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2012年4月28日 (土)

すごいぞ、京都市“都市油田発掘プロジェクト”!    その3 ゴミバイエタで二条城の蟷螂が灯った

033

福島第1原発事故以降、自然エネルギーが真剣に検討され始めました。いいことです。

原子力が未だ完成された技術ではなく、安全性というもっとも重要なアキレス腱があることが分かってしまいました。

このような安全性が完全に確証されていない時期に、拙速な政治的再稼働を政府がしようとしたために、地元や周辺自治体のみならず国民から総スッカンを喰らいました。枝野大臣など日々ダッチロールです。

さて、自然エネルギーは風力、太陽光、揚水、水力、地熱などいくつもあります。今後、思わぬものからエネルギーを取り出せることが続々と分かってくることでしょう。

ある時は藻から、ある時は廃棄物からさえも!

私は自然利用エネルギーと区別して、循環型エネルギーも新時代に突入していると感じています。

それを確信したのは、先日、TBS「夢の扉」で放映された「都市油田発掘プロジェクト」をみたからでした。

今までただ燃やすだけだったり、埋め立てに使うだけだったゴミがエネルギー源になるというまさに夢のような話でした。

この計画は京都市が進めるゴミ廃棄物からバイオエタノールをとり出して、エネルギー源にしてしまう、という刺激的なものです。

バイオエタノールは、「地球にやさしい」という謳い文句で登場しました。しかし、その内実たるや、「食料を燃やして車を動かす」とでもいうべき野蛮なシロモノでした。

こんなものからは飢餓しか産まれません。食料危機が叫ばれる21世紀に、なんというバチ当たりな!

トウモロコシやサトウキビからは簡単に発酵してバイオエタノールが取り出せます。それは植物が糖分を持っているからです。

ですから、木材チップでも紙からでもバイオエタノールは抽出することが可能です。ならば、紙クズからもできるはずだと考えたのが京都市環境戦略課の山田一男氏でした。

しかし、この紙クズバイエタには大きな壁がありました。それは紙ゴミが雑菌の塊だったからです。それに打ち克つ発酵菌が存在しない、これがネックで今まで実用化が出来ないでいました。

実用化ができさえすれば、こんなスゴイものはありません。今処分に困っている都市のゴミ問題も一挙に解決するばかりでなく、ただ燃やすのではなく、エネルギー源に転換するのですから。

しかも廃棄物バイエタは、天候条件に左右されやすい自然エネルギーとは違って、24時間営業、365日稼働、しかも原料ときたらほとんど無尽蔵です。

山田さんは、汚染に負けない発酵菌の開発を熊本大学の発酵学の権威・木田建次教授に以来しました。そして木田先生は、見事2年がかりでこのスーパー酵母の開発に成功するのです。

完成したスーパー木田酵母は、単に汚染に負けないタフな酵母であるばかりではなく、使用後にまとまりやすく回収が容易にでき、再利用が可能というすぐれものでした。

スーパー酵母が完成するまでの2年間、山田さんたちは日立造船と提携してゴミ・バイエタの実証プラントを作っていました。

原料にあたる紙を、多種多様なゴミの中から選別することが必要でした。この選別技術は現在、かなりのところまで実用化されて、各地で稼働しています。

この実証プラントも日本で初めてだったが故に(ということは世界初ですが)、試行錯誤の連続だったようです。

日立造船の担当者は、笑いながら「山田さんが上司だったら参ります。なぜできない、とすぐ言うんです」と語っていました。

出来上がった実証プラントは、木田酵母の完成を待って、京都市西京区の西部圧縮梱包施設に設けた試験設備を使い、3月から始められました。

まず、ゴミは破砕され、遠心分離を利用した大きな洗濯機のような分別機を通して生ゴミと湿った紙の重量ゴミ、そして乾いた紙やビニールの軽量ゴミに仕分けられます。

更にその中のビニール類が取り除かれて繊維状になった紙が分離され、一気に脱水器で水を絞って、これで原料の紙パルプができます。

ここで、木田先生の苦心の2倍培養したスペシャル酵母が反応槽に投入されて、酸素をと水を加えながら5日間ほど発酵をさせるとバイエタの素とでもいうべき発酵もろみが出来上がります。

ここまでできればあと少し。この発酵もろみを蒸溜塔で加熱し、気化したバイエタのみを回収します。これで完成しました。書くと長いですが、自動化されているためにかなりの高速で蒸溜が終了しているようです。

この5日間、山田さんや木田先生、日立造船の人たちは、毎日産まれる子供を待つ父親のような気持ちだったことでしょう。

そして5日後、反応槽のコックをひねると、タラタラは透き通ったバイエタがビーカーに注がれていきます。ほのかなアルコール臭。初抽出されたエタノールの原料は、市内の小学校や大学から排出された古紙と一般家庭の生ごみを7対3の割合で混ぜた廃棄物。酵素と酵母を加えた反応槽で5日間かけて糖化・発酵させた。」(京都新聞)

現在はこの実証実験の成功を受けて、本格的なプラント構想に入っているようです。

実用化にあたって問題となるのは製造コストですが、これも本格的に稼働するプラントが拡大していき、スケールメリットがとれるようになれば格段に下がるはずです。

「試験設備の設置費を除いた1リットルあたりの製造コストは約120円。エタノールのエネルギー量はガソリンの3分の2程度とされるため、市販のガソリンに対抗するにはさらなるコストダウンが必要だが、「紙と生ごみの混合割合を精査したり酵母の改良を重ねることで、コストを下げることは十分可能」(市環境政策局)という。」(同上)

循環型エネルギーの新しい扉を開いた廃棄物バイエタ。山田さんたちは反応槽から出た最初のひと滴を、美酒のように眺めたと思います。

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コメント

京都市は、てんぷら油で作った自動車燃料、今回のバイオ燃料、液化していない天然ガス自動車など、まだ、完全に実用化されて、普及に至っていない、特に、ガソリン、軽油の代用品燃料開発と公用車による実証実験を、早くから、取り入れていました。
京都ではないですが、家畜の糞によるメタンガスの有効利用など、自然界や、リサイクル、燃料の地産地消については、市町村レベルでの研究や個人ベースの研究は、結構進んでいて、もうすこし、開発投資費用を、投入すれば、実用化可能なものは、いろいろあるようですが、既存大手電力会社や石油元売業者さんなどが、法律的に、大手に独占状態を、暗に認められているため、産業として、大きく育っていくことは、難しいように思います。

愛知でも、てんぷら油燃料で、動いている商用車やいろんな燃料車も、実用テストをしてましたが、なかなか、大きく広がって行きません。

うちも、タクシーのような液化天然ガスではなく、気体の天然ガス自動車など、使ってみたことはあるのですが、ガススタンドが、非常に少ないこと、気体の天然ガスは、タンクがLNGタクシーより、3倍以上あっても、走行距離が短いとか、ガス欠時の対応が難しいなどあって、完全実用化には、至りませんでした。エンジンも、軽油と天然ガスと両方使える、そういうハイブリッドエンジンも完成しましたが、世間で、受け入れられないまま、低燃費ガソリン車や、トヨタ風のハイブリッドに押されてしまい、実用実験段階で、ストップしてしまいました。

家庭のてんぷら油廃油による自動車燃料も、公用車で、使いましたが、安定供給が、出来なくて、今のところ、愛知では、ほんの一部の自動車のみで、使われているだけですが、なんとか、輸入化石燃料に大きく依存しないシステムが、標準になると良いですね。

家庭用てんぷら廃油による石鹸工場も、パーム油など、インドネシア産の価格に押されて、また、界面活性剤入りの石鹸類の方が、洗濯機には、合うようで、社会への受け入れは、まだまだです。

天ぷら油使用改質ディーゼルは、中心商店街と連携と一般家庭への周知が必須。山形程度の街でも地下駐車場に小さな処理機とステーション設けて、配送車2台に使ってます。

LNGはわかりません。圧縮して普通に使うには大きなプラントが必要なのでしょうか。

まあ、しばらく前の「夢への扉」では、廃発泡スチロールからディーゼル燃料にする機械を開発して、古くて余った魚箱を漁協で再利用なんてのもありましたね(三重県だったか…)

いずれにせよ、ゴミから手軽に軽油を取り出せるわけで、トラックやフォークリフト、漁船はたまたストーブなどに使えるわけで、無駄がありません。

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