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2012年5月

まだ脅威が残る湖の放射能

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このところあまり記事には書いてこなかったのですが、放射能との闘いは継続されています。

今日は午後いっぱいかけて、茨城大学の先生2名と、こちらの農業者が参加して、霞ヶ浦周辺の水田と、湖の自然植生帯の放射能測定を行います。

霞ヶ浦は全国的に見てもちょっと変わった地形です。一般の河川が長い距離をかけて湖に到達するのと違って、いくつもある水源の山林から流れ出した小河川は、10キロ以内で湖に一気に集中します。

そのために、水源の汚染がそのまま湖の水質に影響してしまいます。生活排水や農業や事業用排水の影響を被りやすい地形だといえるでしょう。今回の原発事故の場合、それは放射能でした。

さて、昨年の原発事故は平地もさることながら、山林に多くの放射性降下がみられたのが特徴でした。

空中の塵や水滴に付着した放射性物質は、折からの風で運ばれ、雨で地表に落ちてきます。その時に、畑や水田の上にあった作物にはうっすらと放射性物質が付着するのですが、これが外部被曝となります。

この作物の外部被曝は、3.11以後の約2カ月間前後の期間、そうですね,ちょうど去年の今頃まで続きました。

思えば、この時期の畑は閑散としており、畑で収穫期を迎えたのはごく限られた葉ものなどと小麦などでした。

水田は田起こしの直前であり、床土に被曝したものの、放射性物質の大部分は農業用水から河川を経て水系に流出したと思われます。

この事故が畑が満開となる夏場や、米の収穫期の初秋にかけて起きたなら、農業の被害はあんなものでは済まなかったでしょう。不幸中の幸いとでも言うべきでしょうか、複雑な心境です。

田畑は草を刈り、丁寧に10~15㎝(プラウ耕で30㎝)耕すことによってさまざまな形で土壌中の粘土質や腐植物質に吸着し、封じ込められることが分かりました。

現実に、3月中旬に100~400ベクレル/㎏あった土壌は、耕耘を重ねるごとに急激に線量を下げていき、数回の耕耘で8分の1から10分の1にまで減少します。

作物への移行も、当初予想されたよりはるかに限定的だということが分かってきました。移行率は1000分の1程度であり、それも急速に減少しました。

これが私たち農業者が感謝の念と共に言う土の遮蔽効果、別名、「土の神様の力」です。

農地は、こうして都市の煽動家たちの無責任な流言蜚語をよそに、急速に放射能の影響下から逃れ始めていきました。

さて現時点で、わが茨城県においては、農地の放射能の脅威はほぼなくなりかかっているといっていいでしょう。今年の作物は、一部のタケノコ、シイタケを除いて検出限界5ベクレル以下であるはずです。

しかし問題はこれで終わったわけではありません。山林と水系、特に水が滞留する湖や池の汚染はそのままの状態です。

わが県の山林汚染のデータは下図にあるとおりです。(常陸太田市在住・布施氏計測による)

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この測定結果は県北部でのものですが、セシウムはおもに地表面にある去年の落ち葉に付着しており、平均4800ベクレルていどです。

一方、今年の落ち葉は最大値で270ベクレル、平均で129ベクレルと30分の1でした。これは3.11後の放射性降下による落ち葉の外部被曝が山林の落ち葉に付着したものの、新たな落ち葉には影響が少なかったことを現しています。

この去年までの落ち葉が雨などで沢水に流れ込んだ結果、谷津田の沢水取り入れ口周辺汚染度を高めました。

去年発生した福島県の暫定規制値超えした米はこの落ち葉が水田に流れ込む沢口周辺で起きています。

下の写真をご覧いただくと、耕耘した農地と、その周辺の山林の空間線量の差に気づかれることでしょう。(茨大小松崎先生による)

これは放射能が、農地や住宅地に達する前に山林がブロックして、そこで食い止められていることを示しています。まさに山が守ってくれたわけです。Photo

土壌中のセシウムは、しっかりと固定されているのでそう簡単に移動して汚染を拡大することはないのですが(*土壌からの水溶性率は1%ていどとみられている)、落ち葉は水に流れ込み水系を辿り、やがて湖に達します。

また湖は、海洋と異なり対流がないために、放射性物質は沈下して湖底の泥や、湖岸の植生帯に沈着していることが想像されます。

霞ヶ浦のような、山林からの水源が一カ所に集中する湖は、その意味で今後とも注意して監視すべき地形なのです。

■写真 こちらは霞ヶ浦の妹分の北浦です。私の村では、北浦が本流であると思っているらしく、霞ヶ浦を西浦と呼んだりもします。

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太陽光は日本製を買おう!

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りぼん様。私の経験はビンテージものですから、お役にたつかどうか。なんせ十数年くらい前の話ですから(笑)。

お勧めとなると、心情的にはシャープでしょう。イオンだと京セラです。ヤマダ電気に行って多少安くても中国製を買うのだけはやめて下さいね。

さて、あの頃は、シャープが世界の太陽光の代名詞だった時期です。シャープ は石油危機で節電が話題になるはるか以前の1959年から研究を開始し、63年にモジュールの大量生産に成功しています。

その後は、66年灯台用、76年人工衛星用、同年に電卓用と、この分野の文字通りの先駆者でした。シャープが太陽光の時代の扉をこじ開けたと言ってもいいと思います。

ライバル京セラとは抜きつ抜かれつの熱い闘いを繰り広げており、2000年にとうとう京セラを抜いて世界生産量トップの座に君臨することができました。さぞかし美酒に酔いしれたことでしょう。

私がNEDOの補助で取り付けた時に、家庭用としては希少例だったためか、かなりランクの高い方がわざわざ陣頭指揮をとる、という力の入れぶりでした。

あの時にこの方が私に言った、「シャープは電気洗濯機はもう作りません。液晶テレビと太陽光だけで勝負する会社に生まれ変わるんです」という言葉が忘れられません。

その言葉どおりに、シャープは太陽光と液晶薄型テレビに特化した高い技術力を誇る会社として認知されていくようになりました。私はこのての会社には好感を持ちますね。

わが家のシャープ製太陽光システム・サンビスタはまったく壊れることなく10数年稼働し、その間まったくメンテナンスなしでも電気をまめに作り続けました。一回だけインバータ(直流を交流にする装置)が故障したときには、無料で新型に交換してくれました。

震災時にも一時停止したもののすぐに復旧し、システムに異常もなく今日も元気で電気を生産しています。

中国製は震災時に簡単に壊れたという話も聞きますから、やはり製品としてのクォリティが高かったのでしょう。

今は旧来の結晶シリコン型だけではなく、薄膜シリコン型に移行して、もうひとつの花形商品である液晶テレビのTFT技術の共有化に進んでいるようです。

ですから製造工場も、2010年からは液晶テレビと同居して堺工場で生産して合理化を進めています。

また結晶、薄膜型のみならず、次世代太陽光として変換効率が極めて高い単結晶化合物太陽光電池の開発にも成功しており、2011年にはインジウムやガリウムなどを用いた化合物三結合型太陽光電池で、実に変換効率36.9%という驚異的記録を達成しています

変換効率の理論上限値は25%といわれていましたから、それを10%も上回る数値でした。シャープの技術力の高さが分かります。しかし、この王座の地位は長続きしませんでした。

経済産業省は、国内で補助金をつけて徐々に太陽光を拡大する方法をとっていたのですが(私の設置はこの時期です)、これを2005年に廃止したのですが、この時期がヨーロッパの全量・固定価格買い取り制度(フィードインタリフ・以下FIT)開始と完全にぶつかってしまいました。不運としか言いようがありません。

まさにこの前年の2004年にドイツを皮切りに、ヨーロッパ全域でFITの猛威が吹き荒れます。

今までさんざんFITの悪口を書いてきたので、過去記事をご覧いただきたいのですが、要するに、馬鹿げた高値で、おまけに実に20年間固定で買い取るという仕組みだったわけです。

ただし毎年少しずつ買い取り額が安くなっていくために、早い者勝ちという投機的な空気がヨーロッパ諸国を覆いました。

結果、互いに競い合うようにして、銀行の利子よりはるかに高く、国債よりも確実に儲かる太陽光に投資したのです。

農家は納屋を新築してパネルを置き、勤め人は友人と共同出資して風車を建設し、年金生活者も太陽光ファンドを購入する、といった太陽光狂協奏曲となったのです。

かくしてこのFITは、全世界の太陽光の生産量を、2005年に1700メガワット、06年に2500メガワット、07年に3733メガワット、08年には6941メガワット、09年にはとうとうギガの大台に乗り10.9ギガワット、そして翌年にはそのまた倍の23.9ギガワットという飛躍的増加をもたらしました。

太陽光を伸ばすという初期の目的は大成功したと言えます。ただし、ヨーロッパはその成功の代わりに、財政破綻と国内グリーン産業の壊滅、電気料金の高止まりといった代償を支払わねばなりませんでした。

一方日本は、世界的導入量においては05年のFIT開始1年目のドイツに抜かれ、08年にはスペインにまで抜かれてしまいました。

また太陽光モジュールの製造量でも首位をあけ渡し、10年に10位以内にいるのはシャープのみといった惨状になってしまいました。残念ながら、日本の太陽光産業は世界的上げ潮に乗ることができなかったのです。

下図を見ると、10年にドイツを抜き返すも、中国・台湾勢にシェアを譲って居るのがわかります。特に中国製がいかに猛威をふるったのかは見てのとおりです。(一橋ビジネスレビュー12年3月)

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中国製は、未だ原始的な結晶型モジュール技術しかもたず、製造機械すら国産化できないレベルにありながらも、ひたすら安値を武器にしたえげつない市場参入をすることで首位を独占しました。

米国ではダンピングの疑いすら持たれて、訴訟沙汰になっています。

日本の太陽光産業は、国内の補助金の打ち切りによる国内需要減少と、海外での拡大に伴う安値競争にはさまれたような形で、赤字産業に転落してしまったのは見てのとおりです。

飯田哲也氏は、日本のグリーン産業が転落した理由を、日本が効率の悪い補助金制度に依存したことと、FITを導入しなかったことを挙げています。

例によって飯田氏の言い分は、現制度を批判する切れ味はいいのですが、その代案がことごとくヨーロッパと米国の先行例のコピーでしかありません。

ですから、無批判でFITを導入することが特効薬の如き主張をします。仮に日本がFITをヨーロッパと同時期の2005年あたりで導入したとした場合、確かに太陽光発電量は急増したことでしょう。

しかし、急激な生産拡大の準備がなかった当時の日本企業にとって、かえって開発-設計-生産の一貫国内製造が仇となって低価格競争に敗北したと思われます

仮にわが国が05年にFITを導入したとしても、その勝者は、コピー技術に頼り、製造機械を米国からオールインワンで買い込み、奴隷的賃金で輸出攻勢をかける中国の頭上に輝いたことでしょう。

日本企業は、FIT開始にあたって、低価格競争に巻き込まれることなく、変換効率の良さと、メンテナンスシステムの充実などで勝負をかけるしか方法は残されていないようです。

特にメガソーラーにおいては、数%の変換効率の差が、多大な収益性の差となって響きますから、シャープの36.9%の高変換効率は大きな武器となることが予想されます。ジャパニーズ・グリーンカンパニーにがんばって頂きたいものです。

グリーン政策には、自国のグリーン産業育成が不可欠です。これなくしては、エネルギー源を他国に譲り渡してしまうことになりかねません。また、グリーン産業による雇用増大も望めません。

原発事故後の「空気」に頼ったグリーン・イノベーションを、地面に足がついた確実なものにしていかねばなりません。その意味でも、日本でも始まったFIT初期が正念場ではないでしょうか。

というわけで、りぼん様、シャープか京セラを買って下さいね(笑)。

■蛇足 山本太郎君が結婚するそうです。おめでとうございます。役者か脱原意発運動家かよくわからなくなってしまいましたが、もうそろそろ、「原発アブナイ」だけじゃなくて、リアルに原子力からのティクオフを考えてもいい時期なんじゃないでしょうか。と言っても無理か・・・。彼はいい意味でも悪い意味でも、単結晶体ぽいもんな。

■蛇足2 菅首相の国会証言聞きましたか?あれだけ居直れたらもう芸の世界ですね。原子力ムラを戦前の軍部と見立てて,それと闘う自由主義者を気取る言い分には薄ら寒いものすら感じました。あんな人格破綻者が「脱原発」のリーダーを気取るから、イヤなんですよ。あ、違った。一国の首相だったか(笑)。

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太陽光バブルに苦しむフランスの秘策 域内製品優遇策

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世界各国のグリーンエネルギー事情を見ると、情けないことに太陽光で成功している国は皆無だと思います。

ドイツ、スペインでは、固定価格買い取り制度(フィードインタリフ・以下FIT)が作った太陽光バブルが弾けて、今や買い取り価格の急落期を招いています。

では、ドイツの隣国であり、原子力大国のフランスはどうでしょうか。結論からいえば、同じFITを導入したのですから、違う展開があるはずもありません。

同じように2009年から10年のわずか1年間でFITの高額買い取りを当て込んだ太陽光バブルが起きました。

農家が、屋上パネルを設置するためだけに納屋を作ることがブームになったということですからなんいともかとも。(苦笑)

わが国でもほとんどEUと一緒のFITを作ってしまいましたから、わが農業界も電田に湧くんでしょうかかね。

42円買い取りという世界一の高額、おまけに20年間固定、その上に出来ようが出来まいが安定供給の義務なし、という夢のような三大特典をめざして一斉に群がることはたしかなようです。

たぶんドイツ、スペイン、フランスなどの先行事例を見ると、間違いなく太陽光は投機の対象になるでしょうね。

さきほど書いたフランス農家の納屋ブームなどは、環境に優しいなどという理念なんて関係のない、まさに投機です。

この投機筋が太陽光ブームに乗り出すと、なにせ日本は金がダブついていますから、「太陽光ファンド高利回り保証」なんてことになるかもしれません。

現にアメンリカでは、国策としてグリーンニューディール政策をとった後に、金融銀行筋のハゲタカ達が投機対象にして、彼らが富を啜った後には無残に太陽光バブルの残骸だけが残りました。

さて、眼を移して買い取る側の電力会社はどうなりますか。群がるほうは知ったことではないでしょうが、誰か買わなきゃならないわけで、それは一義的には電力会社、二義的にはそれに補助金を出している国です。

フランスでは、高値買い取りの原資として税収を電気料金に上乗せする方式をとっていましたが、さすがこの2年間は高額買い取りと買い取り量の爆発的増加に音を上げるようになりました。

これを引き受けたのが欧州最大の電力会社・フランス電力(EDF)でしたので、たちまち
毎年10億ユーロ(約1100億円)という巨額赤字抱えるはめになってしまいました。

フランスでは、日本のような総括原価方式でかかったコストは消費者に丸投げできるという仕組みではなく、政府の公共電力サービス支出で補填していたのですが、これが追いつかなくなりました。

つまり、フランス電力も、それをバックアップする政府も同時に手を挙げてしまう事態にまでなったわけです。

これを評して、ドイツ最大手銀行のドイチェ・バンクのベルトラン・ルクール氏は、「一刻も早く解除すべき時限爆弾だ」と警鐘を鳴らしたというエピソードが残っています。

もちろん、フランス政府も指をくわえて眺めていたわけではなく対策を練りました。と言っても、やる方法は限られています。加熱する一方の供給をカットするしか手はないのですから。

➊買取価格の引き下げる
❷3ヶ月間、買取制度の新規申し込みを凍結する
❸年間導入量の上限設定500メガワット(0.5ギガワット)にする

しかし、残念ながらFITという「悪魔の制度」(と言ってしまいます)はそれまで申請された分には、約束どおり高額買い取りを適用せねばならないわけですから、焼け石に水です。

わが国でも20年間固定で、毎年買い取り価格見直しという制度ですから、圧倒的優位を確保するために初年度に申請が殺到することでしょう。フランスでは、FIT価格変更前の駆け込みが1日に3千件あった日もあったとか。

経済産業省は、来年になってドカッと買い取り価格を落とし、買い取りにも上限をつけるかどうか大いに悩むことでしょう。

そして日本でも結局3年間ていどで制度はパンクして、買い取り価格は今の半値以下、買い取り上限もつくという世界相場に落ち着きます。どうしてこうわかりきったことをやるのか・・・(ため息)。

フランスも懸命にバブルを冷やそうとしたのですが、2020年までの計画が13年で達成できてしまい、2011年の段階では、太陽光発電の買取価格の平均額は電力市場相場の10倍(!)という高値安定で貼りついてしまったのです。

と、ここまではFITをすれば確実にこうなる、というお約束の地獄の法則なのですが(今になってこれをまだやる国があったとは!)、フランスはここからが一味違っていました。

フランスは、EU域内で製造された太陽光パネルを10%買い取り価格に上乗せするというの優遇策を打ち出したのです。

さすがフランス中華思想をもってしても、域外製品の禁止までには踏み込めなかったようですが、この域内優遇策は太陽光バブルの富をすべて中国に持ち逃げされるという事態に対処したものです。

ただし、この苦肉の10%上乗せも、今度は中国が10%値引きしてくるという「上に政策あれば、下に対策ある」という中国の諺どおりの展開となって苦戦は続いているようです。

*関連過去ログhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-c7a2.html
関連論文 「ドイツ 間違った全量固定買い取り制度は正反対の結果」
http://www.engy-sqr.com/watashinoiken/iken_htm/feed_in_tarif_ono100328.pd

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開いた太陽光市場の扉から締め出される日本企業  経産省が自国製購入条項を作らなかった罪は大きい

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太陽光はなぜ優遇されるのでしょうか?

理由は、太陽光は「脱原発」のシンボルだからです。下のニコニコ太陽光マークは、誰しも一度は目にしたことがおありだろうと思います。

これは1975年の4月に、デンマークの脱原発運動家であるソーアン・リスベアさんがデザインしたそうです。

以後、全世界に広まり、45ヶ国で脱原発、反核運動のシンボルとして使用されています。GoogleでNuclear no thanks検索するとわんさとでてきます。

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実は私も何個か持っていますが、イデオロギー臭くなくて可愛いデザインです。

この発祥地のデンマークにおいても脱原発を求める世論は40%に達していますが、その運動の中で脱原発とは原発を自然エネルギー、特に太陽光に変えていくことだ、という強い「思い込み」が支配的になりました。

ですから、脱原発といえば、それはとりもなおさず太陽光であり、太陽光こそが脱原発の旗印となったのです。残念ながら、その論証抜きにです。

太陽光が43円(補助金まで入れれば48円)という圧倒的な高額で買い取られることになった背景には、太陽光を普及させることが、そのまま脱原発につながるに違いないという「思い込み」があったわけです。

また太陽光には市民参加型とでもいえる性格がありました。国民が自分の屋根に取り付ければ、自分もまた発電所になれる、という発信ができます。

私自身も十数年前に設置した時のわくわく感は忘れられません。今まで、ブラックボックスだった電力を作ることに、ただの市民の私か加わっていることからくる高揚だったのでしょう。

NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の描くロードマップによれば、2007年には40円超/キロワット時だった発電単価が、20年には14円となり、30年には7円となって、原子力の単価と並ぶのだそうです。

こうなると完全に原発と太陽光は置き換え可能となるとしています。こうした思惑があって、初期普及の決めてとして全量・固定買い取り制(FIT)が始まったわけです。

さて、ここでようやく脱原発のシンボルから飛躍して、現実の経済の仕組みに取り入れられるようになったわけですが、果たしてこの先どうなるのでしょうか。

現時点で爆発的普及をめざせば、経済的な安さから結晶シリコン型になるだろうと思われます。

太陽光は技術的には、結晶シリコンの基板に簡単な加工を施すことで出来てしまう易しい技術です。太陽光セルに求められるシリコンの純度や微細化のレベルも低く、ほとんど原始的と言っていいような半導体技術の産物です。

そして、研究開発としては、これ以上画期的なブレークスルーがない限り、エネルギー変換効率の理論数値25%を既に達成してしまっています。

つまり、これから先エネルギー変換効率を上げることが難しいデッドエンドの技術なのです。

となれば、この高額固定買い取りが20年間固定されるという初年度から数年の間に、一斉にさまざまな業者が新規参入を目指すことになります。

現在の国際シェアは、日本は20%ていどのシェアしかもたず、中国製が国際市場支配をほぼ完了しています。(資料1参照)

また既に複数の中国メーカーは日本法人を立ち上げており、販売拠点を設けてメガソーラー計画に参入しています。

あえて想像するまでもなく、日本の太陽光市場はこれら中国企業の支配するところとなります。

次に、この太陽光の製造装置や部材の国際シェアをみてみましょう。(資料2参照)

せめてここで、わが国が生産財のシェアが高ければ救いがあるのですが、ご覧のとおりドイツと米国に支配されきっており、這い居る入る隙間もないのが分かります。

わが国はわずかにカバーグラスや、封止材、バックシートていどに食い込んでいるにすぎず、こにおいても太陽光市場普及の経済的恩恵には預かれないことが明らかです。

残念ですが、わが国が太陽光技術においてCISやCIGSなどの化合物型、色素感型、有機薄膜型、あるいは量子ドット型といった次世代太陽光技術の開発を加速化しないか義ぎり、せっかく開いた太陽光市場は、日本企業の目の前で閉じてしまうことになるでしょう。

12年から開始されたFITにおいて、理由は分かりませんが、経済産業省は自国グリーン製品の購入を義務づけることをしませんでした。ここでドイツや米国の教訓に学んでいれば、かならずその条項を入れて、自国グリーン産業を育成したはずです。

それを考えないで、グリーンエネルギーにより何十兆円のGDP成長、雇用効果何十万人と絵に描いた餅を見せられてもしょうがありません。

わが国は補助金と高額買い取りに対して税金を大量に投入して、ひたすら中国企業をもうけさせているだけになったようです。

私は、経済産業省が、太陽光買い取りに関して自国製品を義務づける条項を入れなかった失敗の罪は大きいと思います。

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1Photo_2

資料2

Photo_4            図表ともに「一橋ビジネスレビュー」2012年3月)より

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エコポイント制の教訓 自然エネルギーも同じ途を歩みそうだ

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脱原発は解けない知恵の輪のようになっているということを考え続けてきています。我ながら不人気なシリーズですが(苦笑)、もう少しおつきあいください。

この脱原発知恵の輪は、三つのパーツで出来ています。

一つ目は、いうまでもなく環境問題です。原発の危険性だけの問題ではなく、他の環境問題のこともかんがえねばなりません。たとえば、CO2問題です。

原発ゼロの現時点で、火力発電は、実に国内の総電力量の7割を占める状況になってきています。
*関連過去ログhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-7e2a.html

このような状態が放置されれば、大幅にCO2の増加するだけではなく、CO2排出権を外国から買い取るために巨額の出費を強いられることになります。

二つ目は、電力安定供給の問題です。震災以後の復旧もままならない時期に、電力供給が長期的に不安定になる可能性がでてきました。

これは原発ゼロにした場合の発電量の減少だけではなく、それを置き換えることを期待されている自然エネルギー自体が不安定な電源だからです。

これは、天候による発電量の振幅が激しいからです。ヨーロッパの経験では、太陽光と風力の電源としての不安定さが悩みの種となっています。

旧来の送電網を、次世代送電網であるスマートグリッドに転換しなければ本質的に解決することはない問題です。


ヨーロッパにおいても自然エネルギーの大量導入に伴ってスマートグリッドの建設が検討されていますが、コストが巨額なために厳しい判断を迫られています。(
資料1参照)

そして今日お話したい三つ目は、原発ゼロにした場合の持続的な経済発展が確保されるのか、という問題です。

飯田哲也さんは、自然エネルギーに代替した場合のプラス効果として、グリーン産業が勃興して新しい経済成長を生み出すことをあげています。

残念ですが、私はその可能性は非常に低いと私は考えています。

つい最近、薄型テレビのバブルがありましたね。エコポイント終了の駆け込み重要と、地デジの相乗効果でひと頃は注文から納入まで3か月などという時期もあったそうです。

沈滞ぎみの家電業界に救いの神だったはずが、終わってみるとそうはなりませんでした。

エコポイントは、薄型液晶タイプへの移行による節電効果と、、グリーン家電普及による景気浮揚策の二つが目的でした。今の自然エネルギーとよく似た構図です。

2011年6月、経済産業省は、この事業によって予算額の7倍に及ぶ5兆円の経済効果があり、32万人の雇用を創出したとしています。(同)

しかし、現実は額面どおりではありませんでした。5兆円の経済効果は、あくまでも理論的な生産誘発額の足し算でしかなく、中間財の重複カウントがあって実体ははるかに少ないと見られています。

32万人雇用創出効果などなおさらであり、シャープ、東芝、パナソニック、ソニーなど各社が軒並みに事業打ち切りによる工場閉鎖に踏み切っており、逆にリストラを加速したと評価されている始末です。(ソース「一橋ビジネスレビュー」2012年3月 下図も同じ)

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             図 薄型テレビの国内出荷台数に占める輸入台数の割合

上図は、薄型テレビの国内出荷台数に占める輸入台数の割合を死す表です。これをみればよくわかるように、エコポイント導入が開始されると、輸入台数は激増していきます。

エコポイント導入以前には30%前後であったものが、終了緒全の10年末にはなんと100%を振り切っています。

これらには国内メーカーのODNも含まれていますが、それにしてもすさまじい外国勢の攻勢がお分かりいただけたでしょうか。これでは、エコポイントという税金を使って外国企業に金をバラ撒いたようなものです。

結果として、日本企業はエコポイントというグリーン政策によって、急激な課価値下落攻勢にぶつかり、競争力を維持できずに、国内製造からの撤退といった苦境にたたされてしまったのです。

おそらく、これとまったく同じ構図が、太陽光などの自然エネルギーでも再来することは間違いありません。

ヨーロッパにおいては、既にそれははっきりと結果がでています。

世界の太陽光パネルの80%を占める最大市場のヨーロッパでは,、欧州ブランドは瀕死の状況です。

かつて世界一の生産額シェアを誇ってQセルズは再建申請中となり、中国に生産拠点を移したにもかかわらずシェア5%で7位に転落しました。後の太陽光製造メーカーは、軒並み倒産しています。

太陽光以外でも、デンマークの有名な風車メーカー、ベスタスもシェア30%から15%にまで下落し、3千名のリストラをかけている有り様です。

米国でも太陽光パネルメーカー大手のソランドが倒産しました。つまり、世界を覆うグリーンエネルギー産業の崩壊現象が起きているのです。

いや、その言い方は正しくはありません。ひとり勝ちしているのが中国メーカーです。太陽光パネルの世界一のシェアは中国・サンテックパワー社が握っており、この優位はもはやガリバー型独占といっていい状況にすらなっています。(資料4参照)

ちなみに風車でも、中国企業のジノベル社が首位につくのは時間の問題と言われています。

ドイツでも、脱原発を宣言し、FIT(全量・固定価格買い上げ制度)が出来たときには40万人の雇用創出を謳っていました。しかし、結果は無残です。

 るそ て5年で太陽光バブルは弾けて、雇用創出どころか、リストラと倒産の嵐が吹き荒れたのです。

これは、日本の薄型テレビのエコポイントと同じです。一挙にFITで需要がバブルをつけると、国内産業だけでは需要を満たしきれず、輸入が増え、同時に価格競争が熾烈化し、国内市場に外国企業が大量参入し、市場を独占した結果、国内産業は育つどころか潰れてしまう瀬戸際にいます。

自然エネルギー市場でもまったく同様のことが起きるでしょう。これが脱原発の絡んだ糸玉の三つ目です。

今後、日本もFIT制の導入を受けて、太陽光メガソーラーに中国企業の大量参入が開始されようとしています。(資料4参照)

税金をかけて外国企業を育成し、国内企業が駆逐されるというドイツのような馬鹿げたことが、この日本でも始まろうとしているのです。

■今日はなぜかフォントが大きい。偶然ですが、まぁこれも見やすいでしょう。明日から普通サイズに戻すします。また今日は農繁期で多忙のために、校正が不十分のままアップするというポカをやってしまい、誤字だらけでした。ごめんなさい。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1

欧州連合(EU)欧州委員会のギュンター・エッティンガー(Guenther Oettinger)エネルギー担当委員は17日、欧州のガス•電力供給網の改善•整備には2000億ユーロ(約22兆8000億円)が必要だとする今後20年間のエネルギー•インフラの最優先課題を発表した。

EUの調査によると、分散エネルギーを統合する供給網が老朽化しており、温室効果ガス削減などを妨げる問題となっている。欧州諸国をまたぐ送電網と再生可能エネルギー開発に多大な投資をしない限り、EUが掲げた再生可能エネルギー、温室効果ガス削減の目標を達成できないだけでなく、供給量の確保も危うくなると予測している。「エネルギーインフラは、われわれすべてのエネルギー目標のカギである。EUの優先的な事業の実現を加速させるためにはきわめて重要である」とエッティンガー氏は述べている。

欧州委員会は二酸化炭素(CO2)排出削減の長期的な取り組みとして、2020年までに北海(North Sea)、バルト海(Baltic Sea)での風力と、地中海域での太陽熱からの電力を送電する電力ハイウェイ(electricity highways) の開発を計画していることを明らかにした。また、CO2回収・貯留(CCS)技術が商業的に実現可能となれば、CO2用の移送インフラの開発も計画されている。

■ 資料2 独Qセルズ:7-9月赤字、予想以上に悪化-ヘルムズCFOが辞任

11月14日(ブルームバーグ):ドイツの太陽電池メーカー、Qセルズが14日発表した7-9月(第3四半期)決算は、利払い・税引き前損失が4730万ユーロ(約50億円)となり、赤字幅がブルームバーグがまとめたアナリスト予想(2140万ユーロ)の倍以上となった。

同社はまた、マリオン・ヘルムズ最高財務責任者(CFO)が自ら辞任し、同日付で退社することも明らかにした。同社株は急落している。 ネディム・セン最高経営責任者(CEO)は記者団との電話会議で、CFOを兼任すると述べた。来年2月末に償還を迎える2億200万ユーロの債務について、「全額返済」できない可能性があると警告した。( ブルームバーク)

■資料4 
 九州に初進出の同社は「日射量の多い九州でさらなる開発をしたい」としている。

 建設地は同市住吉町の市土地開発公社の遊休地(2万5千平方メートル)。同日、年間約500万円の賃料で20年間の賃貸借契約を同公社と交わした。総事業費は約6億円。太陽光パネル約3800枚を設置する。出力は1955キロワット。年間発電量は195万キロワット時で、九州電力に売電する。10月に着工、12月稼働を見込む。

 調印式後、同社の陳鋭社長は「自治体や大きな建物の屋上での開発も進めていきたい」と語った。九州で出力合計3万~5万キロワットの開発を目指す。

 同社は世界12カ国に支社を持つ「スカイ・ソーラー・ホールディングス」(中国・上海)のグループ会社。国内では茨城県鹿嶋市でメガソーラー開発に携わっている。

=2012/05/23付 西日本新聞朝刊=

■【3月15日 AFP】ソーラーパネル世界最大手のサンテックパワー(Suntech Power Holdings)が生産拠点を置く中国東部の江蘇(Jiangsu)省無錫(Wuxi)は人件費が極めて安い。そのため、省力化のために設計された機械は放置され、労働者が手作業で生産を行っている。

 安い人件費と約1万4000人が働く大量生産ラインのおかげで、サンテックパワーはたった10年で世界最大手のソーラーパネルメーカーに成長した。

 しかし、中国企業の台頭により打撃を受けた米業界は、中国のソーラーパネル企業は政府から不公正な補助金を受け取って米市場でダンピング(不当廉売)を行っていると訴え、大きな貿易問題に発展している。

 米政府は今月中にこの件に関する調査結果を発表する予定で、その内容によっては中国メーカーへ関税が課される可能性がある。

■中国の低価格戦略で米社の破綻相次ぐ

 これに対しサンテックパワーは、不公正な商慣行は行っていないと主張しつつ、価格を抑えて販売を促進し、より多くの人に製品を提供するという戦略を隠そうとしていない。

 だが米業界は、この先何兆ドルもの成長が見込まれる代替エネルギー産業での優位性を確立するため、中国政府は国営銀行による低金利融資や、直接的な補助金政策などあらゆる手段で自国の企業を不公正に支援していると主張している。

 国際的な販売価格の下落により米業界は大きな打撃を受け、2011年には少なくとも3社が破綻した。米バラク・オバマ(
Barack Obama)政権から5億3500万ドル(約450億円)の融資保証を受けていたソリンドラ(Solyndra)、米ナスダック(Nasdaq)市場に上場していたエバーグリーン・ソーラー(Evergreen Solar)、そして米インテル(Intel)から独立したスペクトラワット(SpectraWatt)だ。

■中国の国内市場に期待

 サンテックパワーの24時間稼働の工場で働く従業員たちは、手作業でソーラーセルをプラスチックとガラスで挟んでソーラーパネルを作っている。基本給は1か月に1500~1800元(約2万~2万4000円)ほど。豊富な労働力を利用できたことで生産コストが下がり、製品価格も安くなった。太陽電池の原材料となるシリコン価格の暴落もさらなるコスト削減に寄与した。

 しかし、出力1ワットあたりのソーラーパネルの国際価格が約1ドル(約84円)にまで落ち込んだことで、サンテックパワーの利益率も下がっている。市場に大量の製品を送り込んで価格低下を招いた中国メーカーを非難する声も上がっている。

 現在世界第2位の石油消費国である中国は、クリーンエネルギーへの移行を進めており、2011年には太陽光発電電力の買い取り価格保証制度も開始された。

 サンテックパワーのグローバル・マーケティング責任者は、債務危機などで先行きが不透明な欧米市場よりも中国の国内市場に期待していると述べ、中国は来年までに単一の市場としては世界最大になるだろうとの見通しを示した。(c)AFP/Bill Savadove

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スマートグリッドを夏の節電グッズに矮小化するな

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スマートグリッドが、今変に注目されています。それは「賢い節電」ができる道具としてです(笑)。

これはスマートグリッドを、狭い一地方都市のそのまた一部に設置して、電力供給に合わせて使用電力をコントロールしたり、現在使用している電気器具をコントロールボードにあるパネルでワンタッチで切ったりできるというスグレモノだそうです。

またスマートシティ構想と称して、日立や東芝が既に中国・大連や柏市、米国・アルバカーキや仏国・リヨンの実証実験にも日本企業が多数参加しています。蓄電池技術の技術研究もNEDOでなれれているようです。(資料1・3参照)

でもなんか笑っちゃいますね。これじゃあ牛刀を持ってなんとやらです。あんな巨大な送電インフラを、庭先に打ち水ていどの夏の節電ツールにしてしまうとは、バッカじゃないかと私は思います。

電気会社としては、海外などで実証研究をして、本格的な全国規模のスマートグリッド建設に備えようということだと思いますが、肝心の全国展開がまったく霧の中です。

これにはふたつのネックがあります。ひとつは前にも触れたことがある発送電分離問題ですが、経済産業省は「電力自由化」としてかねてからその構想を持っています。(ソース「エコノミスト5月22日)
*関連過去ログhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-fda2.html

経産省は電力市場自由化による競争原理の導入自体には肯定的であり、そのためには発送電分離もやむなしと考えています。

ただし現状では、東電処分との兼ね合いも含めて、電力会社側の抵抗が強いために踏み切れないといった現状のようです。

ただ、やるのなら電力会社側が圧倒的に不利な今しかないでしょうね。平時には無理です。

そしてもうひとつの難点は、その膨大なコストです。

自然エネルギーはFIT(全量・固定価格買い取り制度)により、非常に高額な長期間(20年間)全量買い取り制度が開始されました。

そのことにより、5種類の再生可能エネルギーの上乗せコストを加重平均した12円から13円が電気料金に加算(サーチャージ)されます

風力やバイオマスなどは買い取り価格が安いのですが、例の太陽光42円という世界一の高額価格が響いて平均電気料金サーチャージを押し上げてしまっています。

更に、これには自然エネルギー(太陽光と風力)の宿命的欠陥である発電量の振幅の大きさを是正する系統安定のための建設費用は含まれていません

現状のようなミニサイズの参入ならば、電力会社は入札制度などして新規参入をカットできますが、FITによる大量参入が開始された場合、そのような壁を作るのは不可能となるでしょう。(北海道電力は風力の新規買い上げはしないと言っていますが。)

そもそもFITは自然エネルギーの大量参入のための制度なのですから、入札制度にしたりすればFITそのものが無意味になります。

となると政府は、電力料金への転化を買い取り額が1キロワットあたり0.5円を超えないようにするとしていますが、たぶん早々に崩壊することが予想されます。

その場合、例外規定を使っての買い取り制限をするとしていますが、間違いなくこれを使うはめになると思われます。(資料2参照)

しかし、いつもいつも系統連結から切り離してばかりいることが頻発すれば、再生エネ法を作った意味がなくなります。スマートグリッドは絶対条件でインフラ整備する必要があるのです。

スマートグリッドはミニミニサイズのスマートシティなどをやるためのチャチな技術体系ではなく、全国的なスマートグリッド網を建設せねば意味のない技術なのです。

細野環境相が言う、「30年に原発比率15%」を実現するには、自然エネルギー比率を最低でも15%から20%に飛躍的に拡大せねばならず、原発ゼロの場合はその比率は30%とされています。(資料4参照)

この政府案(?)実現のためには、スマートグリッドはいるいらない以前の絶対的必要条件だと思われます。

韓国もスマートグリッド構想を持っており、全土で1兆円予算規模だと言われています。これから考えると、わが国は10兆円超規模となると思われます。

これがどのように予算化されるのか、自然エネルギーの命運はここにかかっていると思われます。

■写真 藤の花です。花が咲かなければ、ややグロな樹に絡まる蔦ですが、花は美しいですね。

    ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 復興計画でも注目のスマートシティ゛
2012年1月13日 読売新聞

IT(2012年1月13日 読売新聞情報技術)を活用した環境負荷の少ない街「スマートシティ」事業に、日立製作所や東芝など電機大手が力を入れている。国内では震災を機に省エネルギー政策の切り札と位置づけられ、海外でも新興国を中心に都市開発が相次ぐ。 米ゼネラル・エレクトリック(GE)など海外メーカーも参入しており、受注競争も激化している。

 日立は、中国・大連市や千葉県柏市の計画に参加する。事業部門が売り上げや収益に責任を持つ「社内カンパニー」の設立を検討し、体制強化を図る。事業部門の2015年度の売上高目標は約3500億円と、10年度比で5割増を計画する。

 東芝は、仏・リヨンの実証事業など20件に参加する。受注増を目指し、関連ITサービスを企画する社長直轄の部署を今月1日付で設立した。関連事業の15年度の売上高目標は9000億円と、11年度より約2・3倍にする目標だ。

 被災地の復興計画でも注目され、日立は仙台市に、東芝は宮城県石巻市に整備を提案している。

■資料2 東京新聞2011年8月24日

買い取り法案は、風力発電など再生エネ事業者が発電した電力の買い取りを電力大手に義務付ける。事業者が安心して設備投資を行い、精製エネルギーの普及に弾みをつけることがねらいだ。

買い取り費用は電気料金に天下されるため、買い取り価格が高いほど電気料金ははね上がり、家庭や企業の負担は増す。海江田万里経済産業相は「転化額を1キロワット当たり0.15円を超えないように制度を運用する」と、買い取り価格に事実上の上限を設定する考えを示唆。標準家庭の場合、10年後の負担額は月150円程度に収まる計算だ。
(略)
また、風力や太陽光を利用する再生エネルギーは出力が不安定なのも普及のネックになっている。法案では、電力の低供給に支障が生じる場合には全量買い取りを免除する例外規定が設けられた。実際に、風力発電の適地が多い北海道電力は、風力の新たな買い取りをすぐには行わない方針を示している。

 安定供給を理由に買い取り拒否が続出すれば、再生エネの普及の足かせとなる。不安定さを補うにはIT(情報技術)を活用して電力供給を調整する次世代送電網(スマートグリッド)の技術開発や送電網の整備も必要だ。ただ、実現するには開発やインフラ整備のコストはちいさくなく、官民の役割分担などの議論を加速させる必要がある
(後略)

太字引用者

■資料3 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

研究内容は以下です

■要素技術開発(地域レベル実証)
1 需要側蓄電システムの統合化技術開発
2 自動車用リチウムイオン電池技術を応用した定置用大型蓄電システムの研究開発
3 車両からの放電技術を用いた EV、ソーラ電力充電システム、EV 予約/配車システムを利用したエネルギーマネージメントシステムの研究開発
4 集合住宅における燃料電池、蓄電池を組み合わせたエネルギーマネジメント実証 及び 蓄電池付電気自動車用急速充電器および複数蓄電池の共同利用の研究開発
5 ①創エネ・省エネ機器と蓄電池付き HEMSの連携及び V2Hシステムの研究開発と実証検証
6 商用施設用蓄電池付きBEMSと商用車、EV/PHVの連携システム研究開発と実証検証
7 施設ナノグリッドを対象とするビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)の開発
8 戸建住宅における太陽光発電の効果的活用のための蓄電池利用技術と上位システムとの結合化技術の開発と実証
9 EV向け充電インフラ及び車載装置の研究開発
10 地域節電所を核とした地域エネルギーマネジメントシステムの開発
11 リチウムイオン二次電池を用いた住宅用およびコミュニティ用の電力貯蔵システムの開発とエネルギーマネージメントに関する実証研究

■要素技術開発
1 CEMS 系統協調デマンドサイド蓄電池システムの研究開発 蓄電集配信システム開発 及び ガバナフリー機能付蓄電池システム
2 BEMS 複合電力貯蔵対応 Advanced BEMSの研究開発 ビルPV用蓄電システムの研究開発
コンパクト&スマートシティの核となる大型商用施設向けの蓄電池システムの EMS 開発
3 FEMS 産業用デマンド型 蓄電池・太陽電池複合システムの研究開発
4 HEMS 高安全な10kWh級住宅用蓄電システムの研究開発
5 EV関連 次世代サービスステーションにおける蓄電・充電統合システムの研究開発 電気自動車に搭載した蓄電池を他用途に利活用するための要素技術の研究開発
6 標準化 リチウムイオン電池システムインターフェース標準化・海外展開の研究開発

■共通基盤技術開発
1 蓄電池を用いたエネルギーマネジメントシステム性能評価モデルの開発
2 需要家設置の既設大容量蓄電池による系統対策への活用可能性評価・システム標準化の研究開発
3 車載蓄電池の性能評価手法の技術開発

■資料4 原発の割合「30年に15%が有力」環境相
日本テレビ5月25日

細野環境相は25日、エネルギー全体に占める原子力発電の割合について、30年の段階で「15%」とする案が有力だとの考えを示した。

 政府の有識者会議は、福島第一原発事故の前まで26%だった原子力発電の割合について、30年時点で「0%」「15%」「20~25%」「35%」の4通りの数値を示して、国民に議論を促すことを検討している。
 細野環境相は25日の会見で、「いずれの選択肢も排除するものではない」としながらも、「40年を(原子炉の)運転期限と設定することを、政府として方針を出している。(15%は)その方針に沿ったもの」と述べ、「15%」とする案が最も有力だとの考えを示した。

 「15%」とする案を含めた選択肢は、今後、政府の「エネルギー環境会議」での議論を経て、国民に示されることになる。

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風車の国オランダの現実 風力を増やすと、火力が不可欠になるという皮肉な構造

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日本にはどのような自然エネルギーがふさわしいでしょうか。

太陽光、地熱、風力、水力、バイオマス、まぁいろいろありますが、ひとつ条件があります。

それは、わが国の国土の特色を生かした電源だということです。たとえば、風の少ないつくば市に風力発電機をつけてもまわりませんでした。訴訟沙汰にもなり、今や市政失敗のモニュメントと化しています。

しかし筑波から10キロ先の神栖の海岸地域では、巨大なプロペラがブンブン回っている姿を見られます。「エコが好き」ていどの気分で風車を作っても、金食い虫を作るだけなのです。

各国ともにFIT制は失敗していますので(*)、額面だけで受け取れない数字ですが、ドイツの電力総量に占める風力の割合は6.5%です。デンマークはケタがひとつ上で2割近い供給率をもっています。
*関連過去ログhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-e850.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-922a.html

一方日本は東北、北海道、九州、本州の海岸部などには、風力発電にうってつけの地形が多くありますが、230.4万キロワト時と低調な数字です。

これは、安定風力を確保しやすい地域でしか系統連結ができないでいるからです。

日本の陸上風力発電の潜在量は、飯田哲也氏の試算によると、平均風速6.5m/秒の地域で、1億6890万キロワット時、洋上で最大6億1332万キロワット時という膨大なものだそうです。

ただし、現実の世界最大の風力発電国のスペインですら1万9149万キロワト時にすぎませんから、飯田氏の数字はあくまでも理論数値にすぎませんが。

だとしても、飯田氏の運動家的バイアスを差し引いても、ポテンシャルの99%以上利用されていないことは事実なようです。

ではその原因は氏が主張するように、自然エネルギーの系統連結を少なくしたい電力会社の「陰謀」なのか、かねてから指摘されていたバードストライクや低周波公害などだけにあるのでしょうか。

おそらく違います。最大のボトルネックはなにか、風力先進国のオランダの例を見てみましょう。

オランダの風力発電は、歴史記伝統があり風車揚水によってオランダ人は国を作ったといわれているほどです。しかし、これがつまづいています。(欄外資料1参照)

オランダは国が狭隘なために、洋上発電にシフトして普及をはかました。洋上は、人間の生活スペースから離れており、低周波公害の影響もなく、風が安定しているなどの期待が寄せられていました。

しかしそれから5年、風力発電の箱を開けて見ると、難点ばかりが続出しています。まず洋上にあるために日常的なメンテナンスに陸上よりはるかに手間がかかり困難であることです。

少し荒れた北海の風が吹くと、プロペラが破損したりする事故が頻発しましたが、それを修理しようにも、簡単にハシゴをかけてというわけにいかず、船で沖まででていかねばなりません。

設置工事も、陸上と違って海底掘削をせねばならず、陸上より多くの資金が必要でした。

そのための工事やンテンスにコストがかさみ、想定していたよりはるかに発電量は下がり、逆にメンテナンス費用は上がるといった苦しい経営となりました。

一方オランダ政府は、他のヨーロッパ諸国と同様に、自然エネルギー普及のための補助金をそうとうに出していました。

「キロワット時当たり0.18ユーロ(19円)の補助金を続けられないとしている。昨年1年間の補助金は約45億ユーロ(4650億円)に上った。」(資料1参照)

これはオランダのGDPや人口を日本と比較するために一桁増やすと、10倍の4兆円近い補助金となります。ひとつの自然エネルギーの補助金としては莫大なものです。

そのために政府支出だけではなく、民間の投資を呼び込もうとしているようですが、思うに任せない状況のようです。

これにより、一般家庭の電気料金の値上がりがされて、いっそうオランダ人の風力発電に向ける目は厳しさを増したようです。

また、思わざる事態も起きました。皮肉にも、風力発電がなんと火力発電の負荷を増してしまうということがわかったのです。

5年前の導入当初は、CO2削減の期待をかけての風力発電でした。火力は、自然エネルギーの拡大と共に減少しつづけるだろうと見られていました。

しかしそうはなりませんでした。むしろ真逆に、常に安定した発電量を確保できない風力のバックアップのために、火力発電はいつも稼働可能な状態になければならないことがわかったのです。

オランダでも火力発電所は原発が多くなるにしたがって、おもに経費面から徐々に稼働休止される方向にあったのですが、自然エネルギーの普及につれて、それらが一斉に稼働せねばならない事態になってしまいました

風力の発電量のブレを、火力が補完する構造がしっかりと出来上がってしまったのです。原発は減少したが、化石燃料は以前よりいっそう不可欠なものとなってしまったわけです。

これは現在のわが国の状況と一緒です。
(関連過去ログ
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-7e2a.html

これはオランダの発電会社にとっても大きな悩みの種を作ってしまいました。風力を作りすぎれば火力の稼働を止め、少ないとなると稼働を上げるというバカみたいな役割になったからです。

これでは火力発電所はたまったものではありません。常に指令センターの指令どおりに上げ下げするが、風車のほうはただのんきに風任せということになるからです。

火力発電はこの負荷のために悲鳴を上げ、コストが急増しました。そして、ドイツなどではっきりと現れているのが、発電会社の火力離れです。(資料2参照)

火力にとって、損な役割を引き受けて、もうけは自然エネルギーよりはるかに少なく、コストばかりかかって、しかもCO2を出すからといって「地球の敵」扱いされていつも反対運動をされるようなものを誰もやりたがらなくなったのです。

わが国においても、必ず火力発電と自然エネルギーの関係が問い直される時期がきます。自然エネルギーが増加すれば、化石電源が減るという単純な構図ではないことを考えておくべきでしょう。

わが国は、現在原発ゼロ国家です。このまま再稼働を許さずにゼロのままつっ走るとなると、化石燃料が全電源の7割近く占めたまま相当期間固定化される可能性があります。

だからといって、自然エネルギーを拡大させてもまた、今見てきたようにヨーロッパと同じように化石電源は必須です。この解けない糸玉のような難問を、今後われわれは解いていかねばなりません。

■写真 梅がポツポツなり始めました。今年は梅の開花がおそかったので、数週間遅れです。

      ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 オランダの洋上風力発電、コスト高で陰り
時事
2011/11/17

エグモントアーンゼー(オランダ)16日ロイター時事】オランダが2006年に当地に同国初の洋上風力発電設備を設置したとき、この設備はグリーンな将来のシンボルと見られていた。北海の洋上にそびえる設備は巨人の武器のようで、タービンは二酸化炭素(CO2)排出を減らす一方で、増加する電力需要を満たす最大の希望でもあった。30階建てのビルの高さがある36機のタービンは、年に10万世帯以上の需要を満たすに十分な発電をしている。

 しかし、それから5年たった現在、グリーンな将来は先のことのように見える。財政赤字削減を迫られたオランダ政府は、洋上風力発電は費用がかかりすぎるとし、キロワット時当たり0.18ユーロ(19円)の補助金を続けられないとしている。昨年1年間の補助金は約45億ユーロ(4650億円)に上った

同政府は、この財政負担を一般家庭と産業界の需要家に転嫁し、一方で魅力的な民間部門の投資を呼び込もうとしている。消費者と企業への負担転嫁は13年1月に実施され、同時に、民間投資家は再生可能エネルギー・プロジェクトへの参加申請ができるようになる。

 ただ、民間への負担転嫁で得られるのは推定15億ユーロで、これまでの補助金支出の3分の1にすぎない。また、投資に関心のある団体なども風力発電よりも費用のかからない技術を選ぶと見られている。

 オランダの風力発電プロジェクトの将来は暗い。
 同国では何世紀にもわたり、低地から耕作地への水のくみ上げなどで風力が利用されてきた。しかし、風力への国民の熱い思いは冷めつつある。洋上設備の設置、維持費用が高く、また、その格好の無様さが住民の不評を買っていることなどで、洋上風力発電は行き詰まり状態となった。

洋上設備は陸上のものよりも発電効率がいいものの、資材や海底掘削の費用は高く、しかも保守は陸上設備より面倒だ。
 陸上風力発電にも障害がある。陸上でのプロジェクトのほぼ半分が住民とのトラブルを抱えている
。背の高い設備が景観を壊すという主張の他、安全性や騒音への懸念も指摘されている。
 オランダのエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率は4%にすぎない。同国は20年までにこれを14%に拡大することを目標としているが、極めて難しい情勢だ。

■資料2 ドイツ国内で石炭火力発電所の中止が相次ぐ

2010年2月4日付けドイツ紙の報道によれば、ドイツでは石炭火力の建設プロジェクトが相
次いで中止に追い込まれている。2010年2月1日には、フランスの大手エネルギー企業であるGDFスエズが、ドイツ北西部地方Stadeで計画していた80万kWの石炭火力発電所の建設計画の中止を発表した。

これまでにも、ドイツのE.ONやEnBW、スウェーデンのバッテンフォール、デンマークのDong Energy等が相次いで建設計画を断念している。GDFスエズ計画断念の理由として、騒音対策が困難であることや冷却水の利用制約等、設備対策上の問題を挙げているが、近年相次ぐ計画中止の主な理由には、地元住民や環境団体の反対運動が挙げられる。

加えて、出力変動が激しい再エネ電源の急増により、石炭火力電源をフル稼働させることが難しくなり、それによって石炭火力の経済性が低下するリスクが出てきたのも計画断念の要因と考えられる。同紙によれば、至近12ヶ月で計画中止となったプロジェクトは、GDFスエズの計画中止を含め7件に達し、現在建設中、あるいは建設がほぼ確実な計画プロジェクトは5件しかないという。政府系のエネルギー研究機関であるDENAの試算によれば、現状のペースでは、2020年までに約1,500万kW(石炭火力発電所約15基相当)の発電容量が不足することになるといわれている。

(太字いずれも引用者)

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北九州市瓦礫搬入反対運動の虚妄

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正直言って、北九州市の瓦礫処理反対運動にはコメントしたくない気分でした。

なにを言っても聞く耳を持たない、どのようなデータを示されても無視する、そして穏やかに言えばいいものを、自分たちの主張だけを怒鳴り散らす、市長や知事をつるし上げる、果ては暴力まがいの行為を働く、これがこの人たちに共通する特徴です。

先日はとうとう搬入車両の下にもぐり込んだり、警官隊ともみあったあげく、とうとう警察沙汰になりました。多くの国民が眉をひそめていることに、この人たちはまったく気がつかないようです。
*追記 この事件について革命的共産主義者同盟中核派が関与表明しました。
http://www.zenshin-s.org/zenshin-s/sokuhou/2012/05/post-1601.html

さて、この人たちの反対理由は要約するとこのようです。

被災地は19年分を自分で勝手に処分しろ、という非情

彼らは、廃棄物処理の原則を「復興」の名のもとに、廃棄物は、それが発生された場所、そこにもっとも近いところで処理するという原則を踏みにじっている、と言っています。

お前ら被災地は、処分できようが出来まいが、被災した東北で勝手にやれ、助けるなんてとんでもない、ということのようです。なるほどお優しいことです。

自分の所でできればしてますよ。できないからしかたなく他県に依頼しているのです。

瓦礫受け入れを希望している宮城県、岩手県の震災瓦礫計2045万トン、こんな天文学的瓦礫をどうやって処分しろと言うのでしょうか。

被災地の瓦礫の総量は約2,045万トン(茨城県廃棄物対策課)、うち広域処理分は約400万トンで残りの約1900万トンは被災地自身で処理されています宮城県の瓦礫だけで、日夜処分場を稼働させても通常の19年分に相当します。

そしてこの8割以上は既に被災地地震でなんとか必死に処理している事実を知らないのでしょうか

こういう大震災時に、廃棄物処分は発生地で行うという平時の原則を持ち出す神経が分かりません。

瓦礫は2年目の夏を迎えて、今年もまた腐敗による臭気や害虫の発生が始まってきています。それがいかなる影響を被災地の人たちの健康に与えるのかは、考えないでもわかりそうなものです。

瓦礫が片づかないことによる復興計画の遅延は、かねてから指摘されているとおりです。

それを知らないとはいわせません。知りながら、この状態が19年続く被災地の地獄は平気であると、なぜなら廃棄物処分の広域処分は原則に反するからだ、と。これじゃあまるで出来の悪い官僚の言い分みたいです。

■いつのまにか「放射能を拡大するな」を引っ込めた不思議

そしてこの瓦礫に、「放射能汚染さえなければいいと、東北から九州まで運ぶことを合理化」しています、としています。

おやおや、これはどうしたことでしょうか!「放射能汚染さえなければ」ということはようやく放射能がないことが分かってきたのですね。

大変な後退ですね。去年までは盛んに「放射能を拡散させるな」と言っていたはずでしたのに。

「被災現地での計測など信じられない」、とまでインタビューで言っている人が今回もいました。じゃあ、直に現地へ行って計測してきなさいよ、と言いたくなります。

北九州市で、逮捕者まで出すような騒動を起こすくらいなら、一日で宮城、岩手の現地に行けます。ぜひ、思う存分放射能測定をすればよかったのです。

私たち「被曝地」農民は、自腹で計測器を買い込み、シラミつぶしに計測して回りましたよ。その手間を惜しんで、言うことが「現地計測は信じられない」とは!

より高い線量の地域に、低い地域から持って来るなの怪

この両県は極めて限られた地域(一関など)を除いて被曝から免れています。その被曝量は東京都東葛地域、千葉県柏市、松戸市などより低い線量です。

空間放射線量を比較してみます。(11年9月現在)

・宮城県          ・・・・0.061μSv
・岩手県          ・・・0.023

東京都          ・・・0.056
・北九州市        ・・・0.07 
(*)
*北九州市皇后崎ゴミ処分場バックグラウンド線量12年4月4日計測値

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000110719.pdf

上の被災地と北九州市の空間線量を見てなにも感じなかったらヘンです。北九州市のほうが、この東北2県よりバックグラウンドの空間線量が高いのですよ。空間線量が低い地域のものを、高い地域が騒ぎ立てるとはこれいかに。

だからと言って、気にする必要もないていどの差ですが、それを針小棒大に騒ぎ立てて「放射能が来る!」と根も葉もないデマを言い散らしてきたのはこの人たちです。まさにオオカミ少年。

■試験焼却後にも処分場周辺の線量には変化なし

そして、市当局は約束どおり、搬入前と後で計測を実施しました。それが以下です。(同上)

ごみ搬入車両       ・・・0.05(0.05~0.05)μSv
・バックグラウンド      ・・・0.05
・主灰(焼却灰)搬出車両 ・・・0.05(0.05~0.07)
・バックグラウンド     ・・・0.06
●皇后崎工場
・飛灰(ばいじん)搬出車両・・・0.06(0.05~0.07)
・バックグラウンド     ・・・0.06

空間線量にはまったく変化ありません。あたりまえです。元々放射能なんてなかったんですから。それを現地で事前に測り、それをクリアしたものが入ってきくるのですから当然の結果です。

「処分場の近くの学校で運動会があるので危険」と言っていた人もいましたが、その心配は無用にしてください。すでに受け入れをしている島田市、松坂市、東京都でも処分場近辺の空間線量の上昇は観測されていません。
島田市http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-040/gareki/1-7.html

■被災地瓦礫に放射能がないとわかると、今度は有害物質に鞍替え

そして放射能が怖い」が根拠なしと分ると、次に持ち出したのが瓦礫内の有害物質です。反対する種が尽きると、次から次に理屈にもならないことを持ち出してきますね、この人たちは。

初めから有害物質がテーマなら、それを測定することを現地行政に要求すればいいのです。それを今になって、自分たちの「放射能が拡散される」という論拠が全面崩壊すると、新手を出して来ます。こういうのを世間では無原則といいます。

変わったのなら変わった理由をはっきりさせて、宮城県、岩手県の人たちに「すいませんでした。放射能を拡散させるというデマを飛ばしてしまいました」と謝罪してから、次の有害物質とやらに移りなさい。それが常識というものです

■行政の測定が信じられないのなら自分でやるしかない

あれがダメだとコレ、そして言うことには、「なし崩し的に認めてしまうと、今後検査が厳密に行われる保証がない」とまで言い出す始末です。

今回の検査は初回だったから、宮城県は飛び切り安全なヤツを選りすぐって搬入した、とでも言いたいのでしょうか。(どうもそのようです)

ため息が出ますね。つきあい切れない。現地行政も北九州市も信じられないとまで言うなら、処分場にテントでも張って、来る瓦礫をこれから毎日自分たちで計測したらどうなんです。

行政が測るのが信じられなければ、自分でしなさい。ただそれだけです。なしくずしもなにもあったものではありません。

■こんな反対運動は脱原発運動とは無関係の単なる地域エゴだ

最後にいかなる低レベルだろうと閾値がないのだから危ないという、私たちがもう1年ちかく毎日聞かされて手垢のついたようなゼロベクレル主義が根拠として持ち出されます。

これにはコメントを差し控えます。私はそのような神学論争には興味がありません。ゼロベクレルを信奉したければどうぞ勝手に信じて下さい。このゼロベクレル主義者とは議論が成立しないことは身に沁みています。

ただし、被災地を踏みにじるようなことをせず、社会に迷惑を及ぼさない限りでお願いします。

あ、それともうひとつ。脱原発運動をやっているなんて触れ回らないで下さいね。あなたがたの「運動」は、脱原発とは名ばかりの、単なる地域エゴの化け物にすぎないのですから。

■瓦礫問題過去ログ
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-2240.html

 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-da6d-1.html 
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-e738.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-cfe2.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-0375.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-1d96.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-b1ed.html

追記 扉写真を入れ換えました。この石巻の写真を見てなにもかんじないのならもはや言うことはありません
追記2 この仙台住民のブログ記事をお読みいただくことをお勧めします。http://hhvstudio.seesaa.net/article/271243481.html

      ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

西日本新聞5月22日

北九州市が試験焼却する宮城県石巻市の震災がれき約80トンが22日、北九州市に到着し、小倉北区の不燃物保管施設「日明(ひあがり)積出基地」に搬入された。試験焼却に反対する人が激しい抗議活動を繰り広げたため、予定より約8時間半遅れの作業となった。反対派の2人が福岡県警の強制排除に抵抗し、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。市は予定通り23日から試験焼却を行う。

がれきは19日に石巻市をトラック28台で出発。午前9時ごろ、最初の6台が施設前に着いたものの、反対派約40人が施設正門前で先頭のトラックを取り囲んで搬入を阻止。「市長を呼べ」などと大声を上げ、阻止活動を続けたため、市は午後になって「業務に支障がある」として、門の前からの移動を求めて警告。午後4時ごろ、同県警の警察官約40人が強制排除した。

午後8時までに27台が施設内に入ったが、1台は施設入りできず、23日以降に荷卸しする。  

施設内では、市の委託業者が重機を使ってトラックからがれきが入った袋を降ろし、袋を破いてがれきを取り出した。

市は23~24日に日明工場(小倉北区)で約32トン、24~25日に新門司工場(門司区)で約48トンを試験焼却する予定。試験焼却を通じてがれきに含まれる放射性物質の濃度や工場の空間放射線量を測定する。22日に予定されていた保管施設の敷地境界での空間放射線量などの測定は23日に行う。市循環社会推進部は「無事に到着してよかった。試験焼却に万全を期したい」としている。

宮城県によると、石巻市では震災がれき446万トンが発生し、最大73万トンの広域処理が必要という。

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原発のリアルな終り方  脱原発で今や化石燃料大国に転換してしまった日本

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先日、北九州市で宮城県石巻市の震災瓦礫80トンの試験焼却に実力阻止行動があり、2名が逮捕されるという事件が起きました。

このような瓦礫搬入反対運動は、なにものも生まないばかりか、脱原発運動に放射能差別と被災地差別を持ち込んでいます。
(*これについては過去ログで批判していますので、詳しくはそちらをご覧ください。)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-2240.html

さて、「脱原発」という言葉は一種のマジックワードです。アブダカダブラみたいなものです。

それを言っただけで、あ~これで解決したぁという錯覚を与えてしまうといった便利な言葉です。しかしもちろん、言っただけでは現実は変わりません。

「脱原発」という目的そのものが無意味なのではなく、それだけでは何も言ったことにならないからです。ですから、具体的に原子力社会から離脱するには、もっと具体的に踏み込んで多方面から考えていかねばなりません。

さて、私は原子力社会からの離脱を、「原発のリアルな終り方」と言ってみることにしました。

どうやったら本当に原子力から足抜け出来るのか、そのためになにをしなければならないのか、逆になにをしてはいけないのか、あれこれ考えていきたいと思っています。

ところがこれは複雑な方程式での解けない解のようです。とりあえず3ツのパラメータを挙げてみましょう。
➊環境問題
❷原発をなくした場合のエネルギーの安定供給
❸代替エネルギーの普及=経済効果

たとえばまず、「環境問題」です。安全問題と言い換えてもいいかもしれません。

「原子力を選ぶのか、命なのか」というような問いかけが去年からよくなされましたが、それはあくまで「気持ち」であって、原発のリアルなたたみ方については何も言ったことにはなません。

そこで、もう少し別な角度から見てみましょう。それは原発事故が起きる前まで一番のテーマだったはずの地球暖化問題です。

「自然エネルギーは環境にやさしい」といっても、ならば原子力もCO2を出さないというコダマが返ってくるでしょう。事実、原子力のうたい文句は地球温暖化でした。

2009年の国連気象変動サミットにおいて、鳩山元首相が勝手に国際公約してしまった1990年比で2020年までに2%温室効果ガスを削減するという目標には、あと8年しかありませんが、原子力発電なくしてどのようにするのかはまったく不透明です
(*CO2削減率問題については過去ログをご覧ください。)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-a3c7.html

それ以前の1990年に8%削減という政府目標を立てた時ですら、そのために原発を9基増設し、当時60%台だった稼働率を一挙に81%にまで引き上げ、太陽光も20倍にする、と試算されていました

また、2009年時点で、政府は電力に占める原子力の割合を当時の30%から2030年には50%にまで引き上げる計画を立てていました

とうぜんのこととして、それらの計画は3.11以後、完全に白紙になったのは言うまでもありません。

ここで、ではどうやったら原子力なしでCO2削減ができるのか、という放射能以外のもう一つの環境問題のパラメータが出てくるわけです。

当座の間、新エネルギーで現実的に供給体制に入っているものはありません。存在するのは、唯一化石燃料のみです。

実際、止まっている原発の代わりとなる電力は、今まで稼働を止めていた旧型火力発電所を再稼働したものによって補われています。

発送電実績をみればそれは明瞭です。事故前の2010年11月時点で原発は230キロワット時をを発電し、電力需要の30%を超えて供給していました。

それが事故後の2011年11月には70億キロワット時と3分の1以下に減少し、10%を切りました。それが現在2012年5月時点ではゼロです。

では、火力発電の増加ぶりを見ましょう。2011年11月時点で、363億キロワット時であったものが、493億キロワット時と35%増大し、今や電気供給量の実に68%を占めるまでになっています。

脱原発の世論の流れによって、皮肉にも日本は今や約7割を化石燃料に依存するCO2大国に生まれ変わってしまったと言っていいでしょう。

この状況が続くのならば、1990年比25%削減など夢のまた夢であって、大量の排出権購入を考えない限り、わが国は外国に排出権購入で膨大な富をむしりとられ続けることになります

つまり、原子力をゼロにする環境問題解決を実現すれば、片方の地球温暖化阻止というもうひとつの環境問題を犠牲にせざるをえないパラドックスが現実のものとなったわけです。

片方を立てれば片方が立たない、これが原発のたたみ方の解けない解のひとつです。脱原発は呪文ではありません。

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金環日食が教えてくれた

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皆様、金環日食をご覧になりましたか。いや、すごいの一語です。太陽が上弦の右から三日月になり、外縁だけ残して完全な金環月食になったのを見たとき、こういうふうにしてこの世が滅びるのなら納得できるのかもしれない、と不埒なことを考えてしまいました。

それほどまでに美しく、哀しげな終末的な光景でした。

月食が進むと、本当に冷えてきます。Tシャツで空をにらんでいたのですが、途中でパーカーを羽織ったほどです。

太陽の恵みなどとわかったことを言っていますが、短い時間でそれをみせつけられると、改めて自分たちはなにによって生かされているのかが分るようになってきます。

3.11の時には、放射能による大地の汚染がありました。そこで、私たちは放射能を封じ込めた「土の神様」に出会いました。

そして、遅まきながら知ることになるわけです、土という愛おしくも絶対的な存在を。

よく、人は農業を成立させている三要素を、ヒト、生産基盤、生産技術などということがあります。いずれも、人為的な要素です。まるで人が農業をするから、作物ができるようです。

そうなんでしょうか。そんなにヒトはごたいそうなものなのでしょうか。

原子力発電所ひとつが事故を起こした「ていど」で恐慌を来し、外国からの食糧がなければ生きていけないような生活をしておきながら、ヒトがいつも主語になると思っています。

ヒトができることは、限られているんじゃないでしょうか。

私たちは、太陽のように巨大な熱量を与えて、この世界にあるあらゆるものを生かす力などありません。

大地のように膨大な微生物と地虫を包み込み、植物を育てるゆりかごになることも出来ません。

せいぜいが、種を播き、作物を管理し、収穫するという仕事だけです。それも、゛太陽と大地がなくては一日たりとも存在できないのです。

それも、太陽が地球に降り注いでいる惜しみない熱量の数兆分の1と、大地の持つ力のごく微量しか自らの糧とすることができない存在でしかありません。

昨日、金環日食を見ながら、私は自分の傲慢を恥いっていました。農業が、太陽、大地、そしてヒトによってなりたっていることが゛改めてわかったからです。

■写真 いちおう金環日食を撮りました。日食グラス越しには全部失敗、しょうがないので、直に撮ったのがこれです。うっすらと金環になってますが、わかりますか(涙)。

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金環日食を見るためにお休みします

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今朝は、金環日食を見るためにお休みします。現在、わが茨城県地方は曇りです(涙)。

ああ、あと1時間15分で晴れてくれぇ!日食グラスもカメラも準備しているのに、ああ!

6時36分 右上弦がかけてます!ウワー感動だ。

7時20分 痩せた三日月。雲間の陰から見えます。かなり曇ってきました。少し涼しくなってきました。

7時34分。 完全なリングが!ラッキーなことに完全なリングが観測できます!夜でもなく昼でもない、幻想的な明るさ。

7時44分。上弦のみが残っています。 

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原発事故は必然だった 原発事故率と対策費グラフでみる東京電力の人災責任

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最近でこそあまりl聞かなくなくなりましたが、原発事故=天災論というのが去年かなり力をもった時期があります。

それは、津波対策が講じられていた東海第2や、高台にあった女川が事故に至らなかったこと、あるいは新型である福島第2が外部電源の復旧と、冷却機能を早期に回復したことなどがあったからです。

このことから、福島第1ですらスクラムができていたのだから、津波による全電源喪失さえなければ・・・、という論調が生れました。

この論調によれば、福島第1の事故が起きた条件は
➊十分な大津波対策を実施していない原子力施設
❷旧型で運転から30年以上経過する沸騰水型型原子炉(BWR)
❸原子力施設に対しての送電施設の脆弱性
➍電源喪失で機能しなくなる緊急冷却装置の脆弱性

事故は、突然起きる天災などによる偶然因子のみに支配されているわけではありません。

事故に至るまでに、かならず予兆のようなものがあります。細かい事故が多発し、その積み重ねが重大事故の原因のリード線になっている場合が少なくないからです

原発事故も同様です。福島第1は敦賀と並んで、事故の常習犯でした。東海第2もトラブルが頻発しています。

下図は、原子力施設情報公開ライブラリ(NUCIA)データベースの1999〜2010年のトラブル等発生率を炉齢別・型式別に比較です。(戒能 一成氏 独立行政法人経済産業研究所(RIETI)作成による)

福島第1のような旧型BWRが、新型BWRと比較して2倍の事故回数であることがわかります。

また圧力水型(PWR)は、新型BWRより更に低い事故回数であり、新型PWRは旧型BWRの8分の1しか事故を起こしていません。

Photo

次に、原発ごとの事故発生率をみます。(同)Photo_2

福島第1の事故頻度は極めて高く、同じ東電の福島第2は2004年に一時的に福島第1と並ぶ事故率になりますが、すぐに改善されて事故を急減させています。

一方福島第1は2007年に年6回というピークに達して以降、さすがに年4回ていどまで下げながらも横ばいを続けて高止まりとなったまま運命の3.11を迎えました

このようなひんぱんに事故を繰り返し、それが低減せずに高止まりとなるような施設には、なんらかのトラブル要因が潜在し続けており、それの除去ができなかったことを物語っています

このことから、おそらくは全電源喪失によらずとも、地震による冷却系パイプの破断が生じていたという説にも信憑性がでてきます。

また、年に4回から多いときで8回という事故回数は、ひっきりなしに現場は事故対応に追われていただろうことも推測できます。

このことが、現場を疲弊させ、事故対応能力を磨耗させていただろうこともありえるかもしれません。

ではここで、他の電力会社の騰水型(PWR)と比較してみましょう。(同)

Photo_3
企業別に見た場合、東電が圧倒的に多いことが目につきます。敦賀、東海第2も原電ですが、いずれも東電管内です。

では、これに対して電力会社がどのような事故後の対策をとったのかが分るグラフが下です。(同)

Photo_4

多くの電力会社が、2005年から09年にかけて、地震対策や、旧式化する発電所の強靱化に努めていたことに対して、東電のみはまったく補強対策を怠り、対策費が下げ止まっているのが見て取れます。

東電がこの時期に、ディーゼル非常用発電機だけでも高い場所に移設していれば,、事故はなかったかもしれないというのに。

つまり、事故率は全国でもっとも高いにもかかわらず、対策費はもっとも低いという経営を、東電がしていたことが明瞭になりました。

これらのグラフを見ると、福島第1の重大事故は、東電の経営体質とその施設の高経年化、BWRの本質的欠陥などの原因により起きるべくして起きた人災であると、私は考えます。

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アジアに架ける送電網の夢と現実

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壮大な夢というのはいいものです。セシウムが5bqあろうものなら、天下の一大事になるような現実から離れて、パッと大きな夢を描くのもいいことです(笑)。

「エコノミスト」誌5月22日号には、「アジア太平洋州電力網」というドデカイ構想が載っていました。掲載されたのが由緒ある経済誌ですから、あながちホラでないようです。

さて構想は、10年後の日本を見据えた構想を出し合うという、経済人、学者、政治家などのお歴々の集まった「日本創成会議」というところが発信元です。http://www.policycouncil.jp/

いろいろな提言をしているのですが、その中に壮大なホラ、失礼、夢がありました。これがさきほど書いた「アジア太平洋州電力網」構想です。(資料1 参照)

2020年までには韓国に海底ケーブルを通して送電網をつなぎ、その勢いで50年までには東南アジア、そして豪州にまで引っ張ろうというかんがえです。

いや、ズゴイ。まことに気宇壮大ですが、実はアジア・太平洋州の送電グリッドは非常に遅れています。

これはこ個別の国の事情が、アジアでは大きく違っており、電気さえ行き渡っていない国がある一方、日本のような原発大国もあります。

運営形態も民営あり、韓国のような国営あり、はたまた日本のようなのような国策民営もあるとでんでんバラバラです。おまけに周波数も違います。

これらをアジア統合の系統化にするとなると、そうとうに柔軟性のあるグリッド・システムが必要となるでしょう。

これをヨーロッパのような、いくつかの系統をもつ欧州広域連系系統(UCTE)のようなものにしようというわけです。(資料2参照) 

また、この電力問題になると必ず顔を出すようになった孫正義氏は、独自に中国、モンゴル、インドまで及ぶ3万6000キロにも及ぶ送電網を考えています。

外国とネットワークを結ぶのは賛成ですが、その前に自分の足元をみてみましょう。

かなり知られるようになってきましたが、日本の送電網はヨーロッパのような広域ネットワークになっておらず、電力会社の幕藩体制ごとの環状ネットワーク構造になっています。

要するに、沖電を除く本土の電力会社は、めいめいに自社所有の送電網をもっていて、他者との連携は緊急時以外に想定していません。

特に電力会社間で送電を行うための高圧送電網の能力には限界があり、増強しないと電気融通もできません。

例えば、中部電力は去年東電に電気融通をしましたが、そのときネックになったのはこの問題でした。

中部電力から東電に電気を流すためには、中部電力の東清水変電所で周波数を変換せねばなりません。

しかし、15年前に工事を開始した275万キロボルト(kV)の高圧電線の工事がいまだ終了しないために、30万kWの変換設備が3分の1の13.5万kWしか使えない現状です。

15年かかってこのザマですから、おい、やる気があるのかよという気がしますが、ハイないのです。だって、3.11以前まで東電が電力融通を求めたことは確かなかったはずですから。

不要不急の施設に金かけるほど、中部電力はお人好しじゃありません。万事この調子で、今回の関西電力のSOSに対して、スムーズに電力融通ができないのは、余剰電力問題以外にこの変電施設の低能力にありました

もっとも、ただヤル気がないとだけ言ってはかわいそうで、電力会社は電気事業法の定める所に従ったまでですが。

この、地域間で自閉した環状ネットワークを、ドーンと貫通して全国を貫通するという構想があります。これが、飯田哲也氏が提唱し、孫正義氏がラッパを吹いているスーパーグリッド(高圧直流送電網)です。

いわば「電気のハイウエイ」(飯田氏)というわけですが、これが出来れば50Hzと60Hzの壁などへいちゃらというわけです。

もっとも飯田氏の場合、日本の電力事情から発想したというよりも、自然エネルギーを普及させるために発想したようです。

自然エネルギーのボトルネックは、とりもなおさず送電網にあるからです。というのも、今まで何度か述べて来ましたが、自然エネルギーには、お天気任せであるために約30%といわれる発電量のブレという宿命があるからです。

実用化するには、このブレをどうにかしないわけにはいかず、そのためにはスマートグリッドが必要であり、発送電分離がなくてはそれが出来ず、ええい、こうなったらいっそスーパーグリッグだぁ!、という論理展開のようです。

問題はアレをどうするのかです。アレ、つまり資金です。

高圧送電網の敷設費用は、とんでもない金食い虫で、1キロメートル当たり9.5億~10億円かかると言われています。仮に最低限の直線だけで南北2000㎞とします。するとそれだけで1兆9000億円から2兆円です。

この幹線に、地域ごとに支線が張り出しますから、さてどれだけの距離になるものやら。

変電設備やら、ケーブル維持管理や、更新費用なども必要でしょう。震災で通信用の海底ケーブルが切れましたが、最近やっと復旧したようです。切れたケーブルや中継器を、船に引き上げて継ぎ直す作業をしたようで、それは大変だったと聞きます。

ちなみに、欧州広域連系系統(UCTE)は、2000億ユーロ(22兆円)かかったという話もありますから、島国の日本では10兆は楽にかかってしまいそうです。

これを現行の総括原価方式でやるのだけはかんべん願いたいものです。それでやられた日には、ザブザブとコストばかりがかかって、一切合切のツケが電気料金に上乗せになります。冗談じゃないってもんです。

孫さんがいくら持っているか知りませんが、いくら資材を擲っても無理でしょうから、国家事業としてやることになるのでしょうが、自然エネルギーだけで作る必要があるのか、あるいは電力融通だけでやらねばならんのか、と異論が噴出しそうな問題です。

ましてや、陸上より数倍増しの海底ケーブルとなると、アジアに架ける送電網の夢も前途多難のようです。

■写真 ピンポケではありません。ソフトフォーカスでタンポポの教室を撮ってみました。春の眠い午後。

■追記 今日は仕事が押していて、ロクな推敲もしないでアップしたら、転換ミス、脱字の山(大汗)。ごめんなさい。これからしっかり推敲してアップいたします。

       

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 ■資料1 日本創生会議構想  「エコノミスト」誌5月222日号より

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■資料2 新エネルギー導入時の系統安定に向けた取り組みに関する欧州現地調査概要http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g90522a03j.pdf#search=

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そして、電力自由化と原発ゼロ社会への過渡期がこの夏に始まる

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おととい、全国の夏の電力不足予想が、先月23日に発表した16.3%から5%に大幅に下方修正されました。特に関西電力の出していた-14.9%の見直しが大きいと言えます。

この需給予想は定期的に地元行政と関西電力がやっているようで、打てば響く法華のタイコよろしくやるたびに需給ギャップ見積もりが下がっていきます。めでたいことです。

大阪市の特別顧問になってこの会議に参加している飯田哲也氏が、「来週の見積もりではプラスに転じます」と自信たっぷりに言っていましたから、きっとそうなるのでしょう。

この手品の種明かしは、需要を下げて、供給見直しをした、ただそれだけです。以下、足し算引き算になりますので、電力需給に関心のない方は、下半分からお読みください。

まず、今まで関西電力は-14.9%の根拠を、-445万kWの需給ギャップにあるとしていたわけですが、これを太陽光、水力発電などを最大48万kWに見直し、他社からの電力融通を162万kWにしました。

これで電力供給サイドは、210万kWに積み上がります。

一方需要サイドも、なかなかユニークな方法をとって下げようと努力しています。一般家庭には、目標達成するとプレゼントが送られるそうで、これで-4万から-7万kW異常を削減します。

次に、電力不足、電力不足といっても、要はピーク時の午後1時からの2時間、3時間を節電すればいいわけで、そこを高めに設定する料金プランを作り、これで-0.2から-0.3万kW異常を削減できるとしています。

そして計画調整契約といって、緊急の不足時に調整役を果たす大口の事業者がいたのですが、これは通常は割引料金で電力を使える代わりに、イザという時に真っ先に削られます。

これの加入条件を緩和し、割引単価も安くしたそうです。これで更に、-3万から-7万kW以上の需要が下げられるしています。

しめてこれで-73万kW以上を下げ、しめて需給ギャップは-147万kW、-5%に縮小されました。やりゃできるじゃないですか。

後は電力融通ですが、これは去年の3.11以後と較べて火力などの発電施設の被害が回復したことがプラス、原発が当時はかなり稼働していたのが一挙にゼロとなったのがマイナスの条件となります。

これを供給予備率3%以上の電力会社である東電、中部、北陸、中国から頭を下げて借りて回り、これが計162万kWとなりました。

この融通余地についてはまだ揉みようがあるようで、東電から100万kWの融通が効くのではないかと言われています。

これは今月の東京都環境局見積もりでは、最大103.5万kW融通しても大丈夫だという見積もりが出ていたからですが、政府の受給検討委員会では2ケタ少ない1万kWにすぎないとしています。

東京都が言う試算が正しければ、一気に電力需給はプラスに転化してしまいます。

まぁ、どっちでもいいですよ。とまれ、なんのことはない麗々しく発表される電力需給などというものは、こんなていどにコロコロ変わるていどのものだったということが分かりました。

これは、関西電力や経済産業省の基本姿勢に変化のきざしが現れたからです。

従来は、大飯原発の再稼働をめぐってなんとか中央突破が可能だろうと、電力会社と政府は甘い見通しを立てていました。しかしご承知のように、見事に周辺各自治体の総スッカンを食いました。

というのは、従来では、ということは3.11前までということですが、ともかく立地自治体がウンといえば通ったのです。当該自治体と県の了解です。

しかし、今はそうはいきません。いったん事故があれば、福島第1の事故でそうであったように、風下の広範囲な地域が汚染されることが分かりました。

もはや、近隣自治体の承認なくして稼働できない時代に入ったのです。

となれば、電源立地予算の恩恵もない周辺自治体にとって、原発はただひたすら被害だけを受ける危険な存在にすぎないわけですから、ウンと言う道理がありません。

つまり、政府の電源三法により立地自治体補償で済んでいた旧来の構造が、もはや通用しない、ということになります。

今後、新たな建設はおろか、再稼働においても周辺県の合意なくしては一切進まないことになってしまったのです。ということは、再稼働はラクダを針の穴に通すより困難ということになります

となると、経済産業省が電力会社に独占の特権を与えていたのは、「電力の安定供給」が大義名分としてあったわけですから、安定供給するためには原発ゼロでも電気を供給できる態勢を作れということになったのです

先月まで、全国の電力会社は大飯原発の再稼働をわがことのように注目していました。それはここが突破できなければ、全国の再稼働はなきに等しいからです。

しかし、それがないと分かりました。仮に将来あったとしても、この夏などは100%無理です。となれば、電気事業法の精神である「安定供給」を原発ゼロで真面目に考える必要が生れたのです。これが一転して、この夏の電力需給が-16.3%から-5%に一桁下がった理由です。

電力という大きなジグゾーパズルの中で、原発という大きなピースを抜いてしまうと、まったく違った絵が出現します。それは多種多様の電源の登場であり、それを供給可能とする自由な送電網であり、競争のある電力社会です。

競争なき超独占構造の中で、今までジャブジャブ使ってきたコストを少し下げただけで電気料金は下がっていきます。

送電網を国が買い上げ適正な開放を行えば、自然エネルキーや新たな代替エネルギーが続々と現実化していくことでしょう。

東電や関電は、その発電会社の有力な一部となればいいのであって、発電から送電まで一切合切をわがものとして帝王の如く君臨する時代は終わりました。

霞が関は、今や問題児と化した原発から足抜きし、欧米タイプの電力自由化を射程に入れています

その意味で、ややフライング気味でいえばですが、電力自由化と原発ゼロ社会は、事実上この夏をもって「開始」されたと考えていいでしょう。

もちろん法的な発送電分離が完成するのは、数年先になるでしょうし、いくつかの原発も、(賛成ではありませんが)暫定的にであっても再稼働せざるをえないかもしれません。(*)

つまり、過渡期が始まるのです。

今、私たちに必要なことは、先行事例を真摯に分析し、その失敗に学ぶことです。原発賛成、反対を問わず、わが国がかつてのような原発大国に戻ることは不可能なのですから。

ならば、どのような道を進むべきか考えつづけなくてはなりません。政治スローガンであった「脱原発」を現実にせねばならないとしたら、どうしたらいいのかを真剣に考えねばなりません。

*追記 今年、橋下大阪市長が首相になった場合、信じられないような速度で過渡期が終了し、本格的な開始になる可能性はありますが、なにぶん政局は分かりません。

■写真 翠様、コメントありがとうございます。初夏の柿の葉です。お日様に透かしてみると葉脈がキレイ。

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電力市場開放という名の国民投票

013

りぼん様。 おっしゃることはわかります。
関西では原子力や放射能について、私たち東関東、東北の人間とは違った感じ方があるのも、なんとなくですが理解できます。

皮肉にも、大文字の送り火で、陸前高田の薪を大騒ぎしたあげく拒否するような人たちがいる西のほうが、電力不足になった場合、一転して再稼働容認に走りそうな気がするのはなぜでしょうか。

もしそうなった場合、さんざん放射能差別にあってきた私たち「被曝地」の人間はなんと考えたらいいのでしょう。

私たち福島県、茨城県の人間は、再稼働を断じて許しません。

福島第1は当然のこととして(4号炉が心配ですが)、福島第2、女川、東海第2原発は、再稼働することなく、永久に廃炉になってもらいます。

二度と私たちの土地を、放射能で汚させはしない。もう放射能で泣くことはしない。放射能で差別される社会は作らない。

原発立地県の人たちは、きちんとした検証を重ねて、政府のやっつけの安全宣言などにまどわされることなく、責任をもってみずからの住む地域の原発の将来を考えるべきです。それが国民としての責任です。

それを判断するには時間がかかるでしょう。

活断層を再調査し、津波対策を嵩上げし、ベント・フィルターや重要免震棟を設置し、サテライト・センター、非常時の避難体制をしっかりと構築するには、少なくとも3年から5年は充分にかかります。

安全委員会の権威が失墜した今、私たちはなにを信じるべきなのでしょうか。経済産業省の役人が天下りそうな規制庁とやらを信じればいいのでしょうか。3日でできるようなやっつけの安全基準を信じろとでも?

公的な第三者委員会が必要です。原発再稼働を要求する経済界に対して、納得のいく再稼働基準と検証が可能な場を作るべきです

そこで政府安全基準などというまがいものではない、国民誰しもが納得する稼働基準を作り、それを徹底的に調査して頂きたい。

もちろんこの夏には間に合うはずもありません。しょうがないじゃないですか。この調査と対策が完了するまで、国民は不自由を覚悟で待つしかありません。

しかし、その間にすることは膨大にあります。何といっても、代替エネルギーの確保が最重要課題です。

電力の完全自由化に踏み切れば、ありとあらゆる電源が候補に浮上してくるはずです。

政府もこの2月に「電力システム改革委員会」を設置し、「電力ベースをゼロベースで検討し直す必要」(枝野経産相)を明言しました。(「エコノミスト」5月22日)

現在ある電力会社の独占体制こそが、日本の悪性腫瘍です。これがある限り、いかなる新電源も、それがコジェネであろうと、地熱であろうと、太陽光であろうと、十全に力を発揮することはできません

たとえば、PPS(電力新規事業者)はありますが、現在は工場やオフィスのような大口需要者に対してのみしか許されていないために、家庭用に供給することはできないでいます。

それは、送電網を電力会社が独占しているために、送電網使用量が高額に設定されていてPPSにとって商業的にペイしないからです。

発電会社も兼ねている電力会社にとって、PPSとまともな競争はしたくないために、差別的な使用量を設定して、PPSを叩きのめしているのが現状です。、゛

発送電を分離して、電力の小売り市場を家庭にまで拡げれば、個人でも好きな電源を好きな料金で買うことが可能となります。

また、大口需要者は少しでも安い料金の電力を購入しようとしますから、電気供給者間の競争が始まります。

今までのような、すべてのコストを事業努力もすることなく、すべて電気料金にオンできるというふざけた電気会社天国は終わりです。

いままで通常の民間企業だったらありえないような高額の資材や設備を、納入業者と癒着して買い入れ、そのツケを消費者に回していた体制はもうお終いです。

原子力は、今まで国から開発費用と立地費用を、国から支給されてきました。また使用済み燃料や放射性廃棄物の処分、廃炉までも国に任せにしてきました。

その上、原発事故における補償すら、巨額の国の支援を受けることが可能でした。つまり、このようなパックエンド費用を一切合切国が負担するという異常な竹馬を履かせて初めて原子力は基盤エネルギーになりえたわけです。

これが、原子力公称10.68円(1970~2007年)という安値の裏側です。この原子力のバックエンド費用は、一般会計のエネルギー対策費とエネルギー対策から支出されています。

これらの原子力のバックエンドに投入された税金は、18兆8800億円(2004年度総合資源エネルギー調査会電気事業コスト等検討小委員会「バックエンド事業全般にわたるコスト構造・電子力前半の収益性分析・評価」よる))にも登ります。

これらはすべて廃止の対象とされるべきです。そしてより適正な電力政策の建設に当てられるべきでしょう。

それが、発送電分離、電力会社独占を排した上でのスマートグリッドの全国的展開です。この条件があってはじめて、自然エネルギーは本領を発揮できるのです。、

その中で自然エネルギーもまた競争に揉まれるべきです

今のような42円、補助金を入れれば48円という高額な電源を買う「意識の高い」人相手だけの電源なのか、真に鍛えられたエネルギーベース足りうる電源なのかは、おのずと開放された電力市場が結論を出すことでしょう。

そのために初期の自然エネルギーの拡大を狙った補助金や、超高額買い取り制度は早急に廃止し、競争可能な条件に戻すべきです

国民が支持する電源のみが生き残る。これが電力市場開放という名の国民投票なのです。

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「この夏」以後の脱原発を予想する

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この夏の大節電令によって、全国民はうんざりすることでしょう。原発ゼロで乗り切ることは可能でしょうが、それは薄氷の上を歩くようなものになると思います。

東日本は、去年の経験がありますが、西日本や九州、北海道などは未体験です。スーパーは、照明が半分になり、家でもクーラーを自由に使えない、職場も町並みも薄暗くなる、そんな暑く長い夏が全国的に始まります。(欄外資料参照)

工場の生産は制限され、今度は去年のように他の地域に生産を移せませんから、部品調達は困難になり、サプライチェーンはガタガタになります。

製造そのものにも、支障をきたすでしょう。日本が誇ってきた、納期の厳守という信頼が、危なくなってきます。

電気料金はハネ上がり、自家発電に切り換える工場が増えますが、これも原油高でコストを押し上げます。コストの上昇は、それでなくとも薄い利益率を更に下げます。

株価は下落し、このような不安定な日本経済を観察していた格付け会社は、一斉に評価の切り下げを行います。ひょっとして、国債の格下げもあるかもしれません。

すると、連動して長期金利が上がり、景気はさらなる後退をするかもしれません。消費税増税と緊縮財政という政府政策と相まって、日本は果てしのないデフレスパイラルを転げ落ちていきます。

これが去年の私たち東日本が、震災と原発事故で経験した「3.11後」の日常風景だったのです。その全国版が始まります。

そんなときに、ある電力会社の火力発電所が故障したとします。これは今年2月の九電の事故でも現実になりました。

そのときは、他の電力会社の支援でどうにか乗り切ったのですが、今回は各電力会社も、供給余力を出し尽くしていますから対応ができません。

頼みのPPS((特定規模電気事業者)も、自社電力の余剰ですから、すでに引き合いが殺到して供給が圧倒的に不足している現状です。隠し玉の揚水発電も、電力不足のためにフル稼働できません。

かくして、こんなたった一基の火力発電所の故障で、一瞬で大都市への電力供給がパンクし、大停電が起きるかも知れません。

それでなくとも暗闇に弱い現代人は、パニックに走ります。溢れるエネルギーを前提にした生活が、あまりに脆いことを知ります。

一瞬にして辛抱の限界を軽々と超えて、エネルギー枯渇という本源的な恐怖が背中に忍び寄ります。

そして必ずこんな世論が、どこからともなく生れます。「そろそろ原発、いいんじゃない、許してやっても。再稼働すれば解決なんだぜ。すぐに事故るってわけじゃないだろう」。

これは居酒屋のサラリーマンや、公園のママさんたちの愚痴から始まり、またたくまに唱和する声が拡がり、マスコミが悪のりし、世論は逆流を一斉に開始します。

これを待っていた国は、立地自治体の了解を取り付けて、いち早く再稼働に踏み切ります。そこで一基、ここで一基、今日一基、明日また一基と。

すると、たちまち町は明るくなり、工場の操業は平時に戻ります。

ムード的に始まった脱原発運動は、この現実の前にみるみるうちに後退していくことでしょう。まるで、始まった時のように。

そうならないために、リアルに脱原発を考えていきたいと思っています。原発を批判するのは簡単です。放射能に恐怖するだけではなにも始まりません。

なにが本当に脱原発に必要なことなのか、どうしたらほんとうに原子力社会から離脱できるのか、考えていかねばなりません。

        ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料 夏の節電目標と電力受給

・北海道電力・・・ 7%   -1.9%
・東北    ・・・数値なし 3.8 
・東京    ・・数値なし  4.5
・中部    ・・5      5.2(*関西に電力融通)
・関西    ・・20    -14.9
・北陸    ・・5     2.6(*関西に電力融通)
・中国    ・・5     4.5(*関西に電力融通)
・四国    ・・5     0.3
・九州    ・・12    -22

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電力会社はなぜスマートグリッドが嫌いなのか?それは電力会社の地域独占を否定するからだ

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いまのわが国は、脱原発という言葉ばかりひとり歩きをしている状態です。

原発をゼロにしろ、というデモもよく見かけます。言わんとすることは分りますし、私も脱原発の立場ですが、じゃあどうやってやるの、という気分にさせられます。

脱原発が、即エネルギーシフトに直結する問題だということすら議論されておらず、次のエネルギーは自然エネルギーだ、などと簡単に言われると、そう簡単にいくのかなぁ、と考え込んでしまいます。

というのは、脱原発が本気で取り組まねばならないのは、現在の原子力を前提にした電力供給体制の変革だと私は思うからです

電力会社は、福島の教訓を原子炉の安全性の問題に矮小化しようとしており、原子力が柱となった現在の電力会社自体のあり方に立ち入ることを慎重に回避しようとしています。

関西電力に典型なように、その半分近くの電源を原子力に依存してしまったのは、それが電力会社にとって安価・有利だったからです。そしてついでについ最近までは、安全だとも信じていました。

廃炉や立地自治体対策、あるいは原子力事故対応などを、国に丸投げしてしまえば、原子力ほど「安価」なものはありません。

しかもすべてのコストが、そのまま電気料金に反映できるなどという、一般の民間会社では想像もつかない総括原価方式まで国からもらいましたから、原発建設費がいかに高かろうと、気にすることはありませんでした。

みんな消費者の電気料金押に上乗せしてしまえばいいのですから気が楽です。

こんな国策民営という社会主義もどきの歪んだ仕組みは、原子力を導入する上で必須条件でした。国がメンドーを見るから、電力会社、お前やれ、というわけです。

そして、その見返りとして総括原価方式だけではなく、、これまた社会主義もどきの地域完全独占という「有利」を与えたのです。

東京電力を先頭にして、全国を10の電力会社に分割し、まるで江戸時代の幕藩体制よろしく巨大電力会社が閉鎖的な送電網を分配されるというシステムでした。

無競争で、生活や生産に欠くことのできない電気を独占販売できる、これじゃあまるで幕府御用達豪商のようなものです。

これで肥え太らなかったら、そのほうがおかしい。実際、東電はいくつ子会社があるのか自分でもわからないほどの巨大企業集団になっていました。

ちなみに社員報酬は、役員で年間6千万から1億円超だということが、事故後にバレて世間の顰蹙を買いました。

こんな磐石そのものの「電力幕藩体制」は、原子力によって支えられていたのです。原子力安全神話はそのために作られました

もちろん、社会のテーマははいまやエコですから、太陽光や風力も買っていますよ、というフリだけはしました。もちろん、そんなものはお飾りていどです。

本気でやるには、情報通信網が今やそうであるように、家庭や企業が単なる配電先ではなく、そこからも電力を送ることが可能となるような双方向型送電網が必要だったのです。

それがスマートグリッドです。グリッドとは送電網のこと、つまり発達した賢い送電網というわけです。

この略して「スマグ」がなければ、振り幅が大きい(約3割と言われています)自然エネルギーは導入できません。

米国やEUでは実用化されて久しいスマグですが、なぜか日本ではまともな研究がなされてきませんでした。いや、されてはいるのですが、補助金目当ての実用性ゼロのシロモノでした。

技術大国日本が本気になっていない証拠です。

なぜなら、スマグ(やめようかな、この言い方)は、本来全国単位で導入されるべきもので、地域独占の電力会社には実用化する気はぜんぜんないからです。実用化する気がないものを研究しても仕方がありません。

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上図は、米国のスマートグリッド網ですが、このように原則全国でネットワーク形成しなければ、意味がありません。

仮に、狭い東北電力管内だけでスマートグリッドを作っても、だいたい管内は天候にそう大きな違いはありませんから、自然エネルギーのブレに耐えられないでしょう。

だから、この「電力幕藩体制」を維持したままで、スマートグリッドを導入するのは意味がないことになります。やるのなら、管区を超越した米国やEUのように全国的な建設をせねばなりません。

しかし、それをやるとなると、電力会社の権力基盤である地域独占が崩壊してしまいます。いつでもどこからでも、電力が引っ張ってこられるのが、スマートグリッドだからです

つまり、自然エネルギーを導入するには、スマートグリッドが必須条件であり、それは電力会社の「電力幕藩体制」を否定するものだから、彼らはやりたがらないのです

その意味で、自然エネルギーほど既存の電力供給体制の変革を要求する電源はありません。

■写真 隣町鉾田の歯医者さんです。古い町なので立派な土蔵や石造りの倉庫などが点在しています。

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

        ■資料1 スマートグリッド概念図
飯田哲也「原発がなくても電力は足りる」より 本文中の図も同じ

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スペインの事例 光篇 フペインの「成功」には制御センターが不可欠だった! では、わが国では、なにをどうやって?

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2011年3月31日、スペインの送電会社REEが、国内の電力供給に占める風力発電の割合が、前年度被%象の21%に達したと発表しました。

これは季節やその他の諸条件が揃っての瞬間風速ですが、いずれにせよ太陽光を合わせて40.2%に達しています。

スペイン全体の電源比率大きい順(11年3月現在)
・風力 ・・・・21%
・原子力・・・19
・水力 ・・・17.3
・ガス ・・・17.2
・石炭 ・・・12.9
・太陽光・・2.6

これはベストシーズンの3月であるために、年間にすると自然エネルギー総体のシェアはやや下がり33%です。それでも非常に高いシェアであり、ベース電力と言ってさしつかえないでしょう。

ちなみに、スペイン全体の年間発電量は、2881億kWhで、東京電力の発電量とほぼ同じです。

スペインは、自然エネルギーを導入するにあたって、マドリッド郊外にある「再生可能エネルギー中央制御センター」で、天気予報に基づいて、各地域や電源による自然エネルギーの予測と制御を行っています

これにより、約1時間のレスポンスで、不足の場合は火力発電所に増産を指示して、安定的な電力供給をしています。これが、スペインで自然エネルギーが「成功」した大きな原因のひとつです。

これと似た仕組みは米国にもあり、わが国が自然エネルギーを導入するには不可欠なものとなるでしょう。

飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)は、わが国においても、東西の周波数の壁を超えて貫くスーパーグリッドを提唱しています。(欄外資料参照)

飯田氏によれば、これは1本の電線で送れる電力を、3000kWから、120万kWに400倍に伸ばす技術で、既に技術的には完成しているそうです。

飯田氏はスマートグリッドが、電力会社が自然エネルギーを拒む理由になっていると批判的で、それに替わるものとしてスーパーグリッドを提唱しているようです。

気象条件で大きく左右される自然エネホルギーを、短時間で適正に切り換えることが必須条件である以上、送電網の技術革新は必須条件でしょう。

いずれにしても、スーパーグリッドにせよ、スマートグリッドにせよ、建設に巨額な投資とかなりの時間を要することは必然なことはいうまでもないことです。

となると、このような疑問が生れてきます。

まず、新たな革新的グリッド(送電網)を、電力会社ごとのブロックごとに建設して、順次自然エネルギー導入を伸ばしていくのか、あるいは全国一斉に建設していくのでしょうか。

少なくとも飯田氏の考えるスーパーグリッドは、東西の周波数の壁を貫通して、大量電力の電力融通を可能にするのが目的ですから、本州レベルの東西貫通は前提だと思われます。

また、かんじんな資金ですが、国が負担するのか、電力会社独力で調達するのか、あるいは発送電分離した上で、送電会社が負担するのでしょうか。

飯田氏は、国に期待できない以上、地方自治体がやれ、と言っていますが、そのような力がある自治体は全国で片手の指の数もないでしょう。

氏は、電気会社の悪徳や、国の制度のおかしさを鋭く批判しているのですが、ではそこからどうやって新たな自然エネルギーの仕組みを作り出すのかの具体性となると、急に不透明になってしまいます。

発送電分離となると、そのメリット、デメリットがあり、現行の電気事業法の抜本改訂となることである上、東電処理と複雑にからまってきますので、短期では結論がでないと思われます。

となると、すでに始まろうとしているFIT制による、自然エネルギーはどのように調整されて系統電力網にながされるのか、よくわかりません。

今後、私は日本でも太陽光バブルが発生する可能性が高いと思っています。その場合、いきなり大量の不安定な電源が、ある地域で発生したかと思うと、あちらにでも出る、そして突然消えたり、減ったり増えたりする、そんな事態になることが予想されます。

その場合、スペインの「再生可能エネルギー中央制御センター」のようなシステムがなければ、どのような近未来になるのか容易に想像がつきます。

そしてもう一点。電力料金ですが、現行の電力コストの算定方式は、悪名高い総括原価方式ですが、これを廃止しない限り、新規のグリッド建設の負担は、すべて末端ユーザーに転化される仕組みです。

となると、相当額の電力料金の値上げにつながることでしょう。原発停止による電気料金値上げに加えて、FIT制による補助金投入、新グリッドの建設などが重なり、日本の電気料金がどこまでハネ上がるのか、私には皆目見当がつきません。

このように、、自然エネルギーはただ発電量を増やせばいいという問題ではなく、今までの電力供給を支えていたシステムと、電気事業法のトータルな変革がなくてはダメな問題のようです。

■写真 初春の花、クロッカスです。彼女は気温が低い朝には花弁を閉じて、気温があがると美しく花弁を伸ばします。これはチューリップなども同じです。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料 全国基幹連系統系統図 (飯田哲也「原発がなくとも電力は足りる」より)

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「原発ゼロ」にした後にどうするのかが大事だ

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現時点で原子力発電について危険だと思う人は、この私も含めて国民の過半数に達すると思われます。

これは単なる理念ではなく、生活の中に放射能が存在するという日常的な脅威に裏付けられているので強力でした。

だが、放射能問題とは原発問題であり、原発問題とはエネルギーシフトをどうするのか、という問題なのです。

エネルギーシフトとは、国の経済-社会を直撃する重大な問題です。この問題は大きいので別途論じたいのですが、原発の再稼働を認めなくとも、私はこの夏を乗り越えられると思っています。

国と電力会社は、「原発ゼロ」で夏を乗り切れてしまった後の不都合を考えているのでしょう。原発ゼロが現実の課題となってしまいますからね。

確かに問題は、国や電力会社が考えるように、「原発ゼロ乗り切てしまった後どうするのか」なのです。

「原発ゼロ」を叫ぶのはたやすいですが、簡単に考えただけで問題は山積しています。ざっと思いつくまま書き出してみましょう。

までは短期的なことからですが

➊夏以降も再稼働を認めず原発をゼロにするのか、それとも段階的にか。
❷一律に沸騰水型(BWR)も加圧水型(PWR)も同じとして扱うのか。
❸内海に面し、地盤も安定している伊方なども一律に扱うのか。
➍安全対策が完了する3年から5年の間の期間の代替電力はどうするのか。
➎緊急稼働した老朽火力発電所の安全性は確保されているのか。
❻原油高騰による電力料金の大幅値上げを受け止められるか。

そして、中期的には

❼なにを基盤電力とするのか。
❽代替エネルギー源はなにか。
❾自然エネルギーをどこまで位置づけるのか。

とりあえず福島第1原発事故の補償、除染、東電処理、廃炉問題などは考えずに、これだけあります。たぶんもっともっとあるでしょう。

これらに対して、政府は一貫した政策を持ち合わせていません。というかモグラ叩き的な対応に終始しています。

ここまで問題が膨れ上がり、複雑に利害が絡んでくると、この絡まった糸玉をほぐすのはたいへんな力業だと思われます。

政権がエネルギーシフト問題だけに集中しても相当な力量が要求される難問です。

それを、消費税増税をやりながら、福祉制度を改革し、TPP交渉し、かつ普天間問題の解決をめざす、というのですから、考えるだけ野暮というものです。あ、ひとつ忘れていました。政権党が事実上分裂状態でしたね。

どれひとつとっても政権が命懸けでやるべき課題です。民主党政権がこれらをなにひとつ解決できずにかえってこじらせたあげく、放り捨てることは目に見えています。

このような時期に、自然エネルギーの本格的な時代の幕開けが始まったのは悲劇でした。

「脱原発」という言い方の中にも、即時廃棄から中長期離脱までさまざまな考え方があります。まだ原発ゼロによるブラックアウト(大停電)がないから、なんとなく「脱原発」で世論がまとまっていられるのです。

今年の夏に、どこかの大都市でブラックアウトが発生したら、この空気は一変してしまうでしょう。なんら議論の積み上げがないから、冷めるのも早いはずです。

こんな同床異夢の「脱原発」の空気と、一挙に自然エネルギーシフトを目指す勢力の独走のドタバタの中でエネルギーシフト問題という国家的課題が、なし崩し的に始まってしまいました。

もう少し頭を冷やして、どのような方法で原発を減少させ、なにに替えていくのか、その過渡期の時期は何年程度なのか、その中で自然エネルギーはどのていどの比率が適当なのかなどを、ヨーロッパの先行事例を検証しながら国民的議論を積み上げるべきではないのでしょうか

まだ自然エネルギーを受け入れる社会的基盤がなにもない段階で、太陽光に過度に傾斜したFITだけ作ってもなんにもならないのです。

というわけで、次回はドイツと並んで成功と礼賛されているスペインのケーススタディをしてみましょう。

■写真 残照の中のレンコン田んぼです。湖水のよゔちみえますが、プカプカ浮いているのはレンコン。あ、ロマンチックじゃないですね(笑)。

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住宅屋根設置型太陽光は解決になるだろうか?

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埼玉零細様。コメントありがとうございます。

さて住宅屋根型太陽光についてですが、私はそれがむしろメーンの設置場所になると思っています。事実ドイツなどでは、この屋根設置型を企業が買い取る制度が定着しています。

経済産業省と、孫さんの太陽光ロビー団体・自然エネルギー協議会がほぼ同時期に一般民家の屋根設置型太陽光について、前のめりの発言をしています。(資料1、2参照)

仕組みとしては、このようなものです。

「経産省によると、新制度では、家庭が発電会社への屋根の貸し出しを希望すれば、発電会社の負担で太陽光パネルを設置。発電会社は集めた電力を電力会社に販売し、利益の中から各家庭に屋根の賃料を 払う仕組み」。

既に「DMMソーラ」などという企業が、「8万円で太陽光パネルを設置しませんか」という広告をうって普及を開始しています。http://www.dmm.com/solar/personal/

DMMの広告を見ると、どうやら設置者は8万円を払って屋根に太陽光パネルを設置して、その発電量の8割をDMMが持っていくという仕組みのようです。

広告のうたい文句では、「昼間の電気料金が安くなり、節電すれば充電分に回せる」とのことです。

う~ん、これってあまり設置者にとって得じゃないって感じですね。確かに設置料は負担してもらえるのでしょうが、そもそも発電量がたいしたことがない夏場や冬場といった一番電気が使いたいときに8割持って行かれたら、手元に残りません。

充電もできます、なんて簡単におっしゃるが、大型バッテリーは現時点では技術的に未完成な上に、しっかり高価です。わずか2割の設置者取り分の確保のために、新規投資するのは合わないですね。しかも昼だけの話ですもん。

私だったらやりませんね。パネルはかなりの重量なので住宅が痛むし、メンテナンスはどちらがするかもはっきりしない、11年で元がとれるなんて言われても、それは机上の数字にすぎません。自分の所有になった時にはしっかり老朽化しています。

そして設置者に対しての賃料がどうなるのか分かりません。孫さんは払うようなことを言っていますが、いくらくらいなのでしょうか。おそらくは、四季を通じて一定の発電量は望めないし、設置場所にもよるので゛発電量に対しての歩合制でしょうか。

孫さんの思惑は、全量・固定買い取り制(フィードインタリフ 以下FIT)が前提です。FITで高く電力会社に買わせて(42円)、売電利益の一部を新規の屋根型太陽光に回し事業拡大することを考えているようです。

これによってメガソーラーが設置しにくい都市部での普及をするということを狙っています。

前にも触れましたが、メガソーラーという集約型は決して有利な方法ではありません。たとえば、行田市のメカガソーラーでは1.2MW(実発電量0.12MW)で、5040枚パネルを並べて、旧浄水場跡を使い実に2..2ヘクタールの敷地です。孫さんのメガソーラならその倍です。

これだけ広大な面積を使って、たったと言ってはなんですが、0.12メガワットですよ。農村部でも2ヘクタール一年借りれば、10アールあたり年2万が相場ですから、土地賃貸だけで40万円です。

だから孫さんは、「電田」(ネーミングはいい)とかいって耕作放棄地に設置することを考えたのでしょうが、孫さん甘かったですね。

耕作放棄地は、賃料はただ同然で大喜びされます。しかし、その実態は、人が立ち入れないような場所が小面積で点在しているのです。

おまけに、谷津田といって日当たりの悪い山の中の田んぼが多いから発電効率は最悪。もちろん電線なんかなし。どうします、こんなところ借りて。(資料3画像参照)

理論数値で耕作放棄地は東京都24区分とか誰かに吹き込まれたのでしょうが、実態を知らない思いつきでしたね。

地方自治体のほうは、そりゃあ日本一の大金持ちが頭痛の種の耕作放棄地をなんとかしてくれると言うんで色めき立ち、自然エネルギー協議会にも喜んで参加したのでしょうが、どうやら同床異夢に終わりそうです。

また、売電企業側の心配としては、設置者が勝手に余剰電力を使ってしまうことの歯止めがないのです。

これは企業側も百も承知ですから、全量買い取り制度を要望書の形で経済産業省に提出していて、おそらくその方向になるでしょう。
太陽光発電システムの調達価格、期間への要望http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/003_03_00.pdf

「固定価格買取制度の施行により、屋根貸しビジネスモデルの普及が想定され、個人住宅での全量買取適用が可能となると見られる。」

という屋根設置した発電はすべて企業のものとなる仕組みができそうですが、そうなると今度は設置者のメリットって一体なんでしょうかね。

屋根を貸して多少の賃料は入るのでしょうが、100%発電したものは企業に売ることになり、自分の家ではFIT制のために高くなった電気料金を支払うわけです。 42円で売って、20数円で買う、わけですから。

太陽光は脱原発の夢を乗せた翼だ、という夢が制度の重みが生活にのしかかってきた時、ふとわれに返って虚しくならないでしょうか。

■写真 ポピーが満開です。ほんとうに勝手に野辺に咲き乱れている可愛いやつ。

   ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1民家の屋根借り 太陽光発電事業 電力買い取り新制度
2012/02/08(水) 09:17:42.00 ID:???0

枝野幸男経済産業相は七日の参院予算委員会で、発電会社が一般民家の屋根を借りて太陽光パネルを
設置し、発電事業をできるようにする制度を検討していることを明らかにした。今夏にも始めたい考えだ。
再生エネルギー特別措置法に基づき、電力会社が再生エネを固定価格で全量買い取る制度が七月に 始まるのに合わせた取り組み。

経産省によると、新制度では、家庭が発電会社への屋根の貸し出しを希望すれば、発電会社の負担で太陽光パネルを設置。発電会社は集めた電力を電力会社に販売し、利益の中から各家庭に屋根の賃料を 払う仕組みで、枝野氏は答弁で「こういう形で進められないか研究している」と述べた。

民家への太陽光パネルの設置費用は、標準的な住宅で二百万~三百万円程度。自治体によっては、 既に助成制度が設けられており、発電した電気の余剰分は電力会社に売れるが、家庭が自己負担費用を 回収するのに十~二十年程度かかるため、設置はあまり進んでいない。

新制度なら、パネル設置時の家庭の負担は原則ゼロ。発電会社と各家庭の契約になることから、 政府にとっても、設備投資などに税金を投入せずに太陽光発電の普及を期待できる。
経産省は「家庭が飲料の自動販売機の設置場所を提供し、メーカーから賃料を受け取るようなイメージ」と説明する。

ただ、発電会社と家庭の権利関係がこじれる可能性もある。政府は問題が起きないよう論点を整理し、 再生エネ特措法の政省令や規則でルールを定める方針だ。

■資料2 太陽光発電業界が提出した要望書要旨

ソフトバンクの孫社長が事務局長を務める「指定都市自然 エネルギー協議会」は、企業や団体が一般家庭の自宅の屋根を借りて太陽光発電事業に参入できるようにするなど、自然エネルギーの普及に向けた提言書をまと め、経済産業省に提出しました。
広い土地が少ない都市部では有望な事業で、孫氏は「自然エネルギーの普及につながる」としています。

■資料3 耕作放棄地について

私が数年前にわが市の耕作放棄地の調査をしたときのものです。写真左のガードレールの横の雑草が生い茂った土地が耕作放棄地です。捨てられた谷津田ですが、これはましなほうで、崖のような斜面が大部分でした。

全国を積算すれば東京都24区とかになるのでしょうが、一枚がそれだけあったらたいへんなものですが、現状は細々と細分化されて点在している使用不可能な土地が大部分です

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風力発電大国デンマークの秘密 デンマークにとって電気は「輸出商品」だった!

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再生可能エネルギー、いや、自然エネルギーといったほうが適切だと思いますが、この問題点はひとつに集約できます。

それは「ブレ」の激しさです。下図は浮島太陽光発電所の発電状況のグラフです。12時ころをピークとして崖型に発電量が推移するのがわかります。

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6時以前と4時以降はまったく発電を停止します。曇りと雨でも稼働しなくなります。

このグラフは太陽光発電が活発な春3月のグラフです。春は太陽光のベストシーズンで、利用側もエアコン使用がないため電力需要にも余裕があります。

一方、夏の気温上昇はパネル内の温度上昇により電気抵抗が増すので効率が下がるにかかわらず、ご承知のように一年でもっとも電力需要がピークを迎える季節です。

つまり、太陽光は一番必要とされる時には発電が減るという本質的な欠陥を持っているクセのある電源だということです。

ですから、「発電量」公称1メガワット(100万ワット)と発表されていても、実態の実発電量はその7から10分の1にすぎません。中とって8分の1として、公称1MW太陽光発電所の実発電量は0.12MWにすぎません。

他の自然エネルギーである、たとえば水力発電、地熱発電、バイオマス発電などはとても安定しており、24時間昼夜を問わず、春でも夏でも一定の発電量をキープ可能です。

ただ風力のみが不安定ですが、発電コストが安価な利点があります。

次に将来的な技術発展の可能性ですが、残念ながら太陽光は既に理論値に達しており、今後大きなブレークスルーは見込めないというのが、おおかたの専門家の意見です。

当然、より小型化、効率化、低価格化は進むことは間違いありませんが、季節と天候、時間に縛られる太陽光の本質的な欠陥が解決できるかどうかははなはだ疑問です。

私は初期太陽光設置者としての経験からも、太陽光は自然エネルギー兄弟の一番のデキンボーだと思っています。このような使いにくい電源にもっとも高い買い取り価格を設定して政策誘導する気がしれません。

このような太陽光発電のみに高い買い取り価格を設定し、資源再利用の観点からも有意義なバイオマス系の自然エネルギーにてこ入れしないのか不思議です。(資料1参照)

ところで、平均30%の「ブレ」があると言われている自然エネルギーを、国のエネルギーの20%にまでにした国があります。デンマークです。

デンマークは、1980年代から風力発電に熱心に取り組んだ結果、現在では5500基の風力発電所が稼働しています。

水上風力発電所などの写真を見られた方も多いと思います。この20%という風力発電のシェアは、世界の自然エネルギーの中でも突出しており、評価が高いものです。

さて、すこしでも自然エネルギーというものの特性を知っている者には、20%という数字が驚異的なものだとすぐにわかるでしょう。だって、デンマークの電力は、2割も不安定なのですから。

この秘密は、デンマークが、日本と違って一国だけの閉じた送電網ではなく、北はスカンジナビア諸国、南はイタリア、西南はイギリス、・ポルトガルといった17カ国もの送電ネットワークの中に位置するからです

デンマークは、この送電網を使ってドイツやノルウエー、スウェーデンに風力発電の電気を売っています。その割合は、04年から08年実績で50%、06年など4分3まで輸出に回しました

13年に800MWの世界最大級の風力発電所が完成しますが、ここで出来た電力は初めから国内向けとして考えられておらず、「輸出商品」として考えられています。

またデンマークは人口が少ないために、使用電力量も、デンマークを1とすると、スウェーデンは5、ドイツなど15にもなります。

ですから、デンマークは、このような隣国の電力需要があって、初めて大規模な風力発電の建設に踏み切れたわけです。

このようなデンマーくも、風力発電に多額の補助金を注入しているために、電気代はEU諸国で随一という高さになっています。(資料2参照)

一方日本は、島国という特性から近隣国と送電網をつなぐのは非常に困難です。技術的にやればできるのかも知れませんが(小沢鋭氏が提唱したことがあります)、現実的には巨額の投資と、政治的な困難さが待ち受けています。

その前にどう考えても、東西の電力融通が先決でしょう。国内融通すらできないでいるわが国が、他国との電力融通を構想するのは10年早い。

わが国は、デンマークをうらやむことができません。わが国はわが国の特性の中で問題解決をせねばならないのであって、山の向こうに青い鳥は住んでいないのです。

■写真 少し前に盛りだった椿です。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 1KWhにおける買電買い取り価格

・メタン発酵バイオマス・・・40.95円
・未利用木材     ・・・33.6円
・廃棄系バイオマス ・・・17.85円
・リサイクル木材   ・・・13.65円
・太陽光        ・・・42円

■資料2 EU各国の電気料金とわが国の電気料金比較
2011年4月現在、1kWhあたりの電気料金(1ユーロ=110円で換算)

・事業用(年間7500kWh向け)
・イタリア   25.40ユーロセント (27.9円)
・デンマーク 24.81ユーロセント (27.2円)
・ドイツ     24.33ユーロセント (26.8円)

○日本 事業者向け・・・・13.77円
(中部電力21年度)

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脱原発は漸進的に慎重にせねばならない

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英国の19世紀の経済学者アルフレッド・マーシャルがこんなことを書いていたのを思い出しました。

進歩は思想と実践で加速するかもしれない。しかし、どんなに加速しても、それは漸進的で、比較的ゆっくりとしたものでなくてはならない。」

「というのも、制度は急激に変化するかもしれないが、しかし制度が確かなものとなるためには、人間にとって適度なものでなくてはならない。
制度は、もし人間の変化以上に早く変化させられたら安定しない。(略)大規模で急激な変革の企ては、これまで同様に失敗するか、反動を引き起こす可能性がある。」

この言葉は、そのまま現在の脱原発の動きに当てはまります。

原発問題をエネルギーとして考えるなら、それは万国共通ではありません。というのは、エネルギー問題が、経済構造の要であり、深くその国それぞれのシステムに埋め込まれているからです。

他の国で成功したからと言って、異質な制度を簡単に移殖できません。それを無理にしようとすると、必ずその国の経済・社会システムが不安定になり、社会そのものが破綻する可能性すらあるからです

私は脱原発、すなわちエネルギーシフトを、EUのグリーン革命の軌跡を見ながら考えています。

わが国ではいま、福島第1原発事故を背景にした原発への恐怖心を背景として、一挙に原発の即時停止、自然エネルギーへの全面転換を叫ぶ主張が花盛りです。

いま、この時を逃したら脱原発の扉は開かれないかのような焦りの色すら感じます。ドイツやスペインの失敗を、成功だといいくるめる人たちまで現れました。

それが、一市民ならいいのですが、調達価格算定委員だとなると話は違ってきます。

再生可能エネルギーの買取条件を決める調達価格等算定委員でも、ドイツやスペインが全量・固定価格買い取り制度(FIT)の補助金を削減し、上限をもうけ、事実上のFIT制からの離脱宣言したことをまったく無視するわけにもいかず、渋々議題に取り上げたことがありました。

その記録はなかなかスゴイものがあります。
経済産業省調達価格算定委員会第1回・議事録要旨
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/001_giji.html

「委員  ドイツが全量買取制度を廃止したという報道があったが誤りである。太陽光のみを対象とした部分的な修正というべきもの。」

この委員とは、日本環境学会会長の和田武氏ですが、無茶言うなぁ。太陽光にもっとも高い42円という廃棄物系バイオマス17.85円の2倍以上の買い取り価格を設定し、太陽光への露骨な政策誘導しようとしたのはいったい誰だったのですか。

また調達委員会第3回ではこんなこともおっしゃっています。

「委員  制度として、負担をしながら利益を生じる仕組みにする必要性がある。コストカットは色々なやり方がある。コスト低減の取組を産業界でも行っていただきたい。ドイツの例は失敗ではない。むしろ成功して予想外に導入が進んだので、価格を下げただけである。」

この和田氏は古いタイプの環境主義者のようですね。経済と環境、エコノミーとエコロジーを対立概念で考えています。

新しいエコロジストたちは、エコロジーはエコノミーの裏付けなくして持続不可能だと考え始めています。この私もそう思っています。

古いエコロジストは、ドイツやスペインは、経済的にグリーンエネルギー政策がうまくいかなかったからFIT制から離脱したのだ、と思いたくないのです。

この和田氏にかかると、この両国のFIT制離脱も、「成功して予想外に導入が進んだ」結果だとしています。

その「成功」とは、FIT制により、初期参入を狙った太陽光バブルが生じて、政府の想定を軽々と超えた買い取り量になったからです。

買い取り量が青天井などという馬鹿な話が世の中にありますか?それをドイツはやってしまったのです。買い取り量が定まらないのですから、財政的裏付けを与えることすらほんとうは無理なはずです。

結果、予定した財源がショートして、全量買い取りが不可能になった、ただそれだけです。これを「成功」と言いくるめるのはいかがなものでしょうか。

脱原発宣言以降、ドイツ社会には昨日触れたようにさまざまな障害がでました。

電力供給は不安定となり、電力輸入国への転落し(*)、電力料金の高騰には歯止めがかからず、「成功」した導入にもかかわらず国内グリーンエネルギー産業は相次いで倒産に追い込まれました。
*ドイツがグリーン革命以後電力輸出国になったというのは、諸条件が偶然に揃ったわずか数週間にすぎません。すぐに輸入過超国に転落しました。

つまり、買い取り量と供給量というFITの二大支柱が共に不安定なために、FIT制は崩壊したのです。

結局とどのつまり、ドイツ国民は原発の恐怖から逃れられたものの、社会・経済の大きな不安定を味わいました。

いやその安心すら、国境のすぐ隣には世界一の原発大国フランスがあるのですから、原発事故が起きればドイツも一蓮托生であって、狭いヨーロッパには逃げ場はありません。

本来なら、EUレベルで共通認識を持つべきだったのにもかかわらず、ドイツのみが突出したためにこのようなことになってしまいました。

メルケル首相の次期はないといわれるのは、EU危機を救うための巨額な財政負担だけではなく、この性急すぎた脱原発政策の失敗もあると言われています。

この数年同時にドイツで起きたことを真摯に総括しないで、それを「成功」と呼ぶ、この姿勢からはしゃにむに現在の日本の脱原発の空気を利用しようとして、みずからの主張を実現しようとする野心すら感じられます。

電力輸入が容易にできる地域であるヨーロッパの「成功例」を、それが不可能な上に、東西の電力融通すらできないわが国に模倣的移殖をする発想自体が間違っているのです。

過激な脱原発は短期間で終わり、その後に来るのはマーシャルの言う「反動」です。

■写真 霞ヶ浦です。遠くに筑波山が見えます。

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ドイツ・早すぎる喝采 ドイツ電力責任者は語る

↑ Matthias Kurt氏

ドイツは日本の合わせ鏡のような部分があって、お互いに影響されあっているところがあります。

今回の福島第1原発事故のとき、もっともセンセーショナルに事故を煽った国はドイツでした。私もドイツの媒体は英米と比較して、どうしてここまで事実を歪めるのか、と憤りすら感じたものです。

そして日本側にも、ヨーロッパ発のプロパガンディストグループの主張を丸のまま鵜呑みにする人たちが大量に生れました。

するとドイツもまた、自らの過激報道に自ら煽られるようにして、脱原発を宣言し、グリーンエネルギーにシフトすると宣言しました。

今度はこれを日本のマスメディアは過剰に礼賛し、日本はドイツに見習えという報道が繰り返しなされ、とうとう高額の全量・固定価格買い取り制までスタートしました。

まさに日独がお互いに煽り合い、一緒になって極端に走るという図式です。

ついでながら、極端に走るという国民性は熱しやすく冷めやすいわけで、いまドイツの脱原発派は苦境にたたされています。

さて、脱原発宣言を実行に移し、再生可能エネルギーにシフトしたドイツ人自身は、これをどのように評価しているのでしょうか。

「早すぎる喝采」と題された興味深いインタビューがあります。語るのはドイツ連邦ネットワーク庁所長のマティアス・クルト氏です。

原文フランクフルター・アルゲマイネ紙で、ドイツの中道左派の新聞で、緑の党などを支持してきた媒体ですhttp://www.faz.net/aktuell/wirtschaft/energiewende-es-wird-zu-frueh-hurra-gerufen-11655191.html

このネットワーク庁とはインターネットではなく、電力を統括する責任官庁です。

クルト氏はこう語ります。

「エネルギーシフトにのぞむにあたり、ドイツはここまでとてもよく対処しています。しかし、だから大丈夫と考えるのは早計です。厳しい冬を乗り越えた今だからこそ油断大敵で、気を引き締めてかからなければなければなりません。

エネルギーシフトの成功を喜ぶのは少し早すぎます。まだドイツの電力のおよそ6分の1は原発によるものです。エネルギーシフトの本当の試練は、これらの原発を稼働停止しはじめてから始まるのです。われわれは、今後10年かけて大変な問題に取り組んでいかなくてはなりません。

自然エネルギー施設の拡充方針に反対する人はいません。しかし問題は建設地の確保で、特に南ドイツでは不足しています。現在建設中の発電所では不十分なのです。すべての関係者には、この冬の経験を通じて新規建設の必要性を認識して欲しいと思います。

今多くの人は、ドイツが数週間フランスに電力を輸出したと喜んでいます。しかし2011年全体でみれば、ドイツはフランスに対してかつての電力輸出国から輸入国へと転落しています。都合のいい数字ばかりではなく、事実を見つめるべきです

極度の寒波とガス輸送の停滞により、予想を超えた困難に直面しました。…非常に逼迫した状況で、数日間は予備電力に頼らねばなりませんでした。万が一の場合もう後がないわけで、極めて異例な措置でした。」

この記事にはドイツの読者のコメントが寄せられています。繰り返しますが、このフランクフルター・アルゲマイネ紙は、日本でいえば朝日新聞のような媒体です。

そのコメントはエネルギーシフト政策に対して激しい怒りが叩きつけられています。ある意味、こちらのほうもたいへんに面白い。

●エネルギーシフトの失敗は日毎に明らかになるばかりだ。ドイツの電力は限界で、電気代の値上がりもひどい。なにより雄弁に失敗を物語るのは、プロパガンディストがほんの小さな成功に大騒ぎして、プロジェクトの成功を声高に語るところだ。たまたま天気に恵まれて、ほんの少しフランスに輸出しただけだというのに。

●私の知る限り、2011年にフランスから輸入した電力は約18000GWhで、輸出は140GWhだ。これは輸入超過なんてレベルではなく、130倍もの差だ。だがドイツの政治家とメディアは、エネルギーシフトに疑いを持たせる数字は語ろうとしない。

●バイエルンではすでにエネルギーシフトは破綻している。原発の半分を停止したため、電力はチェコとオーストリアからの輸入頼み。州政府はガス発電所を建設しようとしているが、自然エネルギー優先政策のせいで採算が合わないとドイツ企業は撤退し、今はロシアのガスプロムと交渉中。外国頼りで不安だ。しかも新規発電所の稼働は残りの原発の稼働停止に間に合わないとくる。

●エネルギーシフトなんていうのは、素人をその気にさせるためのコピーにすぎない。ドイツは輸出工業立国であり、安くて安定した電力はその命綱だ。ドイツの存亡に関わる重大な問題をエコロビーに任せるべきではない。プロの判断を仰ぐべきだ。

●かつてのドイツは一流の電力産業と一流の原発を有し、安くて安全な電力を生み出していた。だが政治家のゲームに滅茶苦茶にされてしまった。本当の悪夢はこれからだ。

●つい最近までエネルギーシフトを熱く語っていたやつらはどこに隠れたんだ?天候次第では停電してたんだから仕方ないか。巨額の税金をつぎこんだのに風力と太陽光発電は見込みの2割しか発電せず、そのくせ電気代は去年から2割増しだ。そろそろバカなことはやめるべき時だ。

日本のマスメディアは、ドイツの脱原発・グリーンエネルギーの光と影を客観的に報道しません。

このコメントにも出ている、「ドイツが原発を止められたのは電気をフランスから買っているからだ、などというのは間違いだ。今は電力輸出国にさえなっている」、という報道も大分聞かされた記憶があります。

事実はクルト氏が正直に言うように「数週間売ったことがある」ていどの話で、実態は絶対的輸入超過です。

グリーン産業が伸びたというのも間違いで、巨額の税金を投入して大儲けをしたのは中国企業だけでした。税金で中国の太陽光産業を育成したようなものでした。

日本が高い電気料金だというのもウソで、ドイツは日本の2倍の電気料金です。

このように光の当たる部分のみ取り上げて、実情を伝えようとはしませんでした。その結果、ドイツが陥っている問題点の洗い出しができず、回避できるはずの失敗の道を歩もうとしているように見えます。

■ きょうからカテゴリーに「脱原発」を加えました。
私は脱原発に与しますが、いまのあまりにも性急で加熱した状況には疑問を持っています。ひとつひとつ論点を押えてグリーンエネルギーシフトをしていかないと失敗するのではないかと思っています。

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FIT推進派一色の調達委員会では、結論が初めから分かっていた 

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よくこんな話をテレビなどで聞きませんか。

「日本はかつて太陽光パネルで世界一の技術とシェアを持っていたが、いまは大きく脱落した」。

あるいは

「ドイツはグリーンエネルギー大国になったのに、日本は原発に固執したために大事故を招いた」。

ついでに

「日本の電気料金は世界一高い」。

これはよくマスメディアがしたり顔で言う台詞ですが、別にウソを言っているわけではありません。ただ、自分にとって不都合なことを言わないのでアンフェアなだけです。

ドイツで急速に太陽光発電が普及したのはふたつの原因があります。ひとつは全量・固定価格買取り制(以下FIT)と、中国製の激安太陽光パネルによる市場支配です。

つまり、ドイツは「グリーンエネルギー大国」にはなったというのはウソではありませんが、グリーンエネルギー産業は育たずに、儲けたのはFITの初期参入者と中国企業だけだったのです。

ドイツは、この結果のツケを今になって支払っています。この3日間書いてきたように、ドイツでは、巨額な財政負担と電気料金の高騰、国内グリーン産業の倒産続出などのために、FIT制の維持が困難になりました。

ドイツは脱原発を急ぐあまり、誤った方向に行ってしまったのです。

ドイツ政府は、現在全量・固定価格買い取りをやめて、80%から90%のみ買い取って、余った電力は自家消費するか、一般の市場に放出して化石燃料電源と同じ安値で売るような改訂案を連邦議会に提案しています

当然買い取り価格も下がっていく一方です。(下図は家庭用発電)

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初年度2005年は90.6円で、現在は38.5円です。半分以下の買い取り価格に下落しているのがわかります。

そして皮肉にも今や、ドイツの太陽光発電の買い取り価格は通常の電気料金よりも安くなってしまったために、売電するより買ったほうが安いということになってしまいました

頂戴したコメントにFIT制はエコカー減税のようなものだ、というご指摘がありましたが、やや違います。エコカー減税は、買った消費者のみが優遇税制を得ることができます。

しかしFIT制では、買わなかった者にも税金負担がくるという点では一緒ですが、電気料金の上乗せという形で二重の負担になります。いわばエコカーでない車も高くなってしまったのです。

その結果、ドイツの電気料金は事業用で 24.33ユーロセント(26.8円)、日本の13.77円(中部電力)のほぼ2倍となっています

日本の電力料金が世界一高いというのは、2005年のEU諸国のFIT導入までの話で、現在は日本の買です。

こんな調子ですから、ドイツを先頭とする「グリーン革命」は急速に退潮しており、特にその中心だった太陽光発電には大幅な見直しが始まっています。

マスメディアは、初年度から数年の破竹の勢いの「太陽光バブル」のみを切り取っているのであって、そのバブルが弾けてしまった現在の「アフターグリーンバブル」の姿を伝えようとしません

これはFIT政策の失敗によるものと結論づけてもいいのではないかと思います。これをそのままデッドコピーしようというのがわが国です。

日本では2003年からRPS制度が導入されて、全ての電気事業者に一定割合のぐりーンンエネルギーの調達が義務づけられました。
*RPSRenewables Portfolio Standardの頭文字で、「再生可能エネルギーの利用割合の基準」のこと。

当時はグリーン電源の普及についてFIT制度にするか、RPS制度にするかで意見が分かれていました。最終的にはそれがRPS制度になったわけですが、その時の政府の見解はFIT制の欠陥をよく分析しています。(欄外資料1参照)

ここで当時の政府が言っていることは

FIT制では適切な固定価格の設定が難しい。

❷FIT制では競争努力がされにくく、事業者の効率化インセンティブがなくなる。

❸以上の結果電力価格がコスト高になり、電力料金が上昇し、高値固定化する。

珍しく政府は正論を語っています。この当時の日本政府見解が正しかったことは、マスメディアが礼賛するドイツの現在の惨状を見れば分るでしょう。

この政府方針がひっくりかえったのは、民主党事業仕分けで飯田哲也氏が従来の太陽光発電の補助金をバッサリ切り、FIT制を導入することを結論づけたからです。

飯田氏が強硬なFIT制の主導者であることは知られており、彼を再生可能エネルギーの事業仕分け人に選んだこと自体、FIT制への転換という思惑が既に民主党政権内にあったと思われます。

この事業仕分けの流れを受けての調達委員会では、買い取り事業者側の候補がすべて排除され、FIT推進の人たちのみの会議となりました。

なにか不透明ですね。このような重大な決定を利用者側の意見をシャットアウトしたところで、、現在のドイツを総括することなく、太陽光事業者の言い値でを丸飲みして決めてしまったわけですから、先が思いやられます。

■写真 もみじの若葉です。もみじというと紅葉ですが、青葉のもみじもなかなか。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 RPS 制度とFIT 制度:新エネルギー導入政策に関する研究
3-2-2 RPS 制度と固定価格買取制度の比較(政府見解)

 第一に、対策効果の確実性の面でみると、固定価格買取制度は、価格設定を発電事業者にとって十分魅力ある水準に設定すれば効果は大きいが、固定価格を常に適切な水準に設定することは困難を伴い、仮に低すぎる水準に設定されれば、期待された導入効果が達成されない可能性が高い。

 また、このため、目標を確実に達成しようとすれば、価格は適切な水準より高めに設定され、しかもそのまま固定されやすい可能性があり、その結果、社会的コストが膨大なものとなり、経済効率性を欠く

第三に、コスト削減インセンティブの面に関して、固定価格買取制度は、固定価格での買い取りが保証されるため、発電事業者側にコスト削減インセンティブが働きにくい。価格が仮に適正な水準より高めに設定された場合には、非効率な設備の導入が増加する懸念がある。

 また、一度設定された価格は、発電事業者等の予見可能性等を考慮すると、機能的な見直しに限界がある可能性があり、そのような場合には、発電コストが低下しても、最終消費者のコストは下がりにくい可能性がある。
(太字引用者)

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行田市メガソーラー、8千基集まって一基の原発分という現実

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昨日、天、俄かにかき曇り猛烈な突風と、爆撃のような落雷が始まりました。私のほうは無事でした。お見舞いありがとうございました。

同時刻に、つくば市では日本では珍しい大型の竜巻まで現れて、軒並み民家をなぎ倒しました。お気の毒なことに、少年がお亡くなりになりました。

原因は積乱雲が起すスーパーセルという現象のようです。震災以来、あらためて自然界の恐ろしさを知った昨日でした。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120506-00000545-san-soci

さて、私は再生可能エネルギー自体には希望を感じています。しかし、現実に始まったこの制度にはなんとも言えない不安なものが残ります。

そもそも、その始まり方からして異様でした。

原発事故処理に失敗した菅首相が、目くらましのために飛びついたのが、当時国民のコンセンサスになっていた「脱原発」でした。

菅氏は脱原発解散をほのめかしながら、自らの辞任すら材料にして再生可能エネルギー法を通したのです。まったく、たいした御仁です。

そしてそれに、日本一の政商・孫正義氏が相乗りするに至ってうさん臭さは倍増しました。

目的が正しければいいのではないかと思わないではないのですが、このような開始の仕方をすればかならずひずみが生まれます。

その最大のものは、国民的な議論がないことでした。脱原発という目標に達するまでに、どのようなプロセスが必要で、いかにして国民経済や、生活を傷つけずに済むかのか、という肝心なことがなおざりにされて、あれよあれよというまに見切り発車のような始まり方になりました。

政府ときたひには、事故の検証すら済んでおらず、鳴り物入りでぶち上げた原子力規制庁すら出来ていないにもかかわらず再稼働をなりふりかまわずお願いする始末です。

政府は、脱原発の道筋をしっかりと立ててから、再稼働を要請すべきでした。

この脱原発の道筋というのは、ほかならぬ代替エネルギーと、その重要な一角を占めねばならない再生可能エネルギーをいかにして確保し、しっかりと普及させるかでした。

自然エネルギーは、長年に渡って言い方は悪いのですが、好事家の色物扱いされてきた歴史があります。私も15年前に導入したモノ好きのひとりですから、よく分かります(笑)。

現在の世界の発電用電源の内訳をみてみましょう。自然エネルギーは、統計のとりかたによっても異なりますが、だいたい3%ていどです。自分で言うのもなんですが、マイナー中のマイナーです。欄外資料参照)

実はこの再生可能エネルギーは、牛糞や薪などもバイオマスとして入っています。これが意外と発展途上国では大きいので、実態はもう少し低いと思われます。

大きな数字で5%から10%というものもありますが、その場合は発電容量といって、理論的にはこれだけ発電できますよという能力で計算しています。

実発電量は、天候の晴れたり曇ったり(曇りや雨だとまったく発電しません)、昼夜、季節変動を平均化して計算します。おおよそ、発電容量の7分の1から8分の1ていどです。10分の1という説もあります。

風力もまた実発電量は、発電容量の4から5分の1程度と考えられています。一度も回らない風車はつくば市の恥のオブジェになっています。

ここが他の火力発電や原子力とは大きく異なるところです。火力や原子力は停止しない限り一定の発電を継続できますが、自然エネルギーは短時間の間に30%ていどの変動をしてしまいます。

ですから、昨今話題のメガソーラー発電所が「メガ」といった場合は、割り引いて考えねばなりません。それはあくまでも、発電力のポテンシャルに過ぎないからです

たとえば、埼玉県は行田市にメガソーラーを建設しました。ちょうど稼働を開始し始めたところでしょうか。

これの発電容量は、1.2メガワット(MW) とされています。メガは100万で、家庭用が1000W(1kW)台ですから、平均3kWとして、だいたい300~400軒分の発電をするということです。

ちなみに、7月1日に運転開始の孫さんの榛東村(しんとうむら)のメガソーラーが2.6MWです。

行田市メガソーラーの場合2.2ヘクタールの浄水場に発電パネルを5040枚並べて発電しますが、1.2MWという平均出力は、あくまでもさきほど述べたように発電「容量」ですから、実発電力はその7から10分の1となります。

中とって8分の1とすれば、15万W(0.15MW)ていどです。メガという勇ましい公称からはぐぐっと格落ちしてしまいます。

埼玉県はこれに7億3600万円(11年度)を投入しました。これで埼玉県は年に1600万円電気代が節約できるとしています。ということは、償却するのに46年かかるということになってしまいます。おいおいです。

実際には、その間のメンテナンス費用がかかりますし、EUでは太陽光、風車の保守管理費の高騰が悩みの種なのです。

そして、46年間も同じパネルを使っているはずもなく、性能の陳腐化と耐用年数(20から30年と言われています)切れとなるでしょう。

ということは・・・、あまり考えたくないのですが、たいへんな赤字生産施設となりかねないことになります。

比較したくない計算ですが、原発一基は1000MWていどです。

しかも、これまた言いたくはないのですが、さきほど述べたように原発は発電容量ではなく、正味の実発電量ですから、行田メガソーラー0.12MWが8000基集まって1基の原発に相当するということになります。ああ、こんな夢のない計算するんじゃなかった。

私はメガソーラ方式は、用地買収に手間と費用がかかりすぎるうえに、集約させる意味があまりないのではないかと思います。おそらく家庭の屋根を借りる方式が一般的になるのではないでしょうか。

採算を度外視した行政がやるとこうなります。これを黒字転化するには、徹底したコスト削減と、固定買い取り制度(FIT)と補助金が不可欠となります。

方法はこのようなことになるでしょう。

➊FIT制で採算分岐点といわれる35円以上を獲得する。
❷国の補助金と優遇税制を獲得する。
❸国産パネルを安価な中国製に切り換える。
➍用地買収費がいらない一般家庭屋上に設置する。

前二者は実現したか、しつつあります。後二者もきっと、1年以内に実現することでしょう。

しかし、いずれにしても巨額の税金の投入をした上に、買電する電力会社は電気料金に「太陽光促進附加金」として、おおよそ年に100円ていどを上乗せすることになります。

言い換えれば、太陽光パネル未設置の国民は、補助金+電気料金値上げで二重の負担を強いられることになります

これを、「脱原発のための国民の負担」といった言い方をする方もいましたが、国民のほとんどはそれを知らないままに見切り発車されてしまいました。

こういう始まり方でいいのかな、と思うのは私だけでしょうか。私は拙速は罪だと思うのですが。

 

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再生可能エネルギー元年に、EUの失敗の轍を踏むな!

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もう少し再生可能エネルギー固定価格買い取り制(フィードインタリフ 以下FIT制)について考えてみましょう。

FIT制は、再生可能エネルギー法のキモのように言われた制度です。

まだ出来上がっていない自然エネルギー市場を、安定した価格で買い上げることによって急速にその普及をめざすというのが目的です。そのために、今まで以上の固定額で電気を買い取ります。

孫正義社長はたいそう満足だったようです。孫氏は「世界的な相場に近い」と言っているようですが、ほんとうにそうなのか調べてみましょう。(資料1参照)

では、今までもっとも高額買い取りを実施していたドイツの太陽光買い取り価格を見てみましょう。
経済産業省 調達価格算定委員会第1回資料

lhttp://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/001_06_00.pdf

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これを見ると、2012年現在で18.8ユーロセント、約29.7円です。FIT制開始時の2005年には45.7ユーロセントで72.2円でした。7年間で半分以下になりました。

上図は、事業者の地上設置型太陽光発電所ですが、一般家庭用の屋上設置型の価格推移は下図のようになります。

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初年度2005年は90.6円で、現在は38.5円です。これも半分以下の買い取り価格に下落しているのがわかります。

この下落速度は近年になるにしたがって深刻なものになり、2012年は1月に改訂されたばかりの買い取り価格が、その3カ月後の4月にはまた引き下げられるという状況になっています。

ドイツはFIT制導入時には超高額の買い取りをした結果として、たちまち7年で制度が持たなくなったのがわかります。今年のめまぐるしい改訂ぶりをみると、次年度は大幅に下落するか、制度そのものが廃止を迎えると予想されます。

つまり、孫氏の「世界的相場に近い」という言い方は、初年度のことだとするとほんとうで、現時点ならウソだと言うことになります。

再生可能エネルギー先進国のEU諸国では、このようなメカニズムが起きました。(資料2参照)

初年度参入を優遇するために高額買い取り価格を実施した結果、大量の新規参入者が殺到した。特に太陽光発電に集中した。その理由は
・立地条件を選ばない
・設備投資が安価である
・技術的に簡単である
・再生可能エネルギー中でもっとも買い取り価格が高い
・利潤の優遇措置が取られた

❷以上の理由で、太陽光発電の初期参入は、事業リスクがなく、いわば濡れ手に粟状態となった。EU。では太陽光バブルが生じ、異業種からの大量参入が続出した。

❸FIT制による買い取り費用は、電力料金として需要家に転化されるため、当初の予測より導入量が多くなり、政府に想定以上の負担をかけた

発電導入量の増加により、電力料金がスライドしてハネ上がった

・EU各国の電気料金がハネ上がった。日本の家庭用電気料金は、だいたい1kWhあたり21円前後で推移しているのに対して、デンマークは1.5倍、ドイツは1.4倍ほどとなっています。(資料3参照)

発電量が予測を下回り、不安定な電源であることが実証される結果となった

「(ドイツでは)ここ数週間、国内の太陽光発電設備がまったくといっていいほど発電していないこと、太陽光発電設備のオーナーたちが80億ユーロ(8240億円)を超える補助金を受け取ったにもかかわらず、全体の3%程度の、しかもいつどれくらいの量かが予見不能な電力を生み出すに過ぎない」。
(ドイツ「シュピーゲル」誌 昨日の欄外資料3参照)

➎多額の補助金(ドイツでは8240億円)を投下したにもかかわらず、国内の自然エネルギー産業が育たなかった。パネルメーカーは軒並み倒産したか、その危機にある。原因は中国製の低価格パネルの大量参入のため。

「これだけ補助金を出しても、国内に還流され、産業が育つのであれば国民の理解も得られるだろう。しかし、現実はそうはなっていない。」
(同)

電力料金の高騰で、国内産業が海外逃避を開始した

「ドイツ商工会議所がドイツ産業界の1520社を対象に行なったアンケートによると、エネルギーコストと供給不安を理由に、5分の1の会社が国外に出て行ったか、出て行くことを考えている」。
(同)

このようにドイツでは、「太陽光はドイツの環境政策の歴史で最も高価な誤り」とまで言われるようになってしまいました。

わが国はドイツのFIT制度の経験をまったく学んでいません。むしろ輪をかけているふしすらあります。

再生可能エネルギー法では、呼び水として最初の3年間は利潤に配慮する、と銘記されており、高額買い取りと相まって初期参入が一気に増大するでしょう。

しかし、ドイツの例をみるまでもなく、条文に3年間優遇とある以上、3年後には収益率の低下がはっきりしているために、それ以降の投資は警戒されてしぼねむことになります。

しかも他の自然エネルギーより倍以上の買い取り価格を太陽光に設定したために、太陽光のみに過度に投資が集中し、3年後に弾けます。

なんとまぁ、すごい制度設計だこと・・・。これだと、初期投資家のみが莫大な収益をあげることがわかりきっています。

FIT制は、ドイツ、イタリア、フランスの例でも2年もたたずに制度改訂を繰り返し、5年から7年めには、固定買い取り制からの離脱を考えています

脱原発は間違っていない国の選択だと私も思います。しかし、だからと言って欧米で明らかに失敗が宣告されたFIT制度をカーボンコピーすることはないのではないかと思います。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 ■クローズアップ2012:再生エネ価格案決定・太陽光42円 普及優先、急ごしらえ

毎日新聞 2012年04月26日 東京朝刊

 経済産業省の有識者会議「調達価格等算定委員会」は25日、太陽光など再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」の原案を提示した。再生エネの普及を優先するため、発電事業者の要望に近い価格水準となった。太陽光など5種類の再生エネで発電した全電力を、電力会社が固定価格で一定期間買い取ることを義務づけた買い取り制度は7月スタート。制度開始を目前に、急ごしらえの印象は否めず、費用以外のハードルも多い。政府は、再生エネを原子力発電に代わる新しい電源と位置づけるが、課題は山積している

 ◇家庭は月100円未満負担増
 「(自然エネルギー普及に向けた)第一ステップ。よいことだ」

 北海道や京都府で大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設を計画するソフトバンクの孫正義社長は会合後、1キロワット時あたり42円とする買い取り価格案を評価した。採算が取れる価格設定を強く訴えてきただけに、要望通りの内容に満足した様子だ。

 委員の中には「太陽光は30円台後半でも採算が合う」との声もあったが、高めの価格設定になったのは、欧州などに比べて遅れている再生エネ導入を加速させる狙いがある。太陽光以外の発電でも、業界団体の要望に沿った価格となった。

■資料2 欧州で露呈するFITの欠点
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1468?page=1

欧州では制度導入から10年が経過し、FITの欠点も明らかになり、各国政府は制度の見直しを行っている。発電コストが高い再生可能エネルギーの買い取り負担が大きいにも拘わらず、理論通りのメリットが少なくFITの費用対効果に疑問が出てきたためだ

 FITによる買い取り費用は電力料金として需要家が負担する。当初の予測より導入量が多くなった場合には、政府も予想しなかった大きな負担を引き起こす

スペイン、イタリアなどでは大規模太陽光発電の買い取り価格が、事業者にとり有利であったために、異業種から多くの参入を招いた。FITで長期間収入が保証されるが、事業リスクがほとんどないという極めて稀で有利な投資であるためだ。イタリアでは、予定された導入上限量が瞬時にうまってしまい、08年には政府は上限量を撤廃することになった。

 導入量の増加は消費者の負担増を招く。イタリアでは09年に1キロワット時(kWh)当たり0.25ユーロセントだった買い取りの負担金は、11年には1.54ユーロセントに達すると報道されている。制度が続き太陽光発電設備が増える限り、長期に亘り消費者の負担増も続くことから、政府は買い取り価格の引き下げを決めた。さらに6月1日に発効した新制度では大規模太陽光発電設備からの買い取り総額に上限値が設定された。

 FITにより再生可能エネルギーの導入が進んだ欧州諸国は軒並み電力価格の上昇に直面している。EU27カ国の4月1日現在の家庭用電力料金を見ると、年間3500kWhの標準使用量で、風力の発電量が20%に達したデンマークが最も高く1kWh当たり28.64ユーロセント、2番目は風力と太陽光の発電量が20%近くになったドイツの25.88ユーロセントだ。年間7500kWhの使用量の家庭向けではイタリアが最も高く25.40ユーロセント、次いでデンマーク24.81ユーロセント、ドイツ24.33ユーロセントと続く。いずれも日本を上回っている。

 家庭と産業の電力料金の負担による再生可能エネルギーの導入により、どんな成果が得られたのだろうか。再生可能エネルギーの導入は化石燃料の消費減に結び付くはずだが、実際にはEU27カ国の近年のエネルギー自給率は低下している。一次エネルギー消費量の増加に対し、再生可能エネルギー増加量が絶対値では大きくないためだ
(太字引用者)

■資料3 EU各国の電気料金とわが国の電気料金比較

2011年4月現在、1kWhあたりの電気料金(1ユーロ=110円で換算)
・家庭用(年間3500kWh向け)
・デンマーク 28.64ユーロセント (1.5円)
・ドイツ     25.88ユーロセント (28.5円)

・事業用(年間7500kWh向け)
・イタリア   25.40ユーロセント (27.9円)
・デンマーク 24.81ユーロセント (27.2円)
・ドイツ     24.33ユーロセント (26.8円)

○日本家庭用・・・20.54円
 事業者向け・・・・13.77円
(中部電力21年度)

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太陽光発電固定価格買取制(FIT)は手放しで喜べるだろうか?

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今日はやはりこのことに触れないわけにはいかないでしょう。

本日5日、北海道泊原発3号機が定期検査に入り、これでわが国の全原発50基がすべて停止しました。(欄外資料1参照)

平凡な感慨ですが、時代の流れの轟音が聞こえるようです。去年の正月には誰しも想像だにしなかったことです。

またほぼ同時に、資源エネルギー庁・全国地方経済産業局では、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」についての制度説明会を5月24日から全国各地で開催します。
資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/meeting.html

現在、わが国は原発に重きを置いて、再生可能エネルギーを軽視していたツケとして1945kWh以下ていどの発電量しか持っていません。(欄外資料2参照)

今回資源エネルギー庁が公表した固定価格買い取り制(フィードインタリフ、以下FIT)は、太陽光発電協会ものけぞったような高価格での初年度となりました。

事前の憶測では40円以下、いや30円半ばだろうという見方が強かったのですが、実に太陽光発電は42円/kWhということになりました。(*エネルギー源で異なります)いや、大盤振る舞いをしましたね。

そして太陽光は補助金として、12年度から1kWhあたり3.5万円加算されますから,、実質48円kWhという驚きの価格となります。これで世界でもドイツに肩を並べるような優遇の仕組みとなりました。

買い取り価格は、毎年見直しとなりますから来年度もこのような価格になるとは限りませんが、少なくとも巨大打ち上げブースターであることは間違いありません。

ただ手放しで喜んでいいのか、やや疑問が残るところです。

実はこの42円というFIT価格そのものが、太陽光発電協会が経済産業省に申し入れた言い値でした。この価格は、国産太陽光パネルの価格設定を根拠にしています

国際的に太陽光パネルの値崩れは凄まじく、ドイツ大手の太陽光発電パネル製造会社ゾロンやソーラーミレニアムが相次いで倒産し、世界最大手のQセルズは企業再建まで追い詰められています。

原因は、中国のダンピング的な投げ売りによる太陽光パネル価格相場の崩壊です。ドイツ政府が補助金を出し、高額固定買い取りをしても、税金は国内に還流せず、電気料金は上がり続け、潤うのは中国企業だけだったのです。
(欄外資料3参照)

ドイツのみならず米国でも同様な事態が進行しています。

オバマ大統領が、信用危機・気候変動・原油価格高騰の3大危機を解決するために打ち出したグリーン・ニューディール政策の中心であった再生可能エネルギー政策もまた危機に立たされています。

太陽光発電パネルの大手ソリンドラを始め、続々と太陽光関連の会社が破綻し、米国パネル業界は総潰れの様相を呈しています。

つまり、FIT制も、再生可能エネルギー(Renewable energy)という呼称を生み出した米国とEUが実は大きく揺らいでいるのです。

このような理由です。まずFIT制を導入し、買い取り価格を高くつり上げたために、EU全域で太陽光発電バブルが生じました。結果、われもわれもと太陽光発電業界に参入を開始しはじめました。

スペイン、イタリアなどの太陽光に恵まれた国を中心としてメガメーラー発電所が多く建設されました。今、ソフトバンクの孫正義社長が群馬県榛東村に268万kWhのメガソーラー発電所を作っていますが、あのような規模のものが雨後の筍のように出来たと思えばいいでしょう。

結果、買い取り価格が膨らみすぎて、FIT制そのものが維持できなくなりました。スペインなどは、国全体の財政危機とも連動して多額の債務を背負い込んでしまい、経済危機に拍車をかけてしまいました。

原発廃止を選択したイタリアでも同様で、電気料金の上乗せ額が上昇しすぎた上に、負債の膨張で、遂に買い取り額の引き下げと、買い取りの上限枠を設定することになってしまいました。

イギリスも買い取り価格を大幅に引き下げています。日本が導入を決めたFIT制は欧米では崩壊の危機にあるのです。マスコミはEU、特にドイツの脱原発政策を礼賛しますが、このことにも触れないと公平ではありません。

EUはこのような経過を辿りました。

初期参入を促すために高くつり上げた高額固定買い取りにより、太陽光発電パブルが生まれる。

❷ついで、このバブル市場に中国製の半値以下のパネルが雪崩的に参入し、パネル市場相場が崩壊し、国内自然エネルギー産業は育たず、国内製造会社が続々と倒産する。

❸一方、FIT制と補助金は、太陽光バブルのために瞬く間に負債が膨らんで維持が困難になり、買い取り枠の助言設定や、買い取り価格の切り下げが行われる。

ドイツの場合、過去2年で買い取り価格が40%引き下げられました。そして今年は更に家庭用で20%、事業用で30%の引き下げとなります。

さて、経済産業省のFIT制は、太陽光パネルの製造国の限定はありません。どこの国のものでもかまわないのです

となると、この制度の未来は読めてしまいます。間違いなく太陽光発電バブルがわが国でも発生します。メガソーラー発電所が続々と建設されます。

それも太陽光に集中します。それはバイオマス発電の買い取り価格が17.85円と安く、地熱発電は近隣温泉組合との話し合いが難航を予想されるからです。

風力は立地を選ぶ上に、設備投資が高額です。海上風力発電所は有力なアイデアですが、陸地までの送電が困難です。

したがって、再生可能エネルギー市場への投資は、場所を選ばず、設備投資が安価で、買い取り価格がもっとも高い太陽光に絞られるでしょう

これで一時的に、シャープや京セラの国内自然エネルギー産業は潤うでしょうが、残念ですが長続きしません。

たちまち、中国の世界最大のパネル会社であるサンテックパワーなどが参入を開始します。それも呆れるような安値で。そして発電業者の多くは中国製に走るでしょう。

同時に一挙に膨張した買い取り価格と、発電量の増大にFIT制度が揺らぎ始めます。またFIT制の煽りを受けて電気料金は相当な値上がりをします。

私は再生エネルギーに可能性を感じていますし、またFIT制そのものにも必ずしも反対ではありません。

しかし、、日本がFIT制を導入するにあたって、もう少し欧米の現実を分析し、議論してからでもよかったのではないかと危惧します。

      ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 国内の原発50基すべて停止へ

NHK 5月5日 4時44分

国内で唯一運転を続けている北海道にある泊原子力発電所3号機について、北海道電力は5日、発電を止めて定期検査に入り、国内にある原発は50基すべてが停止します。
国内で原発の運転がすべて止まるのは、昭和45年以来、42年ぶりです。

北海道泊村にある泊原発3号機は、国内で唯一運転を続けている原発で、北海道電力は、5日の午後5時ごろから原子炉の出力を下げる作業を始め、午後11時ごろに発電を止めて定期検査に入る予定です。
また原子炉が止まるのは6日午前2時ごろの見通しです。
国内の原発は、東京電力福島第一原発の1号機から4号機が、法律上、廃止されたことから50基となっていて、泊原発3号機が停止すると50基すべてが停止することになります。
国内で原発の運転がすべて止まるのは、原発のれい明期でまだ2基しかなかった昭和45年以来、42年ぶりになります。

一方、運転再開を巡って、電力各社は全国の原発19基について再開の判断の前提となっている「ストレステスト」を国の原子力安全・保安院に提出しています。
しかし、政府が、原発の安全性と運転再開の必要性を確認したとして、地元福井県などに理解を求めている関西電力大飯原発の2基を含めて再開の見通しが立っている原発はありません。
また電力需給を巡って、関西電力と九州電力、それに北海道電力は、おととし並みの猛暑になれば、電力が不足するとしていますが、「供給力が少なく見積もられている」といった疑問の声も少なくないことから、国が第三者委員会を設け検証を続けています。

■資料2 再生可能エネルギーの発電量と予測
(単位:キロワット)
2011年度
(既存設備分) 12年度の導入
見込み(新設分)
太陽光 480万 200万
風 力 250万 38万
中小水力 955万 6.5万
バイオマス 210万 6万
地 熱 50万 0万
合 計 1945万 250万
(注)経産省資料から作成、出力ベース、概算

■資料3 太陽光はドイツの環境政策の歴史で最も高価な誤り?

ドイツの雑誌シュピーゲルは、冬のドイツではよくあることながら、ここ数週間、国内の太陽光発電設備がまったくといっていいほど発電していないこと、太陽光発電設備のオーナーたちが80億ユーロ(8240億円)を超える補助金を受け取ったにもかかわらず、全体の3%程度の、しかもいつどれくらいの量かが予見不能な電力を生み出すに過ぎないと断じ、再生可能エネルギーに対する補助金制度を見直す動きが活発化していると伝えている。「補助金が引き下げになる前に」と、2011年に駆けこみで設置されたパネルの発電量買い上げだけでも、今後20年間で180億ユーロ(1兆8500億円)にもなるとの試算もあり、消費者が負担するサーチャージは間もなく1kW時あたり4.7ユーロセント(4.8円)、平均的な家庭で年間200ユーロ(2万600円)もの負担増となる見込みだという。

 これだけ補助金を出しても、国内に還流され、産業が育つのであれば国民の理解も得られるだろう。しかし、現実はそうはなっていない。ドイツに本拠を置く世界最大手の太陽光発電メーカーQセルズ社の2011年売上高は、前年比で31%減少し(1~9月、3四半期間累計)、3億6600万ユーロ(377億円)もの損失を計上している。2007年末には100ユーロ(1万300円)近かった株価も、現在0.35ユーロ(36円)まで落ち込んでおり、早急な経営再建が求められている。

 さらに言えば、ドイツ商工会議所(German Chamber of Industry and Commerce)がドイツ産業界の1520社を対象に行なったアンケートによると、エネルギーコストと供給不安を理由に、5分の1の会社が、国外に出て行ったか、出て行くことを考えているという。

 ドイツでは、太陽光発電をどう位置づけるかが政権の基盤を揺るがしかねない問題になっている。野党だけでなく与党からも連携して、環境大臣に対し、今後の補助金制度に対する見解を問う質問書を出したほか、連立を組む自由民主党(FDP)のレスラー党首は、これまで太陽光補助金に反対してきたことを「売り」にするなど大きな争点となっている。

 電力インフラの整備には非常に長い時間を要するうえ、経済活動に与える影響が大きいことから、高速道路の無料化のような社会実験はできない。それだけに、諸外国の先行事例はその結果をよくよく分析すべきだろう。「欧米で導入している」で突き進むと、同じ轍を踏む。「欧米で導入した結果どうなったか」が重要である。

 「太陽光はドイツの環境政策の歴史で最も高価な誤りになる可能性がある」というシュピーゲル誌の見解は、少なくとも日本でも広く共有されるべき認識であろう。

出典
http://www.spiegel.de/international/germany/0,1518,809439,00.html

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中島紀一先生のTPP講演その2 農業が変われば、地域が、国が変わる

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私の農業の師・中島紀一先生のTPPについての講演記録第2回を転載いたします。

師と私は呼びますが、先生の学生ではありません。私自身がある程度の農業体験、農業団体経営を得てから知遇を得ました。

かえってそれはよかったと思っています。というのは、青年期の時に出会っていれば、私は農業技術論になるか、正反対の理想論の眼鏡をかけて先生を見たでしょうから。

実は私が本当に先生を師と考えたのは、この3.11移行の苦しい日々の中からでした。

先生は現場主義です。ですから、学会発表論文づくりより、農業現場に走ります。先生ほど現場の農業者とのつながりがある研究者はいないのではないでしょうか。

いとも軽々と現場を訪れ、どんなにちいさな農民の勉強会にも無償で足を運びます。

放射能問題の重く厚い暗雲が、福島、茨城を覆った時、先生はすぐさま現地に走りました。

先生は飯館村の老農から話を聞き、心打たれました。その老農の畑は周囲が避難してしまい、荒れた村の中で唯一まるで浮島のように「昔の村」のたたずまいを残していたからです。

昔・・・、と言ってもわずか数か月前のとでした。死ぬなら産まれた村だと決めた老農は日々の常として耕し、種を播き、育てました。

子供たち夫婦が見舞いに来ると、出来た野菜を土産に持たせます。若夫婦はオジィちゃん、すまないと思いながらも、途中のインターで捨てました。

そしてその次もその次も。しかし、ある時測ってみました。暫定規制値を大きく下回る数値でした。

それが土の持つ力です。それを先生は「土の神様」と呼びます。そして、その時に先生が思ったのは、「農業とは耕すことが放射能への抵抗の証なのだ」ということでした。

放射能は無敵ではなく、天敵があるのです。それが土と耕す人なのです。

そして科学的なバックデータを取るべく、避難区域周辺の田んぼを率先して仲間の研究者と共に測定して回られました。

このように生きる先生は研究室の住人ではありません。常に農村を歩き、現実を見て共に悩み、百姓と話し、その中で私たち農民の歩みの杖たろうとする人です。

その意味で、私は先生を総合学問としての農学者、百姓の友としての学者だと思っています。

この講演の中で、先生はたんなるTPP反対にとどまらず、米国流大規模農業に浸食されない日本農業のあり方までお話になっておられます。

貿易論という範疇でTPPと闘うのではなく、「国のあり方」から説く先生のお話には説得力があります。

残念ですが、この短い講演記録からは先生の穏やかで心に響く口調は分からないかもしれませんが、まずはお読みください。

講演記録を掲載された「まほろばブログ」様に感謝いたします。
http://www.mahoroba-jp.net/blog/2011/04/post_912.html

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      日本が進むべき遣は「開国」=「通商国家」ではない その2 

―TPPの喧曝のなか、いま改めて農と食と地域の結び合いの意味を考えたいー

                          中島紀一(茨城大学元農学部教授)

承前

失われる雇用・地域、自然・風土

このまま第三の開国論を突き進めば、雇用も地域も減茶苦茶になっていくことでしょう。
企業の生産、営業拠点は海外に流出し、国内には外国人労働者が大量に流入し、労賃水準は安価な外国人労働者賃金に引っ張られて下落していくことになるでしょう。

中国からの農産物の大量輸入で、国内農産物の価格が下落しつづけている現実からすれば容易に推察できる事態です。

TPP=開国論の諭議では日本の道は通商国家だという認識が当然のこととされています。
たしかに「資源に恵まれない日本には、加工貿易による立国しか道はない」という考え方は第二次世界大戦後の日本の基本路線となってきました。

しかし、そこには、日本の自然と風土を経済と社会の基本において活かしていく
という視点が欠落していました。
振り返れば、こうした国のあ.ゆ方が環境を壊し、経済を歪め、地域を痛めつけ、そして社会をダメにしてきたのだと言わざるを得ません。

日本は決して資源小国ではありません。
四季に恵まれた温暖な気候があり、適度に雨が降り、豊かな土壊があり、そこには実に多彩な生きものが生きており、そして風土を活かす文化の伝統があります。

それを踏まえて、
日本列島には
素晴らしいレベルの農業生産と
安定した地域社会が築かれてきました

しかし、戦後の日本では、豊かな風土を経済と暮らしに巧みに活かしていくあり方は国の基本路線としては退けられ、外部資源に依存した、すさんだ貿易立国へと突き進んでしまったのです。

土とつながる白給的な暮らしを

私たちはこうした国のあり方に強い危機感を覚え、日本の自然を活かした循環型農業のモデルとして有機農業を提唱し、その道を生産者と消費者の協力によって切り拓いてきました。

低投入、内部循環による高度な安定した生産体系を構築し、地域の自然の恵みを活かした豊かな自給的な暮らしを創り出してきました
それは、アメリカ的な工業化された巨大農場をモデルとした「強い農業」論とは根本的に異なった道です。

私たちはいま、「農」が変われば「国」が変わる、「地域」が変わる、「暮らし」が変わる、と周りの人たちに呼びかけたいと思います。
その大前提は、農業・漁業・林業を大切にし、農村の価値を評価することです。

そして、健全な食といのち育む農を取り戻し、土とつながる自給的な暮らしを再建していきましょう。
同時に、働き方を転換して、農業・漁業・林業を基盤とした地域の持続可能な産業の連鎖を生み出していくことです

このことによって、子どもからお年寄りまで、あらゆる世代が元気に生きる地域社会を創造すること、これこそが21世紀を拓く大きな課題だと思います。

(了)

*太字は「まほろばブログ」様の原文ママです。

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中島紀一先生のTPP講演その1 日本が進むべき遣は「開国」=「通商国家」ではない 

011

今日は私の農業の師とでも言うべき中島紀一先生のTPPについての講演記録を転載いたします。

先生は今回の放射能禍において、先頭に立って福島や茨城の農業者を支援なされました。私はこの1年間集中して中島哲学を学んだような気がいたします。

講演記録を掲載された「まほろばブログ」様に感謝いたします。
http://www.mahoroba-jp.net/blog/2011/04/post_912.html

     ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

日本が進むべき遣は「開国」=「通商国家」ではない

―TPPの喧曝のなか、いま改めて農と食と地域の結び合いの意味を考えたいー

                          中島紀一(茨城大学元農学部教授)

菅首相の昨年9月の国会での所信表明演説で、突然、TPP(環太平洋連携協定)への参加検討を表明して以来マスコミではTPP参加…「第三の開国」の大合唱が続いています。

TPPの実態、TPP参加交渉とはどんなことなのか、は依然として不明なところだらけなのですが、「環太平洋」と言っても、結局はアメリカ主導の強烈な自由貿易協定です。

そこに参加するためには、日本が丸腰、丸裸になることが前提とされた結果として、日本はアメリカの言いなりの自由市場となり、アメリカ主導のグローバル化の仕組みの中で、
日本は国家主権の放棄に近い事態に陥っていくだろうことがはっきりしてきました。
恐らくそのことで中国との関係は厳しいものとなっていくでしょう。

食料主権の回復こそ課題

たとえば、食の安全性の分野では、アメリカはすでに「輸入牛肉の月齢緩和」、「遺伝子組み換え食品の表示義務の緩和」「食品添加物規制の緩和」、「残留農薬基準の緩和」などの、安全性無視の要求を日本政府に突きつけています。

TPPへの参加交渉の前提として、
アメリカはまずこれらの事前要求を受け入れることを求めるでしょう
TPPに参加し、第三の開国をすれば、100円の牛井が実現する、そのために日本の農業が潰れても仕方がない、と主張されています。
とんでもないことです。

現在の食料自給率はカロリーべースで41%、穀物自給率は28%、農地の自給率は27%という日本の現実を素直に直視すれば「食料主権の回復」.「国土主権の堅持」こそが日本が取り組むべきもっとも重要な課題であることは明らかだと思います。

農地規制緩和は何をもたらすか

政府は農地流動化のために農地市場の規制緩和策を強行しようとしています。
全国の遊休農地情報をネットで公開し、全国どこからでも農地の権利取得にアクセスできる仕組みが動き出そうとしています。

インターネットは世界に開かれており、日本の農地法には国籍条項は明記されていませんから、このままでは海外からのアクセスを遮断することはできないでしょう。

日本の食料生産の73%が海外の農地に依存し、国内農地の利用率が90%に過ぎないという現実からさらに進んで、日本の農地や林地が海外企業に押さえられていくという事態すら予測されます。

韓国企業はすでに16国で66件の海外農業開発に取り組んでいると報じられています。
世界の農地争奮がいま激しく戦われているなかで、日本政府の対応はあまりにも暢気すぎると思います。

                                               (続く)

*太字は「まほろばブログ」様の原文ママです。

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TPP、野田首相は「参加は無理だ」と言ってくるべきだった

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野田首相の訪米は、そこそこの歓迎 ぶりに終わったようです。

なにやら国賓晩餐会が、クリントン国務長官主催だったということで、大統領主催の韓国と較べられたようです。

TPP推進派の大手マスコミはいささか悔しそうに、「野田首相がTPP参加を明言しなかったからだ。また韓国に負けた。このままではわが国はとり残されてしまう」、というお定まりの愚痴を垂れていました。

かまいませんとも。サッカーで負けるのは悔しいですが、TPP参加レースで負けるのは大歓迎です。このまま11月のオバマ氏の任期切れまで勢いよく負け続けて下さい。

さて、米国にとってTPPに飛び入り参加したのは、なにもベトナム市場を狙ったわけではありません。はっきりと、日本を多数の国で包囲して取り込むことにありました。

FTAでは、米韓FTAがそうであるようにセーフガードを認めざるを得なくなったりする例外規定が多すぎて、二国間協議事項に縛られてしまいます。

TPPが例外を許さない「過激な日米FTA」であるためには、TPPという多国間交渉の場で既に参加した諸国によって、日本をがんじがらめに縛り上げてしまう必要があったのです。

一昨年まで、日本政府はせいぜいが日米FTAていどしか想定していませんでした。それをいきなりTPPという多国間交渉の場に押し出してしまい、参加自体にハードルを設けることによって日本を丸裸にする、これが米国の目論見でした。

米国が、そんな日本を釣り上げるためのエサにしているのが韓国です。これみよがしにイ・ヨンバク大統領を下にも置かぬおもてなしをして、わが国との対応に差をつけてみせたのも、韓国が鼻先にぶら下ったニンジンだからです。

大手マスコミはこのような論調を流しています。

「この機を逸すると、欧米市場、さらには中国市場に関して韓国との競争に大差がつき、市場を奪われる可能性がある。」(毎日新聞10年10月28日)

日本企業が韓国企業と競合関係にあるのは、自動車、電気・電子製品などの耐久消費財です。工作機械などでは圧倒的に日本が差をつけています。

ではこの分野がナンボのものかといえば、下図のわが国の輸出品の輸出額GDP比率グラフをご覧ください。

Photo_2

このグラフを、「たった対GDP比率1.5%の農業が足を引っ張っているためにTPPに参加できない」と無知をさらけ出した前原誠司氏にお見せしたいものです。

耐久消費財の輸出額対GDP比率は、たったの1.652%です。内訳はもっとも多い自動車ですら1.23%にすぎません。

家電に至っては0.021%です。こんなていどで、サムスンに負けたからどうのとギャーギャー騒ぐでない。

たった輸出額対GDP比率1.652%の自動車産業が、米国自動車関税の2.5%がなくなるていどの優位になるために、大騒ぎしてTPPに入る必要がどこにあるのでしょうか。

また同じ対GDP比率と言っても、自動車と農業は意味が違います。自動車は、一台の自動車の部品すべてのGDPを包括しての数値です。一個一個の部品の下請け生産額まで含んでのGDPなのです。いわば川下型です。

それに対して、農業は典型的な川上型です。これは地方に行くとよくわかります。農業は地方の土木産業や食品加工業、運送業、商業、観光業まで含んだ地域産業全体の川上に位置しているのです

これらの地域川下産業は、農業のGDPにはカウントされません。しかし、地域農業で農業が衰退すると一気に地方経済全体が衰退を開始し始めます。

これは小泉改革移行の地方の衰退ぶりをみれば一目瞭然です。農業は地方経済の核なのです。だからこそ、全国各地の地方自治体からTPP反対請願が殺到したのです。

これをたかだか2.5%の自動車関税と引き換えにされてはたまったものではありません。そんなことをするのなら、エコカー減税を拡充して延長したほうがはるかに有効です。

野田氏はオバマ大統領に、「参加意思は変わらない」というようなことを言ったそうです。しかし正直にこう言うべきでした。

「わが国ではTPPにありとあらゆる階層が反対しており、日本全国の地方自治体からも反対請願が来ています。おまけに、普天間に消費税ですから、私にはムリってもんです。というわけで、参加は不可能です。悪いのはカッコつけてブチ上げた前代首相の奴です」。

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これが米国のTPP対日要求書の原形だ!

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米国通商代表部(USTR)が4月2日に発表した「外国貿易障壁報告書」の対日要求部分一覧です。(欄外資料参照)

これは未だに明らかになっていないTPPの対日要求書そのものではありませんが、その原形とでもいうべきものです。

米国下院レビン課員最終筆頭理事(通商政策)は、このUSTRの年次報告書の公表と同時にオバマ大統領に書簡を送り、「報告書にある日本市場の防疫障壁を取り除くように)くTPP交渉参加の事前協議を首尾よくする」ことを求めました。

現在、「参加の事前交渉」をめぐって日米当局者間で交渉が行われていますが、内容はまったくブラクボックスです。

しかし、TPP交渉内容が、このUSTRの年次報告書に沿った内容であることは明白であり、農産物、郵政を含む保険、自動車、医薬品、医療器械などが「貿易外障壁」を設けているとしてくると思われます。

特に前回の年次報告書と較べて、米国が重視している分野が医療分野です。

技術革新に向けた投資への報酬、先端医療の製品開発を促す措置としての薬価の値上げ要求などがずらっと並んでいます。

日本側の反発が強かったために去年の年次報告にあった日本の国民皆保険制度の見直し要求は姿を消していますが、もちろんあきらめたわけではないでしょう。

米国医療分野は、高額の医療保険を払える金持ち階級のみが受けられる先端医療と、通常の医療すらままならない貧困層に画然と分かれています。

ですから、先端医療分野は世界最高水準であり、それを医療保険ぐるみで高齢化が進む日本市場に参入出攻勢をかけたいと考えています。

郵政改革の見直し法案が通った時に、米国政府は不快感を隠しませんでした。

郵政民営化とは、郵便事業そのものよりも、郵政が抱えていた巨額な共済や保険、年金などの金融分野を解体することが目的だったからです。

米国は、USTR年次報告書にもあるように、共済制度の優遇措置を廃止し、「私企業との対等競争を確保」するという名目で、現在大量に参入している米国保険会社の参入をもくろんでいました。

共済制度は、地方の農家や零細自営業者たちが安い掛け金で保障をもらえるという日本独自の福祉更生政策でした。

これを廃止させて、アメリカン・ホームダイレクトやアフラックなどに仕切らせようという腹積もりだったわけです。

そもそも余計なお世話もいいところです。わが国が地方で保障を受けにくい社会的弱者にどのような福祉政策をとろうと、米国にとやかくいわれる筋ではありません。

とやかく言われたくないといえば、牛肉の項には「20カ月齢以下に限って輸入する月齢制限の撤廃」を行っています。これは厳しいBSE対策を日本がとっていることに対する要求です。

なにを言っているんだか。そんな対日要求を出したとたん、米国でまたBSEが発生してしまいました。米国は世界に冠たる飼育管理と食肉管理がルーズな国です。

米国の食肉市場のズサンさは、オーストラリアからも厳しく指摘を受けており、NAFTA(北米自由貿易協定)で流入したメキシコ人未熟練労働者がいいかげんなカットをして特定部位を出荷してしまうからだとも言われています。

こういう実態を踏まえて日本は、自国民の健康保護のために月齢制限をかけているのであって、自分たちの飼育管理・食肉管理を改善することなく、これをお前の国が貿易障壁を作っているからだ、と逆ギレする図々しさには呆れます。

農産物では、米国産米でMA枠で輸出しているコメを一般市場にも「米国産米」と名乗って出せと言っています。

やってますって。中国米をセイユーが「吉林米」としてとうに店舗に並べています。そのうち「加州米」も出ることでしょう。

これも中国や米国の安全基準が甘いのがネックになっているのです。使用農薬はわが国と違って緩い、おまけに検査は大甘です。

農水省は、「吉林米」は、現地検査することで内国検査に替えるとしていますが、正気とは思えません。かの国の検査など、あってなきが如しの実情を知らないのでしょうか。

それは後段にある「衛生植物検疫」(SPS)の項の「ポストハーベスト」、「農薬)許容残留」の項をみれば分かります。

要するに「オレの国の安全基準はダルにやっているから、厳しくやっているお前はけしからん」ということです。このような米国の言いぐさを「下方への協調」と呼びます。恥ずかしくないのでしょうか。

小麦の国家貿易や豚肉の関税システムは、米国の言うとおり矛盾に満ちています。だからといって、それが消費の障害になっているということはあり得ません。

自動車に至っては失笑ものです。今どき、デザインはださい、燃費は最低、部品交換すらたいへん、だいたい右ハンドル車がない、新車投入がない、代理店すらない、そのくせゼロ関税でも安くはない、というないないづくしで、なにを寝ぼけているのでしょうか。

このようなゴリ押し、逆ギレのオレ様キャラ全開の米国に、わが国の内政干渉まがいのことを許してはなりません。

■写真 たんぽぽとハチ。

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                 日本農業新聞4月7日

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