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行田市メガソーラー、8千基集まって一基の原発分という現実

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昨日、天、俄かにかき曇り猛烈な突風と、爆撃のような落雷が始まりました。私のほうは無事でした。お見舞いありがとうございました。

同時刻に、つくば市では日本では珍しい大型の竜巻まで現れて、軒並み民家をなぎ倒しました。お気の毒なことに、少年がお亡くなりになりました。

原因は積乱雲が起すスーパーセルという現象のようです。震災以来、あらためて自然界の恐ろしさを知った昨日でした。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120506-00000545-san-soci

さて、私は再生可能エネルギー自体には希望を感じています。しかし、現実に始まったこの制度にはなんとも言えない不安なものが残ります。

そもそも、その始まり方からして異様でした。

原発事故処理に失敗した菅首相が、目くらましのために飛びついたのが、当時国民のコンセンサスになっていた「脱原発」でした。

菅氏は脱原発解散をほのめかしながら、自らの辞任すら材料にして再生可能エネルギー法を通したのです。まったく、たいした御仁です。

そしてそれに、日本一の政商・孫正義氏が相乗りするに至ってうさん臭さは倍増しました。

目的が正しければいいのではないかと思わないではないのですが、このような開始の仕方をすればかならずひずみが生まれます。

その最大のものは、国民的な議論がないことでした。脱原発という目標に達するまでに、どのようなプロセスが必要で、いかにして国民経済や、生活を傷つけずに済むかのか、という肝心なことがなおざりにされて、あれよあれよというまに見切り発車のような始まり方になりました。

政府ときたひには、事故の検証すら済んでおらず、鳴り物入りでぶち上げた原子力規制庁すら出来ていないにもかかわらず再稼働をなりふりかまわずお願いする始末です。

政府は、脱原発の道筋をしっかりと立ててから、再稼働を要請すべきでした。

この脱原発の道筋というのは、ほかならぬ代替エネルギーと、その重要な一角を占めねばならない再生可能エネルギーをいかにして確保し、しっかりと普及させるかでした。

自然エネルギーは、長年に渡って言い方は悪いのですが、好事家の色物扱いされてきた歴史があります。私も15年前に導入したモノ好きのひとりですから、よく分かります(笑)。

現在の世界の発電用電源の内訳をみてみましょう。自然エネルギーは、統計のとりかたによっても異なりますが、だいたい3%ていどです。自分で言うのもなんですが、マイナー中のマイナーです。欄外資料参照)

実はこの再生可能エネルギーは、牛糞や薪などもバイオマスとして入っています。これが意外と発展途上国では大きいので、実態はもう少し低いと思われます。

大きな数字で5%から10%というものもありますが、その場合は発電容量といって、理論的にはこれだけ発電できますよという能力で計算しています。

実発電量は、天候の晴れたり曇ったり(曇りや雨だとまったく発電しません)、昼夜、季節変動を平均化して計算します。おおよそ、発電容量の7分の1から8分の1ていどです。10分の1という説もあります。

風力もまた実発電量は、発電容量の4から5分の1程度と考えられています。一度も回らない風車はつくば市の恥のオブジェになっています。

ここが他の火力発電や原子力とは大きく異なるところです。火力や原子力は停止しない限り一定の発電を継続できますが、自然エネルギーは短時間の間に30%ていどの変動をしてしまいます。

ですから、昨今話題のメガソーラー発電所が「メガ」といった場合は、割り引いて考えねばなりません。それはあくまでも、発電力のポテンシャルに過ぎないからです

たとえば、埼玉県は行田市にメガソーラーを建設しました。ちょうど稼働を開始し始めたところでしょうか。

これの発電容量は、1.2メガワット(MW) とされています。メガは100万で、家庭用が1000W(1kW)台ですから、平均3kWとして、だいたい300~400軒分の発電をするということです。

ちなみに、7月1日に運転開始の孫さんの榛東村(しんとうむら)のメガソーラーが2.6MWです。

行田市メガソーラーの場合2.2ヘクタールの浄水場に発電パネルを5040枚並べて発電しますが、1.2MWという平均出力は、あくまでもさきほど述べたように発電「容量」ですから、実発電力はその7から10分の1となります。

中とって8分の1とすれば、15万W(0.15MW)ていどです。メガという勇ましい公称からはぐぐっと格落ちしてしまいます。

埼玉県はこれに7億3600万円(11年度)を投入しました。これで埼玉県は年に1600万円電気代が節約できるとしています。ということは、償却するのに46年かかるということになってしまいます。おいおいです。

実際には、その間のメンテナンス費用がかかりますし、EUでは太陽光、風車の保守管理費の高騰が悩みの種なのです。

そして、46年間も同じパネルを使っているはずもなく、性能の陳腐化と耐用年数(20から30年と言われています)切れとなるでしょう。

ということは・・・、あまり考えたくないのですが、たいへんな赤字生産施設となりかねないことになります。

比較したくない計算ですが、原発一基は1000MWていどです。

しかも、これまた言いたくはないのですが、さきほど述べたように原発は発電容量ではなく、正味の実発電量ですから、行田メガソーラー0.12MWが8000基集まって1基の原発に相当するということになります。ああ、こんな夢のない計算するんじゃなかった。

私はメガソーラ方式は、用地買収に手間と費用がかかりすぎるうえに、集約させる意味があまりないのではないかと思います。おそらく家庭の屋根を借りる方式が一般的になるのではないでしょうか。

採算を度外視した行政がやるとこうなります。これを黒字転化するには、徹底したコスト削減と、固定買い取り制度(FIT)と補助金が不可欠となります。

方法はこのようなことになるでしょう。

➊FIT制で採算分岐点といわれる35円以上を獲得する。
❷国の補助金と優遇税制を獲得する。
❸国産パネルを安価な中国製に切り換える。
➍用地買収費がいらない一般家庭屋上に設置する。

前二者は実現したか、しつつあります。後二者もきっと、1年以内に実現することでしょう。

しかし、いずれにしても巨額の税金の投入をした上に、買電する電力会社は電気料金に「太陽光促進附加金」として、おおよそ年に100円ていどを上乗せすることになります。

言い換えれば、太陽光パネル未設置の国民は、補助金+電気料金値上げで二重の負担を強いられることになります

これを、「脱原発のための国民の負担」といった言い方をする方もいましたが、国民のほとんどはそれを知らないままに見切り発車されてしまいました。

こういう始まり方でいいのかな、と思うのは私だけでしょうか。私は拙速は罪だと思うのですが。

 

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

大雨、竜巻被害が無かったと言う事で、ひとまず安心しました。
こちらは、3日~4日にかけての大雨で、畑の冠水被害が発生しました。
5日に町内をぐるりと回って見てきましたが、40~50ha程度で「秋播き小麦」と移植後の「甜菜」畑での被害を受けた状況です。
十勝川の水位も低下してきましたので、もう大丈夫です。「雷」は、午後3時から7時半頃まで続きましたので、落雷や停電が心配でしたが、本町では被害は発生しませんでした。
つくば市の竜巻被害を受けられた方には、心よりお見舞い申し上げます。

夢の太陽光発電・・・とは聞こえが良いですが、まだまだ議論の余地がありそうで、一気にシフトする事の危うさがありますね。

先ずは、安全性を確保した上で、最小限の原発稼働を行いながら、減原発~脱原発~廃炉と言うプロセスを辿る事が必要では無いでしょうか?

一気呵成の勢いや世論に押されての極端なシフトは後々ツケが回ってくる気がしています。
その「ツケ」が耐えられる負担なら良いのですが・・

投稿: 北海道 | 2012年5月 7日 (月) 12時01分

管理人さまは、初期の太陽光発電を導入済みなので、ご存知でしょうが、再生可能エネルギーと言ってるものの中でも、発電効率と発電コストが、もっとも、割りに合わないのが、太陽光発電と昔から言われてますよね。

当然、太陽が当らなければ、期待した発電が得られないし、雨で、水垢で、汚れれば、パネル表面を洗浄しないと、発電能力は、落ちますし、すでに、中国製なりのソーラーパネルの方が、費用対効果で言えば、現時点では、優位にあるようですし、シャープなど、日本製のパネルは、1枚あたりの発電量が、多少良くても、安い中国製とかなら、設置場所さえあれば、コストパフォーマンスは、良いように思います。
すでに、住宅メーカーが、輸入パネルを設備として、セットした、プレハブ住宅を、販売してますし、、、日本が、随分前から、開発していたのに、補助金や、高値の売電が無くなれば、1kwあたりの発電経費は、結構高いですし、まあ、補助電源扱い程度での導入になってしまうので、政府の補助が無ければ、導入は、進まないのだと思ってます。

大体、夏のエアコン消費量に合わせて、売電の契約ワット数が決まってしまいますから、電力会社への基本料金は、発生してしまいますし、実際、一般家庭の南面の屋根に、パネルを設置しても、家電設備が多い家庭環境では、太陽光発電だけで、必要電力をまかなえるのではなく、あくまで、補助電源と言う位置づけだと思います。

個人的には、農業ダムなど、利用して、小規模揚水発電とか、出来ないものかとも思ってます。国土交通省と農水省管轄のダムが、協力して、揚水発電が、出来るところが、ないものか、考えてほしいものです。

昔の追い炊きなしの深夜電力のみの深夜温水器や、夏にしか、効果は限定されますが、太陽熱で、屋根でお湯を作る
太陽温水器の方が、オール電化と、日中追い炊き契約の電気温水器より、余程良いように思えます。

とにかく、太陽光パネルでの実発電量は、正直、もう少し、マシな発電でないと、高値買取制度が無くなれば、経済的ではないことは、昔から、解っているはず。

多少、国産の売電コントローラーの方が、賢いというか、そんな程度なので、安い中国産太陽光パネルの方が、需要があると思えます。

結局、国内産業の空洞化になってしまいますよね。

国の補助金も、自治体の補助金も、税金ですから、もっと、コストパフォーマンスがある再生可能エネルギーを、ベストミックスで、地産地消できる政策に変わってほしいと思います。もともと、人工衛星の電源として、開発された商品ですから、モーターなどを動かすような大量のエネルギーの代用には、なりそうもないのですが、太陽光発電産業だけに、補助金をたくさんつけるのは、国の借金を増やすだけにも思えるのですが。。

投稿: りぼん。 | 2012年5月 7日 (月) 12時04分

まず、竜巻被害にあった方々にお見舞い申し上げます。

太陽光発電、効率悪いです。裏面に水スプレーをかけて温度を下げる実験も進行していますが、ますます無駄にエネルギーを食います。

なぜ数多い再生可能自然エネルギーの中で太陽光が極端に買い取り価格で優遇されるのか、大きな疑問が残ります。
もう政治的に無能だろうと。
なぜバイオマスや地熱に比べて、それほどの価格差があるのか?
つまりそれだけ効率が極端に悪いということに他なりませんね。

自前で設置する方はともかく、メガソーラーによる高い電気料金を負担するのは一般消費者です。

投稿: 山形 | 2012年5月 7日 (月) 16時01分

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