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2012年9月10日 (月)

今年の夏は「新電力元年」となった

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この夏の最大電力消費量の集計データが出ましたのでアップしておきます。
(欄外参照)

政府見通しは記録的猛暑だった2010年をとって「15%電力不足が生じる」という需給見通しを立てて、それを原発再稼働の理由としていました。 

現実のこの夏の気温はというと、ご承知のように焼けつくような暑さ。平年並みを1度上回っていました。 

「気象庁のまとめでは七月の気温は全国的に高く、特に下旬は猛暑日を観測する地域も多かった。八月も沖縄県を除いて気温は初旬と下旬に平年を大きく上回り、月間平均でも平年を一度上回った。」(東京新聞9月7日) 

一番の猛暑日だった8月3日の最大消費電力の供給余力は2.7%で、政府が最低限必要とするとする3%にはやや足りなかったものの、なんとか他社からの電力融通をつければ乗り切れた数値だったようです。 

また、全国の電力会社9社のうち最大消費電力の事前予測と最もズレたのが、あろうことか大飯原発再稼働問題で大騒ぎを演じてみせた関西電力のマイナス11.1%だったというのは、もはや大阪爆笑コントの芸域に達しています。 

大飯3、4号機の再稼働は不要だったということです。ちなみに第2位が東京電力だったというのもなにかの因縁でしょうか。 

これは東北電力副社長が会見で述べているように、「省エネ機能を高めた空調機器に交換するなど、当初に想定した二十万キロワットを上回る節電があった」ためです。

この夏を経験して、各家庭、企業の節電意識と対策は画期的に進みました。 

私の住む地域に隣接する日本屈指の工業地帯である鹿嶋・神栖では、聞くところによると、各企業軒並みに夏以前に自家発電装置を拡充し、コジェネレーション・システム(熱電併用)の採用で対処したとのことでした。 

この夏場対策を経て事業所の節電と自家発電能力は増大し、結果としてPPS(新電力)能力は増大していくことでしょう。

これはPPSに不当に高い送電網使用料を付加することによって既存電源を守ろうとしている電力会社の牙城を揺るがせることにつながっていくことでしょう。 

これはひとつに、原発再稼働が必要であったという大きな疑惑を政府につきつけ、さらに既存の電力会社の系統電力のみに頼らない地場電源によるスマート・コニュニティづくりへと進む可能性を秘めています

先にあげた鹿嶋・神栖工業地帯には、波崎ウインド・ファームという大規模風力発電基地が存在します。

火力発電所もまた、鹿嶋火力発電所、住友金属火力発電所、鹿嶋共同火力発電所と3カ所も存在しています。

つまり鹿嶋・神栖工業地帯には、再生可能エネルギーをバックアップする火力発電所が複数近接し、その上多数の事業所PPSも存在するという絶好のスマート・コニュニティを可能とする条件が揃っていることになります。

今までそれが実現しなかったのは、そこまでしてやる必要はないだろうという心理的モチベーションの壁が理由でした。

皮肉なことに今回政府は、電力会社の言い分を丸呑みしたために「原発再稼働しないと15%の電力不足で大停電」というオオカミ少年をしでかし、かてて加えて電力大幅値上げをすることで、各企業に深刻な既存電力会社不信を植えつけてしまったことになります。

ことに大量の電力を常時必要とする鉄鋼、精密機械、IT産業、自動車産業などに「既存電力会社頼みにならず」という心理を植えつけてしまいました。

電力の恒常的な供給不安、毎年割高になっていく電力料金、まさにこれこそが電力の制度的技術的イノベーションを進める動機でなくてなんなのでしょう。

電気は高くてけっこう。あながち反語ではなく、電気料金が政策的に引き下げられている国に発電や節電のイノベーションは起こりようがないではないですか。石油がバカ安で買えた米国がエコカーで大きな遅れをとったのと一緒です。

この夏の苦い経験を経て、さまざまな分野でいっせいにありとあらゆるものから発電を試みる事業が開始されました。

今や駅やブリッジの騒音からすら発電が可能となってきました。遠からず、ありとあらゆるビルや車の窓は太陽光発電シートで覆われて自家電源をまかなう時代となることでしょう。

そして、釜石市のように地域経済の核となる企業を軸として、ポジティブで現実的な地場発送電網の取り組みがいっそう進んでいくだろうと思います。そして同じ条件を持つ多くの地方都市がそれに追随することでしょう。

全国を貫通するスマートグリッドは作らねばならないとしてもそうとう先の話となります。国民や企業はそこまで待てないのです。地場の火力と再生可能エネルギーを巧みに組み合わせた地域自足型発送電網を作らねばなりません

今、その障害となっている旧弊な電力制度もそれに対応して進化させねばなりません。そのように考えると、この夏はまさに「新電力元年」だったのです。

逆説的に言えば、稀代の愚昧前首相が政局がらみで再生可能エネルギー法を無理矢理押し込み、電力問題など考えたこともいなかったその後継首相が電力会社のいいなりになることで、かえって日本のエネルギー新時代は開かれたことになったようです。

その意味で、野田政権は大変にいい仕事をしてくれたことになります。

■写真 炎天の夏の風に蓮の花 が揺れています。

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再稼働不要裏付け 今夏消費5~11%減
東京新聞2012年9月7日
 

 政府は、関西、四国、九州の三電力管内に求めた夏の節電の数値目標を七日午後八時に解除する。家庭と企業に節電の意識が浸透。実際の消費電力は電力各社の事前の予想を大きく下回った。中でも「15%の電力不足に陥る」と主張していた関西電力の需要予測は過大だったことが明らか。専門家からは「大飯原発(福井県おおい町)の再稼働は必要なかった」との声が出ている。 (吉田通夫) 

 電力各社は四月に政府の要請を受け、二〇一〇年並みの猛暑と、平年並みの場合とに分けて夏の電力需給見通しをまとめていた。 

 実際の電力各社の電力消費をみると「猛暑」の想定より5・2~11・1%少なく、「平年並み」の想定に対しても東北電力を除く全社で2・2~9・1%少なかった。 

 気象庁のまとめでは七月の気温は全国的に高く、特に下旬は猛暑日を観測する地域も多かった。八月も沖縄県を除いて気温は初旬と下旬に平年を大きく上回り、月間平均でも平年を一度上回った。今年は「暑い夏」だったのに、実際の電力消費は平年並みを前提にした予想も下回り、夏の電力不足の恐れを強く主張していた政府と電力会社への信頼が揺らいでいる。 

 特に大飯原発の再稼働に踏み切った関電の需要見通しは過大だったことが鮮明になった。仮に大飯原発の稼働がなくても最大消費電力を記録した八月三日の供給余力は2・7%あった計算。政府が「最低限必要」と主張する3%は下回ってはいたが「他社から余った電力を購入して供給力を高めることもできた」との指摘もある。 

 大阪府と大阪市が設置した専門家らによる大阪府市エネルギー戦略会議(座長・植田和弘京都大教授)は「西日本全体でみると(電力供給に)余裕があった。野田佳彦首相の再稼働の判断は根拠がない」と大飯原発の停止を求めている。 

 関電以外の電力各社の管内の電力消費も軒並み予想を下回った。理由について東北電力の佐竹勤副社長は六日の記者会見で「省エネ機能を高めた空調機器に交換するなど、当初に想定した二十万キロワットを上回る節電があった」と分析した。 

 家庭では窓際に植物を植えるグリーンカーテンや省エネ家電といった節電策が普及。企業や事業所の間にも重油などを燃やして熱を利用する際に発電もする「コージェネレーション(熱電併給)システム」を増やすなど、自衛策が広がったことも節電につながった。 

(東京新聞)

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コメント

先程ちょうどタイムリーにNHK「おはよう日本」で、山形市の街路灯のLED化の取り組みが紹介されていたので…。

元々工業生産高が少なく零細下請けが多い土地なのですが、たまたま震災以前の一昨年から実証実験を始めていたこと。また、大手メーカーが円高で生産の海外シフトを進めていたことで、地場産業が危機に瀕していたために保護する目的もありました。

まだ僅かシェア2割程ですが、中小企業ならではの小回りの良さを最大限に活かそうとしています。
たとえば番組に出てきたスーパーなど、売り場に合わせた「商品の見映え」を意識した素早い製品作りです。

我が町内もちょうど街路灯の更新時期だったので、町内会負担はけっこうありましたが全部LEDになりました。
若干照度は下がりましたが問題ありません。
また、光が下に向いているので「星空」も見やすくなりましたよ。

番組で強調していたようないいことばかりとは言いませんが、節電と地場産業確保の在り方として、ひとつの方法だと思います。

数週間前にこのブログにHITしてから毎回色々なことを、無い頭なりに学ばせて頂いています。

素朴な質問を幾つかいいでしょうか。
東電の言いなりに電気料金を払うのもシャクなのですが、再生可能エネルギーって生産エネルギー以上に発電できるのですか?
特に太陽光発電は金儲けの道具になっている気がしてなりません。廃棄も含めて、原発以外の今の電力会社の発電方法より地球の為にいいのでしょうか?

それから、地域で発電のネットワークが出来たとして
その電気は出来た地域で使えるのですか?
電力会社の電線を使って遠くまで運ばれるのならロスが出るからイヤだな~と思うのですが・・・

初歩的な質問ですみません。
でも、管理者さんならご存じかと思い質問させて頂きます。

こず様。コメントありがとうございます。記事のほうでお答えします。

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