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北九州市瓦礫搬入反対運動の虚妄

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正直言って、北九州市の瓦礫処理反対運動にはコメントしたくない気分でした。

なにを言っても聞く耳を持たない、どのようなデータを示されても無視する、そして穏やかに言えばいいものを、自分たちの主張だけを怒鳴り散らす、市長や知事をつるし上げる、果ては暴力まがいの行為を働く、これがこの人たちに共通する特徴です。

先日はとうとう搬入車両の下にもぐり込んだり、警官隊ともみあったあげく、とうとう警察沙汰になりました。多くの国民が眉をひそめていることに、この人たちはまったく気がつかないようです。
*追記 この事件について革命的共産主義者同盟中核派が関与表明しました。
http://www.zenshin-s.org/zenshin-s/sokuhou/2012/05/post-1601.html

さて、この人たちの反対理由は要約するとこのようです。

被災地は19年分を自分で勝手に処分しろ、という非情

彼らは、廃棄物処理の原則を「復興」の名のもとに、廃棄物は、それが発生された場所、そこにもっとも近いところで処理するという原則を踏みにじっている、と言っています。

お前ら被災地は、処分できようが出来まいが、被災した東北で勝手にやれ、助けるなんてとんでもない、ということのようです。なるほどお優しいことです。

自分の所でできればしてますよ。できないからしかたなく他県に依頼しているのです。

瓦礫受け入れを希望している宮城県、岩手県の震災瓦礫計2045万トン、こんな天文学的瓦礫をどうやって処分しろと言うのでしょうか。

被災地の瓦礫の総量は約2,045万トン(茨城県廃棄物対策課)、うち広域処理分は約400万トンで残りの約1900万トンは被災地自身で処理されています宮城県の瓦礫だけで、日夜処分場を稼働させても通常の19年分に相当します。

そしてこの8割以上は既に被災地地震でなんとか必死に処理している事実を知らないのでしょうか

こういう大震災時に、廃棄物処分は発生地で行うという平時の原則を持ち出す神経が分かりません。

瓦礫は2年目の夏を迎えて、今年もまた腐敗による臭気や害虫の発生が始まってきています。それがいかなる影響を被災地の人たちの健康に与えるのかは、考えないでもわかりそうなものです。

瓦礫が片づかないことによる復興計画の遅延は、かねてから指摘されているとおりです。

それを知らないとはいわせません。知りながら、この状態が19年続く被災地の地獄は平気であると、なぜなら廃棄物処分の広域処分は原則に反するからだ、と。これじゃあまるで出来の悪い官僚の言い分みたいです。

■いつのまにか「放射能を拡大するな」を引っ込めた不思議

そしてこの瓦礫に、「放射能汚染さえなければいいと、東北から九州まで運ぶことを合理化」しています、としています。

おやおや、これはどうしたことでしょうか!「放射能汚染さえなければ」ということはようやく放射能がないことが分かってきたのですね。

大変な後退ですね。去年までは盛んに「放射能を拡散させるな」と言っていたはずでしたのに。

「被災現地での計測など信じられない」、とまでインタビューで言っている人が今回もいました。じゃあ、直に現地へ行って計測してきなさいよ、と言いたくなります。

北九州市で、逮捕者まで出すような騒動を起こすくらいなら、一日で宮城、岩手の現地に行けます。ぜひ、思う存分放射能測定をすればよかったのです。

私たち「被曝地」農民は、自腹で計測器を買い込み、シラミつぶしに計測して回りましたよ。その手間を惜しんで、言うことが「現地計測は信じられない」とは!

より高い線量の地域に、低い地域から持って来るなの怪

この両県は極めて限られた地域(一関など)を除いて被曝から免れています。その被曝量は東京都東葛地域、千葉県柏市、松戸市などより低い線量です。

空間放射線量を比較してみます。(11年9月現在)

・宮城県          ・・・・0.061μSv
・岩手県          ・・・0.023

東京都          ・・・0.056
・北九州市        ・・・0.07 
(*)
*北九州市皇后崎ゴミ処分場バックグラウンド線量12年4月4日計測値

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000110719.pdf

上の被災地と北九州市の空間線量を見てなにも感じなかったらヘンです。北九州市のほうが、この東北2県よりバックグラウンドの空間線量が高いのですよ。空間線量が低い地域のものを、高い地域が騒ぎ立てるとはこれいかに。

だからと言って、気にする必要もないていどの差ですが、それを針小棒大に騒ぎ立てて「放射能が来る!」と根も葉もないデマを言い散らしてきたのはこの人たちです。まさにオオカミ少年。

■試験焼却後にも処分場周辺の線量には変化なし

そして、市当局は約束どおり、搬入前と後で計測を実施しました。それが以下です。(同上)

ごみ搬入車両       ・・・0.05(0.05~0.05)μSv
・バックグラウンド      ・・・0.05
・主灰(焼却灰)搬出車両 ・・・0.05(0.05~0.07)
・バックグラウンド     ・・・0.06
●皇后崎工場
・飛灰(ばいじん)搬出車両・・・0.06(0.05~0.07)
・バックグラウンド     ・・・0.06

空間線量にはまったく変化ありません。あたりまえです。元々放射能なんてなかったんですから。それを現地で事前に測り、それをクリアしたものが入ってきくるのですから当然の結果です。

「処分場の近くの学校で運動会があるので危険」と言っていた人もいましたが、その心配は無用にしてください。すでに受け入れをしている島田市、松坂市、東京都でも処分場近辺の空間線量の上昇は観測されていません。
島田市http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-040/gareki/1-7.html

■被災地瓦礫に放射能がないとわかると、今度は有害物質に鞍替え

そして放射能が怖い」が根拠なしと分ると、次に持ち出したのが瓦礫内の有害物質です。反対する種が尽きると、次から次に理屈にもならないことを持ち出してきますね、この人たちは。

初めから有害物質がテーマなら、それを測定することを現地行政に要求すればいいのです。それを今になって、自分たちの「放射能が拡散される」という論拠が全面崩壊すると、新手を出して来ます。こういうのを世間では無原則といいます。

変わったのなら変わった理由をはっきりさせて、宮城県、岩手県の人たちに「すいませんでした。放射能を拡散させるというデマを飛ばしてしまいました」と謝罪してから、次の有害物質とやらに移りなさい。それが常識というものです

■行政の測定が信じられないのなら自分でやるしかない

あれがダメだとコレ、そして言うことには、「なし崩し的に認めてしまうと、今後検査が厳密に行われる保証がない」とまで言い出す始末です。

今回の検査は初回だったから、宮城県は飛び切り安全なヤツを選りすぐって搬入した、とでも言いたいのでしょうか。(どうもそのようです)

ため息が出ますね。つきあい切れない。現地行政も北九州市も信じられないとまで言うなら、処分場にテントでも張って、来る瓦礫をこれから毎日自分たちで計測したらどうなんです。

行政が測るのが信じられなければ、自分でしなさい。ただそれだけです。なしくずしもなにもあったものではありません。

■こんな反対運動は脱原発運動とは無関係の単なる地域エゴだ

最後にいかなる低レベルだろうと閾値がないのだから危ないという、私たちがもう1年ちかく毎日聞かされて手垢のついたようなゼロベクレル主義が根拠として持ち出されます。

これにはコメントを差し控えます。私はそのような神学論争には興味がありません。ゼロベクレルを信奉したければどうぞ勝手に信じて下さい。このゼロベクレル主義者とは議論が成立しないことは身に沁みています。

ただし、被災地を踏みにじるようなことをせず、社会に迷惑を及ぼさない限りでお願いします。

あ、それともうひとつ。脱原発運動をやっているなんて触れ回らないで下さいね。あなたがたの「運動」は、脱原発とは名ばかりの、単なる地域エゴの化け物にすぎないのですから。

■瓦礫問題過去ログ
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-2240.html

 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-da6d-1.html 
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-e738.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-cfe2.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-0375.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-1d96.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-b1ed.html

追記 扉写真を入れ換えました。この石巻の写真を見てなにもかんじないのならもはや言うことはありません
追記2 この仙台住民のブログ記事をお読みいただくことをお勧めします。http://hhvstudio.seesaa.net/article/271243481.html

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西日本新聞5月22日

北九州市が試験焼却する宮城県石巻市の震災がれき約80トンが22日、北九州市に到着し、小倉北区の不燃物保管施設「日明(ひあがり)積出基地」に搬入された。試験焼却に反対する人が激しい抗議活動を繰り広げたため、予定より約8時間半遅れの作業となった。反対派の2人が福岡県警の強制排除に抵抗し、公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。市は予定通り23日から試験焼却を行う。

がれきは19日に石巻市をトラック28台で出発。午前9時ごろ、最初の6台が施設前に着いたものの、反対派約40人が施設正門前で先頭のトラックを取り囲んで搬入を阻止。「市長を呼べ」などと大声を上げ、阻止活動を続けたため、市は午後になって「業務に支障がある」として、門の前からの移動を求めて警告。午後4時ごろ、同県警の警察官約40人が強制排除した。

午後8時までに27台が施設内に入ったが、1台は施設入りできず、23日以降に荷卸しする。  

施設内では、市の委託業者が重機を使ってトラックからがれきが入った袋を降ろし、袋を破いてがれきを取り出した。

市は23~24日に日明工場(小倉北区)で約32トン、24~25日に新門司工場(門司区)で約48トンを試験焼却する予定。試験焼却を通じてがれきに含まれる放射性物質の濃度や工場の空間放射線量を測定する。22日に予定されていた保管施設の敷地境界での空間放射線量などの測定は23日に行う。市循環社会推進部は「無事に到着してよかった。試験焼却に万全を期したい」としている。

宮城県によると、石巻市では震災がれき446万トンが発生し、最大73万トンの広域処理が必要という。

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