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米国熱波・バイエタ政策に非難の嵐

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「日本農業新聞」(8月21日)によれば、バイオエタノール(バイエタ)が米国で批判の的になり始めてきたようです。大変に遅いですが、まずはまっとうな反応でしょう。

国連食糧農業機関(FAO)のダシルバ事務局長は、「(米政府が)誤った対応を誤れば、(世界的な)食糧危機を招きかねない」と警告を発しました。

ダシルバ事務局長によれば、FAOは米政府に対して穀物価格の高騰を押えるためにガソリンのバイエタ使用量を義務づけている再生可能燃料基準(RFS)の適用を一時停止するように求めた、としています。

このような要請はFAOのみならず、米国内の畜産業界や食品業界にも波及しており、7月には上院において超党派でバイエタ使用基準の停止を求める書簡を米環境保護局(EPA)に送りました。

現状では、EPAは「農務省と協働で状況を注視する」と慎重姿勢にとどまっており、農務省サイドも「再生可能エネルギー投資に打撃になる」として同じく使用基準の見直しには腰が引けているようです。

これはオバマ政権が再生可能エネルギーへの転換による雇用創出政策の重要な柱としてバイエタを位置づけたことによります。

しかしこのようなテクノクラートの姿勢に対して、大統領選で「揺れる州」(スイングステート)と呼ばれる檄戦地はまさにこの熱波による干ばつ地域に入っており、この地域の畜産業者たちの声を頭から無視することは無理な情勢だとも伝えられています。

一方、バイエタ業界はオバマ陣営の重要な支持基盤であり、大統領陣営はこの対立の中でモミクチャにされているようです。

これは背景に、ブュシュ政権が2007年に始めたバイエタ政策により、バイエタ生産を当時の50億ガロンから一挙に350億ガロンに生産拡大する政策の流れがあります。

この目標に掲げた350億ガロンのバイエタを製造するためには実に122億ブッシェルものトウモロコシが必要となり、今の米国で生産されるトウモロコシ全量をバイエタに回してもまだ足りない馬鹿げた数字でした。

にもかかわらず、このバイエタ政策が単なる目標値ではなく、法的に再生可能燃料基準(RFS)として義務づけられたためにバイエタには多額の投資資金が流入し、今やトウモロコシを作ることは食糧生産ではなくバイエタ生産であるかのような倒錯した構図が生れてしまいました。

このバイエタ生産の急増による圧迫のために米国のトウモロコシ輸出余力はみるみる縮小し、既に2006年には輸出とバイエタが並び、翌年07年にはバイエタが大幅に上回り全体の27%を占めるまでになってしまいました。(下図参照 柴田明夫「水戦争」)

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今後、今年の記録的熱波のみならず、毎年のように繰り返される気象変動と水資源枯渇をもろにかぶる米国の穀物生産にとって、もはやバイエタなどという偽りのエコにうつつを抜かしている余裕はないはずです。

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