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2012年4月26日 (木)

放射能問題における「バカの壁」

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ゴミ焼却からバイエタの3回目の予定でしたが、少し違うことを書きます。

放射能問題は、もはや養老孟司先生のいう「バカの壁」になりつつあります。

流行語ともなったので、ご存じの方も多いと思いますが、「バカの壁」とは、自分の回りに「壁」を作った状態の人たちの思考状態を指します。

同じような「壁」を作った人たちとだけのコミュニケーションしか存在せず、その内部だけでどんどん煮詰まっていきます。

そしてやがて「壁」は高くなり、少し前までは食品基準値を300ベクレルでは高すぎる、半分以下にしろと叫んでいた人たちは、100ベクレルになったとたん、いや5ベクレルでも危ない、もはやゼロベクレルしかない、という風にエスカレートしていきました。

私は、ゼロベクレルを唱えるある人から、「原発事故前まではゼロなのだから、5ベクレルだって5倍、いや無限倍に脅威が増大したのだ」と言われた時には、返す言葉もありませんでした。

たしかに去年までは仕方がない状況がありました。政府が情報の操作・隠匿を率先してやったからです。あのように情報がブラインドされてしまっては、風説、デマがはびこって当然です。

その風説の最たるものは、「東日本は終わった」という東日本全体を危険地帯視する言説でした。

初めての原発避難者に対する社会学的調査である「原発避難論」(山下祐介 開沼博)によれば、計画的避難区域以外の自主避難者のほぼ全員が武田邦彦氏と早川由紀夫氏に強い影響を受けたと回答しています。

しかし、あれから既に1年以上たっています。情報は官公庁、自治体、研究所などから豊富に提供されてきています。知見においても、客観的なものが多数ネットで閲覧できます。

にもかかわらず、あいもかわらず「東日本は危険地帯だ」とする「壁」は消滅していません。

いや、大部分の国民の間ではほぼ消滅しているのですが、「壁」を築いた人たちの間ではいっそう強固になるようです。

状況は日々刻々変化し、情報はもまた更新されているというのに、「絶対の真実」がどこかにあるという思い込んでいます。

そのような人たちは、回りの人たちが情報を更新してバランスのとれた考えをすることを「風化」と呼びます。自分たちだけが正しいのですから、それから逸脱するのは「風化」というわけです。

それが高じると、「壁」の外にいる人達が間違っている、啓蒙して「正しい思想」を注入してやらないとダメだ勝手に思い込むようになります。

この世には百人の人がいれば百通の説があっても当然なのに、それに耐えられません。そして「壁」の外に分かって攻撃を開始します。攻撃的に、戦闘的に、そして執拗に。

まるで中世の異端審問官です。これは冗談ですが、彼らが権力を握っていたら、山下俊一氏や中川恵一氏などは火あぶりにされていたでしょう。

私は、「壁」の中の人たちが信奉するバンダジェフスキー氏やトンデル氏を頭から否定しようとは思いません。(バズビー氏は学者というより政治的運動家ですから別にします。)

バンダジェフスキー氏は、ベラルーシ独裁政権の弾圧下という限られた条件で限られた事案を分析し、国外へ持ち出しました。

その限定された条件下での彼の結論が、放射性セシウムが臓器に蓄積されて障害を引き起こすというものであったとしても、それは真実の一断面を切り取ったものだと思っています。

トンデル氏は極北の遊牧民の体内に、トナカイ肉やコケモモ、キノコなどから内部被曝し、セシウムが多くの後障害を起したとしています。

私はそれもあるかもしれない、と思います。ただそれだけです。多くの未だ全貌が分かっていない放射能禍という巨大なジグゾーパズルのひとつのピースにすぎません。

バンダジェフスキー氏の50数例の事案からすべてを解き明かすことには無理がありますし、トンデル氏の検証した北極圏に住む狩猟民と私たち日本人を比較することも意味がありません。

内部被曝が食によるのなら、風土に規定される食に濃厚に影響されるからです。日本人はトナカイ肉もコケモモも食べません。

ある特定のケースを全体にあてはめて普遍化するような考え方は、放射能被害の全貌を見誤ります。

瓦礫処分反対に関しては、度が過ぎた行き過ぎです。これは去年まき散らされた「東日本汚染地帯論」が肥大したものです。

これはリクツもデータもなにもない、ただひたすら東日本を危険地帯として、連帯を拒み、いや連帯することをすら口を極めて罵って恥ません。

被災地と繋がりたいと思う私たちが幾度となくデータを出してもまったく読まないし、私たちの出す「岩手、宮城の瓦礫が放射性瓦礫ですか?」という問いにすら答えません。

反対している両県の瓦礫が放射性廃棄物なのかどうなのかすら押えないで、反対運動もないものだと私は思います。

このように書くと、いっそう依怙地になるかもしれませんが、「壁」の中だけが世界のすべてではありません。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

monakaさんのコメンイトを転載します。

たいへんにまとまっており、私も知らなかったデータもご教示頂きました。ありがとうございます。

また、岩手県の方からも頂戴しました。まだ苦難は続きますが、お体にご自愛くださって、一日も早くふるさとが復興されることをお祈りします。

以下、monakaさんのコメントです。

この場をお借りして、首都圏のママさんにお返事です。
私も、汚染の低い場所には汚染の高いところで出た焼却物を持っていくべきではないと思います。
岩手、宮城の津波で出た瓦礫は、その瓦礫より高濃度の放射性物質を含むごみをすでに毎日焼却している自治体にお手伝い頂けたらありがたいと思っています。

「宮城県も岩手県も、セシウムが降下したことが確実です」とおっしゃるのを拝見すると、正確なデータをご覧になっていないのではと思います。去年、文部科学省がアメリカと共同で行った東日本各地の空間線量と放射性物質の沈着量のデータがこちらにあります。

http://radioactivity.mext.go.jp/old/ja/monitoring_around_FukushimaNPP_MEXT_DOE_airborne_monitoring/

また、去年7月時点での東日本各地のごみ焼却炉の焼却灰の放射線量の公式発表があります。これは、その土地に降った放射性物質の多寡の目安になると思います。
http://www.env.go.jp/jishin/attach/waste-radioCs-16pref-result20110829.pdf

ところで、「現地で処理するたった1割か2割」とおっしゃいますが、それは「そのくらいでもいいから受け入れてもらえたらありがたい」量であって「それで十分」ではないのです。
たとえば、石巻の瓦礫は現地だけで処分しようとすると、100年かかる量です。
岩手でも宮城でも、すでに焼却炉を何基も建てて処理していますが、追いつきません。

おっしゃるように、汚染されていない西日本を綺麗に保ちつつ、津波によって発生した大量の瓦礫による害(不衛生、火災の危険、復興計画の遅延)から津波被災者を救ってもらうことが可能だとすると、それは先に言ったように、津波瓦礫よりも高濃度の放射性物質を含むごみをすでに毎日焼却している東日本の自治体に協力してもらう以外ありません。

残念なことですが、原発事故以前から日本各地で焼却灰の他県委託が行われているために現在も、津波による瓦礫の焼却灰の比ではない放射線量の焼却灰が首都圏から他県に運び込まれ、埋め立てられています。
去年は国の基準値を超える焼却灰が千葉から持ち込まれた秋田県が、首都圏からの焼却灰受け入れを拒否しました。

http://www.asahi.com/national/update/1203/TKY201112030123.html

とばっちりで、国の基準値以下だった埼玉などの焼却灰も受け入れてもらえなくなったのは気の毒ですが、誰しも自分の土地のごみ焼却灰より高い線量の焼却灰を受け入れるのを忌避したいのは理解できます。想像ですが、もしかしたら、本来なら低レベル放射性廃棄物処分場に封じ込めるべき線量以上だったのかもしれません。
http://www.city.kazo.lg.jp/hp/menu000010200/hpg000010187.htm

話がそれてしまいましたが、こういったセシウムが多く降下した地域のごみ焼却炉で津波の瓦礫を燃やしてもらうのが、理想だと思うのです。
もちろん、受け入れなければならない義務も法律もありません。
科学的理性的に判断したうえで人助けをするかしないか、それだけです。断ったからといって非難されるべきではありません。

ところで、ネット上で「岩手県宮古市の瓦礫を受け入れた東京(品川)が放射能で汚染された」というデマを見てとても悲しく思うとともに、デマを目にして真偽がわからずご心配の方もおいでかと思うと、とても心苦しいです。

空間線量でのデータなのですが、宮古の瓦礫を燃やし始めたら、その近辺の線量が低くなった公式データがあるので、こちらにリンクさせていただきます。

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/resource/disaster-waste/docs/ukeire_231130.pdf

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

大変やんわりと書かれていますが、私も養老孟の「馬鹿の壁」そのものだと思います。

自分達の主張こそ絶対で、他人の意見には耳を貸さずに尖鋭化していく。
あくまで私の私見だと断っておきますが、まるでかつての浅間山荘へ向かって破滅への道を辿った方々のように見えます。
各地で「受け入れ反対」を旗頭にして圧力や脅迫まで起きている現状ですから。

もちろん「汚染物質」なら、極力拡げずに処理すべきだと思います。
ところが残念ながら、汚染物質を東北に拡げているのは、首都圏そのものです。

monakaさん。見てらっしゃいましたら…
岩手の方ですか。お見舞い申し上げます。
とばっちりどころか、こちらでは埼玉県から持ち込まれた焼却灰が1万ベクレル越えて、お持ち帰り頂きました。
自分の意見の無いのが首都圏のママさんです。彼女が相変わらず提示されたリンクへの対応、紳士的かつ適切なデータ提示ですね。
岩手や宮城といっても広くて地域により被災状況や地形・瓦礫の状態は千差万別ですよね。
深刻な沿岸部の津波瓦礫は、首都圏より間違いなく低いですね。

都市部の管理型最終処分場へ、持ち込まれる地元で発生した不燃ごみと焼却灰ですが、岩手から送られてくるコンテナに入れられた木材チップより、うんと、汚れています(放射性物質以外の毒物により)し、あんな丁寧なチップ加工は、都市部では、全くしないで、プラスティックごみとの混合割合で、高温焼却するだけの都市ごみからすれば、きれいなもののように、思います。汚染と言っても、放射性セシウムで、100~150ベクレルですから、この木材チップを、燃やさなくても、堆肥のように、土と微生物に混ぜれば、1年もすれば、汚染量は、かなり減るような感じさえ、思えます。
この中で、育ったミミズなど、有機物に移動して、野生いのししあたりの肉の汚染蓄積が、生じるかも知れませんが、野生いのししの肉を食べない生活を選べば、いのししが、自然死するころには、いのしし肉が土壌に戻ったところで、汚染数値は、極端に増えず、どんどん分解するのでは?と思ってます。東北と違い、西日本は、山中自体が、特に汚染していないので、汚染しやすい地衣類やきのこ類、たけのこ類などは、正常値ですから、こちらで燃やすことは、体積を減らす以外のメリットはないと思えます。
つまり、セシウム汚染だけで考えれば、大騒ぎする量ではないと言う事ですね。サンドイッチ工法の埋め立て方法で、充分、表面での放射線量はクリアーできると思えます。

それより、管理型最終処分場のオーバーフロー地下水と雨水は、重金属や、毒物、放射性物質の定時濃度測定義務がないので、放射性物質に限らないで、毒性の高さを比較すれば、岩手の震災がれき木材チップより、都会の焼却灰の方が、余程、汚れていると思います。

あらゆる可燃物を混合焼却していて、取り扱い量も、非常に多いですので、灰に濃縮される危険物は、100ベクレルの木材チップの灰より、汚染濃縮度は、すでに高いと思ってます。

http://www.pref.aichi.jp/0000017984.html

このような、施設運営基準に、放射性物質の規制基準を、示してもらえば、良いだけの話なのですが、政府は、ほとんど、これらの関係法令に、触れないで、心情的な受け入れお願いだけしかしていないのが、気になります。

http://www.pref.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000049/49294/kaitousho.pdf

これらについて、きちんとした態度を、政府が取れば、受け入れ自治体も増えるでしょうが、残念ながら、受け入れは、各自治体で、責任を持って、自主的判断しなさいと言われるから、もし、8,000ベクレルを超えた灰が、出来てしまったら、その自治体は、普段の家庭ごみの処理が、一時止まってしまうので、なかなか、OKを出せないのだと思えます。このはっきりしない政府の態度と科学的裏づけのある真摯な政府の説明が、未だ、全くない状況ですから、ことが、前に進まないのだと思います。一般廃棄物処理場は、市町村運営が多いですから、事業主体でない、都道府県に、国が、ただ、お願いしますと言う言葉だけで、A4ぺら1枚の要望書を知事に手渡しされても、その知事は、市町村へ説明するデーターを持ってませんから、市町村への説明に苦慮しているのだと思います。

内閣府原子力安全委員会は、4月1日以降、原子力産業推進政府に対して、政治的に、コメントや批判などをしてはいけないと、くぎを刺されているとのことです。

よって、大飯原発再稼動問題でも、安全より再稼動が先と言う、枝野経済産業大臣の政治主導の名の下に、一切の発言が出来なくなっているようです。

当然、経済産業大臣は、国民の生命財産より、経済活動を推進する省庁ですから、危険な原発も、早く動かすのが、使命なのだそうです。(昔の軍隊と同じ、国民は、玉砕せよ。ということらしいです)

今度、水素爆発したら、関西、中部の経済活動への深刻なダメージと、海外に対する日本製品の信用失墜など、枝野氏が、大臣を辞めれば解決する問題ではないですし、福井県大館町民でさえ、原発産業依存度が、住民の約4割だそうですが、安全、安心を条件に、再稼動を認めると言うスタンスの発言が、地元説明会で、ほとんどの住民がされたそうですが、安全、安心については、納得していない。
地元住民や地元工事関係者に、安全システムの新たな構築によって、地元民の原発依存会計から、だんだん脱却していくのが、ありがたいと言っているのですから、
政府4役?が、勝手に再稼動を認めるという強行路線は、地元設置自治体も、無条件で、賛成している訳ではないのに、もうすぐ再稼動が、始まってしまうのは、科学的には、世界の趨勢に反していることが、保安院も枝野大臣も、わかっていない状態です。

食品の放射線ゼロを求める人は、当然、福島第1以外の原発が、世界標準になっている安全装置を装着していない日本の原発の再稼動を、無条件に認める政府に対して、何のコメントもなく、再稼動が出来てしまえば、100ベクレルは、危険な農産物なんて、言ってる場合でなく、国産農産物が、これ以上膨大に汚染されるのを、承諾してしまうことに、なりそうですが、どうなんでしょうか?

西日本も汚染されれば、国産農産物は、商品としての流通価値が、ほとんど無くなってしまうと思えますが。。

全電源喪失しても、高圧ガスによるウエットベント装置とか、いろんな危機回避設備が、現実に、海外では、装着されているのに、検討すらしないと言う経済産業官僚達。

大飯原発の直近に、原発関係キャリヤ官僚の公務員宿舎を作ってほしいものです。

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