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電力市場開放という名の国民投票

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りぼん様。 おっしゃることはわかります。
関西では原子力や放射能について、私たち東関東、東北の人間とは違った感じ方があるのも、なんとなくですが理解できます。

皮肉にも、大文字の送り火で、陸前高田の薪を大騒ぎしたあげく拒否するような人たちがいる西のほうが、電力不足になった場合、一転して再稼働容認に走りそうな気がするのはなぜでしょうか。

もしそうなった場合、さんざん放射能差別にあってきた私たち「被曝地」の人間はなんと考えたらいいのでしょう。

私たち福島県、茨城県の人間は、再稼働を断じて許しません。

福島第1は当然のこととして(4号炉が心配ですが)、福島第2、女川、東海第2原発は、再稼働することなく、永久に廃炉になってもらいます。

二度と私たちの土地を、放射能で汚させはしない。もう放射能で泣くことはしない。放射能で差別される社会は作らない。

原発立地県の人たちは、きちんとした検証を重ねて、政府のやっつけの安全宣言などにまどわされることなく、責任をもってみずからの住む地域の原発の将来を考えるべきです。それが国民としての責任です。

それを判断するには時間がかかるでしょう。

活断層を再調査し、津波対策を嵩上げし、ベント・フィルターや重要免震棟を設置し、サテライト・センター、非常時の避難体制をしっかりと構築するには、少なくとも3年から5年は充分にかかります。

安全委員会の権威が失墜した今、私たちはなにを信じるべきなのでしょうか。経済産業省の役人が天下りそうな規制庁とやらを信じればいいのでしょうか。3日でできるようなやっつけの安全基準を信じろとでも?

公的な第三者委員会が必要です。原発再稼働を要求する経済界に対して、納得のいく再稼働基準と検証が可能な場を作るべきです

そこで政府安全基準などというまがいものではない、国民誰しもが納得する稼働基準を作り、それを徹底的に調査して頂きたい。

もちろんこの夏には間に合うはずもありません。しょうがないじゃないですか。この調査と対策が完了するまで、国民は不自由を覚悟で待つしかありません。

しかし、その間にすることは膨大にあります。何といっても、代替エネルギーの確保が最重要課題です。

電力の完全自由化に踏み切れば、ありとあらゆる電源が候補に浮上してくるはずです。

政府もこの2月に「電力システム改革委員会」を設置し、「電力ベースをゼロベースで検討し直す必要」(枝野経産相)を明言しました。(「エコノミスト」5月22日)

現在ある電力会社の独占体制こそが、日本の悪性腫瘍です。これがある限り、いかなる新電源も、それがコジェネであろうと、地熱であろうと、太陽光であろうと、十全に力を発揮することはできません

たとえば、PPS(電力新規事業者)はありますが、現在は工場やオフィスのような大口需要者に対してのみしか許されていないために、家庭用に供給することはできないでいます。

それは、送電網を電力会社が独占しているために、送電網使用量が高額に設定されていてPPSにとって商業的にペイしないからです。

発電会社も兼ねている電力会社にとって、PPSとまともな競争はしたくないために、差別的な使用量を設定して、PPSを叩きのめしているのが現状です。、゛

発送電を分離して、電力の小売り市場を家庭にまで拡げれば、個人でも好きな電源を好きな料金で買うことが可能となります。

また、大口需要者は少しでも安い料金の電力を購入しようとしますから、電気供給者間の競争が始まります。

今までのような、すべてのコストを事業努力もすることなく、すべて電気料金にオンできるというふざけた電気会社天国は終わりです。

いままで通常の民間企業だったらありえないような高額の資材や設備を、納入業者と癒着して買い入れ、そのツケを消費者に回していた体制はもうお終いです。

原子力は、今まで国から開発費用と立地費用を、国から支給されてきました。また使用済み燃料や放射性廃棄物の処分、廃炉までも国に任せにしてきました。

その上、原発事故における補償すら、巨額の国の支援を受けることが可能でした。つまり、このようなパックエンド費用を一切合切国が負担するという異常な竹馬を履かせて初めて原子力は基盤エネルギーになりえたわけです。

これが、原子力公称10.68円(1970~2007年)という安値の裏側です。この原子力のバックエンド費用は、一般会計のエネルギー対策費とエネルギー対策から支出されています。

これらの原子力のバックエンドに投入された税金は、18兆8800億円(2004年度総合資源エネルギー調査会電気事業コスト等検討小委員会「バックエンド事業全般にわたるコスト構造・電子力前半の収益性分析・評価」よる))にも登ります。

これらはすべて廃止の対象とされるべきです。そしてより適正な電力政策の建設に当てられるべきでしょう。

それが、発送電分離、電力会社独占を排した上でのスマートグリッドの全国的展開です。この条件があってはじめて、自然エネルギーは本領を発揮できるのです。、

その中で自然エネルギーもまた競争に揉まれるべきです

今のような42円、補助金を入れれば48円という高額な電源を買う「意識の高い」人相手だけの電源なのか、真に鍛えられたエネルギーベース足りうる電源なのかは、おのずと開放された電力市場が結論を出すことでしょう。

そのために初期の自然エネルギーの拡大を狙った補助金や、超高額買い取り制度は早急に廃止し、競争可能な条件に戻すべきです

国民が支持する電源のみが生き残る。これが電力市場開放という名の国民投票なのです。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

昨日のりぼん。さんのコメント「安全性の高い原発」は、私が発言したものに対するものかと思います。私も言葉足らずで失礼致しました。今日のこの記事で管理人さんが詳しく説明して下さっている通りです。

昨日、猪瀬東京副知事も発送電分離の必要性を説いておられました。
やはり「総括原価方式」と「地域独占」で保護されて高給と手厚い福利厚生を受けてきた電力会社は、国策として成長期の電力安定供給として多大な役割を果たしましたが、残念ながら現代に於いては時代遅れも甚だしいと感じています。

石油資源の無い日本こそは「未来の夢のエネルギー、原子力」の宣伝に一役買ったのは、偉大な手塚治虫さんとその弟子たちです。
今さら責める気もないですが、アトムはもちろん、ドラえモンも家庭用原子炉内臓ですから。
22年前の東北大学ウソ新聞で、半分溶け落ちて倒れているドラえモンは、笑って見ていましたが…今はとても笑えないや。
脱線気味ですいませんが、現在でも下位のアニメーターが生活もままならない搾取的労働→結局は韓国・中国に動画外注となった元凶は、残念ながら予算不足のままで作った元祖「鉄腕アトム」だそうです。

脱線しすぎましたが、興味深いです。


因みにスウェーデンでは、価格や環境性能やリスクを勘案して、「自然エネルギー」「石炭火力」「原子力」を各消費者が選ぶことができます。
発送電分離が実現すれば、スマートグリッドなどを待つまでもなく、日本でも導入可能かとおもいますが…残念ながら事業者や低所得層は、とにかく安い電気に一気に流れそうな気がしますねえ。


で、その「安い原子力」、昨日の政府の会議で「再処理は先送り」「処分しない」がもっとも経済的と中間報告。
まあ、そんなことは分かりきっていたことですが、ますますトイレの無いマンションそのものですね。

昨日、庄内地方を走ってきましたが、安定して西風が吹く地域ですので、巨大な風車が大量に増えていました。
未だにバードストライクの問題はありますので、野鳥の会の批判やそれに対する対策も必要ですね。

投稿: 山形 | 2012年5月17日 (木) 08時26分

一転して再稼働容認に走りそうな気がするのはなぜでしょうか。>>>>>
関西電力にとって、原発は、経理上、資産なのです。
不動産や設備として、会計上、資産計上している原発が、廃炉と決まってしまうと、関電の総資産の半分以上を特別損失で、財務処理することになります。
ですから、関電の株主も、関電自身も、金融機関、建築土木関係者、など、原発が、廃炉になれば、生活が成り立たなくなりますので、動かしたいのです。
(関電も国有化するか、JALのように、再生するかしかなくなるでしょうね)
やはり、目に見えない放射能を、遠いところから、見ていて、体で、理解できないことは、チェルノブイリ事故時に、どれだけの日本人が、今の福島、茨城県民ほど、危機感を感じていたかを、想像すれば、理解できると思います。原発が、40年間、細かい事故や放射能漏れがあっても、隠し続けていて、なんとか、安全のように、見せかけてきた期間がありますし、大阪万博以降、日本の原子力産業は、世界一安全かのように、洗脳してきましたので、若狭湾に、15基も、原発関連炉が集中しているのです。

日本一、原子炉が、集中している地域が、小浜近辺なんです。

東北同様、今は原子炉が止まってますから、原子炉関係の職業の方は、収入がなくて、生活できない。たまたま、田舎なので、野菜、米、魚がある分、生きることだけは、出来ているのでしょうが、1年経って、生活の見通しが立たないようになってきているので、リスクを承知で、動かしたいと思うのが、現地の人の半分は、居るのでしょうね。

名古屋大学でも、実験用原子炉を持っているのですが、果たして、学生が、危機感を持っているかと言えば、正直、だれも、危険だとは思ってないというのが、西日本の世論でもあるのです。

この温度差を、埋めない限り、見切り再稼動は、ありえる話なんです。今後、ずっと毎年1兆円づつ、輸入LNG代金を支払える状況には、ないのです。

もんじゅ、ふげん、など、コントロールできない、核施設があっても、県外に避難するとか、実害を受けてないので、甘くみている住民が、多いと言う事です。

投稿: りぼん。 | 2012年5月17日 (木) 08時50分

りぼん。様
その関電の最大株主は、大阪府です。橋下さんら維新の会が物議をかもしてます。
電源三法でがんじがらめなのは、他の立地自治体も同じです。
多いに潤ってそうな柏崎市では博物館や史料館といったハコモノ維持費が財政圧迫して、休館に追い込まれそうな勢いですし、
女川では寒村に突然降って湧いた漁業補償金で醜い争いが起こり、一家離散した漁師家族も多くおります。
北海道泊村などは予算の8割が原発関連予算です。一旦設置された地元自治体には、まさに死活問題です。
若狭湾エリアに限った話ではありません。


また、もんじゅはともかく、ふげんはすでに廃炉措置中です。これは全国の老朽原発の廃炉のモデルケースとして注目され続けています。

投稿: 山形 | 2012年5月17日 (木) 11時03分

追記
関東や東北にも実験炉ならあります。
東大はじめ、ちょっと騒ぎになった川崎市の市街地近くの東芝の施設などは典型です。

また「小浜市周辺」と書かれておるので、間違いとは言えませんが、小浜市には原発はありません。
大飯・敦賀などの至近の原発に囲まれていますが、小浜市は受け入れ拒否しています。


記事から離れすぎるので、これ以上はやめときます。

投稿: 山形 | 2012年5月17日 (木) 11時22分

今日の木漏れ日の写真と
ありんくりんトップの背景の、見守るような
葉から透けるお日様の写真が重なっていて、
やわらかな明るさに癒されています。

いつまでも眺めていられそうです。

 

投稿: 翠 | 2012年5月17日 (木) 21時16分

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