福島第1原発4号炉燃料プールの水位データ
価値判断と実体分析は違います。「こうなるべきだ」と、「こうである」は違います。
原子力や放射能問題を取り上げていると、そのあたりをゴッチャにして口角泡を飛ばしている人が多いのに辟易します。
たとえばこうです。「原発は危険だ」とそれ自体は正しい認識からスタートして、次に「絶対に危険なのだから原発を即時ゼロにしろ」といきなり飛躍します。
困ったことに飛躍したことに気がつきません。原発をゼロにするには現実にどうしたらいいのか、という合目的的思考回路がまったくないのです。
「放射能が危険だ」と思い込むと、どこからが危険な線量なのか、という範囲を判断しなくなります。ですから「ゼロベクレル以外の食品は青酸カリと一緒だ」となります。
そんな食品はこの世にない、といくら言っても聞きません。
「原発は危険」なのですから、今も危険でなければなりません。たとえば、福島第1原発4号炉は傾いているので必ず倒壊し、使用済み燃料がメルトダウンして、今度こそ東京も住めなくなる日が来ると堅く信じています。
なにか前世紀末に流行ったナントカの大予言風終末思想みたいですね。この人たちは、本当にそうなったほうがいいのかしら。
さて、4号炉の使用済み燃料プールのデータが出ました。傾いているといわれる4号炉が、本当に傾いているのかわかる実測値です。(欄外資料参照)
見取り図右の燃料プールの四隅の水位(*床面から水面までの距離)を計ったものです。(計測日2012年4月12日)
燃料プールは楯12m×横10mで、今でも水が溜められています。もし建屋が傾いていたのならば、四隅の水位に狂いが生じるはずです。
➎地点(南西隅)の水位・・・・468㎜
❻地点(北西隅) ・・・・468
❼地点(北東隅) ・・・・468
❽地点(南西隅) ・・・・468
このデータを見る限り、燃料プールは完全に水平が保たれており、従って建屋の水平は確保されています。
ただし、設計寿命23年を超えて既に33年間使用されていますし、事故当初の海水注入や、放射線の影響による劣化の心配は残ります。
現在、600ガルの震動(3.11の震動と同じ)に耐えるために鋼鉄材やコンクリートを基礎構造に追加補強しています。
私は4号炉の現状を楽観していません。危うい均衡を保っているだけなのかもしれないと思っています。3.11クラスの震災が襲った場合、再び惨事となるだろうと思っています。
しかし、だからと言って、なんのデータも証拠もないところで、危機のみを言挙げするのには与しません。
3.11から1年3か月たった今必要なことは、状況を価値観で潤色せずに、リアルに受け止めることではないのでしょうか。
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先日報道陣が入った時に計測のデモをやってましたが、意外にも見事にまっ平らですね。
下部に補強を入れた時にちゃんと調整しといたのかな?とも考えられますが。
いずれにせよ朗報であります。
投稿: 山形 | 2012年6月11日 (月) 07時30分
建屋が並行四辺形に歪んでるらしいけどね。。。。
投稿: | 2012年6月13日 (水) 20時10分
http://www.gengikyo.jp/db/fm/plantstatus.php?x=d
どうやら1000MWクラスの原発を優先再稼動したいらしいですね。
大飯3,4号機は、まだ、ましかもしれませんが、柏崎刈羽は、危険性が、かなり高いのでは?と、推測します。
理由は、1番よく、問題が起きて、その都度修復している、つぎはぎだらけの原発ですから。。
まあ、耐用期限を過ぎた原発をさらに20年動かすというのは、プラント設計者としても、想定外ですので、直接責任が取れないでしょうから、国民が、泣き寝入りすることになるだけですね。
投稿: りぼん。 | 2012年6月14日 (木) 15時44分