JAXAがすごい放射能計測機器を開発した!
これはすごい機器が現れました。JAXAの開発した超広角コンプトンカメラです。
これは天文衛星に搭載される予定だったガンマ線観測センサーを応用して、地表のガンマ線分布を瞬時に計測する観測機器です。
これは実際に測定をやった者ならこのすごさがわかります。測定のたいへんさはともかく地を這う如しで、地表面をスペトクロメータを持って這いずるつらさです。一日やると背筋がおかしくなります。
しかも樹木や屋根の高い部分には登るしかありません。一度屋根の樋を測定したときに、震災で緩んだ屋根瓦が崩れて死ぬかと思いました(笑)。
また、一カ所一カ所やるしかないので、たいへんな手間です。私がやっている測定作業だと10アール5カ所で30分はかかります。それでもかなり早くなったんですよ。
これを瞬時にやってのけるというのだからスゴイの一語です。一般人が所有できるものではないでしょうが、量産すれば価格は段違いに安くなります。
ガイガーカウンターなど、私が買った去年3月にはロシア製だと8万円はしましたが、今や7000円で国産の優れたものが買えます(泣)。
政府はさっそく実用化にめどをつけて、量産体制をとって福島、茨城、千葉、栃木、群馬、東京などの自治体に配布してください。
こういう時には、技術大国に住んでいてよかったと思います。
■JAXAプレスリリース
超広角コンプトンカメラ」による放射性物質の可視化に向けた実証試験について
平成24年3月29日
宇宙航空研究開発機構
日本原子力研究開発機構
東京電力株式会社
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、次期X線天文衛星ASTRO-Hに搭載予定のガンマ線観測センサの技術を応用し、ガンマ線を放出する放射性物質の分布を可視化する新しい装置「超広角コンプトンカメラ」を試作しました。この装置は、広い視野(ほぼ180度)と核種に固有なガンマ線を識別する能力を生かして、敷地や家屋に広く分布したセシウム137(Cs-137)やセシウム134(Cs-134)について画像化できることから、サーベイメーター等を用いた人力による従来の調査では困難であった、屋根などの高所に集積する放射性物質も画像化することが期待されます。(添付資料1)(0.6MB)
本年2月11日、JAXAと日本原子力研究開発機構(JAEA)並びに東京電力株式会社は、計画的避難区域に指定されている福島県飯館村草野地区において「超広角コンプトンカメラ」を用いた線量測定及び撮像試験による実証試験を実施しました。撮像試験の結果、従来のガンマカメラに比べ格段に広い視野での放射性セシウムの分布の高精度画像化に成功しました 今後、JAXAとJAEAは、東京電力株式会社の協力のもと「超広角コンプトンカメラ」を用いた放射性物質の除染作業等について、実用化に向けた検討を進めます。
(添付資料2)(1MB)
http://www.jaxa.jp/press/2012/03/20120329_compton_2.pdf
■東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムの分布を可視化できるカメラを宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発し、29日に発表した。宇宙技術を応用し、放射線量が局所的に高いホットスポットを簡単に判別でき、除染の効率化が期待される。
中性子星などが放出するガンマ線を観測する天文衛星用センサーを応用した。地上を数十分間、広角で撮影すると、セシウムが放出するガンマ線に反応して放出源が画面上に表示され、ホットスポットを高い精度で特定できる。
東電などと共同で2月、計画的避難区域に指定されている福島県飯舘村のスーパーや山林などで試験した結果、建物脇の溝や路面の継ぎ目などのホットスポットを、その場で見つけることに成功した。
開発したJAXAの高橋忠幸教授は「広い視野でセシウムの分布を短時間でとらえる画期的な技術だ。福島県内の除染に役立ててほしい」と話した。
このセンサーは平成26年度に打ち上げ予定のX線天文衛星「ASTRO-H」に搭載される。産経新聞3月30日
« 原発周辺地域の新米を「汚染予備軍」として囲い込んではならない | トップページ | 水路除染の決定打となるか、もみ殻除染。実に9割を除去! »
「原子力事故」カテゴリの記事
- 福島にはもう住めない、行くなと言った人々は自然の浄化力を知らなかった(2019.03.11)
- トリチウムは国際条約に沿って海洋放出するべきです(2018.09.04)
- 広島高裁判決に従えばすべての科学文明は全否定されてしまう(2017.12.15)
- 日本学術会議 「9.1報告」の画期的意義(2017.09.23)
- 福島事故後1年目 大震災に耐えた東日本の社会は崩壊しかかっていた(2017.03.16)
コメント
« 原発周辺地域の新米を「汚染予備軍」として囲い込んではならない | トップページ | 水路除染の決定打となるか、もみ殻除染。実に9割を除去! »
危険箇所・ホットスポットの可視化に極めて有効ですし、農地の除染には極めて有効です。。
これからはより小型軽量化を目指して改良がされることでしょうが、国はこういう物に予算を集中投入して頂きたいです。
投稿: 山形 | 2012年3月31日 (土) 06時58分
いや、本当にすばらしいです。
早く量産体制にして、必要な台数を必要な地域(今回の被爆地以外でも、原発周辺(再稼動しなくても放射能漏れ事故はあるから)
に、配ってほしいです。そして、いちはやく、民間人学者?が、自動車で、福島県の道路を走り、画像上に、スペクトルグラフを同時録画して、そのデーターで、簡易汚染地図を作り、解りやすく汚染状況を公開されたの同様に、きちんとした、汚染データーを絶えず公開してほしいものとおもいます。(時間経過とともに、状況は、変化しているので。。)
日本は、世界一の電波天文学の国ですから、このような測定器の基本ノウハウは、持っているのでしょう。
昔、京都の西村製作所で、教わった、反射望遠鏡の反射レンズ作りを思い出します。
チェルノブイリのときは、セシウム137だけとか、単一核種のデーターしか、観測できなかったのですが、今回は、ガンマー線測定器と言う事で、広範囲に、短時間で、具体的汚染スポットが、誰にでも、可視化できる点で、安心材料になる点は、期待が、大きいですね。
投稿: りぼん。 | 2012年3月31日 (土) 16時53分