原発再稼働の前提に最大限安全基準と更新基準をおくべきだ
結局、なし崩し的再稼働が大飯原発3、4号機で始まってしまいました。このことは痛恨事です。
このような形で再稼働を認めてしまうと、今後も原発の再稼働問題が浮上するごとに日本は揺れ続けることでしょう。
電力の必要性と安全性という本来は対立するはずがない二項対立が生れています。
私は再稼働の条件は、菅前首相が思いつき的に言い出したストレス・テストなどではないと思っています。
ストレス・テストとは、原発の非常事態に対する余裕度をコンピュータを使って測るもので、再稼働の前提条件そのものではありません。
もし、その必要があったのならヨーロッパ諸国がしたように3.11位後直ちになすべきであったし、去年7月6日時点で稼働していた19基の原発をいったん停止させるべきでした。
それをせずに、玄海2、3号機の再稼働になってからストレス・テストを持ち出すということは、彼が得意とする政治的スタンドプレイだったとしか考えられません。
それはさておき、再稼働の前提条件はストレス・テストではなく厳格で万人が納得する安全基準です。
これはいままでの原発事故に対する基本姿勢あった「原発過酷事故は起きない」というファンタジーに立つのではなく、「原発過酷事故は起きる」という前提に立つものではなくてはなりません。
そしてこの原発無謬ファンタジーを未だ信奉している者たちは、一切の原発関連の規制当局はもちろんのこと、審議会などにも加えてはなりません。
彼らの影響力を徹底的に排除しないことには、新たな安全基準は誕生できるはずもありません。そのためにはしっかりとした政府の政治的決断が必要とされることでしょう。、
そして作るべき再稼働の安全基準はこのようにあるべきだと私は考えます。
❶原発施設に、史上最大級の地震、津波が襲来したとしても、それに耐えうる最大限の危機を想定した安全基準。
➋新たな活断層の発見、あるいは地震学の知見が発見された場合には、それを優先して取り入れる事が随時できる柔軟な更新基準。
実はこれは私のオリジナルではなく、日本最大の原発銀座をもつ福井県の発案です。このような徹底した安全基準を再稼働の条件とした場合、大部分の原発は再稼働が不可能となります。
特に南海トラフによる大地震が想定される地域での原発はBWR、PWRを問わずすべて廃炉とし、直ちに燃料棒の抜き取りと安全な場所への移動を行わねばなりません。
昨日の記事がらみでいえば、CO2排出問題には目をつぶって一時的に火力発電所のフル稼働でしのぎながら乗り切るしかないのではないかと思います。
■あすあさっては定休日です。月曜日にお会いしましょう。
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コメント
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これは同感ですね。
ストレステスト自体は1歩前進でしたが、耐震構造や老朽化・津波対策以外に、配管の減肉といった問題も調べようとすれば可能なことですから。
最近では地質学の面からも様々な報道が(今朝のNHKでも)ありましたが、あんなもん667年定贋地震(漢字これでよかったか?)堆積物を調べていた80年代に、バブルで開発の波が訪れ、東北大学の今村教授のところには連日「やーさん」から「余計な真似するなよ」との脅迫電話がかかってきたそうです。
これで20年は遅れました。
去年の津波浸水エリアは見事なほど一致してしまったわけで…教授は悔いています。
事故廃炉の福島第一に関しても、津波対策はともかく、以前から指摘されていた双葉断層の不自然な消滅が地図に乗ってます。ありゃ立地場所か近隣にに延びてると考えるのが妥当でしょう。
福井県では追加の地質調査を行うそうですが、徹底的にやって、情報公開してもらいたいです。
アマガエルさん、可愛い~!
投稿: 山形 | 2012年8月31日 (金) 12時09分