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エネルギーの利用価値を判定する9項目+1とは

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マサチューセッツ工科大学(MIT)の舌をかみそうな名のテルツァキアン教授によるエネルギーの価値を判定する9の基準というリストがあります。(欄外参照) 

これはエネルギー源の利用価値を計るもので、「産出/投入比率」と合わせて使われているものです。 (産出/投入比率については欄外参照)
・関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-3.html

判定項目は以下です。 

汎用性      ・・・どんな用途にでも利用可能
量的柔軟性   ・・・微細にでも巨大にでも調整可能
貯蔵性・運搬性 ・・・自在に移動することが可能
ユビキタス性   ・・・時期と場所を選ばない
エネルギー量  ・・・面積・体積・重量当たりのエネルギー量
出力密度     ・・・時間当たりのエネルギー量
出力安定性   ・・・エネルギー出力の安定性
環境負荷    ・・・CO2や窒素酸化物・硫黄酸化物などの排出量
供給安全保障 ・・・産出地の政治的安定性

そしてこの9項目に、福島第1原発の過酷事故以後は10番目として「安全性」が付け加えられるべきでしょう。
 

欄外資料をご覧になっていただければ、分かりやすい表ですので、一目でそのエネルギーの利用価値が理解できると思います。

これで最高得点をかっ飛ばしているのが石油です。

石油は⑧の環境負荷でCO2を出すことと、⑨の安全保障という点が産地が世界の火薬庫のような中東湾岸ですので、これが低い以外は平均して高い利用価値があるとされています。逆に言えば、だからこそ現代エネルギーのチャンピオンになったわけですが。 

しかし今や、むしろその高い利用価値が故に投機マネーが流入したり、原油争奪の国家間紛争が起きたりして、そのつど原油価格が大きく変動してしまう欠点を持っています。その為に数度の石油ショックで学んだ先進各国は、石油依存経済から脱却しようとしています。 

原子力は、どんな用途にでも使えるわけではなく、また移動することなどはぶっそうなのでやめて欲しいので汎用性とユビキタス性に難点がついています。 

また環境負荷は福島第1原発事故以前はCO2が出ないことで高得点でしたが、今そのように思っているのは日本の環境省くらいなものでしょう。

環境省は経済産業省にならぶ陰の原発推進派で、放射性物質を汚染部物質指定しなかった致命的ミスのためにどれだけ「被曝」地の人々が泣かされたかは分かりません。そんな原子力推進派官庁が、新たに出来た原子力規制庁の上部組織というのは悪い冗談のようです。おっと脱線しました。

れはともかくとして、環境負荷もなにも、事故がいったん起きれば一国の3分の1が住めなくなる可能性が高いのですから、10番目に「安全性」という評価項目かあれば、原子力は最低最悪の得点であることはいうまでもありません。原子力に未来はありません。 

石炭はドイツの主要エネルギー源ですが、貯蔵性、運搬性、体積・重量あたりのエネルギー密度、出力安定性は高得点ですが、あまりにも窒素・硫黄酸化物やCO2の排出か大きく環境に負荷をかけすぎるために今後を期待できるエネルギーではありません。 

水力も出力密度と産地の安定はあるのですが、貯蔵出来たりするものではなく、どうしても巨大なダム施設を作ってしまうため環境負荷が高く、日本ではこれ以上の建設は無理です。(※小型水力発電所については後日詳述します。)

平均して特に大きな欠点が見当たらないのが天然ガスです。汎用性、貯蔵性、運搬性にはやや石油より落ちるものの欠陥といえるものは見当たりません。エネルギー密度、出力密度、出力安定性などのエネルギー効率は高い能力をもっています。クラスで二番目にできるおとなしい子というかんじです。

特に天然ガスは石油、石炭、水力で問題となる環境負荷が少ないのが特徴です。天然ガスは中東などのヤバイ地域に偏在することなく、豊富に世界各地に存在し、またCO2や酸化物の排出も少なく、化石燃料の中で最も良好な環境能力をもっています。

各国のエネルギー専門家の共通した意見では、天然ガスこそが21世紀のベース電源に成長するのではないかと熱く期待されています。

では、再生可能エネルギーですが、環境負荷が少なく(※ないわけではありませんが)、国内で生産されるという点を除けばすべての評価項目で「悪い」がついてしまっています 

これは再生可能エネルギー推進派のみなさんは不満でしょうが、客観的に見た再生可能エネルギーの位置は頭に置いていただきたいと思います。残念ですが、一国の主要ベース電源とするにはもっともふさわしくないエネルギー源だと評価されています。

ただしそれは全国共通のベース電源としてであり、そのように再生可能エネルギーを位置づけるべきではないのです。

私はいままで利用されず眠っていた地域のエネルギーを市民参加型で利用できる地産地消型エネルギーとして発展していくべきだと思います

ですからなおのこと再生可能エネルギーを活かすには、他のエネルギー源との組み合わせ方をどのようにしていくのかを工夫したり、どこに何を設置したら効率がいいのか、どのような地域送電網があるのかを真剣に考えねばならないのです。 

■写真 真夏の霞ヶ浦の河口です。もう、うだるように暑い日でした。そろそろあの猛々しい入道雲を見られないかと思うとほっとします。画面左手の川岸にちらっと白く見えるのは白鳥です。

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エネルギー源比エネルギー源ごとの産出/投入比率(EROEI)

・石油・天然ガス・・・20倍(米国)~100倍(中東湾岸)
・石炭      ・・・30倍前後
・原子力    ・・・20倍
(注・ただし廃炉・賠償コストなどを含むと大きく下がって10分の1以下になるのではないかと思われます。筆者)
・風力      ・・・10~20倍
・太陽光    ・・・5~10倍

(エネルギー・環境問題研究所 石井彰氏による)

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