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2012年10月 3日 (水)

ドイツ環境相の太陽光発電「敗北宣言」

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私は太陽光発電ともうかれこれ15年近くつきあってきましたが、正直に言ってあまり出来のいい電源には思えません。 

「電気を愛おしい」と思う節電スピリットは叩き込まれましたが、実のところ、さてこの15年で元がとれたのかどうなのかはなはだ怪しいと思っています。 

これは私の個人的な感想ではないとみえて、ドイツのメルケル政権のレットゲン環境相は2012年2月に公式文書の中でこう述べています。 

「太陽光発電の助成コストに歯止めをかけるシステムはうまく機能している。太陽光発電の買い取り価格は2008年に較べてほぼ半分になった。」 

この環境相の「うまくいった」発言は、決して太陽光発電が「うまくいった」のではなく、逃げ出すことが「うまくいった」のです。誤解なきように。(欄外資料1参照) 

ドイツはFIT(ドイツ名EEG)の買い取り額を20~30%切り下げ、太陽光発電に見切りをつけました。このレットゲン発言には続きがあります。 

今後、われわれは、コストが比較的安い再生可能エネルギーの電源を集中的に拡大していかねばならない。それは陸上風力と洋上風力である。」

このレットゲン環境相は、与党CDU(キリスト教民主同盟)の中で「隠れ緑の党」と呼ばれてきたゴリゴリの環境派です。その彼をして、はっきりと太陽光発電には未来はない、と宣告されてしまったことになります。 

レットゲンも認めているのは、いままで太陽光に最も高い買い取り価格を与え、それに20年間固定といったボーナスをつけてきたFIT(固定・全量買い取り制度)は過ちだったという「敗北宣言」でした。
※関連過去記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-e850.html

 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-ceb6.html 

しかしドイツの消費者からしてみれば、いままでさんざん高い電気を買わされ、太陽光助成のために税金を払わされてきた挙げ句、それはないでしょうという心境でしょう。

いままで、再生可能エネルギーは、EU域内は税金による助成を自由競争の建前で禁じ手きたために「賦課金」という形で消費者の電気料金に上乗せされてきました。(下図参照) 

Photo_3

 (「脱原発を決めたドイツの挑戦」 熊谷徹)

実に36.3%もの賦課金が課せられています。これらの金はどこに行ったのかと言えば、太陽光発電に投資できたリッチな投資家と中国製パネルメーカーの懐に転がり込んだのです。 (欄外資料2参照)

ドイツではかつて世界一を誇ったQセルズが再建申請をし、外国からの投機資金が大量に流入しました。儲かったのは初期の投資家だけです。

2011年1月には、再生可能エネルギーのための助成金の急増がたたって、700社の電気会社が6~7%の値上げをしました。 

このレットゲン環境相の「太陽光撤退発言」には緑の党などが反対したのですが、結局この方向でドイツは舵を切り直しましました。あまりにも財政支出が大きすぎて、バランスを欠いているのは明白だったからです。 

同じメルケル政権のレスラー経済大臣は、太陽光発電に与えてきた助成金を「甘い毒」とまで呼んで厳しく批判しています。これはお金をもらう業者は一時的に潤っても、それにやがて頼る麻薬中毒患者のようになってしまうからです 

2012年4月1日から、ドイツ政府は太陽光発電の買い取り価格を20~26%に一挙に下げるだけでなく、毎月0.15ユーロセント下げていく決断をしました。 

これは、たとえば10キロワット未満の屋上設置型太陽光発電の場合、2016年までにほぼ半分にまで買い取り価格が下がることを意味しています。(下図参照)

Photo                         (同上)

このようにドイツは、スペインに継いで太陽光発電からの事実上の離脱を表明しました。そしてもう少し現実味のある再生可能エネルギーであるオフショア(洋上)風力発電にシフトを開始しました。

しかし、ドイツがこの太陽光からの決別を開始した1年後に、日本は野心満々の大富豪某と無能首相のハーメルンの笛に導かれるようにして、ドイツの後を追ってしまいました。

ヨーロッパ型FITは理論上は素晴らしいものでした。全量固定買い切りで初期投資を呼び込み、一挙に再生可能エネルギーを普及させて原子力の代替エネルギーに育てていくという構想でした。

しかし破綻の淵に苦しむEUと同様に、FITも理論と現実の間に隠れていたクレパスに転落しようとしています。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

資料1

「ドイツ連邦議会(下院)は29日、太陽光発電の買い取り価格を大幅に引き下げることを柱とした「再生可能エネルギー法」改正案を賛成多数で可決した。4月1日以降に導入した太陽光発電は原則として、規模に応じて価格を約20~30%引き下げる。

ドイツは再生エネルギーの普及を図るため、送電事業者に買い取りを義務づける「固定価格買い取り制度」を採用。これにより太陽光発電は急速に拡大し、設備容量で世界一になった。しかし価格は電気料金に上乗せされるため消費者負担が膨らんでおり、太陽光発電の普及を事実上抑制する形に方針転換する。

法案によると、屋根に取り付けるなどの小規模発電は1キロワット時当たり24.43セント(約27円)から19.50セントに引き下げられる。規模が大きくなると引き下げ幅も拡大、5月以降も毎月価格を下げる。

太陽光発電は風力などに比べ、価格が高く設定されている。価格の見直しは定期的に行われていたが、これまでは10%前後の下げ幅だった。」(日経新聞3月30日)

資料2

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

私のIPアドレスをご提示頂きたいと存じます。
投稿: JAXAの資料 | 2012年9月22日 (土) 15時45分
のIPアドレスです。
無視や削除では何も解決致しません。

その事を良くお考えの上ご判断下さいます様お願い致します。

JAXAの資料とやら。前回、弁護士うんぬんと脅迫めいたことを書いていたので削除した。今回はきみの卑劣かつ執拗なストーカーぶりを多くの人に知ってもらうために削除対象とはしなかった。

恥を知りなさい。コメント蘭は記事に対応するもので、きみのストーカー行為の為にあるのではない。論破されて逆ギレしたのか。
今きみがやっていることは反社会的なストーカー行為にすぎない。
正直言って、きみの行為には恐怖すら感じる。

日本の行く末を暗示していると言うより、そのままの道をたどりそうです。
「私を首相の座から下ろしたいなら法案を通して下さい」なんて、ドあほな事を抜け抜けと言った人間が、今だに国会議員で報酬を得ている事自体、日本ってつくづく良い国なのですね??って言うか平和なのですね。
こんな人達ですから政治主導も何もあったものではありません。官僚主導からの脱却なんて夢の夢ですし、選挙の戦略ぐらいはできても、国の将来やエネルギー戦略なんて絶対に無理でしょうね。
数年前ドイツを訪問したとき、フリーストール牛舎の屋根全面に太陽光パネルが設置してあり、買取システムを農家の方から説明を受けました。
その時は、今日の記事の様な知識も無かったので、ドイツは進んでいるな~~なんて感心しながら帰って来たものです。あれから数年で実質システムが破綻してしまったのですね。
わが国も太陽光発電の前例を手本にして戦略を立ててほしいと思います。


個人のブログに土足で上がりこんで、何かといちゃもん付けている人もいますが、いい加減にしたらどうでしょうか?
意見や考えのぶつかり合いなら、管理人様も応答しようがあると思いますが、中身の無い議論は時間とエネルギーの無駄です。

北海道様、ありがとうございます。ほんとうに勇気づけられます。

去年の放射能事故以来、この分野にはどうしてこのような粘着質で、他人の迷惑を省みない人が多いのか不思議でなりません。
このJAXAの資料という人は、私がIPアドレスを間違えていると、その一点のみで私に名誉棄損での「告訴」をちらつかせています。そんなことが訴訟対象なるとは到底おもえませんが、あまりに執拗に繰り返されると気味が悪くなります。

覆面して泥足で他人の家に上がりこむ者にどのような「名誉」があるのかわかりませんが、とうとう今日は「弁護士」に依頼するとの書き込みまでしてきました。

まっとうな議論ならしようもありますが、IPアドレスの真偽をめぐっての「論争」などまったく意味がありません。

このような時にかけていただく一言の温かいお言葉には感謝の言葉もありません。今後ともよろしくお願いいたします。

記事の内容が高度だと、じっくり読んで一つ一つ理解しながら読み進めるために時間がかかります。中々コメントできませんが、月曜から金曜日まで毎日欠かさず記事を拝見させて頂いております。
以前にも結構粘着質的なコメントを寄せて来た人がいますが、特徴は勝手に上がり込んでいちゃもん付けて、その内どこへ行ったやら・・・的な人が多いですね。
世の中色々な人がいますが、他人の気持ちを考えずに、迷惑かける事は許されるものではありません。
人としてどうなのかな?と思います。
こんな事に負けずこれからも情報発信して行って下さい。
このブログで沢山の人が沢山の知恵と勇気を頂いていると思いますよ!!

実は昨日A4の封筒に私の宛名だけあり、差出人の記載が無い封筒が配達されてきました。
中身を見ると1枚のA4の用紙に「告発通知」と書かれ、内容は幼稚な、いわゆる「不正請求」でした。
文章の最後に実在するかどうかは判りませんが、顧問弁護士の名前も書いてありました。
あまりにもくだらないのですが、役場の「消費者生活相談窓口」に持って行って、同じ様な手紙が来た・・と言う相談者が来たら、これを参考にしてアドバイスしてあげて下さいと言って置いてきました。

記事とは全然関係ない事ですが、「弁護士」と言う言葉で昨日の事を思い出してしまいました。
このブログを拝見している人で、誤魔化される人はいないと思いますが、皆さま気をつけて下さい。

とっくに解決しているよ。
バカはスルーで。が鉄則。
ここはあくまで農家さん個人のブログであって、乱入して荒らしたのはJAXAの資料と名乗る輩だというだけ。
しかも個人IP開示は、自ら求めたこと。
どう考えてもお話になりません。

以後、全て削除かスルーでお願いします。

JAXAの資料さん。
早く外に出て、友達作りなよ。私がお情けで言えるのはそれくらいだ。
さようなら。

やっぱり削除されましたか。笑笑

仕方ないアクセスポイントをまた探そう。

>仕方ないアクセスポイントをまた探そう。


Jさん、eMobileや携帯等、移動できる通信機器でインターネットにアクセスするとIPも変わる事を知っていて、相手に自分のIPを晒せと言うのは、度を越えた付き纏いですよ。

あなたが言うようにIPは変わります(移動すれば)中継局のポイントでしかありませんよね。

あたかも自分個人を特定されたかのように弁護士まで持ち出し、ある意味脅しをかけているような行為は、こちらの管理人様が名誉毀損なり精神的苦痛を理由に訴える事は可能でしょう。
こちらの管理人様は、写真から名前まで出しているんですよ。

実在の人物に、匿名での嫌がらせ行為、先の大津イジメ事件でもありましたが、2名逮捕者が出ています。

匿名どうしでのやり合いなら、警察も相手にしませんが、こちらの管理人様は状況が別ですよ。

あなたは匿名、ですよね。
あなたこそよく考えなさい。

「会津様」ありがとうございます。この男は私に法的措置をららつかせていますが、会津様がおっしゃるように、私も判例を調べましたが、匿名投稿者が実名者のサイト運営者に対して「名誉棄損」が成立することはありえません。
実に不毛ですが、この男には毅然としてサイト運営に対する妨害行為として削除対応するしかないと思っております。

おはようございます。
私は農業も、原子力も、自然エネルギー源にも素人で、管理人様初め皆様の意見がたまらなく魅力的に感じ読ませて頂いています。

色々な意見がある事で起きる議論と、意見が違う事で自分の意見をごり押しし、場を不愉快なものにしてしまうのは、全く違いますし、何より個人の(他人の)blogで展開する事ではないです。

15、6年前に通信事業者(プロバイダ)として代表をしていた経験から、今時IPごときでビビる奴はいないと思っていたのですが、化石発見とばかりにコメしました。

管理人様に実害(些細な事でも)ありましたら、弁護士などでなく警察に通報してください。
その積み重ねにより、警察が動き裁判所からプロバイダへ家宅捜索令状が・・・
これが来たら、膨大なアクセス履歴から拾いだす作業が始まります。

何しろ相手は匿名ですから、ね。

些細な事でも、記録に残しておかれるようお勧めします。
画面上削除されても、記録は残しておいてください。自衛手段として。
実害の判断は管理人様に委ねられますが、嫌がらせによる精神的苦痛の判断材料になります。

出すぎた真似と思いましたが、書いてしまいました。

ブナガヤ様、はじめまして。以前から原発問題等でROM専で非常にお世話になっております。
さて、日経で太陽光バブルが弾けたという報道があり、遂に日本もドイツの後をなぞっていることが顕になったかと改めて暗澹たる思いをしていたのですが、
なんとこれを
「ドイツがこの制度を非常に上手く運用してゴールしを迎え、制度の効果で太陽光発電のコスト下がり、採算がとれるフェーズになってきている」
と評価している人がおり、また大変な支持を受けています。
http://b.hatena.ne.jp/entry/kabumatome.doorblog.jp/archives/65840036.html
情けない限りです。5年前にこのような有用なブログが啓発していても、所詮世間の了解はこの程度なのか、と…。
ちょっと愚痴りたくってついコメントしてしまいました。
大変失礼いたしました。
これからもブログを楽しみにしております。

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