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2012年4月14日 (土)

ミサイル遊びなどしていないで、真面目に農業をしなさい!

014s

どうしようもなく愚劣なことに国の予算の大半を注いでいる国があります。北朝鮮です。

国全体の予算規模そのものが、三代目がダメにしたテイシュペーパー屋の年間売り上げと変わらない国で、国家予算の3分の1超の1600億円ほど注ぎ込んだと言われています。

結果は、生誕100周年の花火よろしく砕散りました。ああ、もったいない、というか恥ずかしいというか、迷惑というか、まさにドブに捨てたといおうか。

この国の顧問に招かれることがあったのなら、(あったらまっしぐらに逃げますが)農業をどうにかするべきだ、と正恩氏に言うことでしょう。

農業がダメな国が栄えた試しはありません。農業がダメだということは民を食わせられないということで、食わせられないから逆切れして、「食料を寄越せ」と核ミサイルで脅すなどというのは本末転倒もはなはだしい。

民が食えない国がいくら200万(!)の軍隊を持とうと、そんなものはブリキの兵隊、いや餓死予備軍にすぎません。

簡単に北朝鮮の農業生産の崩壊を見てみます。

Photo

UNDP(国連開発計画)による『朝鮮民主主義人民共和国の農業復興・環境保護に関する円卓会議(Thematic Roundtable Meeting)-農業の基本的発展』(1998年5月)と、FAO (国連食糧農業機構)およびWFP(国連世界食糧計画)による『朝鮮民主主義人民共和国の作物収穫と食糧供給に関する特別報告書』による。 

ソ連崩壊前まで800万トンを超えた生産高が、もっとも落ちた96年には200万トンと4分の1にまで下落しています。現在は300~400万トンで推移していると思われます。

これはソ連の衛星国家では例外なくすべての国で起きた現象です。たとえば、キューバは、国際サトウキビ価格より高めの価格でソ連に売り、見返りに石油や穀物をバーター輸入していました。

国際市場価格より高めな差額が支援なわけです。これと同じ構造は北朝鮮も持っており、石油や機械製品、穀物などを安価に提供されていました。

それが一切なくなったわけです。ならば、それまでに国が一人立ちできるような農業の仕組みを作っていればよかったのですが、それを怠ってきました。

なぜなら、中国の核武装路線をそのままコピーしたからです。毛沢東の「パンツ一枚になっても原爆を持つ」という狂気の路線こそが、金日成独裁体制の安泰に繋がるという考えで原爆作りに国家のすべてを注ぎ込んだのです。

その結果、国内生産でもっとも絞りやすい農業に巨大な負担をかけました。百姓と油は絞れば絞るほど、というわけです。

これは社会主義国家が重工業化に向かう時にとる典型的な手段です。ソ連は、革命前のスローガンの「パンと平和」を投げ捨てて、農業に過大な税をかけ、自作農を兵隊に引っ張り、わずかな農地を取り上げて集団農場に追い込みました。

農業は制度的に自由な農民がするものです。社会主義は農民から農地を取り上げ、集団農場に追い込むことで、その初めのボタンをかけ間違えてしまったのです。

ありていに言って農奴、よく言って農業労働者が作る農業がうまく道理がありません。社会主義国が例外なく農業が弱点という体質はこのときに生まれました。

北朝鮮もまた農業集団化につきものの、穀物に中心に置く大型化、機械化、化学農業化を推進しました。 (欄外資料1参照)

そして加うるに主体農法といわれる超過植栽培です。簡単にいえば、今まで2畝のところに中央にもうひと畝作って収量を増やそうという農法です。

農法というより素人の思いつきにすぎません。元祖は毛沢東がやった1950年代の大躍進政策でした。中国と北朝鮮国民にとって不幸だったのは、命令をする独裁者がズブの素人だったということです。

独裁者の素人は、いかにも素人らしくただ種を沢山撒けば収量が上がると思い込みました。ああ、なんとアサハカな。

文革時代の中国の写真に、幼児が麦畑の上で(上でですぞ。中ではありません)戯れているといったものが麗々しくありました。

こんなに実ったぞ、と自慢したいわけですが、私たちから見れば、ああ連作障害起すだろうな、いやムレてウイルス性の障害起すだろうな、と容易に想像がつきます。

このように土壌に対して過大な収奪を行う場合、それを補うために化学肥料、化学農薬の多投を行います。これで一時的には持ち直しますが、中長期的には土壌が荒れて塩が浮き、使い物にならなくなります。

そして、北朝鮮の場合は特効薬の化学肥料を作る原油がソ連の崩壊と共に途絶えたために、一気に収量が崩壊しました。(欄外資料2)

これがギロチン・カットとなり、北朝鮮農業は破滅へと一気に突き進みました。

しかし、主体農法の無理がたたって農地と農民はボロボロでした。それだけではなく、農地の崩壊が全土に災厄をもたらしたのです。

それは飢餓のみならず、自然の治水システムの破壊による水害の連続でした。これについては次回にします。

■写真 桜と椿です。色調を落としてノイズを入れました。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 FAO北朝鮮農業レポート1998年

「70年代および80年代初頭には高水準の成功が得られた。(略)まったく当然なことに、こうした人工の投入物に強く依存した農業は、ひとたび資源の制約から高い投入水準をもはや維持できなくなれば、収穫の低下が起こりはじめる。
なおその上に、近年の洪水、干ばつ、極度の寒冷つづきで、それまでの農業システムの混乱と崩壊、そして、生産の激減が引き起こされた。」

■資料2 同上

「70年代および80年代初頭には高水準の成功が得られた。(略)まったく当然なことに、こうした人工の投入物に強く依存した農業は、ひとたび資源の制約から高い投入水準をもはや維持できなくなれば、収穫の低下が起こりはじめる。
なおその上に、近年の洪水、干ばつ、極度の寒冷つづきで、それまでの農業システムの混乱と崩壊、そして、生産の激減が引き起こされた。」

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コメント

北朝鮮のような貧しい国こそ、有機農法に回帰して地道に農業振興を図るべきなんですがねえ…
まあ、「先軍政治」などというバカをやってるうちはどうにもならんでしょう。
せっかく独裁者が交代した今こそ、民主化に舵を切る最後のチャンスのような気がしますが…。

朝鮮戦争が休戦して、南北で同時に「ヨーイドン!」だったはずなのに、衛星写真で見る夜の地球なんか…北は平壌以外は真っ暗じゃないか。
共産党独裁政治の末路です。

山形さま。ひょっとしたら書くかもしれませんが、キューバは有機農業の道を選びました。
私は5年ほど前に見に行きました。なかなか面白いですよ。

「有機大国」と呼ばれるほど技術的に高いということはないですが(わが国のほうが数倍進んでいます)、国家が力こぶを入れて有機に向かうとこういう国に生まれ変われるのだな、といういいケースでした。
北朝鮮と真逆ないい例でしょう。

たた、あれも、米国による経済封鎖が続いている中の徒花的なものがあり、いったん封鎖が解除されれば、すぐそこのフロリダなどから安価な米国産農産物が津波のように押し寄せるでしょうが。

そのあたりを判断した上でもキューバは確かに面白いですよ。

おおっ!
管理人さん近年のキューバを見てきたんですか(驚き)
やっぱり状況次第でやりようがあるんですよねえ。
キューバ危機なんて冷戦最悪の危機を経験した国がねえ…。

いまだにアメリカによる経済封鎖以前のオールドカーを大事に使っていたり…中南米に憧れる私も一度は見に行きたいです。

まあ、カストロさんすら禁煙しちゃいましたが、高級葉巻でも免税店でまとめ買いしたいですわ。

日本の農業は、もっと栄えてほしいです。
百姓という本来の語源の由来を考えると、今の老齢化してしまった農業者、漁業者、畜産者などから、きちんと、ノウハウや秘伝を、受け継いでいただいて、その土地ごとに、「勘考する農業者」が、たくさん増えることを、望んでいます。日本は、肉体的に大変な職業を、下位に見る傾向を感じています。
農業者を始めとして、介護ヘルパー、看護士、保育士、勤務医、、など
事実上、休みなく、働いてあたり前、で、かつ、収入と言う評価は、労働実態ほど、恵まれない状況です。

北朝鮮も、どうかと思いますが、平成に入って、ますます、社会主義的政策に移行しながら、自由で平和な日本を、演じている今日は、あまり他国を笑えないようにも思えます。

北朝鮮から満州あたりは、韓国以上に、寒い地域であり、温暖気候で、作られる作物は、育てにくいし、痩せた畑で、井戸も少ない高地農業は、国策として、農業支援しなければ、収穫増は、望めないでしょうね。

日本は、田んぼの普及につれて、灌漑設備やため池作りなど、ある程度、農業インフラも、進めた時代がありましたので、まだ、ましなのかもしれませんが、自然を相手にする農業は、本当に大変な仕事だと思います。

年1回の収穫スタイルですと、20年経験しても、20回しか、体験できない作業ですから、工業製品のように、迅速にテクニックを習得するのは、難しい職業だと思えます。

必ずしも、水や肥料をたくさん与えれば、収量が、増えるとは、限らない農業は、多くの知見を持ち、かつ、体力を持たなければ成し遂げられない業種なので、単純に、定年になったから、農業でも、やってみるかなどと言うものではない職業なので、センスのある農業者が、どんどん増えることが、将来の日本の安定に繋がると思ってます。

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