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2012年5月20日 (日)

原発事故は必然だった 原発事故率と対策費グラフでみる東京電力の人災責任

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最近でこそあまりl聞かなくなくなりましたが、原発事故=天災論というのが去年かなり力をもった時期があります。

それは、津波対策が講じられていた東海第2や、高台にあった女川が事故に至らなかったこと、あるいは新型である福島第2が外部電源の復旧と、冷却機能を早期に回復したことなどがあったからです。

このことから、福島第1ですらスクラムができていたのだから、津波による全電源喪失さえなければ・・・、という論調が生れました。

この論調によれば、福島第1の事故が起きた条件は
➊十分な大津波対策を実施していない原子力施設
❷旧型で運転から30年以上経過する沸騰水型型原子炉(BWR)
❸原子力施設に対しての送電施設の脆弱性
➍電源喪失で機能しなくなる緊急冷却装置の脆弱性

事故は、突然起きる天災などによる偶然因子のみに支配されているわけではありません。

事故に至るまでに、かならず予兆のようなものがあります。細かい事故が多発し、その積み重ねが重大事故の原因のリード線になっている場合が少なくないからです

原発事故も同様です。福島第1は敦賀と並んで、事故の常習犯でした。東海第2もトラブルが頻発しています。

下図は、原子力施設情報公開ライブラリ(NUCIA)データベースの1999〜2010年のトラブル等発生率を炉齢別・型式別に比較です。(戒能 一成氏 独立行政法人経済産業研究所(RIETI)作成による)

福島第1のような旧型BWRが、新型BWRと比較して2倍の事故回数であることがわかります。

また圧力水型(PWR)は、新型BWRより更に低い事故回数であり、新型PWRは旧型BWRの8分の1しか事故を起こしていません。

Photo

次に、原発ごとの事故発生率をみます。(同)Photo_2

福島第1の事故頻度は極めて高く、同じ東電の福島第2は2004年に一時的に福島第1と並ぶ事故率になりますが、すぐに改善されて事故を急減させています。

一方福島第1は2007年に年6回というピークに達して以降、さすがに年4回ていどまで下げながらも横ばいを続けて高止まりとなったまま運命の3.11を迎えました

このようなひんぱんに事故を繰り返し、それが低減せずに高止まりとなるような施設には、なんらかのトラブル要因が潜在し続けており、それの除去ができなかったことを物語っています

このことから、おそらくは全電源喪失によらずとも、地震による冷却系パイプの破断が生じていたという説にも信憑性がでてきます。

また、年に4回から多いときで8回という事故回数は、ひっきりなしに現場は事故対応に追われていただろうことも推測できます。

このことが、現場を疲弊させ、事故対応能力を磨耗させていただろうこともありえるかもしれません。

ではここで、他の電力会社の騰水型(PWR)と比較してみましょう。(同)

Photo_3
企業別に見た場合、東電が圧倒的に多いことが目につきます。敦賀、東海第2も原電ですが、いずれも東電管内です。

では、これに対して電力会社がどのような事故後の対策をとったのかが分るグラフが下です。(同)

Photo_4

多くの電力会社が、2005年から09年にかけて、地震対策や、旧式化する発電所の強靱化に努めていたことに対して、東電のみはまったく補強対策を怠り、対策費が下げ止まっているのが見て取れます。

東電がこの時期に、ディーゼル非常用発電機だけでも高い場所に移設していれば,、事故はなかったかもしれないというのに。

つまり、事故率は全国でもっとも高いにもかかわらず、対策費はもっとも低いという経営を、東電がしていたことが明瞭になりました。

これらのグラフを見ると、福島第1の重大事故は、東電の経営体質とその施設の高経年化、BWRの本質的欠陥などの原因により起きるべくして起きた人災であると、私は考えます。

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コメント

東電の柏崎刈羽や、東北電力の女川のPRセンター(もとより啓蒙施設だということは十分承知です)には、90年代に何度も行ったことがありますが、原発なんぞ無いほうが良いとは思いつつも、熱交換機の複雑なPWR(スリーマイルも)よりも、やるならABWRだろうと思ってたのですが…
このグラフだと、その後にBWRの事故事案が急増してますね。
「安全神話」の崩壊が急激に進んだことが伺えます。

昨日のNスペでは、福島の事故を受けてのアメリカやスイスの対応をやっていて、興味深かったです。
残念ながら、キャスターが1月に大ポカやらかした「追跡!真相ファイル!」の方でしたが…。

いつになったら「原子力規制庁」が出来るんでしょう?
これまでも「原子力保安院」とか「原子力安全委員会」などという、いかにも重要そうな名前の部局がありましたが、名前よりあくまで中身が大切。
今度はせめてスイス並みの厳しい規制組織ができればいいのですが…通産官僚の天下り組織では、どうにもならないでしょうね。

もともと、福島第1のマーク1型は、設計したGEの担当者が、2人(米国人)とも、設計ミスがあったこと。施工中に、その部分をできるだけ、カバーできるように、設計変更したが、格納容器の容積率までは、基本設計部分なので、改善できなかったと、証言しているのです。それなのに、東電は、毎年、定期点検で、部品交換しているとの理由で、耐用年数を20年も水増しする芸当をやってしまったのです。
PWRを西日本で、22基採用しているのは、発電効率は、下がりますが、放射線汚染水が格納容器外に出ないために、メンテナンスがしやすいことがあり、正規のランニングコストを考えたら、マーク1は、40年で廃炉にすべきだった。あるいは、もっと以前に、見切りをつけるべきだったのに、MOX燃料を使うなど、当初設計にない使い方をすること自体、科学的検証が、商業プラントレベルで、されてないので、自殺行為としか言いようがありません。
原子力安全委員会のメンバーも、理学部系の原子力学者であって、工学部系のプラント設計者が、監理していない状況で、安全云々を言っているのは、ナンセンスかもしれません。

普通の建築物でさえ、設計、監理契約しながら、構造設計士や設備設計士など、チームで、監理し、メンテナンスしていく訳ですから、原発の監理としては、お粗末でしょう。

なお、国に報告した事故報告書は、かなり虚偽報告や改ざんがあったことは、それに、嫌気がさして、東電を辞めた社員さんが、証言しているので、個人的には、実際は、もっと、事故率は、高いのではと思ってます。

大体、非常用ICの緊急手動バルブが、汚染区域内の一番奥にあること自体が、無茶な設計ですよね。

また、BWRは、メルトダウンしたら、燃料集合体ごとのセンサーが、全部溶けてしまう可能性は、当然、知っていたはずで、その辺も信じられない状態です。
東電としては、初期型BWRは、廃炉にしなければ、もたないから、メンテナンス経費をかけたくないと言う経営感覚だったのではと、想像します。

同じ発想は、こども園構想、TPPなど、あらゆるところに、表面化しているのですが。。

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