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2012年12月10日 (月)

「コンクリート」と「人」は対立する概念ではない

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2011年3月11日、あの東日本大震災において崩落した私の村の鹿行大橋が上の写真です。(崩落直後に撮影)

渡っていた人は湖に自動車ごと転落して死亡しました。隣町の方でしたが、むごいことてす。ご冥福をお祈りします。

鹿行大橋は1968年に開通しましたが、橋幅が狭く交互通行せねばならないようなものでしたが、旧大洋村と旧北浦村を結ぶ貴重な生活道でした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B9%BF%E8%A1%8C%E5%A4%A7%E6%A9%8B

この橋は築43年たち、痛みがひどいことは前々から指摘されていましたが、まともな改修工事もないままに震災を迎えてしまいました。

この橋が作られた1960年代から70年代にかけての高度成長末期に、多くの公共インフラが整備されました。(下図参照)今回崩落した笹子トンネルも1976年、ほぼ同時期です。

Photo_3  (図 独立行政法人土木研究所http://www.pwri.go.jp/caesar/overview/02-01.html

日本において公共インフラの維持管理はおろそかにされていました。この鹿行大橋も例外ではなく、国道354の一部でありながら、住民が崩落した時に格別驚かなかったというようにな悲惨な状況でした。

日本の高速道路、橋、トンネル、港、堤防などの公共インフラは2010年代に一斉に老朽化時期に突入しました。

笹子トンネルが崩落したのも、鹿行大橋が崩落したのも、偶然ではありません。落ちるべくして落ちたのです。すなわち人災です。

さてかつての米国では、70年代から80年代に「橋の老朽化」事故が頻発しました。有名な事例としては、コネチカット州マイアナス橋の崩落事故かあり、78年にはマンハッタンにかかるウエストサイドハイウエイの崩落、81年にはブルックリン側が崩落しました。http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CA0000461.html

Photo_4           (写真 アメリカ  マイアナス橋(鋼桁橋)の落橋 1983年)http://www.pwri.go.jp/caesar/overview/02-01.html

検査の結果、マンハッタン橋、クイーンズボロ橋、ウイリアムズバーグ橋に次々と大きな損傷が発見されて、改修工事を受けています。

これは全米規模で起きた一部にすぎず、ピッツバーグ橋は通行不能となり、USスチールは迂回道を通るために年間100万ドルの損失を被ったそうです。

82年には、スクールバスが通行できない橋が増えたために、全米で約50万人の学童が橋の手前でバスから降りて通学する事態までになりました。

この80年代に起きた「荒廃するアメリカ」現象により、米国では経済、交通、社会生活が頻繁に支障をきたし、社会的な混乱の引き金になっていきます。

これは米国における公共インフラが1930年から40年代にかけてのニューディール時代に多く建設されたために、一斉に老朽化を迎えた80年代に荒廃現象が生じたのです。

原因としては、1960年代に米国で7兆円ほどあった公共インフラの補修予算が、70年代に減少し、80年代には5兆円規模までになったためです。

このために真っ先にメンテナンス予算が削られ、検査が行き届かず、よしんば欠陥が見つかっても放置されるか、簡単な補修で済ましてしまうといいった事が日常化しました。

そして老朽化が限界を迎える30年から50年後にかけて、事故が頻発したというわけです。

我が国の公共インフラが作られた時期が60年代から70年代のため、このような「荒廃するアメリカ」現象が、30年遅れて襲ってきました。

Photo                  (図 独立行政法人土木研究所

我が国では橋本政権から小泉改革に続いた公共事業費削減の流れ、そして「コンクリートから人へ」という確信犯的スローガンで、公然と公共インフラ放棄をうたった民主党政権によって、みるも無残に補修予算が削られていきました

下図をみれば、2011年はもっとも公共投資があった1998年の半分以下にまで減額されていることがわかります。

これだけ削れば、真っ先に影響が出たのは裏方である検査・維持管理コストでした。地方の現場を回ればわかりますが、公共インフラの維持管理はボロボロです。

2012070211_2 

          (図 内閣府 日本の公共事業費の推移 単位:兆円)

政府が管轄している橋1万8千箇所のうち「緊急対応の要あり」と認められたのが106カ所、0.6%に達します。これらの橋は国交省によれば「いつ落ちてもおかしくない」状態にしります。

そして、財源が乏しく補修費用がほとんどない地方自治体は、全国1800箇所のうちの実に8割以上の1500市町村に達します。

これらの市町村では財政難のため定期点検すらできず、「通行止め」や、「通行規制」でお茶を濁している現状です。(資料2参照 茨城新聞2012年8月18日)

その数は政令指定都市で91カ所(平成19年)、政令指定都市以外では593箇所にものぼります

そしてこの合計684の橋は定期点検をしたからわかったので、8割の市町村ではそれすらしていないのですから、潜在的に「緊急対応の要あり」の橋は膨大な数に昇ると考えられています。

先ほどの国交省管轄の橋の「緊急対応の要あり」率が0.6%ですから、全国67万8千箇所にそれをかければ、実に4000カ所が「いつ落ちてもおかしくない」状態のまま放置されていることになります。

「国交省によると、全国にある15メートル以上の橋約15万7千カ所のうち11年時点で改築の目安となる築50年以上の割合は9%だが、10年後(21年)には28%、20年後(31年)には53%になる見通し。老朽化などに伴い、通行規制する橋は本県の45カ所を含む全国計1378カ所に上る。」(同上)

特に、東日本大震災によって公共インフラは大きな打撃を受けました。地震による亀裂や金属疲労などが、建築構造に影響を与えていることは十分考えられます。

しかし、それはまだ事故を起こしていないというだけで、修繕されることもなく放置されたままです。特にそれは市町村レベルでは顕著です。

「修繕が済んだのは、県管理分のうち6%の54カ所だけで、市町村管理分で修繕に着手した箇所はなかった。」(同上)

このような公共インフラの荒廃時代は、いままさにに始まったばかりです。

笹子トンネル崩落事故によって「コンクリートから人へ」政策は完全に破綻しました。そもそも「コンクリート」と「人」は対立する概念ではありません。

あたかも公共インフラの「コンクリート」に政府投資することが「悪」であるかのように言ってきた論理自体が、為にする議論だったのです。

いまでもそれを言い募る者は、人の命などとどうでもいいと言うことと同じだと自覚すべきです。

私たちは「人を守るコンクリート」が、崩壊の危機の時代に突入したことを知ってしまったのですから。

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資料2 橋「長寿命化」に遅れ 県内市町村、点検実施全国ワースト
茨城新聞
2012年8月18日(土)
全国的に橋の老朽化が進む中、県内市町村で橋の耐用年数を延ばす「長寿命化」の取り組みが遅れている。国交省のまとめでは、県と市町村が管理する橋2641カ所のうち、4月1日時点の長寿命化修繕計画の策定率は48・4%と都道府県別で2番目に低く、計画策定に向けた点検実施率は76・2%で全国ワースト。計画に基づく修繕実施率も4・9%で、全国平均11%を下回った。東日本大震災で旧鹿行大橋が崩落するなど県内多くの橋が被災しており、対策が急がれる。

長寿命化に向け、県は2009年度に修繕計画を策定し、県管理の854カ所の本年度当初の点検実施率、計画策定率はともに97・9%(未実施18カ所)とほぼ順調。一方、県内市町村が管理する1787カ所の点検実施率は65・8%(全国平均89%)、計画策定率は24・7%(同51%)で、ともに全国下位と大きく出遅れた。

修繕が済んだのは、県管理分のうち6%の54カ所だけで、市町村管理分で修繕に着手した箇所はなかった。
国交省によると、全国にある15メートル以上の橋約15万7千カ所のうち11年時点で改築の目安となる築50年以上の割合は9%だが、10年後(21年)には28%、20年後(31年)には53%になる見通し。老朽化などに伴い、通行規制する橋は本県の45カ所を含む全国計1378カ所に上る。

1950〜70年代の高度経済成長期に建設された橋を中心に今後一斉に老朽化対策を迫られるのを見越し、国は従来の対症療法から予防保全による長寿命化へ方針を転換し、関係自治体に計画策定を促していた。

財政難などを理由に多くの市町村で取り組みが遅れているのを受け、同省は財政的・技術的支援を強め、取り組みを支援する方針。

同省本年度予算の社会資本整備総合交付金では、橋の補修に特化した整備計画が前年度比19件増の27件に上り、申請額も約5倍の75億円に増加。県も30市町村とともに総額1億3600万円の整備計画を申請した。

同交付金などを受けて、県内では本年度末までに24市町村が点検を済ませ、13市町村で計画策定が完了する計画で、点検実施率は83・9%、計画策定率は58・5%に上昇する見通しという。

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