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« 放射能問題についての私の立場について | トップページ | 政府事故調が指摘する東電の不都合な解析歪曲と初動ミス »

2012年7月24日 (火)

福島第1原発事故の真犯人は誰か?

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国会事故調に次いで、政府事故調報告書も出ました。これで公式報告書は出揃ったわけです。

民間事故調から東電も入れて4番煎じです。いいかげん決定版が欲しいのですが、今回も裏切られました。

内容的にはほとんど新味はありません。菅首相の「過剰介入」が改めて批判されたことと、「事故の原因究明が未だ完全になされていない」ことが述べられているだけです。

いろいろ言いたいこともありますが、私は一点だけ触れておきたいと思います。

それは福島第1原発事故の最大の原因は何かという点が、いつの間にか菅首相という希代の愚人宰相ひとりにすべてを転化してしまっていいのか、という点です。

この事故を煎じ詰めると、全交流電源喪失という事態が原因です。地震によって外部電源全系統が遮断され、バックアップ電源までもが津波で破壊された結果、「冷やし続けられない」事態になったのが原因です。

東電報告書を読むと、盛んに巨大地震と津波をあたかも想定外の運命のように書いていますが、なにを甘えているのですか。冗談ではない。

ひとたび原子炉を稼働させれば、事業者として巨大津波がこようが、巨大地震がこようが、ヤリが降ろうがなんだろうが、原子炉を冷却し続けねばならない、これが「原子炉の掟」です。

そんなわかりきったことを今更「できなかったのは想定外だ」と言う。この無責任と無自覚には吐き気さえします。そもそも東電には原子炉を動かす資格がなかったことを自分で堂々と言って恥ずかしくないのかと思います。

では、この東電の無自覚の原因はなんでしょうか?

政府最高責任者の脳味噌がメルトダウンしていようといまいと、東電が逃げようと逃げまいと、原子炉が冷やし続けられていさえすれば事故に至らなかったのです。

しかし福島第1原発のMARK1BSRでは、非常用電源が米国と同じ仕様で平地にあったために、外部電源とバックアップディーゼル電源がほぼ同時に破壊されてしまうということになりました。

それは、福島第1原発のそもそも設計段階で「全交流電源喪失という想定外は起こり得ない」とした者がいたからです。

誰が?原子力安全委員会が、です。この「原子力安全委員会が」という事故原因の主語の部分を抜いて、理由を考えても意味がありません

1990年8月30日、原子力安全委員会はこのような文書を出しています。

長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧または非常用電源設備の復旧が期待できるので考慮する必要はない
(「発電用軽水炉型原子炉施設に関する安全設計審査指針」より)

つまり、安全委員会は初めから、「全交流電源喪失なんてあるわけないから考えなくていいよ」、と言ってしまっているのです。

しかも、この重大な一句をあらかじめ事業者たる東電に対して、規制する立場の国家機関である安全委員会がお伺いたてて、東電から「いいでしょう」というお言葉を頂戴して施行しているのですから、話にもなりません

どこの世界に、規制される側に「これで大丈夫でしょうか」と規制官庁が聞くバカがいますか?私はこの国に住むのがイヤになりそうです。

これが、国会事故調が言う、「ルールはルールで縛られる側が作る」という腐敗の構図です。

そしてこの安全委員会の責任者が斑目氏です。

斑目氏がやったことといえば、2007年に経済産業省「保安管理検討会WG」において、東電の意向を受けて従来の13か月以内という国内基準をフランス、米国並の18か月以内と24か月以内に引き延ばすことに尽力したのです。

結果、米仏並に改悪されたとたん、失笑することには今回の福島第1原発事故で氏の努力はすべて水の泡となりました。

斑目氏はまがうことなく「原子力ムラ」であり、東電の遣い走りでした。

しかも原因を作ったのみならず、官邸対策本部にいた「唯一の専門家」(政府事故調)でありながらなんの役割も果たせずに首相と一緒にバニくるという醜態を晒しました。

彼が委員長を務める原子力安全委員会、こここそが今回の事故の元凶です。

菅直人氏は、このような斑目委員長に補佐されたピエロに過ぎず、真の犯人は原子力安全委員会という規制当局にあると私は思います。

菅首相、枝野官房長官、海江田経産相、そして誰より斑目安全委員会委員長まで誰ひとりとして罪を裁かれることなくぬくぬくと権力の座にあることに、わが国の悲劇を感じます

彼らは、私たちの頭上に放射能を降らせた責任者として法的訴追を受けるべきです。

■写真 霞ヶ浦き船溜まりと月見草。霞ヶ浦、北浦にはこのような船溜まりが十数カ所あります。一番にぎやかなのはまだ夜も開けきらぬ早朝です。午後は案外のんびりとして、漁師さんたちが網の繕いなどをやっている姿が見られます。
湖の回りは初夏の翠一色です。この中に包まれるようにして私は毎日暮らしています。

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コメント

濱田 様

毎日の更新お疲れ様です。宮崎狂牛病の頃から拝見しております。何もたしにならないかもしれませんけど、微力ながら応援しております。

>これらが、菅首相、枝野官房長官、海江田経産相、そして誰より斑目安全委員会委員長まで
>誰ひとりとして罪を裁かれることなくぬくぬくと過ごしていられるところに、わが国の悲劇を感じます。

当方戦後の極東軍事裁判(東京裁判)の頃の時代背景と重ねて考えています。これについてはご存知のとおり未だに論議がありまして、当方実は否定的な向きですが、それにしても、もしこの裁判がなかったら、「敗戦責任者」について(いわゆる「A級戦犯」とは違う)、当時の日本政府は訴追処罰し責任をとらせなかった可能性が非常に高く、端的に言えば、どう考えても敗戦責任者である東條近衛両元首相等も天寿を全うしていた確率が非常に高かったでしょう。
かくして今の状況を当時に例えるなら、無様に負けた後に至るも東條近衛両氏や軍務官僚トップがのうのうとしているどころか、自分に責任はなかったと主張までしている状態です。東京裁判時ももしああいう形であっても東條氏以下が処刑されていなければ、今と同じで「アイツ悪いコイツが悪い」と不毛な責任のなすり合いが死ぬまで続いていたことでしょう。事実生き残ったトップが「なぜか」ほとんど訴追されず、絞首刑になった連中もいなかった旧海軍では戦後それがつい20年前まで行われていました。

以下空想ですが、国内でこのままなあなあで終わらせるのなら、東京裁判よろしく、「連合国」が責任者を訴追して処罰するためにわが国に乗り込んできて勝手に裁判を始めても当方は現状ではその行動を否定できません。

日本は、これだけの被害を与えた官僚も東電も国会議員も、誰も、刑事罰の対象にならないらしいというところが、実に不思議な国ですね。

福島第2も、女川も、相当、ダメージを受けたらしいのですが、まだ、具体的な報告書を見たことがありません。

少なくとも、電源喪失の交流電源の高圧鉄塔は、地震のときに、しっかりぐにゃりと曲がっていたようです。これは、第1だけでなく、第2もでしたが。。


つまり、地震がくれば、津波が来る前に鉄塔は、倒れてしまったと言う事実をなぜ、改善しようとしないのかが、私には、理解不可能です。

鉄塔の構造計算に関して、
http://blogs.yahoo.co.jp/srfch485/38950638.html
に記述がちょっとありましたので抜き出します

技術的統括は「日本鋼構造協会」という「国土交通省」管轄の学術研究機関が、設計指針などを出しています。
また「搭状鋼構造設計指針・同解説」という構造設計に関わる基準は「日本建築学会」から出版されています。
(中略)
 いずれの場合にも、送電線が切れるほどの引っ張り力を受けたり、直接飛来物(飛行機など)が衝突した場合の荷重に関しては、特段の設計をしません。(あり得ない事になっているのです)

ということで送電線が切れる程度の事でも鉄塔は倒壊してしまうという事みたいです。
ただ、この考え方は大型の「橋」とかでも使われているものではないかと思います。
首都高の大型の橋を見てみると、あのワイヤーが切れたらモタナイんじゃないかな?と不安になります。

送電線鉄塔に関しては、東北の山形・宮城では30年前に湿ったドカ雪による着雪の重みで新しいものが倒壊するという出来事がありました。
それ以降使用する鉄鋼の材質を変えるなどして1.3倍(記憶ソースですいません)に上げられました。
その後豪雪による被害はありませんが、ともあれそんな程度の話であり、今回のような地震による土台ごと崩れてしまってはどうにもなりません。
つまり震度6強もの揺れで長時間揺さぶられると脆いことが図らずも明らかになりました。

外部電源遮断に備えて、だからこその非常用ディーゼルであり、タービンであり、バッテリーという多重防護のはずだったのですがね…大変残念な結果になりました。

石和田さん

宮崎県において、狂牛病が発生したという事実は確認できません。隣県の熊本では、ありますが。
恐らく、「口蹄疫」の間違いであろうと理解しつつも、宮崎県の和牛繁殖農家である私には、どうにも看過できませんでした。
それだけのことです。失礼致します。

基本的に、ECCSなど、初期自動圧力容器緊急冷却システムなどは、売電、つまり、高圧鉄塔からの電源で、動くシステムなので、今の事故調の報告書を見る限り、売電高圧が、3時間程度止まるとメルトダウンがはじまることや、ドーナツ型のサプレッションプールの水が、2,000度以上の溶融燃料と接触すれば、あっという間に、水蒸気どころか、気化してしまい、格納容器の計算耐圧を越えることが、解ってしまっている状態で、バッテリーシステムでは、長時間、トルクのあるモーターを動かすことが出来ないし、ディーゼル発電機も、燃料供給が止まったら、地震に耐えても、おしまい。つまり、道路が破壊され、燃料がこなければ、おしまいってことで、それで、再稼動なんてするのかよ!って感じです。積雪の重みで、高圧鉄塔が折れたり、電柱が折れたりするのは、あたり前と思っている電力会社の考えがあって、つまり、適当に、弱いところが倒れてくれれば、復旧する鉄塔が、一部で済むから、そういう構造計算をしていると思えます。

ケーブルを、パケットクレーンで、引っ張るときに、アウトリガーを出しているのに、クレーンごと転倒したりすることも、普通にありますから、電線に、強風が当るだけでも、相当な力が、かかっているはず。

都市での給電は、多重ラインですので、電柱が、倒れても、ほとんど停電しませんが、わずかな時間で、メルトダウンすることが解った今、原発を冷温停止する電力と真水が、供給されないことが、わかっていて、再稼動する原発なんて、馬鹿じゃないの?って、感じです。
そういうことを言える連中は、科学者ではありません。学者は、学者らしく、正直でないと、学者ではないのです。

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