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2012年5月28日 (月)

開いた太陽光市場の扉から締め出される日本企業  経産省が自国製購入条項を作らなかった罪は大きい

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太陽光はなぜ優遇されるのでしょうか?

理由は、太陽光は「脱原発」のシンボルだからです。下のニコニコ太陽光マークは、誰しも一度は目にしたことがおありだろうと思います。

これは1975年の4月に、デンマークの脱原発運動家であるソーアン・リスベアさんがデザインしたそうです。

以後、全世界に広まり、45ヶ国で脱原発、反核運動のシンボルとして使用されています。GoogleでNuclear no thanks検索するとわんさとでてきます。

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実は私も何個か持っていますが、イデオロギー臭くなくて可愛いデザインです。

この発祥地のデンマークにおいても脱原発を求める世論は40%に達していますが、その運動の中で脱原発とは原発を自然エネルギー、特に太陽光に変えていくことだ、という強い「思い込み」が支配的になりました。

ですから、脱原発といえば、それはとりもなおさず太陽光であり、太陽光こそが脱原発の旗印となったのです。残念ながら、その論証抜きにです。

太陽光が43円(補助金まで入れれば48円)という圧倒的な高額で買い取られることになった背景には、太陽光を普及させることが、そのまま脱原発につながるに違いないという「思い込み」があったわけです。

また太陽光には市民参加型とでもいえる性格がありました。国民が自分の屋根に取り付ければ、自分もまた発電所になれる、という発信ができます。

私自身も十数年前に設置した時のわくわく感は忘れられません。今まで、ブラックボックスだった電力を作ることに、ただの市民の私か加わっていることからくる高揚だったのでしょう。

NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の描くロードマップによれば、2007年には40円超/キロワット時だった発電単価が、20年には14円となり、30年には7円となって、原子力の単価と並ぶのだそうです。

こうなると完全に原発と太陽光は置き換え可能となるとしています。こうした思惑があって、初期普及の決めてとして全量・固定買い取り制(FIT)が始まったわけです。

さて、ここでようやく脱原発のシンボルから飛躍して、現実の経済の仕組みに取り入れられるようになったわけですが、果たしてこの先どうなるのでしょうか。

現時点で爆発的普及をめざせば、経済的な安さから結晶シリコン型になるだろうと思われます。

太陽光は技術的には、結晶シリコンの基板に簡単な加工を施すことで出来てしまう易しい技術です。太陽光セルに求められるシリコンの純度や微細化のレベルも低く、ほとんど原始的と言っていいような半導体技術の産物です。

そして、研究開発としては、これ以上画期的なブレークスルーがない限り、エネルギー変換効率の理論数値25%を既に達成してしまっています。

つまり、これから先エネルギー変換効率を上げることが難しいデッドエンドの技術なのです。

となれば、この高額固定買い取りが20年間固定されるという初年度から数年の間に、一斉にさまざまな業者が新規参入を目指すことになります。

現在の国際シェアは、日本は20%ていどのシェアしかもたず、中国製が国際市場支配をほぼ完了しています。(資料1参照)

また既に複数の中国メーカーは日本法人を立ち上げており、販売拠点を設けてメガソーラー計画に参入しています。

あえて想像するまでもなく、日本の太陽光市場はこれら中国企業の支配するところとなります。

次に、この太陽光の製造装置や部材の国際シェアをみてみましょう。(資料2参照)

せめてここで、わが国が生産財のシェアが高ければ救いがあるのですが、ご覧のとおりドイツと米国に支配されきっており、這い居る入る隙間もないのが分かります。

わが国はわずかにカバーグラスや、封止材、バックシートていどに食い込んでいるにすぎず、こにおいても太陽光市場普及の経済的恩恵には預かれないことが明らかです。

残念ですが、わが国が太陽光技術においてCISやCIGSなどの化合物型、色素感型、有機薄膜型、あるいは量子ドット型といった次世代太陽光技術の開発を加速化しないか義ぎり、せっかく開いた太陽光市場は、日本企業の目の前で閉じてしまうことになるでしょう。

12年から開始されたFITにおいて、理由は分かりませんが、経済産業省は自国グリーン製品の購入を義務づけることをしませんでした。ここでドイツや米国の教訓に学んでいれば、かならずその条項を入れて、自国グリーン産業を育成したはずです。

それを考えないで、グリーンエネルギーにより何十兆円のGDP成長、雇用効果何十万人と絵に描いた餅を見せられてもしょうがありません。

わが国は補助金と高額買い取りに対して税金を大量に投入して、ひたすら中国企業をもうけさせているだけになったようです。

私は、経済産業省が、太陽光買い取りに関して自国製品を義務づける条項を入れなかった失敗の罪は大きいと思います。

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1Photo_2

資料2

Photo_4            図表ともに「一橋ビジネスレビュー」2012年3月)より

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コメント

もしも自国製品優遇の条項を設けていたら、海外から大変なバッシングを受けたかもしれません。
以前から日本は保護貿易との批判がありましたし、今や「時代はTPPだ!」ってな流れになりつつありますから、なんかその辺の配慮があったのかも知れませんね…。全く笑えない。


このタイミングで、経営の苦しい国内電機大手が次々と太陽光パネルから撤退とのニュースも報じられています。
今回の制度設定と関係があるのでは?…と、考えられます。
こんな制度を始めるならむしろ、まだ省エネ環境技術大国のハイテク日本と呼ばれていた10年以上前にやって、技術を海外に高く売れていればよっぽどマシだったかも…などと、今更ながら考えます。

山形さん。グリーンエネルギー政策は、自国のグリーン産業を育成することなくしてはありえません。

確かに自由貿易主義者からは批判を受けるでしょうが、貿易問題と切り離して、わが国は原発事故の歴史的教訓を楯にして毅然とはねつけるべきです。

管理人さま

すでに、太陽光発電をお使いだと、伺いましたが、どこのメーカーの商品が、安価で、耐久性があり、実発電量が多いのでしょうか?

また、コントロール制御システムは、どこの製品が、合格点が、付けられますか?

ちょっと、大きめの面積で、チャレンジしたいと思っているので、パネル自身は、出来たら、安価な方が、うれしいですし、蓄電池も含め、ある程度の性能のものが、ほしいと思います。来月あたりから、リチウム系の蓄電池が、安価になるとの話も聞いてますので、鉛蓄電池よりは、寿命が長いのですよね。

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