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2012年9月25日 (火)

送電ロスを限りなくゼロに近づける超伝導ケーブルの実証実験が始まっている!

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「脱原発、脱原発」と呪文のように唱えていても怨敵退散とはならないので、リアルにどうしたらいいのかを考えています。だんだん農業ブログだか、エネルギーブログだかわからなくなりましたがお許しを(笑)。 

脱原発の代替エネルギーを考える前に、そもそも大量の電気が送電の途中で失われてしまっています。 

「2006年における日本の総発電量は1兆1611億kW時である。送電の距離によってロスの大きさも異なるが、日本全体では発電量の5%程度が送電時に失われているといわれる。送電ロスは約580億kW時と計算できる。100万kWの原子力発電所の発電量はフル稼働と考えて87億6000万kW時であり、580億kW時はその6.6倍である。つまり、原発の稼働率も考えると、送電ロスは10基分に近い。」
(ECO JAPAN 2011年7月4日 欄外資料1参照)
 

原発10基分とはおだやかでないですね。私はただちに廃炉とすべき原発を24基+活断層上にある原発と考えていますので、その半分弱の10基を送電ロスを解決するだけで停止に追い込めます。(欄外資料2参照)

この送電ロスの特効薬とでもいうべき技術が超伝導です。この新展開が福島第1原発事故直後の2011年6月に発表されたのはまるで天の助けのようです。 

超伝導現象の原理自体は思いのほか古いもので100年ほど前に既に発見されています。金属を絶対0(0K)度付近まで冷やすと電気抵抗がゼロになる現象です。抵抗がゼロになるのですからまさに夢の送電線材料です。 

これがなかなか実用化にならなかったのは、液体ヘリウムや液体水素で極低温を保持しなければならなかったからです。現実には長距離に渡る電線を液体ヘリウムで冷却し続けるのは技術的に困難でした。 

これが一挙に実用段階になったのは1986年に高温超伝導が発見されたからです。これは冷却と逆の高温の100K付近で超伝導現象が起きることが立証されたからです。 

するとセラミックと液体窒素で用が足りるということになり、一挙に実用化のめどが立ちました。今回の日本の超伝導電線はイットリウム系材料を用いて、管に数本の芯線を通し、管内に液体窒素を流すことで芯線を冷却する方式をとっています。 

また、電線として実用化するには、超伝導の臨界温度が高いだけでは不十分で、臨界電流や臨界電圧が大きくなければいけないそうです。この点、日本の基幹系送電線の電圧は世界最大の275kVなので電圧、電流ともに送電基幹系に耐えることが可能です。 

開発に携わった古河電工によれば、
「フランスのネクサンスによる138kVが最高電圧だったが、古河電工は記録を大幅に更新した。最大電流も3000A(アンペア)であり、新しい超電導線を使えば、1回線で最高150万kWの電力(最新式の原発2基分相当)を送れる」としています。
(同上)
 

この超伝導送電ケーブルは、再生可能エネルギーの最大の欠点である間欠性を補う広域スマートグリッドなどに応用できる技術に成長することが期待されています。

「自然エネルギーを利用していく上でも超電導技術に対する期待は大きい。太陽光発電を考えると、夜や曇りの日には発電できないし、電池に当たる日差しがかげれば瞬時に発電量は低下する。風力にしてもいつも強い風が吹いているわけではなく変動する。この変動を吸収して安定した電力を得るには、もちろん電池などを使う手もあるが、広域にネットワークを組み地域による変動を全体として平均化するという方法が考えられる。ただでさえ効率の悪い自然エネルギーである。送電ロスがあったのでは広域のネットワークもロスが目立つようになる。広域ネットワークによる安定化を考えると超電導は欠かせない。」
(同上)
 

送電線以外にも、モーターなどへの応用も試験されており、実用化は時間の問題だと思われます。

コスト的には、この古川電工以外の超伝導ケーブルのメーカーである住友電工と昭和電線が既に米国で実験に供しています。それによれば

「2006年に米国ニューヨーク州で行われた商用送電網の実験にもケーブルを提供した実績がある。現状では超電導線の生産コストは銅電線の2倍程度だが、今後の量産で30%ほどコストを引き下げることができるとしている。」
(同上)

古川電工のコスト試算は分かりませんが、住友電工と昭和電線に近い数字になるのではないかと思われます。いずれにせよ、それによって得られる送電ロスの損失分を考えれば十分にペイするのではないでしょうか。

政府はこのような新しいエネルギー技術に思い切った投資をすべきです。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

資料1 自然エネの利用拡大にも欠かせない超電導技術が花開く
ECO JAPAN 2011年7月4日
 

 「古河電気工業が世界最高電圧である275kV(27万5000ボルト)に耐えられる超電導線を開発した」という記事を掲載したのは、2011年6月21日の日経新聞朝刊である。記事によれば、これまではフランスのネクサンスによる138kVが最高電圧だったが、古河電工は記録を大幅に更新した。最大電流も3000A(アンペア)であり、新しい超電導線を使えば、1回線で最高150万kWの電力(最新式の原発2基分相当)を送れるという。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託による研究成果で、研究費は3年間で2億9000万円であった。 

送電ロスを大幅に減らせる 

 超電導は金属を絶対0度(0K)付近まで冷やすと電気抵抗がゼロになる現象で、約100年前に発見された。1986年になってセラミックスの超電導現象が発見され、87年には世界中で高温超電導ブームが起こった。なぜ高温かといえば、それまでの金属超電導材料は液体ヘリウムや液体水素の極低温まで冷やさないと電気抵抗が0にならなかったが、セラミックスは液体窒素で間に合う100K付近で超電導になるという特色があったからだ。 

 このブームで様々なセラミックス超電導材料が見つかった。その代表格がイットリウム、バリウム、銅、酸素からなるイットリウム系材料と、ビスマス、ストロンチウム、カルシウム、銅、酸素からなるビスマス系材料である。冒頭の古河電工が採用したのはイットリウム系の材料である。 

超電導には、電気抵抗が0になる温度(臨界温度)、超電導状態が破壊される電圧(臨界電圧)、超電導が破れる電流(臨界電流)、同じく磁場(臨界磁場)といった概念がある。電線として実用するには、臨界温度が高いだけでは不十分で、臨界電流や臨界電圧が十分に大きい必要がある。日本における一般の基幹系送電線の電圧は275kVであり、古河電工の成果は電圧、電流ともに基幹系に使用できる性能と考えられる。 

 超電導の電気抵抗が0とはいえ、超電導線に交流を流せば、発生する磁場との関係で多少のエネルギー損失がある。その損失についても、1mあたり0.12Wとこれまでの世界記録(0.23W)を半減した。 

 超電導線を手がけるの主力は電線メーカーである。ここ1年間程度の間に、超電導関係で報道された電線メーカーは、古河電工のほか住友電気工業、昭和電線ホールディングスの2社で、筆者が調べた範囲ではフジクラの記事はない。 

 2010年8月16日の日経新聞朝刊は、東京電力と住友電工、前川製作所が送電用の新たな超電導線を開発し、東電の旭変電所(横浜市)で実証試験を行うと報じた。開発した超電導線はビスマス系の材料を使っており、直径15cmの管に3本の心線を通し、管内に液体窒素を流すことで心線を冷却する。 

 ケーブル自体は住友電工が製造し、冷却システムは前川製作所が担当する。長さが30mのケーブルを試作し住友電工の試験場で通電試験を終えている。2010年度中に250mの実証試験用ケーブルを製作し、旭変電所の66kV送電設備に取り付け、2011年11月から1年程度をかけて性能を確かめるという。 

冒頭の古河電工に関する記事は、世界の超電導線メーカーの開発状況を表にまとめており、それによれば住友電工のケーブルの送電能力は66kV、5000Aで57万kWとなっている。 

政策も重点的に支援 

 さらに2010年11月25日の日経新聞朝刊は、住友電工と昭和電線ホールディングスがそれぞれ、2011年から超電導線の量産を開始すると伝えた。住友電工は大阪製作所のビスマス系超電導線生産能力を年間1000kmまで上げるという。同社は中国向けに40km分のケーブルを納入しているし、2006年に米国ニューヨーク州で行われた商用送電網の実験にもケーブルを提供した実績がある。現状では超電導線の生産コストは銅電線の2倍程度だが、今後の量産で30%ほどコストを引き下げることができるとしている。 

 一方、昭和電線は相模原事業所内に量産設備を稼働させ、高出力モーター用のイットリウム系超電導線を製造するという。昭和電線の投資額は約10億円だという。  

 2011年6月2日の日経新聞朝刊は、電力の安定供給に向けた産業構造審議会の企業向け支援策について報じた。支援をする分野として、「太陽光発電システムの効率を3倍にする技術」「軽量プロペラや浮体式構造を使う洋上風力発電技術」などとならんで、「超電導技術を応用して送電時の電力損失を現行の10%程度まで引き下げる技術」が支援の候補として挙がっている。政府のお墨付きを待つまでもなく、超電導は省エネルギーを進める上で大きな期待を背負う技術である。 

2006年における日本の総発電量は1兆1611億kW時である。送電の距離によってロスの大きさも異なるが、日本全体では発電量の5%程度が送電時に失われているといわれる。送電ロスは約580億kW時と計算できる。100万kWの原子力発電所の発電量はフル稼働と考えて87億6000万kW時であり、580億kW時はその6.6倍である。つまり、原発の稼働率も考えると、送電ロスは10基分に近い。送電網に超電導を導入する意味は極めて大きい。 

 さらに、超電導線を送電施設だけでなく、モーターや発電機に応用すれば、無駄な発熱を極めて低く抑えることができ効率は大いに向上するだろう。今後普及すると見られる電気自動車のモーターなどを超電導化すれば効果も大きい。 

 多少古い話になるが2009年6月6日の日経新聞夕刊は、IHIが住友電工と協力して超電導を利用した舶用モーターを開発したと報じた。記事によれば普通のディーゼルエンジンに比較し、燃料消費もCO2排出量も25%削減できるそうだ。 

 自然エネルギーを利用していく上でも超電導技術に対する期待は大きい。太陽光発電を考えると、夜や曇りの日には発電できないし、電池に当たる日差しがかげれば瞬時に発電量は低下する。
風力にしてもいつも強い風が吹いているわけではなく変動する。この変動を吸収して安定した電力を得るには、もちろん電池などを使う手もあるが、広域にネットワークを組み地域による変動を全体として平均化するという方法が考えられる。ただでさえ効率の悪い自然エネルギーである。送電ロスがあったのでは広域のネットワークもロスが目立つようになる。広域ネットワークによる安定化を考えると超電導は欠かせない。 

 1986年に始まった高温超電導の開発だが、ここにきてようやく本格的な応用の時代に入ろうとしている。福島原発の事故による電力不足や原子力発電に対する人々の不安が日本の電力システムに大きな影響を与えることは間違いない。そんなときに、超電導技術が花を開こうとしている状況は、明るい話題の一つになるはずである。 

■資料2 現時点で30年から40年以上稼働している原発は以下です。 

敦賀1・・・41年
美浜1・・・40
美浜2・・・38
島根1・・・37(markⅠ型)
高浜1・・・36
玄海1・・・35
高浜2・・・35
美浜3・・・34
伊方1・・・33
大飯1・・・33
福島1-5・・32(markⅠ型)
東海2・・・32
福島1-6・・・31
大飯2・・・31
玄海2・・・30
計  ・・・15基・・・①
 

これら15基は政府基準に沿って即時廃炉とすべきです。
また福島第1原発と同型の欠陥機であるmarkⅠ型は以下です。
 

敦賀1
島根1
福島1-5
女川1
女川2
女川3
島根2
浜岡3
浜岡4
志賀1
東通1
計   ・・・11基・・・②
 

①+②=26基(ただし重複2基で24基) 

これで日本の原発の約半分は現時点で既に稼働停止となります。

 

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コメント

ごぶさたしております。
超電導の高圧線が実験されているとは初めて知りました。
高圧線は人が簡単にはメンテナンスできない、大きな鉄塔の高い所を通っているので、耐久年数とかメンテナンスにまだまだ多くの問題を抱えているのではないかと思います。
山から山にケーブルを引くのにも、大変な技術がいるそうで、専門的なトビ職さんの会社があると聞いたことがあります。人材難で大変だと聞きました。

特に超電導では冷却ガスが抜けたらケーブルはすぐに焼き切れてしまいそうです。
以前超電導が話題になったとき、その利用法は一種の蓄電池が最も可能性が高いと聞いた覚えがあります。
その辺の技術も進んでいれば良いと期待しています。

個人的には、今回教えていただいた技術の開発に東電が参加しているのがうれしいところです。
完全に悪者になってしまった東電ですが、日本の電気の技術開発では他の電力会社の先駆として多くの技術を開発してきた実績があります。すこーーーしだけ、心に留めていただけたらと思います。

なるほど!専門的コメントありがとうございます。たしかにそうですね。山また山の地形が多い日本ではヘリでケーブル引いていましたもんね。

電力自由化は、実は私自身まよっています。仰せのとおり東電の保守管理の努力は涙ぐましいものがあり、自由化して多くに分化した場合、間違いなくその保守管理技術は失われてしまいますから。

埼玉零細さん。
80年代に常温超電導(常温とはいっても、高価な液体ヘリウムや水素から、安価な窒素が使えるようになった)が、バイテクと同時にブームになりましたね。

あなたの仰有るように、もしも冷却剤が漏れたら…電線が『ボンッ!』でしょう。

敷設や保守管理も大変そうですね。カラスは寄り付かなくなりそうだけど、テロには脆弱そうです。
最近は超電導のニュースはあまり聞かなかったのですが、この25年ほどでどれだけイノベーションがあって、実用レベルに達しているのかには大変興味があります。


大事故を起こした東電=悪者
の大勢に一石を投じる意見にも、私は実は同感だと思っています。

こちらでも補償問題で散々揉めてますが…ようやく手打ち。
初期対応が悪すぎたんだよ。

休眠中の老朽火力発電所を復活させ、大きなトラブルもなく電気を供給し続けている、電力会社の作業員や技術者の技量は大したもんだと思います。玄人の集団なんでしょうね。
予定外の燃料調達に尽力した社員もいることでしょう。

もしかしたら、政府が「原発は動かしたらダメだけど、社会に支障が無いように何とか発電してくれ。2030年までにそのための設備を整えてくれ。」と電力会社に丸投げしたら、彼ら電力会社はベストミックスな発電体制を構築するのではないかと、私は思えてならないです。

何の根拠もない漠然とした、恥ずかしいコメントですが・・・。
再生可能エネルギーが云々とか言って事態を引っかき回すよりも、餅は餅屋に任せた方が、原発のない社会は早く実現するかもしれません。

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