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2012年10月16日 (火)

福島県 全量検査で合格しても国が出荷足止め

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福島米は今年、大変な試練に挑戦しています。

それは去年の大風評被害を受けて、すべての福島産の米に放射能検査を実施するという、未だ国産農産物がやったことのない徹底的な検査システムを実行したことです。

福島県下304市町村で約1200万袋(1袋15キロ)という膨大な量の米をすべて計測します。そのためにベルトコンベアの乗せて通過するだけで計測できる新鋭の器械を大量に購入しました。

たとえば、JA郡山市の新米倉庫には2台の検査装置が設置され、土日もなく連日稼働させ1日平均約4000袋(60トン)もの検査を続けたそうです。

いままで入庫した5万7千袋の約6割を検査を終了したそうです。この大変な作業をやり抜いた職員のみなさんに敬意を表します。(「日本農業新聞」(10月12日欄外切り抜き参照)

そして現在の時点では、国の定めた基準値の100ベクレルを超えた米は見つかっていません。これは他県においてもそうで、明らかに1年たって土壌放射線量は大きく低下し、農作物への移行もほとんどないことが実証されつつあります。

ですから、当然のこととして検査済みのものは出荷可能なはずです。そのための福島県を挙げての全量計測だったはずです。

しかし、現実にはこのJA郡山市の倉庫には出荷できない米袋がうず高く積み上げられて、このままでは遠からず倉庫には入りきれない状態になります。

なぜなら、今までに出荷できた米はゼロだからです。あろうことか、福島を最も支援せねばならない国が止めているからです。

国は今年、県に抽出検査(モニタリング)を命じました。これは県下の旧市町村ごとに抽出された約2万6千検体を測定し、その結果が「合格」しないと出荷させない仕組みだからです。

そして万が一基準超えを出した場合、その市町村すべての袋を測定してから出荷を認めることになっています。

一見すると、基準超えをした場合だけ全量検査すればいいので合理的な印象を受けます。ところが、この国のモニタリング数値とはなんのことはない先ほどの現場で取り組んでいる全量自主検査と同じ機器を使ってやっているのです。

つまり馬鹿げたことには、農業現場が土日祝日返上でやっている検査を、同じ器械を使ってもう一回測り直しているだけのことです。

当然同じ計測結果が出ます。このような冗長な検査をタラタラやった挙げ句、未だ結果がでないので出荷は待ったというわけです。

この10月は一年で最も米が売れる新米シーズンです。どこのスーパーにも新米が並べられ、この時期に一年の米の相場が決定します。早場米を除いて、すべての米の産地はこの時期に照準を絞って売り込みに必死です。

ですからこの10月に新米が出せないということは、致命的に新米商戦から脱落したと見なされます。しかも、去年あれほどの風評バッシングを浴びた福島県産米ならなおさらのことです。

多くのバイヤーは、「やっぱりそうか、去年の事故当時、郡山あたりは線量が高かっので、今年もなにかトラブルが出て出荷できないんだな。仕方ない今年も買い控えるか」と思うはずです。

これではなんのために福島県の農業現場が歯を食いしばって全量検査をしてきたのかまったく意味がないではないですか。農水官僚は被災地支援どころか、逆に福島県産米か危険だとデマ宣伝しているに等しいのです。

JA郡山市は自民党農林部会に陳情し、今月11日になって、現場に省の役人を派遣して調整に当たり「早めに検査されるように改善する」そうです。(与党ではなく自民党へというのも興味深いですね。)

遅い!こんな状況が始まって1カ月を超えるというのにそれも分からなかったのですか。

去年の福島事故の時も、野天にある牧草に警告を発しなかったために、全国の肉牛に放射性物質入り飼料をバラ撒いてしまった失敗に何も学んでいないじゃないですか。

農水省は放射能絡みの事案は、一にスピード、二にスピードだと言うことを早くも忘れましたか。現に現場の保管倉庫はパンク寸前、そして新米商戦は終盤になりかかっているのです。

全量検査という福島県の方針は、国のモニタリング検査指針が出た後に決まったものですが、その段階で国と県は方針の違いを協議して折り合いをつけるべきでした。全量検査に県が踏み切った以上、政府の抽出検査は無意味になるからです

農業現場の自主検査では信頼できない、ゲルマニウム半導体測定器のような精密検査機器でやるというのならまだ分かります。しかし同一の機器でやる以上、国の検査は屋上屋を架すものでまったく意味がありません

福島県の全量検査体制を知っていながら、今まで県と協議してこなかった政府の罪は重いと思います。

私は農水省に一片の期待も持っていません。去年の放射能禍において農水官僚は一貫してまさに無能・無為無策・無定見そのものだったことは記憶にこびりついています。

だから彼らには何も望みませんが、被災地の復興の妨害だけはしてくれるなとだけ頼んでおきます。

■写真 新米の時期から少し遅れて秋そばの出荷が始まります。           

                ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

               日本農業新聞10月12日

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コメント

官僚を動かせるのは、唯一国会議員ですが、現状の体たらくでは、基本官僚のやりたい放題でしょう。
現場の声???何それ??ってなものです。

国会議員が各選挙区から出ているのですから、これを使わない手は有りませんし、使うべきだし、動いてもらうべきです。
動かない政治家なら、次回は当然落とすべきです。
野党も与党もありません。今手を打たなければならないこと、中期的な事、長期的な事も分からない政治家なら、どうしょうもないです。
TVタックルでも朝ズバッとでも、出てくる政治家どれもこれも、コメンティター的発言ばかり。
貴方の給料手当てどこから出ているのか考えて下さいよ!!
米も野菜もインフラも復旧復興と言いながら何も前に進んでいません。義援金も復興税もどこかに消えてしまったのか?消えようとしているのか?
全然分かりません!!

基準値が適正かどうかはおいて置いて。

曖昧な対処は、結局、弱い立場の人に負担を押し付けているんだと思えますね。
国が基準として決めたなら、
・基準以上の規制
・責任者の特定(農家の責任はないですね)
・保証
のセットでないと意味ないですよね。

出荷遅延には、ちゃんと保証はあるのでしょうか。

かなりの割合で「規制」ではなく「自粛要請」と言われていることも疑問に思っていました。言葉だけだと、自分で勝手に出荷しなかったんだから、全額自己負担、と読めてしまいます。
実際は、保証ありなのかもしれませんが。

先日メールを送らせて頂きましたが、コメントは初めてさせて頂きます。よろしくお願いいたします。

http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-651.html

の記事によると、今年の福島県の発表では、全量全袋検査の結果と、福島県HPのデータとがうまく照合できないような発表の仕方をしていて、(恐らくしていないと思うけれども)仮に公表しないデータがあったとしても外部からは検証ができないという大きな問題点があるようです。

(全袋検査機で100Bq/kgを超えたサンプルがあったのでは?と勘ぐりたくなるような状況も)

「不都合な真実」がないかを明らかにし、「不都合な憶測」を呼ばないようにしないといけないですね。

残念ながらすでに起きてしまっている(いつの時代も絶えない)ような流通業者の「袋のニセ表示」だけは、断固として取り締まってほしいです。
あれでは、全国の消費者に確実に疑念を抱かれますからね。

「業者も苦しいんだ」という言い訳は通用しません!

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