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2012年11月

米国・TPP要求の一部が漏洩!やはり米国の最大ターゲットは医療分野だった!

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我が国に対する米国のTPP要求の一部が漏洩しました! 

A45枚の日本に対しての要望書にこのような4項目があります。(ソース・週刊新潮12月6日号) 

①ジェネリック薬品の取り扱い
②日本で薬価を決める「中央社会保険医療協議会」への米国企業の参加
③ISDS(投資家対国家の紛争解決制度
・※1を参照)の付与
④手術法も特許権の対象
 

この米国の要求書は、未だ正式には公開されておらず、「消費者保護活動をしている米国NPOが、TPP交渉をしている人物から得た機密文書」(同上)です。 

この機密文書が事実ならばという前提ですが、やはり来たか、医療関係とISD(S)! 

どうやら米国の狙いは、医療-保険分野を大きなターゲットとしているようです。 

ジェネリック薬品は、先発メーカーと同じ成分の後発薬品ですが、これが日本においても薬価を下げる切り札として沢山用いられています。 

特に高齢者や生活保護受給者などの生活が苦しい層には進んで提供するように、厚労省は指導してきました。これが米国には大いに目障りなのです。 

なぜでしょうか?理由は簡単。米国企業が儲からないからです。ただひたすらそれだけです。別に日本国民の健康など眼中にありません。「自由貿易」というのはそのような冷徹なものなのです。

少し説明しましょう。

実はオバマ政権が第1期から目標としてきたのは国民皆保険(ヘルスケア法案)でした。私たち日本人からすれば意外な気さえするのですが、米国には高齢者、低所得者向けを除いて日本の国民健康保険に相当するものがありませんでした。 

ですから、米国では急病になって病院に担ぎ込まれると救急処置した後に、事務員から「保険に入っていますか?」と聞かれます。この意味は、日本の健康保険に入っているのかではなく、AFLACのような任意医療保険に入っているか、ということです。 

ないです、と答えようものなら、はい、すぐに病院から出て行って下さいです。これでは保険に入ることができる富裕層以外はたまったものではありません。貧しいと病気にもなれないのですから。 

しかし、困らないのは保険会社と薬品会社です。高い薬と高い医療を使ってくれれば保険会社と薬品会社は儲かる一方ですから。 

ですから米国の医療制度は、富んだ者が都市にいる限り世界一の高度医療を受けられますが、反面、富裕層以外にはとてつもなく冷たいシステムだったのです。 

これを国民皆保険に変えようとして、オバマさんは死ぬほど苦労しました。巨大抵抗勢力が政府と議会内部にわらわらと巣くっていたからです。 

この米国流医療-保険制度を輸出しようというのが、TPPです。その首謀者がオバマさんというのも皮肉です。

オバマ大統領閣下、あなたは自分の国で失敗した制度を日本に輸出して平気なのでしょうか?ふざけるなと言いたい。 

さてこの機密文書には、先発メーカーがずっと治験データの占有権を持ち続け、後発会社がジェネリック薬品を作ろうとすると同じ治験データがなければダメだとする要求が盛られています。 

これをやられれば、ジェネリック薬品はほとんど使えないも同然となります。 

どこのバカが先発会社と同じ治験実験もう一回やりますか。同じ治験データがとれるは限らないし、そのコストはもはや新薬を作るのと一緒ですから。

すると考えるまでもなく、もはやジェネリック薬品の低価格という付加価値がなくなりますから、日本の薬品会社はジェネリック薬品から撤退していきます。 

次に、中央社会保険医療協議会に米国企業の代表を送り込むことで、薬価や保険医療に関して国内法の改変を要求してくるつもりです。 

間違いなく米国は、「混合診療の解禁」という年来の米国の要求をつきつけて来ます。
(※追記 初稿でこの部分を「禁止」としてしまいました。正しくは「解禁」です。申し訳ありません。)

我が国の医療-保険制度は、ほころびは無数にありますが、よくできていると思います。

私たちは生まれてからこの制度にあたりまえに浸っていますが、WHO(世界保健機構)が世界で公的医療制度が進んだ国(「健康達成度総合評価」)の第1位としたのはわが日本です。

なぜなら、老いも若きも、富者でも貧者でも、都市でも僻地でも平等な医療が受けられるからです。

その制度的根幹はオバマ大統領がやりたかった国民皆保健制度、つまり国民健康保険があるからです。

たとえば、日本では自由診療と保険診療を一緒にする混合診療制度は禁止されています。自由診療とは、高い金とりますが高度医療しますよ、という仕組みです。保健診療は、健康保険の範囲内で最良の医療を与えようということです

ですから高度医療に関しても、できる限り健保の枠内でする、薬も健保で補助するという仕組みを日本人は作りました。

ある意味で社会主義国より社会主義的ですらあり、そのために財政負担が大きくなりすぎてしまうということも指摘されています。 

もしこの健保の根幹である混合診療がなくなれば、我が国は裕福な患者向けの高額な高度医療を施す自由診療と、一般ピープル用の医療に分裂します。

そうなった場合のシナリオはこうなるでしょう。 

まず医師は今は保険診療も自由診療も平等に行っていますが、より利益の上がる自由診療に乗り出す者が増えるでしょう。なぜなら、医者も人の子、儲かるほうが好きだからです。

あるいは腕のいい医師もまたそちらへ流れるでしょう。米国では現実にそうなっています。

一般ピープルは、ジェネリック薬品が消滅して薬価が上がり、国民皆保険制度も「関税外障壁である」としてISD(S)に訴え出られて改変されているので、十重二重に苦しくなります

なんとかいい医療にありつこうと思えば、高い医療保険に入っておくしかなくなります。そしてその保険会社の大部分は米国の会社なのです。

このようにして、米国の要求通りTPPにより、混合診療、ジェネリック薬品、国民皆保険制度がことごとくなくなります。 

これがTPPです。

TPPを潰すことが、新自由主義者(※2)たちの言うように、単に「農業の既得権益を守るため」にやっているのではないことがお分かりいただけたでしょうか。 

■※1 ISD(S) 

ISD条項(*ISD 国際投資紛争仲介センター)とは、たとえば、TPP発効以降、海外投資家が投資している現地法人が国内法によって不利益をこうむった場合、国際仲介機関に提訴できるというものです。 

このISD条項を使えば、この海外投資家が「期待した利益がえられない。これは日本の国内法の障壁のせいだ」と思ったら、米国政府が代わりに提訴できるという危険きわまりない条項です。 

その場合日本政府自身がいかなる条約違反もしていなくとも、提訴可能となります。そしていったんその提訴がSDIで認められれば、国内法を変えるか、超越することができます。 

すなわち国内法を外国資本が自由に超越でき、その内容を改変できるというとんでもない条項です。 

■※2 新自由主義
別名、市場原理主義、あるいは新古典主義のことをいう。改良資本主義であったケインズ主義を否定し、企業の規制緩和、外国資本の参入自由化、公営企業の民営化、社会福祉切捨て、財政規律の建て直し、増税などの政府が取る政策のこと。

実施例は英国のサッチャー首相やレーガン大統領、橋本龍太郎首相、小泉純一郎首相、金大中大統領のとった政策である。

政権はとっていないが、「日本維新の会」も典型的な新自由主義的政策を掲げている。

合い言葉は「改革」。「構造改革」と政治家が盛んに言い始めたら、新自由主義者がブレーンにいると思ったほうがいい。

冷戦に勝利した思想として全盛を迎えたが、その後のリーマンショックを生み出した元凶とされ、その政策をとった諸国は共通して内部に「自己責任」の名の下に大きな社会格差や貧困問題、失業、自殺問題などをはらむことになる。

本来、新自由主義的構造改革はインフレ対策であり、バブル崩壊後のそれはデフレの克服に無力なばかりか、デフレを増大させる原因ですらあった。

主唱者はシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授。わが国では竹中平蔵氏(小泉政権時の金融財政大臣)、池田信夫氏など。

 

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-2230.html 

■明日明後日は定休日です。月曜日にお会いしましょう。

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核のゴミについての日本学術会議のリアルな提案

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今の日本の状況は、初めてまじめに原子力の矛盾と向き合ったという意味で、スリーマイル原発事故の直後の1980年代のヨーロッパに似ているかもしれません。 

スウェーデンはスリーマイル事故の翌年、国を二分して「原発容認」か、「原発反対」かに別れました。 そして全政党を挙げての政争にまで発展し、連日のように両派のデモが繰り返されました。 

もはや冷戦期さながらのイデオロギー論争となって、その決着を国民投票で問われることになります。そして原発反対派が勝利し、30年先の2010年までを原発モラトリアムとすることに決します。 

ただし、その間エネルギー政策の混乱があり、モラトリアム=凍結にもかかわらず6基の原発を作ってしまう迷走もしています。 

また1986年のチェルノブイリ原発事故においても、スウェーデンは国土の一部が被曝し、食品や土壌、家畜に大きな被害を出しました。 

その時、当局が混乱を恐れて情報発信に失敗したことで、かえって混乱が増幅した苦い経験もしています。このことについて、スウェーデン政府の詳細な記録が公開しています。 

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/1-6a51.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-7f9f.html

このような経験を経て、スウェーデンは原子力問題を具体的に解決することを学びました。 

たとえば、かつての賛成、反対と言った国民対立の段階から、「いかにして核のゴミを処分するのか」、「廃炉においていかに作業員の被曝を軽減するのか」といったよりリアルな問題に深化していったのです。 

残念ですが、我が国はスウェーデンの80年代の状況です。つまり、賛成、反対が具体論に結びつかず、あたかも空中でトンビ同士がお互いの尻を追いかけて旋回し続けるように、いつまでも同じ議論を続けて飽きることがありません。 まるで神学論争です。

たとえば、「原発は安全か否か」など問うまでもありません。危険極まりないに決まっています。「核燃料リサイクルはあったほうがいいか、ないほうがいいか」、同じくないほうがいいに決まっています。 

この調子で再処理工場は、プルトニウムは、と問い続ければ、全部ないほうがいいに決まっています。 

ただし、なくて済むのならば、ですが。問題はいいか悪いかではなく、ではどうしたらいいのか、なのです。

南の島さんもご指摘でした日本学術会議が9月に出した核のゴミ(使用済み核燃料)の処分についての提案は大変に興味深いものでした。(欄外切り抜き参照)

私が知る限り我が国で最初の核のゴミに対する具体案です。 

ではいままで政府がどうしていたのかと言えば、一言で言えば、「処分地を探すふりをしていた」のです。 

認可法人「原子力環境整備機構」(NUMO)という組織が、最終処分地に適した場所を探すというふれこみで、なにか「やっているふり」をしていたのです。 

最終処分地はおろか調査候補地すらないことはわかりきった話で、ある財政難の小さな自治体が村長の独断で応募したところ、発覚して村を上げての大騒ぎになりました。 

ですから、このご大層な名前のナンジャラ機構とやらは、なにも仕事がないのです。しかし、このようなナンジャラ機構があるというだけで、経済産業省は、国会での言い訳が出来たというバカバカしい一席しです。 

原子力村にはこの手のなにもしないが、あるだけで言い訳の材料となるという組織がゴマンとあります。いずれも役人どもの天下り先です。 

このような停滞状況を初めて真摯に突破したのが日本学術会議の提言でした。日本学術会議は、いままでの政府が固執してきた地層埋却処分を、到底受け入れられないものをにしがみついて時間を無駄にしたと批判しました。

その上で、我が国で万年単位で安定した地層を探すのは困難であり、当面は最終処分という迷妄、いや正確に言うなら「言い訳」にしがみついているのではなく、現実を直視して数十年から数百年ていどの「暫定保管」というモラトリアム処分に切り換えるこことを提案しました。

また日本学術会議は、このモラトリアム期間に新たな技術進歩があったり、社会的なコンセンサスが取れた場合、いつでもそれを取り出すことができる方式としました。

そしてもう一点きわめて重要な提言もしています。それは際限なく核のゴミが出続けるのではなく、この暫定保管できる許容量に合わせた核のゴミの排出量を定め、それに合わせて原発発電量を決めるべきであるとしたのです。

いわばフィンランド方式とでもいうのか、入口=発電需要からだけから考えるのではなく、出口=暫定保管量から発電量を決めていくという考え方は大変に合理的です。

ただし、暫定保管であったとしても、プルトニウムの直接埋却は、容器の破損の可能性が高く危険であることには変わりありませんが。

しかし今必要なのは、このような個別具体の問題解決なのです。もう賛成、反対の総論は沢山です。

このように具体的な問題解決をそろそろ始めませんか。私はリアルに原発を廃炉にするための知恵をしぼる時期が来たと思うのですが。

と言っても残念ですが、総選挙まではトンビの空中戦は終わらないでしょうが。

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-1f72.html

■参考文献
「ニューズウィーク」2012年10月30日

■写真 朝日の中の船溜まり。出漁した漁船が休んでいます。

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原子力委:高レベル放射性廃棄物処分、暫定保管へ転換提言
毎日新聞 2012年11月27日

 原発から出る高レベル放射性廃棄物の処分方法で、内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)は27日、地下深くに半永久的に埋める最終処分(地層処分)計画を見直し、将来、廃棄物を地下から取り出せる「暫定保管」へ転換を図るよう政府に求める提言案を示した。

 現行計画は、原発の使用済み核燃料を再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物をガラスで固め、30〜50年間地上施設で冷ました後、金属容器に入れて地下300メートル以深の地層に数万年間埋める。

 提言案は、従来の計画を「最新の科学的知見の反映や国民との認識共有の取り組みが不足していた」と分析。その上で、数万年後の地層の安定性を保証する難しさや、将来より安定した処分地や処分方法が見つかる可能性を考慮し、廃棄物を再び取り出して処分計画を後戻りさせることも可能にする暫定保管について「必要性と意義を十分に評価すべきだ」とした。現行でも、坑道をふさぐまでの数十年間は廃棄物の再回収・移送が可能だが、計画に明記されていなかった。

 また「国民との間で、原発で発生する高レベル放射性廃棄物について認識を共有する努力が不十分だった」として、原発の「40年運転制限」「新増設なし」を盛り込んだ政府の革新的エネルギー・環境戦略を踏まえた場合に発生する高レベル放射性廃棄物の総量や処分面積を試算して明示するよう求めた。ただし、廃棄物の発生量をあらかじめ決めて原発や再処理工場の稼働を制限する総量規制には踏み込まなかった。

 地層処分は、原子力発電環境整備機構(NUMO)が02年から処分場の受け入れ自治体を公募したが、06年の高知県東洋町(後に取り下げ)以外に応募がなく文献調査すら未着手。世界でも地層処分を始めた国はない。日本学術会議は今年9月、暫定保管や総量管理を導入するよう原子力委に提言していた。【阿部周一】

 【ことば】高レベル放射性廃棄物

 原発の使用済み核燃料からウランとプルトニウムを分離する再処理を行う際に残る廃液。ガラスで固めた直後は表面温度200度以上、放射線量は浴びると20秒で死ぬ毎時1500シーベルトに達し、天然ウランと同程度の線量に下がるまで数万年かかる。09年時点で1692本のガラス固化体が青森県六ケ所村や茨城県東海村で保管されている。政府は福島第1原発事故前には、20年末に約4万本に増えると見込んでいた。 

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使用済み核燃料(核のゴミ)の処分を考えない原発ゼロはありえない

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選挙を前に、まるでアメ横のバナナの叩き売りのように、「うちは30年代!」、「なんのうちは10年で!」、「いや、うちなんか即時ゼロだぁ、参ったか!一票入れて!」、と言い争っています。

まったくくだらない。 原発ゼロの「期限」などは、結果としてそれが見えたという性格のものでしかなく、道筋もなにも決まらないうちに目標にしても空疎なだけです。 

放射能が怖くて郷土岩手を見捨てた小沢一郎氏までもが、滋賀県の嘉田知事の「卒原発」と合流を言いだすとなると、もはやお笑いです。いつの間に脱原発は選挙の道具に成り下がったのですか。

最大の問題点は、原発ゼロを言う前に考えねばならないはずの、現在2万8千トンもある行き場のない使用済み核燃料(核のゴミ)の処分方法についての回答を用意して言っていないことです。

これは公党の政権公約です。市民が首相官邸前で叫ぶのとは次元が違うのです。

使用済み核燃料の処理方法はふたとおりあります。

ひとつは、再処理することです。これは青森六ヶ所村の再処理工場で、ウラン酸化物+ウラン・プルトニウム混合酸化物と、高レベル核廃棄物の二つに分離して、後者のプルトニウムを除去した核廃棄物を300メートル地下の地層処分します。 

なにせプルトニウムは、ご承知のように半減期が2万4千年もありますから、これを抜かないと危なくて仕方がないわけでし、体積も3分の1に圧縮できます。 

もうひとつの方法は、そのままプルトニウム+ウランごと埋却してしまう方法です。 

再処理しないと、プルトニウム+ウラン入り核廃棄物を、まんまドラム缶に入れて埋めてしまうことと一緒ですから、誰がどう考えても無責任の極みで、何万年、いや数百年の間に缶が壊れたら一体どうするのか、という方法です

ですから埋却方法については、選択の余地はありません。再処理してプルトニウムを(+ウラン)を除去してやるしか方法しかやりようがないのです。

ただこれで問題は解決されたわけではありません。プルトニウムを抜いて高レベル核廃棄物を再処理すると、立派な核燃料に生まれ変わってしまうことです。これを「MOX燃料」と呼びます。 

これは福島第1原発でも使われていたもので、政府は3.11前にはプルサーマルかMOX原子炉で使うつもりでいました。これを「核燃料サイクル」と呼びます。

というのは、日本は「プルトニウムを核兵器に転用しない」というIAEA(国際原子力機関)の国際公約を持っているからです。

これは原発保有国としては至極まっとうな国際公約で、既に核保有国であることを宣言している国(安全保障常任理事国+印パ)を除いて、原発を持つ場合そこから出るプルトニウムを余分に備蓄することは許されていません。

それを許すと、核兵器に転用することがまかり通ってしまい、核兵器の拡散を招いてしまうからです。

ですから逆にこの核不拡散の立場から言えば、再処理しないで、プルトニウムを持ち続けることなどはとんでもない暴挙だということになります。

だって日本は核兵器を作る意志がある、と暗に宣言するようなものですからね。(※1)

あながち冗談でもなく、「日本維新の会」の石原代表は頻繁に核武装の保持を口にしますが、原発ゼロの橋下「維新の会」と合流した今それを言うとシャレになりません。その理由はもうお分かりですね。

実は、民主党政権が原発ゼロを閣議決定から参考事項にトーンダウンした背景には、米国に出向いてホワイトハウス要人にそれを伝えたところ、「では、日本は国際公約を破棄して核武装するのだな。いい度胸だ」と逆ねじを食らったからです。(※2)

そこまで深く考えないで原発ゼロを言ってしまった民主党政権は大いにびびって、直ちに「参考」に格下げしてしまいました(笑)。

原発ゼロは、国際的には我が国が数千トンも備蓄しているプルトニウムをそのまま備蓄し続けて、よからぬことを企んでいるということになるのです。

ここで大きな矛盾に突き当たりました。原発ゼロ政策を取っても、国際公約上は再処理を続けていかねばならず、それをするとMOX燃料がどんどん出来ていってしまうのです。

青森県六ケ所村の再処理工場は、近く実用稼働に入るのですが、その処理能力は年間800トン程度です。

となると、現在2万8千トンという核廃棄物が、原発をすべて止めてこれ以上増えないようにしたとしても35年かかる計算です。

となると、原発ゼロにすると国内原発すべてが稼働停止しているわけですから、年間800トンも積み上がっていくばかりのMOX燃料をどうするつもりでしょうか。ベトナムにでも、MOX炉とMOX燃料をパッケージで売るのでしょうか。

では、再処理せずにプルトニウムをそのまま埋めてしまうなどと言うのは、先ほど述べましたようにまさに後の世代に対しての無責任の極みです。

青森県は原発ゼロで再処理による核燃料サイクルが撤回されるのなら、英仏から返還される高レベル核廃棄物の受け入れを拒否し、既に国内の原発から搬入されている使用済み核燃料も返還することを検討すると言っています。

それはそうです。青森県は再処理したら県外に持ち出すという約束で高レベル核廃棄物を受け入れたのであって、そのまま積み上がっていったら六ヶ所村は事実上の最終処分場になってしまうわけですから、冗談じゃない、と怒ったのです。

となると、現実的にはわずかでも原発を稼働させて、そこで35年間(+その原発から出る使用済核燃料の再処理量)の年数は原発は止められないことになります。

つまり原発をミニマムにしようとするだけで、35年プラスαの時間がかかってしまうのです。原発ゼロを叫ぶのは簡単です。30年でも10年でも即時でも、ただ言うだけですから。

問題は、現に膨大に積み上がった使用済み核燃料をどうするのか、これに答えない脱原発政策はすべて空論です。

たしかに、原子力の最終処分という出口(バックエンド)を考えずに原発を始めた国が悪いのです。しかし、それはわかりきったこと。

「自民党が悪い」と百回言ってもなんの解決にもなりません。脱原発を真剣に考えるなら、そこから考えていかねばなりません。

だから、今の時点で、このバックエンド問題がなにひとつ解決していない時点で、原発ゼロを公約に掲げる党派は一体なんなのだろうと私は思います。

選挙までは頭に血が登っているのでむりでしょうから、選挙後にもう少し冷静な議論をしてほしいものです。

今必要なのは原発ゼロにする年限ではなく、それを可能にする手段の検討のための時間なのです。そのためには時間を味方にしなければなりません。

■※1 日本は核兵器開発能力は技術的には持っていると国際的には評価されています。ただし、現実に核兵器を作るためには、核爆発の程度を知るために核実験をせねばなりません。しないでやるコンピュータ・シミュレーションの方法もありますが、そのソフトは核保有国しか持っておらず、渡してくれるはずかありません。
また投射手段も軍事目的用のミサイルを保有していません。最大のネックは原子力の平和目的を定めたIAEAの国際協定を破らねばならないことと、我が国内部の核アレルギーです。

したがって、「技術は一定程度あるが、北朝鮮やイランのようになる覚悟がない以上、ほとんど不可能」というのが現実です。石原さんが言うほど簡単ではないのです。

■※2 民主党は解散のどさくさまぎれに脱原発を閣議決定したようですが、米国はこんな末期政権の最後っ屁は相手にしなかったようです。
米国は脱原発を打診に来た民主党使節に対して実際には、「核武装するのか」というような露骨な表現はとっていませんが、「核不拡散の国際公約を守れ」とは言ったようです。
また日本が原子力から撤退すると、米国の原子力産業はすべて日本の子会社になっているために、その技術が失われては、米国民主党の原発増設計画に差し障りが出ることを危惧しているためとも言われています。

関連記「原発推進」フィンランドの覚悟と知恵
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-1f72.html

■写真 早朝の湖を快走する漁船。カッコイイですね。実際漁師さんたちはカッコがいい。

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菅直人という名の災厄

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福島第1原発事故から1年半たって、優れたノンフィクションが出され始めました。

前にもご紹介したことのある大鹿靖明「メルトダウン」(講談社)、そして新たに門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五◯◯日」(PHP)の一冊が加わりました。 

これらの本は、実に多くの人たちの証言を丹念に採集し、その人たちに「美化」、「自己弁護」、「辻褄合わせ」の機会を与えた上で、その矛盾点を突き合わせて事故の真相に肉薄しています。 

事故そのものの技術的な状況はかなり分かり始めています。技術者や官僚は事実に対しては謙虚なのだと分かります。 彼らは嘘をつく必要がないからです。

むしろ分からないのは、事故対応を命じた側である東電本店内部事情です。彼らが現地とどのようなやりとりをしたのか、どのような会議が開かれ、いかなる命令を下したのかの全貌はすべてがわかったとはいえません。 

また、もう一方の事故対応の当事者であった官邸サイドの情報は、菅直人氏とその取り巻きである枝野幸男、福山哲朗、細野豪志、寺田学各氏らの証言は、政治家としての自己保身の匂いが強く、口裏合わせのようでそのまま信じることはできません。 

特に菅氏の証言などは虚言癖がある人であるかのように、証言内容がその都度微妙に変化し続けています。 

菅氏が自らの最大の武勇伝として自慢する、「東電撤退中止のために本社に怒鳴り込んだ」事件などはその典型的なケースです。

菅氏は東電の緊急対応を長時間に渡って停止させたこの「怒鳴り込み事件」を正当化するために、なにがなんでも清水社長(当時)に「撤退する」と言ったとせねばなりませんでした。 

東電事故調の最終報告書で、2011年3月15日未明の官邸での菅首相との会談において、清水社長(当時)が菅首相に対して「撤退は考えていません」と発言した、との記述があることに対して、菅氏は猛然と反論しています。 

「報告書では、3月15日未明の官邸での私と清水社長の会談で、清水社長が『撤退は考えていません』と発言したとしているが、事実は違っている。私から清水社長に『撤退はあり得ませんよ』といったのに対して清水社長は『はい、わかりました』と答えた。」
(菅氏のブログより)

この東電と菅氏の真逆な証言について、真相はどうであったのか、門田氏はこの本の中でこう書いています。


(※以下、門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五◯◯日」より「阿比留瑠比のブログ」様が起こされたものを参考のため引用させていただきました。ありがとうございました。尚、太字は筆者です。)

                  ~~~~~~~~~

「東京電力は、福島第一原発から撤退するつもりなのか」

菅は、最初から、そう問い質した。だが、清水の答えは、その場にいた全員を絶句させた。「撤退など考えていません

えっーー。撤退するのではないのか。撤退するというから、この夜中に全員が緊急に集まっているのではないのか。誰もが清水を見てそう思っただろう。

「清水さんが席に座って、撤退など考えていませんと言った時、かくっと来ました。そして、なんだ、やっぱりそうか、と思ったんです」

班目(春樹原子力安全委員長)は、そう語る。

「それまで、私は政治家に全員撤退と聞かされているわけです。私も現場がどれぐらいの線量になっているか、知りません。免震棟のフィルターでどれぐらい頑張れるか、わからない。

だけど、その後、さらにすごい現象が起こったというのも聞いていないわけだから、何もできない、何もできないと東電が言っているだけじゃないかというふうに思っていたんです。なんで撤退なんだと。

おかしいなと思って、問い質そうと思ったの。しかし、清水さんが部屋に入ってきて撤退など考えていませんと言ったのには、本当にびっくりしました。かくっと来て、次に、やっぱり撤退ではなかったのか、と思いました。ほんと撤退などありえないことですからね」

班目は、清水の話に耳を傾けた。

「清水さんは、わりと小さい声で、ボソボソっとしゃぺるでしょ。それで撤退など考えていませんと言いましたよ。私は、それまで、撤退などそんなわけないと思いながら、政治家に撤退を認めていいのか、と聞かれていたわけですからね。


政治家からああ言われちゃったら、私も東電が本当に完全撤退を考えていたのかなと、信じましたよ。私自身が(東電から)電話を受けたわけじゃないし、電話を受けた複数の政治家にこう言っていると言われたら、信じますよ。でも、東電が政治家に誤解させるようなことを電話したのは確かですからね。」

                ~~~~~~~~~~~

この部分を読んで私も謎が氷解しました。なんのことはない、バニックによる伝言ゲームのミスです。

官邸で東電から最初に電話をとった海江田万里経産相(当時)が、パニックのあまり東電からの「撤退は考えていない」旨の連絡を取り違えて逆に受け取り、それを枝野官房長官などの菅首相側近に伝えてしまい、逆上の極みにあった菅首相に「東電は撤退する」と言っていると伝えてしまったのです。

バッカじゃないかこの人たち。中坊以下です。原子力事故どころか、小屋のボヤすら消せない人たちです。

誤った聞き取りをもとに、慌てて清水社長を官邸に呼び寄せたところ、社長はあっさりと「撤退など考えていない」とはっきり言いきりました。

普通はこれで、「ああそうでしたか、こちらの勘違いでよかった。お忙しい所お呼び立てして申し訳ない」でお終いですが、ここからが菅氏の菅氏たるゆえんで、社長が面と向かって「撤退しない」と言ってもまだ信じないわけです。

そして鬼のような形相で取り巻きたち一党を引き連れて、なんと危機対応の真っ最中の東電危機管理室に怒鳴り込み、延々とくだらないアジ演説をブツのですから、もはや人外の所業です。

私は東電には冷やかですが、この本を読んで東電が初めて気の毒になりました。

そして事故後も臆することなく、清水氏の発言を正反対にねじ曲げ続けたのです。自己正当化の塊というのも当たらない非常識な人格です。

そして取り巻きの政治家連中も、もはや後戻りができず、菅氏に口裏を合わせ続けたわけです。真相はそんな馬鹿馬鹿しい話です。おおよそ一国の政治中枢がすることではありません。

ではその人外魔神の「怒鳴り込み」を受けた当時の東電本店の情景はどうだったでしょうか。門田氏の本を続けます。(太字は引用者)

                 ~~~~~~~~~~~

「テレビ会議映像には、菅のうしろ姿しか映っていない。だが、声はマイクを通じて響き渡っている。左手を左腰のうしろにあて、向き直ったり、さまざまな方向を見ながら、菅はしゃべり続けた。

言うまでもなく吉田(所長)以下、福島第一原発の最前線で闘う面々にも、表情こそ見えないものの、興奮した菅のようすがわかった。

その現場の人間の胸に次の言葉が突き刺さった。

「撤退したら、東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ!」

逃げる? 誰に対して言ってるんだ。いったい誰が逃げるというのか。この菅の言葉から、福島第一原発の緊対室の空気が変わった。
(なに言ってんだ、こいつ)


これまで生と死をかけてプラントと格闘してきた人間は、言うまでもなく吉田と共に最後まで現場に残ることを心に決めている。その面々に「逃げてみたって逃げきれないぞ」と一国の総理が言い放ったのである。」

            ~~~~~~~~~~~~~~

菅氏の「怒鳴り込み」が、福島第1原発で吉田所長と共に最後まであきらめることなく戦い続けた人々をいかに侮辱したのかがわかって胸が痛くなります。

彼らに励ましどころか、誤解に基づく侮辱と罵声を浴びせた・・・、もはや外道の仕業です。

この後、これだけでも飽き足らず、さすがに取り巻きたちが反対するのを押し切って自衛隊ヘリで福島第1原発にまで「現地強行視察」を行い、1時間もの間現場指揮官・吉田所長の行動を制約するというおまけまで付きます。

もはや「政府原子力事故緊急妨害本部」と看板をかけ替えたほうがいい。

よく大災害時の無能な最高指揮官として菅氏と並んで村山首相が上げられますが、菅氏と並べては気の毒というものです。

村山氏は自分の無能をよく知り尽くしており、執務室でおとなしくしていました。また復興相に小里氏を抜擢して全権を委任するなどの優れた事後対処もしています。

それに対して、この菅直人氏という御仁は、エネルギッシュにひたすら妨害し、ひたすら攪乱し、ひたすら現場の士気を落とし、ひたすら自己正当化の口裏合わせに走ったのですから、なんともかとも・・・。

それでいて自分を「原発事故の英雄」だと本気で思い込み、脱原発運動の旗手を任じているのですからもの凄まじいとしかいいようがありません。

この男が我が国に消費税増税と、TPPを呼び込み、そして原発対処においてこのような常人とは思えないふるまいをしたのでした

まさに「菅直人という災厄」でした。

■関連記事
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新政権樹立の後に来る米国の巻き返しに備えよ!

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野田首相にとって、TPPは政治的信念です。むしろ、消費税増税のほうが財務副大臣の時からの付け焼き刃なくらいです。 

おそらく野田首相は、経済・財政については官僚からささやかれることをそのまま口にしているレベルです。 

それに対してTPP=「聖域なき関税の撤廃」は、彼が官僚からレクチャーされるまでもなく、政治家としての初志です。 

千葉県で牛肉・オレンジの自由化反対決議を出そうとして全会派が足並みを揃えた時に、「勇敢」にもただ一人だけ反対した県議がいました。その県議の名前は、野田佳彦といいます。 

彼が県議だったのは1987年からの2期ですから、実に25年も前から資本グローバリズムの熱烈な信徒だったわけです。

自由貿易絶対主義は、前原氏にも共通しますので、きっと松下政経塾イズムのようなものだったのかもしれません

そう考えると、野田氏は単なる党内野党追い落としといった政治力学だけで解散したのではなく、新自由主義・自由貿易絶対主義が彼の政治的信念だったからです。 

したがって、選挙以後に誕生する「野田民主党」は、松下政経塾イズムである新自由主義と資本グローバリズムの双頭の旗を掲げた政党になるはずです。 

そして鳩菅なき後の「野田民主党」外交路線は、自民党に優る米国従属路線となります。この新自由主義・資本グローバリズム・米国従属の3本柱こそが、野田氏が次に打ってくる政界再編の軸なのです。 

提携の相手は、むろんあの橋下「維新の会」、あるいは「みんなの党」です。この3政党が連合して170議席程度を押さえれば、仮に自民党が約240議席をとろうと強力な野党勢力を構成することが可能です。 

その場合、参院での比較第1党の座と合わせて自民党新政権のTPP慎重・反対路線に楔を打ち込むことが可能となります。 

そして、自民党が作る予算案に対してことごとく参院で否決してゆく、ねじれ抵抗路線をとるでしょう。かくして国民は再び「決まらない政治」を見せられることになります。 

あるいはその間、自民党が米国との協議に失敗すれば、TPPが「第2の普天間」になる可能性もなしとはいえません。私はTPPの日米交渉が悪くしこると、この可能性がかなり高まってくると思っています。 

その場合、対中国に対する安全保障がらみで米国からの揺さぶりがきます。むしろそれはいままでも一貫してあり、TPP問題とは即安全保障問題であるのは現実だからです。

自民党が新政権の位置につくことがほぼ確実な以上、今や問題はむしろここに移りました。

さて自民党は11月13日の役員会でTPPについてこのような表現をとっています。
TPP は経済交渉であり、交渉の結果何が守れたかが重要である。交渉自体に問題があるわけではない。」
 

問題はこのTPPが純粋に「経済交渉」であるという自民党執行部の情勢認識が、どこまで米国に通じるかですが、私はかなり厳しいと考えています。 

リーマンショック以降の景気後退に苦しむ米国は、今年の末に「景気の崖」を超えていっそう不況が進化します。 

その場合、なりふりかまわず輸出促進と雇用確保のために、日本やアジアへ米国にだけ都合のいいTPPを押し付けることができる米国経済ブロックを作ろうとするでしょう。 

そこに世界第3の経済大国の日本が加盟しないことなど、米国にとってそもそもありえない異常事態です。 

米国にとって経済と軍事は不可分な以上。その米国に「TPPは(純粋に)経済交渉だ」という自民党執行部の正論が通じるかどうか、私には分かりません。

自民党はTPPについて、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」としているわけですが、何度か書いているように、TPPとは「多国間の関税撤廃協定」である以上、自民党が公約を守るならTPP交渉はこれでジ・エンドです。

日本を参加させるためにTPPを「関税の部分的自由化協定」にしようとすることはまったく不可能ではないでしょうが、この2年間のTPP参加各国の協議のちゃぶ台返しになってしまいます。

つまり、自民党新政権はTPPに関して、この2年間の交渉を全部ぶっ壊すという「蛮行」を働くことになると自覚したほうがいいのです。私が安倍氏が自民党伝統の対米従属派と一線を画すと評価するのはそこです。

しかし、新政権はこの結果について対応を考えておく必要があります。政局レベルではなく、相手が我が国の安全保障に直結する米国だからです。

安倍総裁と石破幹事長との2人のトップの間でも、この危機感がきちんと取れているか微妙です。 

石破氏は安全保障と農業の政界で数少ないエキスパートとして、たぶんこの二つを切り離して考えてはいないはずです。

彼は元々農政においてJAに依存した農政の改革者であって、輸入農産物に対して関税ブロックには限界あり、農業がもっと高いレベルの経済力を獲得すべきである、というのが持論でした。 

ですから石破氏はTPPに対して無原則に賛成していないものの、「農業保護は関税で行うのではなく税金で行うべきだ」としていました。TPP問題に置き換えれば、「条件つき関税自由化」論です。 

その考えのもとに農相時代にとったのが、4品目横断政策(※)という農地集積と営農大型化、山間地農業の集約法人化路線てした。 

これらの石破農政は、反対しようとしまいと来るであろう「TPP時代」に備えるという意味があったはずです。 

たぶん彼の頭の中には、いかにして日本農業を守りながら、関税障壁を縮小していくのかという農政があったはずです。

この政策は当の農民層の眼には小農切り捨てと写り 、前回総選挙において1人区の自民党候補総潰れの原因のひとつになり、自民党は下野します。

その後に出てくるのが、自民党の農業強化政策を批判し続けた民主党の農家戸別所得補償という典型的バラ撒き政策と、農地集積事業の凍結でした。

それに対して安倍氏は、石破氏と外交安全保障政策では一致するものの、この農政問題には疎いと思われます。彼が強いのはむしろ経済政策なのです。

ですから、一抹の不安として残るのは、安倍氏が純正保守の信条からだけでTPP反対を語ってる節があることです。

安倍氏は農業は国の礎であり、保護すべき分野であるから 守り通すのだという気概に溢れていますが、残念ながらそれ以上の具体的政策はあまりないと思わねばなりません。

これが「第2の普天間」問題となって対中国がらみの安全保障問題に連動した場合、安倍流純正保守主義と石破流リアリズムがどのように対応するのでしょうか。 

案外うまく補完関係になるかもしれないし、あるいは離反するのでしょうか。

いずれにせよ、「衆参ねじれ」が続く以上、自公を中心として民主党にも政策ごとの協議枠を残す、と石破氏は明言しています。 

最悪の場合、野党連合から予算案を担保に取られ、米国から不断に圧力をかけられた場合、自民党政権公約の「協議には参加するが原則は守る」が後退していくこともありえます。

中途半端な勝利では不安定な新政権しか生まれず、それでは妥協を許すことになります。それをさせないためにも、今回はTPP反対派が徹底的な勝利を収める必要があります。

■※4品目横断政策

正式には「品目横断的経営安定対策」。外国との生産格差を是正するための対策(格差是正対策)と収入変動の影響を緩和するための変動緩和対策。それにによって、国際競争力を持つ農業の担い手を育成しようとする制度のこと。

06年6月14日に成立した「担い手経営安定新法」に基づいて実施される。政策対象者は4ヘクタール以上(北海道は10ヘクタール以上)の認定農業者か、20ヘクタール以上の集落営農組織。認定農業者とは農業経営改善計画を策定して、市町村から認定を受けた個人または法人。 

変動緩和対策は格差是正対策の4品目とコメを対象に、販売収入が基準収入を下回った場合に国と生産者が拠出した基金から減収額の9割を補填(ほてん)する。
( 池上甲一 近畿大学農学部教授 による )

 

■写真 ニラの花です。

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自民党はTPPに「前向き」転換していない!       日本農業新聞・小林吉弥記事の悪質な情報操作

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笑い話のような話が起きています 

田中真紀子文科相や小平国家公安委員長は、「私の解釈としては(誓約書と)TPPは関係ない。TPPはまだ決まっていない。党議拘束はない」と、誓約書にはサインするがTPPには反対だそうです。 

わ、はは、そりゃそうですな。まだ民主党はTPP推進に党議決定したわけじゃないですもんね。「国民的議論が不足」どころか党内議論すら決着していないんでしたね。

じゃあ、鳩さん焦って辞めることはなかったのか(笑)。もはや喜劇です。 

さてこんな民主党の恒例ドタバタ内紛を尻目に、自民党は政権公約を出しました。(資料1参照)こちらもTPPをめぐってマスコミがお定まりのミスリードをしています。 

産経新聞は見出しで、「自民・安倍総裁、TPP参加に前向き」と書いています。(資料2-1参照)

他のマスコミ各社もあたかも自民党がTPPで方針転換したような書きっぷりをしています。(資料2-2、2-3参照)

このようなマスコミの「前向き」報道の最悪の例は、われらが日本農業新聞です。TPP反対が社是であるはずの日本農業新聞は、11月18日の「ズバリ核心」という政治欄で、小林吉弥氏という政治評論家にこう書かせています。 

「(自民党は)TPPも党内、世間の顔色を伺って交渉参加には慎重姿勢を表明していたハズが、政権奪還が現実味を帯びたいま、安倍総裁などは早くも『前向き』へ軌道を修正した具合で、いかにも旧態依然たる党利党略発想からでていないことになる。」 

厭味たっぷりなこの小林記事を読む限り、自民党は政権奪取が目前となった今、これまでの慎重・反対姿勢を投げ捨てて、TPPに「前向き」になってしまった、ということになります。 

では、ほんとうに自民党が「前向き」に転じたのか検証してみましょう。 

ちなみに、このマスコミ各社のTPP「前向き」報道が出た11月15日は、21日向けての自民党政権公約を最終的に発表する前夜であり、デリケートな最終段階でした。

この時期に誤った報道をすれば、後に発表されることになる政権公約までもが色眼鏡で見られることになるからです。

そしてTPP推進で足並みを揃えたマスコミ各社は、自民党公約を都合いいように解釈します。

その手段は例によって、全体の文脈から、都合のいいフレーズのみを切り取って印象操作することです。

安倍総裁はこの11月15日のマスコミ各社の「前向き」報道を受けて、記者会見でこのように言っています。(資料3参照)
http://www.jimin.jp/activity/press/president/119200.html

全体のコンテキストではなくて一部の発言に対して、いわばミスリードしたのではないのかなぁ、と思います。その私の挨拶の中でも述べたように、例外、聖域なき関税撤廃、これを交渉の条件とする限り、交渉参加については私は反対する姿勢は全く変わってはいません。」 

また11月13日の自民党役員会で、安倍総裁はこうも述べています。(資料4参照)
http://blog.goo.ne.jp/newseko/e/cfc3e974d50e9bfbda71288aa62d868d

「TPP は経済交渉であり、交渉の結果何が守れたかが重要である。交渉自体に問題があるわけではない。」(資料4参照)

やや分かりにくいので整理してみます。「交渉」がふたつあります。報道各社はあえてそれを混同してミスリードしていますから注意して下さい。 

ひとつは、いわば予備交渉」で、現在米国と水面下で進んでいる参加をめぐっての下交渉のことです。

今ひとつは、米国との折り合いがついてTPPに参加することに米国が合意した後に、すべてのTPP参加国とのテーブルでする「交渉本番」です。 

したがって、ここで安倍総裁が言う「交渉参加」とは、直接的には前者の現在日本政府と米国政府とでやっている予備的交渉を指すのは明白です。 

もし後者の「本番交渉」だったならば、既に自民党は関税ゼロと自動車関連の米国要求を呑んでしまった、ということになってしまいます。 

うであるなら、後者の「交渉本番」に参加するということですが、「聖域なき関税撤廃反対」を政権公約で掲げている以上、短絡的にそれはありえません。

それを無理矢理に「TPP参加前向き」と報じてしまったわけで、このような報道を情報操作と言います。 

おそらく米国のTPP推進派は、鳩山-菅首相のマヌケぶりにつけ込んで、一気に「聖域なき関税撤廃」要求を呑ませようとしたのだと思います。

経済産業省に多数巣くう新自由主義一派は、その米国要求に乗って彼らが考える「自由貿易」を拡大する目論見だったのでしょう。 

危険極まるTPP交渉の真相を知った自民党は、党内部に賛成反対の濃淡がありながらも、「聖域なき関税撤廃反対」の一点でまとまることになります。 

思えば、これが小泉政権時であったなら、案外すんなりとTPPに参加してしまっていたかもしれません。

しかし、あまりにも唐突な菅首相のぶち上げと、その後の稚拙な交渉ぶりに自民党がかえって危機感を募らせて慎重・反対派に回ってしまったわけです。これはTPP推進派にとっても誤算でした。

その結果出来たのが自民党のTPP交渉判断基準です。(資料5参照)TPPの問題点が網羅されており、よくできた内容だと思います。
http://www.jimin.jp/activity/colum/116025.html 

自民党は、政権についた暁にはこのTPP交渉判断基準に照らして米国との交渉に臨み、それが不調ならばこの段階で交渉打ち切りになるということです。それ以外に解釈しようがありません。

現実にこの自民党交渉基準がそのまま米国に了承されるのならば、TPPの毒素が抜かれて無害化されたことになります。

また、仮に米国が了解しても既にTPPは既存条約として多国間で発効していますから、いずれにしても「関税の聖域なき撤廃」がネックになって参加は見送られるでしょう。

つまり、これまでどおり米国との交渉に参加したとしても、交渉はここでジ・エンドです。

そして現在、総裁会見や自民党役員会で確認されているとおり、この自民党「TPP交渉判断基準」は一カ所たりとも修正されておらず、安倍総裁が「前向き」に転換すると発言した事実はないのです

もし「前向き」が事実なら、自民党は偽の政権公約を出したことになり、重大な国民に対する詐欺行為です。しかし、繰り返しますが、そのような事実は一切ない、ただそれだけです。

この日本農業新聞・小林記事が許しがたいのは、掲載日が11月19日なことです。その4日も前の15日「前向き」報道に対して、安倍総裁は直ちに真正面からそれをミスリードだとして否定しています。

つまり、小林氏は既に「前向き」かどうか検証可能だったにもかかわらず、それをあえて無視して「前向き」だと言い募った記事を書いたわけです。

知らなかったのならばジャーナリストとしてあまりにも能力不足、知っていて書いたのならば悪意の情報操作です。

また、これの裏をとることなく、政権公約発表前日に掲載してしまったTPP反対の重鎮・日本農業新聞も強く批判されるべきです。

このようなマスコミのミスリードは、あえて事実を歪めてTPP反対派の文脈から都合のいい一部の言葉をピックアップして、それを膨らませ既成事実化してTPP反対派を分断していこうとするものです。

あるいは、現在JAを中心とする農業界が自民党支持を明瞭に打ち出して、TPP反対を貫こうとしていることに対して、この両者を離反しようとする企みにすら思えます。

このような反対派分断に日本農業新聞は加担したのです。責任は重大です。

念のために書きますが、小林吉弥氏が自民党に対して批判的なことは自由です。小林氏の政治批評は常に自民党を斜め高みから見るようなシニカルなトーンでしたが、彼は社説を書いているわけではないので、それは政治評論家として勝手です。

しかし、TPPはそのような斜め高みからの視線で接してはならない日本農業の生死を懸けた命題だったはずです。

私も一貫して自民党農政に対して批判的でしたが、「TPPを葬る」の一点で自民党を今回の選挙において支持しています。共産党でもいいのですが、死票になるのが、今回は痛い。

私のような「今までは自民党支持ではなかったが、今回に限っては」という農民も全国に多いはずです。

このような層に対して、小林吉弥氏と日本農業新聞は誤った「自民党転向」情報を発信したことになります。その罪は重いでしょう。

おそらく、小林吉弥氏はいつもの習慣で、安易な自民党叩きをしてしまったのでしょうが、それはこのTPP決戦最終局面でするべきことではなかった。

まして、場所もあろうに農民にもっとも強い影響力を持つ日本農業新聞にそれを書くべきではなく、日本農業新聞も掲載を拒否するべきでした。

■明日明後日は定休日です。月曜日にお目にかかりましょう。

■写真 年末恒例のつくば市の光の森が始まりました。 

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 自民党政権公約 11月21日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121121/stt12112122520013-n1.htm 

資料2-1 自民・安倍総裁、TPP参加に前向き 日商との会談で、大型補正にも言及
産経新聞11月15日
 

自民党の安倍晋三総裁は15日、東京都内のホテルで日本商工会議所の岡村正会頭らと会談し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉について「大事なことは“すべての関税ゼロ”を突破していく交渉力だ」と強調し、日本が交渉に参加した場合はTPPがめざしている聖域なき関税撤廃の例外を設けるために全力を挙げる方針を示した。 

■資料2-2 時事通信11月15日

「TPPも、党内の意見対立を踏まえて「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する」とどっち付かずとなった。」(時事通信) 

■資料2-3 読売新聞11月15日

「自民党は、『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対」という基本方針を定めているが、安倍総裁は会談後、記者団に対し、「守るべきものは守っていくという交渉はできる」と述べた。米国との事前協議で、農産物などを関税撤廃の例外品目とする日本側の主張を認めさせれば、交渉入りもできるとの考えを示したものとみられる。」

■資料3 『安倍晋三総裁 ぶら下がり会見 平成24年11月15日(木)15:05~15:15
http://www.jimin.jp/activity/press/president/119200.html
記者:総裁すいません。朝の日本商工会議所との会合の総裁の発言から波及して、一部報道の中では総裁がTPP交渉参加に前向きな姿勢を示したという報道がされますけど、(これは)今までの総裁の姿勢とは違うかと思いますが、この点についてもう一度改めてお伺いしたいのですが。 

 安倍総裁:朝の日本商工会議所との懇談の中の挨拶、まあ(ここに居る記者の)皆さんはTPPについて私の言いぶりを何回も聞いておられるでしょうから、それと全く変わらなかったと、基本的な姿勢がですね、ということでおそらく受け止められたんではないのかなぁ、と思いますが、交渉参加に前向きというのはあくまでミスリードだと思います 

あとで伺ったところによりますと、あそこには経済部の方々もおられて、経済部の方々にとっては私のTPPについての発言というのはあまり今まで聞いてこられなかった。また、バックグラウンド、ブリーフィング的なことも聞いてこられなかったので、全体のコンテキストではなくて一部の発言に対して、いわばミスリードしたのではないのかなぁ、と思います。 

その私の挨拶の中でも述べたように、例外、聖域なき関税撤廃、これを交渉の条件とする限り、交渉参加については私は反対する姿勢は全く変わってはいません。 

資料4 自民党役員会11月13日
http://blog.goo.ne.jp/newseko/e/cfc3e974d50e9bfbda71288aa62d868d 

我が党は自由貿易を堅持する立場である。
TPP は経済交渉であり、交渉の結果何が守れたかが重要である。交渉自体に問題があるわけではない

野田総理は選挙向けの思いつきでTPPを俎上に上げている。そもそも野田総理は今年はじめに「TPPに関する情報公開を行い、国民的議論を喚起する」と言っていたはずだ。しかし未だに何もしていない。

われわれは民主党政権の交渉能力欠如を懸念している。
菅首相は、普天間問題で滅茶苦茶になった日米関係を何とかする必要に迫られて、すがる思いでTPPに飛びついた。
しかも菅首相は「日本を『開国』する」と言ってしまった。たとえ開国されていなかったとしても「わが国は十分開かれている」と強弁して交渉をスタートするのが、経済交渉の基本である。しかもわが国は既に十分開かれていて、関税も米国よりも低い水準である。にもかかわらず菅首相は最初に「開国する」と言ってしまった。

このような誤った交渉戦略と、普天間が原因の対日不信感が、米国をして同盟国である日本に対していきなり「聖域なき関税撤廃」ということを言わしめてしまったのである。
通常同盟国に対してそのようなことはしない。自民党時代ならば、必ず事前の連絡、折衝があった。
今、米国はペリーの浦賀来航以来の傲慢な姿勢になってしまっている。このような状況を招いたのは、ひとえに民主党政権の交渉能力の欠如であり、このような政権にTPP交渉を進めさせることは認められない。

我が党は経済交渉としてきちんと折衝し、守るべきものは守っていく。守るべき聖域とは何かについて党内の議論を詰める必要があるが、この姿勢を堅持していきたい
 

■資料5  自民党TPP交渉判断基準
http://www.jimin.jp/activity/colum/116025.html
 
(1)政府が「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車などの工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうような投資家・国家訴訟(ISD)条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービスなどは、わが国の特性を踏まえる。
 

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タイ・TPPに参加表明 RECEPと二股か その真意は?

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タイが米国に対して正式にTPPに参加の意志を示したそうです。 

「米国のオバマ大統領とタイのインラック首相は18日、タイ・バンコクで会談した。インラック氏は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する意思を表明。オバマ氏もこれを歓迎した。」
(朝日新聞11月18日 資料1参照)
 

まずいですね。もしタイがTPP加盟を認められたとしたら、タイは東南アジア諸国でもっとも工業化がすすんでおり、日系企業の輸出拠点です。

となると、メイドイン・タイランドの日本製品が米国市場で無関税になるわけです。この魅力は大きいと思います。 これで既にタイに進出している日本企業は大いにTPPに前のめりになるでしょう。

特にタイの自動車産業の9割までは日本車ですから、当然のこととして米国輸出を狙うでしょう。タイ製の日本車なら、米国内製造の日本車より数割安いはずです。

しかも、世界最大のコメ輸出国でもあります。タイでどの程度までジャポニカ米を生産できるか、それが日本市場でどれだけ受け入れられるのか、正直に言ってわかりません。

既に日本商社は優良品種の種をもって行ってますから(←よけいなことをするな、バカヤロー)、時間の問題だとは思います。

特に、タイ現地でパックご飯にまで加工してしまえば、3パック100円くらいでコンビニで売れるのではないでしょうか。これはかなり脅威です。ちなみにパックご飯は「米加工品」ですから、コメ自体を関税ブロックしてもすり抜けてきます。 

さてタイは行ってみるとわかりますが、相当にインフラが整備されています。工業団地だけで50を超えて、しかもカンボジアやベトナムと違って停電が゙ほとんどありません。

数年前にベトナムに行った時に、ベトナム貿易をやっている日本商社の人から、「タイはベトナムの10年先を行ってますよ」、とため息まじりに言われたことを思い出します。 

確かに洪水や賃金上昇などのカントリーリスクはありますが、当分東南アジア首位の地位は揺るがないでしょう。反日暴動リスクの中国から多くの日本企業が、東南アジアにシフトを開始しているとも聞きます。 

「東南アジア随一の「ものづくり立国」であるタイ。同国の自動車関連産業の集積ぶりは「アジアのデトロイト」と評されるほどだが、タイでの全生産台数の9割以上は日系メーカーが占めるなど、日本が主導的役割を果たしてきた。日本人が親近感を覚える国民性も“追い風”になっており、しばらくその優位性は揺るがなさそうだ。」
(産経新聞2012年7月18日)
 

タイは工業化を柱にし、海外企業を誘致する一方、同時にASEANやインド、中東、中国、オーストラリアとの貿易ハブの位置を占めていました。(資料4参照) 

さすがにかつての帝国主義時代から大戦期にかけて、東南アジアで唯一独立を維持し続けた、したたかな外交的上手の国だけのことはあります。 

その一方でこれだけ自由貿易を戦略化しているタイでありながら、意外にも世界最大の消費市場である米国とはだけは自由貿易協定(FTA)を締結できないままでした。

実は2004年から米国との交渉していたのですが、特許切れ医薬品の扱いなどの知的所有権がネックになってしこっていたところに、06年のクーデター騒ぎのどさくさで中断を余儀なくされていました。 

当然、タイは現在進んでいるRECEP(レーセップ・東アジア包括的経済連携)における中心的生産拠点の位置を約束されています。 

にもかかわらず、米国が中心となるTPPへの参加も表明したとなると、タイはRECEPとTPPをリンクする国となることを目指していると思われます。 

つまりタイはRECEPのイニシャチブを握ることを熱望している中国と、TPPの盟主である米国との間に二股をかけたことになります。さすがは、タイ!(笑) 

太平洋戦争中は、日本が侵攻すれば親日国になり、日本が負けそうになると連合国にさっさとなびきました。見事な寝業師! 

それはさておき、このタイの提案はオバマ大統領にとって魅力的な提案であることは間違いないでしょう。なぜなら、米国はタイをパイプにして、米国はRECEP諸国の貿易圏に介入できるからです。 

すると、RECEP域内でイニシャチブを握りかねない中国に対して一定の圧力をかけることが可能です。いわば勝手に大中華共栄圏を夢想している中国に対して、米国が冷や水をかけることができるチャンネルができたわけです。 

さてそこで我が祖国です。我が国の野田首相もまたタイに学んだのか、RECEPとTPPの二股を名乗り出ています。なんという見事な戦略眼でしょうか。

わけないだろうなぁ。でも、そのくらいしたたかでないと、広域自由貿易協定なんか結べないんだけどな。「バカ正直」で支持率が上がるのは日本国内だけですぜ、野田さん。

もっとも、野田さんが「TPPに参加します」とまで言わなかったのは素直に褒めます。

きっと年内に替わるはずの後継政権を外交的に束縛してはならないという原則に忠実だったのでしょう。あの菅前首相だったらきっと平気で言ってた気がします。

なにせ誰にも相談せずにAPEC横浜会議の席上でいきなり、「平成の開国」しちゃう人だったからな。思えば消費税も、TPPもみんなあの人の単なる思いつきから始まったんでした。

一体あの人はなんだったんだろう。おまけにそんな人が人類史上に刻まれる原発事故の責任者だったなんて。オーマイガッドです!

別に菅さんを逆偉人伝に刻むことがこの稿の目的ではないのでこれにて。

■写真 もう枯れてしまいましたが真夏のハスの花です。今はもっぱら収穫のシーズンです。そういえば、タイの人も土浦のハスを見ては手を合わせているそうです。 

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 TPP交渉へ参加意思表明 タイ首相、米との首脳会談
朝日新聞11月18日
 

【バンコク=大島隆、ニューデリー=庄司将晃】米国のオバマ大統領とタイのインラック首相は18日、タイ・バンコクで会談した。インラック氏は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する意思を表明。オバマ氏もこれを歓迎した。 

 インラック氏は会見で、TPP交渉参加に向けて「必要な国内手続きに着手する」と話した。ただ、会談後に出した共同文書には「オバマ大統領は、タイのTPP交渉への関心を歓迎した」とだけ明記。商務省も最終的な参加決定ではないとした。 

オバマ氏の訪問に合わせ、TPP交渉参加に向けて前進する一方で、国内の反対論にも一定の配慮をした形だ。知的財産や農業など様々な分野での調整のほか、議会承認など複数の国内手続きを経る必要があるため、参加まで少なくとも1~2年はかかるというのが一般的な見方だ。 

 タイには多くの日本メーカーが自動車や電機の生産拠点を構えており、参加が実現すれば、米国への輸出に追い風となる可能性がある。タイの日系企業の間では「タイから輸出する利点が大きくなれば、各社の世界戦略に影響を与えるだろう」(幹部)という見方が出ている。 

■資料2 <タイ>TPP正式参加を表明…インラック首相
毎日新聞11月18日
 

【バンコク白戸圭一】タイのインラック首相は18日、同国を訪問したオバマ米大統領との首脳会談で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉に正式参加する意向を表明した。TPP交渉の参加国は12カ国となる。
 両首脳は会談後に発表した共同声明に、タイの交渉参加を明記した。タイは東南アジア諸国連合(ASEAN)の枠組みでの経済連携を優先させており、これまでTPPへの参加には慎重だった。ただ、ベトナムなどASEAN加盟の4カ国がすでにTPP交渉に加わっていることから、国際競争力を維持するには、参加が望ましいと判断した。

 オバマ大統領はアジア太平洋地域の経済活性化の柱にTPPを位置付けており、20日に東アジアサミットが開かれるカンボジアの首都プノンペンで野田佳彦首相と会談し、日本の交渉参加について意見交換する見通しだ。
 

■資料3  タクシン政権の積極的な輸出市場獲得政策
日本総研03年10月
 

日米欧以外の地域への輸出拡大は、政府の施策により今後さらに強化される見通しである。

タクシン首相は、AFTA(ASEAN自由貿易地域)のほかにも、多くの国と自由貿易協定(FTA)を締結すべき、就任当初から積極的に取り組んできた。そのなかには日本、米国、中国、オーストラリア、ペルー、メキシコ、ニュージーランド、バングラデシュ、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、バハレーンなどが含まれる。すでに、2002年12月にバハレーンと自由貿易協定を締結した。
 

中国とは、ASEANとの経済協力の枠組みを利用し、2003年10月から野菜・果物の関税を撤廃し、2005年からは工業製品の関税を引き下げることが決まっている。また、オーストラリア、インドとの協議は大詰めを迎えており、10月にも自由貿易協定が締結させる予定である。日本、米国とは、農産物の関税引き下げやタイの投資環境改善(外資参入の規制緩和)など、まだ調整が必要な事項が残っているが、タクシン首相は粘り強い交渉を継続する構えである。商業省はこのような貿易自由化促進をてこに、3~4年以内に輸出を1,000億ドルに引き上げたいとしている。

 

■資料4 産経新聞2012年11月18日よりPhoto

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過激な新自由主義者・橋下「維新の会」

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TPPは、新自由主義(※1)の脳内汚染度をチェックする一番のリトマス試験紙だと私はかねがね思ってきました。 

TPP賛否を軸に、その濃淡を見れば一発でその党派の傾向が分かるという便利ものです。

ちょっと浸してみましょう。おお、やっぱり赤く染まったのは、橋下「維新の会」(※2)と「みんなの党」、そして民主党です。自民党は薄らピンク程度ですか。山田新党は真っ白。

さて、彼らTPP推進派は本当に「改革」が好きです。橋本「改革」から始まり、小泉・竹中「改革」を経て、その遺伝子は民主党の中に流れ込み、さらには今新たなランナーとして橋下「維新の会」を選びました。 

わが国は、かつては小泉・竹中「改革」に熱狂して修正が難しいような格差社会を作り上げてしまい、その次には民主党の「政権交代」にフィーバーして超デフレ社会を作り上げてしまいました。もういいかげん懲りねばウソです。 

しかしまだ懲りないのはマスコミで、今度は橋下「維新の会」を連日のようにもてはやしています。困ったものです。とうとうフジテレビの世論調査では、橋下氏は首相にしたい人第1位です。(欄外切り抜き参照)

橋下「維新の会」の政策は「維新八策」(※4)なる粗削りなものまとめられています。 

これらの政策は特に新味があるわけでもなく、民主党も自民党も多かれ少なかれ言ってきたことです。脱原発も言っていますが、それはほぼすべての党が言っていることです。 

要は2点を押さえておけばいいでしょう。 

ひとつは、中央政府を解体・弱体化させて道州制の名の下に、わが国をあたかもドイツかさらにはEUのような分権国家に仕立て上げることです。 

もう一点は、TPPという「起爆剤」を使って、わが国をアメリカにとって都合のいい社会・経済体制にすることです。 

この二つの政策に共通してターゲットとされている分野があります。それが農業です。 

道州制と農業は一見関係なさそうですが、実は大ありです。わが国の農業保護は政府支出によって支えられています。

もし、「維新の会」の主張どおりに消費税11%を地方財源に移管するとした場合、有利になるブロックは、関東では人口と大企業が多い東京、神奈川ていどで、他の県は逆に地方交付税として得ていた税収が大幅に減少することになります。 (※3)

全国的にみれば、東北、北海道、九州、四国、中国も同じように大半は税収の減少をもたらすでしょう。 

圧倒的に税収が増えるのは東京と大阪です。なぜなら、共に関西と関東の人口と大企業が一点に集積されているメガロポリスだからです。今でも税収だけで、ヨーロッパの中小国程度の規模をもっています。 

この二つの非常に特殊な条件にある首長がふたりして唱える道州制の経済的意図は、あまりにも見え透いています。 

それはあからさまに言えば、国に召し上げられて、地方交付金で貧乏県にもっていかれたらたまらない、全部オレに寄こせ、ということです。 

これは緊縮財政が三度の飯より好きな財務省官僚にとってこれ以上のいい話はないはずです。そりゃそうでしょう、いままで出来なかった地方への交付税交付金カットが実現するのですから、笑いが止まらないはずです。 

財務省の強く影響下にある野田政権が、橋下「維新の会」と似た道州制の実現を考えていることからもそれは伺えます。 

道州制を実行した場合、東京と大阪を除くほとんどすべての県はビンボーになります。結果、今でも小泉「改革」以後開くばかりの都市部と地方の格差がいっそう開いていきます 

同じ道州でも州都となった都市は栄えますが、それ以外の地方都市は衰退していきます。それは平成の大合併で、中央市役所所在地のみが発展したことをみればお分かりになると思います。 

ところで、農業はあたりまえですが、地方に存在します。そして「国として守るべき産業」として保護を受けてきました。

農政の矛盾も多くありましたし、それに対しての批判はここでは保留します。しかし、基本的にはどこの国でもとっている、国としてのトータルな農業政策は必要です。 

この財源は言うまでもなく国庫です。近年の「改革」以後、国庫からの補助の多くは、使途をつけずに地方自治体に渡されるようになった結果、国としての統一のとれた農業政策が困難になってきました。 

そして民主党政権下の農家所得戸別補償政策によって、農家に直接金を渡すような制度になったために、国としての農業政策の遂行がいっそう困難になってしまいました。

橋下「維新の会」は交付税交付金を一括交付して、国は使途をつけずに自治体に丸投げしろという要求を出しています。

これをさらに進めた道州制をとった場合、地方の貧困が増す結果として、農業への政府支出はズタボロになります 

おそらく橋下氏にとってそんなことは痛くもかゆくもないはずです。むしろそれが目的のひとつでしょう。中小零細農家は潰れてくれて結構、企業化された大規模農業企業のみが生き残ればいいと思っているはずです。 

もう一歩この発想を進化させると、この「大規模アグリ企業」の国籍が外国投資会社でも何らかまわないことになります。 強弁すれば、この外国資本系農業企業とて日本法人ですから、「日本の会社」なのです。

むしろ新自由主義者にとって、農地法や協同組合法などあらゆる農業規制を取り払って、外国からの投資を呼び込むことはいいことであり、むしろそれを促進していきたいと思っているはずです。

かくて全国各地の豊穣な農地は、外国資本によって切り刻まれていくことになります。 

このためのTPPなのです。これをしたいからTPPをやるのです。これが彼らの言う「農業が国際競争力をつける」ことの中身です。 

橋下「維新の会」は、TPP賛成論の中で、「自由競争の中で農業改革を推進する」という表現を使っていますが、この言葉はいままで私たち農業者はさんざん聞かされてきました。 

どこからって?そうTPP推進司令部のある経団連からです。文言まで一緒です。私は橋下「維新の会」の経済顧問にあの竹中平蔵氏がいるのを知った時、やはりこんな所にもあいつがいたか、と独りごちました。 

橋下「維新の会」がめざす方向は、道州制とTPPを「起爆剤」とする日本の弱体化と、外国資本への国土の切り刻みと売り渡しです。

そして首相公選制によって、首相に大統領制に近い強力な決済権限と固定任期を与え、一挙にわが国を構造改革するつもりです。

その時議会が反対しようにも、「衆院の半数削減」で大きく力を削がれており、抵抗する力は残っていません。

第一衆院を半分にしてしまえば、中小政党はその政治基盤ごと一掃され、地方選出議員も半数以下になっていることでしょう。

橋下氏の考えるのは、大都市、大組織に偏った議会と、独裁権に近い権限をもった大統領型首相による小さな政府です。それが行う新自由主義的構造改革の数々・・・まさに悪夢の構図です。

橋下「維新の会」は、保守層を取り込むために憲法9条改正とか教育改革とか言っていますが、それは単なる老耄した石原翁をだますための方便でしかありません。なにせ橋下氏は、堂々とこう言ってのける人なのですから。

うそをつけない奴は政治家と弁護士になれないよ!うそつきは政治家と弁護士の始まりなの!橋下徹「まっとう勝負」2006年)

彼らの真の姿は純正の新自由主義者です。それも「グレート・リセット」を望む構造改革過激派なのです。

彼らにだけは政権を渡してはなりません。15とか16とか言われる政党の中で、もっとも危険なのは彼ら橋下「維新の会」です。

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■※1 [新自由主義構造改革についての簡単な説明
別名、市場原理主義、あるいは新古典主義のことをいう。改良資本主義であったケインズ主義を否定し、企業の規制緩和、外国資本の参入自由化、公営企業の民営化、社会福祉切捨て、財政規律の建て直し、増税などの政府が取る政策のこと。

典型は英国のサッチャー首相やレーガン大統領、小泉純一郎首相、金大中大統領のとった政策である。

冷戦に勝利した思想として全盛を迎えたが、その後のリーマンショックを生み出した元凶とされ、その政策をとった諸国は共通して内部に「自己責任」の名の下に大きな社会格差や貧困問題、失業、自殺問題などをはらむことになる。

本来、新自由主義的構造改革はインフレ対策であり、バブル崩壊後のそれはデフレの克服に無力なばかりか、デフレを増大させる原因ですらあった。

主唱者はシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授。わが国では竹中平蔵氏(小泉政権時の金融財政大臣)、池田信夫氏など。

■※2 石原新党と合流しましたので、それ以前の「維新の会」を橋下「維新の会」と表記します。正式名称は「日本維新の会」です。

■※3 石原新党と合流下後は、消費税は11%とし、うち6%を「地方共有税」として地方間の財政調整財源とする、としました。またTPPに関しても「国益にあわなければ反対」としました。たぶん平沼さんたちの「たちあがれ日本」側と折り合いをつけたのでしょうが、私は自分をうそつきと自慢する人の言うことですから大いに眉唾だと思っています。

というのは橋下氏はTPP推進はかなり前からの自説ですし、「地方共有税」とやらで半分もっていかれたら消費税の地方税化のメリットがなくなるからです。

彼のようなプラグマチストは、石原翁さえ取り込んで看板に出来さえすれば、選挙後はこんな「合意」は煮て食おうと焼いて食おうと、と思っているのではないでしょうか。

■※4 維新八策全文http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC3103B_R30C12A8000000/

■関連連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-0d2c.html

■産経・FNN世論調査 比例代表の投票先、維新22・4%と自民に迫る
産経新聞11月20日

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17、18両日に実施した合同世論調査で、衆院選(12月4日公示、同16日投開票)での比例代表の投票先を聞いたところ、太陽の党との合流を決めた日本維新の会は22・4%で、自民党の22・9%に迫った。維新は民主党の14・8%を上回ったが、政策の「小異」を捨てる形での太陽との合流への評価は二分しており、今後の情勢次第では期待度が変化する可能性もある。

 自民は比例投票先でトップを維持したが、前回調査(11月3、4両日)から2・7ポイントの減。維新は、前回は別々に尋ねた太陽(調査時は「石原新党」)との合計(26・6%)と今回を比較すると4・2ポイント下げた。民主は1・3ポイント増だった。

 衆院選後に「日本のリーダーとして最もふさわしい人」では、国政進出を否定している維新代表代行の橋下徹大阪市長が15・6%で首位。2位は自民党の石破茂幹事長(13・0%)、3位は同党の安倍晋三総裁(11・9%)。維新代表の石原慎太郎前東京都知事は10・5%で5位だった。

 維新と太陽の合流については「評価しない」の47・1%が「評価する」の45・9%を上回った。今回の合流のように消費税や原発などをめぐり政策が異なる「第三極」勢力の連携には、「連携しても構わない」が46・8%で、「連携すべきではない」の45・8%と拮(きっ)抗(こう)している。

 政党支持率は自民18・5%(前回比2・2ポイント減)、民主13・5%(同2・2ポイント増)。維新は9・9%(同1・9ポイント増)の3位で、太陽の2・3%を足しても12・2%と民主に届かなかった。

 衆院選の争点を1つだけ尋ねたところ、「景気・経済対策」が33・6%でトップ。医療・年金などの「社会保障」が20・6%で続き、両項目だけで50%を超えた。原発・エネルギー政策(7・9%)や消費税率引き上げ(5・9%)は限定的だった。

 一方、野田内閣の支持率は21・3%(前回比0・2ポイント減)で過去最低を更新した。不支持率は65・5%(同0・2ポイント減)だった。

 首相の解散決断を「適切」としたのは68・6%に達した。ただ民主の支持率上昇につながったが、内閣支持率には反映されず、解散効果は低かったようだ。

 3年余りの民主党政権については「まったく評価しない」(30・1%)と「あまり評価しない」(37・5%)を合わせ7割近くが評価しなかった。

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山田正彦元農相離党 民主党政権はTPP反対ならば公認せずの踏み絵を踏ませた!

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民主党政権でただひとりの傑出した農相だった山田正彦氏が離党しました。理由は言うまでもなくTPPです。 (資料1) 

山田元農相は、「党がTPPに反対すると公認しないという縛りをかけてきた」から離党に踏み切ったそうです。

これは聞き捨てなりません。民主党執行部はTPPを政権公約に掲げ、それに反対する党員には公認しないとなると、いままで党内にいた反TPPグループは今後公認されるためにはTPPの踏み絵を踏まされることになります。 

野田首相はプノンペンで19日夜このように発言しています。

野田佳彦首相(民主党代表)は19日夜、環太平洋経済連携協定(TPP)の対応について「私の所信表明演説、(9月の)代表選の公約に掲げたことが基本。きちんと守っていただくことが公認の基準だ」と述べ、TPP推進方針に賛同しなければ、総選挙で公認しない考えを示した。」(朝日新聞11月19日 資料1追加)

民主党PT(プロジェクト・チーム)は、執行部に対して「交渉参加の是非について慎重に判断することを求める」というかぎりなく反対の答申をしています。(資料2)

民主党PTの内部議論は詳細まで伝わってきませんが、党内には相当大量のTPP反対者がいるはずで、少なくとも歴代農相、副大臣、政務官クラス、あるいは1人区選出議員までは一致して反対なはずです。

現職の郡司大臣は参院なので、とりあえずは踏み絵を踏まなくともいいようですが、本来ならばこれらのおそらくは数十人規模のTPP慎重派の民主党議員は山田氏について離党するか、節を曲げて公認をもらって選挙資金を頂戴するしかないことになります。 

しかし、国会議決でもないのに党議拘束まがいの縛りをかけたわけで、いかに民主党執行部がTPPに前のめりになっているかが分かります。

私は新自由主義のリトマス試験紙はTPPだと思っています。各党が新自由主義に脳内汚染されているほど強くTPPを推すことになります。

ですから現在、竹中平蔵氏が経済政策の指導をする維新の会が、もっとも強いTPP推進派なのです。(資料3)

同じ自民党でも、竹中氏が経済政策の舵を握った小泉政権時代だったら、TPPにあっさりと参加してしまったでしょう。 しかし今幸いにも、安倍総裁率いる自民党は明瞭に反対姿勢を貫いています。(資料4)

もちろん個々の議員にはそれぞれ考えがあるでしょうが、民主党と自民党が決定的に違うのは部会で検討され、それが政調会でまとめられ党の方針として集約された段階で、基本的にこの線から逸脱しないことです。

これはいつまでたっても党内をまとめきらないどこぞの政権党とは大違いです。民主党は、いわば自民党の部会に当たる経済連携PTで慎重な意見が答申されたにもかかわらず、執行部・政府はそれをまったく無視してしまいました。

どこに党内民主主義があるのかと思わせる光景です。こんなことならば初めからPTなんぞ作らねばよかったのです。かつての小沢幹事長時代のように、政調会も部会もつくらずに議員はただの賛成挙手要員で十分ではありませんか。

そして今回は前農相の離党という異常事態を、選挙という決戦前に招いてしまいました。これは重大なことです。

私には山田氏に沢山の記憶があります。言うまでもなく口蹄疫の時のことです。山田前大臣は牛飼の心を持つ農相として口蹄疫との戦いに尽力しました。

彼にとってこれは戦争のようなものだったでしょう。そして彼はこの指揮官でした。

よくネット界では民主党が口蹄疫を阻止できなかったという情報が出回っていますが、それは正確ではありません。

無能だったのは赤松農相と東国原知事のふたりであって、それを救ったのが山田大臣と篠原副大臣の二人でした。

その働きは、東国原前知事のパーフォーマンス政治と違って理にかなったものでした。彼は農家に家畜の殺処分を命じるというもっともダーティな、誰もやりたがらない指揮を執ったのです。

当時、私は発生当初は彼の方針(ワクチン接種-殺処分)に反対でしたが、後に彼のとった方法が現実的であったことを知ります。

ただし、そのことによって彼は農家からの称賛より、強い怒りを買ってしまいました。

殺処分命令を下した種牛農家に詫びに出向こうとした山田氏が、農家から拒否されて空港で哀しくうつむく姿が今でも私の記憶に焼きついています。

農業全体を救うためには、時には汚れ役にもなれる政治家、それが山田正彦氏でした。

山田氏は沈む泥舟から逃げるネズミではありません。しかし民主党政権は、このような逸材を更迭まがいに遇し、そして今、党を去らしてしまいました。・・・民主党政権の絶望の闇はこのように深いのです。

さぁ、決戦です!この選挙はTPPというグローバリズムの妖怪との戦いです。

新自由主義が指揮を取るTPPが勝つか、日本の風土と農業、そして国柄を守る私たちが勝つのか、最後の勝負が始まりました。

 

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

■資料1 山田元農相が離党届を提出
読売新聞11月19日
 

民主党の山田正彦元農相は19日、無所属で前国民新党代表の亀井静香元金融相と新党結成を目指す意向を表明した。 

 山田氏は同日午前、民主党に離党届を提出した。 

 山田氏は離党届提出後、国会内で記者団に「亀井氏と2人で新党を結成する」と述べた。ただ、政党要件を満たす5人の国会議員(前衆院議員含む)がそろっているかどうかは明らかにしなかった。山田氏は先週、亀井氏と断続的に会談したほか、民主党に離党届を提出した議員や、離党を検討中の議員ら数人と新党結成について協議していた。

■資料1追加 野田首相「TPPが公認の基準」 推進への賛成が前提
朝日新聞11月19日

 【プノンペン=稲垣直人】野田佳彦首相(民主党代表)は19日夜、環太平洋経済連携協定(TPP)の対応について「私の所信表明演説、(9月の)代表選の公約に掲げたことが基本。きちんと守っていただくことが公認の基準だ」と述べ、TPP推進方針に賛同しなければ、総選挙で公認しない考えを示した。プノンペン市内で記者団に語った。

 首相は所信表明演説などで、TPPを日中韓自由貿易協定(FTA)などと同時並行的に進める方針を表明しており、「(党の公認候補が)大きく逸脱することは同じ党としておかしい」と指摘した。党内にはTPP推進方針に反発する声も根強いが首相は「離党者が出ることは残念だが、政策の一致できる人と覚悟を持って戦いに挑戦する」と強調。さらに離党者が増えても争点を明確に打ち出す狙いがあるようだ。

 また、首相は「焦点はエネルギー。脱原発で日本のかじ取りを行うのか、従来の政策を惰性で続けるのか、脱原発と原発維持が混ざった方向感のない政治をやるのか」と強調し、自民党や日本維新の会を牽制(けんせい)した。

                  これがTPP踏み絵の実物です。

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■資料2 「懸念事項」で政府に回答求める  民主経済連携PT 

民主党の経済連携PT(プロジェクトチーム)は7月25日の総会でTPP(環太平洋連携協定)に対する懸念事項をまとめ、議論を始めた。PTが示した懸念事項に対する政府の回答も求め検証していく。 

◆政府説明に納得せず 

 経済連携PTは前回の総会でTPPに対する懸念事項を整理することで合意し、この日の総会で別掲の内容を了承した。
 懸念事項は総論と分野別に3つの個別論点として整理した。ただし、投資家が国家を訴えることのできるISDS条項について櫻井充座長は「ISDSは別に扱うかもしれない」と話し、今後、この問題だけで集中的に議論する可能性も示した。
 この懸念事項についてPTでは「議員間議論に加えて政府の対応も示すほうが議論がかみ合う」(吉良州司事務局長・衆議院議員)として、政府の説明をもとに議論する方針だ。
 この日は「総論」について政府が説明。懸念事項は「TPP交渉参加には何らかの前払い条件を求められるのではないか」、「100%関税撤廃が原則なのか」、「合意済みの事項については再協議できないのではないか」など6項目。ただし、政府はいずれもあいまいな説明に終始。たとえば、交渉参加に際して、米国はすでに自動車分野で6項目の関心を示していることから、「求められている、と明確に回答すべきではないか」などの批判が続出し、次回総会で再度回答するよう求めた。
 ただ、総会で合意したとはいえ、推進派の議員からはこの懸念事項そのものに否定的な意見も出た。
 たとえば「100%関税撤廃が原則か。例外はまったく認められないのか」という事項について、議員からは「そもそもWTO(世界貿易機関)交渉でも100%関税撤廃を原則としてめざすもの。ただし、それぞれ実情があるからいろいろな妥協点がある。TPPに限らず自由貿易とは100%撤廃を原則として追求している。原則があり例外があるというのは当然なのではないか」との意見もあった。
 

◆議論に注視が必要 

 農業分野の論点では○内外価格差が大きい米、特定地域の主要産業である砂糖等、実現可能な対策が困難な品目があるのではないか、○食料自給率が大幅に低下し食料安保上問題が生じるのではないか、○センシティブ品目の除外は認められるのか、など5項目に整理した。
 これらの項目について政府がPTの場でどう説明するかも大きな焦点になる。
 総会では推進派議員から「米はやはり守らなければいけない」との意見が出されたのに対し、慎重・反対派議員からは「米だけではない」との異論も出されたという。この議論を受けて櫻井座長は農林水産分野の懸念事項に政府がどう対応するのか、明確な説明を用意するよう求めたという。こうした経過から、今後の政府の説明とPTの議論の行方によっては、今回の懸念事項の整理そのものが「どの品目をどう守るのか」という先走った議論に進みかねない、という懸念も出てきかねない。当面、政府がこの問題にどう説明を用意するかが焦点だが、PTの議論には一層注視が必要になってきた。
 

●民主党経済連携PTがまとめたTPPの懸念事項 

1:総論
(1)TPP交渉参加に際し、米国等から何らかの条件(前払い)を求められるのか。
(2)ハイスタンダードの定義は何か。100%関税撤廃が原則なのか。例外はまったく認められないのか。
(3)参加国で合意済みのルールについて再協議できるのか。
(4)TPPは米国中心の枠組みであり、他の経済連携に悪影響を与えるのではないか。(5)交渉内容は非公表であり、十分な事前の情報収集はできないのではないか。
(6)TPPに参加すると、環境基準、食品安全、労働法規等の分野において、米国側につくことになり、今後のマルチのルールメイキングで手足を縛られる可能性があるのではないか。
 

2.個別論点 その1(農林水産業関係、食品安全等)
(1)農林水産業への悪影響が甚大ではないか。特に、内外価格差が大きいコメ、特定地域の主要産業である砂糖等、実現可能な対策が困難な品目があるのではないか。
(2)食料自給率が大幅に低下し、食糧安全保障上問題が生じるのではないか。
(3)センシティブ品目の除外は認められるのか。
(4)戸別所得補償制度、漁業所得補償制度、漁業補助金等が否定されるのではないか。
(5)GMO表示、農薬の安全基準等について緩和を求められるなど、食の安全が損なわれるのではないか。
 

3.個別論点 その2(TBT(各国の法令による規格などの貿易の技術的障害)、政府調達、知財、医療等)
(1)自動車の安全基準・環境基準の緩和、自動車税制の変更を求められるのではないか。(2)公共事業等において外国企業が参入し、地元企業の受注機会が減少するのではないか。(3)保護期間変更によって、医薬品業界、とりわけジェネリック薬品への打撃が大きいのではないが。
(4)米国の医薬品業界が薬価決定プロセスに参加し、薬価の高騰を招くのではないか。(5)日本文化の一部として海外でも受け入れられているアニメ、コスプレなどのサブカルチャーが保護の強化によって競争力を失う可能性がある。
(6)混合診療の解禁等、国民皆保険制度が影響を受けるのではないか。
(7)郵便、水道などの公的セクターに海外の営利企業が参入し、公共性が保てなくなるのではないか。
(8)医師、薬剤師、税理士等の免許・資格の相互承認が求められるのではないか。
 

4.個別論点 その3(商用関係者の移動、金融サービス、ISDS等)
(1)外国人労働者の流入により、日本人の雇用機会や賃金が減少するのではないか。
(2)労働法規について統一基準・仕組みを設けると、労働紛争解決について問題が生じるのではないか。
(3)日本郵政におけるユニバーサル・サービスが担保できなくなるのではないか。簡保の新商品販売が認められなくなるのではないか。
(4)共済の税制・規制上の優遇措置がなくなるのではないか。
(5)ISDS条項(投資家対国家の紛争解決条項)により我が国の主権を害されるのではないか。
(6)国営企業への規制、電力会社などの地域独占企業を民間とイコールフッティングにしなければならいこと、電波オークション、新聞再販制度についてもデメリットになるのではないか。
 

資料3 主要各党のTPP公約
日本農業新聞11月19日
 

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■資料4 『安倍晋三総裁 ぶら下がり会見 平成24年11月15日(木)
http://www.jimin.jp/activity/press/president/119200.html  

記者:総裁すいません。朝の日本商工会議所との会合の総裁の発言から波及して、一部報道の中では総裁がTPP交渉参加に前向きな姿勢を示したという報道がされますけど、(これは)今までの総裁の姿勢とは違うかと思いますが、この点についてもう一度改めてお伺いしたいのですが。 

安倍総裁:朝の日本商工会議所との懇談の中の挨拶、まあ(ここに居る記者の)皆さんはTPPについて私の言いぶりを何回も聞いておられるでしょうから、それと全く変わらなかったと、基本的な姿勢がですね、ということでおそらく受け止められたんではないのかなぁ、と思いますが、交渉参加に前向きというのはあくまでミスリードだと思います 

あとで伺ったところによりますと、あそこには経済部の方々もおられて、経済部の方々にとっては私のTPPについての発言というのはあまり今まで聞いてこられなかった。また、バックグラウンド、ブリーフィング的なことも聞いてこられなかったので、全体のコンテキストではなくて一部の発言に対して、いわばミスリードしたのではないのかなぁ、と思います。その私の挨拶の中でも述べたように、例外、聖域なき関税撤廃、これを交渉の条件とする限り、交渉参加については私は反対する姿勢は全く変わってはいません。

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「小異を捨てて大同につく」などという第3極は信用できない。もう「風」はいらない!

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野田政権が解散するなら「今」しかないと書いたら、ほんとうにその日の午後に解散を表明されてしまって、自分の予知能力のズコサにたまげております(笑)。 

あれ以来、上を下への解散騒動です。国民の大半が待ち望んでいたことですからそれはいいのですが、マスコミが「第3極」とやらをなぜ持ち上げるのか理解に苦しみます。 

今回の選挙の焦点は第3極などではなく、第1に何よりも民主党政政権の不毛の3年間への評価、次にTPP参加問題、原発・エネルギー問題、脱デフレ・消費税問題などの重要な問題解決なはずです

マスコミの一部には、これらの諸問題で争点が見えない、などと言っている向きもありますが、自民、民主はいうまでもなく、第3極各党の間にも大きな隔たりがあります。、

ところで先日、石原新党が維新の会と合流すると聞いた時にはのけぞりました。その言い分がふるっています。石原氏いわく、「小異を捨てて大同につく」ですと?

げっ、てなもんです。 どれひとつとっても、断じて「」異ではない。TPPや、原発問題が「小」だって!その言葉を福島や茨城で吐いてみろ、と言いたい。

冗談ではない!私たちの子供たちの世代までを決定づける重要な選択です。それを「小異」と言ってのける石原氏のほうが、ただの感性の鈍い傲慢な老人にすぎないというだけです。

一晩で橋下氏にすり寄るために河村市長を切って捨てたやり方といい、石原氏は晩節を汚しました。

石原さんは橋下さんのことを天才とか、義経とか言って惚れ込んでいるようですが、そういうのを老いらくの恋というのですよ。

熱冷ましをお飲みなさい。橋下「維新の会」とはなんぼのもんですか。橋下氏はハッタリが得意な天才的ポピュリストにすぎません。本来なんの思想も理念もない人です。

維新の会の政策の中身といえば、竹中平蔵氏仕込みのTPP大賛成、脱原発は飯田哲也氏の急進的即時全面廃炉、「反中央官僚」は経産省脱藩浪人の古賀茂明氏仕込みのゴッタ煮です。

これらを、「橋下徹」という強烈なカリスマ性をもったキャラクターがくっつけているだけです。ですから、ひとつひとつ検討するとわからないことだらけです。

目玉政策であり、石原氏との唯一の共通政策である「中央集権制打倒・消費税の地方税化」も、地方分権の議論も煮詰まっていないのに財源だけ国から移管してなにをするつもりなのでしょう。

財源と受け皿作りが同時進行して、初めて地方自治の飛躍があると私は思っています。

いきなり器の道州制とかその財源論とか外形的な枠組み論ばかりが進行して、かんじんな「いかにして地方を豊かにするのか」という中身の論議がすっぽりと欠落しています。

そのように言うと、橋下氏はかならず「地方自治体の首長をやったことのない人間がなにを言う。」、そして「消費税の地方財源化が一点突破になる」、と言います。

しかし、橋下氏の知っている「地方自治体」とは大阪という巨大な政令指定都市にすぎない。橋下氏の「地方」は大阪であり、私が住む茨城の僻村でも、ましてや礼文島でも小浜島でもありません。

私が「地方」の限界が骨身に沁みたのは、一昨年の口蹄疫やトリインフルエンザ、そして今回の原発事故と大震災という非常事態の時でした。

残念ながら、地方には優れた首長や職員は沢山いましたが、「力」がなかったのです。

地方には機材や専門知識を持った人員を緊急投入する力も金も、それを平時に維持するだけの能力にも欠けているのです。

残念ながら、市町村レベルはいうまでもなく、県レベルですらそれはない。口蹄疫や原発事故、震災といった1時間を争うという時に、それは露呈しました。

残念ながら、今そのマンパワーとハードを持っているのは国だけです。国だけが責任をもった緊急対応ができるのです。

「そんな百年に一度の事態は来ない」などとは言わないでください。それはこの2年間、わが国を連続して襲っているのですから。

道州制にしてしまったら、これを引き受けるだけの受け皿に道州制=県広域連合がなれますか。無理だと思います。

残念ながら、唯一現時点でその力を持つのは東京、大阪などの政令指定都市だけに限られてるからです。

つまり、石原さんや橋下さんの東京、大阪という地元だけがそれを可能で、あなた方はそこからだけしか「地方」を見ていないのです。

「地方の首長」といいますが、東京、大阪はヨーロッパ一国ほどの経済規模がある「首長」なのですから、例外から全体の「地方」を論じないでいただきたい。

次に、私が石原氏が「小異」と言ってのけた原発問題です。原発問題とは、即エネルギー問題です。

「脱原発」とは、原発に強依存したエネルギー構造をどのように変えていくのかという代替エネルギーだけがテーマではありません。

それと同時に、どのようにしたら国民経済が損失を受けないようにできるのか、国民が苦しまないように変えていくためにはどうしたらいいのか、豊かさと原子力から離脱はどのようにしたら共存できるのか、それを問うことだと思っています。

そのためにはエネルギー構造だけではなく、経済構造と社会構造、そして日常生活のあり方までも変えていかなければなりません。

私は原発は徹底した安全確認ができるまで一定期間のモラトリアム(凍結)するべきだと考えています。

まだ福島事故の徹底した総括すらできていないこの時期に、原発即時全面廃炉というのはあまりにも拙速に過ぎます。

まるでこの福島事故のどさくさに紛れて、一挙に急進的な脱原発政策を進めようとしているようにすら見えます。それがどのような結果になるのかは、ドイツをよく検証すればわかるはずです。

その逆に、ろくな安全確認もされていない現在,全面稼働を言うのはもはや犯罪的です。

今は、2~3年間のモラトリアム期間を設けて、原子力安全・監視機関はいかにあったらいいのか、プルトニウムや最終処分はどうするのか、代替エネルギーはどう位置づけるのか、などの具体的課題について専門家と国民を交えた徹底的な議論をし尽くす時です。

その議論の結果次第で、原発ゼロがいかなる方法で、いかなる期間で達せられるのかが段々と見えてくるでしょう。

その間に国民や経済界の考えと覚悟も定まってくるでしょう。その議論の熟成の時間が必要なのです。段階を踏まないで結論にいってはなりません。急ぐのは、原発の安全性の確認作業のみで、それ以外は焦ってはなりません。

そしてTPP問題やデフレ対策などの経済問題に至っては、維新の会の経済政策を主導するのは竹中平蔵氏の新自由主義(※)です。

このデフレ大不況期に、彼らの言う規制緩和、財政規律の強化、大増税、公共事業削減、TPP推進、自主関税の撤廃、そして農業の解体などといった経済政策をとれば、わが国は間違いなく滅びます

それは新自由主義者が主流だった民主党政権の3年間が実証しているではありませんか。彼ら新自由主義者は、小泉改革だけでは足りずTPPでその仕上げをしたいらしい。

私は今回の選挙でTPP推進と新自由主義を掲げる政党だけは許せない。

これらひとつひとつは「小異」どころか、今のわが国にとって死活的な重要問題で、むしろ「中央集権打倒」などのほうが、優先順位が低い問題です。

「小異を捨てて大同につく」、「中央集制打倒」、これでは、3年前に民主党が掲げた「政治主導」、「政権交代」というムード的スローガン政治とどう違うのです

維新の会は、全国に正体不明の候補を立てて、関西を除きその9割が落選するでしょう。

気の毒ですが、それに呑み込まれた旧石原新党は石原氏を残して消滅するでしょうが、石原氏はひとり生き残ることを潔しとしないでしょう。

他の有象無象の第3極党派は地方ミニ政党として名古屋や北海道に生きて下さい。本来そのような性格のものなのです。

私は維新の会にしても、石原新党にしても地方政党である限り、一定の意味があると評価していたのですが、「風」に乗って野合政権を作りたいなどと夢想するから道を誤ったのです。

3年前に民主党がやったままの「風」頼みのイメージ政治は二度とごめんです。

その弊害に、私たち国民はうんざりするほどつき合わされました。冗談ではありません。「第3極」などという内実のないフンイキで、また3年間を浪費させられるなどまっぴらです。

私たち日本は今、間違いなく岐路に立っています。原発、消費税、TPP、デフレ不況、安全保障、外交政策、どれひとつとっても選択を誤れば国は滅びるでしょう。だからこそ、ひとつひとつの政策を見極めて、しっかりと自分の頭で考え抜いて一票を投じます。

もう「風」はいらない。 いるのは冷静な有権者の「眼」だけなのですから。

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-fa0c-1.html

■※[新自由主義についての素人の説明
別名、市場原理主義、あるいは新古典主義のことをいう。改良資本主義であったケインズ主義を否定し、企業の規制緩和、外国資本の参入自由化、公営企業の民営化、社会福祉切捨て、財政規律の建て直し、増税などの政府が取る政策のこと。

典型は英国のサッチャー首相やレーガン大統領、小泉純一郎首相、金大中大統領のとった政策である。

冷戦に勝利した思想として全盛を迎えたが、その後のリーマンショックを生み出した元凶とされ、その政策をとった諸国は共通して内部に「自己責任」の名の下に大きな社会格差や貧困問題、失業、自殺問題などをはらむことになる。

本来、新自由主義的構造改革はインフレ対策であり、バブル崩壊後のそれはデフレの克服に無力なばかりか、デフレを増大させる原因ですらあった。

主唱者はシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授。わが国では竹中平蔵氏(小泉政権時の金融財政大臣)、池田信夫氏など。

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太陽の党:解党、維新と合流へ 政策丸のみ、「減税」とは白紙
毎日新聞 2012年11月17日 東京朝刊

 日本維新の会と太陽の党は16日、近く合流することで合意した。維新の橋下徹代表が同日、太陽の石原慎太郎共同代表らと国会近くのホテルで会談して政策を提示、太陽が受け入れを決めた。太陽が解党して維新に合流し、維新の政党名も変更しない。第三極の連携は、太陽が加わる維新とみんなの党を軸に進む。【藤田剛、福岡静哉】

 橋下氏は会談で、維新が衆院選公約に盛り込む脱原発▽環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加▽消費税の地方税化などの政策課題と、維新とみんなとの政策合意の内容を提示。太陽にとって隔たりの大きな主張が含まれるものの、受け入れを決めた。橋下氏は会談で石原氏が新代表に就任することを提案したが石原氏は2人が「共同代表」となる案を示し、結論は出なかった。維新は17日に合流を正式に決める。

 また、太陽は16日の幹部会合で、減税日本との合流を先送りする方針を決めた。太陽幹部は「減税とは事実上白紙だ」と述べた。

<維新の会> 太陽が合流、代表に石原氏 1次公認47人発表
毎日新聞11月17日

日本維新の会は17日、大阪市内で全所属国会・地方議員による全体会議を開き、太陽の党が解党して維新に合流したと発表した。新代表には太陽の石原慎太郎共同代表が就き、維新代表だった橋下徹大阪市長は代表代行に就任した。維新はさらにこの日、衆院選の1次公認候補47人を発表。石原氏はみんなの党との選挙協力協議を急ぎ、第三極の結集を図る考えを強調した。

 全体会議に同席した石原氏は「大同団結して最初の一戦で戦おう。後は橋下さんにバトンタッチする」と述べ、衆院選後に橋下氏に国政を託す考えを示した。橋下氏は、今回の衆院選出馬を改めて否定した。

 両者が合意した基本政策は、中央集権の打破▽環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加▽新エネルギー需給体制の構築−−など8項目。両者の政策の隔たりについて、橋下氏は「既成政党に比べれば一致している」と、他党からの野合批判に反論した。

 政策文書によると、消費税の地方税化を改めて掲げ、中央集権の打破の項目に盛り込んだ。税率は11%を目安としたが、増税の是非には直接触れていない。新エネルギー需給体制では、安全基準などのルールづくりを提言し、「脱原発」とは記述しなかった。

 党人事では、幹事長は松井一郎大阪府知事が続投し、国会議員団代表には平沼赳夫前衆院議員が就いた。太陽は週明けにも総務相に解党を届け出る。

 一方、1次公認候補者は28~65歳の官僚や地方首長・議員経験者、医師らで、擁立は21都道府県。1次で80人超の擁立を目指していたが、大幅に下回った。最終目標とする衆院過半数の241人以上は難しい情勢だ。みんなの党との競合は、両党の協議によって複数の小選挙区で回避、2カ所にとどめた。ただ、みんなの江田憲司、維新の松井両幹事長は、選挙区のすみ分けを進める考えを示したものの、合流は否定した。

 一方、減税日本の河村たかし代表(名古屋市長)は同日、同市内で記者団に対し「名前がいかんと言われれば変える」と述べ、維新との合流が実現するなら党名にこだわらない姿勢を示した。しかし、松井幹事長は依然難色を示している。

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関西電力が活断層報告を偽造した新証拠!

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関西電力は何か重要なウソをついています。プンプン匂います(笑)。 

あの大飯原発のまっ下を走るF6破砕帯が、実は活断層(※)の可能性があることを関電は知っていて白ばっくれていたのではないかという疑惑です。 

まずはF6破砕帯の場所から確認しましょう。(下図参照)
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-4f24.html
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               (図TBS11月5日6時ニュースより)

このF6破砕帯が本物の活断層なら、3号機脇を通り非常用冷却系の緊急取水路がイザという時に使えないという恐ろしい事態になります。 

世論の声に背中を押されるようにして、規制委員会がやっと重い腰を上げたのが11月2日のことでした。 

結局、調査団の意見がまとまらず水入りということになりました。 

調査団に参加した渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)が言うように、「これは学術調査ではなく緊急性があるものなのだから、なぜいったん原発を止めて調査をしないのか」とは誰しも疑問に感じるところです。 

どうもこの大飯原発にはよほど徹底調査を嫌う理由がありそうだと、私などは思ってしまいます。そうなのです。あるのです。それが関電が隠していた一枚の地層スケッチです。
(下図参照)

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                 (SAPIO 2012/2より)

この地層スケッチ図がありながら、関電は2010年の耐震安全調査(バックチェック)の時に旧保安院に提出していませんでした。このような行為を世間では隠匿とか、隠蔽工作といいます。 

このスケッチ図を分析した規制委員会調査団の渡辺教授の説明によれば、変形地形学の知見から次のことが言えるそうです。 

①F6(黄色)を境にして右側の岩盤(青色)が50㎝ほど隆起しており、その上の石を含む「砂礫層」(薄茶色)も同じく50㎝隆起しています。 

この同じ50㎝の2ツのズレの量が一致していることから、岩盤に堆積していた砂礫層がF6の活動と同時に動いたことを示唆しています。 

②また、地層がズレることて断面がこすれて岩盤が細かく砕かれて生じる「断層粘土」(赤色)が破砕面がF6と岩の境に沿って1㎝幅でフィルム状にへばりついています。 

この断層粘土はまだ柔らかく岩盤と砂礫層の間にもあります。これは砂礫層が堆積した後から断層が動いた証拠だと渡辺教授は述べます。 

③図左上に描かれた、上層の砂と粘土からなる「シルト層」(紫色)は、地層がズレた後の低くなった地形に河川の洪水などで砂が流れ込んだ時にできるもので、これもこの地形が変動したことを現しています。

以上3ツの理由から、このF6スケッチ図は見る人が見れば完全な活断層である動かぬ証拠となるものだと専門家は見ます。 

しかし、この図は旧保安院には提出されず、替わって出したのが下図です。(同上)

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まるで違うのは素人にも分かります。こちらはまるでフラットです。F6破砕帯はまったくズレていません。オリジナル図にあった砂礫層のズレも、破砕面に沿った砂利や粘土層などすべてが消えています。 

では、この2番目のスケッチはどこの地層だったのでしょうか。今回の調査で2番目の関電が出した地層を再調査できれば、その真贋がわかるはずです。 

それが下図に示されています。(同上)なんと、くだんの2番目のスケッチ図を描いたとされる地層は、今は原発施設の建造物コンクリートの下なのです。だから調査はできないよ、と関電は言うわけです。

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実は、この2番目のスケッチ図が長年関電が活断層ではないとしてきた最大の論拠でした。

関電はこの図を根拠にして、「12万~13万年以降動いた事のなかった地層だから活断層ではない」と主張してきました。

この2番目の図は再三使い回されており、大飯原発再稼働の安全確認調査の時にもこの図を出して1番目の図は隠匿しました。 

この再稼働野審議会の折には、関電は旧保安院の資料提出要請を無視して、「探しているのだが見つからない」として2番目のスケッチ図の断層写真などの資料の提出を拒みました

この時にはさすがの旧保安院の小林耐震安全審査室長も怒って関電の「非協力ぶり」を強く批判しています。(下写真参照 「報道ステーション」より)

ですから、関電のこの「非協力」、というか意図的サボタージュのために、再稼働を認めた審議会は事実上無審査だったのです。

活断層を調べる審議会に当該の地層の資料を拒む、してまともな審議ができなかったにもかかわらず、それでも「安全基準」を満たしたとして再稼働を認める・・・まさに茶番です。

再稼働をさせることを至上課題とする政府から、なんらかの政治的圧力があったとしか思えません。原子力安全行政の歴史的汚点です。

Dsc_2387                       (YouTubeより)
 

今回の規制委員会の調査も先ほどの地図でわかるように、なぜか問題の関電が出した2番目のスケッチ図の地層からはるか離れた場所で実施されました。 なぜこんなに離れた場所で調査をするのでしょうか。

この調査の時も、関電が指定する場所から離れた場所に破砕帯があったりして、どうも関電は破砕帯の位置すら明確に把握していないか、あえて別な場所を掘らせているのではないか、と思わせることが起きています。

何かプンプン匂いますでしょう。関電がこのすり替え疑惑の潔白を証明するのは簡単です。原発を一回止めて、調査団に2番目の図の場所を再調査してもらえばいいのです。

なに建物がある?そんなものは剥がしなさい。もしもの時に、活断層の上に原発を置いていて平気なのか、この人たちは。 

実は、他の原発にも活断層の上に作られたという疑いが多く浮上しています。東通原発、大間原発、敦賀原発、志賀原発、そしてもんじゅ美浜原発なとです。おそらくは活断層の上に乗っているような日本列島です。もっとあるでしょう。

これについては次回ということに。といっても、しょっちゅう続きを書くのを忘れるのですが。私も歳だなぁ(汗)。

■※活断層の非専門的解説 

断層とは地震などでできる「地割れ」のことです。地下のプレートが動くと、岩盤に歪が出来て亀裂が走り、上下左右に割れます。これが活断層です。
東日本大震災や阪神・淡路大震災などもこの断層に沿った活断層のズレにより起きました。これが直下型地震です。活断層とは「最近動いた」断層のことですが、「最近」といっても地層学では約14万年以内に動いた断層のことで、これを「活きた」断層、活断層と呼びます。
 

明日あさっては定休日です。月曜日にお会いしましょう。

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規制委拡散シミュレーションは孫請けに丸投げしていた 嗚呼、情けない・・・

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原子力規制庁が10月に公表した原子炉が重大事故を起こした場合の放射能拡散予想図が、実に3回も訂正せねばならない体たらくだったことはお伝えしました。 

そして今回その原因が孫請けまで存在する二重の丸投げであったことが発覚しました。(欄外資料1図表参照) 

「規制委の前身、経済産業省の旧原子力安全・保安院が、原子力安全基盤機構(JNES)に作業を丸投げし、JNESはさらに孫請けのコンサルタント会社に随意契約で、ほぼ丸投げしていた。」(資料2 東京新聞11月14日) 

この実際の計算をした孫請け会社は、日本原子力研究開発機構の出身者が設立したシー・エス・エー・ジャパンという小規模な会社です。 

この会社は、売上高の半分をJNESに依存する典型的な外郭団体、おそらくは保安院や資源エネ庁の天下り先だったのではないでしょうか。 

今回の予測シミュレーションは、旧保安院が依頼していたものでシー・エス・エー・ジャパンの社員か、JNESのコンピュータ室で計算していたようです。 

考えてみればこれも奇妙な話で、元請けのJNESのコンピュータ室に、孫請け社員が入り込んで「緊急性のある仕事だから急いで仕上げてミスった」というのですから分からない

「緊急性がある」ならば、元請けがそれなりの人数をかけてすればいいではないですか。それを孫請けまで丸投げして、ろくに検算もしないで納品する悪習があるから、チェックが効かないのです。わかりきった話です。 

今回は孫請け社員が、電力会社のデータをそのまま入力して、しかもそれを間違えてしまって、逆に規制する側が規制される立場の電力会社から指摘をうけるという赤恥をかいています。アルバイトにでもやらせたのでしょうか。 

民間でこれをやったら、事が重大なミスなだけに担当者の首の二つ三つは飛んでいるはずです。 お役人さんはのん気でいい。

それはさておき、規制委員会はこんなことを述べています。
「田中俊一規制委委員長は外部頼みの姿勢を問題視し、「自らデータを検証できるような仕組みが必要だ」と規制庁に指示。同庁は今後、電力会社の気象データに頼らず、気象庁のデータを使った拡散予測のソフトウエアを独自に開発していく方針という。」
 

問題はここです。原子力規制委員会は自らの中に「電力会社の気象データに頼らず、気象庁のデータを使った拡散予測のソフトウエアを独自に開発していく」能力がそもそもなかったのです。 

だったら規制庁などという、各省庁からの寄せ集めで作った親方日の丸組織などはじめから作らねばいい。そもそもそのようてな目的で規制庁を作ったのではありませんか。

このような安全規制機関を作る時に、付属の安全調査・研究機関を付属させない事自体が間違っていたのです。これは規制委員会の責任ではなく、政府の問題です。

私はフランスかぶれではないので、またフランスを引き合いに出してもうしわけないのですが、フランスの原子力安全・監視機関もまたふたつの組織を持っています。

ひとつは、今までこのブログで何回か取り上げた「原子力安全院」(ANS)と「放射線防護原子力安全研究所」(IRSN)です。

双方とも、あらゆる政府省庁から独立した機関です。一方わが旧保安院は経産省、今の規制委員会(規制庁)は環境省の下にあって独立機関ではありません。

IRSNはANSの外部補佐機関で、その菜のとおり1700名の研究者・職員を擁する巨大な研究組織です。

このような独自の研究組織がないところで、最後は孫請けの社員が元請けのコンピータで仕事をしていたなどいういじましい大パカをするどこかの国と、同じ原子力発電所を50数基保有といってもえらい違いです。

フランスIRSNについては長くなりましたので、詳細は別回に譲ります。

■写真 早朝の田園風景 

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■資料1 東京新聞11月14日よりPhoto

拡散予測図 孫請け業者が計算
東京新聞11月14日
 

原子力規制委員会が先月公表した原発事故時の放射性物質の拡散予測図に相次いで誤りがあった問題で、規制委の前身、経済産業省の旧原子力安全・保安院が、原子力安全基盤機構(JNES)に作業を丸投げし、JNESはさらに孫請けのコンサルタント会社に随意契約で、ほぼ丸投げしていた。

原発周辺の気象データは規制される側の電力会社頼み、予測も外部頼みでは、規制委の能力が疑われそうだ。 

 規制委事務局の原子力規制庁によると、孫請けの会社は、日本原子力研究開発機構の出身者が設立したシー・エス・エー・ジャパン(東京都港区)。民間信用調査機関によると、売上高の半分をJNESに依存している。 

 旧保安院から指示を受けたJNESは今年四月、「作業の緊急性がある」などとして、シー社と九百七十六万円で随意契約。シー社の社員がJNESのコンピューター室に出向き、予測作業を行っていたという。 

 今回の予測では、放射性物質が拡散する方位がずれていたり、風向きが正反対になっていたりする誤りが続出。規制委は総点検をJNESに指示した。 

 電力会社によって気象データを記録する様式が異なるのに、様式を整えずに予測したのがミスの大きな原因の一つ。シー社へ丸投げしたことで意思疎通がうまくいかなかった可能性もある。 

 田中俊一規制委委員長は外部頼みの姿勢を問題視し、「自らデータを検証できるような仕組みが必要だ」と規制庁に指示。同庁は今後、電力会社の気象データに頼らず、気象庁のデータを使った拡散予測のソフトウエアを独自に開発していく方針という。 

 ただ、規制庁にプログラムを開発する能力はなく、また外部頼みになる可能性が高い。 

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TPP参加を政権公約にした野田首相の思惑        さぁ、日本農業の正念場だ!

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速報! 首相は本日国会の党首討論の席上、16日に解散を明言しました。
欄外参照)この記事は解散を明言する前日に執筆しました。

                ~~~~~~~~~~                

珍しく政局の話をします。報道で伝えられているように、野田首相は「TPP解散」の腹を決めたようです。 (資料1参照)

TPP参加を表明し、そのままこれを政権公約として、原発ゼロと抱き合わせで解散に持ち込むと言われています。

実に老獪な彼らしい選択です。消費税の時に思いましたが、野田首相という人は、輿石幹事長などと違って戦略的発想ができる人です。ただし惜しいことには、肝心な政治理念が欠落していますが。

選挙の争点をTPPとしたことに彼の決断は集約されます。TPPほど、彼と敵対する党内外の勢力にとって攻めづらく、守りにくいテーマはないからです。

野田首相としては、衆院選に敗北することは折り込み済みなはずです。民主党の独自調査でも最悪は二桁という予想が出ており、それで勝てると思っているならよほどの馬鹿です。

だから輿石幹事長のような組織防衛しか念頭にない党内勢力に引きずられて、ここまで解散を先送りにしてきました。(資料2)

結果、「嘘つき」という汚名まで被り、支持率はもう後がない危険ラインに達してしまいました。

解散恐怖症といわれますが、それは1年生議員の話。彼らの大部分は単なる当時の反自民の空気の産物にすぎません。比例区議員に明日はありません。

しかし、現時点で体制を整えるなら民主党には反攻の「資産」はまだ残っています。参議院の比較第1党の地位です。これは来年夏まで確保されています。

ここに目を移すなら、衆参ねじれを利用して反攻をかける余地が残ります。(資料3参照)

今、民主党政権がイニシャチブを握って解散攻勢をかけるなら、自民党ですら全選挙区に候補を擁立しきっておらず、ましてや小沢新党や第3極勢力に至ってはどうやっても準備不足です。

「維新の会」は関西の一部での勝利にとどまるでしょう。小沢新党と石原新党は数人規模になるでしょう。

補正予算をTPP向けで組んで解散という説もあるようですが、むしろ春以降まで解散を引き延ばしたら、TPPを国会討論にかけねばならず、またもや自民党と党内反対派に抵抗されることは目に見えています。

その上、小沢新党は政党助成金を獲得し、第3極各党も準備を整えてしまいます。このように解散を引き延ばすというのは、敵に塩を送るようなものなのです。

したがって首相が「勝てないが、次につなぐことができる次善策を打てるただひとつのチャンス」は今の年末しかないのです。

私は、野田首相ら民主党中枢が、この選挙は勝つための戦いではなく、可能な限り敵を切り崩しすための戦いと位置づけたと考えています。そう考えるなら、年内解散に打って出ることはあながち無謀な選択ではなくなります。

野田首相は、これでふたつの政治的利益を得ることができます。

まず第1に、TPP反対グループとしては、TPPを旗印にされた場合、民主党候補として選挙に出ることは政治的自殺行為となります。 もはや残留はありえません。離党するか、議員バッチをはずすかです。

もし今解散をためらえば、五月雨的に離党し、不信任案可決という最悪の事態になります。ならば今、民主党にとって地獄の釜の蓋を開けるほうがましだということになります。(※)

いっぽう年内解散することにより、首相にとっては山田氏、原口氏、篠原氏など党内反対派が自分から出て行ってくれる、あるいは落選して消滅するという絶好のチャンスが生まれます。 

野田首相にとって、前原氏、岡田氏、枝野氏といった首相周辺のいわば「民主党野田派」部分だけか「次の再編の種」として残ればいいのです。これで民主党の宿痾だった「党内ねじれ」が一掃されます。

野田首相らにとって菅氏や鳩山氏は言うに及ばず、現職幹事長の輿石氏すら出ていってくれてかまわないリストに載っていることでしょう。野田首相の読みどおりになれば、彼らの代わりはいくらでもいるからです。

次にふたつめの理由として、TPPは野党が矛先を揃えて与党を攻めにくいテーマなのです。 (資料4)

実はTPPに対しては野党内部にも相当のバラつきがあります。自民党も石破幹事長は消極的賛成論者であり、濃淡はあるにせよ、農村に選挙区を持たない議員のかなりの数は条件付き賛成派でしょう。

党としてみれば、「みんなの党」、「日本維新の会」といった都市型政党は諸手を挙げて賛成です。

となると、野党側は念願叶って解散になってもTPPで足並みが揃わずに、野党同士の批判合戦になる可能性すらあります。

野党勢力は勝つことは確実でしょうが、自民党は先日の鹿児島補選のように大勝しないかもしれません。

そうなると不安定な連合政権を組むこととなり、民主党にとって衆参ねじれを武器にして揺さぶりのチャンスがうかがえます。

これらの要素を考えれば、味方の中の敵を切り、野党を攪乱するためには、TPPというカードは絶好の武器なのです。

さて、このような政治的思惑を持った野田首相によって挑戦状が農業に叩きつけられました。私たちはこれを真正面から受け止めねばなりません。

私たち農業者はこの年末から正月にかけて徹底的に叩かれる覚悟したほうがいいでしょう。おそらくすべてのマスコミが私たち農業者だけが孤立してわがままに反対しているという構図を作り出すはずです。

そして私たち農業者を既得権益にしがみつく守旧派のように描くでしょう。かつての郵政選挙と同じ手法です。私たちは野田戦略のスケープゴートにされるのです。

私たちにとってはTPPが農業問題だけではない、というのは常識になってきていますが、それがどこまで世論の中に浸透しているのかが問われます。

TPPとは、農業、保険、土木、医療、安全基準など、あらゆる分野に対する主権の放棄であることを繰り返し説明していかねばなりません。

また安易に輸入食品などが安くなるという宣伝がなされると思います。米も肉も安くなって、おまけに輸出はしやすくなる万々歳、という歪んだ報道がなされるでしょう。(資料6)

しかし、輸出で得られる利得はほんの一部の企業のわずかな輸出関税だけでしかなく、安さと引き換えに「守るべき国柄」や主権を大量に失うのだということをしっかりと訴えていかねばなりません。

守るべきものを守る。それが国益なのだ」というあたりまえなことを選挙を通じて農業は訴え続けていかねばなりません。

思ったより早くTPPの天王山が来ました。私たち農業者と日本の風土を愛する人達は、TPPを公約に掲げる民主党を完膚なきまで叩き潰さねばなりません。もうこれ以上民主党に、日本を破壊することを許してはなりりません。

不徹底な勝ち方をすれば、政治はまたしても不安定になり、日本の国益を正面に出した強いTPP交渉ができません。(※)

TPP推進派が壊滅する完勝が求められています。さもないと、私たちには韓国と同じグローバル資本の植民地化の未来が待っています。

グローバル資本に日本を売り渡す彼らに一議席も与えてはなりません。

       ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■※農村状況
農村一人区の民主党議員の全員がTPP反対ですが、民主党に残ればJAは彼らを絶対に許しません。

JAには前回選挙で、かなりのJAが民主党支持にまわるか、中立化したのですが、その結果がTPPを呼び寄せてしまいました。まさに裏切り以外なにものでもありません。

今回、ひさしぶりにJA全中は全力を挙げて自民党支持に回るはずです。したがって1人区の民主党には一議席も渡らないはずです。

わが選挙区でも既に小沢党はポスターを貼っていますが、民主党現職議員は事務所に野田首相のポスターを貼ることもできず、郡司農水大臣とのツーショット・ポスターでお茶を濁しているありさまです。気の毒ですが、 再選は絶望的でしょう。

■※TPP交渉自体は、国家間交渉のため、いったん開始されれば継続するしかありません。したがって仮に自民党が政権をとっても交渉自体は継続されることになります。問題はその中身なのです。

■資料1 緊迫・解散政局:年内総選挙の意向 早期が得策、首相判断
毎日新聞 2012年11月13日
 

野田佳彦首相が年内の衆院解散・総選挙に踏み切る意向なのは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加や、野党が反対している衆院比例定数の削減などを争点に、早期の選挙戦に臨むのが得策との判断がある。日本維新の会など「第三極」の選挙準備が進む前に解散に駆け込みたい思惑もある。自民、公明両党も年内選挙を求めて攻勢を強める構え。政治情勢は解散に向け、緊迫の度合いを増している。 

「ウソをついているつもりもないし、ウソをつくつもりもない」 

 首相は12日の衆院予算委員会で、田村憲久氏(自民)に「(解散しなければ)ウソつきとのそしりを免れなくなるが、それでいいのか」と追及されると、色をなして、こう反論した。 

 首相が「近いうちに国民に信を問う」と発言したのは8月。それから3カ月以上たち、野党から「ウソつき」批判を浴びている。内閣支持率は10%台後半に落ち込み、「解散時期を引き延ばせば、さらに支持率が落ちかねない」(首相周辺)との危機感が強まり、首相は年内の総選挙に向けて調整に入った。 

 さらに自公両党が求める年内解散に応じることで選挙後の両党との連携の目を残す狙いもある。次期衆院選で民主党が敗北すれば、自公両党を中心とする政権が誕生する公算が大きいが、参院は自公両党では過半数に達せず「ねじれ状態」は続く。このため民主党が自民党に次ぐ第2党の座を占められれば、影響力を確保できるとの計算があるとみられる。

 民主党は「今、選挙をやれば負けは必至」(同党議員)の厳しい環境にあるが、第2党を確保するために打って出る形を作りたい首相が腐心しているのが争点づくりだ。首相官邸幹部によると、首相は自民党との違いを鮮明にできる(1)TPP交渉への参加(2)衆院比例定数の40削減(3)2030年代の原発ゼロ方針−−を打ち出して選挙戦に臨みたい意向だという。 

 ただ、民主党内には輿石東幹事長ら解散時期の先送りを求める意見が根強くある。 

 輿石氏は12日の記者会見で、首相から11日の会談で年内解散を伝えられたとの報道を、「そんなことはない」と否定。さらに、衆院の「1票の格差」を是正するための0増5減と比例定数40削減は分離せず、一体の法案にする考えを強調した。 

■資料2 民主、年内解散反対「党の総意」首相は断行意向
読売新聞 11月13日

民主党は13日、国会内で常任幹事会を開き、出席者から、年内の衆院解散を目指す野田首相の動きに対する批判や反発が続出した。

 幹事会では、年内解散への反対論のほか、首相退陣を求める声が上がり、輿石幹事長が首相に対し、「党の総意」として解散に反対する考えを伝えることを決定した。輿石氏はこの後、国会内で首相と会談し、これを報告した。これに対し、首相は年内解散を断行する考えを崩していない。民主党内の攻防は緊迫している。

 首相はこれに先立つ衆院予算委員会で、8月の自民、公明両党との3党首会談で「近いうちに国民に信を問う」と約束したことについて、「『近いうちに』と言った意味は重たいと受け止めているので、近いうちに解散するということだ」と、年内解散の意思が固いことを示した。

■資料3 1

■資料4 首相 TPP推進を政権公約に
NHK 11月10日

野田総理大臣は福岡市で記者団に対し、太平洋を囲む国々で関税の撤廃などを進めるTPP=環太平洋パートナーシップ協定について、交渉参加を表明する時期は固めていないとしたうえで、次の衆議院選挙の民主党の政権公約にTPPを推進していく方針を盛り込む考えを示しました。

この中で野田総理大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、記者団が、「今月後半に開かれるASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議で、交渉参加を表明する考えはあるか」と質問したのに対し、「特定の時期に表明する方針を固めているということはない。交渉参加に向けて協議をしているのが今の状況だ」と述べました。

そのうえで、野田総理大臣は「政府・与党の考えは、TPPも、日本・中国・韓国の3か国によるFTA=自由貿易協定も、東アジア地域での包括的な経済連携を目指すRCEPも同時に追求する姿勢であり、マニフェストに書くことになる。自民党との対立軸になるかどうかは分からないが、われわれの考え方は、国民に示す必要はある」と述べ、次の衆議院選挙の民主党の政権公約に、TPPを推進していく方針を盛り込む考えを示しました。
また、野田総理大臣は、衆議院の解散について、「特定の時期は言わない」と述べ、時期は明示しない考えを改めて示しました。
 

石破幹事長“民主党の統一方針になるのか” 

自民党の石破幹事長は名古屋市で記者団に対し、「TPPは、衆議院選挙のテーマになりうるものだが、民主党内の議論が全くまとまっておらず、マニフェストに掲げることが民主党の統一した方針になるのかどうか、議論の推移を見なければ分からない。自民党は、例外なき関税の撤廃には反対しており、野田総理大臣は、TPPの交渉に参加するにあたって、何をどのように守るのか説明する義務がある」と述べました。 

山口代表“論争するには熟度が足りない” 

公明党の山口代表は、東京都内で記者団に対「野田総理大臣が課題設定をするのであれば、われわれもしっかり議論していきたいが、論争するにはあまりにも熟度が足りない気がする。政府側が情報をしっかりと出し、国民的な議論の環境を作るという前提がないと、いい議論にならない。TPPだけではなく、国益を最大限に満たす貿易戦略全体を本当の争点にすべきだ」と述べました

橋下市長“野田総理大臣に賛成” 

日本維新の会を率いる大阪市の橋下市長は、遊説先の広島市内で記者団に対し、「すばらしいことだと思う。野田総理大臣も政界再編を考えながら政策で政治家が集まる『センターピン』を探っているのではないか。TPPの交渉参加は重要な経済政策の『センターピン』で、自由貿易圏の拡大を巡って政治家のグループは分かれると思う。私は野田総理大臣に賛成だ」と述べました。 

■資料5 首相、年内解散を検討…TPP参加表明の直後に 
読売新聞 11月9日(金)3時6分配信 

 政局の焦点である衆院解散・総選挙の時期を巡り、野田首相が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を表明し、その直後に衆院解散に踏み切ることを検討していることが8日、わかった。

 複数の首相周辺や民主党幹部が明らかにした。11月下旬から12月中旬に解散し、投開票日は12月中か年明けの1月が有力だ。首相は、TPP参加に慎重な自民党との違いを際立たせ、衆院選の対立軸にできると判断しており、早ければ月内の参加表明を探っている。TPP参加に反対する民主党議員の集団離党につながる可能性があり、政局は一気に緊迫の度合いを増しそうだ。

 首相が、解散を判断する環境整備に挙げる赤字国債発行を可能とする特例公債法案は、21日にも参院で可決、成立する見通しとなった。首相は同法案の成立後、TPP交渉参加表明と解散の時期について最終判断するとみられる。

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速報!
野田首相「16日に解散してもいい」=衆院定数削減の確約条件

野田佳彦首相は14日午後の党首討論で、自民党の安倍晋三総裁に対し、「次期通常国会で(衆院の)定数削減を必ずやると決断してもらえるなら、16日に解散してもいい」と表明した。この後、公明党の山口那津男代表に対しても、同様に呼び掛けた。自公両党の対応が焦点となる。
 首相が国会答弁で特定の解散日に言及するのは異例。16日に解散した場合、11月27日公示―12月9日投開票か、12月4日公示―16日投開票の日程となる見通し。
 首相は、赤字国債発行に必要な特例公債法案の16日の成立と、「身を切る改革」として定数削減の実施を要求。実施するまでの間の国会議員歳費の2割削減も提起した。
 安倍氏は、首相が8月に自民党の谷垣禎一前総裁に確約した「近いうちの解散」を果たすよう要求。これに対し、首相は「『近いうちに国民に信を問う』と言ったことにうそはなかった」と強調するとともに、衆院選の「1票の格差」是正と定数削減の実現を要求。安倍氏は、定数削減に関し「私と首相で決めていいのか。そんなはずはない」と述べた。 

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コリ(古里)原発1号炉事故・全電源停止原発がわずか4カ月で再稼働

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プサン(釜山)でも福島第1原発級の事故が起きかけていました。 

2012年2月12日、釜山機張(プサン・キジャン)の古里(コリ)原子力発電所1号機でのことです 

コリ原発は韓国でもっとも古い原発として78年に運転を開始し、2010年までに127回の事故と故障が発生し、特にこの3年間で、1~4号機合わせて8件もの事故を起こしていまた。

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          韓国 古里原発 電源喪失していた 12年03月13日 - YouTube 

今年の2月12日、なんと全交流電源喪失という最悪事態すら起きています。下請け企業の作業員が規則どおりに作業をせず外部電源が切断され、非常用電源も作動せず、福島事故と同じ全電源喪失状態となりました。

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その時、原子炉、使用済み燃料プールの冷却系が機能しない事態となりましたが、点検・稼働中であったためにかろうじて福島事故の事態は避けられました。

もし稼働していたら、100%の確率で福島第1原発事故と同じレベル7事故になったことでしょう。身の毛がよだちます。

この事故の後、所長は箝口令をしいて口止め工作を行ったことがわかっています。

1カ月後の3月12日になってようやく隠蔽が発覚し、ようやく運転を停止しました。実に丸1カ月間後になって全電源喪失、冷却系作動不能だったことが分かったわけです。

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ところがこのコリ原発はわずか4カ月後の7月4日には再稼働しているのですから、凄まじいとしかいいようがありません。この原発は即時廃炉にすべきであるのが常識なはずです。

おまけに、コリ原発に隣接する新古里原発では3月23日に、蒸気発生器の給水ポンプ異常により稼働を停止し。コリ原発の北に位置するウォルソン(月城)原発も今年1月12日に原子炉事故で運転停止をしています。

稼働していなかったとはいえ、全電源停止した原発がわずか4カ月で再稼働。そして隣接する原発が次々に事故!この国の原子力安全管理はどうなっているのでしょうか。

この事故を追求した韓国の議員はこう述べています。
保安施設を口実に情報を政府と韓国水力原子力だけが共有する閉鎖的な運営が問題だ。 こうした運営体系では、自分たちが勝手に事実を操作しても誰も分からない。」

まさにどこかで見た構図です。わが国の「原子力村」の構図そのものです。

この「コリア原子力村」が生き続ける限り、このコリ原発1号炉のような、事故が連続して起きようが、偽造部品が使われていようが、職員が捕まろうが、韓国政府は原発の増設を推進します。

韓国政府は、福島第1原発事故など素知らぬ顔で、2011年32・7%から20030年には59%にまで増やそうと意欲を燃やしています。

私は潜在的にもっとも原発事故を起こしやすい体質の国はこの燐国ではないかと考えています。

一昨年の口蹄疫の全土感染の時にも思いましたが、韓国の危機管理体制は想像を絶する甘さがあります。これがこの原発事故で露になりました。

今、韓国原発はきわめて危険な状態にあり、韓国政府はそれを国内ばかりか、国際社会にも隠蔽し、改善する努力を放棄しています。これではまたいつコリ原発のような重大事故が起きても不思議ではないと私は断言します。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■※コリ原発事故

古里原子力発電所は、大韓民国・釜山広域市機張郡長安邑 古里と蔚山広域市蔚州郡西生面に所在する原子力発電所である。韓国水力原子力が所有している。1978年に運転を開始した、韓国初の商用原子力発電所である本項では隣接する新古里原子力発電所についても述べる。

発電所の工事は1971年11月に着工し、1972年5月10日に完工した[1]。最初の原子炉である1号機は1972年3月に起工、1977年に竣工し、1978年4月に運転を開始した。その後、1980年代に2号機から4号機まで建設されている。

韓国標準型原子炉である新古里原子力発電所1号機は2011年2月28日に商業運転を開始した。これにより、古里・新古里の総出力は413万7,000kwとなった。隣接地域には新古里2号機から4号機までが建設中である。

新古里原発2号機、試運転中に停止
朝鮮日報
3月24日(土)9時0分配信
 

試験稼働中だった新古里原子力発電所2号機が、部品の故障で23日に稼働をストップした。

韓国水力原子力(韓水原)は
「今年下半期に稼働を控えている新古里原発2号機が
23日午後8時19分、蒸気発生器の給水ポンプ異常により停止した」と発表した。
新古里原発2号機は昨年12月2日から試験稼働に入り、故障は3月4日に続いて2度目だという。

給水ポンプは蒸気発生器に水を送る装置で、水が原子炉の熱を受け蒸気になり、発電用タービンを回す。
韓水原は
「主給水ポンプは停止したが、補助給水ポンプが動いており、原子炉を冷やしているため、安全性には問題ない」
と発表した。

ユ・グクヒ原子力安全委員会安全政策局長は
「原子炉が停止してから4分後の8時23分に、
韓国原子力安全技術院(KINS)の関係者に対し、携帯電話の文字メッセージで通報があった。
すぐに点検要員が現場に向かった」と語った。

韓水原は
「新古里原発2号機はすぐに外部の電力網と接続され、冷却装置は正常に稼働している」と発表した。

朴潤遠(パク・ユンウォン)KINS院長は
先月9日に起きた古里原発1号機の事故では、内部・外部電源が全て絶たれたが、
今回は部品の異常を受けて安全システムが正常に作動した
」と語った。
新古里原発2号機は8-12カ月の試験運転の後、原子力安全委員会の承認を受けて稼働する。

■<韓国・古里原発事故>閉鎖的な運営が問題…「過去にもっと危険なことがあったかも」
(中央日報2012年3月16日)

永遠に埋もれてしまうところだった古里(コリ)原発1号機の完全停電(Black out)事故を世間に知らせたキム・スグン釜山(プサン)市議員(52、セヌリ党、機張郡)は、これまでの不満を語った。

キム議員は先月20日午後7時、釜山市機張郡日光面(キジャングン・イルグァンミョン)の食堂で、「古里原発で電気が止まり、非常発電機も動かなかったというが、大丈夫なのか」という声を聞いた。 古里原発1号機の定期点検に参加した協力業者の職員(4人)と見られる人たちが酒の席でしていた対話だった。

キム議員はこの対話の事実を確認するため、古里原発側に3度も確認を試みたが、黙殺された。 結局、13日の報道で当時の話が事実であることを知った。

--聞き流すこともできる対話の内容をなぜ疑ったか。

「昨年の福島原発事故後、釜山市議会で古里原発を訪問し、原発には外部からの電源供給が中断しても、非常ディーゼル発電機など非常電源供給システムがあるから問題はないという説明を聞いた。 それで対話の内容に疑問を感じた。 古里原発で小さな事故が発生すれば、これまでは携帯電話の文字メッセージが送られてきたが、今回は送られていない点もおかしかった」

--何を質問したのか。

「3度目の試みでキム・ギホン古里原発経営支援処長にようやく会えて、10分間ほどのブラックアウトがあったかどうか、非常発電機が作動したかどうか確認してほしいと次げた。 キム処長の最初の返答は『それは何の話ですか』だった」

--何が事故隠蔽の原因と思うか。

「保安施設を口実に情報を政府と韓国水力原子力だけが共有する閉鎖的な運営が問題だ。 こうした運営体系では、自分たちが勝手に事実を操作しても誰も分からない。 今後は政府、韓国水力原子力、機張郡、釜山市民の間の監視機構など、5つの機関・団体が一部の情報を共有しなければならない。 古里原発の影響圏である釜山・蔚山・慶尚南道(キョンサンナムド)には約500万人が暮らしている。 国民の命を担保に嘘をつくことがあってはならない」

--今回の事件が与える教訓は。

「福島原発事故の後、韓国の原発は安全だとどれほど騒いでいただろうか。 防波堤を高めて、安全対策を立てると言った。 国民は誰を信じればいいのか。 職員の安全意識を変える必要がある。 着実に再発防止対策を立てなければならない。 昨夜、建設中の新古里3号機で蒸気を抜く音に驚き、住民が睡れないほど敏感になっていた」

大丈夫か? 韓国、古里原発の再稼働を許可 事故と隠蔽で停止
産経新聞7月4日

韓国政府機関の原子力安全委員会は4日、運転停止中の釜山郊外にある古里原発1号機(加圧水型軽水炉、出力58万7千キロワット)の再稼働を許可したことを明らかにした。同機は2月に全電源喪失事故を起こし、幹部職員が事故を1カ月以上隠蔽したことが3月に発覚し運転を止めていた。

 同機は1978年に運転を始め、約30年の設計寿命を延長して運転が認められており、事故と隠蔽の発覚を機に周辺自治体から廃炉要求が相次いでいる。最大野党、民主統合党も廃炉を求めており、再稼働は政治問題になる可能性もある。

 再稼働への反対を受け、原発運営会社の「韓国水力原子力」(韓水原)は国際原子力機関(IAEA)に同機の安全点検を依頼し、IAEAは6月に「設備の状態は良好」との結果を明らかにしていた。(共同)

■【原発事故】韓国・釜山 古里原発、全電源喪失、1カ月隠す
東京新聞

韓国の国家機関、原子力安全委員会は十三日、韓国南部・釜山にある古里(コリ)原発1号機で定期点検期間中に 外部電源が供給されず、非常発電機も作動しない事故が発生しながら、電力事業者の韓国水力原子力株式会社が 一カ月以上報告しなかったと明らかにした。同委は十二日夜、事態を重視して今月四日から再稼働していた同機の停止を緊急指示した。

 同委によると、事故は二月九日午後八時ごろ発生。外部電源の供給は十二分後に復旧した。ただ、原子炉の稼働を停止した状態の点検中だったとはいえ、給電が途絶して原子炉や使用済み燃料プールの冷却に支障が出かねない 事故だった。

 同委は事故が今月十二日まで隠蔽(いんぺい)され報告されなかった点も問題視。韓国の原子力安全法は 原発施設の故障などの事実は遅滞なく同委に報告するよう定めており、同法違反の可能性もある。稼働停止の 緊急指示を受け、同機は十三日午後十時ごろに完全停止する見込み。同委は原因究明のため、調査団を急きょ派遣した。

 古里1号機は二〇〇七年に三十年の設計寿命を終え、翌年から十年の運転延長に入った韓国で最も古い原発。
九州・福岡まで約二百キロの距離にある。今回は十二~十五カ月ごとの定期点検で、核燃料棒交換とともに、同委は特に施設の経年劣化などを重点確認すると事前発表していた。
 地元釜山では、福島第一原発事故の発生から一年に合わせ、古里1号機の危険性を訴え、廃炉を求める集会やデモも 開かれた。

韓国原発2基が同じ日に連続で故障…今年7回目
2012年10月03日09時39分
[中央日報/中央日報日本語版]
 

   韓国の原発2基が相次いで故障で停止した。

  韓国水力原子力(韓水原)は2日午前8時10分ごろ、釜山市機張郡の新古里(シンゴリ)1号機の原発(100万キロワット容量)が発電を停止したと明らかにした。韓水原側は「原子炉の出力を調節する制御系統に故障が発生し、原子炉とタービン発電機が自動で停止した」と明らかにした。

  続いて10時45分には全羅南道霊光郡の霊光5号機(100万キロワット級)が停止した。発電機タービンに必要な蒸気を供給する装備に水を送るポンプが故障した。2時間30分の間に2基の原発が連続で故障したことで、韓水原は現地に本部長を派遣した。現在、古里にはイ・テホ発電本部長が、霊光にはパク・ヒョンテク安全技術本部長が派遣され、正確な故障の原因を把握している。

  今年に入って部品の故障で原発が停止したのは計7回。原発の停止は2010年2回、2011年7回で、今年はすでに昨年と同じ回数となった。

  韓水原は原発の故障を事前に防ぐため、毎年「予防整備」を実施している。しかし霊光5号機は整備から4カ月目、新古里1号機も7カ月目で稼働が停止し、「原発管理に問題がある」という指摘が出ている。現在、予防整備は部品群を3つに分けた後、1年に1つずつ順に行っている。原発全体を点検するのに3年かかるため、部品の異常などがすぐに見つからない可能性もあるということだ。

  韓水原はこの日の原発の停止について、国際原子力機関(IAEA)の事故・故障段階では「0等級」に該当し、「発電所の安全性および放射能漏出などとは関係がない」と明らかにした。しかし光州(クァンジュ)環境運動連合は「最近、原子炉の核分裂を調節する核心設備の制御棒に異常が多い」とし、根本的な原因究明を求めた。


  新古里1号機の場合、昨年の稼働開始前の試験運転当時、8回の故障があったが、うち2回が制御棒の問題だった。霊光5号機も09年に制御棒の問題が発生している。特に霊光5号機は昨年2月に発電が停止し、原因を調査したところ、冷却材ポンプのモーターから30センチのドライバーが見つかり、整備がずさんだという非難を受けた。
 
古里原発1号機再稼働をめぐり議論=韓国
2012年08月07日10時59分
[中央日報/中央日報日本語版]
 
 
釜山機張(プサン・キジャン)の古里(コリ)原子力発電所1号機が議論の末に5カ月ぶりに再稼働に着手した。早ければ10日から100%の電力を生産できるものとみられる。古里1号機の発電容量は58万9000キロワットだ。息詰まるような電力事情を迎えているだけに電力需給に若干ではあるが役立つ見込みだ。

  古里1号機の再稼働は容易ではなかった。先月4日に原子力安全委員会がこれまでの調査結果を基に古里1号機の再稼働を承認した。だが、政府は待った。「安全性は確認されたが住民がまだ安心していない」(洪錫禹知識経済部長官)という理由からだ。

  政府は地域住民推薦の専門家7人を含め10人で構成された「古里1号機原子炉圧力容器健全性専門家検討タスクフォース」を1~6日に稼動した。タスクフォースは6日午前、「古里1号機原子炉圧力容器の健全性が確保されたと判断する」という結論を出した。洪長官はこの日、「政府は地域住民が十分に古里1号機の安全性に理解をされたと信じ再稼働することに決めた」と発表した。しかし一部住民の反応は違った。長安邑(チャンアンウプ)発展委員会のキム・ミョンウク事務処長は、「住民が出した報道資料は既存の安全性評価のデータを認めるというものであり、住民が再稼働を承認するということではない」と話した。

  環境団体は強く反発した。「核のない社会のための共同行動」はこの日の声明で、「到底納得できない決定であり、安全性の問題が全く解消されていない状態で決定された悪手中の悪手」と明らかにした。これら団体は、「古里住民と韓国水力原子力が推薦した専門家がわずか6日で密室で古里1号機原子炉点検を通じ何の問題もないと結論付けた」と批判した。

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韓国ヨングァン原発で制御棒系の事故 韓国の歪んだ経済の仕組みと電力安値の関係とは

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韓国のヨングァン(霊光)原発3号機(590万kW)の原子炉格納容器内の制御棒案内管で事故が起きたようです。 

「水力原子力(韓水原)は9日、「先月18日から23日まで原発を停止させて行った予防整備中、原子力安全技術院の超音波検査で制御棒案内管に亀裂を発見した」と明らかにした。 」(韓国・中央日報11月10日) 

このヨングァン原発3号機は加圧式原子炉((PWR)で、1995年に竣工し、稼働19年目にあたります。 

韓国は、1957年にIAEA(国際原子力機関)に加盟して以来、米国ウェスチングハウス・エレクトリック(現在は東芝の子会社)の技術を導入して原発建設を行ってきました。 

1995年以降はそれのコピーである「韓国標準原子炉」(KNSP)を国産標準原子炉として建設しており、輸出にも熱心です。 

アラブ首長国連邦へは、フランスが誇る欧州加圧水炉(EPR)を凌ぐ性能と自称する新型炉の輸出契約を結びましたが、、ウエスチングハウス・エレクトリックから設計を盗んだとして訴えられているところをみると、原子炉技術の確立には遠いようです。 

それはさておき、どの国のエネルギー事情もその国の特殊性があるものですが、韓国の場合はそれが極端な形で現れています。

韓国の企業向け電気料金は、OECD諸国の最安値、日本の3分の1と言われる異常な安値に設定されているのです。別に石油が湧いているわけでもないので、当然のことながらコスト割れです。

その理由がいかにも韓国らしいのですが、サムスンなどの財閥系グローバル企業への優遇策のために電気料金が逆ザヤになっているからです。 

イ・ミョンバク大統領は、1997年のIMF管理によって進行した経済の寡占化をさらに押し進め、経済を大企業だけが儲かる仕組みにしてしまいました。

たとえば、電子産業はサムスンとLGしかありませんし、自動車会社はヒョンダイとキアだけです。これらのグローバル企業の輸出競争力をつけるために通貨安政策をとり、韓国農業を潰してまでも米韓FTAを締結しました。 

一方、韓国民に目を移せば、人件費支出はOECD諸国で最低、非正規労働者は増え続け、失業率21.2%、社会保障支出はGDP比率7.7%(日本20.5%)でだんとつの最下位、自殺率と性犯罪だけは常にトップです。 

その一方で、大企業は法人税を中小企業より払っていないことがわかり、さすがにこの時は国民の怒りを買いました。 

サムスンはたしかに韓国経済を牽引し経済成長を実現したかにみえました。しかし、それは国民には利潤を分配しないいびつな形だったのです。 

もし韓国が、先進諸国が義務としている道義的政策的富の再分配をすれば、国際競争に破れてしまうからで、サムスンは常に韓国民を絞ってオーナー一族や株主(外国人株主が半数以上の54%)にだけ利潤を分配したのです。 

ですから韓国は、このヒョンダイ財閥の一社長だったイ・ミョンバク政権時代によって大変な格差社会となってしまいました。

サムスンの国際競争力は国内の安い賃金によって支えられているので、韓国の賃金は下がり続ける一方であり、一方生産性は向上する一方でした。

日本のバカな評論家は韓国労働生産性の高さをほめちぎりますが、なんのことはない人員と賃金を削減しつづければ、そりゃあ生産性は高くなるに決まっています。

もちろんこんなことをすれば、国内の個人消費は冷え込みますが、サムスンにとっては痛くもかゆくもなくいのです。なぜなら、サムスンは韓国民のために製品を作っているわけではなく、そもそも欧州市場や米国市場がターゲットだからです。

だからこそ、サムスンなどのグローバル企業にとって米国市場のわずか数%の家電関税もが死活問題であり、その撤廃のためにイ政権に米韓FTAの尻を叩いたのです。

かくして、韓国内中間層は没落し、わずか300円の時給に応募者が殺到する風景か一般化し、ガソリン代は150円を超えるようになりました。まさに国民にとって「底辺への加速化」を進んだのです。 

このように国民にとっては何ひとついいことがないのに、グローバル企業だけが肥大化する、これが韓流グローバル企業奉仕型経済でした。 

よく「サムスンに学べ、TPPを推進せよ」という評論家がいますが、わが国もこんな韓国のようにしたいのですか、と聞いてみたいものです。実際にTPPが始まれば、似たようなことがわが国でも起きることでしょうが。 

韓国のエネルギー・原発問題もまさにこの「サムスン栄えて、国滅ぶ」という構図の中で見ていかねばなりません

韓国の電力供給システムは、政府機関である「韓国電力取引所」を通して、「韓国電力公社」(KEPCO)から電力を購入します。 

この電力を、「韓国電力」が企業や家庭に販売・供給するという一貫した国営で運営されています。 発電-送電-小売りまですべて国営で独占しています。

韓水原は電力取引所で電気を売り、しかも発電費は取引価格相場より安いため、必ず儲かることになっています。

したがってエネルギー産業の人事権は政府が握っており、昨年にもイ・ミョンバク大統領と近い関係にある金重謙氏を大物社長として迎え入れました。 

しかし経営を度外視した「超格安電気料金」のために、KEPCOは毎年巨額の赤字を計上し、累積赤字は「天文学的」とまで言われるようになってしまい、訴訟沙汰にまで発展しています。

政府としてはグローバル企業を下支えするためには、この超格安電気料金を維持し続けねばならず、現場へのシワ寄せは原子炉安全管理にまで及んでいます 

KEPCOが原子力部門を韓国水力原子力発電株式会社(韓水原・KHNP)として2001年に分離させ独立させたのも、このような合理化の一環であり、また国民に電気料金の逆ザヤを税金で負担させたり、強制的な節電などで乗り切ろうとしています。

このような流れの中で起きるべくして起きたのが、福島事故以後のウォルソン(月城)原発(477.9万kW)1号炉の原子炉部品の疑惑事件でした。

「来る11月20日に設計寿命満了を控えた月城1号機の寿命延長と関連して、韓国原子力安全技術院(技術院)が行っている審査過程で安全性に重大な欠陥があるだけでなく、これを補完することも難しいという判断に内部意見が集約されていることが明らかになった。 事実上、月城1号機の寿命延長が難しくなったものと見られる。」
(韓国・ハンギョレ新聞10月8日)

福島事故を教訓化して、非常冷却系の多重化が求められていることに対して韓水原は、ただ「改善は設計上不可能だ」と回答し続けるだけで逃げきろうとしています。これは、現在の経営逼迫状況のなかで、これ以上の出費が無理だと考えているからです。

「この施設は原子力発電所事故が発生する場合、原子炉内部の熱を除去する核心装置だが、月城1号機には1台だけが設置されている。 1991年以後は複数の熱交換器が設置されるよう規定されているが(カナダR-9文書),1983年に商業運転を開始した月城1号機は基準適用以前に作られたためだ。 韓水原は 「発電所設計の根幹を揺るがす変更が必要で追加設置が不可能だ」という回答を繰り返しているだけだ。[(同)

今回のヨングァン原発3号機事故も、放射能漏れこそしていないものの制御棒という安全性の根幹に関わる重大な事故だけに、さすがに政府も稼働停止とし、その再開は見通しがたっていません。

同じヨングァン原発5・6号機では、偽造品質管理証(!)が大量にみつかったために現在稼働を停止しており、酷寒の冬を前に電力供給に赤信号が灯っています。

おそらくは早期に稼働再開を求める政府との攻防になるでしょう。このように韓国の原発はいつ過酷事故が起きても不思議ではない状況下にあります。事実プサンのコリ原発1号路では全電源停止事故が起きています。
(※コリ原発事故については明日に掲載します。)

また韓国の原発は一カ所に5、6基の原発を複数設置して管理コストを削減しているために、1基で事故が発生すると連鎖的に事故が起きる可能性が高いと思われます。

そしてその場合にはヨングァン原発などは、玄界灘を隔てて北九州や山陰と一衣帯水の距離にあるために、福島級事故が起きた場合、わが国もその放射能汚染を被ることになります。

現在、韓国の原発はすでに21基に達し、しかも大部分が日本海側沿岸部に設置しています。国境のぎりぎりに建てる理由は言うまでもないでしょう。

それにしても、今までさんざんサムスンに貢がされ、その上に厳冬の冬に大停電、強制節電に震えなければならない韓国国民が哀れです。

写真 霞ヶ浦の漁港。漁を終わった漁船が帰ってきました
お断り コリ原発1号炉事故については、長くなりすぎましたので、いったんアップしましたが切り離して、明日にまわしました。 

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■※制御棒
原子炉の出力制御のためには原子炉内の中性子数を調整して反応度を制御することが必要である。停止状態の原子炉には中性子を吸収(吸収断面積の高い)する制御材でできている制御棒が差し込まれており、核分裂反応に伴う中性子を吸収して臨界状態にならない様にしている。原子炉の起動時、制御棒を徐々に引き抜く事で炉内の中性子数を増加させ、臨界から定格出力になるまで反応を上げてゆく。緊急時には全て挿入され、原子炉を停止(原子炉スクラム)させる。

■※加圧水型原子炉の制御棒
加圧水型原子炉(PWR)では、短期的な出力の調整に制御棒が用いられる。制御棒はあらかじめ燃料集合体内部に分散して組み込まれており、一括して制御されるため、「制御棒クラスター」と呼ばれている。制御棒クラスターは圧力容器上部の電動CRDによって炉心内に挿入される。緊急時には制御棒がCRDから切り離されて、重力により炉心内に全挿入される。制御棒断面は燃料棒と同じ円形をしている。一基のCRDには4体の燃料集合体の制御棒クラスターがまとめて接続されている。BWRとは用途が異なるため、制御棒の材質は異なる。なお、PWRの長期的な反応度調整は1次冷却水中のホウ酸濃度により行われる。
(Wikipediaより)
 

■※韓国電力公社(韓国電力、韓電、KEPCO)韓国の公営電力会社。韓国政府が株式の51%を保有している。

■※韓国の原発状況 
現在20基、17.7GWeが運転中である。建設中6基、計画中2基が完成する2016年には28基、22.5GWeとなる予定である。さらに2030年に電力の60%を原子力発電所でまかなえるまで増設する計画である。原子力安全規制については、教育科学省(MEST)の韓国原子力委員会(NSC)が基本方針を決定し、担当部局が実施している。技術的なサポートは韓国原子力安全技術院(KINS)行っている。更なる人材育成のため、2004年にはKINS内に原子力安全学校を設立した。
(アジアシ原子力協力フォーラム・FNCA報告集より)

■韓国原発3基が同時ストップ、寒波で大停電も
2012年11月10日

中央日報/中央日報日本語版
 

全羅南道霊光(ヨングァン)原発3号機の「制御棒案内管」に亀裂が発見された。補修作業が遅れる場合、冬季の最悪の電力難が懸念される。

  韓国水力原子力(韓水原)は9日、「先月18日から23日まで原発を停止させて行った予防整備中、原子力安全技術院の超音波検査で制御棒案内管に亀裂を発見した」と明らかにした。

  韓国国内の原発でこうした欠陥が発見されたのは初めて。制御棒はウランの連鎖反応を調節する装置で、案内管は制御棒が上下に移動する際に通路の役割をする部分。亀裂は計84本の案内管のうち6本で発生した。円筒形の案内管は長さ1.2メートル、直径12センチ、厚さ3センチ。最も大きい亀裂は長さ5.3センチ、深さ1.1センチだった。

  韓水原は「穴は開いていないので、放射能漏れなど安全には問題がない」と説明した。米国・フランスなど海外では100件ほどの案内管亀裂が発生したことがある。霊光3号機の関係者と原発製作会社の斗山重工業は現在、正確な原因を把握中だ。ひとまず亀裂の部分は溶接で補修する予定だ。霊光3号機は1995年に竣工し、2034年に設計寿命(40年)を満たす。

  原子力安全委員会は「韓水原が年末までに欠陥部位を整備する計画」と明らかにした。当初今月末に予定されていた再稼働時点が1カ月遅れるということだ。100万キロワット級の霊光3号機の再稼働が遅れれば、冬季電力難がさらに深刻になる。


最近まで原子力・石炭火力・ガスなど全体発電所の電力供給容量は8152万キロワットだった。しかし5日に偽造品質検証書の部品が大量に使用された霊光5・6号機(計200万キロワット)が停止し、年末まで部品交換に入った。政府は寒さで暖房用の電気消費が増え、来年1月には最大電力需要が7913万キロワットに達すると予想している。

  気象庁は最近、「来年1月の気温は例年(氷点下3-5度)より低い日が多い」と予報した。霊光5・6号機の部品交換と3号機の補修作業が来年にまで入り込む場合、1月の供給は300万キロワット減少する。洪錫禹(ホン・ソクウ)知識経済部長官は「停電事態が発生しないように最善を尽くす」と述べた。
 

韓国原発、原子炉部品に亀裂 停止長期化も
朝日新聞   

【ソウル=中野晃】韓国南西部の全羅南道にある霊光(ヨングァン)原発3号機で、原子炉格納容器内の部品に亀裂が見つかった。この原発では5、6号機で大量の部品の品質検証の偽造が発覚したばかり。不正や故障による原発停止の長期化が避けられず、政府はこの冬、電力難になると警戒している。 

 原発を運営する公営企業・韓国水力原子力が9日、野党議員の指摘で明らかにした。亀裂は、核分裂の制御棒を通す金属管に6カ所見つかった。定期点検中の3日に判明したが、同社は「微細なものだ」として公表していなかった。 

 ただ、ソウル大の徐鈞烈教授(原子力工学)は取材に「亀裂が広がれば深刻な事故につながりかねない」と話し、原因究明や部品交換などに数カ月は要するだろうと指摘している。

原子力安全技術院による安全性審査過程で明らかに
冷却設備1台しかなく水素監視器も設置されず

ハンギョレ新聞2012/10/08

 来る11月20日に設計寿命満了を控えた月城1号機の寿命延長と関連して、韓国原子力安全技術院(技術院)が行っている審査過程で安全性に重大な欠陥があるだけでなく、これを補完することも難しいという判断に内部意見が集約されていることが明らかになった。 事実上、月城1号機の寿命延長が難しくなったものと見られる。

 <ハンギョレ>が7日、民主統合党パク・ホングン議員室を通じて入手した技術院と韓国水力原子力(韓水原)の4次審査質問書と答弁書を見れば、審査過程で月城1号機の安全性に重大な欠陥があり、寿命延長のための韓水原の補完措置も期待に大幅に達し得ないことが明らかになった。 技術院が4回にかけて韓水原に質問した審査内容880件の内、韓水原が全く答えられなかった項目が20件、基準に至らない対策を出し4回にわたり重複再質問された内容も37件に達した。

 特に問題になる内容は2種類に圧縮される。先ず‘非常時冷却系統熱交換器の多重化’だ。 この施設は原子力発電所事故が発生する場合、原子炉内部の熱を除去する核心装置だが、月城1号機には1台だけが設置されている。 1991年以後は複数の熱交換器が設置されるよう規定されているが(カナダR-9文書),1983年に商業運転を開始した月城1号機は基準適用以前に作られたためだ。 韓水原は 「発電所設計の根幹を揺るがす変更が必要で追加設置が不可能だ」という回答を繰り返しているだけだ。

 ‘水素監視器’設置問題もやはり重要な争点だ。 月城1号機には現在、原子炉内に水素感知器が設置されておらず、建設時期のせいではやくとも来年9月まで設置に時間ガかかる状況だ。 技術院は昨年9月‘福島原発事故の後続措置’として新月城1号機の‘稼動前に’水素監視器を設置するよう指示した経緯がある。 月城1号機に対してのみあらかじめ寿命延長をして‘今後の補完’を指示する場合、公平性論難を避けにくい状況である。

 技術院のある関係者は 「現在、審査研究院が激烈な討論を行っている状況」としつつ「どうあれ国策研究機関として原子力の安全という観点で結論を下すだろう」と話した。原子力発電所の寿命延長は技術院の審査を経た後に原子力安全委員会の審議を通じて決定される。 パク・ホングン議員は「満了期間である11月20日までに審査を終えなければならないということに束縛されず、国民の立場で原則通り審査しなければならない」と強調した。

月城1号機は2009年4月から2年以上をかけて大々的な設備改善作業を始めたが、去る9月に再び事故が発生した。

サムスンなど韓国財閥、中小圧迫で批判強まる
読売新聞2012年11月11日
 

韓国経済を先導してきたサムスンや現代自動車など、財閥と呼ばれる大企業グループへの風当たりが韓国国内で強まっている。 

 事業があまりに拡大し、中小企業や個人事業者にしわ寄せが広がっているとの批判が出ており、12月の韓国大統領選でも財閥改革がテーマの一つになっている。だが、財閥の力が弱まると韓国経済の国際競争力がそがれるとの指摘もある。 

ソウル市の金融相談センター。飲食店を経営する50代の男性は、売り上げの減少で所得のすべてが住宅ローンの支払いに消える現状を訴えた。住宅ローンを含め約4億ウォン(約2800万円)の借金を抱えており、自己破産の手続きに入った。 

 この男性から相談を受けたセンターの職員は「財閥が飲食業などにも進出し、競争が激化しているのも要因だ」と指摘する。 

 現在、韓国では事業者の借金の増加が社会問題になっている。経営計画の甘さなど様々な要因が背景にあるものの、不満の矛先はまず財閥に向けられやすい。財閥による事業の拡大と市場の独占が目立つためだ。 

 韓国メディアによると、国内の「10大財閥」系列企業は過去10年でほぼ倍に増えた。サムスンとロッテは衣服やアクセサリーなど、現代自動車は家具にそれぞれ参入した。果物店やクリーニング業、健康食品販売などに手を広げる財閥もあり、「韓国に多い自営業者の生存を危うくしている」(中小企業中央会)という。 

韓国で財閥の勢いが急速に増した背景には、政府の後押しがある。2008年2月に就任した李明博大統領は、財閥系の現代建設で社長を務めた。大企業主導の経済成長路線を掲げ、財閥の事業拡大への参入を制限してきた出資規制の廃止などを決めた。

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米兵裁判権問題・外務省公式見解

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おととい記事にした米兵強姦事件について外務省から反論がきました(うそ)。

これが公式見解であります。(資料1・2)

ものすごく長いですが、日本政府の立場が、それなりに整理されているので貴重だと思いましたので全文掲載します。

私のコメントは来週にでも。
いい週末をお迎えください。月曜日にお会いします。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 日米地位協定における軍属に対する裁判権の行使に関する運用についての新たな枠組みの合意
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/gunzoku_1111.html

平成23年11月24日

  1. 日米地位協定の下では,米軍人・軍属の公務中の犯罪については,米側が第一次裁判権を持っています。公務中に犯罪を犯した軍属に対する裁判権の行使については,日米地位協定の適切な実施という観点から日米間で協議を行ってきました。
  2. この結果,11月23日(水曜日),日米合同委員会において新たな枠組みが合意されました。この枠組みは,公務中の軍属による犯罪について,事案により,米側による裁判又は日本側による裁判のいずれかにより適切に対応するためのものです。この枠組みの概要は,次のとおりです。
    1. (1)米側は,公務中に犯罪を犯した軍属を刑事訴追するか否かを決定し,日本側に通告する。
    2. (2)米側が当該軍属を刑事訴追しない場合,日本政府は,その通告から30日以内に,米国政府に対し,日本側による裁判権の行使に同意を与えるよう要請することができる。
    3. (3)米国政府は,
      1. (ア)犯罪が,死亡,生命を脅かす傷害又は永続的な障害を引き起こした場合には,当該要請に好意的考慮を払う。
      2. (イ)それ以外の犯罪の場合には,当該要請に関して日本政府から提示された特別な見解を十分に考慮する。
    4. (4)この枠組みは,今後の事件(ただし,2011年1月12日の沖縄市での交通死亡事故を含む。)に適用される。
  3. なお,2011年1月12日の沖縄市での交通死亡事故については,11月23日(水曜日),米側から刑事訴追を追求しないとの通告があり,同日,日本側から米側に対して裁判権を行使することへの同意を求める要請を行いました。これに対し,本24日(木曜日),米側からこれに同意する旨の回答がありました。

■外務省日米地位協定Q&A

問い1日米地位協定とは何ですか。

(答)

 日米地位協定は、日米安全保障条約の目的達成のために我が国に駐留する米軍との円滑な行動を確保するため、米軍による我が国における施設・区域の使用と我が国における米軍の地位について規定したものであり、日米安全保障体制にとって極めて重要なものです。

2:日米地位協定は、在日米軍の特権を認めることを目的としたものですか。

(答)

 米軍は、日本と極東の平和と安全の維持に寄与する目的で日本に駐留していますが、この米軍の円滑な活動を確保するとの観点から、日米地位協定は、米軍による日本における施設・区域(一般には、米軍基地と呼ばれています。)の使用と日本における米軍の地位について規定しています。ある国家が自国内に別の国家の機関である外国軍隊の駐留を受け入れる場合、例えばNATO諸国間や日米間、米韓間の場合のように、軍隊を派遣する国との間で駐留に関する様々な事項についての条約が結ばれてきています。日米地位協定は、他国におけるこの種の条約の例も踏まえて作成されたものであり、外国軍隊の扱いに関する国際的慣行からみても均衡のとれたものです。

 具体的には、日米地位協定では、米軍に対する施設・区域の提供手続、我が国にいる米軍やこれに属する米軍人、軍属(米軍に雇用されている軍人以外の米国人)、更にはそれらの家族に関し、出入国や租税、刑事裁判権や民事請求権などの事項について規定しています。このような取扱いは、日本と極東の平和と安全に寄与するため、米軍が我が国に安定的に駐留するとともに円滑に活動できるようにするために定められているものです。一方、米軍や米軍人などが我が国に駐留し活動するに当たって、日本の法令を尊重し、公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないのは言うまでもなく、日米地位協定はこのような点も規定しています。

3:日米地位協定は日本にとって不利になっているというのは本当ですか。

(答)

 日米地位協定は、日本と極東の平和と安全の維持に寄与する目的で日本に駐留する米軍が円滑に活動できるよう、米軍による日本における施設・区域の使用と日本における米軍の地位について規定したものであり、米国との関係で日本にとって不利か有利かという問題ではありません。 

 時々、他国が米国と結んでいる地位協定と日米地位協定を比較して日米地位協定は不利だと主張されている方もいらっしゃいますが、比較に当たっては、条文の文言だけを比較するのではなく、各々の地位協定の実際の運用のあり方等も考慮する必要があり、そもそも一概に論ずることが適当ではありません。とはいえ、例えば、米軍人が刑事事件の被疑者になった場合に身柄がどの時点で受入れ国側へ引き渡されるかという問題については、日米地位協定に基づく運用が、他のどの地位協定よりも早い時点での引き渡しとなっています(問9参照)。このような点からもわかることですが、日米地位協定が他の地位協定に比べて不利になっているということはありません。

刑事裁判手続に関する運用の改善

日米地位協定に基づく刑事裁判手続については,これまで次のとおりの運用の改善が行われています。 

1.米軍人及び軍属の起訴前の拘禁の移転

  1. 1)日本側が裁判権を行使すべき米軍人及び軍属(以下「米軍人等」という。)については(例えば,公務外で罪を犯した米軍人等),被疑者である米軍人等の身柄を米側が確保した場合には,日米地位協定上,日本側が被疑者を起訴する時まで,米側が被疑者を引き続き拘禁することとされています(175c)。()
    (注)派遣国(米側)が被疑者の身柄を確保している場合には接受国による起訴の時点まで引き続き派遣国(米側)が被疑者を拘禁するという考え方は,NATO地位協定も採っています。ドイツもNATO地位協定の締結国ですが,ドイツにおけるNATO諸国軍の地位についての詳細規定を定めているボン補足協定では,派遣国は判決の確定まで被疑者を拘禁できることになっています(同協定には,ドイツによる移転要請に派遣国は好意的考慮を払うとの規定もありますが,そもそもドイツは,同協定に従い,ほとんど全ての米軍人による事件につき第一次裁判権を放棄しています。)。また,米国が韓国と締結している米韓地位協定では,派遣国(米側)は,12種類の凶悪な犯罪の場合は韓国側による起訴時,それ以外の犯罪については判決確定後まで,被疑者を拘禁できることになっています。このように,日米地位協定の規定は,NATO地位協定と並んで受け入れ国にとって最も有利なものとなっています。
  1. 21995年に沖縄県で発生した少女暴行事件を受けて,米軍人等の身柄の引渡しに関して日米間で協議した結果,同年,殺人及び強姦について,起訴よりも前の段階で米側から身柄の引渡しがなされる途が開かれました(刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意)。その後,6件の事件について,1995年の日米合同委員会合意に基づく起訴前の身柄引渡しの要請が行われ,そのうち,5件について起訴前の身柄引渡が実現しています(200611月に沖縄県で発生した婦女暴行未遂・器物損壊事件の被疑者の起訴前の身柄引渡しの要請については,米側は,日本側の説明を真摯に検討したものの,要請には応じられないとの回答でした。この被疑者の身柄は,起訴後に日本側に引き渡されました。)(日米地位協定Q&A9)。
  2. 3)また,20044月,日米合同委員会において,日米間の捜査協力の強化等に関する日米合同委員会合意仮訳(PDF
  3. されました。この日米合同委員会合意により,1995年の日米合同委員会合意に基づく起訴前の身柄引渡しの対象となる事件について,米軍当局が速やかに捜査を行うことができるようにするため,その事件について捜査権限を有する米軍司令部の代表者が日本側当局による被疑者の取調べに同席することが認められることとなりました。

2.軍属に対する裁判権の行使

  1. 1)米軍人及び軍属による公務中の犯罪については,日米地位協定上,米側が第一次裁判権を有しています(第173(a))。このうち,軍属の公務中の犯罪について,日米地位協定の適切な実施という観点から,日米間で協議を行った結果,201111月,日米合同委員会において,軍属に対する裁判権の行使に関する運用についての新たな枠組みに合意しました(日米地位協定における軍属に対する裁判権の行使に関する運用についての新たな枠組みの合意)。
  2. 2)この枠組みは,軍属の公務中の犯罪について,事案により,日米いずれかの裁判によって適切に対応することを主眼とするものです。具体的には,米側が,事案に応じ,米国において刑事裁判にかけることができる手続を整備するとともに,米側が刑事裁判にかけない場合には,被害者が亡くなった事案などについて,日本側が裁判権を行使することについて米側に同意を要請することができ,これに対して米側が好意的考慮を払うとする手続を整備しました。
  3. 3)この枠組みが最初に適用された20111月の沖縄市における交通死亡事故については,日本側が裁判権を行使することについて米側に要請したところ,米側の同意が得られました。

3.「公務」の範囲に関する日米合同委員会合意の改正

  1. 11956年の「公務」の範囲に関する日米合同委員会合意は,米軍人等による通勤は公務としつつも,飲酒した上での自動車運転による通勤は公務ではないとする一方で,公の催事での飲酒後の自動車運転による通勤は,公務として取り扱われ得る余地を残していました。
  2. 2)公の催事での飲酒後の自動車運転による通勤が公務として取り扱われ得る余地があるという部分は,現在の社会通念には適合しないため,米側との間でこの日米合同委員会合意の見直しのための協議を行いました。その結果,201112月,日米合同委員会において,1956年の日米合同委員会合意を改正し,公の催事での飲酒の場合も含め,飲酒後の自動車運転による通勤は,いかなる場合であっても公務として取り扱わないこととすることで合意しました(日米地位協定の刑事裁判権に関する規定における「公務」の範囲に関する日米合同委員会合意の改正)。

  3. 3)実際には,米軍人等が飲酒運転をして通勤した場合,公の催事での飲酒であったときを含め,公務として取り扱われた事例はこれまで一例もないことを米側から確認していましたが,この日米合同委員会合意の改正によって,公の催事での飲酒の場合も含め,飲酒後の自動車運転による通勤は,いかなる場合であっても公務として取り扱わない,すなわち日本側が第一次裁判権を有することが正式な形で確保されました。


4:米軍には日本の法律が適用されないのですか。

(答)

 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、日本に駐留する米軍についても同様です。このため、米軍の行為や、米軍という組織を構成する個々の米軍人や軍属の公務執行中の行為には日本の法律は原則として適用されませんが、これは日米地位協定がそのように規定しているからではなく、国際法の原則によるものです。一方で、同じく一般国際法上、米軍や米軍人などが我が国で活動するに当たって、日本の法令を尊重しなければならない義務を負っており、日米地位協定にも、これを踏まえた規定がおかれています(第16条)。

 しかし、公務執行中でない米軍人や軍属、また、米軍人や軍属の家族は、特定の分野の国内法の適用を除外するとの日米地位協定上の規定がある場合を除き、日本の法令が適用されます。

5:在日米軍の基地はアメリカの領土で治外法権なのですか。

(答)

 米軍の施設・区域は、日本の領域であり、日本政府が米国に対しその使用を許しているものですので、アメリカの領域ではありません。したがって、米軍の施設・区域内でも日本の法令は適用されています。その結果、例えば米軍施設・区域内で日本の業者が建設工事等を行う場合には、国内法に基づいた届出、許可等が必要となります。なお、米軍自体には、特別の取決めがない限り日本の法令は適用されないことは、先に説明したとおりです(問4参照)。

6:在日米軍は日本全土、どこでも好きなところを基地にできるのですか。

(答)

 米軍の施設・区域は、日本と極東の平和と安全の維持に寄与するとの目的達成のため、日本政府が米国に対してその使用を許しているものであり、日本側の同意なしに、米国が日本国内に施設・区域を設置することはできません。

7:米軍人やその家族は、パスポートを持たずに自由に日本に出入りできる特権を与えられているのですか。

(答)

 米軍からの命令があれば米軍人が円滑に日本への出入国を行えるようにしておくことは、米軍が日本と極東の平和と安全を維持するための活動を効果的に行うためにも必要なことですが、この点につき日米地位協定は、米軍人が日本に出入国する際には、米軍の身分証明書と旅行命令書を携帯しなければならず、要請があるときは日本の当局に提示しなければならないと規定しています。一方、軍属及び家族が日本に入国するためには、パスポートが必要です。

8:米軍人やその家族は、モノを輸入したり、日本国内でモノやサービスを購入する時に税を課されない特権を与えられているのですか。

(答)

 日米地位協定の下では、米軍人、軍属及びそれらの家族に仕向けられ、かつ、これらの者の私用に供される財産についても、初めて日本に赴任する際に持ち込む身回品や私用のため輸入する車両などの限られたものを除いては、関税が課せられます。 

 また、日本国内にいる間において、米軍人、軍属及びそれらの家族は、米軍やその関係機関で働いた結果受ける所得や、自分達が一時的に日本にいることのみに基づいて日本で所有している動産(投資や事業目的の財産などを除く。)の保有、使用又は移転については課税が免除されますが、例えば、米軍施設・区域の外で買い物等をする場合には日本国民同様、消費税等の税金が課税されています。

 このような課税・免税については、NATO地位協定などにも類似の規定があり、日米地位協定の規定は、国際的慣行に鑑みても均衡を失しているわけではありません。

9:米軍人が日本で犯罪を犯してもアメリカが日本にその米軍人の身柄を渡さないというのは不公平ではないですか。日本側に身柄がなければ、米軍人はアメリカに逃げ帰ったりできるのではないですか。

(答)

 まず、日本で米軍人及び軍属(以下「米軍人等」という。)が公務外で罪を犯した場合であって、日本の警察が現行犯逮捕等を行ったときには、それら被疑者の身柄は、米側ではなく、日本側が確保し続けます。 

 被疑者が米軍人等の場合で、身柄が米側にある場合には、日米地位協定に基づき、日本側で公訴が提起されるまで、米側が拘禁を行うこととされています。しかし、被疑者の身柄が米側にある場合も、日本の捜査当局は、個別の事案について必要と認める場合は、米軍当局に対して、例えば被疑者を拘禁施設に収容して逃走防止を図るよう要請することもあり、米軍当局は、このような日本側当局の要請も含め事件の内容その他の具体的事情を考慮して、その責任と判断において必要な措置を講じています。(なお、例えば平成4年に沖縄市で発生した強盗致傷事件や平成5年に沖縄市で発生した強姦致傷事件では、被疑者が米国へ逃亡するということがありましたが、いずれもその後米国内で被疑者の身柄が拘束され、米国により在沖縄米軍当局に身柄を移された後に処分が行われています。)

 日米地位協定が身柄の引渡しの時点について特別の規定を置いているのは、被疑者が米軍人等であって、身柄が米側にある場合に限られていますが、これらの被疑者の身柄引渡しの時点についての他の地位協定の規定を見てみると、NATO地位協定が日米地位協定と同様に起訴時としているのに対し、ボン補足協定(ドイツに駐留する米軍等のための地位協定)では原則として判決の執行時としており、また、米韓地位協定では12種の凶悪犯罪について起訴時としているものの、その他の犯罪については判決の執行時としています。

 このように、日米地位協定の規定は、他の地位協定の規定と比べても、NATO地位協定と並んで受入国にとっていちばん有利なものとなっていますが、更に、1995年の日米合同委員会合意により、殺人、強姦などの凶悪な犯罪で日本政府が重大な関心を有するものについては、起訴前の引渡しを行う途が開かれています。

(参考)これまでに1995年の日米合同委員会合意に基づき起訴前の拘禁移転を要請した事件
(日付は事件発生日)

平成8年7月16日

長崎県で発生した強盗殺人未遂事件(起訴前身柄引渡し)

平成13年6月29日

沖縄県で発生した婦女暴行事件(起訴前身柄引渡し)

平成14年11月2日

沖縄県で発生した婦女暴行未遂、器物損壊事件(起訴前身柄引渡し拒否)

平成15年5月25日

沖縄県で発生した婦女暴行致傷事件(起訴前身柄引渡し)

平成18年1月3日

神奈川県で発生した強盗殺人事件(起訴前身柄引渡し)

平成20年3月19日

神奈川県で発生した強盗殺人事件(起訴前身柄引渡し)

10:日米地位協定の規定が不十分だから米軍人の犯罪が減らないのではないですか。

(答)

 米軍人等による犯罪をめぐる捜査、公判及び刑執行は、日米地位協定の規定に従い、日米双方の関係当局により適切に行われてきています。 

 犯罪防止には、教育、倫理・道徳、管理政策等も重要な役割を果たします。沖縄では、新たに着任した海兵隊員への教育プログラムの導入、米軍人が多く行動する区域の夜間巡回、海兵隊での夜間外出規制カードの導入、ゲートでの飲酒チェックなど実施し、犯罪の防止に努力しています。また、米軍によるこのような措置については、国、米軍、地元関係者で構成する「事件・事故防止ワーキング・チーム」でチェックし、改善の努力を続けています。

11:米軍人が事故などで日本人に怪我をさせても、米軍人は十分な財産を持っていなかったり、転勤してしまうため、被害者は泣き寝入りするケースが多いというのは本当ですか。

(答)

 日米地位協定では、被害者救済の観点から、公務外の米軍人等の行為などから生じる損害の賠償請求の処理について規定してあります。この規定によれば、被害者の便宜を図るため、日本政府が補償金を査定し、米国政府との間で補償金支払いの調整を行います。また、被害者が民事訴訟を提起することも当然のことながら可能です。

 このような規定に加え、更に、被害者救済を万全なものとするため、平成8年以降、日本にいるすべての米軍人、軍属及びそれらの家族を任意自動車保険に加入させる措置をとり、更に、日米地位協定の規定の下での支払い手続を改善するため、被害者に日本政府が無利子融資する制度、被害者の必要経費を米政府が前払いする制度、米国政府の支払い額が民事訴訟での判決額を下回った場合に日本政府が差額を補填する制度などが導入されています。

12:日米地位協定の実際の運用については、日米合同委員会で合意される秘密の合意で決められているというのは本当ですか。

(答)

 日米合同委員会は、日米地位協定の実施に関する協議機関です。日米合同委員会における協議を経た合意事項は、そのほとんどが施設・区域の提供、返還等に関する事項であり、従来より、米側との協議の上で、その全文又は概要を公表してきています。今後とも、日米合同委員会での合意についての公表に努力していきたいと考えています。 

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オバマ大統領再選で現実化するTPP

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オバマ大統領が再選され、TPPが現実のものとなる可能性が濃厚になってきました。

TPPは米国では「オバマの貿易戦略」だとロムニー陣営から批判を浴びてきました。オバマ氏が大統領に再任された以上、米国が遅れてTPPに割って入った最大の理由、すなわち日本の巻き込みを先鋭化させることでしょう。 

こうしたオバマ再選をにらんでか、カトラー米国通商代表部(USTR)代表補が10月18日に来日し、前原国家戦略担当大臣と45分間にわたって会談しています。(読売新聞による)

前原氏は個人的外交プレーを得意とする人です。、内閣官房プレスリリースでは、ただ「前原大臣からは、我が国の経済連携に関する基本的な方針やTPP協定交渉参加に向けた国内での議論の状況等について紹介しました」というだけですが、おそらくはかなり突っ込んだ話になったはずです。

というか、この時期にUSTRの代表補を日本に呼んで話すことなど、TPPの最終的詰め以外にありえません。

一方野田総理は、所信表明演説やJA大会での挨拶などで、TPPと日中韓FTA、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の三本を、「同時並行的」にやるんだと言い始めました。 

この「同時並行的」に行う」という言い方が農業関係者の中であれはなんなんだと論議を呼んでいます。 

日中韓FTAは、年内に交渉に入ることは既に既決のことで、実務者協議も予定されています。 

RCEPは、11月18日からの東アジア首脳会議で交渉開始を宣言することになっています。これら2つの自由貿易協定と、TPPを並べて「同時並行的」と言う以上、野田さんやる気ということなんでしょうな。 

この人、本当に内心何を考えているのか分かりにくいですね。典型的な口跡明瞭、中身不明というタイプ。やるならやるでそうハッキリ言って、農業界全体を敵に回せばいいのです。 

それを「仮に交渉に参加する場合には、守るべきものは守り抜くべく、国益を最大限に実現するために全力を尽くします」、というような何が「国益」なのかを明確にしないような言い方をするからダメなのです。

もし、本気で「国益を守る」決意があるのなら、なにを守るのか明瞭に国民に語るべきです。 

同じJA大会で挨拶した自民党安部総裁は、かなりはっきりとTPPに対して否定的な言い方をしていますから、その明暗が分かれました。(ただし石破幹事長は消極的推進派ですが、総裁を全力で支えると言い切っています。) 

自民党はTPP交渉原則を作って毒素条項に対して明確に反対することを主張しています。私ですらこの原則があるのなら、百歩譲って協議参加もありえるかなと思います。(※)

しかし、交渉原則は示さない、やるのならなにが「国益」にかなうのか、なにがメリットなのか抽象的にしか語れない、それどころか参加するとすらはっきり言わないでは話になりません。

そのくせ外務省に丸投げして「外交交渉事案」として情報を封印してしまいました。まったく悪質この上ないやり口です。

いままでTPPの国民的議論がいまひとつ盛り上がらないのは、推進派がただ「アジアの活力を取り入れる」とか、「平成の開国」だとかわかったようなわからないような一般論ばかり口にして、かんじんなTPPのメリットを提示できないでいるからです。

さて、農業界にも極小派ですがTPP賛成派らしき人たちがいます。大部分が大規模農業を会社型式でやっているアグリビジネスマンの人たちですが、その人たちにしても「TPPで優れた日本農産物を輸出するぞ」というレベルです。(※)

彼らの日本農業は農水省の規制だらけ、減反はナンセンス、という指摘は私の認識と一部重なるのですが、だからと言って日本農業全体が潰れるかもしれない「聖域なき関税自由化」などやられたらたまりません。

「輸出で儲けろ」と言いますが、TPP加盟諸国のたかだか輸入関税ごときと日本農業全体の利益を交換するわけにはいきません

私はこのような農業内TPP賛成派を見ると、つい「そんなに儲けたければひとりでやれ」、というふうに言いたくなります。現在の日本農業の矛盾を、外国に破壊してもらって「改革」しようという根性が歪んでいるのです。

彼らとしても、本来はもっと歯切れよくTPPのこことここがメリットだかと言えれば説得力があるのですが、肝心な中身が分からないので推進派まで「輸出ができるから賛成だ」と言ってます。説得力ゼロです(笑)。

それはさておき、「同時並行的」と言う以上、どうも首相の頭の中には環太平洋-東アジア-ASEANを包括する壮大な自由貿易圏構想でもあるようですが、困ったお人だ。

しかし誰が考えても米国の経済圏ブロック作りであるTPPと、互恵的な利害を大事にしていこうというFTAやEPAが「同時並行」するはずがありません 

やるならどちらかで、「同時並行」などという分裂的な戦略はありえないのです。まぁ、どうせその責任を取る時には間違っても政権にいないのですから、いい気なもんなのかもしれません。 それにしてもあの「脱原発首相」、とんでもないお荷物を残してくれました。

野田首相は未だ「参加に向けた協議」というあいまい戦略で口を濁していますが、オバマ氏の再選でそのやり方はできなくなりました。

おそらく、11月18日からの東アジア首脳会議で、野田首相はオバマ大統領から再び要請があれば、ご祝儀がわりに参加表明する恐れがあります。

民主党を年内に政権の座から引きずり下ろす、TPP潰しの特効薬はこれしかないようです。

■※「週刊ダイヤモンド」11/10号桜井よしこ氏記事中のアグリビジネスマンの言説を参照しました。

■写真 村の道が朝もやで煙っています。

 

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

※自民党TPP交渉原則 

(1)政府が「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車などの工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうような投資家・国家訴訟(ISD)条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービスなどは、わが国の特性を踏まえる。

 
■関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/cat22955329/index.html
 http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/youtu-1.html 

■TPPについてはカテゴリーTPPに過去ログがありますのでご覧ください。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/cat22955329/index.html 


 

 
 

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大飯原発・なぜこんなに「破砕帯の巣」に原発を作ったのか

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日本で稼働している数少ない原発である大飯原発の直下で破砕帯(※)らしきものが見つかり、原子力規制委員会が地質の専門家による会合を招集しました。(資料1参照)

「渡辺満久・東洋大教授は「断層は原子炉建屋の方向に延び、局所的なずれではない」として、地滑り説を否定した。これに対し、岡田篤正・立命館大教授は「地層のずれは、地滑りでも起きる。周辺を幅広く調査する必要があり、先走るのは危険」と反論した。重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員は「地質や地滑りの専門家を入れて判断すべきだ」と提案し、調査が長期化する可能性も出てきた。」
(資料1 毎日新聞11月5日)

「焦点は、台場浜周辺の地層のずれが、(1)活断層か、地震活動に関係ない地滑りか(2)いつ動いたかの2点」(同)

渡辺教授の意見のようにF6破砕帯が活断層であるならば、まさに原発施設の下を横断しているわけで、その地表にある海からの緊急取水路が非常時に使用できなくなる可能性が大です。

取水路が活断層のズレによって破壊された場合、非常用冷却水の供給が困難になることになり、その場合は冷却系の崩壊という最悪の事態になりかねません。(下図TBS11月5日6時ニュースより)

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「活断層は、過去に繰り返し動いた痕跡があり、今後も活動する恐れがあるものを指す。揺れは、活断層の長さに比例して強くなるため、この地層のずれがどこまで延長しているかも重要なポイントになる。」(同)

下図は上図とは反対の北側からF6破砕帯を見たものですが、隣接する湾の下にまでもぐり込んで伸びているのがわかります。F6破砕帯が活断層だとするならば、非常に長いために、揺れも強いことが予想されます。
(下図 NHKニュース11月6日朝6時ニュースより)

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下図は大飯原発敷地内を通る破砕帯です。赤線が大飯原発の敷地内には短い破砕帯だけで8本から9本あり、一部は原子炉直下にも存在しているのが分かります。
(下図 TBS11月5日6時ニュースより)

渡辺教授がいみじくも、「なぜこんなに破砕帯の巣のような場所に原発を作ったのか理解に苦しむ」と述べているように、まさに「巣」のように四方から破砕帯が原子炉直下にまで延びています。

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下図は規制委員会が公表したF6破砕帯の断面写真です。右の地層が左2ツの地層と完全にズレているのが見えます。

この地層のずれが発見されたのは、9・5万年前とされる火山灰の地層の下にあるために、調査団では「12・5万年前以降」との見解で一致しました。

すると、原発施設の耐震基準である「耐震設計審査指針」の「12万〜13万年前より後に動いた断層を活断層」とする指針と一致したことになります。

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「先走って(活断層との)結論を出すのは危険」だとする意見もあるようですが、「活断層かはっきりしないが否定できない」ならば、なおさらその調査のために一度稼働を停止して調査する以外方法はないのではないでしょうか。

また、関西電力が実にずさんな地層地調査しかしていないことが明らかになってきています。そもそも民間住宅を建てるにしてもボーリング調査をするのに、これだけの破砕帯がある地点になにもわざわざ原発を建てる必要があるのでしょうか。

前々から指摘されてきたように、関西電力は初めから満足な地質調査をしていなかったのではないか、という疑惑が浮上してきました。

まともな地層調査を怠ったことは、「関電の想定とは別の場所に破砕帯があった」(渡辺満久・東洋大教授)ことからも明らかで、関西電力が10月31日に提出した中間報告書自体の真偽にも曇りが出はじめています。

このような信憑性すら疑われる関西電力の調査に基づいて、拙速な再稼働を認めてしまった政府の決定も問われるでしょう。

再稼働の審査会は、「委員会にいるのは活断層の専門外である地震・地質研究者のみで、変動地形学の研究者が加わってこなかった」(渡辺教授)審査で「安全を確認」しており、国の審査体制の問題点まであぶり出したことになりました。 (資料3参照)

しかし原子力規制委員会は、現行の法体系の中では稼働停止を命じることはできません。ここが問題なのだ、と私は繰り返し書いてきました。

原子力安全監視機関の決定はいかなる政府の決定をも超越せねばなりません。原子炉の稼働の是非は政府の政治的都合によるのではなく、安全監視機関の判断のみでなければならないのです。

そのために、原子力安全監視機関である規制委員会は「政府からの独立性」が保証されていなければなりません。

規制委員会はいかなる政府機関の下にも置いてはならず、完全に独立した会計検査院のような独立国家機関でなければなりません。

発足当初、野田首相は、規制委員会の組織的独立性を骨抜きにしたまま、「再稼働は規制委員会が判断します」という言葉自体は正しいが内実と誠意のない言葉で、再稼働の責任だけを規制委員会に押しつけようとしました。(※)

規制委員会がこの時点で「再稼働の判断は政府がするべきだ」と言ったのは逆説的に筋が通っています。

安全でないと判断すればただちに原子炉の停止命令が出せるような強い法的権限を与えない、組織的独立性を保証しない、事務局(規制庁)には経産省資源エネ局の官僚を大量に突っ込んでくる、これで責任ある原子力安全・監視ができるはずもないではないですか。

たしかに現行法では、ここで規制委員会が大飯原発を停止させることは法的に不可能です。それは現行法では「急迫の事態」と認められないと停止できないからです。

「急迫」の規定には、核テロ、事故の切迫した危険性などという福島事故以前ののどかな規定が想定されています。今回の大飯のような原子炉直下の活断層の恐れという状況は想定されていません。

この法改正には来年7月まで待たねばなりません。そこまで待っていられないから、国民はイライラしながら事態の推移を見守っているのです。

つまり、法が遅れているのであって、規制委員会は大飯原発をいったん止めて調査をするためには、「超法規的」に対応するしかありません。

それには世論を味方にすることです。規制委員会が、断固とした「停止要請」を法的根拠があろうとなかろうと関西電力に「命じる」ことしかありません。

それが法的にはただの「お願い」であっても、世論の後押しがあれば関西電力は停止するしかないと悟るでしょう。

こその意味で、この大飯原発F6破砕帯の活断層判定は原子力規制委員会が真の安全監視機関なのか、それとも政府の意のままに動かすことのできる旧来の安全・保安院のような操り人形なのかを分ける試金石となります。

規制委員会田中俊一委員長が「(活断層の可能性について)クロや濃いグレーなら運転停止を求める」とした言葉に嘘偽りがないか、試される時です。(資料4 毎日新聞11月2日)

嘘つきは首相だけでたくさんです。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■※破砕帯 はさいたいcrush zone

断層運動により,地層あるいは岩石が粉々に砕かれた部分が一定の幅をもち,一定の方向に延びている場合,その部分を破砕帯という。幅数cmの場合から数百mの場合まである。大規模な断層には大規模な破砕帯を伴う場合が多く,このため,何々断層といわず何々破砕帯ということもある(たとえば,棚倉破砕帯やメンドシノ破砕帯など)。破砕帯の岩石は郷土が低いため,地滑りの原因となることがある(これを破砕帯地すべりと呼ぶ)。
(世界大百科事典 第2版)

■※規制委員会の組織的独立性についての関連記事
「原発の番人」・日仏の本質的違い 独立性が保障されねば安全監視機関とは言えない

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-7d6f.html

■資料1 福井・大飯原発:現地再調査の必要も 運転継続可否見えず
毎日新聞11月5日

「先走って(活断層との)結論を出すのは危険」「明らかに活断層。すぐ原発を止めて調べるべきだ」。関西電力大飯原発の活断層問題に関する4日の原子力規制委員会の会合では、活断層かどうかの判断をめぐり、調査団メンバーの見解は分かれ、現地の再調査を求める声が続出した。7日に再び会合を開くが、意見が集約されるのは難しく、運転継続の可否は見えない。

 原発周辺は建設時の開発で本来の地層がほぼ存在せず、施設もあるため掘削などの調査が困難だ。このため関電は、原発の北側約200メートルにある「台場浜」付近に深さ約5メートルの溝(トレンチ)を掘り、新たな断層を公開。2日に島崎邦彦委員長代理と、有識者4人が現地調査した。焦点は、台場浜周辺の地層のずれが、(1)活断層か、地震活動に関係ない地滑りか(2)いつ動いたか−−の2点だ。

 渡辺満久・東洋大教授は「断層は原子炉建屋の方向に延び、局所的なずれではない」として、地滑り説を否定した。これに対し、岡田篤正・立命館大教授は「地層のずれは、地滑りでも起きる。周辺を幅広く調査する必要があり、先走るのは危険」と反論した。重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員は「地質や地滑りの専門家を入れて判断すべきだ」と提案し、調査が長期化する可能性も出てきた。

 一方、地層のずれは、9・5万年前とされる火山灰を含む地層下にあり、年代の分かっている周辺地層との関係から、「12・5万年前以降」との見解で一致した。原発施設の耐震基準を定めた「耐震設計審査指針」では、12万〜13万年前より後に動いた断層を活断層としており、年代的には一致する。規制委は数十万年前以降への拡大を検討しており、他原発の再稼働判断へも影響する恐れがある。

 活断層は、過去に繰り返し動いた痕跡があり、今後も活動する恐れがあるものを指す。揺れは、活断層の長さに比例して強くなるため、この地層のずれがどこまで延長しているかも重要なポイントになる。

 岡田教授は「大勢の人に囲まれ、冷静に判断できない。情報公開も結構だが、数時間で結論を出すのは無理」と訴えた。

 ◇運転停止に法的な障壁

 規制委の田中俊一委員長は「クロや濃いグレーなら運転停止を求める」との見解を示し、大飯原発の断層が活断層と認定されれば、運転停止を指示する。

しかし、規制委が電力会社に運転停止などを求める法的根拠はなく、超法規的な「行政指導」に頼らざるを得ない。昨年5月、東海地震の発生が懸念される中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)で、菅直人首相(当時)が運転停止を要請したのも、これに該当する。

 ただし、これを発動した場合、運転継続を求める電力会社から訴訟を起こされる可能性がある。活断層と科学的に認定されても、法的なハードルが控えている。

 ◇「しっかり説明」 次回会合で関電

 関電は4日、「引き続き大飯原発敷地内破砕帯の調査を着実に実施するとともに、審査にあたっては、真摯(しんし)に対応してまいりたい。次回(11月7日)の会合において、当社の考えをしっかりと説明してまいりたい」とのコメントを発表した。

■資料2 大飯原発 破砕帯の再調査も「活断層否定できぬ」
毎日新聞 2012年11月02日

関西電力大飯原発(福井県)の敷地内の断層(破砕帯)が活断層の疑いがあると指摘されている問題で、原子力規制委員会は2日、初の現地調査を終えた。島崎邦彦委員長代理(前地震予知連絡会会長)は調査後、報道陣に「必要なら再調査も可能性の一つ」と語り、追加調査を示唆した。4日に東京都内で開く会合で結果を評価する。

 規制委が現地で断層を調査するのは初めて。田中俊一委員長は「(活断層の可能性について)クロや濃いグレーなら運転停止を求める」との見解を示している。同原発は全国で唯一稼働しているが、活断層と判断すれば関電に運転停止を求める。

 島崎氏と外部専門家4人による調査団はこの日、2、3号機の間をほぼ南北に走る「F−6破砕帯」を調べた。午前中は、敷地北端の「台場浜」付近に関電が掘った深さ約5メートルの溝(トレンチ)=図中のA=に入って、地層の断面を確認。午後は1、2号機北側の山中のトレンチ=同B=で、F−6破砕帯を直接見て確認した。長さを確認したりするため、延長部分と想定される場所=同C=も調べた。このほか、掘削(ボーリング)で取り出した地層の土などもチェックした=同D=。

 台場浜付近のトレンチでは、関電があると想定していた場所にF−6破砕帯がないことが判明。調査団メンバーで、活断層の危険性を早くから指摘していた渡辺満久・東洋大教授は「関電の想定とは別の場所に破砕帯があった」と指摘し、関電が10月31日に提出した中間報告を問題視。そのうえで「活断層かははっきりしないが、否定できない」と述べた。

 島崎氏は2日の会見で、「一番大事なのは大飯原発の安全性。その基本に立ち返って議論する。日曜日(4日)に私の判断を伝える」と語った。

■資料3 大飯原発の破砕帯、総点検を 渡辺教授(東洋大)が講演 
福井新聞 
2012年6月21日

関西電力大飯原発の敷地内を通る破砕帯が活断層である可能性を指摘している渡辺満久東洋大教授(変動地形学)が20日、福井市の福井県生活学習館で講演した。同原発周辺の破砕帯を点検する必要があると指摘。原子炉直下に活断層が見つかった場合は「土地のずれによる被害が避けられない。建設地としての根本的な欠陥であり、廃炉や移転の決断をすべきだ」と述べた。

 市民団体のサヨナラ原発福井ネットワークが主催し、県内を中心に約40人が訪れた。

 渡辺教授が着目するのは、大飯2号機と3号機の間の地下を通る「F6」と呼ばれる破砕帯。岩盤と上部の地層が同様にずれた形跡があり、破砕面に粘土が付着している点から「典型的な活断層の構造だ」とし、国に地質の調査を求めた。調査に必要な期間については「数日で十分やれる」とも話した。

 原子炉直下も含めた他の破砕帯に関しても早急に確認する必要があると指摘。土地のずれにより、耐震性とは無関係に被害が生じる恐れがあるとし「建屋には相当大きなダメージがあり、配管などが無事ですまないことが推定できる」とした。

 政府の再稼働の決定に対しては「最高レベルで安全性を判断したとは思えない」と強調。これまでの国の審査体制について「委員会にいるのは活断層の専門外である地震・地質研究者のみで、変動地形学の研究者が加わってこなかった」と問題点を挙げた。

■資料4 大飯断層 規制委が調査
東京新聞 2012年11月2日

関西電力大飯原発(福井県おおい町)の敷地内にある「F-6断層」(破砕帯)が活断層かどうかを判断する原子力規制委員会の調査チームが二日午前、現地調査を始めた。九月に発足した規制委による初の調査で、規制委の島崎邦彦委員長代理ら五人は北側の試掘溝(トレンチ)の中に入り、地層の壁を削って土や岩を手に取り、様子を確かめた。

 調査チームは時折強い雨が降る中、調査に踏み切った。断層が露出している北側の海岸「台場浜」周辺やほかの溝、掘削(ボーリング)調査をした際に掘り出された土を見て、断層が動く可能性を判断する。

 現地調査はこの日で終わり、四日に都内で会合を開き、活断層かどうかを議論する。

 大飯原発では、1、2号機と、国内で唯一再稼働した3、4号機の間をF-6断層が南北に走っている。この断層が近くの活断層と連動し、地表がずれて設備を損傷させる恐れが指摘されている。

 断層上には、海から冷却水を引き込む重要な取水路がある。活断層と判断されれば、原発の耐震設計審査指針に反し、規制委は運転停止を求める見通し。

 調査チームは、島崎氏のほか、活断層の可能性を指摘した渡辺満久・東洋大教授ら地震や地質の学会から推薦された有識者四人の計五人で構成。

 規制委の田中俊一委員長は「重要施設の下に活断層があるという状況は問題がある。クロまたは濃いグレーの場合、原発を止めてもらう判断をする」と明言している。

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沖縄米兵犯罪・日米地位協定「密約」を廃棄しろ!

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早くも本土では忘れられてしまったようですが、立て続けに2件、沖縄で米兵による女性暴行事件が起きました。 しかも今回は複数の暴行という許しがたい犯罪です。

今回の事件の唯一の救いは、沖縄県警がこの米兵の被疑者2名を基地に「逃げ込む」寸前で捕らえたことです。

逃げ込まれていたら、この2名は今頃グアムで酒でも飲みながら、「ああ、ヤバかった。捕まり損になるとこだったぜぇ」、などとうそぶいていたことでしょう。

彼らがグアムに逃亡するわずか3時間前に捕まえることができたために、米兵の身柄は現在日本側にあります。これで日本側の裁判を受けさせることが可能になりました。

さて、今私は「逃げ込む」と書いてきました。この言葉に疑問を持たれなかったでしょうか。いいですか、事件は米大使館や米軍基地内で起きたのではなく、「柵の外」、つまりわが国主権内で起きたことに留意して下さい。

しかし、にもかかわらず、わが国では米兵に限ってわが国の司法がこれを裁くことが出来ません。正確にいえば、裁判自体はできますが、まず最初に裁判する権利は、米兵に限ってまず米軍が裁く権利を有します。

これを「1次裁判権」といいますが、これを日本はこと米兵にだけは持ちません。また被疑者の身柄の確保も現行犯で警察が逮捕しない限り出来ません。

いったん「柵の中」に逃げ込まれたら、身柄の返還は米軍が裁いた後に「返してもらえるかもしれない」ことになります。

法的にはいかなる理由があろうとも返すべきなのですが、「かもしれない」ということについては、あとで説明することになるでしょう。

ではまずは、この事件の息の詰まるような逮捕までの経緯を追ってみることにします。なぜかくも沖縄県警が50人体制という大がかりな逮捕陣を敷いたのか、お分かりいただけると思います。

                    ~~~~~~~~~~

この忌まわしい事件は、2012年10月16日に沖縄中部で起きました。 

03時30分。沖縄本島中部で酒に酔った2人組の米兵が20代の日本人女性に声をかけ、恐れて逃げたにも関わらず追いかけて首を締めて2人がかりで強姦する。 

[この時点で、日本国刑法では強姦致傷罪という悪質な犯罪が成立します。] 

04時30分。米兵は酒場に引き返す。同時刻、被害者女性の知人が事件を聞き、警察に通報。沖縄県警捜査開始。 

04時50分。米兵2人はタクシーでホテルに移動。 

05時00分。捜査員がホテルに聴取し、米兵が宿泊していることを確認。この2名の米兵は、当日の午前中にグアム基地に移動する予定であり、9時に基地に帰る予定であることが分かった。 

[基地内に逃げ込めば、日本警察は手の出しようがなくなります。沖縄県警はこの時点で50人体制の緊急捜査体制を作り、基地の各門に逃亡防止のための厳重な張り込み体制を敷きました。(欄外資料3参照)]

05時30分。ホテルで米兵を事情聴取。同宿の他の米兵が騒ぎだし一時捜査員と揉み合いとなる。被害者周辺からの情報で、犯人の服装情報が入り、事情聴取した米兵の服装と一致したため、身柄を確保。 

06時00分。米兵のひとりは犯行を否認し、基地の法務官に連絡をすることを求める。
一方、沖縄県警も基地・米兵犯罪専門の県警渉外警邏官が到着。
その後ひとりは犯行と共謀を認め、その場で逮捕。もうひとりは否認のまま逮捕拘束。
               

以上が、米兵逮捕までの経緯です。翌17日、ルース駐日大使が「きわめて悪質」と謝罪しますが、それ以後はご承知の通りです。 

                      ~~~~~~~~~~~~~

犯罪を犯した米兵に基地に逃げ込まれ、そのまま出国されたために幾度となく苦渋を呑んできた沖縄県警の怒りに満ちた追跡が逮捕につながりました。 

今回も基地内に逃げ込まれてしまえばその時点でジ・エンドでした。

米兵でさえあれば、仮に犯罪を犯しても米軍基地に逃げ込みさえすれば
軍組織の支援を受けられる
裁判で微罪にしてくれる可能性がある
合法的に「転勤」や「出張」という手口で逃亡をさせてくれるかもしれない
被害者は日本政府から慰謝料が支払われて泣き寝入りするしかない

そして日本国の法の裁きの手は届かない。

なんという悪しき「因習」ですか!21世紀の今でもわが国は、明治開化期と同様の不平等条約の下にあるというわけです。 

問題は言うまでもなく、日米地位協定の不平等性にあります。しかもその裏の密教とでもいうべき日米「密約」にあります。 

米兵は事実上、日本国内にいながら日本国の法令は適用されず、外交官並みの治外法権・特権が保証されています。 

これは国内犯罪でありながら、日本駐留米兵に関しては日本側が一次裁判権を放棄し、米側がそれを保有しているからです。

日米地位協定第17条5(C)により、日本で裁判を受けるべき被疑者であっても、アメリカが先にその身柄を拘束した場合は、身柄が引き渡されるのは検察により起訴がなされた後である。
このため、起訴までの間に充分な捜査ができない。更には重罪にも拘らず身内の行為として不当に寛大な処分がされる恐れさえある
。」(Wikipedia)
 

これはわが国が、1次裁判権を放棄した日米密約(『行政協定第一七条を改正する一九五三年九月二十九日の議定書第三項・第五項)が基本にあります。 

新原昭治氏の米国国立公文書館での2008年の調査により、1953年、日本政府は在日米軍将兵の関与する刑事事件について、「重要な案件以外、また日本有事に際しては全面的に、日本側は裁判権を放棄する」とする密約に合意した文書が発見されています。(資料1参照) 

この秘密議定書の締結後5年間に起きた約13000件の在日米軍関連事件の97%について日本側が裁判権を放棄し、日本側が裁判したのはわずか約400件でした。(資料2参照)

法務省刑事局発行の「検察資料」第158号によれば、法務省は全国の地方検察庁にこのような文書通達を出しています。

「(駐留米兵の)実質的に重要と認められる事件のみ裁判権を行使する」、「批判を受ける恐れのある裁判権に関しては不行使ではなく起訴猶予にする。」

なんという陰湿な隠蔽工作でしょうか。これが「法の番人」の言う言葉でしょうか。

世論がうるさそうなものだけは「裁判権を行使」したふりをして、裏口から「起訴猶予」にして逃がしてしまえ、と法務省は検察に命じているわけです。

このような「政治」を司法に介入させるやり方を常道にしていたから検察不祥事が絶えないのです。法務省は恥を知れ!

そしてこのような悪しき「因習」は、密約直後だけてはなく60年後の現代に至るも継続されています。

2001年から20008年までの米兵刑法犯の不起訴率は非常に高いことが明らかになっており、この法務省通達が未だ健在なことが確認できます。

また在日米軍法務官は著書「日本の外国軍隊の地位に関する協定」(2001年)の中で「日本はこの了解事項を忠実に実行してきている」と述べています。

したがって、現行では日本警察は現行犯で逮捕する以外に犯人の身柄を拘束する術がありません。基地内に逃げ込まれた場合、いくら日本警察が逮捕状をとったところで、米軍がまず軍事法廷にかけてからとなります。

だから、今回のケースにおいて沖縄県警は米側より先に被疑者の確保に全力を尽くしたのです。

また日本側の身柄拘束も米側の起訴後となるために、米側が軽い量刑にした場合(大部分そのようですが)その判例を覆すことは非常に困難となります。事実、米側が微罪とした後に急遽国外へ転勤させるケースも多いのです。

私が言うことは大変に簡単なことです。米兵を通常の内国人や外国人が犯罪を犯した場合と同様に逮捕し、取り調べ、起訴し、裁判にかける司法権をわが国が持てと言っているだけです。

私はこのように書いていて、あまりのあたり前さに唖然とするくらいです。開化期のような不平等条約が未だ現存していたとは!

私は米兵たちが特に凶暴でも、米軍基地が「犯罪の温床」だとも考えませんが、このような「因習」が隠然としてある限り、米軍はそのような色眼鏡で見られ続けることを覚悟せねばならないでしょう。

日本政府と米国にお聞きしたい。これは米軍にとっても、いや日米同盟にとっても不幸なことではありませんか?

安全保障問題と米兵犯罪に対する司法上の不平等とは存在する次元が違います。安全保障上の理由があったとしても、わが国が主権の一部である裁判権を放棄していい道理はありません

沖縄マスコミの論調を見ると、オスプレイ配備や普天間問題などの安全保障上の問題と、今回の米兵犯罪を絡めています。

心情的にはよく理解できますが、仮に安全保障問題と日米地位協定の不平等性をひとつにしてしまえば、同じ理由で日米地位協定の不平等には眼をつぶれ、と考えたかつての自民党政府の考えと同じになってしまいます。

これではいつまでたっても日米地位協定の不平等性は改善されないままではありませんか。このふたつの次元の違う問題を一緒にしている限り、基地撤去しない限り日米地位協定の改定はないことになります。

わが国は米国の従属国家ではありません。毅然として言うべきことはいえばいい。改善を要求すべきはすればいいと私は思います。それが日米「同盟」ではありませんか。

もし「米国には守ってもらっているから、日本女性が犯されてもいい。米兵に日本の司法は及ばない」と言うなら、もはや日本の政治家ではありません。アメリカ人になりなさい。

逆に、「米兵犯罪が起きたから、米軍基地を撤去せよ」と言うなら、これも日本の議員のバッチをはずしたほうがいいと思います。

この一見正反対なことを言っているようなふたつの主張は実はメダルの表裏なのですからです。

わが国が米兵犯罪に対して主権国家としての当然の1次裁判権を取り戻すことは、間違いなく米兵犯罪の強い抑止につながります。米兵は今までの甘ったれた法的環境の中では生きられないからです。

今のような日米密約下の中で、いくら夜間外出禁止や綱紀粛清とを命じても無駄です。犯罪を犯したら当該国の法によって罰せられる、ただそれだけを米国は自国の兵に叩き込めばいいのです。

そして我が祖国は、日米密約のような冷戦期の亡霊から一刻も早く自由になるべきです。

最後に改めて、被害に合われた女性にお見舞いを申し上げます。このつらい事件があなたの人生に暗い影を落とさないことを心からお祈りします。

また、日米地位協定に敢然と立ち向かった沖縄県警の皆様に敬意を捧げます。あなた方沖縄県警察官の必死な追跡が沖縄人の誇りとわが国の主権を守ったのです。

参考文献 しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-10-24/2008102401_02_0.html
※参考文献 在日米軍裁判権放棄密約事件 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E6%97%A5%E7%B1%B3%E8%BB%8D%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%A8%A9%E6%94%BE%E6%A3%84%E5%AF%86%E7%B4%84%E4%BA%8B%E4%BB%B6

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資料1 裁判権放棄の密約文発見 53年の日米合同委議事録
共同通信 2008年10月28日

日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、1953年に日米両政府が「重要な案件以外、日本側は裁判権を放棄する」と密約をしていた問題で、日米関係研究者新原昭治氏が23日までに、密約を記した文書を米国立公文書館で見つけた。同日午後、都内で公表した。

 文書は、53年10月28日付の日米合同委刑事裁判権分科委員会の議事録。密約の存在はその後の米側公文書などで知られていた。文書本体が公表されるのは初めて。

 議事録は、同年9月29日の同委員会会議での発言として、日本側代表が「日本にとって実質的に重要ではない案件について、米兵らに対する1次裁判権を行使しない」と日本政府の見解を述べたと記載。日米両代表がこの見解に合意したことになっている。

 密約問題では、日本の法務省が裁判権不行使を指示する通達を全国の地検検事正に出したことが既に判明。一方で、通達を掲載した同省の実務資料は国会図書館が所蔵しているが、現在は閲覧禁止になっている。

■資料2 米兵の裁判権97%を放棄 53年の密約後5年間で
共同通信 2008年5月17日

日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、日米両国政府が1953年に「重要な案件以外、日本側は裁判権を放棄する」との密約に合意し、日本側がその後約5年間に起きた事件の97%の第1次裁判権を放棄していたことが、17日までに機密解除された複数の米側公文書で分かった。

 一連の米側公文書は58年から66年にかけて作成され、米国立公文書館で見つかった。

 このうち58年10月2日のダレス国務長官の在日米大使館あて秘密公電などによると、「日米安全保障条約改定に応じるに際し、日本側から裁判権放棄について意思表示を取り付けるべきだ」と秘密合意を公的にするよう提案した。

 これを受け、2日後にマッカーサー大使が岸首相と会談。大使は「53年の秘密議事録を明らかにせずに慣行として日本は裁判権を放棄してきたし将来も同様だと表明してほしい」と要請したが首相は応じなかった。

 また57年6月に国務省が作成した文書によると、53年以降、日本が1次裁判権を持つ約1万3000件の事件のうち97%の裁判権を放棄。実際に裁判が行われたのは約400件だけだった。

資料3 2米兵暴行事件:出国 間一髪で逮捕
沖縄タイムス10月18日

強姦(ごうかん)致傷容疑で米兵2人が逮捕されたのは、宿泊先のホテルを出る数時間前だった。17日、2人を送検した県警には、身柄確保に安堵(あんど)感が漂った。基地前では抗議集会。台風の強い風雨の中、「基地撤去しかない」と声を上げた。

 逮捕・送検された米兵2人は、女性を暴行した数時間後にはホテルをチェックアウトし、16日のうちにグアムに向けて沖縄を離れる予定だった。被害者の知人の通報や県警の初動捜査が遅れれば、出国を許し捜査が難航する恐れもあった。

 ある県警幹部は「あと数時間遅ければ、飛行機に乗っていたか、基地に逃げ込んでいたか。いずれにしても地位協定に阻まれ、捜査は難航したはずだ」。事件から約3時間後に容疑者を特定できたことに胸をなで下ろした。

 沖縄署に女性の知人から被害を訴える通報が入ったのは、16日午前4時32分ごろ。県警は周辺市町にも緊急配備を敷き、大がかりな聞き込みを開始した。

 「外国人が多く利用するホテルがある」。聞き込みで情報を得た警察官がホテルに行くと、従業員が「よく似た感じの男2人がさっき戻ってきた」と証言、逮捕へ動くきっかけとなった。

 海軍兵2人は上官を含む計7人で宿泊していた。別々の部屋に泊まっていた2人に任意で事情を聴くと、「犯行時間帯はホテルにいた」などと話し、当初はいずれも否認。しかし、被害女性が上等水兵の顔をしっかりと覚えていたことが逮捕の決め手となった。

 3等兵曹の顔は判然としなかったが、署や犯行現場で事情を聴くと、犯行をほのめかす供述をし始めた。その後、3等兵曹は容疑を認める供述を始め、「2人で暴行したのは間違いない」と話すように。「女性に申し訳ない」と反省の弁も述べ始めた。

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規制委員会、新「原子力災害指針」を出す

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原子力規制委員会が、新たな「原子力災害対策指針」を出しました。これは現行の原子力災害特別措置法(原災法)の欠陥を是正するために作られたものです。(欄外資料参照)

さて、この新原子力災害指針が生まれたのは、現行の原災法が、福島第1原発事故でなんの役にも立たなかったことがバレてしまったからです。 

この原災法は1999年の茨城県東海村JOC臨界事故を契機に作られたのですが、それまでなんの災害対策指針がなかったというのもスゴイといえばスゴイのですが、作られたこれもそうとうに役立たずでした。 

なぜなら、肝心な避難基準と指揮権限があいまいだったからです。ここで改めてあの悪夢のようだった2011年3月11日を簡単に検証してみましょう。 

午後4時36分、福島第1原発吉田所長は「緊急事態が起きてい、る」という通告を行いました。これが永久に出されることはないだろうと原子力関係者が思っていた、「15条通告」(緊急事態通告)でした。

同法によれば、これを受けて首相は緊急事態を宣言し、放射能汚染にさらされる可能性がある周辺住民を避難させなければなりませんでした。 

この核事故緊急事態に際して、首相には原子力安全委員会の5人の委員と40人調査委員からなる「緊急技術助言組織」という原子力の専門家ブレーンが付くはずでしたが、これがまともに機能しませんでした。 

というのは、助言委員が震災による交通・通信インフラの麻痺により呼び出しすらできず、それをいいことに「原子力に強い」と自称する菅首相は、自らが電話で呼び寄せた自分と同門の学閥の仲間だけを集めて緊急対応を始めてしまったからです。

それらの人々はかつて菅首相と同じ大学紛争の釜の飯を食った、というだけの理由で招集された素人集団でした。

後に首相は、むしろ得意気にインタビューでこう述べています。このへんの神経がずぶといですね。
私にはそういう経験があるの。だからこのときも(略)個人的つながりで、後に内閣参与になってもらう人から話を聞いたんだ。」
 

どういう「経験」があったのか知りませんが、菅首相とその「個人的つながり」の仲間たちは早々に重大なミスを犯します

原災法では緊急事態が宣告されると、避難を定めた区域を定め、住民を避難させることをせねばなりませんが、首相は緊急事態を宣言しただけで、その避難誘導どころか、避難区域を設定することすらしなかったのです。

理由はただ忘れていただけで、指示を出すのは斑目委員長らが到着してからのことになります。 それも避難圏の規定がなかったために3キロ、10キロ、20キロと猫の眼のように変わっていきます。その都度、周辺住民は転々と避難場所を変えねばなりませんでした。

政府事故調によれば、ある人など逃げた先のほうが、自宅がある地域より高い放射線量だったということすら起きました。瞬時に放射能の拡散状況を予測するための、SPEEDI(緊急時放射能拡散予想システム)の存在が官邸では忘れられていたからです。

このような混乱は首相の個人的資質もさることながら、オフサイトセンターが震災の影響で機能不全になったために、使用できた通信回線が防災車に搭載された衛星電話6台のみで、官邸に現地の状況がまったく伝わらなかったこともあります。 

そしてもうひとつの原因は、事故現場との連絡を保っていた東京電力と官邸の連絡や情報共有が不備だったことです。 

既に東電は事故直後から独自に事故対応を開始していました。しかし原災法では指揮権限が国にあるのか、原発所有者の東電にあるのかがあいまいだったのです。

東電には事故対策本部があり、吉田所長に直接回線て刻々と福島第1原発に対策指示を出していました。それとは別に国は国で、首相を本部長とする対策本部があったのです。

つまり指揮系統が2本存在しているために、後に首相と東電の間に埋めがたい溝を生み出すことになります。 

この構図は原発事故の起きる1年前に発生した、宮崎県口蹄疫事件における県対策本部と政府現地対策本部との軋轢の構図に酷似しています。

猜疑心の強い首相は東電に対して強い不信感を抱き、事故現場へのヘリ視察や本社怒鳴り込み事件といった非常識な事件を引き起こしていくことになり、指揮混乱にいっそうの拍車をかけるようになります。

この状況について細野剛志首相補佐官は、「(官邸では)原発でどんな事象が起きていて、どんな避難区域にすべきなのか、完全に検討できなかったのです」と述べています。(11年6月20日記者会見) 

そのために枝野官房長官は、午後7時45分の記者会見でこのような重大なミス発表をしてしています。
居住者や滞在者は現時点で特別な行動をとる必要がありません。あわてて避難することなく自宅で待機していて下さい。」
 

一方、この官邸の指示の遅れにしびれを切らしたのは地元福島県でした。福島県は緊急事態宣言が発せられたままなんの指示も政府から来ないために、独自に午後8時50分に2キロ圏の住民を避難させ始めています。 

官邸から避難指示が来たのは福島県の独自避難が始まってから30分がたつ午後9時23分でした。

枝野官房長官は、午後9時52分の記者会見で前回の記者会見の内容を忘れたかのように、「すみやかに避難を始めていただきたい」と前言撤回をしました。 

この政府避難勧告があったのは、吉田所長が「15条通告」(緊急事態通告)をした午後4時36分から実に5時間、首相が緊急事態宣言をしてからも2時間50分が経過していました。

避難に際して、事故初動の貴重な5時間もの時間を徒に空費した政府とは一体なんだったのでしょうか

後に分かることですが、この時既に、1号炉は炉心頂部が露出し始めてメルトダウンが始まっていたのです。 この惨憺たる政府の原子力事故対応はもはや犯罪的ですらあります。

新たに原子力災害指針を作り直すのならば、このような2011年3月11日初動の状況を総括せねばなりません。 

さてもっとも重要なことは、避難の判断基準の明確化です。 

IAEA(国際原子力機関)は2種類の避難基準をもっています。
①「原発の事故に応じた避難基準」(EAL)
②「実際に観測された放射線量」(OIL)

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福島事故に対してこの避難基準があれば、吉田所長が15条通告(緊急事態通告)をした時点で「原発の事故に応じた避難基準」(EAL)が自動的に発動されて、30キロ(一部40キロ)圏の避難指定地域の住民は避難を開始します。

そして、SPEEDI(緊急時放射能拡散予想システム)による放射能拡散状況の観測結果を基にして、「実際に観測された放射線量」(OIL)に応じてより広い地域の避難も開始されます。 

福島事故の場合のOILは、福島県、茨城県、宮城県、千葉県,栃木県、群馬県、東京都などの一部なども含む非常に広大な地域となったでしょう。

これらのOIL地域が避難になるのか、あるいは屋内退避となるのか、そもそもSPEEDIを使うのかどうなのかについては、規制委員会は結論を出していませんが、おそらくは30キロ同心円の避難計画のみで終わりそうな気配です。

この避難指示はすべて機械的に判断され、「政治判断や政治家の恣意的な考えが入りこむ余地はなくなる」(規制委員会)ものでなければなりません。 

これをもう一歩進めて、危機対応の指揮権の国への一本化も必要だと思います。いうまでもなく「国への一本化」とは、素人首相への一本化ではなく、政府直轄の原子力事故対応専門家グループに対する一本化のことです。首相は責任をとる覚悟だけあればいいのです。

また、安定ヨウ素剤の投与基準や作業員の被曝線量限度も、すべてが基準に基づいて自動適用されねばなりませんが これに関しても規制委員会の結論は先送りになりました。

これらの問題は、人命にも関わる重大なことなので、規制委員会の原則的対応を望みます。

福島第1原発事故は、専門知識を持たない政治家の恣意的判断が恐ろしい結果をもたらすことを教えました。

一秒を争う原子力事故おいては、政治家から指揮権限を取り上げ、核危機対応専門官による危機管理対応が必要です。

そしてそれを可能とするためには、事故発生と同時に自動的に立ち上がる危機管理マニュアル(指針)が必須なのです。

安全監視・規制機関、緊急時における国直轄の核危機対応専門官による一元的指揮、そしてこの危機管理基準の三つが一体となって核事故を防がねばなりません

規制委員会は、政治的圧力をはねのけて危機管理基準において一切の妥協を排して進むべきです。それこそが規制委員会の存在理由なはずですから。

■※参考文献。「メルトダウン」大鹿靖明 講談社。 福島事故とその後についての必読の一冊です。

■※肩書はすべて当時のものです。           

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/6-fd4b.html
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       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-7217.html
       htmlhttp://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-7d6f.html 
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/6-fd4b.html 

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■資料1 新原子力災害指針の骨子 

①原子力災害対策重点地域を原発の半径30キロに拡大する。
②5キロ圏内は深刻な被曝を避けるために直ちに避難。
③30キロ圏内は被曝の影響を低減するために、避難などに備える。
④避難の判断は、放射線量の実測値ち基づく。
⑤甲状腺被曝を防ぐための安定ヨウ素剤の配布方法は今後検討する
 

■資料2 原子力規制委の指針(詳報)
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/tohokujisin/nucerror/shisin/list/20121101-5.html

■資料3 規制委 原発事故指針決定 避難基準示さず 線量値など積み残し
東京新聞10月31日
 

原子力規制委員会(田中俊一委員長)は三十一日午前、原発の重大事故に備えた自治体の防災計画の基準となる「原子力災害対策指針」を決めた。重点的に防災対策を進める区域を、原発の半径八~十キロ圏から三十キロ圏に拡大するなど、内容は二十四日に公表した素案とほぼ同じ。検討中の項目も多く、具体的な内容の詰めが急務になる。 

 指針は、東京電力福島第一原発事故の反省を踏まえて策定。重点区域は現行の十五道府県四十五市町村から二十一道府県百三十五市町村に拡大。対象人口は七十二万人から四百八十万人に増える。三十キロ圏に入る自治体は、指針に基づき、来年三月末までに防災計画をつくる。 

 指針では、原発から半径五キロ圏は炉心溶融など重大事故発生で直ちに避難する予防的防護区域(PAZ)とし、その外側の三十キロ圏の緊急時防護区域(UPZ)は放射線量のモニタリング体制など対策を進め、線量に応じて避難や屋内退避をする。五~三十キロ圏には、放射線防護や食料備蓄を強化した対策拠点のオフサイトセンター(OFC)を整備する。 

 積み残しとなっている項目には、住民避難の判断基準になる放射線量の数値や、放射性物質の拡散状況を国と自治体がどう役割分担してモニタリングするかなど。自治体からは早期に決定を求めているが、「規制委で検討する」との表現にとどまっている。 

 事故発生当初、住民の内部被ばくを抑える安定ヨウ素剤をどのタイミングで服用してもらうかは、事故の状況に応じて規制委が判断し、自治体から医療機関に伝達する。 

 また、重点区域が三十キロ圏に広がり、避難ルートや避難場所、住民の移動手段の確保などでは、自治体の枠を越えた広域の連携が求められる。これについては「国が積極的・主体的に関与し、調整を行うことが必要」とされ、具体的な検討はこれから。 

 避難の判断基準と医療体制整備の要件は年内にまとめ、他は三月末までに結論を出す予定。三十キロ圏の自治体は、指針のほか、二十四日に公表(うち六つの原発で訂正)された原発ごとの放射性物質の拡散予測マップも参考にした防災計画作りが求められる。ただし、自治体からは「どう使えばいいのか」との声も出ている。

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「原発推進」フィンランドの覚悟と知恵

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フィンランドはユニークな原発政策を持っている国です。

グスタフソン・フィンランド駐日大使はこう語っています。
多くのフィンランド人は原発推進派ではない。論理的に導き出された選択であって、情熱やイデオロギーの問題ではない。」(「ニューズウィーク」10月30日号)

グスタフソン大使はフィンランドが、日本の原発護持派によってまるで無原則な原発推進派のように喧伝されていることに不満なようです。

確かにフィンランドは原子力の割合が29.6%あり(※日本23.9%)、新規に3基の建設をしようとしていますが、それが可能となった秘密は「オンカロ」という最終処分地を確保しているからです。

そして最終処分場のキャパシティに合わせて原発を建設する政策をとっています。

つまりエネルギー需要という入り口から発想するのではなく、逆に核廃棄物の出口問題を解決してから新規建設計画を立てるという逆転の発想です。

わが国のように原発を建設し始めた時に、最終処分場はなんとかなるさで始めたツケが今になって抜き差しならないことになった無責任ぶりとは大きく違います。

わが国は最終処分場というバックエンド問題を解決しない限り、実は原発ゼロも推進もないのです。※

民主党政権が原発ゼロといいながら、再処理にこだわるのは使用済み燃料のリサイクル工程がなくなると核廃棄物の最終処分問題がクローズアップされてしまうからです。

「オンカロ」とはフィンランド語で「隠された場所」を意味し、この地下埋却施設の地層はなんと18億年変動していないそうです。この安定した地層を500m掘って二重のキャスクに入れて保管する計画です。(扉写真参照)

「オンカロ」は2020年に操業を始め、2100年代にいっぱいになる予定で、いっぱいになったらコンクリートで蓋をしてしまいます。

実はこの「オンカロ」が人類最初の完全な核廃棄物の最終処理施設なのですが、90年先なのでこの結果を見届けられる人間は残念ながらいません。

フインランドは既存の4基に加えて、新たに3基の原発を作る予定ですが、、この「オンカロ」に核廃棄物を2100年代まで埋設し、その間に再生可能エネルギーを代替エネルギーとして使えるエネルギー源にする計画です。

つまり、フィンランドはこの最終処分場の容量に合わせて原発を作っているわけで、何のあてもないまま54基も作ってしまったわが国は爪のアカを煎じて飲みなさい。

フィンランドは、今でも世論調査をすれば原発反対が賛成を上回るそうですが、この最終処分場の地層が安定しており、国民にそれを丁寧に説明してきているために大きな反対運動は起きなかったそうです。

ところで、フィンラド人が原子力発電を維持し続ける理由はなんでしょうか。

まず第1に、フィンランド人が原発のリスクより地球温暖化によるリスクが大きいと考えたからです。フィンランドは寒帯に属する国で、気候変動が起きた場合大きな破局を迎える可能性があります。

また北極圏にあるために化石燃料の増大によるオゾン層破壊が、そのまま紫外線の増大とつながってしまうことを恐れています。

新規原発3基を建設することによって国内のCO2の3分の1にあたる3000万トンを削減する計画です。そして2020年までに石炭火力発電所をゼロにする予定です。

第2に、80年代にエネルギー供給の多くをロシアに依存している構造を解消して、エネルギーの安全保障を確立したこともあります。

ロシアは湾ひとつ隔てた巨大な燐国で、常に侵略を受けてきた苦い過去があります。ソ連の侵略を受けた1939年の「冬戦争」は今もフインランド人の魂の中に生き続けています。※

ですから、フインランドは「独立」の二字にかけてかつての支配民族ロシアにエネルギーを依存する選択はありえなかったのです。※

電力供給をロシアに握られてしまっていては、フィンランドの独立にも関わります。同様の地政学的位置にあるバルト三国や東欧圏も、ロシアの異民族支配を肌身で知っているだけに安易に原発からの離脱の道を選べないのです。

そして第3に、フィンランドは国際競争力世界順位1位2位を争う工業国です。その彼らにとって、エネルギー・インフラは教育制度や金融制度と並んで重要な国際競争力の源泉です。

小国でありながら技術立国であり続けるためには原発は必要悪であり、その維持のためには「オンカロ」が許容するだけの放射性廃棄物は認めていこう、そう彼らは考えたわけです。

私はドイツの短絡的な脱原発政策より、このようなしたたかなフィンランドの「推進」策のほうを高く評価します。

フィンランドが「オンカロ」の用地選定に乗り出したのは原発稼働と同時期の83年でした。そしてチェルノブイリ以後初めて原発の新設を国会が認めたのもフィンランドが最初でした。

第4に、かつて使用済み核燃料をロシア(当時ソ連)に渡したところ核兵器に転用されたという苦い歴史もあるからです。

そのことがあってフィンランド人は放射性廃棄物を外に持ち出すくらいなら,、国内で最大限安全な場所に保管しようとその時に決意したのです。

しっかりとした核廃棄物の最終処分場を定め、その容量に合わせた原発を容認し、厳重な安全措置を施す、そして国民にそれを周知させていく、このようなフィンランドの原子力政策はわが国にとって学ぶべきことが沢山ありそうです。

■参考文献
「ニューズウィーク」2012年10月30日
「フィンランドの原子力発電開発と原子力政策」 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=14-05-05-02

■※バックエンド. 原子力発電所で、燃料製造・発電所建設・運転などの「フロントエンド事業」に対し、原子炉の廃炉費用や放射性廃棄物の処理、核燃料サイクルにかかわる  事業を「バックエンド事業」と呼んでいます。
参考 http://www.nuketext.org/yasui_backend.html

■※初期の原発であるロビーサ原発は旧ソ連の技術で作られており、使用済み燃料を旧ソ連に返還したところ核兵器に転用されました。

■※冬戦争・第2次世界大戦の勃発から3ヶ月目にあたる1939年11月30日に、旧ソ連がフィンランドに不可侵条約を破って侵入した戦争。フィンランドはこの侵略に英雄的に抵抗し、多くの犠牲を出しながらも、独立を守りました。しかし講和の代償は大きく、産業の中心地であるカレリアの割譲やハンコ半島のソ連軍駐留などの譲歩を支払わざるをえませんでした。
Wikipedia 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC%E6%88%A6%E4%BA%89

■写真 フィンランド・オンカロ核処分場。「ニューズウィーク」10月30日号による。

■ 明日明後日は定休日です。月曜日のお越しをお待ちしております。

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「ドイツ人の不安」はヨーロッパの中でどのように見られているのか

Dsc_2007
よく「脱原発は世界の流れ」と安易に言う人がいますが、私はそのような台詞を聞くたびに内心違うだろうと思っています。 

去年、ドイツが脱原発政策に転換するまでに、ヨーロッパでは三つの脱原発のケースがありました。共に1980年に始まったスウェーデンとスイス、そして2002年のドイツ第1次脱原発政策です。 

これはヨーロッパ脱原発第1波とでもいうべき波で、チェルノブイリ以前のスリーマイル事故をきっかけとして生まれています。 

前二者の「脱原発」政策は、厳密には「原発フェードアウト政策」とでも言うべきもので、新規の原発の建設を中止し、稼働年限が来た原発は廃炉にしていこうとするものです。

まぁ、日本流に言えば「減原発」、あるいは「原発随時停止」といったところです。ですから、実際には稼働中の原発の運転は停止していませんあくまで寿命がきた原発のみを止めるということです。 

これならばわが国でも大いに可能でしょう。わが国でも私の計算で16基が30年から40年稼働しており、とうに減価償却しているはずです。

これと福島第1原発と同型の欠陥機マークⅠ型11基と合わせて26基は即時停止すべきです。ただし、廃炉処分問題は残り続けますが。(欄外資料1参照) 

このような二国の「減原発」政策は現実主義的な政策で、むしろこれを脱原発の範疇に入れていいのかという疑問が残るほどです。

しかし両国とも、いきなりすべての原発を止めるとどのような経済的社会的影響が出るのかシミュレーションし尽くしてからモラトリアム期間に入っています。 

そして随時停止までの期間も10年と長くとって、その凍結期間(モラトリアム)に代替方法を論議しようとしました。 

そしてその10年の期間が過ぎてどうなったでしょうか。

スウェーデンでは2006年に原発モラトリアムを撤回して、脱「脱原発」に戻りました。スイスでは1999年にモラトリアムが失効し、2005年には新規の原発建設が始まっています 

私がちょと意外に思ったのはスウェーデンですね。ヨーロッパ最大級の水力発電能力を持っている電力純輸出国じ、しかもヨーロッパには国際的系統送電網という安全ベルトまてあるわけですから、いかに脱原発が難しい選択だったのか分かります。 

ですから、福島事故まではヨーロッパは「脱原発」の流れがいったん止まって、原発が徐々に勢いを増す流れだったとみてよいでしょう。大西洋を超えて米国もオバマ政権が明確に原発の復活を宣言しました。

これは地球温暖化対策のエネルギーの決め手が原子力だと考えられていたからです。このあたりの事情はわが国とまったく同様です。 

そして福島事故が起きたわけですが、この「逆流」の流れに変化が出たのでしょうか?結論からいえは出ませんでした。ただし、新たにイタリアが一国が加わりました。

さて、福島事故時のヨーロッパ諸国の反応を見ると、後の政策決定をそのまま象徴しています 

後にドイツに追随して脱原発に転換したイタリアでは、「渋谷では放射能で死んだ死体が山積みになっている」という見てきたようなトンデモ報道で煽りまくりました。

またドイツも、TDZという放送局がわざわざ福島県まで来て「人類史上最悪の惨事」の歪曲報道をして現地の人たちからひんしゅくを買っています。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-0a22.html 

どちらの国にも共通なのは東日本大震災の報道より、福島原発事故報道のほうが圧倒的に多く、震災に立ち向かう被災者への共感が乏しい反面、禍々しい煽り報道が主体だったことです。 

これに対して英仏は被災者にの勇気に対する賛辞と冷静な事故報道をしています。

日本人の中にも英仏人の落ち着きぶりを見て、かえってパニックになっている自分が恥ずかしくなったという人もいるほどです。

一方ドイツ人の在留者のほとんどは放射能に恐怖して慌てて帰国したそうで、日本人妻を残したまま「残留放射能」を恐れていまだに再来日しない人もいるそうです。

ちなみに「ニューズ・ウィーク」(10月30日)によれば、今でもドイツでは福島事故で日本人が数千人死んだということをまともに信じている人が大勢いるそうです(苦笑)。

英米仏は在日の民間人に退避勧告は出しませんでした。(※)この点も対照的です。 

そして事故後、この二国は脱原発に急ハンドルを切りました。特にドイツは2002年に継ぐ2回目の脱原発路線なだけに、ヨーロッパ諸国は驚きの眼で迎えました。
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-fdbd.html 

この二国は、福島事故後に脱原発に走りましたが、かつて脱原発を唱えたスウェーデンは今回は同調しませんでした。※  

手放しでドイツを絶賛したのは、世界でもわが国のマスコミくらいなものです。ヨーロッパでは、またぞろドイツ人がかつてのナチスがやったような足並みを揃えておかしな方向に走り始めたと受け取られました。 

「脱原発を決めたドイツの挑戦」の著者で、NHK特派員だった熊谷徹氏はこのようなドイツ人のメンタリティが「ジャーマン・アングスト」(ドイツ人の不安)と呼ばれていることを紹介しています。 

ドイツ人は環境保護や自然愛好の精神が高いことで有名ですが、それが故に環境や健康を保護することに過度に敏感という側面も持っています。 

熊谷氏によれば、ドイツ人は子供の頃から新しい技術に対する猜疑心を持つように育てられるそうです。ですから、「これは自分の健康や自然に悪影響をもたらさないだろうか」と考える心理構造を持つのだそうです。 

これが嵩じると、「リスクを最小限にするために極端な行動に走りがちである」ことになります。 かつては世界不況、そして今は放射能というわけです。

他のヨーロッパ人が比較衡量的(※)に原発のリスクと原発を完全に失くしてしまった場合のリスクを比較して、いくつもの選択肢を考えて決定するのに対して、ドイツ人は原発のリスクが「不明なほど大きい」として絶対的に廃棄するしかないとする考え方に突っ走ってしまいます。 

つまり、「子供の命と未来を守る」という普遍的な命題を立てた場合、ドイツ人は「完全な原子力の廃絶」となりますが、他のヨーロッパの国民の多くは「原子力の危険性」と「後の世代を貧しくしない方法」を天秤にかけながら国の進路を決めているわけです。 

わが国では今のところドイツ流脱原発政策しか報道されず、「脱原発=ドイツに学べ」といった風潮が支配的です。

私はこれをミスリードだと考えて、ドイツのFITの現状やフランスの原子力安全政策を具体的に見てきました。

原子力からの離脱といってもいくつもの道があり、ドイツの政策はヨーロッパにおいてもイタリア、スイス以外に追随する国がないのです。

※在日米軍は家族の一部に帰国措置をとりました。
※スイスは脱原発政策に復帰しました。
比較衡量・対象を比較し、その軽重を判断し公平な評価・決断をすること。リスク評価はこのリスクの軽重のバランスを考えて決定される。

■写真 秋の霞ヶ浦大橋を遠望する。

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 
30年から40年以上稼働している原発

敦賀1・・・41年
美浜1・・・40
美浜2・・・38
島根1・・・37(markⅠ型)
高浜1・・・36
玄海1・・・35
高浜2・・・35
美浜3・・・34
伊方1・・・33
大飯1・・・33
福島1-5・・32(markⅠ型)
東海2・・・32
福島1-6・・・31
大飯2・・・31
玄海2・・・30
計  ・・・15基・・・①

福島第1原発と同型の欠陥機であるmarkⅠ型

敦賀1
島根1
福島1-5
女川1
女川2
女川3
島根2
浜岡3
浜岡4
志賀1
東通1
計   ・・・11基・・・②

①+②=26基(ただし重複2基で24基)

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