• 20250117-013132
  • 20250117-015927
  • As20241225001545_comm
  • 20250115-143858
  • 20250113-081014
  • 20250114-011659
  • 20250113-133232
  • 20250113-134354
  • 20250113-134844
  • 20250113-135719

« 新政権樹立の後に来る米国の巻き返しに備えよ! | トップページ | 使用済み核燃料(核のゴミ)の処分を考えない原発ゼロはありえない »

2012年11月27日 (火)

菅直人という名の災厄

Dsc_2519
福島第1原発事故から1年半たって、優れたノンフィクションが出され始めました。

前にもご紹介したことのある大鹿靖明「メルトダウン」(講談社)、そして新たに門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五◯◯日」(PHP)の一冊が加わりました。 

これらの本は、実に多くの人たちの証言を丹念に採集し、その人たちに「美化」、「自己弁護」、「辻褄合わせ」の機会を与えた上で、その矛盾点を突き合わせて事故の真相に肉薄しています。 

事故そのものの技術的な状況はかなり分かり始めています。技術者や官僚は事実に対しては謙虚なのだと分かります。 彼らは嘘をつく必要がないからです。

むしろ分からないのは、事故対応を命じた側である東電本店内部事情です。彼らが現地とどのようなやりとりをしたのか、どのような会議が開かれ、いかなる命令を下したのかの全貌はすべてがわかったとはいえません。 

また、もう一方の事故対応の当事者であった官邸サイドの情報は、菅直人氏とその取り巻きである枝野幸男、福山哲朗、細野豪志、寺田学各氏らの証言は、政治家としての自己保身の匂いが強く、口裏合わせのようでそのまま信じることはできません。 

特に菅氏の証言などは虚言癖がある人であるかのように、証言内容がその都度微妙に変化し続けています。 

菅氏が自らの最大の武勇伝として自慢する、「東電撤退中止のために本社に怒鳴り込んだ」事件などはその典型的なケースです。

菅氏は東電の緊急対応を長時間に渡って停止させたこの「怒鳴り込み事件」を正当化するために、なにがなんでも清水社長(当時)に「撤退する」と言ったとせねばなりませんでした。 

東電事故調の最終報告書で、2011年3月15日未明の官邸での菅首相との会談において、清水社長(当時)が菅首相に対して「撤退は考えていません」と発言した、との記述があることに対して、菅氏は猛然と反論しています。 

「報告書では、3月15日未明の官邸での私と清水社長の会談で、清水社長が『撤退は考えていません』と発言したとしているが、事実は違っている。私から清水社長に『撤退はあり得ませんよ』といったのに対して清水社長は『はい、わかりました』と答えた。」
(菅氏のブログより)

この東電と菅氏の真逆な証言について、真相はどうであったのか、門田氏はこの本の中でこう書いています。


(※以下、門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五◯◯日」より「阿比留瑠比のブログ」様が起こされたものを参考のため引用させていただきました。ありがとうございました。尚、太字は筆者です。)

                  ~~~~~~~~~

「東京電力は、福島第一原発から撤退するつもりなのか」

菅は、最初から、そう問い質した。だが、清水の答えは、その場にいた全員を絶句させた。「撤退など考えていません

えっーー。撤退するのではないのか。撤退するというから、この夜中に全員が緊急に集まっているのではないのか。誰もが清水を見てそう思っただろう。

「清水さんが席に座って、撤退など考えていませんと言った時、かくっと来ました。そして、なんだ、やっぱりそうか、と思ったんです」

班目(春樹原子力安全委員長)は、そう語る。

「それまで、私は政治家に全員撤退と聞かされているわけです。私も現場がどれぐらいの線量になっているか、知りません。免震棟のフィルターでどれぐらい頑張れるか、わからない。

だけど、その後、さらにすごい現象が起こったというのも聞いていないわけだから、何もできない、何もできないと東電が言っているだけじゃないかというふうに思っていたんです。なんで撤退なんだと。

おかしいなと思って、問い質そうと思ったの。しかし、清水さんが部屋に入ってきて撤退など考えていませんと言ったのには、本当にびっくりしました。かくっと来て、次に、やっぱり撤退ではなかったのか、と思いました。ほんと撤退などありえないことですからね」

班目は、清水の話に耳を傾けた。

「清水さんは、わりと小さい声で、ボソボソっとしゃぺるでしょ。それで撤退など考えていませんと言いましたよ。私は、それまで、撤退などそんなわけないと思いながら、政治家に撤退を認めていいのか、と聞かれていたわけですからね。


政治家からああ言われちゃったら、私も東電が本当に完全撤退を考えていたのかなと、信じましたよ。私自身が(東電から)電話を受けたわけじゃないし、電話を受けた複数の政治家にこう言っていると言われたら、信じますよ。でも、東電が政治家に誤解させるようなことを電話したのは確かですからね。」

                ~~~~~~~~~~~

この部分を読んで私も謎が氷解しました。なんのことはない、バニックによる伝言ゲームのミスです。

官邸で東電から最初に電話をとった海江田万里経産相(当時)が、パニックのあまり東電からの「撤退は考えていない」旨の連絡を取り違えて逆に受け取り、それを枝野官房長官などの菅首相側近に伝えてしまい、逆上の極みにあった菅首相に「東電は撤退する」と言っていると伝えてしまったのです。

バッカじゃないかこの人たち。中坊以下です。原子力事故どころか、小屋のボヤすら消せない人たちです。

誤った聞き取りをもとに、慌てて清水社長を官邸に呼び寄せたところ、社長はあっさりと「撤退など考えていない」とはっきり言いきりました。

普通はこれで、「ああそうでしたか、こちらの勘違いでよかった。お忙しい所お呼び立てして申し訳ない」でお終いですが、ここからが菅氏の菅氏たるゆえんで、社長が面と向かって「撤退しない」と言ってもまだ信じないわけです。

そして鬼のような形相で取り巻きたち一党を引き連れて、なんと危機対応の真っ最中の東電危機管理室に怒鳴り込み、延々とくだらないアジ演説をブツのですから、もはや人外の所業です。

私は東電には冷やかですが、この本を読んで東電が初めて気の毒になりました。

そして事故後も臆することなく、清水氏の発言を正反対にねじ曲げ続けたのです。自己正当化の塊というのも当たらない非常識な人格です。

そして取り巻きの政治家連中も、もはや後戻りができず、菅氏に口裏を合わせ続けたわけです。真相はそんな馬鹿馬鹿しい話です。おおよそ一国の政治中枢がすることではありません。

ではその人外魔神の「怒鳴り込み」を受けた当時の東電本店の情景はどうだったでしょうか。門田氏の本を続けます。(太字は引用者)

                 ~~~~~~~~~~~

「テレビ会議映像には、菅のうしろ姿しか映っていない。だが、声はマイクを通じて響き渡っている。左手を左腰のうしろにあて、向き直ったり、さまざまな方向を見ながら、菅はしゃべり続けた。

言うまでもなく吉田(所長)以下、福島第一原発の最前線で闘う面々にも、表情こそ見えないものの、興奮した菅のようすがわかった。

その現場の人間の胸に次の言葉が突き刺さった。

「撤退したら、東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ!」

逃げる? 誰に対して言ってるんだ。いったい誰が逃げるというのか。この菅の言葉から、福島第一原発の緊対室の空気が変わった。
(なに言ってんだ、こいつ)


これまで生と死をかけてプラントと格闘してきた人間は、言うまでもなく吉田と共に最後まで現場に残ることを心に決めている。その面々に「逃げてみたって逃げきれないぞ」と一国の総理が言い放ったのである。」

            ~~~~~~~~~~~~~~

菅氏の「怒鳴り込み」が、福島第1原発で吉田所長と共に最後まであきらめることなく戦い続けた人々をいかに侮辱したのかがわかって胸が痛くなります。

彼らに励ましどころか、誤解に基づく侮辱と罵声を浴びせた・・・、もはや外道の仕業です。

この後、これだけでも飽き足らず、さすがに取り巻きたちが反対するのを押し切って自衛隊ヘリで福島第1原発にまで「現地強行視察」を行い、1時間もの間現場指揮官・吉田所長の行動を制約するというおまけまで付きます。

もはや「政府原子力事故緊急妨害本部」と看板をかけ替えたほうがいい。

よく大災害時の無能な最高指揮官として菅氏と並んで村山首相が上げられますが、菅氏と並べては気の毒というものです。

村山氏は自分の無能をよく知り尽くしており、執務室でおとなしくしていました。また復興相に小里氏を抜擢して全権を委任するなどの優れた事後対処もしています。

それに対して、この菅直人氏という御仁は、エネルギッシュにひたすら妨害し、ひたすら攪乱し、ひたすら現場の士気を落とし、ひたすら自己正当化の口裏合わせに走ったのですから、なんともかとも・・・。

それでいて自分を「原発事故の英雄」だと本気で思い込み、脱原発運動の旗手を任じているのですからもの凄まじいとしかいいようがありません。

この男が我が国に消費税増税と、TPPを呼び込み、そして原発対処においてこのような常人とは思えないふるまいをしたのでした

まさに「菅直人という災厄」でした。

■関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-6dc8.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-3e3b.html

« 新政権樹立の後に来る米国の巻き返しに備えよ! | トップページ | 使用済み核燃料(核のゴミ)の処分を考えない原発ゼロはありえない »

原子力事故」カテゴリの記事

コメント

学生運動時代は「逃げ足のカンちゃん」
その後はまともに社会人としての生活をせずに、「市民活動家」から国会議員。

「自・社・さ政権」で何故か厚生大臣になり、O-157誤報問題で、不味そうにカイワレ大根を食べるパフォーマンス。

市民感覚なんかあるわけないですよ。
むしろ基本的な人間付き合いや、大局を見るなんて観点などまるで有るわけないでしょう。

そして首相に登りつめたら、昨年の震災。
もう疑心暗鬼で他人に責任を押し付けて暴れるばかりで、自らの人間関係の貧困さを暴露。

さらに、ソフトバンクの政商孫正義にすがって8月まで地位にしがみついた無様さ。


私、菅直人は絶対に許しません。

90年代(93年政変後)に他力ながら有力議員となったあたりで、過去20年の自分の歩んだ道をじっくり思い返したり、優秀なブレインが居れば多少は違ったかも知れませんが…組んだのが無能で超ボンボンの鳩山由紀夫だったという不幸も。

まもなく総選挙です。
みんな、もう騙されるな!

追記:原発や消費税の影になってしまっているTPPは一部を除いて、産業界vs農業という矮小化されたマスコミ報道されていますが、
日本の金融・保険・産業全てに渡って社会構造の大変革だということが、どれだけの有権者が理解されているのでしょうか?

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 新政権樹立の後に来る米国の巻き返しに備えよ! | トップページ | 使用済み核燃料(核のゴミ)の処分を考えない原発ゼロはありえない »