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まだ脅威が残る湖の放射能

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このところあまり記事には書いてこなかったのですが、放射能との闘いは継続されています。

今日は午後いっぱいかけて、茨城大学の先生2名と、こちらの農業者が参加して、霞ヶ浦周辺の水田と、湖の自然植生帯の放射能測定を行います。

霞ヶ浦は全国的に見てもちょっと変わった地形です。一般の河川が長い距離をかけて湖に到達するのと違って、いくつもある水源の山林から流れ出した小河川は、10キロ以内で湖に一気に集中します。

そのために、水源の汚染がそのまま湖の水質に影響してしまいます。生活排水や農業や事業用排水の影響を被りやすい地形だといえるでしょう。今回の原発事故の場合、それは放射能でした。

さて、昨年の原発事故は平地もさることながら、山林に多くの放射性降下がみられたのが特徴でした。

空中の塵や水滴に付着した放射性物質は、折からの風で運ばれ、雨で地表に落ちてきます。その時に、畑や水田の上にあった作物にはうっすらと放射性物質が付着するのですが、これが外部被曝となります。

この作物の外部被曝は、3.11以後の約2カ月間前後の期間、そうですね,ちょうど去年の今頃まで続きました。

思えば、この時期の畑は閑散としており、畑で収穫期を迎えたのはごく限られた葉ものなどと小麦などでした。

水田は田起こしの直前であり、床土に被曝したものの、放射性物質の大部分は農業用水から河川を経て水系に流出したと思われます。

この事故が畑が満開となる夏場や、米の収穫期の初秋にかけて起きたなら、農業の被害はあんなものでは済まなかったでしょう。不幸中の幸いとでも言うべきでしょうか、複雑な心境です。

田畑は草を刈り、丁寧に10~15㎝(プラウ耕で30㎝)耕すことによってさまざまな形で土壌中の粘土質や腐植物質に吸着し、封じ込められることが分かりました。

現実に、3月中旬に100~400ベクレル/㎏あった土壌は、耕耘を重ねるごとに急激に線量を下げていき、数回の耕耘で8分の1から10分の1にまで減少します。

作物への移行も、当初予想されたよりはるかに限定的だということが分かってきました。移行率は1000分の1程度であり、それも急速に減少しました。

これが私たち農業者が感謝の念と共に言う土の遮蔽効果、別名、「土の神様の力」です。

農地は、こうして都市の煽動家たちの無責任な流言蜚語をよそに、急速に放射能の影響下から逃れ始めていきました。

さて現時点で、わが茨城県においては、農地の放射能の脅威はほぼなくなりかかっているといっていいでしょう。今年の作物は、一部のタケノコ、シイタケを除いて検出限界5ベクレル以下であるはずです。

しかし問題はこれで終わったわけではありません。山林と水系、特に水が滞留する湖や池の汚染はそのままの状態です。

わが県の山林汚染のデータは下図にあるとおりです。(常陸太田市在住・布施氏計測による)

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この測定結果は県北部でのものですが、セシウムはおもに地表面にある去年の落ち葉に付着しており、平均4800ベクレルていどです。

一方、今年の落ち葉は最大値で270ベクレル、平均で129ベクレルと30分の1でした。これは3.11後の放射性降下による落ち葉の外部被曝が山林の落ち葉に付着したものの、新たな落ち葉には影響が少なかったことを現しています。

この去年までの落ち葉が雨などで沢水に流れ込んだ結果、谷津田の沢水取り入れ口周辺汚染度を高めました。

去年発生した福島県の暫定規制値超えした米はこの落ち葉が水田に流れ込む沢口周辺で起きています。

下の写真をご覧いただくと、耕耘した農地と、その周辺の山林の空間線量の差に気づかれることでしょう。(茨大小松崎先生による)

これは放射能が、農地や住宅地に達する前に山林がブロックして、そこで食い止められていることを示しています。まさに山が守ってくれたわけです。Photo

土壌中のセシウムは、しっかりと固定されているのでそう簡単に移動して汚染を拡大することはないのですが(*土壌からの水溶性率は1%ていどとみられている)、落ち葉は水に流れ込み水系を辿り、やがて湖に達します。

また湖は、海洋と異なり対流がないために、放射性物質は沈下して湖底の泥や、湖岸の植生帯に沈着していることが想像されます。

霞ヶ浦のような、山林からの水源が一カ所に集中する湖は、その意味で今後とも注意して監視すべき地形なのです。

■写真 こちらは霞ヶ浦の妹分の北浦です。私の村では、北浦が本流であると思っているらしく、霞ヶ浦を西浦と呼んだりもします。

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コメント

大いなる自然…偉大なり!

東京湾の河川由来と思われるセシウム濃度の増加も報道されていますし、一方で福島県相馬市での漁(タコと貝のみ)も、試験的ながら再開です。

出来うる限りの検査・調査と共に、いち早くの農漁業の復活を望んでなりません。それこそ地場産業・生活の生命線ですから。

改めて、「放射能は正しく恐がりましょう」と呼び掛けたいです。

ゼロベクレルはありえません。
ブームになったバナナダイエットなんか、カリウム40を大量に取り込む行為ですし、
もっと突っ込めば広島の原爆なんか爆縮で反応したのは数%であって、残り100kg以上の濃縮ウランはバラバラになって広域に落下しました。
今回の福島第一原発での飛散放射性セシウムは5kg程度と推定されています。核種は違えど、だいたいこれで事故規模が推測できるかと思いますが…。

天然由来と人工放射能は違うという主張をなさる方をネット上では見掛けますが、全く科学的治験がありませんね。


もちろん私も原発など無いにこしたことはない。しかし、ただの反原発の時代遅れな過激運動などは却って原発廃止を遅らせるだけで何も生みません。

投稿: 山形 | 2012年5月31日 (木) 09時31分

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