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2012年5月30日 (水)

太陽光は日本製を買おう!

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りぼん様。私の経験はビンテージものですから、お役にたつかどうか。なんせ十数年くらい前の話ですから(笑)。

お勧めとなると、心情的にはシャープでしょう。イオンだと京セラです。ヤマダ電気に行って多少安くても中国製を買うのだけはやめて下さいね。

さて、あの頃は、シャープが世界の太陽光の代名詞だった時期です。シャープ は石油危機で節電が話題になるはるか以前の1959年から研究を開始し、63年にモジュールの大量生産に成功しています。

その後は、66年灯台用、76年人工衛星用、同年に電卓用と、この分野の文字通りの先駆者でした。シャープが太陽光の時代の扉をこじ開けたと言ってもいいと思います。

ライバル京セラとは抜きつ抜かれつの熱い闘いを繰り広げており、2000年にとうとう京セラを抜いて世界生産量トップの座に君臨することができました。さぞかし美酒に酔いしれたことでしょう。

私がNEDOの補助で取り付けた時に、家庭用としては希少例だったためか、かなりランクの高い方がわざわざ陣頭指揮をとる、という力の入れぶりでした。

あの時にこの方が私に言った、「シャープは電気洗濯機はもう作りません。液晶テレビと太陽光だけで勝負する会社に生まれ変わるんです」という言葉が忘れられません。

その言葉どおりに、シャープは太陽光と液晶薄型テレビに特化した高い技術力を誇る会社として認知されていくようになりました。私はこのての会社には好感を持ちますね。

わが家のシャープ製太陽光システム・サンビスタはまったく壊れることなく10数年稼働し、その間まったくメンテナンスなしでも電気をまめに作り続けました。一回だけインバータ(直流を交流にする装置)が故障したときには、無料で新型に交換してくれました。

震災時にも一時停止したもののすぐに復旧し、システムに異常もなく今日も元気で電気を生産しています。

中国製は震災時に簡単に壊れたという話も聞きますから、やはり製品としてのクォリティが高かったのでしょう。

今は旧来の結晶シリコン型だけではなく、薄膜シリコン型に移行して、もうひとつの花形商品である液晶テレビのTFT技術の共有化に進んでいるようです。

ですから製造工場も、2010年からは液晶テレビと同居して堺工場で生産して合理化を進めています。

また結晶、薄膜型のみならず、次世代太陽光として変換効率が極めて高い単結晶化合物太陽光電池の開発にも成功しており、2011年にはインジウムやガリウムなどを用いた化合物三結合型太陽光電池で、実に変換効率36.9%という驚異的記録を達成しています

変換効率の理論上限値は25%といわれていましたから、それを10%も上回る数値でした。シャープの技術力の高さが分かります。しかし、この王座の地位は長続きしませんでした。

経済産業省は、国内で補助金をつけて徐々に太陽光を拡大する方法をとっていたのですが(私の設置はこの時期です)、これを2005年に廃止したのですが、この時期がヨーロッパの全量・固定価格買い取り制度(フィードインタリフ・以下FIT)開始と完全にぶつかってしまいました。不運としか言いようがありません。

まさにこの前年の2004年にドイツを皮切りに、ヨーロッパ全域でFITの猛威が吹き荒れます。

今までさんざんFITの悪口を書いてきたので、過去記事をご覧いただきたいのですが、要するに、馬鹿げた高値で、おまけに実に20年間固定で買い取るという仕組みだったわけです。

ただし毎年少しずつ買い取り額が安くなっていくために、早い者勝ちという投機的な空気がヨーロッパ諸国を覆いました。

結果、互いに競い合うようにして、銀行の利子よりはるかに高く、国債よりも確実に儲かる太陽光に投資したのです。

農家は納屋を新築してパネルを置き、勤め人は友人と共同出資して風車を建設し、年金生活者も太陽光ファンドを購入する、といった太陽光狂協奏曲となったのです。

かくしてこのFITは、全世界の太陽光の生産量を、2005年に1700メガワット、06年に2500メガワット、07年に3733メガワット、08年には6941メガワット、09年にはとうとうギガの大台に乗り10.9ギガワット、そして翌年にはそのまた倍の23.9ギガワットという飛躍的増加をもたらしました。

太陽光を伸ばすという初期の目的は大成功したと言えます。ただし、ヨーロッパはその成功の代わりに、財政破綻と国内グリーン産業の壊滅、電気料金の高止まりといった代償を支払わねばなりませんでした。

一方日本は、世界的導入量においては05年のFIT開始1年目のドイツに抜かれ、08年にはスペインにまで抜かれてしまいました。

また太陽光モジュールの製造量でも首位をあけ渡し、10年に10位以内にいるのはシャープのみといった惨状になってしまいました。残念ながら、日本の太陽光産業は世界的上げ潮に乗ることができなかったのです。

下図を見ると、10年にドイツを抜き返すも、中国・台湾勢にシェアを譲って居るのがわかります。特に中国製がいかに猛威をふるったのかは見てのとおりです。(一橋ビジネスレビュー12年3月)

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中国製は、未だ原始的な結晶型モジュール技術しかもたず、製造機械すら国産化できないレベルにありながらも、ひたすら安値を武器にしたえげつない市場参入をすることで首位を独占しました。

米国ではダンピングの疑いすら持たれて、訴訟沙汰になっています。

日本の太陽光産業は、国内の補助金の打ち切りによる国内需要減少と、海外での拡大に伴う安値競争にはさまれたような形で、赤字産業に転落してしまったのは見てのとおりです。

飯田哲也氏は、日本のグリーン産業が転落した理由を、日本が効率の悪い補助金制度に依存したことと、FITを導入しなかったことを挙げています。

例によって飯田氏の言い分は、現制度を批判する切れ味はいいのですが、その代案がことごとくヨーロッパと米国の先行例のコピーでしかありません。

ですから、無批判でFITを導入することが特効薬の如き主張をします。仮に日本がFITをヨーロッパと同時期の2005年あたりで導入したとした場合、確かに太陽光発電量は急増したことでしょう。

しかし、急激な生産拡大の準備がなかった当時の日本企業にとって、かえって開発-設計-生産の一貫国内製造が仇となって低価格競争に敗北したと思われます

仮にわが国が05年にFITを導入したとしても、その勝者は、コピー技術に頼り、製造機械を米国からオールインワンで買い込み、奴隷的賃金で輸出攻勢をかける中国の頭上に輝いたことでしょう。

日本企業は、FIT開始にあたって、低価格競争に巻き込まれることなく、変換効率の良さと、メンテナンスシステムの充実などで勝負をかけるしか方法は残されていないようです。

特にメガソーラーにおいては、数%の変換効率の差が、多大な収益性の差となって響きますから、シャープの36.9%の高変換効率は大きな武器となることが予想されます。ジャパニーズ・グリーンカンパニーにがんばって頂きたいものです。

グリーン政策には、自国のグリーン産業育成が不可欠です。これなくしては、エネルギー源を他国に譲り渡してしまうことになりかねません。また、グリーン産業による雇用増大も望めません。

原発事故後の「空気」に頼ったグリーン・イノベーションを、地面に足がついた確実なものにしていかねばなりません。その意味でも、日本でも始まったFIT初期が正念場ではないでしょうか。

というわけで、りぼん様、シャープか京セラを買って下さいね(笑)。

■蛇足 山本太郎君が結婚するそうです。おめでとうございます。役者か脱原意発運動家かよくわからなくなってしまいましたが、もうそろそろ、「原発アブナイ」だけじゃなくて、リアルに原子力からのティクオフを考えてもいい時期なんじゃないでしょうか。と言っても無理か・・・。彼はいい意味でも悪い意味でも、単結晶体ぽいもんな。

■蛇足2 菅首相の国会証言聞きましたか?あれだけ居直れたらもう芸の世界ですね。原子力ムラを戦前の軍部と見立てて,それと闘う自由主義者を気取る言い分には薄ら寒いものすら感じました。あんな人格破綻者が「脱原発」のリーダーを気取るから、イヤなんですよ。あ、違った。一国の首相だったか(笑)。

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コメント

ここ数日の記事は本当に考えさせられますね。
救世主のように「太陽光」発電をマスコミなどはもてはやしますが、色々様々な課題がありそうで、迷宮に嵌っちゃいそうです。

北海道十勝でも、孫さんのメガソーラー計画にいち早く手を挙げた帯広市や、わが町にも東京の企業が廃校になった小学校のグランドにソーラーパネル設置を、町行政と契約を締結したりと、色々な動きが始まっています。(そのグランドと言うのが我家から歩いて2~3分の所なもので、さてさてどの様になるか・・・と思っています)
十勝では、家畜糞尿からの発電を数年前から取り組んでいる町村もあります。
導入時は補助金で半額程度になりますが、メンテや更新は自己負担で行わなければならず、10億円近くかかるのをどうするか???今から心配しています。
(余計なお世話かな?)
デジタル化によりテレビが爆発的に売れて数ヶ月待たされたり、エコポイント制度で車や省エネ家電が売れたり・・・一時的ではありましたが、電器業界も活況を呈していたのが、嘘のような状況ですね。
あのパナソニックでさえリストラですから、考えれば考えるほど、落ち込みます。

太陽光発電・・・、家を建てるときに営業マンに「ソーラーパネルってどう?」って聞いたた時の答えが、「お医者さんに設置する人が多いですね」でした。
資金力があって、自己満足を満たせることの出来る人が設置するのかなー。というのが当時の印象でした。
まぁー、好きですけどね。どんな形式でも発電すんのはね♪

温暖化 や CO2排出問題なんて眉唾みたいな事言わなければ、もう少し素直に太陽光に興味持てたのになぁ・・・

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