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エコポイント制の教訓 自然エネルギーも同じ途を歩みそうだ

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脱原発は解けない知恵の輪のようになっているということを考え続けてきています。我ながら不人気なシリーズですが(苦笑)、もう少しおつきあいください。

この脱原発知恵の輪は、三つのパーツで出来ています。

一つ目は、いうまでもなく環境問題です。原発の危険性だけの問題ではなく、他の環境問題のこともかんがえねばなりません。たとえば、CO2問題です。

原発ゼロの現時点で、火力発電は、実に国内の総電力量の7割を占める状況になってきています。
*関連過去ログhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-7e2a.html

このような状態が放置されれば、大幅にCO2の増加するだけではなく、CO2排出権を外国から買い取るために巨額の出費を強いられることになります。

二つ目は、電力安定供給の問題です。震災以後の復旧もままならない時期に、電力供給が長期的に不安定になる可能性がでてきました。

これは原発ゼロにした場合の発電量の減少だけではなく、それを置き換えることを期待されている自然エネルギー自体が不安定な電源だからです。

これは、天候による発電量の振幅が激しいからです。ヨーロッパの経験では、太陽光と風力の電源としての不安定さが悩みの種となっています。

旧来の送電網を、次世代送電網であるスマートグリッドに転換しなければ本質的に解決することはない問題です。


ヨーロッパにおいても自然エネルギーの大量導入に伴ってスマートグリッドの建設が検討されていますが、コストが巨額なために厳しい判断を迫られています。(
資料1参照)

そして今日お話したい三つ目は、原発ゼロにした場合の持続的な経済発展が確保されるのか、という問題です。

飯田哲也さんは、自然エネルギーに代替した場合のプラス効果として、グリーン産業が勃興して新しい経済成長を生み出すことをあげています。

残念ですが、私はその可能性は非常に低いと私は考えています。

つい最近、薄型テレビのバブルがありましたね。エコポイント終了の駆け込み重要と、地デジの相乗効果でひと頃は注文から納入まで3か月などという時期もあったそうです。

沈滞ぎみの家電業界に救いの神だったはずが、終わってみるとそうはなりませんでした。

エコポイントは、薄型液晶タイプへの移行による節電効果と、、グリーン家電普及による景気浮揚策の二つが目的でした。今の自然エネルギーとよく似た構図です。

2011年6月、経済産業省は、この事業によって予算額の7倍に及ぶ5兆円の経済効果があり、32万人の雇用を創出したとしています。(同)

しかし、現実は額面どおりではありませんでした。5兆円の経済効果は、あくまでも理論的な生産誘発額の足し算でしかなく、中間財の重複カウントがあって実体ははるかに少ないと見られています。

32万人雇用創出効果などなおさらであり、シャープ、東芝、パナソニック、ソニーなど各社が軒並みに事業打ち切りによる工場閉鎖に踏み切っており、逆にリストラを加速したと評価されている始末です。(ソース「一橋ビジネスレビュー」2012年3月 下図も同じ)

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             図 薄型テレビの国内出荷台数に占める輸入台数の割合

上図は、薄型テレビの国内出荷台数に占める輸入台数の割合を死す表です。これをみればよくわかるように、エコポイント導入が開始されると、輸入台数は激増していきます。

エコポイント導入以前には30%前後であったものが、終了緒全の10年末にはなんと100%を振り切っています。

これらには国内メーカーのODNも含まれていますが、それにしてもすさまじい外国勢の攻勢がお分かりいただけたでしょうか。これでは、エコポイントという税金を使って外国企業に金をバラ撒いたようなものです。

結果として、日本企業はエコポイントというグリーン政策によって、急激な課価値下落攻勢にぶつかり、競争力を維持できずに、国内製造からの撤退といった苦境にたたされてしまったのです。

おそらく、これとまったく同じ構図が、太陽光などの自然エネルギーでも再来することは間違いありません。

ヨーロッパにおいては、既にそれははっきりと結果がでています。

世界の太陽光パネルの80%を占める最大市場のヨーロッパでは,、欧州ブランドは瀕死の状況です。

かつて世界一の生産額シェアを誇ってQセルズは再建申請中となり、中国に生産拠点を移したにもかかわらずシェア5%で7位に転落しました。後の太陽光製造メーカーは、軒並み倒産しています。

太陽光以外でも、デンマークの有名な風車メーカー、ベスタスもシェア30%から15%にまで下落し、3千名のリストラをかけている有り様です。

米国でも太陽光パネルメーカー大手のソランドが倒産しました。つまり、世界を覆うグリーンエネルギー産業の崩壊現象が起きているのです。

いや、その言い方は正しくはありません。ひとり勝ちしているのが中国メーカーです。太陽光パネルの世界一のシェアは中国・サンテックパワー社が握っており、この優位はもはやガリバー型独占といっていい状況にすらなっています。(資料4参照)

ちなみに風車でも、中国企業のジノベル社が首位につくのは時間の問題と言われています。

ドイツでも、脱原発を宣言し、FIT(全量・固定価格買い上げ制度)が出来たときには40万人の雇用創出を謳っていました。しかし、結果は無残です。

 るそ て5年で太陽光バブルは弾けて、雇用創出どころか、リストラと倒産の嵐が吹き荒れたのです。

これは、日本の薄型テレビのエコポイントと同じです。一挙にFITで需要がバブルをつけると、国内産業だけでは需要を満たしきれず、輸入が増え、同時に価格競争が熾烈化し、国内市場に外国企業が大量参入し、市場を独占した結果、国内産業は育つどころか潰れてしまう瀬戸際にいます。

自然エネルギー市場でもまったく同様のことが起きるでしょう。これが脱原発の絡んだ糸玉の三つ目です。

今後、日本もFIT制の導入を受けて、太陽光メガソーラーに中国企業の大量参入が開始されようとしています。(資料4参照)

税金をかけて外国企業を育成し、国内企業が駆逐されるというドイツのような馬鹿げたことが、この日本でも始まろうとしているのです。

■今日はなぜかフォントが大きい。偶然ですが、まぁこれも見やすいでしょう。明日から普通サイズに戻すします。また今日は農繁期で多忙のために、校正が不十分のままアップするというポカをやってしまい、誤字だらけでした。ごめんなさい。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1

欧州連合(EU)欧州委員会のギュンター・エッティンガー(Guenther Oettinger)エネルギー担当委員は17日、欧州のガス•電力供給網の改善•整備には2000億ユーロ(約22兆8000億円)が必要だとする今後20年間のエネルギー•インフラの最優先課題を発表した。

EUの調査によると、分散エネルギーを統合する供給網が老朽化しており、温室効果ガス削減などを妨げる問題となっている。欧州諸国をまたぐ送電網と再生可能エネルギー開発に多大な投資をしない限り、EUが掲げた再生可能エネルギー、温室効果ガス削減の目標を達成できないだけでなく、供給量の確保も危うくなると予測している。「エネルギーインフラは、われわれすべてのエネルギー目標のカギである。EUの優先的な事業の実現を加速させるためにはきわめて重要である」とエッティンガー氏は述べている。

欧州委員会は二酸化炭素(CO2)排出削減の長期的な取り組みとして、2020年までに北海(North Sea)、バルト海(Baltic Sea)での風力と、地中海域での太陽熱からの電力を送電する電力ハイウェイ(electricity highways) の開発を計画していることを明らかにした。また、CO2回収・貯留(CCS)技術が商業的に実現可能となれば、CO2用の移送インフラの開発も計画されている。

■ 資料2 独Qセルズ:7-9月赤字、予想以上に悪化-ヘルムズCFOが辞任

11月14日(ブルームバーグ):ドイツの太陽電池メーカー、Qセルズが14日発表した7-9月(第3四半期)決算は、利払い・税引き前損失が4730万ユーロ(約50億円)となり、赤字幅がブルームバーグがまとめたアナリスト予想(2140万ユーロ)の倍以上となった。

同社はまた、マリオン・ヘルムズ最高財務責任者(CFO)が自ら辞任し、同日付で退社することも明らかにした。同社株は急落している。 ネディム・セン最高経営責任者(CEO)は記者団との電話会議で、CFOを兼任すると述べた。来年2月末に償還を迎える2億200万ユーロの債務について、「全額返済」できない可能性があると警告した。( ブルームバーク)

■資料4 
 九州に初進出の同社は「日射量の多い九州でさらなる開発をしたい」としている。

 建設地は同市住吉町の市土地開発公社の遊休地(2万5千平方メートル)。同日、年間約500万円の賃料で20年間の賃貸借契約を同公社と交わした。総事業費は約6億円。太陽光パネル約3800枚を設置する。出力は1955キロワット。年間発電量は195万キロワット時で、九州電力に売電する。10月に着工、12月稼働を見込む。

 調印式後、同社の陳鋭社長は「自治体や大きな建物の屋上での開発も進めていきたい」と語った。九州で出力合計3万~5万キロワットの開発を目指す。

 同社は世界12カ国に支社を持つ「スカイ・ソーラー・ホールディングス」(中国・上海)のグループ会社。国内では茨城県鹿嶋市でメガソーラー開発に携わっている。

=2012/05/23付 西日本新聞朝刊=

■【3月15日 AFP】ソーラーパネル世界最大手のサンテックパワー(Suntech Power Holdings)が生産拠点を置く中国東部の江蘇(Jiangsu)省無錫(Wuxi)は人件費が極めて安い。そのため、省力化のために設計された機械は放置され、労働者が手作業で生産を行っている。

 安い人件費と約1万4000人が働く大量生産ラインのおかげで、サンテックパワーはたった10年で世界最大手のソーラーパネルメーカーに成長した。

 しかし、中国企業の台頭により打撃を受けた米業界は、中国のソーラーパネル企業は政府から不公正な補助金を受け取って米市場でダンピング(不当廉売)を行っていると訴え、大きな貿易問題に発展している。

 米政府は今月中にこの件に関する調査結果を発表する予定で、その内容によっては中国メーカーへ関税が課される可能性がある。

■中国の低価格戦略で米社の破綻相次ぐ

 これに対しサンテックパワーは、不公正な商慣行は行っていないと主張しつつ、価格を抑えて販売を促進し、より多くの人に製品を提供するという戦略を隠そうとしていない。

 だが米業界は、この先何兆ドルもの成長が見込まれる代替エネルギー産業での優位性を確立するため、中国政府は国営銀行による低金利融資や、直接的な補助金政策などあらゆる手段で自国の企業を不公正に支援していると主張している。

 国際的な販売価格の下落により米業界は大きな打撃を受け、2011年には少なくとも3社が破綻した。米バラク・オバマ(
Barack Obama)政権から5億3500万ドル(約450億円)の融資保証を受けていたソリンドラ(Solyndra)、米ナスダック(Nasdaq)市場に上場していたエバーグリーン・ソーラー(Evergreen Solar)、そして米インテル(Intel)から独立したスペクトラワット(SpectraWatt)だ。

■中国の国内市場に期待

 サンテックパワーの24時間稼働の工場で働く従業員たちは、手作業でソーラーセルをプラスチックとガラスで挟んでソーラーパネルを作っている。基本給は1か月に1500~1800元(約2万~2万4000円)ほど。豊富な労働力を利用できたことで生産コストが下がり、製品価格も安くなった。太陽電池の原材料となるシリコン価格の暴落もさらなるコスト削減に寄与した。

 しかし、出力1ワットあたりのソーラーパネルの国際価格が約1ドル(約84円)にまで落ち込んだことで、サンテックパワーの利益率も下がっている。市場に大量の製品を送り込んで価格低下を招いた中国メーカーを非難する声も上がっている。

 現在世界第2位の石油消費国である中国は、クリーンエネルギーへの移行を進めており、2011年には太陽光発電電力の買い取り価格保証制度も開始された。

 サンテックパワーのグローバル・マーケティング責任者は、債務危機などで先行きが不透明な欧米市場よりも中国の国内市場に期待していると述べ、中国は来年までに単一の市場としては世界最大になるだろうとの見通しを示した。(c)AFP/Bill Savadove

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