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2012年5月29日 (火)

太陽光バブルに苦しむフランスの秘策 域内製品優遇策

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世界各国のグリーンエネルギー事情を見ると、情けないことに太陽光で成功している国は皆無だと思います。

ドイツ、スペインでは、固定価格買い取り制度(フィードインタリフ・以下FIT)が作った太陽光バブルが弾けて、今や買い取り価格の急落期を招いています。

では、ドイツの隣国であり、原子力大国のフランスはどうでしょうか。結論からいえば、同じFITを導入したのですから、違う展開があるはずもありません。

同じように2009年から10年のわずか1年間でFITの高額買い取りを当て込んだ太陽光バブルが起きました。

農家が、屋上パネルを設置するためだけに納屋を作ることがブームになったということですからなんいともかとも。(苦笑)

わが国でもほとんどEUと一緒のFITを作ってしまいましたから、わが農業界も電田に湧くんでしょうかかね。

42円買い取りという世界一の高額、おまけに20年間固定、その上に出来ようが出来まいが安定供給の義務なし、という夢のような三大特典をめざして一斉に群がることはたしかなようです。

たぶんドイツ、スペイン、フランスなどの先行事例を見ると、間違いなく太陽光は投機の対象になるでしょうね。

さきほど書いたフランス農家の納屋ブームなどは、環境に優しいなどという理念なんて関係のない、まさに投機です。

この投機筋が太陽光ブームに乗り出すと、なにせ日本は金がダブついていますから、「太陽光ファンド高利回り保証」なんてことになるかもしれません。

現にアメンリカでは、国策としてグリーンニューディール政策をとった後に、金融銀行筋のハゲタカ達が投機対象にして、彼らが富を啜った後には無残に太陽光バブルの残骸だけが残りました。

さて、眼を移して買い取る側の電力会社はどうなりますか。群がるほうは知ったことではないでしょうが、誰か買わなきゃならないわけで、それは一義的には電力会社、二義的にはそれに補助金を出している国です。

フランスでは、高値買い取りの原資として税収を電気料金に上乗せする方式をとっていましたが、さすがこの2年間は高額買い取りと買い取り量の爆発的増加に音を上げるようになりました。

これを引き受けたのが欧州最大の電力会社・フランス電力(EDF)でしたので、たちまち
毎年10億ユーロ(約1100億円)という巨額赤字抱えるはめになってしまいました。

フランスでは、日本のような総括原価方式でかかったコストは消費者に丸投げできるという仕組みではなく、政府の公共電力サービス支出で補填していたのですが、これが追いつかなくなりました。

つまり、フランス電力も、それをバックアップする政府も同時に手を挙げてしまう事態にまでなったわけです。

これを評して、ドイツ最大手銀行のドイチェ・バンクのベルトラン・ルクール氏は、「一刻も早く解除すべき時限爆弾だ」と警鐘を鳴らしたというエピソードが残っています。

もちろん、フランス政府も指をくわえて眺めていたわけではなく対策を練りました。と言っても、やる方法は限られています。加熱する一方の供給をカットするしか手はないのですから。

➊買取価格の引き下げる
❷3ヶ月間、買取制度の新規申し込みを凍結する
❸年間導入量の上限設定500メガワット(0.5ギガワット)にする

しかし、残念ながらFITという「悪魔の制度」(と言ってしまいます)はそれまで申請された分には、約束どおり高額買い取りを適用せねばならないわけですから、焼け石に水です。

わが国でも20年間固定で、毎年買い取り価格見直しという制度ですから、圧倒的優位を確保するために初年度に申請が殺到することでしょう。フランスでは、FIT価格変更前の駆け込みが1日に3千件あった日もあったとか。

経済産業省は、来年になってドカッと買い取り価格を落とし、買い取りにも上限をつけるかどうか大いに悩むことでしょう。

そして日本でも結局3年間ていどで制度はパンクして、買い取り価格は今の半値以下、買い取り上限もつくという世界相場に落ち着きます。どうしてこうわかりきったことをやるのか・・・(ため息)。

フランスも懸命にバブルを冷やそうとしたのですが、2020年までの計画が13年で達成できてしまい、2011年の段階では、太陽光発電の買取価格の平均額は電力市場相場の10倍(!)という高値安定で貼りついてしまったのです。

と、ここまではFITをすれば確実にこうなる、というお約束の地獄の法則なのですが(今になってこれをまだやる国があったとは!)、フランスはここからが一味違っていました。

フランスは、EU域内で製造された太陽光パネルを10%買い取り価格に上乗せするというの優遇策を打ち出したのです。

さすがフランス中華思想をもってしても、域外製品の禁止までには踏み込めなかったようですが、この域内優遇策は太陽光バブルの富をすべて中国に持ち逃げされるという事態に対処したものです。

ただし、この苦肉の10%上乗せも、今度は中国が10%値引きしてくるという「上に政策あれば、下に対策ある」という中国の諺どおりの展開となって苦戦は続いているようです。

*関連過去ログhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-c7a2.html
関連論文 「ドイツ 間違った全量固定買い取り制度は正反対の結果」
http://www.engy-sqr.com/watashinoiken/iken_htm/feed_in_tarif_ono100328.pd

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コメント

興味深いですね。世界のエネルギー事情はどうなるのでしょうかね。

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