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2012年11月29日 (木)

核のゴミについての日本学術会議のリアルな提案

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今の日本の状況は、初めてまじめに原子力の矛盾と向き合ったという意味で、スリーマイル原発事故の直後の1980年代のヨーロッパに似ているかもしれません。 

スウェーデンはスリーマイル事故の翌年、国を二分して「原発容認」か、「原発反対」かに別れました。 そして全政党を挙げての政争にまで発展し、連日のように両派のデモが繰り返されました。 

もはや冷戦期さながらのイデオロギー論争となって、その決着を国民投票で問われることになります。そして原発反対派が勝利し、30年先の2010年までを原発モラトリアムとすることに決します。 

ただし、その間エネルギー政策の混乱があり、モラトリアム=凍結にもかかわらず6基の原発を作ってしまう迷走もしています。 

また1986年のチェルノブイリ原発事故においても、スウェーデンは国土の一部が被曝し、食品や土壌、家畜に大きな被害を出しました。 

その時、当局が混乱を恐れて情報発信に失敗したことで、かえって混乱が増幅した苦い経験もしています。このことについて、スウェーデン政府の詳細な記録が公開しています。 

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/1-6a51.html
       http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-7f9f.html

このような経験を経て、スウェーデンは原子力問題を具体的に解決することを学びました。 

たとえば、かつての賛成、反対と言った国民対立の段階から、「いかにして核のゴミを処分するのか」、「廃炉においていかに作業員の被曝を軽減するのか」といったよりリアルな問題に深化していったのです。 

残念ですが、我が国はスウェーデンの80年代の状況です。つまり、賛成、反対が具体論に結びつかず、あたかも空中でトンビ同士がお互いの尻を追いかけて旋回し続けるように、いつまでも同じ議論を続けて飽きることがありません。 まるで神学論争です。

たとえば、「原発は安全か否か」など問うまでもありません。危険極まりないに決まっています。「核燃料リサイクルはあったほうがいいか、ないほうがいいか」、同じくないほうがいいに決まっています。 

この調子で再処理工場は、プルトニウムは、と問い続ければ、全部ないほうがいいに決まっています。 

ただし、なくて済むのならば、ですが。問題はいいか悪いかではなく、ではどうしたらいいのか、なのです。

南の島さんもご指摘でした日本学術会議が9月に出した核のゴミ(使用済み核燃料)の処分についての提案は大変に興味深いものでした。(欄外切り抜き参照)

私が知る限り我が国で最初の核のゴミに対する具体案です。 

ではいままで政府がどうしていたのかと言えば、一言で言えば、「処分地を探すふりをしていた」のです。 

認可法人「原子力環境整備機構」(NUMO)という組織が、最終処分地に適した場所を探すというふれこみで、なにか「やっているふり」をしていたのです。 

最終処分地はおろか調査候補地すらないことはわかりきった話で、ある財政難の小さな自治体が村長の独断で応募したところ、発覚して村を上げての大騒ぎになりました。 

ですから、このご大層な名前のナンジャラ機構とやらは、なにも仕事がないのです。しかし、このようなナンジャラ機構があるというだけで、経済産業省は、国会での言い訳が出来たというバカバカしい一席しです。 

原子力村にはこの手のなにもしないが、あるだけで言い訳の材料となるという組織がゴマンとあります。いずれも役人どもの天下り先です。 

このような停滞状況を初めて真摯に突破したのが日本学術会議の提言でした。日本学術会議は、いままでの政府が固執してきた地層埋却処分を、到底受け入れられないものをにしがみついて時間を無駄にしたと批判しました。

その上で、我が国で万年単位で安定した地層を探すのは困難であり、当面は最終処分という迷妄、いや正確に言うなら「言い訳」にしがみついているのではなく、現実を直視して数十年から数百年ていどの「暫定保管」というモラトリアム処分に切り換えるこことを提案しました。

また日本学術会議は、このモラトリアム期間に新たな技術進歩があったり、社会的なコンセンサスが取れた場合、いつでもそれを取り出すことができる方式としました。

そしてもう一点きわめて重要な提言もしています。それは際限なく核のゴミが出続けるのではなく、この暫定保管できる許容量に合わせた核のゴミの排出量を定め、それに合わせて原発発電量を決めるべきであるとしたのです。

いわばフィンランド方式とでもいうのか、入口=発電需要からだけから考えるのではなく、出口=暫定保管量から発電量を決めていくという考え方は大変に合理的です。

ただし、暫定保管であったとしても、プルトニウムの直接埋却は、容器の破損の可能性が高く危険であることには変わりありませんが。

しかし今必要なのは、このような個別具体の問題解決なのです。もう賛成、反対の総論は沢山です。

このように具体的な問題解決をそろそろ始めませんか。私はリアルに原発を廃炉にするための知恵をしぼる時期が来たと思うのですが。

と言っても残念ですが、総選挙まではトンビの空中戦は終わらないでしょうが。

■関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-1f72.html

■参考文献
「ニューズウィーク」2012年10月30日

■写真 朝日の中の船溜まり。出漁した漁船が休んでいます。

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原子力委:高レベル放射性廃棄物処分、暫定保管へ転換提言
毎日新聞 2012年11月27日

 原発から出る高レベル放射性廃棄物の処分方法で、内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)は27日、地下深くに半永久的に埋める最終処分(地層処分)計画を見直し、将来、廃棄物を地下から取り出せる「暫定保管」へ転換を図るよう政府に求める提言案を示した。

 現行計画は、原発の使用済み核燃料を再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物をガラスで固め、30〜50年間地上施設で冷ました後、金属容器に入れて地下300メートル以深の地層に数万年間埋める。

 提言案は、従来の計画を「最新の科学的知見の反映や国民との認識共有の取り組みが不足していた」と分析。その上で、数万年後の地層の安定性を保証する難しさや、将来より安定した処分地や処分方法が見つかる可能性を考慮し、廃棄物を再び取り出して処分計画を後戻りさせることも可能にする暫定保管について「必要性と意義を十分に評価すべきだ」とした。現行でも、坑道をふさぐまでの数十年間は廃棄物の再回収・移送が可能だが、計画に明記されていなかった。

 また「国民との間で、原発で発生する高レベル放射性廃棄物について認識を共有する努力が不十分だった」として、原発の「40年運転制限」「新増設なし」を盛り込んだ政府の革新的エネルギー・環境戦略を踏まえた場合に発生する高レベル放射性廃棄物の総量や処分面積を試算して明示するよう求めた。ただし、廃棄物の発生量をあらかじめ決めて原発や再処理工場の稼働を制限する総量規制には踏み込まなかった。

 地層処分は、原子力発電環境整備機構(NUMO)が02年から処分場の受け入れ自治体を公募したが、06年の高知県東洋町(後に取り下げ)以外に応募がなく文献調査すら未着手。世界でも地層処分を始めた国はない。日本学術会議は今年9月、暫定保管や総量管理を導入するよう原子力委に提言していた。【阿部周一】

 【ことば】高レベル放射性廃棄物

 原発の使用済み核燃料からウランとプルトニウムを分離する再処理を行う際に残る廃液。ガラスで固めた直後は表面温度200度以上、放射線量は浴びると20秒で死ぬ毎時1500シーベルトに達し、天然ウランと同程度の線量に下がるまで数万年かかる。09年時点で1692本のガラス固化体が青森県六ケ所村や茨城県東海村で保管されている。政府は福島第1原発事故前には、20年末に約4万本に増えると見込んでいた。 

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コメント

どちらかというと、昨日の記事に対応するコメントしますがご容赦下さい。

まずIAEAやNPTといった条約に、政党も国民も無知すぎます。
デモやってる原発廃止論者も、極端な核武装論者も両方です。

もうバカかと!
そんな程度の知識で選挙の道具にして恥ずかしくないのか?もう、議席欲しくてノリでやってるだけ。


再処理もせずにドラム缶保管は台湾の杜撰管理で危険性が実証されてますし、
纏めて地下に処分したら、ソ連時代の「ウラル核惨事」なんて可能性があります。
プルトニウムは利用しないなら、ちゃんと分けて外国の査察を受け入れながら特製キャスクで厳重保存するしかないでしょう。

それを「野積み保管」でいいなどとバカな表現をする、某仮想軍事作家もいますが(笑)


いやあ、たまたま先程までテレ朝モーニングバードで、「脱原発は、各党何年まで?」なんて討論特集やってたもので…もうアホかと。

いいですか。
廃棄物処理と原発停止は一体です。
フィンランド式の総量規制ありきは一つの知恵です。
しかし、日本には10万年レベルで安心できる地層などありません。


日本学術会議は我が国の最高の頭脳が集まったものです。
そこが出してきた提案(折衷案)は、重く受け止めて考慮すべきです。

高知県の村で、騒動ありましたね。
あれは、むしろNUMOの足下を見て、どうせ無理なのを解ってて初期地質調査事業の補償金だけかっさらおうという、村長の老獪なアイデアだったと思いますよ。

初期地質調査事業の補償金だけかっさらおうという、村長の老獪なアイデアだったと思いますよ。

>>>>私も、そう思います(村の予算だけもらって、最後は、拒否するつもり、つまり確信犯)電力会社やNNUMOが、そういう段階的に、金をばら撒き、安全性の検証は、後つけで、捏造するような、やりかたは、原子力村らしい、やり口ですね。

なにしろ、プレートが、4枚、ぶつかっている国は、世界広しと言えども、日本以外には、ありませんし、何十万年単位で、考えるとなると、マントル層に対する、地殻の厚みのパーセンテージは、非常に低く、不安定で、深層処理と言っても、ヒマラヤでさえ、昔は、海の底でしたから、とても国内の安定地層は、存在しないと考えるのが、科学的ではないかと思います。

まあ、太陽に、ロケットを使い、プルトニウム等を積んで、命中させるとかですかねえ?

中国、青海省へ行くと、海水が、干上がった塩の層が、相当の厚みで、露天堀状態です。

塩湖なんですが、結晶塩の厚みが、厚いので、塩を掘り出し、運搬する線路が、塩湖の上に、敷設されていて、今でも、使われています。SLですけど。(SLは、今の高速電車の2倍以上の重量があります)

そんな大陸と呼ばれる地層であっても、いつまでも、安定的に、地中保管できるとは、限りません。

日本の科学者も、それほど、馬鹿とは、思えないので、核汚染物を、どう処理すべきか、政治的でなく、科学者としての具体的な智慧を出してほしいと、思ってます。

「暫定保管」の間に高レベル放射性廃棄物の処理方法の研究が必須になるのですが、日本学術会議の提言の中に「長寿命核種の核反応による半減期の短縮技術(核変換技術)」という研究課題が記されています。その技術を応用してプルトニウムも上手く分裂させ、少しは取り扱いやすい物質に変換できないものかと、素人ながら思っています。


私のコメントとは直接関係ありませんが、
「日本学術会議高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」の今田高俊委員長(東京工業大学大学院 社会理工学研究科 教授)のインタビュー記事です。
http://scienceportal.jp/HotTopics/interview/interview81/index.html

原発を推進してきた前政権自民党の責任と言うのは 問われないのでしょうか
福島の事故で 結局 被害を被っているのは国民でありその責任も取れていない電力会社
このようなものが あってはいけない
被害補償もなく 最終処理もあいまい
経済に影響はでるのはまぬがれませんが それにみあった生活を国民がするだけです
原発は ただの負の遺産にしかなりません

それにしても日立金属さんの自己潤滑性工具鋼、SLD-MAGICのトライボロジー特性はインパクトがある。ここは戦時中、国産初のジェット戦闘機のエンジン、ネ-20を海軍航空技術廠が開発しようとして、かじり(凝着、焼付き)に苦しんでいた時にここの安来工場が新合金を開発して、なんとか実用化に成功したとのこと。この技術を復活させたのが今回の高性能工具鋼なのかもしれませんね。

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