのが、あたり前の時代とは、保護者も保育者も違ってしまっていて、耐えられない。大体、この内閣府の審議会委員に、出たことあるけど、構造破綻している40年前のスウェーデン福祉理論から、脱却できていない。現場は、間違ってると解っているけど、官僚は、自分の先輩のひいたレールから、外れると出世が出来ないから、驀進あるのみ。。馬鹿げている。。。農業、漁業者、畜産者や金融関係者(株式市場で、資金が動かない業種は、資金サイクルルートが必要)を入れない(決まってから形式的に、意見を聞くアリバイ作りはするけど)復興農業政策って、何!って感じですね。

マーチン・トンデルさんはECRRの関係者ではないですよ。

Lenaさん。形式的にはそうです。しかし、トンデル氏がECRRのバズビー氏と強力な人間関係を持っているのは衆目の一致するところです。
バズビー氏はその疫学的根拠を彼に全面的に依存しているのはあまりにも有名です。
一方、トンデル氏の主張もECRRとまったく一緒です。
ここまで相互関係が深いと、トンデル氏がECRRの「関係者」と目されても致し方がないですね。
ただし、当人が関係を否定していので、記事にその旨を付け加えました。

その1とその2を興味深く拝見させて頂きました。ただ、どなたかがコメントで指摘されておられますが、
「この報告書ではこの内部被曝数値は明らかにされていませんが、サーメ人の調査はECRRの関係者であるマーチン・トンデル氏が行っています。ただし、氏の統計手法には専門家の批判が多くでています。」
は事実に則していないと感じます。

・まず、サーメ人の調査とのことですが、Tondel氏の論文を読めば分かるように、彼の研究はサーメ人だけを扱ったものではなく、汚染地域に居住するすべての人を調査対象としています。

・次に、Tondel氏の統計手法についてですが、ネット上で見かけられる批判はほぼ単独のホームページ( http://d.hatena.ne.jp/buvery/20110520 )を根拠としており、このbuveryという方の批判に対しては、東京工業大学の牧野教授(jun_makino)や東京大学の押川教授(MasakiOshikawa)のほか、三重大学の奥村教授が間違った批判であることを指摘しています。http://togetter.com/li/234850

・最後に、トンデル氏はバスビー氏とは一緒に活動しているわけではなく「バスビー氏による自分の研究の解釈についてはバスビー自身に訊いて欲しい」と今年1月の東京の講演でも言っておられました。

長くなりましたが、気になったことを箇条書きにしてみました。失礼しました。

統計研究さん。

そのくらい分かっているのなら、むしろ学説の根掘り葉堀り(残念ながらICPRや国連でも相手にされていないようですが)やるのではなく。称賛しているのは、いわゆる反原発カルトの方だけですよ。
今起こっているの現実に目を向けましょうよ。

どうやって被曝地の農業を安全に再生していくのか?
今のテーマはそこなんですよ。
1年遅れの放しです。

トンデルさんは日本語できないので、このような場で自分で反論できません。でも1月は東京で通訳付きでちゃんと自分の研究を説明して、質疑もあったので、トンデルさんを批判するなら、同時にそのビデオをリンクするとフェアだと思います。そうすると読者は自分で判断をする材料もできます。

Lena さん。この記事はスウエーデンの電発事故対応の記事ですよ。なにか投稿先を間違えていませんか。トンデル氏などは対象になっていません。あなたはまったくスウエーデン政府の報告書にひとこともふれないで、トンデル一本槍です。

関係ないことを何度も投稿するのはなぜですか?常識をわきまえなさい。

トンデル氏やバンダジェフスキー氏について触れるだけで大騒ぎするようなことが、彼を単なる学者ではなく、運動がらみの人、つまりは活動家という認識を他の人に与えていることにまだ気がつかないのですか?

それがトンデル氏が日本で学説を離れた批判を受ける理由です。その原因を作り出しているのは、失礼だが、あなたのような人たちです。
それは当のトンデル氏にとっていいことなのかどうなのか、わからなかったら仕方がない。

ただ「トンデル氏の説をスウエーデン政府は公式に認めていない、「専門家には多くの異論がある」という事実をそのまま書いた批判でもなんでもない数行でなぜそんなに大騒ぎをするのか、皆目わたしには理解しかねます。

だって学説には批判がつきものですから。まして、トンデル氏とバンダジェフスキー氏の説は自然科学の論文がうけるべき査読をを受けていないのですから、世に出てから異論が噴出してしまうのです。

公式の学会発表の手続きをとらずに、世界的に著名な学者になってしまった以上、それは仕方がないじゃないですか。

いわば試練ですよ。正ければ受け入れられるし、間違っていれば批判を受ける、ただそれだけです。論文にはよくあることです。

批判-反批判をせずに築かれた学説などこの世にはありません。それをあなたのような素人がなにがなんでも防衛しようとするからおかしくなるのです。

もう一度言います。トンデル氏はあなたが言うようにECRRの活動家ではないのでしょうから、学者なら学説批判を受けることを甘受すべきです。

彼がECRRの活動家と一緒にされるのは、彼の取り巻きがあなたのようなことを言う人ばかりだからだとそろそろ気がつきませんか。

とまれ、記事の内容の数行が気にくわないと、テーマとまるで関係ないことを延々と書き込むのはいい大人のすることではありません。頭を冷やしなさい。

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