ハブ様には出会わないのが一番、もし遭遇してしまったら・・・
皆様がお嫌いなニョロニョロのお時間です。そうですか、頂戴したコメントを読んでやはり天を仰ぎました(←大ゲサな)。やっぱりヘビはダメですか。
多いんですよ。人類の半分、いや3分の2はダメなようです。その分、残りのヘビ好きはかなり偏愛モードの人もいるようです。
私はさほどではありません。怖くないと、よく見ればキレイではないかの間くらいです。本土でもヘビくらいは見ていましたが、脅威として認識したのは沖縄に百姓修行に入ったあたりからです。
僻村というのもおこがましい、ヤンバルの究極の過疎の村に就農してしまったのですが、電気が本島で最後に通った村などとニュースにされていたような場所です。
当然、そここに空家がありますわな。入り口が壊れていれば、つい入ってみたくなりますが、それはおよしになったほうがいい。その空家はハブ様ご一家のお住まいです。
梁の上に優雅にのたくってお休みになっているハブ様の眠りを妨げようものなら怒りの急降下爆撃に遭遇するはめになります。
というわけでせっかくですから、ハブ採りクチョーおジィの防衛法を伝授いたしましょう。
まず絶対原則。アブナイ場所には行かない。な~んだという人は呪われるでありましょう。思いつくままに危ない場所を書き出してみます。
・石垣・瓦礫・・・石の隙間におられる場合濃厚。見つけると部落総出で石垣を崩して捕まえてしまいます。
・空家・・・死にたければどうぞ。
・側溝・下水・・・こういう湿り気の多い場所は大のお好き。繁華街の下水にもいます。
・森の淵・・・涼しいところはたまりません。
・小川の近くの草むら・・・同じく。泳いでいるのを見たことがあります。
・木の枝・・・昼寝に最適。ポトっと落ちてきます。
・夜の道・・・夜道で枝をまたがないということをよくシマンチューは言います。
・床下・天井・・・理由は分かりますね。だから沖縄には忍者はいません。
・草むら・・・いかにもあぶなそうでしょう。やっぱりあぶないんです。
まぁ要するに、涼しくて、湿りけが適度にあって、身を隠す空間があるような場所がお好きなようです。
那覇の桜町という繁華街の側溝で2mの大物が見つかったことがあるそうです。繁華街は残飯を食う太ったネズミが沢山いるので、ハブ様絶好の猟場。ネズミ獲ってんだから、人間から嫌われる筋合いじゃないと思いますがね。
万が一、いや本島では万が千くらいでいるところにはいますが、ハブ様に遭遇した場合はいかがいたしましょう。
クチョーおジィからひとこと。「逃げるしかないねぇ」。そう逃げるしかありません。ただし、その場合なけなしの勇気をふるってハブ様をよく観察して下さい。
その時ハブ様がニョロニョロと道脇の草むらに逃げ込もうとしていたら、なにもしないで静かに見守ってやることです。これはハブにとって逃避・無害モードだからです。
逃げようとしているのに、こっちが棒で叩いたりしたたら、ハブ様は「なんでなんや」と反撃モードにスイッチしてしまいます。
反撃・攻撃モードに入った怒りのハブ様は本島における食物連鎖第1位だけある恐ろしさを見せます。
まずはそのデルタ・ヘッドを優雅にもたげてSの字に鎌首をもたげるでしょう。おお、これが亜熱帯最強のハブの攻撃準備態勢なのです。Sの字を軽く前後に振り子のように揺らす仕種は、間合いを測っているのです。
このSの字態勢のハブを見たら、ゆっくりと間合いを開けていきます。つまり逃げるんです。ただし、正面を向いたままでゆっくりと、ゆ~くりと後ずさりしてください。
間違っても後ろを向いてヒャーなどと叫びながら逃げないように。ハブ様はそのヘタレ声を合図にしてミサイルよろしく飛んできます。成体ならば軽く3~4m飛んできます。
ひとことで3~4mといいますが、実感で言うと、「えっこんなに遠くまで」というほどの距離ですのでお気をつけ下さい。
漫画だとシャーとかの擬態語がつきますが、まったくの無音。だからいっそう怖い。そして逃げようとしている足のフクロハギにカプッ。短パンならばそのまま一本。ジーパン程度でも牙は貫通するでしょうね。
その牙から、神経毒じゃなかった出血毒(南の島様ありがとう)が注入され、牙は引っかかったまま抜けなくなります。
この毒は消化酵素の一種でハブ様は食べる前に獲物を消化しておこうということなのだそうです。ですからジワジワとあなたは生きながら消化れさていくことになります。こわいぞぉ。
ま、それはオーバーで、噛まれた部分が壊死してやがて死に至るわけですが、今は血清治療が確立して100%助かりすます。だから、大急ぎで噛まれた部位の上の動脈を縛って、血清を打ってもらいに病院か、近所の家に駆け込まねばなりません。
ちなみに、沖縄北部の部落には必ず血清と注射器などの医療器具は常備してありますからご安心を。
■写真 わが村の風景。郵便屋さんが入ると絵になります。
■明日は臨時休業いたします。
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中々に厄介な生き物ですね!!(蛇好きの人には申し訳ありませんが)
今度沖縄に行く時は、今日の記事を頭に入れて行きます。
観光客が多いところには居ない事を祈っています。
涼しくて少し湿った所・・と言えば、鍾乳洞なんかには居ないのかな?
玉泉洞?行きましたが、「ハブ注意」の看板も見かけなかったし・・・
そうか・・那覇の市街にも可能性は有るんですね・・
でも心配していては何もできませんから、その時はその時で・・と言う事で、遊びに行きますよ!!
投稿: 北海道 | 2012年8月 6日 (月) 13時03分
管理人様をはじめ、蛇好きの方には申し訳ないのですが、私も蛇は苦手です。家の周りの草刈などをしている時でも、太い蔓などが目に入っただけで、その場所からダッシュして逃げてしまいます。今日の話なら、完全アウトの状態ですね。
何度か、沖縄に行かせてもらいましたが、幸いなことに、まだ実物のハブ様には会ったことがありません。
もし、遭遇したら、私はやっちゃいけないパターンをやりそうです。怖い。
投稿: 一宮崎人 | 2012年8月 6日 (月) 14時59分
御多忙の最中に恐縮ですが、ハブの「空間認識能力」について 御教示下さい。
私は南西諸島 奄美群島のハブ生息離島の民間病院にて、ハブ咬傷患者(ハブ患)の治療に従事していた者です。
実際にハブの行動(保健所にて 捕獲されたハブを用いた実験)を見ますと、S字 攻撃姿勢から 鼻先 2m先の獲物への飛びかかりは俊敏なのですが、実験的に 熱した軟式庭球ボールを 鼻の前で 左右に動かしても、捕捉に 若干の時差を感じます(ボールの動きに付いていけない・反応が若干 遅い)。 更に、真横より後方には 反応しないようです。
先生のHPの御報告には、3~4m先の獲物を 感知しているとのことですが、ハブの感覚認知範囲について、文献を調査しても、検索出来ません。
つきましては、ハブのピット器官の機能 ① 視野・視界(感覚出来る角度 上下左右に何度の角度の幅でしょうか・空間的 立体的な認知範囲) ② 捕捉可能な距離(ピット器官から認知可能な距離) について 御教示下さい。
あまみ便り では 360度とございます。また あるHPでは「ハブの全長を半径とする全周囲(360度)を 認識出来る」と 記載されております。
しかしながら、全周囲を ピット器官で感知しているとは、思えません。
また、ジャパン スネーク センターでは、0.003℃の温度差を感知出来ると記載されておりますが、捕食には 温度差よりも 3次元的な、立体的・空間的認識能力の方が重要と考えます。
『Nature』誌 2010年 3月14日に ガラガラヘビの感覚器官の分子 解明の記事では、「28℃以上の対象物を 1mの範囲で感知している」と記述されておりますが、分子の解明が主旨で 空間認識能力については この1行しか 触れられておりません。
ピット器官から どの位置に居れば ハブに発見されないのか…
ハブが生息する離島において、夜間に在宅訪問医療に従事するスタッフを ハブ咬傷から守りたいとの趣旨から 御質問させて頂きました。
ハブのピット器官の「空間認識能力と感知範囲」について、是非 御教示下さい。
何卒、御指導・御高配を賜りたく 御願い申し上げます。
投稿: Protobothrops flavoviridis | 2013年9月10日 (火) 20時40分
Protobothrops flavoviridis 様。今仕事が超多忙でして、お返事が遅れました。もうしわけありません。
私もその方(故人)から伝聞で、しかもかなり前から聞いたことなので正確なことは申しあげられませんが、彼はハブの跳躍力は、その長さの3倍ていどと言った記憶があります。
それはヘビ一般のものなのか、ハブ特有のものかわかりませんが、ハブを指して彼が言っていた記憶があります。
探知範囲に関しては、少なくとも何度かハブを捕獲したことのある私は、360度全周でハブが探知していることを前提に包囲しておりました。
投稿: 管理人 | 2013年9月12日 (木) 03時59分
先生の御指導・御教示に 心から感謝申し上げます。
年間 30症例~40症例の ハブ咬傷患者(略して ハブ患)の治療に従事しております。
6月と10月 ハブ咬傷は、22:30~23:30に集中します。ハブの活動時間と相関していると思います。
しかし、島では、ハブは「神」です。 余計なことをするから…と 思っております。 当初 ハブは 恐ろしく 大嫌いでしが、現在は、好きで好きで たまりません(捕獲されたハブを 保健所で見学させて頂いております)。
ハブのピット器官については、興味が尽きません。
医療の現場では、白内障メガネ・緑内障メガネで 患者さんの視野・視覚の「疑似体験」は可能ですが、ハブは、温度差を 色調(サーモグラフィーの如く )で 感じているのか… 真相・真実は ハブに聞くしか… 方法は ありませんね。
先生! ありがとうございます。 今後も、
何卒、御指導・御高配を賜りたく 御願い申し上げます。
投稿: Protobothrops flavoviridis | 2013年9月13日 (金) 21時04分
草地に放置されている家具とか板切れなどの下も、相当にヤバいですよ
投稿: | 2015年5月20日 (水) 11時48分