群馬県の愚行 牛の基準値の経過措置を無視し、基準内の牛まで殺した!
4月1日から放射能の新基準値が発効しました。
そしてわずか数日後の5日に群馬県の牛肉で、そして千葉県のタケノコとシイタケで基準値オーバーが発生しました。(欄外切り抜き参照)
群馬県の牛肉は106bq/㎏です。わずか6bqで引っかかったわけです。おかしな話ですが、一週間前に測定していれば問題なく流通したはずです。
また、99bqなら「安全」で、それを7bq超えると「危険」だという科学的な理由を知りたいものです。一年間摂取し続けても、おそらくはコンマゼロゼロbqていどの内部被爆量の上昇しかないはずです。
「問題がない」といえば、牛肉にはご承知のように経過措置がついています。
これは昨年産の米と、それから出るワラなどの副産物は去年のものが消費し終えて、新年度産の米が採れる10月までは経過措置が付いているからです。大豆なら1月までは経過措置がつきます。
経過措置終了時期までは(12年9月末日、12月末日まで)旧暫定基準値で流通させる、これが決まりなはずです。
にもかかわらず、なぜ群馬県は出荷自粛を命じたのでしょうか?
群馬県はこのときに、同じ畜舎で飼われて牛3頭の処分も「要請」しています。この3頭は基準値以下であったにもかかわらず、です。
こんな適用方法をしていたら、農家はまともに新基準値を運用しなくなります。その農場でただ1頭見つかった、その場合でも残りも処分ならば、誰が新基準値を守ろうとしますか。
これが未登録農薬の使用などといった農家の過失に起因するのなら分かります。いわば自業自得ですから。
しかし、放射能は違います。放射能は農家にとって天災に等しいのです。なんの罪科も私たち農家にはありません。
にもかかわらず、マスコミは面白おかしく書き立て、週刊誌は「食べてはいけない農産物地域別詳細リスト」を作って売り上げを伸ばすことでしょう。
昨夜のテレビ報道でも、ある局が意図的にか経過措置の説明を省いて、あたかも新基準に続々と超過が発見された、という報道をしていました。
ゼロベクレル派の消費者はパニックになり、いっそう関西や輸入農産物にシフトするでしょう。
農家は東電から保証がもらえるからいい、と平然と言う人がいます。私たちがロボットかなにかだと考えているのでしょうか。
金さえもらえればへへ~と頭を下げるとでも。冗談ではない。私たちは人間だ。家族のように育てた家畜をむざむざ薬殺して、なにが嬉しいことがありますか。
まして基準値以下まで薬殺するなどもってのほかです。このような基準値以下も風評を恐れて殺すなら、法律などはいらない。
このようないったん超えれば、経過措置があろうとなかろうと薬殺し、その畜舎にいた新基準値以内の家畜まで殺すなら、誰が新基準を遵守するものですか。
法律を破っているのは群馬県です。群馬県は法律をねじ曲げて解釈し、経過措置を踏みにじり、殺す必要のない家畜まで殺しました。
群馬県は法律を守りなさい!法律は約束です。行政が守らないならば、誰が守りますか!
群馬県は畜産農家を守りなさい。
■写真 梅です。やや水彩画調にしてみました。このところ画像処理がマイブームで、いかんなぁ。
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■群馬の牛肉が新基準値超 販売自粛と処分要請
産経新聞 2012.4.5 17:29
群馬県は5日、同県渋川市の農家が生産した牛1頭の肉から、4月に施行された一般食品の新基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える106ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。 牛肉には経過措置があり、9月末まで新基準値は適用されないが、県は関東農政局の通知に基づき、販売自粛と処分を要請した。同時期に処理された同じ農家の3頭は新基準値を下回ったが、販売先を見つけるのが困難なため処分される。
群馬県によると、4日に実施した検査で判明。配合飼料と県内産の稲わら、ライ麦を与えていたという。県はこの農家が今後出荷を予定していた2頭の出荷延期も要請し、与えていた餌の量や放射性物質濃度を調べている。
県では昨年7月31日以降に処理した牛の全頭検査を実施。100ベクレルを超えたのは肉用牛では初めてで、廃用牛を含めると4頭目となった。
■千葉県産タケノコなど100ベクレル超 新基準値初の出荷停止
産経新聞 2012.4.5
今月1日から適用された食品に含まれる放射性物質の新基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る放射性セシウムを検出したとして、政府は5日、宮城県村田町で採取された露地栽培の原木シイタケ▽千葉県市原市と木更津市で採取されたタケノコ▽福島県の酸(す)川支流で捕れたヤマメ-について出荷を停止するよう各県の知事に指示した。いずれも今月に入り採取・捕獲されたもので、新基準値に基づく出荷停止は初めて。
厚生労働省によると、村田町の原木シイタケから同350ベクレル、市原市と木更津市のタケノコからそれぞれ同110ベクレル、同120ベクレル、酸川支流のヤマメから247ベクレルが検出された。
また政府は同日、平成23年産米の調査で同100ベクレル超500ベクレル以下のセシウムを検出した地区の24年産米について、農林水産省が定めた条件を満たすまでの間、出荷停止を指示した。
農水省はこの地区での作付けを(1)収穫後の全袋調査(2)作付け前の除染(3)作付けする水田の管理体制の構築-などの条件つきで認めており、収穫されたコメは全袋調査で新基準値を下回れば出荷可能となる。
5日は茨城県常陸大宮、つくばみらい、守谷3市の露地栽培の原木シイタケ▽茨城県小美玉、潮来、つくばみらい3市のタケノコ▽千葉県我孫子市、栄町のタケノコ▽群馬県渋川市の農場から出荷された牛肉-から新基準値を超える放射性セシウムが検出された。ただ、牛肉は経過措置が設けられており、9月末まで新基準値が適用されない。
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個人的には、農林水産省が、いい加減すぎるのが、原因のように、思います。米、牛肉、大豆等の経過期間を厚生労働省に求めたのは、農水省でありながら、農水省が、都道府県に、指示したのは、100ベクレルを超えたものは、処分せよと言うダブルスタンダード指示をしていて、責任は、県にあるという風に逃げている点です。大体、冷凍保存する牛肉が、半年の経過期間で、すべて消費され、100ベクレル以上の検出は、されないと思う農水省の役人は、何を考えているのか、理解できません。
厚生労働省自体は、コーデックやEU基準など、国際基準を考えても、500ベクレル以下であれば、食品流通は、問題ないとの立場です。
農水省、厚生労働省、消費者庁、都道府県が、統一見解を共有せず、無用な情報を出して風評被害を拡大させていることが、理解できません。100ベクレル以下の肉を3頭も、処分させたのは、何のためなのでしょうか?
法律を守るべき公務員が、流通基準を守らない以上、風評被害は、無くならないと思えます。
投稿: りぼん。 | 2012年4月 6日 (金) 17時39分
群馬県は全くもって愚かな対応をしました。
これまで1年間の検査体制とデータはどうだったのでしょう?疑問が残ります。
2日前に山形でも移行期間を取らずに新基準適用との報道がありました。
もちろん「ブランド牛の価値」を守るためですが、その裏付けとして昨年から検査してきた実績と、宮城県栗原市産の稲藁飼料で痛い目をみた経験があってのことです。
群馬県…地元国立大の先生がシミュレーション地図を作って騒ぎたてて話題になった位ですから、あれを見れば群馬も栗原市同様に危険があることくらいは判りそうなものですが…。
100Bqという新基準と移行期間がありながら、それを無視して、同じ牧場だからと基準以下の牛まで処分などあってはならないことです。
農家への補償は県がなさるのでしょうか?
投稿: 山形 | 2012年4月 7日 (土) 08時45分