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2012年9月

ドイツ電力小売り事情 発送電・小売りの細分化と過当競争

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「脱原発を決めたドイツの挑戦」(熊谷徹)によると、ドイツには電気料金の乗り換えのための専門サイトまであるそうです。 

ベリボックスというそのサイトは、自分の郵便番号と年間電気消費量を入力するだけで電気料金の比較が即できてしまうそうです。 

便利というか、考えようによってはそこまでしないと電気を買えないのは不便というか、なんともドイツ人らしい民族性を感じてしまいます。 

脱原発はしたいが電気代値上がりはイヤダという方々にお勧めなのが、プリオシュトローム社の電気です。(下図)ここはこの数年、格安の自然エネルギーを販売して業績を伸ばしている会社です。

Photo_2                  (「脱原発を決めたドイツの挑戦」 熊谷徹)

ご覧のように1キロワット時あたりのCO2排出はゼロ、同じく核廃棄物排出ゼロとなっていますから、100%自然エネルギーということになります。

電力価格も前に出てきた「イエロー」が化石燃料も原子力も利用しているのに年間電力料金が776.21ユーロですから、安全な上にぐっと割安感があります。

なんでこんなに安いのでしょう?もちろんこれには種も仕掛けもあります。 電源の内訳まではおおざっぱな表示義務しかないため「排出ゼロ」電力=自然エネルギーの表記だけでは再生可能エネルギーとはかぎりません。この会社は北欧の水力発電からの電気を輸入しているのです。

大型ダム発電が自然エネルギーだと言うのはウソではありませんが、環境破壊を伴うために厳密には再生可能エネルギーの範疇には入りません。 ドイツの場合、そこは一括りにして「排出ゼロ」で済ましてしまっています。

また国産エネルギーの表示義務はないので、格安販売会社は外国からの買電が頼みの綱で、原子力はフランス、水力はノルウェイやスウェーデンなどに頼っています。

まぁいずれにせよ、日本の場合、外国との系統送電網自体がありませんからこのテは使えませんし、脱原発エネルギーに水力発電を入れてもいいことになると日本は電源比率23%の水力発電太国でもありますから、少々事情は違ってくるでしょう。

一方、多少高くても再生可能エネルギー、しかも国産じゃなければダメというこだわり脱原発派の皆さんには、マルクト・リヒテナウ社はいかがでしょうか。

先のプリオシュトローム社の倍の863.3ユーロ(約8万6千円)していますが、マルクト社はドイツ国内の再生可能エネルギーを優先して使用しているためどうしても高めになるようです。

このようなエコ電源のお墨付きは、「技術監視協会」(TUG)が与えており、ドイツ人はこの保証があると安心して購入しています。

もちろんすべての会社がつけているわけではありませんので、電気の素性を調べるのは実際はその会社を信用するしかないということになります。

というわけで、このように同じ自然エネルギーといっても2倍も価格差があるのですから、一口にドイツの自然エネルギーの価格はいくらと言い切れないのがお分かりでしょう。 

それはさておき、この会社もそうですが1000社超あるといわれる電力販売会社は文字通り「販売」だけで、発電所はおろかなと送電網すら持っておらず、大手電力会社から電気を卸してもらって小売りしている会社だそうです。 

私は送電会社が販売までしているのかと思っていましたが、ここまで発送電・小売りまでが徹底して細分化されているとは意外でした。 

まさに野菜や魚の代わりに「電気」という商品を売る小売り店ということになるわけです。このような電気小売り会社が、電力販売会社の大半を占めます。 

これらの店は全国展開しているわけではなく、「シュタットベェルケ」という地域売電専門会社だそうです。ちなみに発電会社も州ごと、送電会社も電力販売会社すら州ごとという場合が多いそうです。 

ということは、ドイツでは非常に狭い消費市場に電力販売会社がひしめきあっているということになり、こりゃあ過当競争になるであろうなという想像がつきます。 

ですから、安い電気への乗り換えも頻繁に行われているようです。連邦ネットワーク庁(BNA)によれば、電力を乗り換えた市民の比率は電力の自由化がはじまってから2年目の2000年には5%だったものが、2010年には3倍弱の14%に増えてました。

電力会社は替えていないものの同じ会社の安い料金体系に乗り換えた人は41%と半数近くに登りました 日本で電力自由化をした場合も、ドイツのように安さを売り物にする販売会社と、安全=脱原発エネルギーを看板にする会社に二分化されていくことが予想されます。

これでもメルケル政権は電力の競争が不足していると考えており、今までの解約通告期間を4週間からその半分の2週間に短縮する法律を通しています。 

これは、電気料金が再生可能エネルギー促進政策のための賦課金が原因で高騰してしまったことを、業者間競争を加速することで抑えていこうとするものです。

このように再生可能エネルギーの促進政策により高騰を続ける電気料金を、市場の自由化を加速することで乗り切ろうとしているようです。

日本のような旧態依然たる地域独占は批判の矢面に立たされていますが、その反面、東電などの電力会社は丹念な送電網の保守作業を徹底してきました。これが世界でもっとも安定して高品質な電力供給を生んだのも事実です。

一方ドイツのように、これほどまでに価格競争が激化すると、業者は必ず電力のクォリティを落としたり、儲からない新規の技術投資やメンテナンスを避けるようになってきます

米国では電力自由化の後に、元々送電網インフラが脆弱だったところに過当競争が加わって頻繁に停電が起きるようになりました。歴史的大停電もやらかしています。

ドイツで頻発する瞬間停電などのトラブルは、このような過当競争の副作用なのかもしれません。

■明日あさっては定休日です。月曜日にお会いしましょう。

■写真 盛夏の蓮田。秋風が吹くよにうになると花が枯れて実だけになり、それもやがて姿を消すと、収穫の季節に入ります。霞ヶ浦湖畔は日本一の蓮の産地です。

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ドイツ電力自由化の明と暗

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ドイツの電力システムでスゴイなというか、異質だなと思うのは、日本と違って電力供給会社を消費者が選べることです。 

実に電力供給会社は1000社超もあるそうですから、大口重要者以外は9電力会社以外の電気を買えない私たち日本人にはため息が出ます。 

これはドイツがEUの指令に従って1998年に電力の自由化をおこなったからで、そのために電力会社の地域独占が消滅しました。 

たとえば、バイエルン州に住む人はいままで地元の電気会社からしか買うことができなかったのに、今は北ドイツの電力会社を選択することも出来るようになりました。いわば、東京都民が九州の電力が気に入ったから買うことができるようなものです。 

電力の自由化と共に、いままでひとつだった電力料金はバラエティに富んだものになり、化石燃料や原子力を電源とする会社は料金が低く、再生可能エネルギーを取り入れる会社は高いという価格差が生じました 

その電源の内訳は開示が義務づけられており、電力料金票をみると使用電力量と料金以外ズラズラとさまざまな情報開示されています。これは連邦法で定められた情報開示義務です。 

情報開示はこんな具合です。
電力がどの電源から作られているのかの内訳
・1キロワット時に要したCO2排出量
・同じく核廃棄物の排出量
 

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上図は、現実のドイツの料金プランですが、一目でお好みの電源を供給する会社を選択できます。これはインターネットで選択でき、劇場のチケットを取るより簡単に電力会社を選ぶことができます。 

下図は、電力料金プランです。電源内訳によって大きく電力価格が違うことが分かります。

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ドイツ国内で安い電力価格で有名な「イエロー」という会社は、ヴェルテンベルク州の大手電力会社の子会社であり、その会社は半分以上を原子力によっていました。だから安いのです。 

このイエローも福島第1原発事故以後、再生可能エネルギーを拡大する方針をとったそうで、電力料金は値上がりの傾向にあります。 

下図はドイツの電力料金の1998年から2012年までの推移を見た表です。

このグラフの紺色の部分が発電・発送電コストです。この紺色の部分だけ見てください。1998年とさほど変わらないか、むしろ下がっているのがわかります。 

発電・発送電コストといういわば「実費」が変わらないのにかかわらず、電力料金を大きく押し上げているのは、その上に積み上がっている税金や再生可能エネルギー導入に関わるコストが大きくなったからです

2012年では家庭用では45%が、産業用では39%が税金・賦課金という異常な税負担が重い構造となっており、これが国民の大きな負担となっているのが分かります。家庭用では電気料金の半分が税負担なのです。

電力の自由化は脱原発政策と一体でした。結果、国民は情報開示と電源選択の自由という大きなプラスを得て、それに引き換えるようにして年々増える税負担と電力料金の値上げという重い荷を背負い込めばならなくなりました

脱原発の道は避けて通れないのが電力自由化問題です。これをどう評価するのか悩ましいことです。まずはドイツの先行例をケーススタディすることから始めたいと思います。

■写真 真夏の空に蓮の花。タイの人がわざわざ遠くから見に来るほどありがたい光景です(笑)。

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エネルギーの利用価値を判定する9項目+1とは

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マサチューセッツ工科大学(MIT)の舌をかみそうな名のテルツァキアン教授によるエネルギーの価値を判定する9の基準というリストがあります。(欄外参照) 

これはエネルギー源の利用価値を計るもので、「産出/投入比率」と合わせて使われているものです。 (産出/投入比率については欄外参照)
・関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-3.html

判定項目は以下です。 

汎用性      ・・・どんな用途にでも利用可能
量的柔軟性   ・・・微細にでも巨大にでも調整可能
貯蔵性・運搬性 ・・・自在に移動することが可能
ユビキタス性   ・・・時期と場所を選ばない
エネルギー量  ・・・面積・体積・重量当たりのエネルギー量
出力密度     ・・・時間当たりのエネルギー量
出力安定性   ・・・エネルギー出力の安定性
環境負荷    ・・・CO2や窒素酸化物・硫黄酸化物などの排出量
供給安全保障 ・・・産出地の政治的安定性

そしてこの9項目に、福島第1原発の過酷事故以後は10番目として「安全性」が付け加えられるべきでしょう。
 

欄外資料をご覧になっていただければ、分かりやすい表ですので、一目でそのエネルギーの利用価値が理解できると思います。

これで最高得点をかっ飛ばしているのが石油です。

石油は⑧の環境負荷でCO2を出すことと、⑨の安全保障という点が産地が世界の火薬庫のような中東湾岸ですので、これが低い以外は平均して高い利用価値があるとされています。逆に言えば、だからこそ現代エネルギーのチャンピオンになったわけですが。 

しかし今や、むしろその高い利用価値が故に投機マネーが流入したり、原油争奪の国家間紛争が起きたりして、そのつど原油価格が大きく変動してしまう欠点を持っています。その為に数度の石油ショックで学んだ先進各国は、石油依存経済から脱却しようとしています。 

原子力は、どんな用途にでも使えるわけではなく、また移動することなどはぶっそうなのでやめて欲しいので汎用性とユビキタス性に難点がついています。 

また環境負荷は福島第1原発事故以前はCO2が出ないことで高得点でしたが、今そのように思っているのは日本の環境省くらいなものでしょう。

環境省は経済産業省にならぶ陰の原発推進派で、放射性物質を汚染部物質指定しなかった致命的ミスのためにどれだけ「被曝」地の人々が泣かされたかは分かりません。そんな原子力推進派官庁が、新たに出来た原子力規制庁の上部組織というのは悪い冗談のようです。おっと脱線しました。

れはともかくとして、環境負荷もなにも、事故がいったん起きれば一国の3分の1が住めなくなる可能性が高いのですから、10番目に「安全性」という評価項目かあれば、原子力は最低最悪の得点であることはいうまでもありません。原子力に未来はありません。 

石炭はドイツの主要エネルギー源ですが、貯蔵性、運搬性、体積・重量あたりのエネルギー密度、出力安定性は高得点ですが、あまりにも窒素・硫黄酸化物やCO2の排出か大きく環境に負荷をかけすぎるために今後を期待できるエネルギーではありません。 

水力も出力密度と産地の安定はあるのですが、貯蔵出来たりするものではなく、どうしても巨大なダム施設を作ってしまうため環境負荷が高く、日本ではこれ以上の建設は無理です。(※小型水力発電所については後日詳述します。)

平均して特に大きな欠点が見当たらないのが天然ガスです。汎用性、貯蔵性、運搬性にはやや石油より落ちるものの欠陥といえるものは見当たりません。エネルギー密度、出力密度、出力安定性などのエネルギー効率は高い能力をもっています。クラスで二番目にできるおとなしい子というかんじです。

特に天然ガスは石油、石炭、水力で問題となる環境負荷が少ないのが特徴です。天然ガスは中東などのヤバイ地域に偏在することなく、豊富に世界各地に存在し、またCO2や酸化物の排出も少なく、化石燃料の中で最も良好な環境能力をもっています。

各国のエネルギー専門家の共通した意見では、天然ガスこそが21世紀のベース電源に成長するのではないかと熱く期待されています。

では、再生可能エネルギーですが、環境負荷が少なく(※ないわけではありませんが)、国内で生産されるという点を除けばすべての評価項目で「悪い」がついてしまっています 

これは再生可能エネルギー推進派のみなさんは不満でしょうが、客観的に見た再生可能エネルギーの位置は頭に置いていただきたいと思います。残念ですが、一国の主要ベース電源とするにはもっともふさわしくないエネルギー源だと評価されています。

ただしそれは全国共通のベース電源としてであり、そのように再生可能エネルギーを位置づけるべきではないのです。

私はいままで利用されず眠っていた地域のエネルギーを市民参加型で利用できる地産地消型エネルギーとして発展していくべきだと思います

ですからなおのこと再生可能エネルギーを活かすには、他のエネルギー源との組み合わせ方をどのようにしていくのかを工夫したり、どこに何を設置したら効率がいいのか、どのような地域送電網があるのかを真剣に考えねばならないのです。 

■写真 真夏の霞ヶ浦の河口です。もう、うだるように暑い日でした。そろそろあの猛々しい入道雲を見られないかと思うとほっとします。画面左手の川岸にちらっと白く見えるのは白鳥です。

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エネルギー源比エネルギー源ごとの産出/投入比率(EROEI)

・石油・天然ガス・・・20倍(米国)~100倍(中東湾岸)
・石炭      ・・・30倍前後
・原子力    ・・・20倍
(注・ただし廃炉・賠償コストなどを含むと大きく下がって10分の1以下になるのではないかと思われます。筆者)
・風力      ・・・10~20倍
・太陽光    ・・・5~10倍

(エネルギー・環境問題研究所 石井彰氏による)

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送電ロスを限りなくゼロに近づける超伝導ケーブルの実証実験が始まっている!

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「脱原発、脱原発」と呪文のように唱えていても怨敵退散とはならないので、リアルにどうしたらいいのかを考えています。だんだん農業ブログだか、エネルギーブログだかわからなくなりましたがお許しを(笑)。 

脱原発の代替エネルギーを考える前に、そもそも大量の電気が送電の途中で失われてしまっています。 

「2006年における日本の総発電量は1兆1611億kW時である。送電の距離によってロスの大きさも異なるが、日本全体では発電量の5%程度が送電時に失われているといわれる。送電ロスは約580億kW時と計算できる。100万kWの原子力発電所の発電量はフル稼働と考えて87億6000万kW時であり、580億kW時はその6.6倍である。つまり、原発の稼働率も考えると、送電ロスは10基分に近い。」
(ECO JAPAN 2011年7月4日 欄外資料1参照)
 

原発10基分とはおだやかでないですね。私はただちに廃炉とすべき原発を24基+活断層上にある原発と考えていますので、その半分弱の10基を送電ロスを解決するだけで停止に追い込めます。(欄外資料2参照)

この送電ロスの特効薬とでもいうべき技術が超伝導です。この新展開が福島第1原発事故直後の2011年6月に発表されたのはまるで天の助けのようです。 

超伝導現象の原理自体は思いのほか古いもので100年ほど前に既に発見されています。金属を絶対0(0K)度付近まで冷やすと電気抵抗がゼロになる現象です。抵抗がゼロになるのですからまさに夢の送電線材料です。 

これがなかなか実用化にならなかったのは、液体ヘリウムや液体水素で極低温を保持しなければならなかったからです。現実には長距離に渡る電線を液体ヘリウムで冷却し続けるのは技術的に困難でした。 

これが一挙に実用段階になったのは1986年に高温超伝導が発見されたからです。これは冷却と逆の高温の100K付近で超伝導現象が起きることが立証されたからです。 

するとセラミックと液体窒素で用が足りるということになり、一挙に実用化のめどが立ちました。今回の日本の超伝導電線はイットリウム系材料を用いて、管に数本の芯線を通し、管内に液体窒素を流すことで芯線を冷却する方式をとっています。 

また、電線として実用化するには、超伝導の臨界温度が高いだけでは不十分で、臨界電流や臨界電圧が大きくなければいけないそうです。この点、日本の基幹系送電線の電圧は世界最大の275kVなので電圧、電流ともに送電基幹系に耐えることが可能です。 

開発に携わった古河電工によれば、
「フランスのネクサンスによる138kVが最高電圧だったが、古河電工は記録を大幅に更新した。最大電流も3000A(アンペア)であり、新しい超電導線を使えば、1回線で最高150万kWの電力(最新式の原発2基分相当)を送れる」としています。
(同上)
 

この超伝導送電ケーブルは、再生可能エネルギーの最大の欠点である間欠性を補う広域スマートグリッドなどに応用できる技術に成長することが期待されています。

「自然エネルギーを利用していく上でも超電導技術に対する期待は大きい。太陽光発電を考えると、夜や曇りの日には発電できないし、電池に当たる日差しがかげれば瞬時に発電量は低下する。風力にしてもいつも強い風が吹いているわけではなく変動する。この変動を吸収して安定した電力を得るには、もちろん電池などを使う手もあるが、広域にネットワークを組み地域による変動を全体として平均化するという方法が考えられる。ただでさえ効率の悪い自然エネルギーである。送電ロスがあったのでは広域のネットワークもロスが目立つようになる。広域ネットワークによる安定化を考えると超電導は欠かせない。」
(同上)
 

送電線以外にも、モーターなどへの応用も試験されており、実用化は時間の問題だと思われます。

コスト的には、この古川電工以外の超伝導ケーブルのメーカーである住友電工と昭和電線が既に米国で実験に供しています。それによれば

「2006年に米国ニューヨーク州で行われた商用送電網の実験にもケーブルを提供した実績がある。現状では超電導線の生産コストは銅電線の2倍程度だが、今後の量産で30%ほどコストを引き下げることができるとしている。」
(同上)

古川電工のコスト試算は分かりませんが、住友電工と昭和電線に近い数字になるのではないかと思われます。いずれにせよ、それによって得られる送電ロスの損失分を考えれば十分にペイするのではないでしょうか。

政府はこのような新しいエネルギー技術に思い切った投資をすべきです。

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資料1 自然エネの利用拡大にも欠かせない超電導技術が花開く
ECO JAPAN 2011年7月4日
 

 「古河電気工業が世界最高電圧である275kV(27万5000ボルト)に耐えられる超電導線を開発した」という記事を掲載したのは、2011年6月21日の日経新聞朝刊である。記事によれば、これまではフランスのネクサンスによる138kVが最高電圧だったが、古河電工は記録を大幅に更新した。最大電流も3000A(アンペア)であり、新しい超電導線を使えば、1回線で最高150万kWの電力(最新式の原発2基分相当)を送れるという。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託による研究成果で、研究費は3年間で2億9000万円であった。 

送電ロスを大幅に減らせる 

 超電導は金属を絶対0度(0K)付近まで冷やすと電気抵抗がゼロになる現象で、約100年前に発見された。1986年になってセラミックスの超電導現象が発見され、87年には世界中で高温超電導ブームが起こった。なぜ高温かといえば、それまでの金属超電導材料は液体ヘリウムや液体水素の極低温まで冷やさないと電気抵抗が0にならなかったが、セラミックスは液体窒素で間に合う100K付近で超電導になるという特色があったからだ。 

 このブームで様々なセラミックス超電導材料が見つかった。その代表格がイットリウム、バリウム、銅、酸素からなるイットリウム系材料と、ビスマス、ストロンチウム、カルシウム、銅、酸素からなるビスマス系材料である。冒頭の古河電工が採用したのはイットリウム系の材料である。 

超電導には、電気抵抗が0になる温度(臨界温度)、超電導状態が破壊される電圧(臨界電圧)、超電導が破れる電流(臨界電流)、同じく磁場(臨界磁場)といった概念がある。電線として実用するには、臨界温度が高いだけでは不十分で、臨界電流や臨界電圧が十分に大きい必要がある。日本における一般の基幹系送電線の電圧は275kVであり、古河電工の成果は電圧、電流ともに基幹系に使用できる性能と考えられる。 

 超電導の電気抵抗が0とはいえ、超電導線に交流を流せば、発生する磁場との関係で多少のエネルギー損失がある。その損失についても、1mあたり0.12Wとこれまでの世界記録(0.23W)を半減した。 

 超電導線を手がけるの主力は電線メーカーである。ここ1年間程度の間に、超電導関係で報道された電線メーカーは、古河電工のほか住友電気工業、昭和電線ホールディングスの2社で、筆者が調べた範囲ではフジクラの記事はない。 

 2010年8月16日の日経新聞朝刊は、東京電力と住友電工、前川製作所が送電用の新たな超電導線を開発し、東電の旭変電所(横浜市)で実証試験を行うと報じた。開発した超電導線はビスマス系の材料を使っており、直径15cmの管に3本の心線を通し、管内に液体窒素を流すことで心線を冷却する。 

 ケーブル自体は住友電工が製造し、冷却システムは前川製作所が担当する。長さが30mのケーブルを試作し住友電工の試験場で通電試験を終えている。2010年度中に250mの実証試験用ケーブルを製作し、旭変電所の66kV送電設備に取り付け、2011年11月から1年程度をかけて性能を確かめるという。 

冒頭の古河電工に関する記事は、世界の超電導線メーカーの開発状況を表にまとめており、それによれば住友電工のケーブルの送電能力は66kV、5000Aで57万kWとなっている。 

政策も重点的に支援 

 さらに2010年11月25日の日経新聞朝刊は、住友電工と昭和電線ホールディングスがそれぞれ、2011年から超電導線の量産を開始すると伝えた。住友電工は大阪製作所のビスマス系超電導線生産能力を年間1000kmまで上げるという。同社は中国向けに40km分のケーブルを納入しているし、2006年に米国ニューヨーク州で行われた商用送電網の実験にもケーブルを提供した実績がある。現状では超電導線の生産コストは銅電線の2倍程度だが、今後の量産で30%ほどコストを引き下げることができるとしている。 

 一方、昭和電線は相模原事業所内に量産設備を稼働させ、高出力モーター用のイットリウム系超電導線を製造するという。昭和電線の投資額は約10億円だという。  

 2011年6月2日の日経新聞朝刊は、電力の安定供給に向けた産業構造審議会の企業向け支援策について報じた。支援をする分野として、「太陽光発電システムの効率を3倍にする技術」「軽量プロペラや浮体式構造を使う洋上風力発電技術」などとならんで、「超電導技術を応用して送電時の電力損失を現行の10%程度まで引き下げる技術」が支援の候補として挙がっている。政府のお墨付きを待つまでもなく、超電導は省エネルギーを進める上で大きな期待を背負う技術である。 

2006年における日本の総発電量は1兆1611億kW時である。送電の距離によってロスの大きさも異なるが、日本全体では発電量の5%程度が送電時に失われているといわれる。送電ロスは約580億kW時と計算できる。100万kWの原子力発電所の発電量はフル稼働と考えて87億6000万kW時であり、580億kW時はその6.6倍である。つまり、原発の稼働率も考えると、送電ロスは10基分に近い。送電網に超電導を導入する意味は極めて大きい。 

 さらに、超電導線を送電施設だけでなく、モーターや発電機に応用すれば、無駄な発熱を極めて低く抑えることができ効率は大いに向上するだろう。今後普及すると見られる電気自動車のモーターなどを超電導化すれば効果も大きい。 

 多少古い話になるが2009年6月6日の日経新聞夕刊は、IHIが住友電工と協力して超電導を利用した舶用モーターを開発したと報じた。記事によれば普通のディーゼルエンジンに比較し、燃料消費もCO2排出量も25%削減できるそうだ。 

 自然エネルギーを利用していく上でも超電導技術に対する期待は大きい。太陽光発電を考えると、夜や曇りの日には発電できないし、電池に当たる日差しがかげれば瞬時に発電量は低下する。
風力にしてもいつも強い風が吹いているわけではなく変動する。この変動を吸収して安定した電力を得るには、もちろん電池などを使う手もあるが、広域にネットワークを組み地域による変動を全体として平均化するという方法が考えられる。ただでさえ効率の悪い自然エネルギーである。送電ロスがあったのでは広域のネットワークもロスが目立つようになる。広域ネットワークによる安定化を考えると超電導は欠かせない。 

 1986年に始まった高温超電導の開発だが、ここにきてようやく本格的な応用の時代に入ろうとしている。福島原発の事故による電力不足や原子力発電に対する人々の不安が日本の電力システムに大きな影響を与えることは間違いない。そんなときに、超電導技術が花を開こうとしている状況は、明るい話題の一つになるはずである。 

■資料2 現時点で30年から40年以上稼働している原発は以下です。 

敦賀1・・・41年
美浜1・・・40
美浜2・・・38
島根1・・・37(markⅠ型)
高浜1・・・36
玄海1・・・35
高浜2・・・35
美浜3・・・34
伊方1・・・33
大飯1・・・33
福島1-5・・32(markⅠ型)
東海2・・・32
福島1-6・・・31
大飯2・・・31
玄海2・・・30
計  ・・・15基・・・①
 

これら15基は政府基準に沿って即時廃炉とすべきです。
また福島第1原発と同型の欠陥機であるmarkⅠ型は以下です。
 

敦賀1
島根1
福島1-5
女川1
女川2
女川3
島根2
浜岡3
浜岡4
志賀1
東通1
計   ・・・11基・・・②
 

①+②=26基(ただし重複2基で24基) 

これで日本の原発の約半分は現時点で既に稼働停止となります。

 

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「安全・安定・安価」なエネルギー源で賢く「節電」しよう

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こず様からこのようなコメントを頂戴しております。ありがとうございました。 

「(前略)私が今一番大事と思うのは、使わないという選択。
IH、食洗機、電気ポット、ドライヤー、掃除機etc
熱エネルギーに、動力エネルギーに係る電気ってすごく無駄に思えてなりません。」
 

このこず様に対して、あるコメントには「原発がそれでやめられる」というようなものもありました。 さて、そうなんでしょうか。

私はこず様の意見にはちょっと違うものを持っています。
お気持ちはよく分かるし、私自身、すべての電灯をLEDに交換したり、電熱関係の家電はかなり前から使っていません。今は電気炊飯器の保温すら使用していないほどです。
 

この「電気を愛おしく思う」という感情は、私が15年前に太陽光発電を取り入れた時からでした。あれ以来、我が家には「電気の無駄遣いはドロボーの始まり」という標語があるほどです。 (笑)

しかし、それも3.11では無力でした。実に4日間電気なしの生活を味わいました。暗いのは平気ですか、特に参ったのは水です。電気がなければ、水も汲めません。うちは井戸だからです。モーターが動かなければ、水一滴でないのです。私たち人間はともかく、家畜が死んでしまいます。 

風呂の水を使い、近所の風呂水まで分けてもらい、もうテがなくなって川で水汲みをするはめに。バケツを持っての急斜面の上り下り、腰に効きましたね(笑)。 

そして大停電に続いて待っていたのは、あの節電の長い「暗くて暑い夏」でした。これを今年もやってしまい、とうとう2年目の「長い夏」となりました。

だから、はっきり言えます。もう消費サイドの節電には先が見えている、と。 

さて、現代文明は高度に工業化され、都市部への人口集中がなされています。農業すらその例外ではありません。農業は今や機械化が行き届いています。 

世界人口約70億人のうち半分の51%は都市に居住し、先進国ではその比率が高まり日78%が都市生活をしているといいます。

エネルギー問題は、とかく「原発稼働か、脱原発か」というひとつの判断軸で語られがちですが、この世界人口の半分が都市に生活していて、エネルギーの一方的消費者であるという厳然たる事実から始めなければ空論ではないでしょうか。 

たとえば、都市生活を支えるためには「動脈系」、「静脈系」、「循環器系」が必要てす。都市に食料や水を供給するには自動車や鉄道が必要ですし、そのための交通、通信インフラも必要です。 

健康な都市生活を営むためには、上下水道がなければなりません。大量に排出されるゴミの処理施設も動かさなければなりません。 

一方、都市生活を支えているのは、私たち農業部門です。農業は毎日膨大な野菜、肉、魚を都市に送り届けています。 

これには、先に述べた道路インフラが必須ですし、生産自体にも大量の化石燃料を用いています。ハウス栽培は重油を焚きッ放しですし、水をくみ上げたり、田畑に水をやる水利・灌漑にはたくさんの燃料が必要です。 

第一、田畑を人力で起こす農家は皆無でしょう。トラクターや収穫のためのコンバイン、選別作業の器械などには大量のエネルギーが必要です。私自身は使いませんが、化学農薬や化学肥料はそもそも石油化学の副産物です。

つまり、現代世界の工業化と都市への集中という二大条件を支えている基盤は、ほかならぬエネルギーなのです。ですから、「電気」という命綱を切られれば、一瞬にしてその場で停止し、そしてたちまち腐り始めます 

それが好むと好まざるとに関わらず、エネルギー依存、いやエネルギー中毒患者となってしまった現代文明の姿なのです。これはいい悪いの価値判断ではありません。現実なのです。 

これは3.11以降、ゆっくりと転換していくことでしょう。こず様のおっしゃるようにエネルギー低消費型生活、あるいは自らもエネルギーの一部を「耕作」していくライフスタイルも生まれてきつつあります。 

製造部門も、消費部門よりいっそう困難でしょうが徐々に低負荷、低エネ消費型に向かいつつあります。ただし、時間はかなりかかると思いますが。 

しかし残念ですが、これらの需要サイドの節電によるエネルギー消費低減には自ずと限界があります。なぜなら、需要サイドよりも、エネルギー供給サイドのほうがエネルギーロスが多いからです。 

たとえば、総発電量の5%もの送電ロスが出て、それだけで実に1年間約4587億~580億kWkの損失となるとのことです。100万kW級大規模原発の実に6基分~10基分にあたります。これを直流超伝導送電網に替えていけば巨大な「節電」となります。
送電ロスと超伝導送電網については明日記事で詳述します。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-bcef.html 

またもうひとつ見逃されやすい要因は、エネルギー源の発電コストです。これを下げるだけで、投入したエネルギーのロスは激減していきます。

それを知るにはエネルギー源ごとの産出/投入比率(EROEI)が評価方法として世界的に使われています。

これは産出されるエネルギー量を、そのために投入されるエネルギー量で割って求められます。ですから、この比率が高いほどエネルギーロスが少なく、低コストで価値が高いということになります。

誤解されそうなのであらかじめお断りしますが、これは太陽光発電でよく言われる転換効率のことではありません。 転換効率は太陽光の発電効率にすぎず、産出/投入比率は、機器の製造コスト、輸送・設置コスト、排出・環境負荷まで含んでいる概念です。

これを提唱しているマサチューセッツ工科大学(MIT)のピーター・チルツァキアン教授はこう述べています。

エネルギー源の価値を決定するすべての要因の中で、最も重要なのはそのエネルギー源が獲得するのに必要なエネルギー量と、そのエネルギー源が持っていくエネルギー量との比率、すなわち産出/供給比率である。」

エネルギー源ごとの産出/投入比率(EROEI)

・石油・天然ガス・・・20倍(米国)~100倍(中東湾岸)
・石炭      ・・・30倍前後
・原子力    ・・・20倍
(注・ただし廃炉・賠償コストなどを含むと大きく下がって10分の1以下になるのではないかと思われます。筆者)
・風力      ・・・10~20倍
・太陽光    ・・・5~10倍

(エネルギー・環境問題研究所 石井彰氏による)

この数値は、石井氏が断っているようにあくまでも推定値であり、どこに立場を置くかで偏りがでます。しかし、大きな目安になります。 

石油や天然ガスの倍率が高いのは、自噴するからです。掘ってしまえば、あとは自分の内圧で湧き出してくるからです。だから、石油は政情不安な中東に強く依存しつつもエネルギー界のチャンピオンの位置はなかなか揺らぎません。

この比率をみれば、1のエネルギーを産出ために、再生可能エネルギーは石油の5倍から10倍のエネルギーを投入せねばならないことがわかります。

私は、今後のエネルギー問題はこの産出効率とコストを視野にいれなければ空論だろうと思います。ただひたすら消費者にプレッシャーをかけて、節電漬けにするのが良策だとは思えません

賢い「節電」は、家庭や街を暗くすることでも不便にすることでもなく、「安全、安定、安価」なエネルギー源を選択することなのではないでしょうか。

■写真 真夏の湖岸を走るランナー

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ドイツ「シュピーゲル」誌 電力網の不安定が企業に重い負担を強いています

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再生可能エネルギーは大規模に全国的エネルギー源に組み込むと多くの問題を起こしてしまいます。

それは再生エネルギーが間欠エネルギーだからです。その本質的性格を無視して一挙に大規模化すると、電力網に多くのひずみが生じてしまいます。

そのひとつが瞬間停電です。瞬間だからいいという人は製造現場の現実を知らない人です。今のすべてコンピータ管理になっている製造工程では、ミリ秒単位の停電で、工程が損傷を受けてしまいます。製品すべてがダメになるケースもドイツではありました。

家庭用PCですら、瞬間停電したら今していた仕事が瞬時で消えた経験をお持ちでしょう。あれを数百倍したようなものです。

その原因は、再生可能エネルギーが、昨日の発電量グラフの4番目のように慌ただしく変化する場合、バックアップ電源とのリレーがうまくいかずミリ秒(千分の1秒)単位の停電を引き起こしてしまうからです。

ドイツの「シュピーゲル」誌はこう述べています。
ドイツ産業エネルギー企業 (VIK) の調査では、過去3年間にドイツの電力網の短い中断の回数は 29 %です」。

ドイツ「シュピーゲル」誌によれば、ドイツではメルケル首相の脱原発路線により、昨年から7基の原子炉を止めて以来、送電網が不安定な状態が続いています。

この3年間で、電圧や周波数の変動、瞬間停電などが30%ほど増加しました。安定した電力供給の質が低下したために製造業は混乱しています

企業の大部分は緊急用蓄電池や発動機を準備しており、その費用も多額に昇ります。

その緊急対策をとっても、ミリ秒といった瞬間停電は避けられず、コンピュータ制御の機械が工程の途中で停止したために製品をオシャカにすることもたびたび起こっています。

ドイツからは既に企業の海外逃避が始まっており、この状況が改善されないとこの傾向には歯止めがかからない状況です。

ドイツ商工会議所のアンケートでは、60%の企業が瞬間停電や電圧変動などを恐れていると回答し、電力供給の不安定さからドイツ国外へ工場移転した企業がすでに9%、さらに移転計画中が6%ほどあるということです。

瞬間停電など、放射能禍と較べたらという暴論があるようですが、違います。もし、脱原発をしたいのなら、このような具体的問題をひとつひとつあらかじめ検討して、解決案を作っておく必要があります。

それを見ないでムード的に 再生可能エネルギーを増加させるとドイツのように産業全体ののベースが揺らぐということです。

再生可能エネルギーは小規模なスマート・コミュニティの中で、あらかじめバックアップ電源を決めて、どのような組み合わせがいいのか、どんな電源連携があるのかを実験してから、徐々にそのようなスマートコミュニティを増やして、互いに連結させていくようにするのが無理がないのではないでしょうか。

以下、私の超訳的抄訳ですがお読みください。

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本文はこちらからInstability in Power Grid Comes at High Cost for German Industry (電力網の不安定さがドイツの産業に重い負担を強いる)

From DER SPIEGEL

エネルギー革命のしゃっくり

電力網の不安定さがドイツの産業に重い負担を強いる

ドイツの電力網の突然の変動が大きな損害を工業に与えています。企業の多くは独自の発電機を持つことで対応していますが、企業や政府か速く問題を解決しなければならないことを警告します。

それはハンブルクの金属製造工場ノルスク・ハイドロ社で起きました。
突然、アルミの
圧延機が突然引っかかると生産を停止しました。引っかかった部品は、製造機械を壊し、工場の一部までも破壊しました。これは、電力網がほんの一秒の何千分の1の間停電したためです。
結局、作業員はアルミの圧延機を再起動できませんでした。この故障による被害は、1万ユーロ(100万円)でした。昨年からの被害額は50万ユーロ(5千万円)を超えています。
この工場は電力網の不安定さを独自電源でバックアップするために150,000 ユーロかけて緊急用電池を設置しています。

「もしこのような事故が再度生産中にしれば、火災につながった」と工場長アクセル・ブランドは言います。

「それは本当に高価な代償だ」。他の産業の企業の最高幹部は、再生可能エネルギーへの国の移行の結果の電力網の不安定から開放されることを真剣に考えています。

「電力供給について心配ではない会社ほとんど見つけることができません」とヨアヒム ・ ファイファー(国会議員、経済政策スポークスマン)は言います。

ドイツ産業エネルギー企業 (VIK) の調査では、過去3年間にドイツの電力網の短い中断の回数は 29 %です。

同じ期間にサービス障害の数は 31 % に達しました。それらの障害のほぼ半分で生産停止になっています。そして損害賠償額は1万 ~ 数十万ユーロです。

電池および他の緊急エネルギー源の生産者はこの電力網の混乱から最も恩恵を受けています。

APC は、世界の主要メーカーの緊急電源技術の販売をしてがけていますが、この 3 年間で年に 10 パーセント成長しています。

バイエルンでは、多くの繊維企業が停電を恐れて予防措置を取っています。生産停止は彼にとって致命的だからです。
「我々の工場は染色メーカーです。電源が切れた場合は、商品のすべてが失われてしまい、巨額の損失を受けます」と工場長は言っています。

主要な銅生産者では、電力の緊急事態に対応するために200 万ユーロも費やしています。「電力網の安定性が著しく改善されない場合は、私たちは緊急電源装置だけでこれから来る冬に頼らなければならない」と述べました。

ファイファー議員(キリスト教民主同盟・CDU)はこう言います。
「我々が安定した電力網を保証できない場合は、長期的には、ドイツ企業は国を出て行きます」。「ドイツは産業の中心地ではなくなるのです」。

■明日あさっては定休日です。月曜朝にお目にかかりましょう。

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「JAXAの資料」氏にお答えして 技術だけでは再生可能エネルギーの「間欠性」の本質は変えられない

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私を「告発」すると言っていた「JAXAの資料 」という方からIPアドレスを替えてまた投稿が来た。いやなんと、アク禁にしたのに・・・(絶句)。

この粘着ぶりに敬意を表してというか、根負けして少々お相手する。コメント内容は欄外に転載しておいたので参照していただきたい。

まず、このテの人にありがちなのは、投稿した相手の記事をきちんと読んでいないことである。ざっと斜め読みして、気に食わない点を根掘り葉掘りつつく、きっとたまらない優越感が味わえるのだろう。

私は再生可能エネルギーの技術的な側面などほとんど書いていない。唯一書いているとすれば、再生可能エネルギーが本質的にもってしまう「限界」と、入り口戦略の制度の問題点との絡みにおいてだけだ。

では、再生可能エネルギーの「限界」とはなんだろうか?いままで私のブログにおつきあいいただいた方には耳にタコだろうが、それは定常性がないということに尽きる。

浮島太陽光発電所 2012年3月21日の発電量浮島太陽光発電所 2012年3月17日の発電量

上図は浮島太陽光発電所の1日の発電量推移のグラフである。http://www.tepco.co.jp/csr/megasolar/ukishima/index_data.html (クリックすると2番目以外はグラフ画像が出ます。)

この3月21日をサンプルにとったのは春が太陽光発電にとってベストシーズンだからだ。夏の高温になるに従って発電効率は低下する。冬は曇天が続くので発電量が伸びない。

この日は天気がよかったために発電量は好調に伸び、11時から13時をピークにしてきれいな曲線を作っている。太陽光発電の理想型といってよろしかろう。しかし、6時前にはまったく発電しておらず、17時以降も発電がないのはわかるだろう。

次にその下2番目のグラフを見てみよう。この日は雨だったために発電はまったくしていない。発電量は21日の30分の1にまで落ちてしまっている。

浮島太陽光発電所 2012年3月19日の発電量浮島太陽光発電所 2012年3月22日の発電量

次に上の3番目のグラフは天候か途中から曇りに変化した場合を表している。この3月19日の発電量推移を見ると、12時から曇天か雨になったようで一挙に発電量が急降下してしまっている。

その下4番目の図は、調子がよかった好天の21日の翌日の22日だか、天候がくるくる変わったようでデコボコの発電量になってしまった。

こんな不安定な電源を系統電源網に入れるにはどうしたらいいのだろう?答えはお分かりのように別の定常性をもった発電所がバックアップしているのである。

21日のように好天に恵まれて再生可能エネルギー発電所の発電量が多ければ、バックアップ発電所は出力停止(ランプダウン)する。

逆に少なければ、出力増加(ランプアップ)するというわけだ。 このバックアップ発電所との連携がうまくいかず、発電量の増減に失敗すると瞬間停電が起きることになる。今やドイツで頻発していて、保険すら作られた。

ちなみに、こんな器用なマネができるのは石油と天然ガス発電所だけで、石炭と原子力はできない。

問題は、4番目の22日のような1時間ごとに出力がジグザグするような場合だ。その都度、ランプアップ、ダウンをするわけにはいかない。なぜなら、そんなことを1時間ごとにおこなっていたら手間と経費がかかり過ぎてバックアップ発電所はそれに忙殺されてしまうからだ。

では、どうするのか。ここで第2の制度的問題が浮上する。

バックアップの化石燃料発電所や原発では、あらかじめ「ネガティブ・プライス」としてそのランプアップ・ダウンの費用をマイナス計上してしまうのだ。

たとえばドイツなどでは発電量に応じて、あらかじめ「マイナス10ユーロセント/kWhを支払ってしまっている。

しかし、優先的に系統電源に給電される再生可能エネルギーのほうは、FITの固定価格制度に守られて本来、卸電力市場の常識である「ネガティブ・プライス」を支払う必要がない。

つまり、天候に左右される不安定な発電しかできないにもかかわらず、
優先的に系統送電網に給電できる資格をもち、
かつ、他電源のバックアップ発電所を常に必要とし、
さらに、固定買い取り制度に優遇されてネガティブ・プライス支払う必要がない
という三重の優遇措置を受けている
というわけだ。これで社会的摩擦が起きなかった奇跡だろう。

再生可能エネルギーのことを「間欠性電源」と呼ぶ場合がある。これは通常の恒常的電源供給者からの痛烈な皮肉が込められている。

「間欠性電源業者」は、常にリスクを負わない。発電が出来ようと、出来まいと、予定発電量に達しようと達しまいとなんらペナルティはない。できたらできただけ全量無条件で、しかも法外な固定価格で買い取る仕組みになっているからだ。 しかもこの先20年間も!

通常の発電業者は、電力系統の運用者に運転計画を提出し、計画不履行の場合、罰金を食うというのにだ。

つまりは本来はありえないバックアップ電源が必須であり、逆に本来は負うべきネガティブ・プライスは、他の電力業者が尻拭いしてもらいながら、自分はリスクは一切負わない。しかも電力市場で優先的に給電できる なんと素晴らしくも、偏った制度だろうか!

これでは異業種の孫さんが参入したがるはずだ。ドイツで投資資金が大量に流入したのはむべなるかなである。

固定価格買い取り制度は電力需給に一致に関するすべてのリスクを、他の市場参加者に押しつけてしまった。」(マサチューセッツ工科大学教授リチャード・シュマレンジャー)

どうしてこんなにドイツは、再生可能エネルギーを市場メカニズムの「外」に遠ざけてしまったのだろうか。これでは再生可能エネルギーが増加するほど、ドイツ人は不幸になるに決まっているではないか。

私が今述べた問題は、あくまで制度的問題だ。再生可能エネルギーが本質的にもってしまう「限界」が故に、それに過大な優先権を与えると、制度的な歪みを生じるということを述べた。

「JAXAの資料」氏に聞きたいが、きみが思い描くような技術的ブレークスルーがあったとして、夜に太陽光は発電するようになるとでも言うのか。昼から雨や雲の日はないのか。一年中晴れなのか。あるいは風力発電は風がなくても回るのか。

私の経験が「骨董品」(忠告するが、こういう言い方をすると私からそれだけで軽蔑される)というのは勝手だが、再生可能エネルギーの「間欠性」という本質はなんらこの30年間変わっていない。違うかね。

きみの言う「効率化」は、再生可能エネルギーの間欠性を解決できるものではないのだ。

だから私は、本質的な部分を素通りして再生可能エネルギーの美しい面だけを語るのは、ただの空論にすぎないと私は言っている。

きみはFITのおかしさは理解しているようだが、「多くの資本家が参入すれば解決する」とはどんな意味だ。

いいかね、ドイツでは再生可能エネルギーの参入者が増えれば増えるほど財政はパンクし、電気料金は高騰し、瞬間停電は頻発し、企業は海外逃避を始め、通常の電力市場参加者からは迷惑千万なものとして総スッカンを食ったのだ。

私は再生可能エネルギー、いや、自然エネルギーに青春の一時期をかけた。だからその素晴らしさも欠点も知っている。欠点を知り尽くしたところで、それにふさわしい入り口戦略をとるなら、再生可能エネルギーはより素晴らしいものに成長するだろう。

「JAXAの資料」氏とやら、もう少し勉強することだ。技術の進歩に浮かれて本質を見逃してはいけない。

再生可能エネルギーは、上から網をかけるように国策で全電源の構成比3割を狙えるようなタイプの電源ではない。むしろ地域で下から積み上げてボトムアップしていくタイプの電源だ

無理に3割を狙おうとすると、昨日書いたように原子力と同じような過剰な国家の介入を招く。現在、むしろ再生可能エネルギー推進派の方から自ら進んで「国家の罠」にはまりたがっているようにすら見える。

下からのボトムアップをすることで、その技術はブラックボックス入りすることなく、市民に共有化されていく。市民参加型エネルギー、それが再生可能エネルギーの本来の姿だと私は思う。

                 ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

「JAXAの資料」氏のコメント

「どうして、80年代の骨董品の自然エネルギーシステムを引き合いに出されるのでしょうか?現在の自然エネルギーシステムはそれよりも遥かに効率的です。 グリッドパリティをお調べ下さい。
自然エネルギーの価格は火力にすら並ぶ所に来ています。

ただ、あなたの仰る通り太陽光発電の買い取り価格は異常です。
これは、単に行政が原発よりも遥かに太陽光発電が高コストである事を国民に印象付けたいが為の愚策と思います。

スマートグリッドなど導入せずとも電力の自由化で多くの資本家が参入する事であなたのご心配は無くなるでしょう。」

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再生可能エネルギー推進派は初心に還れ!

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コメントの「化石燃料がドカンとなくなる」というのを読んで、ああそう言えばチャーチルがこんなことを言っていたことを思い出しました。 

当時、時代は第1次世界大戦前夜、チャーチルは首相ではなく海軍大臣でした。このポストは首相に次ぐくらい強力なポストだったのですが、その理由は、世界覇権だけではなく島国の英国が海洋封鎖に会えばお手上げだからてす。 

だから国産の石炭だろうという大方の意見を押し切ってチャーチル海軍大臣は、より機動力が高くなる石油に内燃機関を変更しました。 

その時彼が言った台詞が、「供給安定保障の要諦は、一に多様化、二に多様化、三に多様化」というものです。この言葉はいまでも、エネルギー専門家の教科書の1ページめに書かれているそうです。 

これは現代のわが国にも共通します。エネルギー源の調達先を分散させる、ということです。ひとつがコケても、次がそれをフォローできるようにしておく、それがコケても・・・という二枚腰、三枚腰を作っておくことです。 

現在の日本において、化石燃料の輸入がゼロになるということは現実的にほとんど考えられませんが、常に化石燃料の産地・中東が政治的に不安定であることはたしかです。 

ですから、石油に過度に頼るのは危険です。調達先を分散せねばなりません。天然ガスやシェールガスのように、豪州、カナダ、パプアニューギニア、ロシア、米国など多角的に輸入できるエネルギー源が望ましいのです。

第2に、かつての政府のエネルギー政策では原子力を5割ちかい比率まで伸ばして、原子力を「国産エネルギー源の柱」として位置づけました。そして核燃料までプルトニウム・リサイクルで循環させることを考えました。

たしかに「国産エネルギー源の柱」というのは魅力的な響きですが、虚妄でした。なぜなら、原子力は大規模な発電をするために耐用年数が過ぎた原子炉を使ったり、危険を承知で欠陥炉を使っていたからです。その結果としての3.11です。

また当初のエネルギー政策のままに5割を原発依存してしまえば、フランスのようにもはや引き返し不能だったでしょう。

エネルギー源をひとつに固定してしまうことは非常に不安定であり、分散させておかねばなりません。その時に国産か、輸入であるとかを絶対基準にしてはかえって危険です。

さて第3に、原子力にとって替わろうとしている再生可能エネルギーはどのようにあったらいいのでしょうか。コミュニティ分散型か、あるいは原子力のような国策的コストがかかるものなのでしょうか。

今や再生可能エネルギー推進派は、時代の追い風にうかれて大きな構想を描きたがります。現在の原子力の全エネルギー源に対する比率3割に替わろうということをしばしば言います。

しかし、よく考えて下さい。もともと再生可能エネルギーはそんなごたいそうな性格の電源ではなかったはずです。かつて再生可能エネルギーは「市民エネルギー」や「自然エネルギー」という言い方がされていたほど市民の生活の中に密着したものでした。

実は私は80年代初期に「市民エネルギー」の活動にかかわったことがあります。就農前後のことでした。

それは実に楽しい経験でした。生ビールの樽缶にプロペラをつけて小型風力発電を作ってみる。米国から自作の太陽光印発電のキットを取り寄せて組んでみる。小川に小型水車をとりつけてみる。その流れでシャープの初期の太陽光パネルを設置したわけです。

私はこの経験から、再生可能エネルギーの本質は大規模な全国向け発電ではなく市民が、自宅や小規模コミュニティ向けに知恵を絞ってみるようなエネルギー耕作型電源だ思っています

かつての「市民エネルギー」に関わった人々は、メガソーラーや集光型太陽光発電基地、あるいは大型風車は環境破壊であると批判していたではないですか。忘れたのですか。

それが3.11以降追い風が吹くと、メガソーラー基地や全国的に送電するために巨大スマートグリッド網や超伝導スーパーグリッドの建設が必須などというふうに大きく変質してしまいました。

再生可能エネルギー推進派のみなさんにお聞きしたい。発電は巨額投資が必要なメガソーラー、送電は同じく巨額投資が必要なスマートグリッド、その上に税金の収奪であるFIT・・・自然エネルギーの初心をどこかで忘れてはいませんか

スマートグリッドひとつとっても2兆円、いや最終的にはそれを数倍する国費がかかかるでしょう。もし、このような莫大な国費が再生可能エネルギーのインフラに必要なら、再生可能エネルギーには電気料金以外に見えないバックエンド・コストがずっしりと上乗せされてしまいますね。

その上に欲張りにも、再生可能エネルギー推進派は起爆剤が必要だとしてのFIT実現のために孫さんを使ってロビー活動までしました。そして42円という法外な額で20年間固定買い取りという成果を得ました。

私は、再生可能エネルギーは、合理的な買い取り水準で取引されるべきだと思っています。ヨーロッパのFITによらない相場では、再生エネルギーはせいぜい7円~11円/キロワットです。

金に糸目はつけない、できただけ買ってやる、しかも20年先まで固定価格だ、と政府が言っているのですから空恐ろしい。少なくとも財政破綻しそうだから消費税を倍にしてくれと言う国に頼むようなことでありません。

私は苦々しい気分でこれを見ていました。これではまるでかつての原子力保護政策と同じ光景ではないですか。こんな過保護な体たらくだと、再生可能エネルギーは原子力のように国がないとひとり立ちできない肥満児になってしまいます。

そんなふうに再生可能エネルギーを中央供給型で考えないで、分散型スマート・コミュニティの一角で多様な電源と共存し合えばいいのです。そうすれば大規模施設投資もバックエンド・コストもかかりません

天然ガス、風力発電、太陽光発電、小型水力発電などを、地形風土にあわせて選択し、それを電力・ガス地域ネットワークで結んでいく分散型スマートコミュニティは十分に実現可能なのです。

再生可能エネルギーは、原子力の代替などという迷妄から覚めないと本来のよさを発揮できないのではないでしょうか。原子力の「代替」である限り、かならず原子力の負のシッポもついて回るのです。

それを断ち切って初めて再生可能エネルギーは自立したエネルギー源となるのではないかと私は思うのです。

私は再生可能エネルギー推進派、かつての友人たちに言いたいのです。再生可能エネルギー、いや市民エネルギーは自分たちが知恵を絞ってコミュニティの中で回すものじゃなかったのか、と。

自然エネルギーの初心に還りましょう!

■写真 刈り取り前の黄金の稲穂と水神様の祠

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政府、大間原発、島根3号機の建設を認める!

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なんとも驚きいった政府決定がありました。枝野経済産業相は、青森県大間(おおま)原発と島根県島根原発3号機の建設再開と稼働を認めることにしたそうです。

「枝野氏は会談で「原子炉の設置と工事計画許可が与えられている原発について、経産省の立場として変更は考えていない」。(読売新聞9月15日)

大間原発は大震災で工事が中断していたものの、工事着工が認められたのですから2010年代のそう遠くない時期に稼働を開始することになります。

となると仮に2015年稼働開始だとして、政府の14日に出したばかりの「革新的エネルギー・環境戦略」のなかにある「40年運転制限」の政策の縛りをかけると2055年まで稼働してしまうことになり、「2030年代までの原発ゼロ」を堂々と15年もオーバーしてしまうことになります(苦笑)。

このままでも40年稼働規制で、2030年代の終わりの2039年には原発は15%ていどにまで減数しているわけですから、あえて増やさねばいいだけです。15%程度なら一気にゼロにまて持ち込める程度のボリュームです。

政府は「原発30年代までに廃炉」方針を打ち出した時に、新規の原発の建設は認めないと言いながら、建設中のものに関しては口を濁した表現をしていました。

これでその真意が分かりました。計画中のものも数基ありますからどのような判断になるのでしょうか。

また、この大間、島根原発の工事再開についても、政府の原子力政策の柱である原子力規制委員会がダメと言った場合(考えにくいですが)、政府方針と食い違ってしまいます。この場合、どちらが上位の判断になるのか、興味あるところです。

それとも世上言うように規制委員会は原子力ムラのダミーなので稼働は揺らがないということなのでしょうか。

ちなみに現時点で30年から40年以上稼働している原発は以下です。

敦賀1・・・41年
美浜1・・・40
美浜2・・・38
島根1・・・37(markⅠ型)
高浜1・・・36
玄海1・・・35
高浜2・・・35
美浜3・・・34
伊方1・・・33
大飯1・・・33
福島1-5・・32(markⅠ型)
東海2・・・32
福島1-6・・・31
大飯2・・・31
玄海2・・・30
計  ・・・15基・・・①

これら15基は政府基準に沿って即時廃炉とすべきです。
また福島第1原発と同型の欠陥機であるmarkⅠ型は以下です。

敦賀1
島根1
福島1-5
女川1
女川2
女川3
島根2
浜岡3
浜岡4
志賀1
東通1
計   ・・・11基・・・②

①+②=26基(ただし重複2基で24基)

これで日本の原発の約半分は現時点で既に稼働停止となります。せっかく目標どおり減っていくのに、今更増やしてしまおうという政府の脳味噌の中身を覗いてみたいものです。

選挙目当てだとはわかっていても、もう少しどうかならないでしょうか。怒るというよりあきれてしまいました。

■写真 稲刈りはほぼ終わりです。台風がなくてよかったと残暑に炙られながら思っています。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

経済産業相、大間原発、島根3号機の建設を認める

読売新聞 9月15日(土)12時50分配信

 枝野経済産業相は15日、青森県の三村申吾知事や原子力施設のある市町村の首長らと青森市で会談し、東日本大震災後に工事を中断した電源開発大間(おおま)原子力発電所(青森県大間町)と中国電力島根原発3号機(松江市)の建設再開・稼働を事実上、容認する考えを伝えた。

 両原発の建設が再開されれば、震災後初めての原発建設となる。

 政府は14日に決めた「革新的エネルギー・環境戦略」に、2030年代に原発の稼働をゼロにする目標を明記した。運転期間を40年とする政府の原則に従えば、建設を再開した原発は50年代まで稼働できることになり、新たなエネルギー戦略の矛盾を早くも露呈する形となった。

 枝野氏は会談で「原子炉の設置と工事計画許可が与えられている原発について、経産省の立場として変更は考えていない」と述べ、19日に発足する原子力規制委員会が安全を確認すれば、建設再開・稼働を認める方針を示した。

 建設中の原発は、大間、島根3号機のほか、東京電力東通(ひがしどおり)原発1号機(青森県東通村)がある。ただ、東通1号機について、枝野氏は「東電が原子力について議論できる段階ではまだない」と述べており、建設再開の対象にはならないとみられる。

<IAEA総会>「原発ゼロ」日本説明 見直す可能性も強調

【ウィーン樋口直樹】国際原子力機関(IAEA)の年次総会が17日、ウィーンで開幕し、日本の山根隆治副外相は「30年代の原発稼働ゼロ」を目標とする新エネルギー戦略を初めて全加盟国に説明した。「グリーン電源の開発に最大限取り組む」と決意を表明する一方、経済への影響や国際社会との協力状況をみながら「不断に見直していく」とも強調。将来的な再修正に強い含みを残した。

 新戦略は将来的な原発ゼロを明記しつつ、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す「核燃料サイクル」の継続を確認している。兵器転用が可能なプルトニウムの蓄積には国際的な懸念もあるが、山根副外相は演説で核燃料サイクルの継続には触れなかった。

 これに先立ち、天野之弥IAEA事務局長は冒頭演説で「(福島原発)事故後18カ月を経て、原子力が多くの国にとって重要な選択肢であり続けることは明らかだ」と原子力の重要性を再確認。1年前の総会で承認された原発安全強化に向けた「行動計画」の早期完全履行などを加盟国に重ねて要請した。

 「原発大国」日本が将来的な原発ゼロにかじを切ったことは、原子力の信頼性とともに、「日米原子力協定」などで認められた核燃料サイクルの正当性にも疑問を投げかける。原発ゼロを決めながら核燃料サイクルの継続を打ち出したことで、将来的に行き場のないプルトニウムを蓄積することにつながる可能性があるからだ。

 総会には155加盟国から政府当局者やNGO関係者ら約3000人が参加した。日程は21日までの5日間。日本は福島原発事故に関する技術セミナーを開き、現状の取り組みや今後の除染プランなどを説明する。
(毎日新聞9月17日)

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NHK特集「揺れるドイツ自然エネルギー政策」に見るドイツの脱原発入り口戦略の失敗

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ようやくドイツのFIT(フィード・イン・タリフ/固定価格全量買い取り制度・ドイツ名EEG)についての報道がなされるようになってきました。NHK特集「揺れるドイツ自然エネルギー政策」(8月21日放映)は真正面からドイツの現状をリポートしています。 

いままで、マスコミは手放しでドイツやスペインの事例を礼賛に近い口調で報じてきました。 

いわく、「ドイツでは太陽光発電を個人住宅に大胆に導入した結果、こんなに電気料金が安くなった」、「ドイツでは屋根に設置した太陽光パネルで電気を売って脱原発をしながらお金を稼いでいる」・・・。 

そしてお決まりの「それにつけても福島第1の事故が起きながら、遅れているわが国」という自虐的台詞が続きます。

本当にドイツはそんなに脱原発のパラダイスなのでしょうか?実情は、いままでこのブログで何度か書いてきたようにまったく違います。 

ドイツ再生可能エネルギー法(EEG)では、再生可能エネルギーが通常の電気買い取り価格よりケタ違いに高く買われてきました。特に、太陽光発電は群を抜いて高い買い上げ価格が設定されました。 

これは高い固定価格だけではなく、いったん設定された価格を20年間の長期にわたって固定して全量買い上げるというプレミアムまでついています。

ということは、20年間電気料金は下がらないわけです。 

そして電気が予定よりできようとできまいと、仮にできた電気が周波数が狂ったものであろうと全量買い取るというのですから凄まじい制度を作ったものです。 

しかも毎年買い取り価格は下がっていきましたから、高い期間につけなきゃソンソンとばかりに我も我もと殺到したわけです。これがドイツやスペインの太陽光バブルです。

この中には地雷がたくさん隠されていました。ひとつは税金投入して買い支えているわけですから政府の予想を超える太陽光バブルに財政負担がショートしました。

NHK特集でも、「再生可能エネルギー全体のわずか15%でしかない太陽光発電に、電気利用負担者の負担金の5割にあたる7640億円が使われている」ことが報じられています。

また番組の中では短期的利益を狙う投資家たちが大量参入したことも描かれています。番組では詳細はありませんでしたが、ひとつは投機的資金のメガソーラーなどへの参入と、もうひとつは市民の屋根にパネルをローンで設備を設置させ、売れた電気の収益の一部を渡すという商法です。

この方法が普及してしまったために、本来は買うことができない太陽光パネルを自宅に設置する低所得者層が急増しました。一種の太陽光版サブプライムローンです。これがEEGの破綻とともにどのようになるのか心配されています。

EEGの再可能エネルギー買取費用の総額は、1年間で160億ユーロ=1.6兆円、2031年段階で1500億ユーロ=15兆円と予測されていますが、これも5割増にまでなると予測されていますからハンパではありません。

次に、低所得者層だろうと富裕層だろうと均等にそれを税金や電気料金上乗せの形で平等に負担しているために、現在では電気料金への上乗せ金額は1kwhあたりで3.6ユーロセントに値上がりしました。

これは火力発発電のコストの優に10倍ちかい数字です。これを知った低所得者層は高価な太陽光パネルを自分たちが設置することが難しいが、富裕層は設置できて儲けている、その上に税金負担か一緒とはおかしいじゃないか怒り始めました。

EEGは低所得者も富裕層も均等に広く薄く負担するという点で消費税に似ているといわれています。しかし、一点違うのは、消費税は確かに低所得者にもかけられますが、徴収した後に社会保障という形でとりすぎた分を返還する逆進制がとられています。 

しかし、EEGにはそれがないために悪平等な制度となっています

連邦環境庁のフラスバート長官はコメントで、「エネルギー政策の転換によって生じるコストは、公正に分担されなければならない」、「過剰な電力料金が貧困者を生み出すような事態になってはならない。支払い能力のない消費者に対しては国が補助金を出すべき」だと制度の修正の考えを発言しています。

一方、電気料金がストレートに経営に跳ね返ってくる製造業者は死活問題であって、違憲だとして提訴しました。

ドイツの紡績会社では、電気料金の上昇か従業員一人あたりに換算すると年間5000ユーロ(50万円)の負担増になっている会社もあり、このままでは従業員の人件費をカットするしかないところまで追い詰められる会社が増えていきました

繊維衣料品産業連盟のバウマン代表は、「エネルギー転換によって生じるコストは雪だるま式に膨れ上がる恐れがあり、計り知れない」として、再生可能エネルギーの助成金のために生じるEEGの分担金は違憲であるとの見解を表明し、提訴に踏み切りました。

しかもこれが国内のグリーン産業を育成するためなら我慢もできるでしょうし、国内での競争で切磋琢磨も可能でしょう。

ところが競合相手は中国製でした。中国は自ら赤字覚悟のダンピング的雪崩的輸出をおこなったために、ドイツQセルズの世界一シェアは瞬く間に瓦解し倒産に追い込まれてしまいました。

このドイツの太陽光パネルの市場動向わかるのは、ひとつには新興国のダンピング攻勢による国内産業への圧迫であり、今ひとつはこのような市場状況ではとうていイノベーション(技術革新)が起きる余地がないことです。

EEGは初期初期投資者のみが優遇される制度的特徴があるために、いかに早く参入し、いかに安く発電コストを抑えるのかが重要になります。

これではじっくりと中長期を考えた投資や、イノべーションが入り込む余地がありませんドイツは明らかに脱原発の入り口戦略を誤ったのです。

今、ドイツはユーロ安を起爆剤にして輸出攻勢を強めています。しかし、足元の国内では電力不安と電気価格高が恒常化したために、自動車産業のように外国に製造拠点を移転するところが増えていっています。

このドイツ再生可能エネルギー法(EEG)のコピーが日本における再生可能エネルギー法です。民主党政権瓦解の後は批判的検討が加えられるでしょうが、このような悪制度は1年間限りで廃止すべきです。

仮に廃止したとしても1年間分の初期参入者は20年間も権利が守られるのですから、なんともかとも・・・。

ドイツの失敗を見て感じるのは、脱原発=再生可能エネルギーではないことです。たしかに、脱原発の途も再生可能エネルギーの増加も間違いではありません。しかし、再生可能かネルギーはその選択肢のひとつでしかないのです。

脱原発の入り口戦略を読み間違えると、社会的な混乱と生産部門の大混乱を引き起こし、国民の生活と雇用を直撃します。そしてその社会的怒りはドイツのように入り口戦略そのものに向けられずに、脱原発という目標に向けられます。

ドイツの失敗を見ると、脱原発を再生可能エネルギーと必要以上に結びつけて主張することは危険だと思わざるを得ません。それは思考の自由を奪い、選択の幅を縮め、硬直した政策しか生まないからです。

脱原発にはさまざまな方法があり、達成のためには相応の時間がかかることを覚悟しなければなりません。

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 先日来、記事とは無関係に攻撃をしかけてくるコメントが複数ありました。共通するのは自らのみを正しいとする姿勢です。それを読むたびに絶望的心境になります。

なぜただの生活者でしかない私が「老害」で「告発」されねばならないのでしょうか。しかもある者はIPアドレスをひんぱんに替えて複数の場所から発信してきています。
ここまで来ると,ある種の計画性すら疑われます。

ストーカーにつきまとわれているようななんとも言えない不快さがあります。気が滅入ってきます。

ネットは自由な言論を保証しています。そして匿名性も容認しています。一般に思われているのとは逆に、匿名性というのは高い道義的責任を持つことを要求するのです。

一方、私は逃げも隠れもしまない実名ブログであり、アドレスすら公開しています。このような投稿が続くなら、私も投稿の許可制をとらねばならなくなります。

ほんとうに私を「告発」したいのなら実名を名乗りなさい。それが最低の道義です。覆面を被ってIPアドレスをひんぱんに替えながらつきまとう行為は反社会的行為だと思いなさい。

ネットはなにをしてもいい化外の地ではないのです。
そこであらためてコメント投稿ルールを述べておきます。要するに常識的にやってね、ということに尽きます。

①記事内容に対して投稿して下さい。
②コメント投稿者間の討論は容認していますが、節度をもって下さい。
③無礼な言動はいかなる理由があろうとも削除対象とします。
④IPアドレスを替えて投稿する非常識な行為は止めてください。  
                                  

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■ NHK特集揺れるドイツの自然エネルギー政策 2012年8月21日

脱原発へと舵を切り、再生可能エネルギーの普及を急速に進めるドイツ。

総発電量のうち、再生可能エネルギーが占める割合は去年(2011年)初めて、原発を上回りました。
しかし今、そのエネルギー政策が大きく揺らいでいます。
 

電力会社に再生可能エネルギーの買い取りを義務付ける制度のもと、電気料金が大幅に上昇。
国民から強い不満の声が上がっているのです。
 

会社経営者
「これ以上の値上がりは会社の存亡に関わる。
人員削減も検討しなければならない。」

ドイツの再生可能エネルギー推進政策。
その課題を検証します。

傍田
「東京電力・福島第一原子力発電所の事故などを受けて、脱原発を決めたドイツでは、今、国を上げて、再生可能エネルギーの普及に取り組んでいます。
しかし、普及とともに電気料金が高騰し、国民の不満が高まるというマイナスの面も目立ち始めています。」

鎌倉
「電気料金上昇の大きな原因となっているのが、『再生可能エネルギー固定価格買い取り制度』です。
この制度は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及を目指して、もともと12年前に導入されたものなんですが、批判の高まりを受けて、ドイツ政府は今年6月、制度を大幅に見直すことを決めました。
同様の制度は日本でも先月(7月)から導入されましたが、ドイツがモデルになったとされています。
この制度、どんな内容なのでしょうか。」
 

黒木
「『再生可能エネルギー固定価格買い取り制度』とは、再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社に対し、一定の価格で買い取ることを義務付ける制度のことです。
買い取りを保証することで、太陽光や風力発電の普及に弾みを付けるのが狙いです。
この制度が導入された結果、ドイツでは再生可能エネルギーが急速に普及し、総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は、去年20%にまで達して、原発を初めて上回りました。
 

しかし、電力会社が買い取った費用は、負担金として全額、利用者の電気料金に上乗せされます。
このため、電力会社が買い取る量が増えれば増えるほど、利用者の負担も増えてしまうということになるのです。
ドイツでは、制度導入当初は、電気料金の1%ほどだった負担額が、いまや、10%以上に膨らんでいまして、電気料金上昇の大きな原因となっています。」

鎌倉
「再生可能エネルギーの普及か。
それとも電気料金の安定か。
思わぬ壁にぶつかったドイツのエネルギー政策について、ベルリン支局木村支局長の報告です。」
 

電気料金上昇 揺れるエネルギー政策 

先週、ドイツの繊維業界の代表が、ベルリンで開いた記者会見です。
ドイツ政府が進めてきた「太陽光発電を優遇する買い取り制度」を強く批判しました。
 

ドイツ繊維産業連盟代表
「ドイツの繊維業界は脱原発に賛成です。
しかし今のやり方には問題があります。
このままでは、我々は国際競争力を失ってしまうでしょう。」
繊維加工会社を経営するドレクセルさんです。
会社では繊維を高温で洗浄するため、大量の電力を消費します。
買い取り制度が始まった2000年には日本円で年間100万円程度だった負担金は、年々増え、今年は10倍以上の1200万円あまりに増える見通しです。
これは、会社の年間の利益のおよそ3分の1。
ドレクセルさんは経営の先行きに不安を募らせています。
ドレクセルさん
「値上がりが続けば会社の存亡に関わります。
従業員の解雇も考える必要が出てきます。」
電力の利用者にのしかかる重い負担。
その金額を押し上げているのが、太陽光発電です。
他の再生可能エネルギーに比べ、初期投資のコストが高い太陽光発電の普及を促そうと、ドイツ政府は他のエネルギーよりも高い買い取り価格を設定しました。
その結果、利用者は今もより大きな負担を負い続けています。
 

これは、去年のドイツ国内での再生可能エネルギーの発電量を示したグラフです。
太陽光の発電量は、再生可能エネルギー全体の15%あまりにすぎません。

ところが、電力買い取りのために利用者が負担した費用を比較すると、ほぼ50%に相当する7640億円が太陽光発電に当てられているのです。
ドイツでなぜ、太陽光発電にかかるコストがこれだけ膨れ上がってしまったのか。

背景としては、3年ほど前からドイツ国内の太陽光発電の市場が大きく変わったことが挙げられます。
 

木村記者
「こちらに設置されたパネル。
実はドイツではなく、すべて中国で作られたものなんです。
ドイツ製よりも1割から2割も安い中国製の太陽光パネルが急速にシェアを伸ばしたのです。」

パネル販売業者
「最近は市場の6割を中国製のパネルが占めています。
残りの4割も韓国や台湾製などが多く、ドイツ製はそれ以下というのが現状です。」

高値での買い取りが保証されているところに、安い中国製のパネルを使えば、コストはさらに圧縮出来る。
ここに目をつけた投資家らが、太陽光発電の業界に参入したのです。
その結果、太陽光発電にかかる費用は一気に膨れ上がることになりました。
 

エネルギー政策 専門家
「早急な対策が必要です。
投資が過熱し、太陽光発電への負担金は限度を超えています。」
 

こうした状況を改善しようと、ドイツ政府は今年6月、再生可能エネルギー法を修正し、太陽光発電の買い取り制度を大幅に見直すことを決めました。 

買い取り価格を、制度の導入時と比べて70%あまりも引き下げることにしました。
さらに近い将来、太陽光発電の設備が一定の数に達した時点で、優遇制度での買い取りはやめることを決めたのです。
 

これに対し、環境保護団体や太陽光パネルの製造業者などは、自然エネルギー産業を衰退させる政策だとして強く反発しています。 

「これが我々の仕事だ」 

この春、ベルリンで行われたデモには、数千人が参加しました。 

デモ参加者
「政府の価格引き下げは急すぎます。

太陽光発電業界は全滅してしまうでしょう。」
デモ参加者

「この国で何千もの人が職を失い、エネルギー改革もつまずくだろう。」
 

太陽光発電を優遇する買い取り制度で、再生可能エネルギーを普及させることには成功したものの、新たな困難に直面したドイツ。
再生可能エネルギーの普及と、消費者の負担のバランスをどう図っていくのか、
今も模索が続いています。
 

再生可能エネルギー 今後の推進策は 

傍田
「取材にあたったベルリン支局の木村支局長に聞きます。
再生可能エネルギーが普及すればするほど、利用者の負担が増えてしまうという皮肉な状況とも言えるかと思うんですけれども、ドイツ政府は、このジレンマを克服して今後、どうやって再生可能エネルギーの普及を進めて行こうとしているんですか?」
木村支局長
「当面、電気料金が上がっていくことは避けられません。
そこで、ドイツ政府は、鉄鋼業など一部の業種に限って、電力を大量に使用する企業については、負担金の支払いを事実上免除する政策を打ち出しました。
電気料金の上昇に反発する産業界の声を、少しでも抑えようという狙いです。
一方で、ドイツ政府は、太陽光発電に代わる再生可能エネルギーの普及にも力を入れています。

今、最も注目を集めているのが、洋上での風力発電です。
ドイツ北部の北海やバルト海では、年間を通じて強い風が吹くため、安定した電力の供給が期待出来るというのです。
現在は国内6か所にとどまっている洋上風力発電のプロジェクトですが、今後、90か所の建設計画があるということで、ドイツ政府は、将来の再生可能エネルギーの中核としたい考えです。」
 

脱原発政策への影響は 
「再生可能エネルギー政策に対する国民の反発が強まっている中、ドイツ政府の脱原発政策には何らかの影響は出ないんでしょうか?」
 

木村支局長
「脱原発政策そのものは揺らいでいません。
先週末、ドイツの環境相が記者会見を開いたのですが、その際にも、『脱原発はすでに決定したことで、後戻りできない。ドイツは再生可能エネルギーを柱にするエネルギー政策を進めていく』と明言していました。
国民の間でも、電気料金が高くなることへの不安は感じられますが、原発への回帰まで求める声は上がっていません。
電気料金の高騰に苦しむ産業界や、かつては原発を推進してきた政治家も同様です。
やはり、去年、日本で原発事故が起きたことの影響が大きいと考えられます。
ドイツ政府は、現在は20%を占めている再生可能エネルギーの比率を、2020年には35%にまで増やすことを目標として掲げています。
原発の全廃と、それに代わる再生可能エネルギーの確立に向けて、今後も国民や産業界などとの対話を重ねながら、最良の道を模索していくことになりそうです。」

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再生可能エネルギーには送電ロスがない地域分散型発送電網が似合う

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昨日から「節電」について考えてしまいました。3.11以来、東日本の住民にとって節電はもう二夏めです。 

今年8月のピーク消費電力をみると東電管内でマイナス8%ですから、庶民や企業の節電意識は褒めてもらってもいいのではないでしょうか。 

もう乾いた雑巾状態。これを来夏もやるのかい、といった気分です。 

で、「節電」のもうひとつの側面である供給サイドから見てみようと思ったわけです。すると、1次エネルギーから電気に転換する発電コストが悪い電源は「節電意識が低い」といえます。 

この発電コストが悪い電源に属するの、原子力と太陽光発電です。悪役と今をときめくヒーローが共に悪いほうに入ってしまいました。 

原子力は大きな発電量を定常的に出力するのですが、いかんせん危ない上に廃炉などのバックエンド問題が解決不可能です。これにはもう説明がいらないでしょう。 

その上、もうひとつの欠点は消費地から遠いということです。遠いということは電気の致命的欠点である送電ロスが出てしまうことになります。 

送電ロスは距離に比例し、送電電圧が高くてなるほど小さくなる性格かあるそうです。そこで日本の電力会社は遠くの発電所にせざるをえない原子力や水力発電所からの送電線を世界最大の100万ボルトにするという荒技をしてしのいでいます。 

それでもなお総発電量の5%もの送電ロスが出るそうで、それだけで1年間約458.07億kWhの損失となるとのことです。100万kW級大規模原発の実に6基分です。 

原子力発電所が東電の場合、直線距離にして福島第一・第二、柏崎刈羽原発で東京都心から約200km、東通原発に至っては本州最北端から持ってくるので550kmもの距離があります。

柏崎刈羽は世界最大の原発ですから、 年間原子炉1基分ていどはロスっているのでしょうね。

だから広瀬隆氏ではありませんが、送電ロスを防ぐには「東京に原発を」というのが正しいのです。

「お台場第1原発」などをフジテレビの横に建てるというのも私のような原発立地県住民としてはオツな眺めですが、都民は生きた心地がしないでしょうな。 

こう考えると、原発の代替エネルギーは送電ロスが少ない電源が望ましいことになります。

これは電力消費地と発電所が近隣にあることがベストです。なんなら、発電所と事業所や住宅と混在して建っていれば送電ロスが限りなくゼロですから申し分なしです。

これをかなえる電源を絞りこんでいきましょう。まず風力はダメです。大型風力発電みたいなモノ騒がせなものは海岸か、海上に持って行ってほしいものです。

水力も小型水力は隅田川でも回りますが、本格的なものはやはり山間部が舞台でしょう。第一、水力はもう設置場所に限界がきています。

地熱も山間地限定です。バイオマスはゴミ処理と組み合わせると可能性かあります。

太陽光は住宅屋根やビルの屋上、壁面での発電が可能ですので、この点は点数が高いといえます。

この送電ロスに気がついてから私は全国規模のスマートグリッドに消極的になりつつあります。だって、いくらITで発電情報のやりとりをしても、かんじんの電気の物理的対応能力には限界があるからです。

つまり、再生可能エネルギーの本質的性格である定常性のなさが災いして、常に天候に合わせてバックアップ電源が控えてなければなりません。

全国規模でそんなバックアップのやりとりをしたり、クソ高い上に寿命が短いリチニウム電池をつけたりするより、いっそうのこと分散型発送電網を作るほうが金はかからないし、送電ロスもないからです。 

再生可能エネルギーを活かすには、地方都市レベルで小規模の分散型発送電網を作って、それに二酸化炭素の排出が少ない天然ガスのコジェネを付設しくてやるというのはなかなかいい電力供給サイドの「節電」モデルなのかもしれません。

■写真 私はコスモスが好きです。コスモスは宇宙と言う意味もあったかと。

■ひさしぶりに今朝震度4がきました。私の住む地域のすぐそばでした。このところなかったので、さすがにびっくり。
あすあさっては定休日です。月曜日にお会いしましょう。

 

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原発推進派と再生可能エネルギー派に共通する投入と産出の不都合な真実隠し

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先日のこずさんのコメントで改めて気がついたのですが、原子力、石油にせよ、あるいは再生可能エネルギーにせよ、エネルギーは二度にわたって使われています。 投入と産出です。

ウラン資源、石油、太陽光といった元来のエネルギー源(1次エネルギー)に製造工程の施設、人件費などを足したものから、電力という二次エネルギーを取り出すことでは一緒です。 

これを電力化率と言います。発電コストと考えてもいいかと思いますが、日本の場合この発電効率はだいたい4分の1~5分の1です。特に日本が低いわけではなく、火力発電所の効率に支配されてしまうので、世界的に見てもだいたいこのレベルなようです。 

あっさりと4分の1から5分の1と書いてしまいましたが、75%から80%はムダに捨てているということになります

原発を止めて20%から30%を別なエネルギーで代替するといっても、それの3倍から4倍のエネルギーを「捨てている」のですからシャレになりません。

節電といって消費者サイドの乾いた雑巾を絞るより、電力供給サイドを見直す必要があります。 

原発はいままで電力価格がなによりも安いというが売りものでした。しかしどうも怪しいというのは3.11以後満天下にバレてしまいました。 

燃えかすのプルトニウムはリサイクルして何度でも使い回しなどと目論でいたのですが、これがダメとなるとワンスルー方式(使い捨て)しかありません。 

今まで必ずリサイクルしますからとなだめすかし札びらで頬を叩いてきた青森六ヶ所村からも、「冗談じゃない。それでは増える一方だろう。約束違反だ。全部もとの原発立地に送り返すぞ」と言われるありさまです。 

となると1万年とも言われる超々長期の放射性廃棄物はどこに保管するということになり、ここまでを含めてライフサイクル・コストとして計上せねばならなくなりました。 

その上、いまだ膨大な賠償が残っているのですから、事故賠償・除染費用まで含めてコスト計算し直さねばならなくなりました。 

そして今後再稼働で求められる最大限安全基準に合致するため安全設備の徹底まで含めると、電力会社経営は失神する思いでしょう。 ああ、原発なんぞ、お国に言われて作るんじゃなかった、と。

まさに今や原子力は最も安価なエネルギー源どころか、とてつもなく高い「発電効率」となってしまったわけです。 

では、一方の再生可能エネルギーはといえば、なんどか書いてきたとおり、固定価格全量買い取り制度(FIT)という破格の高額買い取りと、直接間接の公的補助金が投入されて初めて成り立つものです。 

この補助金をカットすると、火力発電の5倍から7倍増しの電力価格になってしまうと言われています。

そして日本の場合その稼働率は11~12%と見積もられていますから、そのバックアップとして火力発電所をセットで考えるか、あるいは大型蓄電池を実用化せねばならなくなりました。

そうなるといっそう効率は低下して、再生可能エネルギーの電力価格は火力発電の10倍近くになるだろうと考えられています。これは電力価格の高騰と、公的補助金の負担という二重の形で消費者が負担することになります

このようなライフサイクル・コストや、公的補助金、FITまで視野に入れて発電効率を考えないと真の姿は分からないということになります。

従来、原子力推進論者はこの放射性廃棄物処理・保管や事故賠償を度外視してコストを語っていました。

皮肉にも同じことを原発の代替と目されている再生可能エネルギー派もしています。飯田哲也さんは原子力には切れ味がいいのですが、再生可能エネルギーにはいいことしかいいません。バランスが悪いでしょうに。

これでは両者とも都合の悪い部分は語らずに、国民を愚民視していることはかわらないことになります。これでは真の国民的論議には遠いでしょう。

エネルギーを語るにはただ今の電力価格ではなく、資源の産出-投入を考えたライフサイクル・コストの長い眼が必要です。

■写真 コスモス(秋桜)が咲き始めました。早く来い、秋!もう限界だぁ。

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こず様のご質問にお答えして 再生可能エネルギーの限界について


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こず様からいいご質問を頂戴しましたので、これに答えさせていただく中で話を進めていきたいと思っています。

「東電の言いなりに電気料金を払うのもシャクなのですが、再生可能エネルギーって生産エネルギー以上に発電できるのですか?
特に太陽光発電は金儲けの道具になっている気がしてなりません。廃棄も含めて、原発以外の今の電力会社の発電方法より地球の為にいいのでしょうか?」

再生可能エネルギーと人間とのつきあいは非常に長く、ある意味化石燃料より長いとすらいえます。

しかし、その「長いつきあい」の割にエネルギー源に占める割合は、再生可能エネルギーを国策としたドイツでさえ最大で16%ていどにすぎません。

その内訳はというと、風力発電が4割、バイオマスが3割、水力が2割、太陽光が1割未満です。

太陽光は再生可能エネルギーの代表選手のように思われているものの、実は全エネルギー源の0.2~0.4%(2010年現在)にすぎませんPhoto_2

そう聞いて驚かされるのは、太陽光発電があまりにしょぼいことです。わずか0.2~0.4%ではそう言われてもしかたがありませんよね。

ご質問の生産コストと産出電力量との比率に関しては私は資料を持ち合わせませんが、太陽光のていどの効率では低いといえると思います。ただし、再生可能エネルギーは多種多様ですので一般的な断言はできません。

むしろ私が問題だと思うのは、再生可能エネルギーが増えることによって、ドイツは環境負荷の大きい石炭火力発電に49%、すなわち約半分のエネルギー源を依存してしまったことです。

好むと好まざるとにかかわらず、脱原発によって化石燃料シフトが起きてしまったのです。

これは再生可能エネルギーを法律で強制的に導入させられた産業界が電力コストを低く抑えるために窒素酸化物や硫黄酸化物が大量に出ることを知りながら石炭を使用しているからです。

そのために、ドイツの大気汚染は脱原発政策によって確実に悪化したと言えます。特に2008年からの2年間の二酸化炭素の排出量の増加は危険視されています

これを見ると、ドイツ型脱原発政策は単に電力価格が高騰するだけではなく、環境悪化につながりかねないことがわかるでしょう。

さて、世界で最大のメガソーラー発電所はどこか知っていますか?それは米国のモハベ砂漠で計画されている40万キロワットなのですが、この稼働率は砂漠なのにもかかわらず2割ていどなので実質10万キロワット程度の発電能力しかありません。

これは通常サイズの天然ガス・コンバインドサイクル火力発電所1系列の4分の1ていどでしかありません。原発と比較するのは気が進まないのですが、あえてしておけば1基の10分の1ていどのものでしかありません。

これではジャンボジェットのエンジン1基分も出力できません。しかもそれは瞬間最大出力時であり、朝や夕方、曇りや雨ではほとんど発電しません。

そして太陽光は既に発電転換率の理論的限界値まで達してしまっているため、今後の伸び白がありません。

つまり、太陽光発電はいかに脆弱な電源かと言うことです。私は太陽光は原発の代替ネルギーとしてはもっとも不適格だと思っています。

今脱原発運動の中で、過剰な太陽光発電への期待が作られていますが、私はほどほどにしておいたほうがいいと老婆心ながら思っています。(ちなみに私は初期の太陽光発電の導入者で、もうかれこれ15年間も使っています。)

ですから、私は太陽光発電に42円もの飛び抜けて高い固定全量買い取り制度(FIT)を導入することには反対でした。

もっとも期待薄な電源に最も高い買い取り価格を設定するなどあまりに酔狂にすぎます。FITは政府の税金を使っての政策誘導なのですから、もう少し賢明てなければればなりません。

この制度は初期に先行した投資家のみが得をする仕組みですから、(来年から買い取り価格は下がります)、儲けるなら今のうちとばかりに外国のファンドが日本にメガソーラーを作る計画も進行しているようです。

その連中は中国製の安いパネルしか使いませんから、国富をジャブジャブ外国に流出させているようなものです。

北欧の農業国のエネルギー転換ではなく、世界最大級の工業国のそれなのですからもう少しバランスよく考えたほうがいいと思います。

さて、こず様のもうひとつ質問ですが、

「廃棄も含めて、原発以外の今の電力会社の発電方法より地球の為にいいのでしょうか」

太陽光パネルは有害な化学物質が一部含まれていて、パネルのシーリングが粗雑だと漏れだす可能性があります。事実、米国製の製品にそのようなものがありました。

パネルの寿命はメンテナンスさえよければ50年くらいはもつでしょうからまだ大量廃棄の時代は迎えていません。そうなった場合はパネル廃棄問題が浮上することでしょうね。といっても、原発の廃炉よりは比較にならないくらいましですが。

太陽光発電の環境問題はむしろ先に述べたように、太陽光などの再生可能エネルギーが増えると、ドイツのように化石燃料発電が増えて大気を汚すことです

再生可能エネルギー自体はクリーンなエネルギー源ですが、バックアップに化石燃料発電を必須とするために、結局、原発より環境負荷が多くなってしまっています。

日本は石炭火力ではなく、天然ガスなどの環境負荷の少ない代替エネルギーを選択すべきではないでしょうか。

3番目の質問としてとして

「地域で発電のネットワークが出来たとして、その電気は出来た地域で使えるのですか」

う~ん、現状ではかなり困難です、と言っておいたほうが正直かな。

釜石のような風力発電や電力会社所有ではない火力発電所は一括してPPS(新電源)と呼ばれているのですか、これは原則は事業所向けであり大口消費者しか利用できない仕組みがあります。

ですから、PPSは残念ですが消費者個人では利用が難しいのが現状です。ただし、行政が中に入って市民をグループ化して共同購入するなどの方法で利用が可能になります。

この方法を使って、東京都でも東都生協やパルシステムなどが再生可能エネルギーのPPSからグリーンエネルギーの共同購入を開始しようとしています。

この系統電力という壁は発送電分離の問題とからまっていますので、当分は抜け道を作るか、代替エネルギー特区を作るかして乗り切っていかねばなりません。

いずれにせよ、現在は原発という過渡期的エネルギーから別のスタイルへの転換期です。その工程もろくすっぽ論じないうちから2030年までに原発ゼロとか言うほうがおかしいのです。

しっかりと議論しましょう。それが最良の「脱原発」の道です。大変鋭い質問をありがとうございました。私も勉強になりました。

■写真 霞ヶ浦の真夏。灯台のようなものは標識です。

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原発立地自治体は原子力行政に権限を持て

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今日であの大震災からちょうど1年半です。東北被災地の一日も早い復興をお祈りします。

さて、私が3.11以後なんどとなく感じたことは、地方分権、道州制などと言われながらなんという地方権力の無力さだろうか、ということでした。 

無力さとは、100年に一度の非常時においては県民を保護しない不作為を意味します。砂丘に頭を突っ込むダチョウの如し。それは端的に放射能対応に現れました。 

怖いから見ない、見ないからないものとする、あると分かれば対策をたてねばならないが、国が何も指示してこないから結局なにもしない。

もういちいち例示するのも疲れるほどです。激動の1年間は懐手して農民を放置し、農地や霞ヶ浦すら計測せず、最後に私たち有機農業者が窮状を訴えに行けばナントカフェスのパンフを与えただけで恬として恥じない。まったくたいした人たちだと思いました。
(漁業に対しては農業よりはるかにまともな放射能対策がなされました。)
 

なぜ県行政はこうなるのでしょうか。それは原発行政に関して地元行政がなんの椅子も与えられていていからです 

わが茨城県はもっとも古い原発立地県でありながら、東海村第2原発の運営に関しては国と電気事業者に一任されてきたために、地元自治体というもっとも重要なステークホルダー(利害関係者)でありながら、事実上なんの発言権もありませんでした。 

立地地域住民、いやいったん過酷事故が起きれば県全域が地獄の釜に放り込まれるというのに、その釜の蓋が開かない限り自治体首長はなんの発言権もないのです。 

その発言権すら、国にとっては法的に聞かねばならないというものではなく、「世論がうるさいからいちおう聞くポーズだけはしておこう」ていどのものでしかなかったのは再稼働問題で明らかになりました。 

今のように原子力保安行政になんのタッチもできない現状から、すべてに国頼み、国の指示待ちという地方自治体のスタイルが生まれてしまったのです まさに馴れ合いです。

再稼働に対しても、意見をお聞きしましたという国のガス抜き同然のヒアリングではなく、安全に瑕疵があればいつでも稼働を停止できる強い権限を立地自治体に与えるべきです。 

そして原発立地自治体は、財政的には電源開発促進税を手にすべきです。これを県が主管することで、これから長く続くことが予想される稼働停止状態の中でも、一定の税収を確保していける法的権限が生まれます。 

今の電源開発促進税は、税の一部が国の一般会計に消えてなくなるという本来の税の意味のはき違えが生じてしまっています。 

現状の電源開発促進税の使われ方は、立地自治体の大きな社会施設などに費消されており、ほんとうに県民を放射能から守るためにはごく一部の金しか使われていないありさまです。 

このような立地自治体に対する宣撫工作まがいに促進税を使うのではなく、立地県全域の放射能測定体制の充実、除染活動の支援、非常事態における備え、新エネルギー開発への支援などに使用すべきでしょう。 

この電源開発促進税と原子力保安行政への参画を県が握ることで原発の運営の首根っこを抑えることが可能です。 

先日来述べている地域自足型発送電網もこのような原子力行政への地方自治体の参画なしではありえません。

今、県行政は3.11の真の総括をしていたきたい。なにができなかったのか、何ができたのか。できなかったとしたらなにが原因だったのか、胸に手をあてて考えることです。

■写真 湖岸の田んぼでもいっせいに稲刈りが始まりました。 

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今年の夏は「新電力元年」となった

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この夏の最大電力消費量の集計データが出ましたのでアップしておきます。
(欄外参照)

政府見通しは記録的猛暑だった2010年をとって「15%電力不足が生じる」という需給見通しを立てて、それを原発再稼働の理由としていました。 

現実のこの夏の気温はというと、ご承知のように焼けつくような暑さ。平年並みを1度上回っていました。 

「気象庁のまとめでは七月の気温は全国的に高く、特に下旬は猛暑日を観測する地域も多かった。八月も沖縄県を除いて気温は初旬と下旬に平年を大きく上回り、月間平均でも平年を一度上回った。」(東京新聞9月7日) 

一番の猛暑日だった8月3日の最大消費電力の供給余力は2.7%で、政府が最低限必要とするとする3%にはやや足りなかったものの、なんとか他社からの電力融通をつければ乗り切れた数値だったようです。 

また、全国の電力会社9社のうち最大消費電力の事前予測と最もズレたのが、あろうことか大飯原発再稼働問題で大騒ぎを演じてみせた関西電力のマイナス11.1%だったというのは、もはや大阪爆笑コントの芸域に達しています。 

大飯3、4号機の再稼働は不要だったということです。ちなみに第2位が東京電力だったというのもなにかの因縁でしょうか。 

これは東北電力副社長が会見で述べているように、「省エネ機能を高めた空調機器に交換するなど、当初に想定した二十万キロワットを上回る節電があった」ためです。

この夏を経験して、各家庭、企業の節電意識と対策は画期的に進みました。 

私の住む地域に隣接する日本屈指の工業地帯である鹿嶋・神栖では、聞くところによると、各企業軒並みに夏以前に自家発電装置を拡充し、コジェネレーション・システム(熱電併用)の採用で対処したとのことでした。 

この夏場対策を経て事業所の節電と自家発電能力は増大し、結果としてPPS(新電力)能力は増大していくことでしょう。

これはPPSに不当に高い送電網使用料を付加することによって既存電源を守ろうとしている電力会社の牙城を揺るがせることにつながっていくことでしょう。 

これはひとつに、原発再稼働が必要であったという大きな疑惑を政府につきつけ、さらに既存の電力会社の系統電力のみに頼らない地場電源によるスマート・コニュニティづくりへと進む可能性を秘めています

先にあげた鹿嶋・神栖工業地帯には、波崎ウインド・ファームという大規模風力発電基地が存在します。

火力発電所もまた、鹿嶋火力発電所、住友金属火力発電所、鹿嶋共同火力発電所と3カ所も存在しています。

つまり鹿嶋・神栖工業地帯には、再生可能エネルギーをバックアップする火力発電所が複数近接し、その上多数の事業所PPSも存在するという絶好のスマート・コニュニティを可能とする条件が揃っていることになります。

今までそれが実現しなかったのは、そこまでしてやる必要はないだろうという心理的モチベーションの壁が理由でした。

皮肉なことに今回政府は、電力会社の言い分を丸呑みしたために「原発再稼働しないと15%の電力不足で大停電」というオオカミ少年をしでかし、かてて加えて電力大幅値上げをすることで、各企業に深刻な既存電力会社不信を植えつけてしまったことになります。

ことに大量の電力を常時必要とする鉄鋼、精密機械、IT産業、自動車産業などに「既存電力会社頼みにならず」という心理を植えつけてしまいました。

電力の恒常的な供給不安、毎年割高になっていく電力料金、まさにこれこそが電力の制度的技術的イノベーションを進める動機でなくてなんなのでしょう。

電気は高くてけっこう。あながち反語ではなく、電気料金が政策的に引き下げられている国に発電や節電のイノベーションは起こりようがないではないですか。石油がバカ安で買えた米国がエコカーで大きな遅れをとったのと一緒です。

この夏の苦い経験を経て、さまざまな分野でいっせいにありとあらゆるものから発電を試みる事業が開始されました。

今や駅やブリッジの騒音からすら発電が可能となってきました。遠からず、ありとあらゆるビルや車の窓は太陽光発電シートで覆われて自家電源をまかなう時代となることでしょう。

そして、釜石市のように地域経済の核となる企業を軸として、ポジティブで現実的な地場発送電網の取り組みがいっそう進んでいくだろうと思います。そして同じ条件を持つ多くの地方都市がそれに追随することでしょう。

全国を貫通するスマートグリッドは作らねばならないとしてもそうとう先の話となります。国民や企業はそこまで待てないのです。地場の火力と再生可能エネルギーを巧みに組み合わせた地域自足型発送電網を作らねばなりません

今、その障害となっている旧弊な電力制度もそれに対応して進化させねばなりません。そのように考えると、この夏はまさに「新電力元年」だったのです。

逆説的に言えば、稀代の愚昧前首相が政局がらみで再生可能エネルギー法を無理矢理押し込み、電力問題など考えたこともいなかったその後継首相が電力会社のいいなりになることで、かえって日本のエネルギー新時代は開かれたことになったようです。

その意味で、野田政権は大変にいい仕事をしてくれたことになります。

■写真 炎天の夏の風に蓮の花 が揺れています。

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再稼働不要裏付け 今夏消費5~11%減
東京新聞2012年9月7日
 

 政府は、関西、四国、九州の三電力管内に求めた夏の節電の数値目標を七日午後八時に解除する。家庭と企業に節電の意識が浸透。実際の消費電力は電力各社の事前の予想を大きく下回った。中でも「15%の電力不足に陥る」と主張していた関西電力の需要予測は過大だったことが明らか。専門家からは「大飯原発(福井県おおい町)の再稼働は必要なかった」との声が出ている。 (吉田通夫) 

 電力各社は四月に政府の要請を受け、二〇一〇年並みの猛暑と、平年並みの場合とに分けて夏の電力需給見通しをまとめていた。 

 実際の電力各社の電力消費をみると「猛暑」の想定より5・2~11・1%少なく、「平年並み」の想定に対しても東北電力を除く全社で2・2~9・1%少なかった。 

 気象庁のまとめでは七月の気温は全国的に高く、特に下旬は猛暑日を観測する地域も多かった。八月も沖縄県を除いて気温は初旬と下旬に平年を大きく上回り、月間平均でも平年を一度上回った。今年は「暑い夏」だったのに、実際の電力消費は平年並みを前提にした予想も下回り、夏の電力不足の恐れを強く主張していた政府と電力会社への信頼が揺らいでいる。 

 特に大飯原発の再稼働に踏み切った関電の需要見通しは過大だったことが鮮明になった。仮に大飯原発の稼働がなくても最大消費電力を記録した八月三日の供給余力は2・7%あった計算。政府が「最低限必要」と主張する3%は下回ってはいたが「他社から余った電力を購入して供給力を高めることもできた」との指摘もある。 

 大阪府と大阪市が設置した専門家らによる大阪府市エネルギー戦略会議(座長・植田和弘京都大教授)は「西日本全体でみると(電力供給に)余裕があった。野田佳彦首相の再稼働の判断は根拠がない」と大飯原発の停止を求めている。 

 関電以外の電力各社の管内の電力消費も軒並み予想を下回った。理由について東北電力の佐竹勤副社長は六日の記者会見で「省エネ機能を高めた空調機器に交換するなど、当初に想定した二十万キロワットを上回る節電があった」と分析した。 

 家庭では窓際に植物を植えるグリーンカーテンや省エネ家電といった節電策が普及。企業や事業所の間にも重油などを燃やして熱を利用する際に発電もする「コージェネレーション(熱電併給)システム」を増やすなど、自衛策が広がったことも節電につながった。 

(東京新聞)

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釜石・スマートコミュニティを通して震災復興に挑む希望の街

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日本における再生可能エネルギーの導入は、制度的に初手で失敗したと私は思っています。それはEUでつまずいたFIT制(固定・全量買い上げ制度)を導入してしまったからです。 

しかし、にもかかわらずというべきでしょうか、再生可能エネルギーは21世紀の重要なエネルギー源候補であることには変わりありません。 

なにか脱原発の御神体を祭るように神格化する扱いが間違っているだけであって、再生可能エネルギー自体は活かし方さえ誤らなかったら、こんな魅力的な電源はありません。 

岩手県釜石市に再生可能エネルギーの先進事例があります。釜石市は3.11の大震災で大津波に襲われた地域のひとつです。 

明治以降に実に今回で4回もの大津波に耐えてきました。3.11においても1061名もの死者・行方不明者という痛ましい被害を受けています。 

私がこの釜石の人々に感嘆するのは、生き残った人々が「引っ越せばいい」という安直な声に耳を貸さなかったことです。 

なんとかふるさとを再生するのだ、生き方を取り戻すのだという願いの強さです。これはとりもなおさず地場産業復興であり、それによる雇用の創出です。 

「鉄の町釜石」、「漁業の町釜石」、「農業の町釜石」、この三つが相互につながって「釜石市復興まちづくり基本計画」を作りました。 

この基本計画のひとつひとつは実に興味深いもので、なし崩し的に「復興」しつつあるわが茨城南部地域にはまぶしいほどです。その中のひとつに「スマートコミュニティなどによるエネルギー多様化に向けた取り組み」があります。

これが実に「釜石らしい」のです。

というのは、豊かな山林資源を後背地に持つ「鉄の町釜石」という地域的特性、海に面しているために海風が強く吹く地形、そしてLP(液化石油)ガス関連施設の存在という多様な地場エネルギー源が釜石にはあるのです。

これは再生可能エネルギーの大胆な取り組みをする上でまたとはない条件でした。お分かりになるでしょう。再生可能エネルギーのもっとも大きな欠点はなんでしたか?

そう、それは定常性がないことです。風力発電ではその時の風向き、風量に支配され、太陽光では曇り、晴れの天気に一喜一憂するという難点のために、常にバックアップ電源として火力発電がなくてはならないことです。

しかしこれらが一括してひとつの地域にセットされていたとしたら、その地域内での分散型電源網を作り、地域内配電網をコンピュータでコントロールすることによって自立した発送電網ができるのではないでしょうか。

これがスマートコミュニティです。次回もう少し詳しく釜石市の実験をみていきます。

■あすあさっては定休日です。また月曜日にお会いしましょう。

■写真 筑波山神社です。

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原発は過渡期的エネルギーにすぎない。脱原発の「先」が大事だ

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私がうんざりする気分になるのは、原子力問題がイデオロギー対立と化していることです。 

必ず「脱原発」といわなければらない、あるいは逆に原子力を護持せねばならない、その二項対立の構図の中でしか議論が進んでいきません。そしてその固着した構図の中でお互いにネガティブ・キャンペーンを張っています。

脱原発派は、再生可能エネルギーを礼賛しないと怒りだしますし、原子力護持派はなにを子供じみたことをと言わんばかりに原子力に固執します。まことに不毛なことです。 

「脱原発」などあたりまえではないですか。なぜなら、原子力はわが国において未来はないからです。日本における新規の増設は絶対にありえません。3.11以降、それを認める自治体があるはずがない。 

また使用済み核燃料や廃炉した後に出る放射性廃棄物などの最終処分問題が、わが国の狭い国土て解決される見込みはありません。 

政府はようやく核燃料のリサイクルという迷妄から覚めたようですが、一回だけのワンスルー方式にしたところで、このバックエンド問題はどこまでも原発につきまといます。 

いままで稼働から30年間、40年間という常識を逸した長期間にわたって古ぼけた原子炉をなだめすかして使用してきたのは、単に電力会社経営がいぎたないだけではなく、廃炉した後の処分場のめどがたたなかったからでもあるのです。 

バックエンド問題という最終末端を解決できない以上、原子力は過渡的なエネルギー源でしかなく、一刻も早くその過渡期は終了させるべきなのです 

もうこれ以上使用済み核燃料を増やすことはできない。したがって「脱原発」などあたりまえであり、問題はそれを言うことではなく、その「先」を考えることなのです。 

今ある原発をいかに迅速に畳んでいくのかというリアルなテーマこそが大事であり、同時に原子力なき後のエネルギー供給を安定的に供給するという大テーマも真剣に考えていかねばなりません。 

私は飯田哲也氏が言うほど再生可能エネルギーがスムーズに原子力と置き換わっていくとはとうてい思っていません。 

それはかのドイツでさえ国策的な努力と膨大なコストを10年間かけていまだ16%の域にとどまっているのを見ればわかります。 

ドイツは原発ゼロの代償として、石炭火力が46%をも占めるようになりました。(下図参照)

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それにつれて二酸化炭酸ガスはもとより、硫黄酸化物や窒素酸化物の増大という古典的公害が復活しました。 (下図参照)

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またFIT(フィード・イン・タリフ・固定価格全量買い取り制度)の失敗によって、ドイツやスペインは国家財政が傾き、年々買い取り量を減らして、額も下げていかざるをえませんでした。 (下図参照)

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一方、日本はこの石炭ゼロエミッション(環境低負荷)の技術は保有しています。これをさらにIGCC(石炭ガス化複合発電)、CCS(二酸化炭素回収・貯留)技術の本格実用化へとつなげていく必要があります。 

太陽光の転換率は国際的に最も高い効率をもつ技術も保有していますし、再生可能エネルギーの核心技術であるはずの蓄電池の研究もおそまきながら進んでいると聞きます。 

つまり、技術的には原子力が減衰するのを置き換える石炭・石油火力発電の環境技術的な解決はドイツよりは進んでいるとはいえます。 

ただし、コスト面では長期に渡って非常に高価なエネルギー源となることを覚悟せねばな りません。電気料金の高騰は当然のことです。 

しかし、わが国特有の「技術は一流、政治は三流以下」という体質のために、こともあろうに失敗を宣告されているドイツ型FITを導入してしまいました。 

これにより先行投資者のみが利益を上げるえげつない修羅場に誕生まもない再生可能エネルギーは投げ込まれてしまったことになります。 

そのうち詳述しますが、おそらくはFITの性質からして技術革新は進まず、安価な中国製品にパネル市場は独占を許すことになるはずです。 (下図参照・見にくいですが赤線の中国製が急上昇しています。)

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原子力をゼロにしていくためには、技術的なブレークスルー(突破)と、それを保証する制度的裏付けがなければなりません 

この両者があって初めて「原発ゼロ」になるのです。選挙目当てに専門家会議ひとつせずに決められた政府の「原発ゼロ」路線などは、かえって問題をこじらせるだけのものでしかありません。

■関連記事 本日アップしたデータの詳細な解説は以下の過去記事をご覧ください。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-e850.htmlhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-1825.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-c7a2.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-922a.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-cc56.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-fda2-1.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-5189.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-f3dc.html

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国は原発を国有化しろ

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民主党政権は「原発ゼロ」を打ち出しました。まだ党内調整が残っていますが、選挙前に国会が開店休業なのをいいことに駆け込み閣議決定くらいはするつもりでしょう。 

こういうのをなんとかの最後っ屁というのでしょうな(笑)。確率100%であと数カ月の余命しかない末期政権が、こんな重大事をすんなりと決定すること自体お笑いです。 

だいたい事故処理に失敗した政権がどの口でゼロを言うのでしょうか。少なくとも枝野経産相からだけは聞きたくない。 

問題は山のようにあります。「原発ゼロ」ニした場合に3割を占める原子力の代替エネルギー問題はこれまでこのブログでも幾度となく書いてきましたので今回はふれません。 

もうひとつの大きな問題は、「今ある原発をどう処分するのか」です。 

「今ある原発を処分する」には、再稼働を認めねばいいという単純な問題ではなく、東電処分や、賠償責任問題、あるいは廃炉にともなって大量に出る使用済み燃料なとのバックエンド問題というような複雑な問題をかたづけねばなりません 

たとえば、私なども「被曝地」住民のひとりとして関わっている賠償などで、東電は頑として原賠法第3条ただし書きにある「異常に巨大な天変地異」を事故原因として無限責任を拒んできました。 

事故直後の東電社長会見から今年の東電事故調報告書まで、一貫してその主題は貫かれています。 

東電からすればこのように主張することで、おそらくは10兆円以上にのぼると思われる賠償の無限責任から免責されたいと考えており、連帯責任の当事者として国を引っ張り込むことを狙っているからでしょう。 

福島第1原発事故により壊滅的打撃を食った私としては実に不愉快ですが、私企業としては当然と言えばいえないこともありません。 

というのは、今の国は原賠法を楯に資金の貸しつけだけで済ましてしまいたいわけで、どこまでも口は突っ込むが責任は負わないという図々しいスタンスのままいたいというのが本音だがらです。 

国策民営方式で「原子力ムラ」とまで言われる隠微なもたれあい構造を作っておき、両者間で責任の所在を明らかにしないまま3.11の悪夢を迎えてしまいました。 

「いい時にはなぁなぁでおだて上げ、過酷事故が起きれば縁切り。そりゃあないだろう。お国の政策を誠実に実行しただけだぜ」というのが東電さんの言い分です。 

次期政権がどのような決断をするのかわかりませんが、国は責任を回避すべきではありません。 

国策民営という方式では責任の所在があいまいになり、被災者は誰に対して要求をしていくのかすらあいまいになってしまいます。 

国は今回の事故が積年の縮図であることを認めて賠償の矢面に立つべきで、ここをあいまいにし、資金注入だけで逃げようとするからおかしくなるのです。 

事故処理の一級戦犯である枝野氏までが、電気料金の値上げは許さないなどとチャラ顔をするからおかしくなるので、東電さんと一緒に、あんたにだけは言われたくよねぇ、と言いたい。 

国策によって作られた原子力政策により起きた事故の賠償は、正しく国が受け止めるべきで、それだけにとどまらず国策支援が不可欠な原子力発電事業総体を国営化すべき時期に入ったと思います。

これは電力会社の雄である東電ですら、いったん過酷事故の被害を起こせば経営破綻することが明らかになった以上、リスクマネージメントの上からも必要なことです。

9電力会社すべての原発を一括して経営から切り離し、新たに作られる国営原子力発電会社に移管すべきです。

このことによって従来の宿痾であった国と電力会社のもたれ合いを解消し、国の責任を明確にできると思います。

特に、加圧水型よりも事故が頻発している沸騰水型原子炉を所有する東電、東北電、中部電、北陸電、中国電などの電力会社原子炉を、先行して経営切り離しを実施する必要があるかしれません。

■写真 地方から東京に伸びる高圧線

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民意・総選挙を考慮…政府・民主「原発ゼロへ」
2012年9月4日  読売新聞
 

政府・民主党は3日、将来の原子力発電の比率について「ゼロの社会を目指す」とする方向で調整に入った。

 同日開かれた民主党エネルギー・環境調査会(前原誠司会長)の役員会で、「原発ゼロ」を目標とする素案が提示された。 

 ただ、政府内や党内には「原発ゼロ」への反対論も根強い。政府は4日、関係閣僚によるエネルギー・環境会議を開いて、原発比率に関する国民の議論を分析する。さらに、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルや、原子力を巡る日米関係への影響を検証し、民主党の議論なども踏まえ、10日にも原発比率目標を盛り込んだ新たなエネルギー政策をとりまとめる方針だ。 

 3日示された素案は、〈1〉40年運転制限制を厳格に適用する〈2〉新規建設を認めない――との原則に従い、原発ゼロを実現するとした。原発ゼロの達成時期は明示せず、2015年に詳細を詰めるとした。ただ、出席した調査会役員からは「30年代のゼロ達成を目指すべきだ」との意見も出た。 

 一方、2日に行われた枝野経済産業相、古川国家戦略相、細野原発相らによる非公式協議では、「30年の原発比率を最大15%」とし、最終的にはゼロを目指す案が協議されたという。 

 政府・民主党が「原発ゼロ」で調整に入ったのは、世論調査や意見聴取会などで、国民の多くが原発ゼロを求めているという結果が出たことを考慮し、「ゼロ」目標が近く実施されるとみられる次期衆院選で有利に働くと判断したためと見られる。ただ、首相公邸で2日開かれた閣僚によるエネルギー政策の勉強会では、複数の閣僚から「ゼロ」に対する慎重論が出た。

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「脱原発」を精神論で終わらせてはならない

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今や「脱原発」は踏み絵となっています。たぶん今度の秋と言われる総選挙にはどの党も、どの候補者も口を揃えて「脱原発」を叫ぶことでしょう。

ところがどうしたらほんとうに原子力と縁を切れるのか、まともな議論を聞いたことがありません。こう言っては悪いですが、ムードなのです。

「脱原発=原発即時ゼロ」、「脱原発=再生可能エネルギーで代替」などという単純な構図で一国のエネルギー政策が転換するのだろうかと首を傾げてしまいます。

猪瀬直樹さんが書いているのですが、太平洋戦争突入前夜の昭和16年、日本が米国との総力戦になった場合どのようなシナリオになるのかを内部研究させた事がありました。

いうまでもなく答えは完全敗北。このシナリオは時の陸相の東條英機にも上げられましたが、彼はこれを読んでこう言ったそうです。意味このようなことです。

「日露戦争も勝つかどうか分からなかったが勝った。それは勝つという必勝の精神があったからだ。」

日本人の悪癖は国の進路を決定する時に当たって、複合的でリアリティのある手だてを考えずに、このような東条秀樹ばりの「必勝の精神」に傾くことです。理念さえ正しければ、天は我に味方する、というわけです。

ちょっと考えればわかるように、いくら正しかろうと手配りや手順が誤っていれば負けます。負けないためには、これがコケたら、次の手段を用意しておくという賢さというか、ズルさが必要なのです。

それが複合的なリアリズムです。複合的というのは、この脱原発という国家的選択に当たって、それを実行した場合どのようなシナリオがあるのかを頭を冷やしてあらかじめ考えておくことです。

ドイツは脱原発方針を決定するにあたって、ドイツ産業界と膝づめで議論をしました。それは当面脱原発のエースと位置づけられた再生可能エネルギーがほんのヒヨコでしかないからです。

再生可能エネルギーは未だ成熟した技術ではなく、フロンティア技術なのです。

それが定常的な電力を生み出すまでにはそうとうに長い期間かかるのはわかりきったことで、原子力が減少するペースに再生可能エネルギーが追いつくのは現時点では不可能です。

ドイツが脱原発で取った方法は、かつてのエネルギー構造に「戻す」ことでした。かつてのというのは原子力以前のエネルギー構成にということです。

2010年のドイツのエネルギー構成をみてみましょう。
・石炭          ・・・46%
・再生可能エネルギー・・・16%
・原子力        ・・・・26%

ドイツのエネルギー比率は、原子力が減るほど石炭火力発電が伸びるという基本構造だということが分かります。

またドイツがあれほど力を入れて普及に務めた再生可能エネルギーも、10年間かかって20%に届かない現実も分かります。

ドイツは原子力がなくなる目標の2020年あたりで、石炭や石油の化石燃料火力発電が60%近くに達するだろうといわれます。

ドイツは戦後一貫して炭鉱部門を保護してきました。それに過大な補助金を支出したために国内からの批判を浴び、国際的にも近年では地球温暖化に逆行するのかという批判を浴び続けてきました。

ドイツはこのような批判に対して、「脱原発」という新しい旗印の下にエネルギーの旧構造を復活させたのです。実にしたたかなものだと感心します。

だれも反対できない3.11以後の「脱原発」という世界の空気の中で、石炭火力を全面復活させるというシナリオは単純な環境正義ではなくつ政治戦略だったのです。

ドイツは温室効果ガスの排出権バトルから離脱することを念頭に置いていると思います。地球温暖化対策と脱原発は絶対に両立しないことが明白になったからです。

今、わが国の「脱原発」は誕生の熱気の中にあります。それが故に、この熱気をどのように持続していくのか、それを現実の政策にどう落とし込んでいくのかという思考が欠落したままです。

かつて原子力が、その地位を占めるまでに研究、実験、設備投資、燃料確保に至るまで数十年をかけていったと同じ途が「脱原発」に待ち受けていることを忘れてはなりません。

脱原発を「必勝の精神」で語ってはなりません。

■写真 どんよりとした雲の下にそよぐ稲穂

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石炭と再生可能エネホルギーのネバーエンディングストーリーの悪夢

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皮肉な話ですが、脱原発をめざして再生可能エネルギー(自然エネルギー)を増やそうとするとそのバックアップとして化石発電が増えていきます。

それは再生可能エネルギーがそのときの天候に左右される宿命にあるからで、常に供給過少に備えてバックアップ電源を準備しなければなりません。

ドイツでは、東欧圏から系統電力を分けてもらっています。

発電量が多ければ多いで、余剰電力をどうするのかの方法も考えておかねばなりません。スペインなどは長年その問題で悩まされてきており、その都度、外国に緊急輸出することをやっているようです。

外国の系統電力に助けてもらう以外には、国内の化石発電の発電量を飛躍的に伸ばしていくしか方法はありません。

日本の場合はEU圏のような系統電力に融通してもらういうわけにはいきませんから、自前でエネルギー源を探すとすれば今のところ化石燃料しかないことになります。

現時点では、具体的に候補となるのは、LNG(液化天然ガス)か石油、そして石炭です。火力発電所の再稼働や、新設にはかなり厳しい環境アセスメント法がありますが、一時的に緩和する措置を政府はとっているようです。

この火力発電所で原発を代替すると、2011年度実績で2.3兆円のコスト増となりました。13年度には更に増えて3.1兆円となると見られています。

さて、わが国のように既に国内の炭鉱部門が消滅した国と違ってドイツでは石炭部門が健在です。

これは炭鉱部門の雇用維持が目的で支払われたもので、1958年から2002年まで1580億ユーロ(18兆円)もの補助金を出してきました。

2006年現在でも年間3500億円という政府支出中最大の補助金枠をもっており、国内でも厳しい批判にさらされています。

この補助金上げ底をしてもなお、ドイツ産石炭価格はロシア、東欧からの輸入石炭の3倍以上であり、徐々に輸入石炭の比率を増やしていく措置が取られています。

このような国産石炭か輸入に頼るのかという内部のゴタゴタをかかえながらも、ドイツは再生可能エネルギーのFIT(フィード・イン・タリフ/固定全量買い取り制度)を始めたあたりから、みるみるうちに石炭火力発電所の比率を大きくしていきました。

現在のドイツのエネルギーの比率の第1位はこの石炭の42%が最大です。(下図参照)

Photo_2              (朝野賢司「再生可能エネルギー政策論 」より)

ドイツは徐々に石炭の補助金をカットしてて輸入石炭に代替する予定ですが、これと反比例して増加しているのが、再生可能エネルギーです。

この再生可能エネルギーへの補助金は増加は特にFIT(固定全量買い取り制度)の導入とともに急激に増加しました。(下図参照)

Photo_3                      (同)

すでに2006年時点でFITに対する補助金は石炭を上回り、しかも急激に増加していることがお分かりでしょう。

これは今もなお上昇し続けており、2010年時のドイツ政府のFITに対する政府支出は88億ユーロで、2030年までに数十億ユーロに達すると見られています。

原発型政府補助金は開発と設置まででが多くの比率を占めますが、石炭や再生可能エネルギーはどこまでも存在し続ける限り続く「ネバーエンディングストーリー」なのです。

■写真 筑波山と稲刈り間際の田んぼ

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