政府、大間原発、島根3号機の建設を認める!
なんとも驚きいった政府決定がありました。枝野経済産業相は、青森県大間(おおま)原発と島根県島根原発3号機の建設再開と稼働を認めることにしたそうです。
「枝野氏は会談で「原子炉の設置と工事計画許可が与えられている原発について、経産省の立場として変更は考えていない」。(読売新聞9月15日)
大間原発は大震災で工事が中断していたものの、工事着工が認められたのですから2010年代のそう遠くない時期に稼働を開始することになります。
となると仮に2015年稼働開始だとして、政府の14日に出したばかりの「革新的エネルギー・環境戦略」のなかにある「40年運転制限」の政策の縛りをかけると2055年まで稼働してしまうことになり、「2030年代までの原発ゼロ」を堂々と15年もオーバーしてしまうことになります(苦笑)。
このままでも40年稼働規制で、2030年代の終わりの2039年には原発は15%ていどにまで減数しているわけですから、あえて増やさねばいいだけです。15%程度なら一気にゼロにまて持ち込める程度のボリュームです。
政府は「原発30年代までに廃炉」方針を打ち出した時に、新規の原発の建設は認めないと言いながら、建設中のものに関しては口を濁した表現をしていました。
これでその真意が分かりました。計画中のものも数基ありますからどのような判断になるのでしょうか。
また、この大間、島根原発の工事再開についても、政府の原子力政策の柱である原子力規制委員会がダメと言った場合(考えにくいですが)、政府方針と食い違ってしまいます。この場合、どちらが上位の判断になるのか、興味あるところです。
それとも世上言うように規制委員会は原子力ムラのダミーなので稼働は揺らがないということなのでしょうか。
ちなみに現時点で30年から40年以上稼働している原発は以下です。
敦賀1・・・41年
美浜1・・・40
美浜2・・・38
島根1・・・37(markⅠ型)
高浜1・・・36
玄海1・・・35
高浜2・・・35
美浜3・・・34
伊方1・・・33
大飯1・・・33
福島1-5・・32(markⅠ型)
東海2・・・32
福島1-6・・・31
大飯2・・・31
玄海2・・・30
計 ・・・15基・・・①
これら15基は政府基準に沿って即時廃炉とすべきです。
また福島第1原発と同型の欠陥機であるmarkⅠ型は以下です。
敦賀1
島根1
福島1-5
女川1
女川2
女川3
島根2
浜岡3
浜岡4
志賀1
東通1
計 ・・・11基・・・②
①+②=26基(ただし重複2基で24基)
これで日本の原発の約半分は現時点で既に稼働停止となります。せっかく目標どおり減っていくのに、今更増やしてしまおうという政府の脳味噌の中身を覗いてみたいものです。
選挙目当てだとはわかっていても、もう少しどうかならないでしょうか。怒るというよりあきれてしまいました。
■写真 稲刈りはほぼ終わりです。台風がなくてよかったと残暑に炙られながら思っています。
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■経済産業相、大間原発、島根3号機の建設を認める
読売新聞 9月15日(土)12時50分配信
枝野経済産業相は15日、青森県の三村申吾知事や原子力施設のある市町村の首長らと青森市で会談し、東日本大震災後に工事を中断した電源開発大間(おおま)原子力発電所(青森県大間町)と中国電力島根原発3号機(松江市)の建設再開・稼働を事実上、容認する考えを伝えた。
両原発の建設が再開されれば、震災後初めての原発建設となる。
政府は14日に決めた「革新的エネルギー・環境戦略」に、2030年代に原発の稼働をゼロにする目標を明記した。運転期間を40年とする政府の原則に従えば、建設を再開した原発は50年代まで稼働できることになり、新たなエネルギー戦略の矛盾を早くも露呈する形となった。
枝野氏は会談で「原子炉の設置と工事計画許可が与えられている原発について、経産省の立場として変更は考えていない」と述べ、19日に発足する原子力規制委員会が安全を確認すれば、建設再開・稼働を認める方針を示した。
建設中の原発は、大間、島根3号機のほか、東京電力東通(ひがしどおり)原発1号機(青森県東通村)がある。ただ、東通1号機について、枝野氏は「東電が原子力について議論できる段階ではまだない」と述べており、建設再開の対象にはならないとみられる。
■<IAEA総会>「原発ゼロ」日本説明 見直す可能性も強調
【ウィーン樋口直樹】国際原子力機関(IAEA)の年次総会が17日、ウィーンで開幕し、日本の山根隆治副外相は「30年代の原発稼働ゼロ」を目標とする新エネルギー戦略を初めて全加盟国に説明した。「グリーン電源の開発に最大限取り組む」と決意を表明する一方、経済への影響や国際社会との協力状況をみながら「不断に見直していく」とも強調。将来的な再修正に強い含みを残した。
新戦略は将来的な原発ゼロを明記しつつ、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す「核燃料サイクル」の継続を確認している。兵器転用が可能なプルトニウムの蓄積には国際的な懸念もあるが、山根副外相は演説で核燃料サイクルの継続には触れなかった。
これに先立ち、天野之弥IAEA事務局長は冒頭演説で「(福島原発)事故後18カ月を経て、原子力が多くの国にとって重要な選択肢であり続けることは明らかだ」と原子力の重要性を再確認。1年前の総会で承認された原発安全強化に向けた「行動計画」の早期完全履行などを加盟国に重ねて要請した。
「原発大国」日本が将来的な原発ゼロにかじを切ったことは、原子力の信頼性とともに、「日米原子力協定」などで認められた核燃料サイクルの正当性にも疑問を投げかける。原発ゼロを決めながら核燃料サイクルの継続を打ち出したことで、将来的に行き場のないプルトニウムを蓄積することにつながる可能性があるからだ。
総会には155加盟国から政府当局者やNGO関係者ら約3000人が参加した。日程は21日までの5日間。日本は福島原発事故に関する技術セミナーを開き、現状の取り組みや今後の除染プランなどを説明する。
(毎日新聞9月17日)
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コメント
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IAEAでは脱原発表明。
一方では輸出促進。
日本の原発メーカーがアメリカ・フランスと合体しちゃってるんで事情は複雑でしょうが、もう少しハッキリしてくれないと困ります。
この時期にこれでは選挙目当てだとの批判を受けるのは当然でしょう。
それにしても、枝野にはどうこう行って欲しくないわあ。
投稿: 山形 | 2012年9月18日 (火) 07時25分
アップありがとうございます。
青森は美しい河川、肥沃な土地を持つ県です。
青森のお偉いさんが原発推進をするならば、日本は全力で「下・北・半島」に給油、送電の拒否など経済制裁をすべきです。
しかし、青森が大間原発産業を辞めて食料産業などへ移行するなら、東京は青森へ経済支援を実施したり、青森の自然保護を勧めるべきです。また、北海道なども青森が原発路線を辞めた場合に限り食料提供などで応援すべきです。
投稿: X | 2012年10月 1日 (月) 21時51分