すごいぞ、京都市“都市油田発掘プロジェクト”! その1 バイエタのウソクササとは
先週22日の日曜日にTBS「夢の扉」で放映された「一般ゴミからバイオエタノール」はたいへんにエキサイティングでした。
私は、「自然エネルギー」という美名をかぶったバイオエタノールがかなり嫌いです。「地球に優しい」という修辞もかなり眉唾だと思っています。
カーボンニュートラルといって生育過程でCO2を吸収するから、燃焼・排気する時に出るCO2と打ち消し合うというリクツ自体がうさんくさいじゃないですか。
それはどこかの頭のいい人が考えたレトリック、いやトリックだと思います。第一、都市で排気出して走っているのですから、現実はなにも変わっちゃいません。
第一、食い物を燃やすという発想が、農業者として怖気が出るほどイヤです。
穀物の国際市場価格はなにが変動原因かちょっと考えてみましょう。世界の穀倉の米国やウクライナの収量?それとも中国のバカ食い?
それもあるのですが、実態は原油価格です。原油価格が上昇すると、ガソリンの価格が上昇し、そしてガソリン代替物が上昇します。それがバイオ・エタノールです。 (下図参照)
表は九州大学大学院農学研究院伊東正一教授によりました。
このグラフを見ると、原油価格と穀物価格がパラレルに上昇しているのがわかります。
それはヘッジファンドのハゲタカ共が、それを見越してバイオ・エタノールの源材料となるトウモロコシにまでホットマネーを注ぎ込んだ結果、トウモロコシ価格が上昇していったからです。
そしてトウモロコシが上昇すると、 他の穀物相場の大豆、小麦、コメなどにまで波及して穀物相場全体が原油高騰と並行して上昇していきます。
これが世界の食料事情に悪い影響を与えます。トウモロコシを餌とするわが国の畜産価格、小麦、コメなどの主食関連、そしてもっともしわ寄せを喰うのは貧困国における穀物価格の上昇です。
スーダン、エジプトのジャスミン革命の背景には、この穀物相場の上昇がありました。風が吹くと桶屋がもうかるではありませんが、世界的飢餓の大きな原因がバイエタであるのは確かです。
まったくとんでもない「地球にやさしい」」もあったもんです。
*関連過去ログhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-e331.html
ああ、いかん、バイエタの悪口だけで終わってしまう。しかし、バイエタ技術そのものはそう悪いものではありません。使い方が間違っているだけです。
バイエタは人間の食と競合するものから作るべきではなく、廃棄物から取り出すべきなのです。
なぜなら、食と競合しないのはもちろんですが、廃棄物は無尽蔵だからです。廃棄物をただ燃やしてオシマイなのはあまりに能がなさ過ぎます。
さて、ここで京都市環境政策局職員の山田一男氏をご紹介します。パチパチ。
実を言うと、私は役人は好きではありません。発を感じた役人があまりに少ないからで、たまに出合うとその人は職場で孤立していたりします。
しかし、この京都市の役人・山田氏はとてつもない「熱」を持った男でした。彼が今追いかけているのは、「都市を油田化する」という途方もないことです。
山田氏は廃棄物処理一筋27年の「ゴミのプロ」です。いままで彼が手がけた仕事は、環境センターの発電所化などがあります。
これもスゴイ。うちの県の環境対策のお役人に見せてあげたい。いままでただ燃やしていたり、せいぜいが温水プールを作るくらいていどだったのが、コミを燃やす熱でタービンを回して発電してしまうのです。
「ゴミを都市の資源と見なす」という山田氏の一貫した姿勢がはっきり出たプロジェクトでした。
山田氏は「都市鉱山」も手がけており、廃棄された携帯などのマザーボードからのレアメタルや、金の回収に成功して実用化しています。
これだけでも充分にズゴイのですが、これで終わらない。というか、ここからが始まりなのです。
山田氏が現在全力で取り組んでいるのが、ゴミ廃棄物のバイオエタノール化です。名づけて“都市油田発掘プロジェクト”。そそる名前ですね!
というところで、長くなりましたので、次回も続けます。
■写真 カメリアの華麗な花のトンネル。
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