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2012年11月29日 (木)

使用済み核燃料(核のゴミ)の処分を考えない原発ゼロはありえない

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選挙を前に、まるでアメ横のバナナの叩き売りのように、「うちは30年代!」、「なんのうちは10年で!」、「いや、うちなんか即時ゼロだぁ、参ったか!一票入れて!」、と言い争っています。

まったくくだらない。 原発ゼロの「期限」などは、結果としてそれが見えたという性格のものでしかなく、道筋もなにも決まらないうちに目標にしても空疎なだけです。 

放射能が怖くて郷土岩手を見捨てた小沢一郎氏までもが、滋賀県の嘉田知事の「卒原発」と合流を言いだすとなると、もはやお笑いです。いつの間に脱原発は選挙の道具に成り下がったのですか。

最大の問題点は、原発ゼロを言う前に考えねばならないはずの、現在2万8千トンもある行き場のない使用済み核燃料(核のゴミ)の処分方法についての回答を用意して言っていないことです。

これは公党の政権公約です。市民が首相官邸前で叫ぶのとは次元が違うのです。

使用済み核燃料の処理方法はふたとおりあります。

ひとつは、再処理することです。これは青森六ヶ所村の再処理工場で、ウラン酸化物+ウラン・プルトニウム混合酸化物と、高レベル核廃棄物の二つに分離して、後者のプルトニウムを除去した核廃棄物を300メートル地下の地層処分します。 

なにせプルトニウムは、ご承知のように半減期が2万4千年もありますから、これを抜かないと危なくて仕方がないわけでし、体積も3分の1に圧縮できます。 

もうひとつの方法は、そのままプルトニウム+ウランごと埋却してしまう方法です。 

再処理しないと、プルトニウム+ウラン入り核廃棄物を、まんまドラム缶に入れて埋めてしまうことと一緒ですから、誰がどう考えても無責任の極みで、何万年、いや数百年の間に缶が壊れたら一体どうするのか、という方法です

ですから埋却方法については、選択の余地はありません。再処理してプルトニウムを(+ウラン)を除去してやるしか方法しかやりようがないのです。

ただこれで問題は解決されたわけではありません。プルトニウムを抜いて高レベル核廃棄物を再処理すると、立派な核燃料に生まれ変わってしまうことです。これを「MOX燃料」と呼びます。 

これは福島第1原発でも使われていたもので、政府は3.11前にはプルサーマルかMOX原子炉で使うつもりでいました。これを「核燃料サイクル」と呼びます。

というのは、日本は「プルトニウムを核兵器に転用しない」というIAEA(国際原子力機関)の国際公約を持っているからです。

これは原発保有国としては至極まっとうな国際公約で、既に核保有国であることを宣言している国(安全保障常任理事国+印パ)を除いて、原発を持つ場合そこから出るプルトニウムを余分に備蓄することは許されていません。

それを許すと、核兵器に転用することがまかり通ってしまい、核兵器の拡散を招いてしまうからです。

ですから逆にこの核不拡散の立場から言えば、再処理しないで、プルトニウムを持ち続けることなどはとんでもない暴挙だということになります。

だって日本は核兵器を作る意志がある、と暗に宣言するようなものですからね。(※1)

あながち冗談でもなく、「日本維新の会」の石原代表は頻繁に核武装の保持を口にしますが、原発ゼロの橋下「維新の会」と合流した今それを言うとシャレになりません。その理由はもうお分かりですね。

実は、民主党政権が原発ゼロを閣議決定から参考事項にトーンダウンした背景には、米国に出向いてホワイトハウス要人にそれを伝えたところ、「では、日本は国際公約を破棄して核武装するのだな。いい度胸だ」と逆ねじを食らったからです。(※2)

そこまで深く考えないで原発ゼロを言ってしまった民主党政権は大いにびびって、直ちに「参考」に格下げしてしまいました(笑)。

原発ゼロは、国際的には我が国が数千トンも備蓄しているプルトニウムをそのまま備蓄し続けて、よからぬことを企んでいるということになるのです。

ここで大きな矛盾に突き当たりました。原発ゼロ政策を取っても、国際公約上は再処理を続けていかねばならず、それをするとMOX燃料がどんどん出来ていってしまうのです。

青森県六ケ所村の再処理工場は、近く実用稼働に入るのですが、その処理能力は年間800トン程度です。

となると、現在2万8千トンという核廃棄物が、原発をすべて止めてこれ以上増えないようにしたとしても35年かかる計算です。

となると、原発ゼロにすると国内原発すべてが稼働停止しているわけですから、年間800トンも積み上がっていくばかりのMOX燃料をどうするつもりでしょうか。ベトナムにでも、MOX炉とMOX燃料をパッケージで売るのでしょうか。

では、再処理せずにプルトニウムをそのまま埋めてしまうなどと言うのは、先ほど述べましたようにまさに後の世代に対しての無責任の極みです。

青森県は原発ゼロで再処理による核燃料サイクルが撤回されるのなら、英仏から返還される高レベル核廃棄物の受け入れを拒否し、既に国内の原発から搬入されている使用済み核燃料も返還することを検討すると言っています。

それはそうです。青森県は再処理したら県外に持ち出すという約束で高レベル核廃棄物を受け入れたのであって、そのまま積み上がっていったら六ヶ所村は事実上の最終処分場になってしまうわけですから、冗談じゃない、と怒ったのです。

となると、現実的にはわずかでも原発を稼働させて、そこで35年間(+その原発から出る使用済核燃料の再処理量)の年数は原発は止められないことになります。

つまり原発をミニマムにしようとするだけで、35年プラスαの時間がかかってしまうのです。原発ゼロを叫ぶのは簡単です。30年でも10年でも即時でも、ただ言うだけですから。

問題は、現に膨大に積み上がった使用済み核燃料をどうするのか、これに答えない脱原発政策はすべて空論です。

たしかに、原子力の最終処分という出口(バックエンド)を考えずに原発を始めた国が悪いのです。しかし、それはわかりきったこと。

「自民党が悪い」と百回言ってもなんの解決にもなりません。脱原発を真剣に考えるなら、そこから考えていかねばなりません。

だから、今の時点で、このバックエンド問題がなにひとつ解決していない時点で、原発ゼロを公約に掲げる党派は一体なんなのだろうと私は思います。

選挙までは頭に血が登っているのでむりでしょうから、選挙後にもう少し冷静な議論をしてほしいものです。

今必要なのは原発ゼロにする年限ではなく、それを可能にする手段の検討のための時間なのです。そのためには時間を味方にしなければなりません。

■※1 日本は核兵器開発能力は技術的には持っていると国際的には評価されています。ただし、現実に核兵器を作るためには、核爆発の程度を知るために核実験をせねばなりません。しないでやるコンピュータ・シミュレーションの方法もありますが、そのソフトは核保有国しか持っておらず、渡してくれるはずかありません。
また投射手段も軍事目的用のミサイルを保有していません。最大のネックは原子力の平和目的を定めたIAEAの国際協定を破らねばならないことと、我が国内部の核アレルギーです。

したがって、「技術は一定程度あるが、北朝鮮やイランのようになる覚悟がない以上、ほとんど不可能」というのが現実です。石原さんが言うほど簡単ではないのです。

■※2 民主党は解散のどさくさまぎれに脱原発を閣議決定したようですが、米国はこんな末期政権の最後っ屁は相手にしなかったようです。
米国は脱原発を打診に来た民主党使節に対して実際には、「核武装するのか」というような露骨な表現はとっていませんが、「核不拡散の国際公約を守れ」とは言ったようです。
また日本が原子力から撤退すると、米国の原子力産業はすべて日本の子会社になっているために、その技術が失われては、米国民主党の原発増設計画に差し障りが出ることを危惧しているためとも言われています。

関連記「原発推進」フィンランドの覚悟と知恵
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-1f72.html

■写真 早朝の湖を快走する漁船。カッコイイですね。実際漁師さんたちはカッコがいい。

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原発を真面目に終りにする方法」カテゴリの記事

コメント

それを解消してエネルギー時給するための原子炉が研究炉ふげんと実証炉もんじゅだったんですが…
トラブル続出と事後対応のマズさに加え立地の問題で、もう無理っぽいですね。もはや「悪の権化」扱いですから。福島第一事故後のこの時期では選挙で「推進する」なんて言える政党はありません。
もう、腫れ物扱いです。

その前にフランスもスーパーフェニックスをナトリウム事故で放棄してますし。
ただ、研究だけは続けるべきだと私は思います。

原子炉をゼロ稼動しても、使用済み燃料プールにある燃料棒は、たくさん残っている現状、これらの処理方法を具体的に研究する作業は、していかなければなりません。

そういう研究開発行為も、放射能汚染源には、もちろんなりますが、台湾の蘭いー島での、核処理場と同様に、鉄製ドラム缶は、30年もたてば、核物質の酸化力で、錆びて、パンクすることは、実証済みです。

また、コンクリート製の箱物は、いづれ、ヒビだらけになり、雨水とともに、周辺汚染して、最後は、海洋汚染を招くことも、実証済みです。

どこの施設を活用するかは、別として、国内に存在する放射性物質を、安全に処理する技術研究までも、ゼロ原発ブームで、辞めてしまっては、いけないと思います。

西日本のPWRでは、1Fが、核燃料保存プールですので、当然、津波が来れば、福島第1原発のように、4F、5Fにある燃料プールと違って、裸の使用済み燃料棒が、海にさらわれる危険性が強いのですから、怖いことです。原発は、発電しなくても、危険なのですよね。

嘉田知事は学者として環境分野で地道に研究活動をしてきた経歴がありますから、菅氏や橋下氏とは違って、深い思慮なく思いつきで発言する輩とは違うのではないかと、私は少し期待しています。
「卒原発」という表現も、原発を卒業するには幾つもの課題があり、それらをクリアして成し遂げられるというニュアンスがあるのではないかと思っています。その点では管理人さんに近いのではと勝手に想像しています。大手マスコミのように十把一絡げにせず、注目してもいいのではないかと思います。
原発事故後の初めての総選挙ですから、原発は絶対に大きな争点になるべきです。


使用済み核燃料・高レベル放射性廃棄物の処理の問題は、27日に、内閣府原子力委員会が地下深くに半永久的に埋める最終処分(地層処分)計画を見直し、将来、廃棄物を地下から取り出せる「暫定保管」へ転換を図るよう政府に求める提言案を示しました。(これも踏まえて管理人さんは今日の記事を書いているのでしょう)
http://mainichi.jp/select/news/20121127k0000e040166000c.html

9月の日本学術会議の提言です。
http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=4&cad=rja&ved=0CEcQFjAD&url=http%3A%2F%2Fwww.scj.go.jp%2Fja%2Finfo%2Fkohyo%2Fpdf%2Fkohyo-22-k159-1.pdf&ei=Lji1ULyWEcnImQWo14DgCA&usg=AFQjCNGtkXqWSdn3srR0q2JjFC7eEqYmFw


問題先送りの感もありますが、現実的には学術会議の提言案しかないと思います。
廃棄物の発生量をあらかじめ決めて原発や再処理工場の稼働を制限する総量規制という考え方が一番肝心ではないでしょうか?フィンランドもそうですね。

核燃料サイクルは同時に高レベル放射性廃棄物も出し続けるので、私は論外だと思います。
再処理するか再処理しないかの判断は、プルトニウムの行方と同時に、半減期も勘案しつつ高レベル放射性廃棄物の見込まれる総量で決まると思います。
処理施設の規模が現時点で全く想定できないのですから、これ以上使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物を増やさないというのが、当然の出発点でしょう。

2012年10月01日に放送された、NHK・クローズアップ現代「10万年の安全は守れるか ~行き場なき高レベル放射性廃棄物~」
http://www.at-douga.com/?p=5977
見逃した方はぜひご覧ください。

プルサーマル後に発生する使用済みMOX燃料の半減期はどれくらいでしょう?

cxさん。
わざわざこんなに前の記事に投稿ご苦労様です。

MOX燃料が特別なわけではなく、使用済み核燃料全体の処理をどうするのかが本文のテーマなんですが…

そんな質問だけ投げて行くとは、よほど無知なのか(調べればすぐに分かるでしょう)、無知と読解力の無さを装って何らかの批判をしたいのか、判断できかねますね。

現在使用済み(プルトニウム)MOX燃料の半減期を探している最中なのですが、(私の力では)なかなか検索できず、その検索中にこちらの書き込みが引っ掛かり、詳しそうでしたので質問させて頂きました。
非常に疑心暗鬼になっていらっしゃるようですが、恐怖心を与えたならお詫び致します。

人様のブログでコメントにコメントするのを繰り返すのはマナー違反になるのですが、お許し下さい。


使用済みMOX燃料の半減期は30年です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/MOX%E7%87%83%E6%96%99
ただし再処理工場でMOX燃料を生成する過程で、原子力発電に比べてはるかに多量の放射性廃棄物が生じます。特に液体の廃棄物中にはPu、Np、Tcなどの半減期の長い放射性核種が含まれています。液体の廃棄物はガラスで固化して貯蔵しなければならないのですが、この過程の技術が難しく重大な事故を引き起こす危険性があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%8D%E5%87%A6%E7%90%86%E5%B7%A5%E5%A0%B4
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=04-07-02-05
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=04-07-02-07


ですから、使用済みMOX燃料の半減期のみの情報を流すことは、極めて悪質です。
山形さんが嫌悪感を示したのは、このためでしょう。

南の島さん
資料ありがとうございました!
要約すると
①ウランを燃やすと数万年の長半減期高レベル放射性廃棄物が大量にでるが、再処理すると大半は半減期30年程度に短縮する。
②しかし再処理により発生する廃液は依然としてPuが含まれており、長半減期の高レベル放射性廃棄物を0にする事はできない。
③また使用済みPuは異常な崩壊熱を発生させる為、半世紀以上の管理された冷却期間が必要で、ワンススルーに比べて2倍の処理費用が必要。
簡単に要約するとこんな感じでしょうか?

NPT?でPuの貯蔵が禁止されている為、プルサーマルを続けないといけないようですが、二酸化ウランを混ぜたMOX燃料を燃やせば更なるPuや長半減期高レベル放射性廃棄物が発生するような気がするのですが、二酸化ウランは使用後長半減期のPuやPTに変化しないのでしょうか?

疑問が尽きずすみません。

どうも怪しいんですよね。原発稼働と自民党に都合の良いことしか言っていませんし。

↓これなんか特に
>「自民党が悪い」と百回言ってもなんの解決にもなりません。
だからといって責任を追及しないのはどのような理屈によるものでしょうかね。このまま放置しておけとでも言うのでしょうか?まずはこれらを断罪することが先決なんですけどね。諸悪の根源を根絶しないと、これから先も同じことの繰り返しですよ。

逆にお聞きします。あなたは脱現発思想警察ですか?他人の言説をとりあげて「これなど怪しい。推進派だ」と叫ぶ心理は、まるでゲシュタポですね。

私はもうかなり前から、具体的にどうやったら原発をなくしていけるのかという現実的検討をしています。

ちなみに、「原子力村」の安全神話批判なら山ほどしていますので過去記事を見てください。

世の中には「脱原発」と「推進派」の二種類しかいないわけではありませんよ。私のような現実主義的的削減派もいるのです。
呪文のように「原発推進反対」と叫んでも、それは思考停止というだけです。
それが許されたのは2年前まで。いまはもっとリアルな削減の検討や情報交換が始まっているのです。

最後のコメントにある通り、確かに「脱原発」と叫ぶだけで思考停止してしまっては意味がない。
とはいえ、「脱原発」を唱えるには使用済み核燃料の処分方法を提案せねばならないとしたら、そもそも、原発を動かすにはそこを決めていなければならないのではないか。
愚かにも原発を動かしてしまった以上は、使用済み核燃料の問題は避けて通れないものであって、その解決策が見つからないことと、脱原発はなんの関係もない。それとも、このまま原発を動かし続けて、いつかは世界中が見捨てた核燃料リサイクルが完成して、ゴミ問題が永久に解決するという願望に取りすがろうというのか?

動かすにしても、動かさざるにしても、燃料である核物質はそこにあり管理を続ける必要があります。
当然管理するための費用も発生し続けて居るわけです。
発電を行えば、電気を売る事ができ管理費用もある程度賄えますが、発電しなければそれはすべて利用者が被る事になります。

震災以前から私の住んで居る所の電力は離島と言う環境ゆえ火力のみで賄われてきました。
元々原子力由来の電力は利用もしていない訳ですね。本来火力だけなら原油価格直結で電気料金も乱高下ですが、電気料金は本土と変わらない。それは良くも悪くも原発のお蔭だったわけです。
私的には認可の降りた原発は稼働し市民への経済的負担は最小限にしてもらいたい所です。

 突然質問ですみません、ガラス固化は放射線が乱反射するとかの心配はないのですか、もう一点、ナトリウムのしようは鉄の浸食を早めるのではないでしょうか、おしえてください

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