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2012年6月 1日 (金)

地域の定点で中長期的な測定活動が始まりました    リアルに放射能と向き合おう

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ありもしない放射能の幻影に怯えて瓦礫搬入反対を叫ぶ人たちと違って私たち「被曝地」農業者は、この1年有余、日常的に放射能と向き合ってきました。

彼らと違って、「あるかもしれない」ではなく、私たちの場合は間違いなく「ある」からです。だから、いやでも向き合わざるをえなかったのです。

瓦礫反対を叫ぶ人たちで一体何人が、自分の生きる土地に責任をもって、どれだけ汚染されたのか、あるいはされていないのかを「見える化」したのでしょうか。

瓦礫が怖いと大騒動を起こしながら、彼らの中で自ら宮城や岩手に赴き、汗をかいて震災瓦礫を測定をした人が何人いますか。

その上に立って発言している反対論者は、私が知る限り一名もいません。被害者づらして、噂と想像にだけに頼って被災地の人々を平気で傷つけているだけです。

あげくはデモ隊に妊婦がいるにもかかわらず、警官隊と激突するような行為を働き、「妊婦を襲う警官隊」といったキャンペーンを張るのですから、正気を疑います。

彼らに言いたいことは、調査なくして発言なし。想像の放射能に怯えるのではなく、現実を直視しろ、ということです。。

おっといけない、今日は瓦礫反対運動がテーマじゃなかった(笑)。

さて、昨日私たちは茨城大学と共同して、霞ヶ浦流域の畑、水田、ハス田と自然植生帯の測定会を行いました。

これは5年間、10年間のスパンでひとつの定まった地点で、定期的に測定をし、放射能汚染がどのように変化していくのかを調べる調査活動です。

これにはいくつかの目的があります。

まず第1に、放射能とリアルに向き合うために正確な放射能汚染数値の推移をデータベース化することです。

そして第2に、そのデータの集積の上に立って放射性物質の移行が少ない農法や、除染の方法を確立することです。

よく誤解されるのですが、今年から始められた測定活動は、去年段階のように農家が「農産物は安全です」とアピールするためにやることではありません

農産物の測定も未だ継続されていますが、1年たった今、更に地域の各所に定点を設けて、それを中長期的に継続的測定をすることの必要性がでてきました。

チェルノブイリ以降、欧州の広範な地域が汚染されましたが、その影響は長く残りました。

畑や果樹園は、比較的早く除染作業の効果が現れて放射線量は着実に減少しますが、耕さない山林は現状維持、湖底、あるいは海底には放射性物質が蓄積され続けて、年を経てむしろ増大する可能性があります

南ドイツでの知見では、約5年間、放射性物質の検出は続き、山林では初期被曝時のままでの状態が続き、湖沼などではむしろ累積し蓄積するために放射線量は増大することが知られています。

Photo

      (図表 茨城大学農学部フィールドサイエンス教育研究センター・小松崎将一准教授による)

現実の例を撮って放射性物質の推移のパターンをカテゴリー分けしてましょう。グラフは千葉県におけるミカン山と一般の畑、そして冬季に水を溜めて耕耘しない水田の三箇所を比較したものです。数値より分布パターンに注目してください

一番表土から5㎝まで、5~10㎝、10~15㎝、15~30㎝という各層で計測して、放射性物質がどのような拡散分布をするのかを調べています。赤がセシウム134、青が137です。(上図参照))

カテゴリー1[山林・固着タイプ] 左端のミカン山ですが、山のために地表を耕耘できません。すると、この場合、表土下5㎝までにセシウムの大部分が蓄積されて層を作っています。これが山林に共通する特徴です。

また放射線量も比較的高めですが、これは果樹の背が高いために、空中の放射性物質をトラップしてしまうからです。これと同じ現象は、竹林のタケノコでも発生しました。

カテコリー2[平地・畑・漸減タイプ] 中央のグラフにある平地の畑の例です。先の山林と違いトラップする樹木がないために放射線量自体が少ない上に、耕すことで各層に均一に希釈化されているのがわかります。

このように畑地は耕すたびに、粘土質や腐植物質、あるいは地虫や植物に吸着されて線量は減少の一途を辿ります。

カテゴリー3[平地・未耕起・固着タイプ] 右端の耕していない平地の水田ですが、未耕耘なためにミカン山と一緒で地表下5㎝にがっちりしたセシウム層ができてしまっていて、線量は低下しにくい構造になっています。

耕耘しないとこのセシウム層は壊れないのです。未耕起の平地の多くがこの状態だと推測されます。ただしこの場合は、平地のために放射線量は比較的少なめです。

ここにはありませんが、耕さない水田と違い耕した水田は2番目の畑と同様の均一化された放射線量分布になります。

カテゴリー4[湖底・沿岸海底・漸増タイプ] 湖底や海底はバックデータが不足していますが、徐々にセシウムが堆積されて増加すると予測されています。南ドイツの例では、5年目くらいまでは増加し、以後減少していきます。

このように、放射性物質は、その場所の条件によってでまったく違う挙動をするのであって、一律に空間線量を計測して、増えた減ったと言ってみても仕方がないのです。

測定器材は下のようなものを使用します。(同)Photo_2

左に見える筒がコア・ボーリングといって地下にポールをねじ込み、その中に溜まった土を採取して、105度で乾燥させて粉末化し、右のゲルマニウム半導体計測器でカウントします。

あたりまえですが、オモチャのようなガイガーカウンターとは精度がまるで違います。

扉写真で小松崎先生が後ろ向きで水田にねじ込んでいるのがこのコアというポールです。水田は楽ですが、畑や、耕耘していない土地は堅くて大変でした。ほんとうにご苦労さまでした。

このように、私たちは「放射能があること」と真正面から向き合ってきました。

「あるものをない」と言うのではなく、また逆に「ないものをある」というでもなく、リアルに放射能とつきあっています。

それが私たち農業者の作法だからです。

■写真 コアと格闘する小松崎先生。向こうにアイガモが見えます。

追記 アップ後に、セシウムの推移のカテゴリーわけを加筆しました。

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コメント

茨城大と農家さん頑張ってますねえ。
大変な費用とマンパワーかかることでしょう。
しかし、それでもやり続けて対策を模索し続けるしかありませんよね。

苦労の絶えないことでしょうが、頑張ってください。

地域の定点で中長期的な測定活動が始まりました    リアルに放射能と向き合おう
>>>>これは、大賛成ですね。

原発の影響が、まだ実態として、体験していない西日本地域とすれば、今の国のサンプリング方法や、県単位の規制や自粛など、正直、サンプル不足なり、試験サンプルの前処理の公表なり、たった1箇所、1食品の検査報告とネットでの発表では、安全かもしれないが、安心とは、思えないと言う住民は、多いですね。
だから、反対論者も賛成論者も、感情が先に立ち、論理的判断には、なっていないのです。

現実、NPO団体が、独自にシンチレーションメーターを購入して、測定しても、100ベクレルを超えることは、まれであり、すでに、3.11の水素爆発した状態から、1年経って、当時の汚染レベルがマスコミにより、刷り込まれていて、1年経った今の土壌汚染や空間線量とは、桁が変わってきてますけど、正直、そこまでの急激な変化を、都市住民は、知らされていないのです。

JAなり農業者が自前で、測定したデーターは、西日本では、公開されてません。

もともと、ヨウ素131の時点で、一切、30km圏内の汚染状況を発表せず、3ヶ月以上経ってから、測定を始めるとか、政府は、生物学的半減期など、いりいろなことを使って、事故の影響を過少評価しつづけてきました。

急性被曝死亡者が、存在しないということに、なっているので、非常に国発表データの信頼性が、ありません。

だから、ある意味、ゼロベクレルを求めるとしか、言えない住民も気の毒な面もあるのだと、思います。

すでに、米については、ブレンド米で、国産品と言う表記で、未検査米、もちろんセシウムの測定なしと言う商品が、昨年度の小売価格を、1~2割増しの価格で、売られています。全国の収穫量をみても、特定のブランド米でなく、庶民向けの単一米やブレンド米が、値上げが止まりませんし、JAS記載ミスとか、法令違反食品が、巧妙に出回っています。

大体、重金属混入についても、きちんと測定義務を課せられた管理型最終処分場すら、存在しませんから、政府は、現行法令上安全ですが、実際は、危険な食材が流通していますと正直に、言えば良いのですが、浄水場のホルムアルデヒド問題とか、築地市場の移転問題とか、名古屋では、帝人とか東レとか、薬品を多用する工場敷地内の土壌が、どれくらい汚染されているのかさえ、公表されていないのが、実情です。

つまりは、農民やJAに負担を掛けないで、本来の旬の農作物を、きちんと地域的にデーター公表して、政府が、これ以上、うそをつかないと、約束してもらわないと、信用できないと言う西日本の人間は、多いですね。

千葉の数箇所の市町村でのたけのこにセシウムが出たと言う報道だけで、千葉県産たけのこは、全部、出荷停止もしくは、自粛になってしまいました。この論法だと、海外からみれば、日本産農作物は、全部汚染されていると思われてもいたし方ないと言う情報発信を、政府やマスコミはしつづけてます。

そういう大本営発表が続く限り、販売量が、増えないのは、あたり前と思われても、仕方ないという部分もありますね。

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