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基地をカードとした沖縄関連予算の実態

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リアルに沖縄を知るために、沖縄に一体どのくらい国民の税金が投入されているのかを見てみます。

下図は、「内閣府沖縄総合事務局」という霞が関統合出張所が出した統計です。(ちなみに、こんな出張所は沖縄にしかありません。)

ここは、経済産業省、農水省、国交省など各種官庁の出先を統合した国家機関で、ここを通じて沖縄県には予算が配分されます。

普通なら、政府機関は各々の政策に応じて、自治体に配分するのですが、その枠を超えて「他県とは違う基準で手当てする特別な予算枠」(内閣府)です。

下図をご覧ください。(日経新聞那覇支局大久保潤氏作成による)

このグラフは沖縄振興事業予算の推移を表しています。面白いことに気がつきます。

Photo_2     (日経新聞那覇支局大久保潤氏作成による)

グラフ中央部の平成10年(1998年)が4713億円とピークとなって、徐々に減ってきており、現在は2000億~3000億円規模になってきています。

この1998年時の沖縄県知事は、一時はその権勢を「琉球王」とまで呼ばれた太田昌秀氏です。バリバリの革新知事で、存在感がこれほど濃厚な知事は見たことがありません。

皮肉にもこの沖縄革新勢力のシンボル的存在だった太田知事在任中がもっとも巨額の本土からのお金が流れ込んでいるのです

反基地を掲げて当選した反戦知事がしたことは、基地の見返りの増額だったわけです。基地を恒常化させるための「アメ」である振興資金を取れば取るほど米軍基地は居座り続けるのですが。

ここに基地をカードにした本土政府とのアメとムチの実態をかいま見ることができます。

■さて、この振興予算は、本土復帰した1972年から始まり、2008年度までの総額は、実に9兆4056億円という途方もない額に達します

これとはまた別枠で、基地に対する防衛施設庁がらみの軍用地代や地元交付金があります。地代だけで年間900億超です。

これを合わせた「沖縄関係予算」は、年間08年度で4393億です。これは県の自主財源の3倍に達します。

言うまでもありませんが、このように政府予算頼みの歪んだ予算構造を持つ県は沖縄だけです。

■また、政府補助金率が他県と違った算定基準に基づいています。公共事業に対する政府補助金率は、他の県では平均して5割ですが、沖縄県のみは9割以上の補助金率です。

具体的に、本土と沖縄県の補助金率を比較してみます。

・公立学校の整備                ・・・本土33~50% 沖縄県75~85%、
・国道、空港、港湾などのインフラ整備    ・・・本土55~70% 沖縄県95%
・河川改修整備                  ・・・本土50%    沖縄県90%
・農業関連基盤整備               ・・・本土50~70% 沖縄県95%

■この他に、税の軽減があります。これは本土復帰に伴う特別措置として長年継続されてきたものです。主だった税の軽減措置は以下です。

・泡盛やビールに対する酒税
・ガソリンなどに対する揮発油税
・地方道路税
・本土-沖縄間の航空燃料税
・観光業、情報通信業、電力会社に対する法人税

このうち酒税は、復帰から5年間の期限つき減免措置でしたが、7回延長して未だ続いています。

6回目延長をやった仲井真知事はこれが最後だと言っていましたが、おそらくまだまだ続くことでしょう。

おかげで、オリオンビールは2割、泡盛は35㌫安すくなっています。私個人の意見としては、これだけは廃止しないで頂きたいものです(笑)。

揮発油税が減免されていいるので、沖縄県のガソリンはリッター7円も安くなっています。これが沖縄のタクシーやレンタカーの安さの秘密です。

ちなみに隣県の鹿児島も種子島などの南西諸島も離島を沢山抱えていますが、この減免措置がないために逆にリッター40円高くなっています。

これ以外にも経済特区あり、大学や研究機関の誘致などありと至れり尽くせりですが、残念ながらこの優遇策は、本土の人はともかくとして沖縄県民すら知らない有り様です。

何かどこぞの空母や宇宙ステーションを作る国に出しているODAのようなものになりかかっているようですが、砂漠に撒く水のようなものが沖縄関連予算という伏魔殿なようです。

これについて国民新党幹事長であり、かつ沖縄県大手建設会社「大米建設」の副社長であった下地幹郎氏はこういっています。

「基地というムチに対する振興策というアメを主体的に受け入れてきたのは沖縄県当局であり、名護市当局だ。アメをもらったということは、(辺野古)移設実現に向けて努力するというメッセージを日米両政府に送っていることになる。」

今や与党の大幹部となった下地氏は、アメの食い逃げは許さんぞということのようです。

このような基地をカードにした「主体的にアメを欲しがる」体質が、今やアメなくしては生きられないようなモルヒネ中毒体質に変化しています

基地と引き換えに、経済界から官公庁、庶民までが県ぐるみで援助をもらってあたりまえになってしまっているところに、沖縄の病の深さを感じます。

この援助なくしては生きられない体質こそが、オキナワン・チルダイのもうひとつの顔なのです。

 

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コメント

うーん、賛否両論あるでしょうが、昨夜のNHK「探険爆問」での嘉手納基地司令官の言葉や、地元の方々との対話はなかなか興味深かったです。
難しい問題ですね。
実質、振興予算と基地依存無しに沖縄の経済は成り立たない。
米軍基地関連収入は全経済の5%だそうですが、大きいと取るか少ないと取るか…。
雇用に関しては相当大きいと思いますが。

また、掲示板などを見ると「米軍基地を変換させてサトウキビを植えればいい」なんて安易な意見がありますが、経済効果は遥かに下がります。しかも多くは農業特別補助金。
TPP参加となったら、ほとんど消し飛びますね。

投稿: 山形 | 2012年6月21日 (木) 08時16分

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