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大飯原発・なぜこんなに「破砕帯の巣」に原発を作ったのか

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日本で稼働している数少ない原発である大飯原発の直下で破砕帯(※)らしきものが見つかり、原子力規制委員会が地質の専門家による会合を招集しました。(資料1参照)

「渡辺満久・東洋大教授は「断層は原子炉建屋の方向に延び、局所的なずれではない」として、地滑り説を否定した。これに対し、岡田篤正・立命館大教授は「地層のずれは、地滑りでも起きる。周辺を幅広く調査する必要があり、先走るのは危険」と反論した。重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員は「地質や地滑りの専門家を入れて判断すべきだ」と提案し、調査が長期化する可能性も出てきた。」
(資料1 毎日新聞11月5日)

「焦点は、台場浜周辺の地層のずれが、(1)活断層か、地震活動に関係ない地滑りか(2)いつ動いたかの2点」(同)

渡辺教授の意見のようにF6破砕帯が活断層であるならば、まさに原発施設の下を横断しているわけで、その地表にある海からの緊急取水路が非常時に使用できなくなる可能性が大です。

取水路が活断層のズレによって破壊された場合、非常用冷却水の供給が困難になることになり、その場合は冷却系の崩壊という最悪の事態になりかねません。(下図TBS11月5日6時ニュースより)

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「活断層は、過去に繰り返し動いた痕跡があり、今後も活動する恐れがあるものを指す。揺れは、活断層の長さに比例して強くなるため、この地層のずれがどこまで延長しているかも重要なポイントになる。」(同)

下図は上図とは反対の北側からF6破砕帯を見たものですが、隣接する湾の下にまでもぐり込んで伸びているのがわかります。F6破砕帯が活断層だとするならば、非常に長いために、揺れも強いことが予想されます。
(下図 NHKニュース11月6日朝6時ニュースより)

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下図は大飯原発敷地内を通る破砕帯です。赤線が大飯原発の敷地内には短い破砕帯だけで8本から9本あり、一部は原子炉直下にも存在しているのが分かります。
(下図 TBS11月5日6時ニュースより)

渡辺教授がいみじくも、「なぜこんなに破砕帯の巣のような場所に原発を作ったのか理解に苦しむ」と述べているように、まさに「巣」のように四方から破砕帯が原子炉直下にまで延びています。

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下図は規制委員会が公表したF6破砕帯の断面写真です。右の地層が左2ツの地層と完全にズレているのが見えます。

この地層のずれが発見されたのは、9・5万年前とされる火山灰の地層の下にあるために、調査団では「12・5万年前以降」との見解で一致しました。

すると、原発施設の耐震基準である「耐震設計審査指針」の「12万〜13万年前より後に動いた断層を活断層」とする指針と一致したことになります。

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「先走って(活断層との)結論を出すのは危険」だとする意見もあるようですが、「活断層かはっきりしないが否定できない」ならば、なおさらその調査のために一度稼働を停止して調査する以外方法はないのではないでしょうか。

また、関西電力が実にずさんな地層地調査しかしていないことが明らかになってきています。そもそも民間住宅を建てるにしてもボーリング調査をするのに、これだけの破砕帯がある地点になにもわざわざ原発を建てる必要があるのでしょうか。

前々から指摘されてきたように、関西電力は初めから満足な地質調査をしていなかったのではないか、という疑惑が浮上してきました。

まともな地層調査を怠ったことは、「関電の想定とは別の場所に破砕帯があった」(渡辺満久・東洋大教授)ことからも明らかで、関西電力が10月31日に提出した中間報告書自体の真偽にも曇りが出はじめています。

このような信憑性すら疑われる関西電力の調査に基づいて、拙速な再稼働を認めてしまった政府の決定も問われるでしょう。

再稼働の審査会は、「委員会にいるのは活断層の専門外である地震・地質研究者のみで、変動地形学の研究者が加わってこなかった」(渡辺教授)審査で「安全を確認」しており、国の審査体制の問題点まであぶり出したことになりました。 (資料3参照)

しかし原子力規制委員会は、現行の法体系の中では稼働停止を命じることはできません。ここが問題なのだ、と私は繰り返し書いてきました。

原子力安全監視機関の決定はいかなる政府の決定をも超越せねばなりません。原子炉の稼働の是非は政府の政治的都合によるのではなく、安全監視機関の判断のみでなければならないのです。

そのために、原子力安全監視機関である規制委員会は「政府からの独立性」が保証されていなければなりません。

規制委員会はいかなる政府機関の下にも置いてはならず、完全に独立した会計検査院のような独立国家機関でなければなりません。

発足当初、野田首相は、規制委員会の組織的独立性を骨抜きにしたまま、「再稼働は規制委員会が判断します」という言葉自体は正しいが内実と誠意のない言葉で、再稼働の責任だけを規制委員会に押しつけようとしました。(※)

規制委員会がこの時点で「再稼働の判断は政府がするべきだ」と言ったのは逆説的に筋が通っています。

安全でないと判断すればただちに原子炉の停止命令が出せるような強い法的権限を与えない、組織的独立性を保証しない、事務局(規制庁)には経産省資源エネ局の官僚を大量に突っ込んでくる、これで責任ある原子力安全・監視ができるはずもないではないですか。

たしかに現行法では、ここで規制委員会が大飯原発を停止させることは法的に不可能です。それは現行法では「急迫の事態」と認められないと停止できないからです。

「急迫」の規定には、核テロ、事故の切迫した危険性などという福島事故以前ののどかな規定が想定されています。今回の大飯のような原子炉直下の活断層の恐れという状況は想定されていません。

この法改正には来年7月まで待たねばなりません。そこまで待っていられないから、国民はイライラしながら事態の推移を見守っているのです。

つまり、法が遅れているのであって、規制委員会は大飯原発をいったん止めて調査をするためには、「超法規的」に対応するしかありません。

それには世論を味方にすることです。規制委員会が、断固とした「停止要請」を法的根拠があろうとなかろうと関西電力に「命じる」ことしかありません。

それが法的にはただの「お願い」であっても、世論の後押しがあれば関西電力は停止するしかないと悟るでしょう。

こその意味で、この大飯原発F6破砕帯の活断層判定は原子力規制委員会が真の安全監視機関なのか、それとも政府の意のままに動かすことのできる旧来の安全・保安院のような操り人形なのかを分ける試金石となります。

規制委員会田中俊一委員長が「(活断層の可能性について)クロや濃いグレーなら運転停止を求める」とした言葉に嘘偽りがないか、試される時です。(資料4 毎日新聞11月2日)

嘘つきは首相だけでたくさんです。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■※破砕帯 はさいたいcrush zone

断層運動により,地層あるいは岩石が粉々に砕かれた部分が一定の幅をもち,一定の方向に延びている場合,その部分を破砕帯という。幅数cmの場合から数百mの場合まである。大規模な断層には大規模な破砕帯を伴う場合が多く,このため,何々断層といわず何々破砕帯ということもある(たとえば,棚倉破砕帯やメンドシノ破砕帯など)。破砕帯の岩石は郷土が低いため,地滑りの原因となることがある(これを破砕帯地すべりと呼ぶ)。
(世界大百科事典 第2版)

■※規制委員会の組織的独立性についての関連記事
「原発の番人」・日仏の本質的違い 独立性が保障されねば安全監視機関とは言えない

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-7d6f.html

■資料1 福井・大飯原発:現地再調査の必要も 運転継続可否見えず
毎日新聞11月5日

「先走って(活断層との)結論を出すのは危険」「明らかに活断層。すぐ原発を止めて調べるべきだ」。関西電力大飯原発の活断層問題に関する4日の原子力規制委員会の会合では、活断層かどうかの判断をめぐり、調査団メンバーの見解は分かれ、現地の再調査を求める声が続出した。7日に再び会合を開くが、意見が集約されるのは難しく、運転継続の可否は見えない。

 原発周辺は建設時の開発で本来の地層がほぼ存在せず、施設もあるため掘削などの調査が困難だ。このため関電は、原発の北側約200メートルにある「台場浜」付近に深さ約5メートルの溝(トレンチ)を掘り、新たな断層を公開。2日に島崎邦彦委員長代理と、有識者4人が現地調査した。焦点は、台場浜周辺の地層のずれが、(1)活断層か、地震活動に関係ない地滑りか(2)いつ動いたか−−の2点だ。

 渡辺満久・東洋大教授は「断層は原子炉建屋の方向に延び、局所的なずれではない」として、地滑り説を否定した。これに対し、岡田篤正・立命館大教授は「地層のずれは、地滑りでも起きる。周辺を幅広く調査する必要があり、先走るのは危険」と反論した。重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員は「地質や地滑りの専門家を入れて判断すべきだ」と提案し、調査が長期化する可能性も出てきた。

 一方、地層のずれは、9・5万年前とされる火山灰を含む地層下にあり、年代の分かっている周辺地層との関係から、「12・5万年前以降」との見解で一致した。原発施設の耐震基準を定めた「耐震設計審査指針」では、12万〜13万年前より後に動いた断層を活断層としており、年代的には一致する。規制委は数十万年前以降への拡大を検討しており、他原発の再稼働判断へも影響する恐れがある。

 活断層は、過去に繰り返し動いた痕跡があり、今後も活動する恐れがあるものを指す。揺れは、活断層の長さに比例して強くなるため、この地層のずれがどこまで延長しているかも重要なポイントになる。

 岡田教授は「大勢の人に囲まれ、冷静に判断できない。情報公開も結構だが、数時間で結論を出すのは無理」と訴えた。

 ◇運転停止に法的な障壁

 規制委の田中俊一委員長は「クロや濃いグレーなら運転停止を求める」との見解を示し、大飯原発の断層が活断層と認定されれば、運転停止を指示する。

しかし、規制委が電力会社に運転停止などを求める法的根拠はなく、超法規的な「行政指導」に頼らざるを得ない。昨年5月、東海地震の発生が懸念される中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)で、菅直人首相(当時)が運転停止を要請したのも、これに該当する。

 ただし、これを発動した場合、運転継続を求める電力会社から訴訟を起こされる可能性がある。活断層と科学的に認定されても、法的なハードルが控えている。

 ◇「しっかり説明」 次回会合で関電

 関電は4日、「引き続き大飯原発敷地内破砕帯の調査を着実に実施するとともに、審査にあたっては、真摯(しんし)に対応してまいりたい。次回(11月7日)の会合において、当社の考えをしっかりと説明してまいりたい」とのコメントを発表した。

■資料2 大飯原発 破砕帯の再調査も「活断層否定できぬ」
毎日新聞 2012年11月02日

関西電力大飯原発(福井県)の敷地内の断層(破砕帯)が活断層の疑いがあると指摘されている問題で、原子力規制委員会は2日、初の現地調査を終えた。島崎邦彦委員長代理(前地震予知連絡会会長)は調査後、報道陣に「必要なら再調査も可能性の一つ」と語り、追加調査を示唆した。4日に東京都内で開く会合で結果を評価する。

 規制委が現地で断層を調査するのは初めて。田中俊一委員長は「(活断層の可能性について)クロや濃いグレーなら運転停止を求める」との見解を示している。同原発は全国で唯一稼働しているが、活断層と判断すれば関電に運転停止を求める。

 島崎氏と外部専門家4人による調査団はこの日、2、3号機の間をほぼ南北に走る「F−6破砕帯」を調べた。午前中は、敷地北端の「台場浜」付近に関電が掘った深さ約5メートルの溝(トレンチ)=図中のA=に入って、地層の断面を確認。午後は1、2号機北側の山中のトレンチ=同B=で、F−6破砕帯を直接見て確認した。長さを確認したりするため、延長部分と想定される場所=同C=も調べた。このほか、掘削(ボーリング)で取り出した地層の土などもチェックした=同D=。

 台場浜付近のトレンチでは、関電があると想定していた場所にF−6破砕帯がないことが判明。調査団メンバーで、活断層の危険性を早くから指摘していた渡辺満久・東洋大教授は「関電の想定とは別の場所に破砕帯があった」と指摘し、関電が10月31日に提出した中間報告を問題視。そのうえで「活断層かははっきりしないが、否定できない」と述べた。

 島崎氏は2日の会見で、「一番大事なのは大飯原発の安全性。その基本に立ち返って議論する。日曜日(4日)に私の判断を伝える」と語った。

■資料3 大飯原発の破砕帯、総点検を 渡辺教授(東洋大)が講演 
福井新聞 
2012年6月21日

関西電力大飯原発の敷地内を通る破砕帯が活断層である可能性を指摘している渡辺満久東洋大教授(変動地形学)が20日、福井市の福井県生活学習館で講演した。同原発周辺の破砕帯を点検する必要があると指摘。原子炉直下に活断層が見つかった場合は「土地のずれによる被害が避けられない。建設地としての根本的な欠陥であり、廃炉や移転の決断をすべきだ」と述べた。

 市民団体のサヨナラ原発福井ネットワークが主催し、県内を中心に約40人が訪れた。

 渡辺教授が着目するのは、大飯2号機と3号機の間の地下を通る「F6」と呼ばれる破砕帯。岩盤と上部の地層が同様にずれた形跡があり、破砕面に粘土が付着している点から「典型的な活断層の構造だ」とし、国に地質の調査を求めた。調査に必要な期間については「数日で十分やれる」とも話した。

 原子炉直下も含めた他の破砕帯に関しても早急に確認する必要があると指摘。土地のずれにより、耐震性とは無関係に被害が生じる恐れがあるとし「建屋には相当大きなダメージがあり、配管などが無事ですまないことが推定できる」とした。

 政府の再稼働の決定に対しては「最高レベルで安全性を判断したとは思えない」と強調。これまでの国の審査体制について「委員会にいるのは活断層の専門外である地震・地質研究者のみで、変動地形学の研究者が加わってこなかった」と問題点を挙げた。

■資料4 大飯断層 規制委が調査
東京新聞 2012年11月2日

関西電力大飯原発(福井県おおい町)の敷地内にある「F-6断層」(破砕帯)が活断層かどうかを判断する原子力規制委員会の調査チームが二日午前、現地調査を始めた。九月に発足した規制委による初の調査で、規制委の島崎邦彦委員長代理ら五人は北側の試掘溝(トレンチ)の中に入り、地層の壁を削って土や岩を手に取り、様子を確かめた。

 調査チームは時折強い雨が降る中、調査に踏み切った。断層が露出している北側の海岸「台場浜」周辺やほかの溝、掘削(ボーリング)調査をした際に掘り出された土を見て、断層が動く可能性を判断する。

 現地調査はこの日で終わり、四日に都内で会合を開き、活断層かどうかを議論する。

 大飯原発では、1、2号機と、国内で唯一再稼働した3、4号機の間をF-6断層が南北に走っている。この断層が近くの活断層と連動し、地表がずれて設備を損傷させる恐れが指摘されている。

 断層上には、海から冷却水を引き込む重要な取水路がある。活断層と判断されれば、原発の耐震設計審査指針に反し、規制委は運転停止を求める見通し。

 調査チームは、島崎氏のほか、活断層の可能性を指摘した渡辺満久・東洋大教授ら地震や地質の学会から推薦された有識者四人の計五人で構成。

 規制委の田中俊一委員長は「重要施設の下に活断層があるという状況は問題がある。クロまたは濃いグレーの場合、原発を止めてもらう判断をする」と明言している。

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